InterSystems Atelier...InterSystems Atelier 利用ガイド V1.1 4 はじめに...

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InterSystems Atelier 利用ガイド V1.1

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InterSystems Atelier

利用ガイド

V1.1

2019年 1月

インターシステムズジャパン株式会社

InterSystems Atelier 利用ガイド V1.1

2

目次

1. Atelier とスタジオの違い ......................................................................................... 5

2. Atelierのインストール ............................................................................................ 6

(1). Eclipseのインストール ...................................................................................... 7

(2). Atelierプラグインのインストール ........................................................................... 8

a. インストール ...................................................................................................... 8

b. Atelierインストール内容の確認 ............................................................................. 11

c. Atelierの画面表示 ........................................................................................... 12

d. 日本語環境用のエンコード設定に変更 ...................................................................... 13

e. Eclipse上でターミナル起動を行う場合の設定 ............................................................. 14

3. 接続先サーバの設定 ............................................................................................ 15

(1). IRIS for Health、HealthShareをインストールした場合 ............................................. 16

(2). IRIS、Ensemble、Cachéを初期セキュリティ:標準 をインストールした場合 ....................... 16

(3). IRIS、Ensemble、Cachéを初期セキュリティ:最小でインストールした場合......................... 16

4. Atelierプロジェクトの作成と利用 .............................................................................. 19

(1). クラス定義の作成 ........................................................................................... 20

(2). ルーチンの作成 ............................................................................................. 26

(3). サーバにあるコードをプロジェクトにコピーする ........................................................... 28

5. デバッグ ........................................................................................................... 30

(1). Eclipse上でデバッグを実行する方法 .................................................................... 31

(2). 実行中プロセスにアタッチしてデバッグを行う方法 ....................................................... 33

6. Gitでバージョン管理 ............................................................................................ 35

(1). Gitを利用するための準備(Atelierプロジェクトの共用) ............................................... 36

(2). リモートの Git リポジトリへのプッシュ ..................................................................... 39

(3). リモートの Git リポジトリからのプル ....................................................................... 43

7. おわりに ........................................................................................................... 45

InterSystems Atelier 利用ガイド V1.1

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図表目次

図 1 スタジオと Atelierの違い ................................................................................. 5

図 2 Eclipseのインストール(Eclipse IDE for JavaScript and Web Developers) ........................... 7

図 3 Eclipseマーケットプレースから Atelierのインストール ................................................ 8

図 4 Atelierプラグインのインストール ......................................................................... 9

図 5 Atelierプラグインダウンロード URLの公開ページ .................................................... 10

図 6 Atelierインストール内容の確認 ........................................................................ 11

図 7 Atelierパースペクティブの追加 ........................................................................ 12

図 8 Atelier:日本語環境のためのエンコード設定 .......................................................... 13

図 9 Atelier:ターミナル接続の追加 .......................................................................... 14

図 10 接続サーバの設定(Server Explorer) .............................................................. 15

図 11 Atelier用ウェブアプリケーションパスの推奨設定 ................................................... 17

図 12 Server Explorer:ソースコードの表示(読み取り専用) ............................................ 18

図 13 Atelierプロジェクトの新規作成 ....................................................................... 19

図 14 新規クラス作成 .......................................................................................... 20

図 15 プロパティ定義の追加 .................................................................................. 21

図 16 クラス定義のコンパイル ................................................................................ 22

図 17 Caché/Ensemble/HealthShare/IRISの%Service_Telnetの有効化(Windowsのみ)

................................................................................................................ 23

図 18 Eclipse ターミナルでの Telnet接続 ................................................................. 24

図 19 ルーチンの新規作成(MACルーチン) ................................................................ 26

図 20 インクルードルーチンの作成(INC) ................................................................... 27

図 21 既存コードの修正:プロジェクトにコピー ............................................................... 28

図 22 Atelierのローカルファイル ............................................................................ 29

図 23 デバッグの構成:Atelier Application ............................................................... 31

図 24 Atelier Application:デバッグ実行 .................................................................. 32

図 25 デバッグの構成:Atelier Application Attach ..................................................... 33

図 26 Atelier Application Attach:デバッグ実行 ........................................................ 34

