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海とにんげん SOS - umihaku.com · ・7月6日(土)トコロテンを作ろう!す。...

Date post: 30-Sep-2020
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8 三月二十七日に「御船祭り」で 賑わった鳥羽市松尾町と志摩市磯 部町にまたがる青峰山正福寺の大 漁旗で色めく境内風景。(撮影 / 阪本博文) 青峰山正福寺の「御船祭り」 発行日 /1号平成 25 年 04 月 10 日  発行所 / 〒 517-0025 三重県鳥羽市浦村町大吉 1731-68 SOS 運動本部 海の博物館  TEL 0599(32)6006 編集人 / 石原 義剛 印刷所 / 株式会社アイブレーン 購読料 / 年間 1500 円季刊発行送料含 郵便振替口座 /00870 6 39225 ホームページ / http://www.umihaku.com にんげん SOS 5 25 11 14 30 20 6 1 11 14 調30 5 1 使3 4 6 22 11 13 西20 6 2 西11 14 20 4 27 11 14 25 5 11 11 14 25 3 5 5 26 11 14 25 6 23 11 14 25 ※海の博物館SNS Facebookページ「海の博物館 Sea-Folk Museum」 Twitter 「@umi_museum」でも博物館のリアルな情報がお楽しみいただけます! 村林先生のお魚料理教室 真珠と貝のネックレス 捕まえたヒメイカ 見つけたウミウシを観察する 鳥羽 海の博物館 Vol.1 2013.04.10
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Page 1: 海とにんげん SOS - umihaku.com · ・7月6日(土)トコロテンを作ろう!す。 ... 2013.04.10 Vol.1. 3 2 ... ず霧散した。ト護岸はなんの役にもたた大な防波・防潮コンクリーのない力を見せつけた。

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 三月二十七日に「御船祭り」で賑わった鳥羽市松尾町と志摩市磯部町にまたがる青峰山正福寺の大漁旗で色めく境内風景。(撮影 /阪本博文)

青峰山正福寺の「御船祭り」

発行日 /1 号平成 25 年 04 月 10 日 発行所 / 〒 517-0025    三重県鳥羽市浦村町大吉 1731-68    SOS 運動本部 海の博物館     TEL 0599(32)6006

編集人 / 石原 義剛印刷所 / 株式会社アイブレーン購読料 / 年間 1500 円季刊発行送料含郵便振替口座 /00870 6 39225ホームページ / http://www.umihaku.com

海とにんげん&SOS

海とにんげん& SO S

食と文化・物づくり

海博の体験講座

開催のお知らせ

まるごと貝紫染め体験

・5月25日(土)

・11時から14時30分

・講師:鈴木

 (鈴木染職工房)

・定員20名 要予約

・材料代1,500円

海岸での貝の採取と学芸

員による解説、貝紫染め

に長く携っている染織家

の鈴木さんによる染めの

指導など貝紫三昧の特別

メニューです。

村林先生のお魚料理教室

・6月1日(土)11時から14時

・講師:村林

新吾

(相可高校食物調理科教諭)

・定員30名 要予約

(5月1日より電話受付)

・材料代2,500円

旬の魚を使って美味しい

魚料理を3~4種類作り

味わいます。講師は相可

高校の村林先生で、高校

 海とにんげん&SOS発行のごあいさつ

 博物館の仕事には大きく三つあります。資料を集めること。体

験学習を通して資料から実感を得られるよう工夫すること。そし

て広く館内外に情報を発信することです。

 博物館の情報発信手段の第一は展示ですが、展示は展示室とい

う限られた空間でわずかの展示物しかお見せすることが出来ず、

その上、来ていただくには時間がかかり、お金もいります。

 その上、博物館は常に活動していますから、新しい資料や情報

が集まりつづけます。

 海の博物館はこれまでも、「今の時代に役立てる」博物館を目指

生たち数人が助手として

指導に当たってくれます。

初めての方は大歓迎です。

電話予約の時に申し出て

ください。

真珠のアクセサリー作り

・6月22日(土)11時から13時

・講師:小西 蔀

・定員20名 要予約

・材料代1,500円

6月の誕生石である真珠

と貝を組み合わせたネッ

クレス、イアリングの2

点を作ります。講師は伊

勢パールセンターの小西

さんです。初心者の方に

も丁寧に指導してくれま

す。

トコロテンを作ろう!

