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巻頭特集 中央環状線全線開通
中央環状線の概要都心から半径約 8kmの位置にある、延長
約 47kmの環状道路。渋谷・新宿・池袋などの副都心やベイエリアをつなぎ、羽田空港や東京港等の国際旅客・物流施設へも接続します。
新規開通区間の概要2015 年 3 月 7 日、 中央環状線( 湾
岸線~ 渋谷線)約 9.4kmが開通しました。これにより、 中央環状線が全線開通となりました。
今回開通したトンネル区間約 8.4kmを含めた山手トンネルの長さは、約 18.2kmとなり、道路トンネルとしては日本一となります。 山手トンネル
( 湾岸線~ 渋谷線)
大橋JCT五反田出口
中環大井南出口
首都高速道路営業路線
建設中路線
五反田入口
新規開通区間
大井JCT
中央環状線全
線開通!
巻頭特集
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環境レポート2015
渋滞緩和により環境改善に貢献します渋滞緩和
これまで慢性的に渋滞していた 都心環状線。利用する車の約 6 割が 都心環状線を通過する交通です。中央環状線の全線開通によるネットワーク効果によって、これらの通過交通が分散され、首都高をよりス
ムーズに走行できるようになりました。
スムーズ走行で排出ガスが少なく中央環状線の全線開通で首都高全体の交通がスムーズに
なると、渋滞によるノロノロ運転が少なくなり、同じ距離を走っていても排出ガス量はぐっと減らせることになります。これにより、都内の環境改善につながります。
周辺幹線街路の沿道環境も改善幹線街路(山手通り、環七通り、環八通り等)の交通が、並
行する 中央環状線の利用に転換することにより、スムーズに流れるようになり、沿道の環境改善につながります。
トンネル内の照明は LED山手トンネル( 湾岸線~ 渋谷線)の照明には、LEDを
採用しています。LEDは従来の照明と比較して、消費電力が少なく、省エネルギーで地球温暖化抑制に貢献します。
また、長寿命のため、メンテナンス回数を少なくでき、LCC(ライフサイクルコスト)の低減や、結果として工事渋滞の削減にも効果があります。
※1 渋滞損失時間… 全交通量を対象とした、規制速度走行時の所要時間に対して生じる遅れ時間で表される渋滞の規模
(所要時間(時間)-規制速度走行時の所要時間(時間))×交通量(台)
※2 中央環状線内側… 中央環状線及び湾岸線を含まない※3 使用データは、開通前 H26.3.10(月)~ 4.7(月)、
開通後 H27.3.10(火)~ H27.4.7(火)の車両感知器による平日平均データ
渋滞損失時間※1の変化
山手トンネル( 湾岸線~ 渋谷線)が開通した効果
開通前 開通後
15
10
5
0
中央環状線内側※2約5割減
首都高全線約4割減
万台・時間/日
12.6
4.6
7.5
2.2
LED照明
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巻頭特集 中央環状線全線開通
環境にやさしいトンネル構造トンネル構造の利点
中央環状線のうち、およそ 4 割はトンネル構造。トンネル構造には、「自動車からの騒音や振動をほとんど伝えない」、「自動車からの排出ガスが沿道に与える影響を最小限にする」という効果があります。
換気所の必要性安全で快適に運転できるトンネル内環境を保つため、トンネルには空気を入れ替える「換気」が必要です。
そのため、換気に必要なファン、その他必要な設備を納めるための換気所を設置しています。全長 18.2kmの山手トンネルには、13 箇所の換気所があります。
換気所からの NO2 は環境基準の数百分の1トンネル内の自動車から出る排気ガスは、換気所から取り込んだ空気に
よって薄められ、換気塔から地上高く吹き上げて排出しています。地上高く吹き上げることにより、排気ガスが周囲に与える影響は極めて小さく抑えられます。
今回開通した山手トンネル( 湾岸線~ 渋谷線)の換気所から排出される二酸化窒素(NO2)※ 1 の最大着地濃度※ 2 は、環境基準の数百分の 1になります。
これは、東京ドームを満たす量に対して、ゴルフボール約 2 個分に相当するほどの小さい値です。※ 1 二酸化窒素(NO2)… ガソリン、軽油等の燃焼により生じた一酸化窒素(NO)
が酸化されたもの※ 2 最大着地濃度… 換気塔から吹き上げられた空気が地表に着地する地点の中で
最大となる濃度のこと
換気所の騒音・振動対策換気所の周りの騒音レベルが静かな公園や図書館の室内程度になるように、換気所内への消音装置の設置や、
換気ファンの防振対策などを実施しています。
「SPM除去装置」と「低濃度脱硝装置」の効果換気所では、更なる対策として、SPM除去装置と低濃度脱硝装置を設置しています。SPM除去装置は、浮遊粒子状物質(SPM)※ 3 を 80%以上除去することができます。また、低濃度脱硝装置は、
二酸化窒素(NO2)を 90%以上除去することができます。首都高では山手トンネルの各換気所で日々の除去率を把握しており、これらの装置の性能を常に監視しています。
この 2 つの装置により、換気所からの排出ガスの影響は、環境基準の数百分の 1 よりも更に小さな値になります。※ 3 浮遊粒子状物質(SPM)… 排出ガス等に含まれる、粒径が 10μm(マイクロメートル)以下の非常に小さい粒状物質
SPM除去装置 低濃度脱硝装置
SPM NO2SPM除去装置
(電気集塵機)(SPM 80%以上除去)
低濃度脱硝装置(NO2 90%以上除去)
NO2 の濃度
数百分の 1
環境基準 山手トンネルから
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環境レポート2015
山手通りを美しく快適に中央環状線(山手トンネル)の建設に伴い、その地上部にある環状6号線(山手通り)の街路拡幅整備事業の
一部区間※を、東京都から受託して施工しました。
広くゆとりある歩道に自転車通行帯を設けるなど、皆様が通行しやすいように整備しました。
また、車道に停車している車によって起こる交通渋滞を防止するため、歩道寄りに荷おろしなどで利用できる停車帯を設けています。
さらに、電線類の地中化や緑地帯の整備等を行い、景観面でも美しく、快適な道路になりました。
※ 渋谷区松濤二丁目から豊島区要町一丁目までの約 8.8km
換気所のしくみ換気設備を納めている換気所は、下図のようなしくみになっています。
① 送気用の換気ファンが、送気塔から外の空気をトンネル内に取り入れ、車から出た排出ガスを薄めます。
② 薄められたトンネル内の空気は、排気用換気ファンにより集 め ら れ、SPM 除 去 装 置、低濃度脱硝装置を通過します。
③ これらの装置を通過した空気を、換気塔から上空高く吹き上げて拡散します。