図 27 ローカルの Git リポジトリへのコミット/リモートの Git リポジトリへプッシュ ....................... 35

図 28 Git:Atelierプロジェクトの共用 ....................................................................... 36

図 29 Git:ローカルリポジトリの作成 ......................................................................... 37

図 30 プロジェクトの共用による Atelierプロジェクトと Git リポジトリの関係 ............................. 38

図 31 Git リポジトリへのコミット ............................................................................... 39

図 32 コミット後の Git リポジトリの画面 ...................................................................... 40

図 33 リモートの Git リポジトリへプッシュ .................................................................... 41

図 34 リモートの Git リポジトリからのプル ................................................................... 43

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はじめに

本資料は、バージョン 2016.2以降の弊社全製品で利用できる統合開発環境:Atelier(アトリエ)の利用方法を

解説する資料です。

弊社製品のクライアントキットを利用してWindowsにインストールする統合開発環境:スタジオ も今まで通り

ご利用いただけますが、インストールしたクライアントキットのバージョンが、接続先サーバのバージョンより古い

場合、ご利用いただけません。

弊社オンラインラーニングでは、新しい機能をお試しいただくため、演習環境付きのオンラインコース(英語)をご

用意しております。

最新バージョンのインストールキットをお持ちでない場合など、Atelierをご用意いただくだけで、

新機能をご体験いただけます!

それでは早速、Atelierのインストールから始めてみましょう!

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1. Atelier とスタジオの違い

スタジオはWindows上で動作するインターシステムズ専用の統合開発環境(IDE)です。

スタジオを利用するためには、Windows 上に弊社製品のインストールを行うか、サーバ機能が付いていないク

ライアントキットのインストールを行う必要があります。

それに対して、Atelier(アトリエ)は、Eclipse1 がインストールされた環境があればそこに Atelier のプラグイン

をインストールするだけでご利用いただけます。

図 1 スタジオと Atelierの違い

Atelier を利用するメリットは、Eclipseが利用できる標準的で豊富な機能を利用できる点です。

例えば、ソースコードのバージョン管理に利用できる Gitについても、Eclipse用プラグイン(EGit)をそのまま利

用することができ、便利2です。

1 Eclipse Photonのインストールが必要です。 2 スタジオでは、ソースコード管理機能と連携するためのフックの実装方法を提供しています。

ご利用いただくためには、ソースコード管理機能が提供する方法に合わせ、フックを定義する必要があります。

インターシステムズ専用プラグイン(Atelier)以外も利用可(Eclipseがサポートするものは全て利用可。ソースコード管理ツールも利用可)

インターシステムズ専用IDEで、他言語は記述できない。

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2. Atelierのインストール

Atelierのインストール手順は以下 2点だけ。とても簡単です。

(1) Eclipse Photonをインストールします(必要に応じて、日本語化します)。

(2) Atelierのプラグイン3 を Eclipseにインストールします。

インストール後、Atelier が新しいバージョンをリリースした場合は、Eclipse 上でソフトウェの更新、または、(2)

のプラグインのインストールから、新バージョンをインストールするだけで対応できます。

Atelierの最新リリース情報4などはこちらをご参照ください。

次ページ以降では、(1)(2) の詳細をご説明します。

3 2019年 1月現在、Atelier 1.3が最新バージョンです。また Java 8上での動作をサポートしています。 4 Atelierはインターシステムズ全製品の 2016.2以降のバージョンで利用できます。

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(1). Eclipseのインストール

Eclipseのインストール前に、Java 1.8がインストールされていることを確認してください。

なお、Eclipseのインストールは、2019年 1月時点5では、Eclipse Photonのインストールが必要です。

Eclipse Photonをインストールするため、インストーラーをダウンロードします。

https://www.eclipse.org/downloads/packages/release/photon/r

インストーラーを起動したら「Eclipse IDE for JavaScript and Web Developers6」を選択します。

図 2 Eclipseのインストール(Eclipse IDE for JavaScript and Web Developers)

5 最新情報については、Atelierダウンロード専用ページをご参照ください。

Eclipseの対応バージョンについては、[Step1 Install Eclipse]のタブでご紹介しています。

6 JavaScript、HTML、CSS、XMLの言語サポート機能付きのインストールパッケージです。

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(2). Atelierプラグインのインストール

Atelier プラグインの最新バージョンについてはインストールを行うタイミングで Atelier リリースノートをご確認

下さい。

以下の説明は、2019年1月現在の最新版であるAtelier1.3のプラグインインストールをご説明します。なお、

Eclipseについては、日本語化した環境でご説明します。

プラグインのインストールには 2 通りの方法があり、「Eclipse マーケットプレース」からのインストールと、プラグ

インインストール用の URLを指定しながらのインストールあります。

a. インストール

その① Eclipseマーケットプレースを利用する方法

ヘルプの「Eclipseマーケットプレース」から Atelierを検索しインストールを行います。

図 3 Eclipseマーケットプレースから Atelierのインストール

インストールの準備が整うと、「ライセンスレビュー」の画面がでるので、「使用条件の条項に同意します」を選択

し、「完了」をクリックするとインストールが開始されます。

Atelierのインストールが完了すると、Eclipseの再起動をする必要があるため

「変更内容を有効にするには、Eclipse を再起動する必要があります。すぐに再起動しますか?」で再起動してく

ださい。

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その② プラグインインストール用 URLを指定する方法

Eclipseの ヘルプ→新規ソフトウェアのインストール を選択します。

図 4 Atelierプラグインのインストール

プラグインインストール用 URLを指定し、インストールを行います。

Atelierプラグインの URLは、こちらのページ の Step2[Install the Atelier Plugin] で確認できます。

ページ詳細は、次ページをご参照ください。

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図 5 Atelierプラグインダウンロード URLの公開ページ

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b. Atelierインストール内容の確認

「コア」と「オプション」の左横チェックボックスを両方チェックしてから「次へ」をクリックします。

図 6 Atelierインストール内容の確認

インストールの準備が整うと、「ライセンスレビュー」の画面がでるので、「使用条件の条項に同意します」を選択

し、「完了」をクリックするとインストールが開始されます。

Atelierのインストールが完了すると、Eclipseの再起動をする必要があるため

「変更内容を有効にするには、Eclipse を再起動する必要があります。すぐに再起動しますか?」で再起動してく

ださい。

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インストール後、Eclipse を再起動すると、以下の画面が表示されるので、「ワークベンチ」をクリックし、以下の

設定を行ってください。

c. Atelierの画面表示

Eclipseに Atelierのアイコンを表示させるため ウィンドウ→パースペクティブを開く→その他 から Atelier用

パースペクティブを追加します。

図 7 Atelierパースペクティブの追加

ワークベンチ をクリックします。

パースペクティブにAtelierを追加すると、Ecplise上でアイコンが表示されるので[At]をクリックすればAtelierが開きます。

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d. 日本語環境用のエンコード設定に変更

Atelierで日本語を取扱う場合は、デフォルトのエンコード(MS932)から UTF8に変更する必要があります。

ウィンドウ→設定 で開いた設定画面から 「一般」 →「ワークスペース」 を選択し、

「テキスト・ファイル・エンコード」 を 「その他:UTF8」に変更します。

図 8 Atelier:日本語環境のためのエンコード設定

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e. Eclipse上でターミナル起動を行う場合の設定

Atelierの接続先サーバに Telnetや SSHで接続するターミナルを追加できます7。

ウィンドウ → ビューの表示 → その他 から「ターミナル」を追加します。

図 9 Atelier:ターミナル接続の追加

以上で Atelierのインストールは完了です。

次は、サーバに接続し、クラス定義、ルーチンを作成したあと、ターミナル実行を試します。

7 Eclipseをターミナルの日本語表示に注意点があります。

Eclipseのターミナルを利用する場合、フォントのサイズと日本語のサイズが合わないため日本語の表示が途

切れてしまいます。

以下のメニューからフォントを変更して調整してください。

ウィンドウ → 設定 一般 → 外観 → 色とフォント → ターミナル・コンソール・フォント

(お好みのフォントを指定できますが、Verdanaなどが程よく表示されます。)

この他に、Eclipse上でターミナル起動を行う場合は ウィンドウ→ビューの表示→ターミナル を追加しておきます。

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3. 接続先サーバの設定

Atelier のインストールが完了したら、接続するサーバ情報を設定します。追加した Atelier パースペクティブの

アイコン をクリックしてください。 [Server Explorer] を選択したら を押下し、サーバ接続情報

を作成します。

図 10 接続サーバの設定(Server Explorer)

「アドレス」には、接続したいサーバのアドレスを指定します。

Web ポートは接続するサーバ

の管理ポータルを開いたときに

使用されている Web サーバポ

ートを指定します。

サーバへの接続情報を指定したら「完了」ボタンを押下します。 接続後、Server Explorer

にサーバ内のネームスペースが表示されます。

Atelierが接続するサーバの接続情報を作成

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ユーザ名、パスワードについては、接続サーバ内に登録のあるユーザを使用します。

ユーザ情報8 はインストールする製品と、初期セキュリティの選択により変わります。

以下、簡単にご説明します。

(1). IRIS for Health、HealthShareをインストールした場合

IRIS for Health とHealthShareのインストール環境では、初期セキュリティ:標準の状態でインストールが行

われ、全ての事前定義ユーザ(_system、SuperUser、インストール時に OS にログインしていたユーザ名な

ど)は、インストール時指定のパスワードが設定されています。

サーバへの全てのアクセスがパスワード認証を行う設定でインストールされるため、Atelier の接続サーバ設

定にも認証情報が必要となります。

(2). IRIS、Ensemble、Cachéを初期セキュリティ:標準 をインストールした場合

上述の(1) [IRIS for Health、HealthShareをインストールした場合] と同様です。

(3). IRIS、Ensemble、Cachéを初期セキュリティ:最小でインストールした場合

初期セキュリティ:最小 でインストールした環境では、サーバへの全アクセスが「認証なし」でアクセスできます。

「認証なし」の環境下では、アクセスしたユーザは全て UnknownUser として管理されます9。

Atelierも「認証なし」アクセスで利用できますが、AtelierはサーバへREST接続を行っているため、「認証なし」

アクセスの場合、一時的に作成されるセッション(全て異なるセッション)でライセンスを消費してしまいます。

異なるセッションを 1つにまとめるため、ユーザ認証を行うことを推奨しています。

手順としては、事前定義ユーザ(_system、SuperUser など)を利用してパスワード認証が行えるように、

Atelierの REST接続用ウェブアプリケーションパスの認証方式を変更します。

8 ユーザ情報を確認する場合は、以下の管理ポータルメニューからご確認ください。

管理ポータル→システム管理→セキュリティ→ユーザ

9 インストール後からセキュリティ設定を変更していない状況であれば、現在のインストール環境が「認証なし」

アクセスであるかどうか、管理ポータルを開くだけで確認できます。

管理ポータルを開いたときにユーザ名、パスワードの入力画面が表示されず管理ポータルメニューが開く場合、

「認証なし」アクセスが有効です。

または、ユーザ名、パスワードの入力画面が表示され、未記入でログインできた場合も「認証なし」アクセスが有

効です。

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Atelierの REST接続用ウェブアプリケーションパスの設定画面を開きます。

管理ポータル→システム管理→セキュリティ→アプリケーション→ウェブアプリケーション

/api/atelier を開きます。

図 11 Atelier用ウェブアプリケーションパスの推奨設定

「認証なし」アクセスを行わせないため、「認証なし」からチェックを外すことをお勧めします。

初期セキュリティ:最小 でインストールされた環境の事前定義ユーザ(_system、SuperUser など)のパスワ

ードは、インストール時のデフォルトで SYS (大文字)が設定されています。

必要であれば、パスワードの変更を管理ポータルで行ってください(方法はこちら)。

接続設定が終わったら、「Server Explorer」から接続先サーバの情報を確認してみます。

「認証なし」のチェックを外し、

「パスワード」にチェックを入れ、画面左上の「保存」ボタンを押下します

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図は、SAMPLESネームスペース10の Sample.Person クラスを参照している状態です。

図 12 Server Explorer:ソースコードの表示(読み取り専用)

ソースコードを参照できますが、読み取り専用として開くため、編集できません。

では、どうやってコードを編集したらいいでしょうか・・・・・

Atelierプロジェクトを作成し、サーバ上のソースをプロジェクトにコピーして編集します。

10 IRIS for Health、IRISには SAMPLESネームスペースの用意がありません。図で紹介している

Sample.Person クラスなどは GitHubにご用意しています。詳細は IRIS ドキュメントをご参照ください。

ソースコードは開きますが、読み取り専用として開きます。

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4. Atelierプロジェクトの作成と利用

早速、Atelierプロジェクト11 を作成しましょう。

Atelier Explorer を選択した状態で 右クリック→新規→Atelier Project を選択します。

図 13 Atelierプロジェクトの新規作成

プロジェクト名を「HelloWorld」として、接続先サーバとネームスペースを決定します。

続いて、クラス定義の作成、ルーチンの作成、既存コードの修正 の順番で解説します。

11 スタジオと異なる点は、Atelierではプロジェクトを作成してから接続先サーバを決める点です。また、プロジ

ェクト単位に接続先を切り替えることができます。

Atelier Explorer を選択→ 右クリック後の状態

プロジェクト名を決めます。

接続サーバを指定します。

ネームスペースを選択します。

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(1). クラス定義の作成

HelloWorld プロジェクトにクラス定義を追加する場合、プロジェクト名(またはそれ以下にあるフォルダ)を右ク

リック→新規→クラスファイル を選択します。

図 14 新規クラス作成

FS パッケージに Person クラスを作成します。データベースへの登録機能を持ったクラスとして作成したいの

で、%Persistentを継承します。

%Persistentの継承により永続クラスとして定義できます(=テーブル定義として利用できます)。

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作成した FS.Person クラスにプロパティを設定します。

図 15 プロパティ定義の追加

プロパティの定義文は Property で宣言し、プロパティ名称の後ろに As12に続けてデータタイプなどのクラス名

を指定します。

プロパティも含めクラス定義文やデータタイプなどは、Ctrl+スペースキー を押下すると入力候補が表示され

ます。

FS.Person クラスには、Nameプロパティと Emailプロパティを定義します。

12 As の右横に指定される文字列はクラス名です。Asはプロパティ定義の他に、メソッドの引数や戻り値の指

定にも登場します。

Property プロパティ名 As データタイプ(=クラス名);

As を書いた後 Ctrl + スペースキーを押下すると入力候補が出ます。確定にはEnterキーを押下します。

Class FS.Person Extends %Persistent

{

/// 名前

Property Name As %String;

/// メールアドレス

Property Email As %String;

}

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クラス定義が完了したら、保存13 しコンパイルします。

図 16 クラス定義のコンパイル

もし、接続先ネームスペース上に同名のソースコードが存在する場合、競合が発生するため、以下のような画面

でどちらを保存するか確認できます。

13保存を行うと自動的にコンパイルも行われます。

保存と同時にコンパイルを行います。コンソールを確認します(コンパイルだけも行えます)。

作成したコードが接続先ネームスペース上に存在する場合、ソースコードの競合が発生します。左ボタン:ローカル(Atelierプロジェクト)のソース

を保存するか、右ボタン:サーバのソースを保存するか確認画面が表示されます。

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では、作成した FS.Person クラスに対してデータを登録してみましょう。

FS.Person クラスは永続クラスのため、コンパイルが通った時点で SQL文による操作が可能ですが、例では、

Eclipse のターミナルを利用し、弊社独自スクリプトの ObjectScript を利用してオブジェクト操作でデータを 1

件登録します。

Eclipseのターミナルからサーバへ接続するには、SSHや Telnetなどが利用できます。

例は、Windows にインストールした Caché/Ensemble/HealthShare/IRIS への接続のため、Telnet

サービスを有効に設定変更してから接続しています。

Telnetサービスを有効にするため、管理ポータルを開きます。

システム管理→セキュリティ→サービス→%Service_Telnet を選択し、チェックを入れます。

図 17 Caché/Ensemble/HealthShare/IRISの%Service_Telnetの有効化(Windows

のみ)

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それでは、Eclipseのターミナル14を利用してオブジェクトを保存します。

図 18 Eclipse ターミナルでの Telnet接続

実行例は次ページをご参照ください。

14 ターミナルのアイコンが Eclipse上に表示されていない場合は、

ウィンドウ→ビューの表示→その他 からターミナルを追加してください。

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以下、ターミナル実行例です。

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(2). ルーチンの作成

ルーチンもクラス定義と同様の方法でプロジェクトに追加します。

図 19 ルーチンの新規作成(MACルーチン)

ルーチン名の指定画面は以下の通りです。

先頭行に ROUTINE ルーチン名 が表示されますが、このままの状態で保存します。

ルーチンのテンプレートを選択します。コードを記述する場合は、「COS Routine(.mac)」を使用します。マクロ定義のインクルードファイルを作成する場合は、「Include File(.inc)」を使用します。

プロジェクトを指定した状態で作成すると、プロジェクト名が記載された状態で開きます。指定がない時は参照ボタンを使用しルーチンを格納するプロジェクト名を指定します。

ファイル名に表示された名称でルーチン名が確定します。

パッケージ名はオプションのため、通常指定しません。

ROUTINE ルーチン名上記1行が必ず表示されます。そのままの状態でルーチンを記述します。

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マクロ定義などをまとめて保存するインクルードファイル(INC)を作成するときの先頭文字は以下の通りです。

図 20 インクルードルーチンの作成(INC)

先頭行に ROUTINE マクロファイル名 が表示されますが、このままの状態で保存します15。

15 スタジオではこの行は表示されません

ROUTINE ルーチン名 [Type=INC]上記1行が必ず表示されます。インクルードファイルの場合は [Type=INC]が指定されるのでそのままの状態で作成します。

ルーチン中にインクルードファイルを指定する場合は、#include インクルードファイル名を指定します。マクロの指定は$$$マクロ名で指定します。

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(3). サーバにあるコードをプロジェクトにコピーする

サーバに既に登録のあるコード変更したい場合は Atelierプロジェクトにコピーします。方法は以下の通りです。

「Server Explorer」で修正したいコードを選択します。使用中プロジェクトの接続先ネームスペース以外のコー

ドも選択できます(複数のコードがある場合は複数選択もできます)。

図では、SAMPLES ネームスペースにある Sample.Person と Sample.Address を選択し、プロジェクトにコ

ピーしています。

図 21 既存コードの修正:プロジェクトにコピー

既存コードを Atelierプロジェクトにコピーしたら、後は普通に修正しコンパイルを行います。

コピーするソースコードの選択し右クリック→プロジェクトにコピー を選択します。

コピーするプロジェクトを選択します。

プロジェクトのコピーが実行されるときに作成されるソース用ファイルの一覧

Atelier Exlorerでコピーされていることが確認できます。

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ここで、Atelierプロジェクトに格納されるローカルファイル16についてご説明します。

図 22 Atelierのローカルファイル

Eclipseワークスペースが c:¥MyWork¥ フォルダの場合、

FS.Person クラスのローカルファイルは c:¥MyWork¥HelloWorld¥FS¥Person.cls

に、R1.macルーチンについては、 c:¥MyWork¥HelloWorld¥R1.mac に存在します。

16 スタジオではローカルファイルは存在しません。

Atelierワークスペース/

HelloWorld/

AtelierProject1/

.project

Person.cls

FS/

R1.mac

MyMacro.inc

ディレクトリ

ファイル

パッケージフォルダ

Atelierプロジェクトの情報が格納されるファイルで、1プロジェクトに1つ作成される

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5. デバッグ

スタジオと同様に、Atelier も 2 種類のデバッグを用意していて、Eclipse 上でデバッグ17を実行する方法と、実

行中プロセスにアタッチしてデバッグを実行する方法があります。

それぞれ、デバッグの構成画面で設定を行ってからデバッグを開始します。

デバッグを実行するため、以下のクラス定義を利用します。

17 Eclipseのデバッグ用パースペクティブの追加と、デバッグウィンドウをビューの表示メニューから追加してお

きます。

Class FS.Basic

{

/// HelloWrold!

ClassMethod HelloWorld(name As %String,ByRef nameReverse As %String) As %String

{

/* 例外オブジェクト用変数としてexを使用します。

システムエラー発生時自動生成されるインスタンスのため、デフォルトでは入力候補が出ません。

#dim 変数 As クラス名 を指定する似入力補完機能が利用できます*/

#dim ex As %Exception.AbstractException

set retVal=""

try {

write "こんにちは ",!

set nameRevers=$reverse(name) // 逆さ文字にして第2引数に設定

set retVal="こんにちは "_name_" さんは友達です"

}

catch ex {

write "エラー発生",!

set retVal=ex.DisplayString()

}

return retVal

}

}

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実行例は以下の通りです。

(1). Eclipse上でデバッグを実行する方法

FS.Basic を選択し右クリック→デバッグ→デバッグ構成 からデバッグ構成画面を開きます。

「Atelier Application」を選択し、新規作成用ボタン を押下します。

図 23 デバッグの構成:Atelier Application

引数は、実行時の文法と同様で指定します。

任意名に変更できます

準備ができたら「デバッグ」ボタンを押下します

USER>set modori=##class(FS.Basic).HelloWorld("鈴木",.nameR)

こんにちは

USER>write

modori="こんにちは 鈴木 さんは友達です"

nameR="木鈴"

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図 24 Atelier Application:デバッグ実行

図は、クラスメソッドの任意の場所にブレークポイントを置き、デバッグを実行しています18。

続いて、Atelier Application Attach でのデバッグを実行します。

18 Atelier Applicationのデバッグ実行で引数に指定した日本語が変数のビュー上で文字化けしたように見

えます(将来のバージョンで修正される予定です)。

この後に紹介する Atelier Application Attachのデバッグ実行は正常に動作します。

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(2). 実行中プロセスにアタッチしてデバッグを行う方法

デバッグの構成メニューの中の「Atelier Application Attach」を利用します。

準備として、デバッグ実行用プロセスを立ち上げ、プロセス IDを確認します。図例では、Eclipseのターミナルに

アタッチしてデバッグを実行します。

続いて、Atelier Application Attachでデバッグの構成を作成します。

FS.Basic クラスを右クリック→デバッグの構成→Atelier Application Attachに新規でデバッグ構成を追加し

ます。

図 25 デバッグの構成:Atelier Application Attach

3. アタッチ対象のプロセスを選択します。

任意名に変更できます

1. 接続するサーバを選択します。

2. 「Show System」にチェックを入れます。

4. デバッグボタンを押下します。

InterSystems Atelier 利用ガイド V1.1

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実行中プロセスにアタッチしたデバッグのため、アタッチしたプロセスでデバッグコードを実行することデバッグが

開始します。

図 26 Atelier Application Attach:デバッグ実行

図例はクラスメソッドの例ですが、ルーチンも同様にデバッグできます。

《注意》

現時点(2019年 1月)では、CSP ファイルに対して直接ブレークポイントを指定できません。また、JavaScript

のイベントで起動するサーバ内メソッドについてのデバッグもサポートできていません。これらは、将来のバージ

ョンで対応される予定です。

現バージョンで CSP のデバッグを行う場合は、生成コードの INT コードを画面に表示させ、ブレークポイントを

設定してデバッグを行います。

アタッチしたターミナルでメソッドを実行するとデバッグが開始します。

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6. Gitでバージョン管理

AtelierはEclipse上で動作するプラグインであるため、Eclipseがサポートする機能をそのまま利用できます。

ここからは、Git19でのソースコードのバージョン管理方法についてご説明します。

はじめに、作成したソースコードをローカルの Git リポジトリへコミットし、ローカル内で編集が完了したあと、リモ

ートの Git リポジトリへソースをプッシュする方法をご説明します。

図 27 ローカルの Git リポジトリへのコミット/リモートの Git リポジトリへプッシュ

19 Gitを利用するため、パースペクティブに Gitを追加します。

ローカル リモート

プロジェクトの共用

Atelierプロジェクトからコミットした場合ローカルのGitリポジトリにコミットしたことになる

ローカルのGitリポジトリからリモートのGitリポジトリへコミット&プッシュ

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(1). Gitを利用するための準備(Atelierプロジェクトの共用)

Git をパースペクティブで追加できたら、バージョン管理を行いたい Atelier プロジェクトを Gitのローカルリポジ

トリとして共用するための設定を行います。

Atelierプロジェクトを右クリック→チーム→プロジェクトの共用 から Git リポジトリの構成画面を表示させます

図 28 Git:Atelierプロジェクトの共用

この後、Gitのローカルリポジトリ作成のための設定を行います。

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37

図 29 Git:ローカルリポジトリの作成

Git リポジトリーの構成画面の にチェックを

入れ、作成予定のリポジトリのディレクトリ(例では、C:¥MyWork¥HelloWorld)を確認し、「リポジトリー作成」

ボタンを押下後「完了」ボタン押下で定義終了です。

1. チェックします。

2. Atelierプロジェクトのディレクトリが表示されるので選択します。

3. 「リポジトリーの作成」ボタンを押下します。

4. 「完了」ボタンを押下しウィザードを終了します。

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作成した Gitのローカルリポジトリと Atelierプロジェクトのファイルの関係は以下の通りです。

図 30 プロジェクトの共用による Atelierプロジェクトと Git リポジトリの関係

Atelierワークスペース/

HelloWorld/

.git/

.project

Person.cls

FS/

R1.mac

MyMacro.inc

ディレクトリ

ファイル

.config

HEAD

objects/

Gitリポジトリのワーキングディレクトリのトップで構成ファイルやコミットの詳細情報などが格納される

Atelierパッケージフォルダ

Atelierプロジェクトの情報が格納されるファイルで、1プロジェクトに1つ作成される

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(2). リモートの Git リポジトリへのプッシュ

ソースコードを修正しコンパイルします。プロジェクトを右クリック→チーム→コミット を押下します。

図 31 Git リポジトリへのコミット

修正されたコードが「ステージされていない変更」に加わります。Gitのローカルリポジトリへコミットするた

め、「ステージされた変更」にソースコードを移動させます。

コミットメッセージを記入し、「コミット」ボタンを押下します。

「コミットおよびプッシュ」はローカルのGitリポジトリにコミットすると同時に、リモートのGitリポジトリにプッシュを一括で行うボタンです。

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Git でコミットされると、Git リポジトリの画面の「作業ツリー」以下にソースコードがコミットされたことが確認でき

ます。

図 32 コミット後の Git リポジトリの画面

ローカルの編集が完了したら、リモートの Git リポジトリ20へソースコードをプッシュします。

20 https://github.com/ でリモートのリポジトリを事前に作成しておきます。

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図 33 リモートの Git リポジトリへプッシュ

リモートのGitリポジトリのURLを指定し(https://github.com/xxxxx/Hello.git)認証設定を記入できたら、

後は画面の流れに沿って進めるとプッシュが完了します。

リモートのGitリポジトリのURLを指定します。例)https://github.com/xxxx/Hello.git

リモートのGitリポジトリに接続するためのユーザ名パスワードを入力します。

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(3). リモートの Git リポジトリからのプル

Atelierプロジェクトを新規で作成し、 (2)リモートのGitリポジトリへのプッシュ で作成したGitリポジトリから、

ソースをプルします。

Atelierプロジェクトを新規で作成したあと、作成したプロジェクトにあわせてローカルのGitリポジトリを用意しま

す。

図 34 リモートの Git リポジトリからのプル

新しく作成したリポジトリ(=Atelierプロジェクト)

リモートのGitリポジトリのURLを指定します。例)https://github.com/xxxx/Hello.git

リモートのGitリポジトリに接続するためのユーザ名パスワードを入力します。

予めリモートのGitリポジトリ情報を設定して

おくか、「新規リモート」ボタンより、アクセスするGitリポジトリを指定します。プルするブランチを指定します。

ブランチがない場合は「master」を指定します。

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プルしたソースコードが接続先サーバと競合する場合は、確認用画面が表示されるので、どちらを保存するか選

択できます。

HelloWorldプロジェクトと同じ内容を、リモートのGitリポジトリからプルできていることを確認します。

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7. おわりに

Atelierの操作、いかがでしたでしょうか。

スタジオの操作に慣れている開発者の方にとっては、操作しにくい点があるかと思いますが、利用者数の多い

Eclipse で開発できることで、今まで以上に標準で用意されている便利な機能を開発環境に取り入れることがで

きます。

Atelierはより良い開発環境を目指し、リリースを継続していきます。

ぜひこの後も、Atelierをご活用ください!

ガイドについてご不明な点ありましたら、お問い合わせ受付フォームよりご連絡ください。

また、ご要望あれば、ガイドに沿った Atelierのトレーニングも開催できます。

その際も、お問い合わせ受付フォーム、または担当営業までご連絡ください。