・7月6日(土)11時から14時

・講師:久保田由美

 (海の博物館)

・定員20名 要予約 

してきました。だからそんな情報を、みなさまにこれまで以上に

届けようと、この「海とにんげん」を発行することにいたしまし

た。

 本誌はこれまで続けてきた「うみはく通信」と「SOS」に、

季刊「海と人間」を合わせた内容としますが、ページ数に限りが

ありますので、事物の概略を伝える範囲に限られます。それ以上

の詳細な内容を知りたい人のためには、別に、博物館の情報資料

室でより詳細な情報を提供できるように準備いたします。

 したがって、本誌は「より詳しい情報を得るための情報誌」と

して、お役に立ちたいという立場で、編集していきます。

・材料代1,300円

天草を煮だしたトコロテ

ンの原液でヘルシーラン

チを作ります。親子での

参加をお待ちしています。

ヒジキ・ワカメを

  刈り取ってみよう

・4月27日(土)11時から14時

・定員25名 要予約

・参加費800円(小学生以上)

地元の漁協に協力してい

ただいて、ヒジキやワカ

メが生えている磯に出て

刈りとる体験です。ワカ

メはその日に持って帰れ

ます。ヒジキは後日ヒジ

キ屋さんが加工してお届

けします。

自分で捕った海藻を味

わってみてください。

世界一小さなイカを

つかまえよう

・5月11日(土)11時から14時

・定員25名 要予約

・参加費800円(小学生以上)

ヒメイカはアマモの中に

生育する3~5センチの

世界一小さなイカです。

観察ケースに入れると、

吸盤で壁面にくっついた

り、色を変えたりします。

また小さなエビを捕まえ

て食べるようすも観察で

きます。

ウミウシを探そう!

・5月26日(日)11時から14時

・定員25名 要予約

・参加費800円(小学生以上)

干潮時に磯に出てウミウ

シ類を探します。今まで

の観察会では、青い色が

きれいなアオウミウシ、

オレンジ色に黒の斑点の

マダラウミウシ、黒色が

不気味なクロシタナシウ

ミウシ、不思議な形のメ

リベウミウシなどが見つ

かっています。

今年はどんなウミウシが

見つかるでしょうか?

ヒトデを探そう!

・6月23日(日)11時から14時

・定員25名 要予約

・参加費800円(小学生以上)

海の博物館周辺の干潟や

磯にはモミジガイ、ヤツ

デヒトデ、イトマキヒト

デ、ニホンクモヒトデな

どのヒトデ類が生息して

います。

ヒトデ類は、アワビなど

の貝の赤ちゃんを食べて

しまうので捕まえたもの

は持ち帰ることができま

す。

予約・問い合わせは

℡:0599(32)6006

海の生きもの観察

海博の体験講座

開催のお知らせ

※海の博物館 SNS Facebook ページ「海の博物館 Sea-Folk Museum」 Twitter「@ umi_museum」でも博物館のリアルな情報がお楽しみいただけます!

村林先生のお魚料理教室

真珠と貝のネックレス

捕まえたヒメイカ

見つけたウミウシを観察する

鳥羽 海の博物館

Vol.12013.04.10

Page 2: 海とにんげん SOS - umihaku.com · ・7月6日(土)トコロテンを作ろう!す。 ... 2013.04.10 Vol.1. 3 2 ... ず霧散した。ト護岸はなんの役にもたた大な防波・防潮コンクリーのない力を見せつけた。

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祭りとともに消えるもの

 表紙の写真は、三月二十

七日に「御船祭り」で賑わ

った、鳥羽市松尾町と志摩

市磯部町にまたがる青峰山

正福寺の、大漁旗で色めく

境内風景である。

 江戸時代、海の東海道の

三差路だった伊勢湾口に位

置し、風待ちの湊として栄

えた鳥羽湊、的矢湊。その

背後に在って、航海の目標

となる「ヤマテ」のお山で

ある青峰山、山上近くに鎮

座する海上の安全を祈願す

る観音様のお寺・正福寺。

山門は江戸時代に竹中工務

店の先祖大工が建てたも

の。門前には〇〇年「樽廻

船中」の大常夜灯が立つ。

沖を航海する船乗りたちの

信仰を集めてお寺がいかに

繁盛したかは、いまはもう

見る絵柄も薄れたが、残さ

れた無数の護摩札と遭難絵

馬から伺える。

 本堂の前、古びた池に新

しいシメ縄を掛けている

が、参詣の漁師には気にも

掛けられぬクジラ石があ

る。鯨がお寺の観音様を背

に乗せて海の彼方から訪れ

たと寺の縁起には書かれて

いる。

   ・・・

 近年、海の祭りが消えつ

つある。熊野市二木島祭り

からは、海上で行われる船

漕ぎ競漕が消えた。まった

く姿を消さないまでも、尾

鷲市九鬼町の鰤ブ

リ祭りは五日

間だった祭日が三日間に短

縮した。どちらも祭りを担

う子どもがいなくなったた

めという。

 海の祭りは大漁と海上安

全の二つの願いに発してい

る。大昔から大漁も海上の

安全も、海況と天候に頼り

切っていた。それこそ神頼

みであった。神様にご馳走

を差し上げ、お酒を飲んで

いただき、舞や演劇をお見

せして、ただひたすらに神

様を喜ばせて、願いを聞い

ていただいた。

 それが近年、天気予報が

発達して、天候の急変によ

る遭難は減った。また、電

子機器の発達は小さな一尾

の魚まで見つけることが出

来るようになったし、回遊

する魚群の情報は刻々と送

られてくる。神様に頼る必

要がなくなり、神様から気

持ちが去った。

 もともと漁師は沖の漁時

には大きく個人の能力に負

う仕事であったが、一本釣

りや個人漁を除けば、漁具

漁船の未発達により、大漁

を目的とした漁は、共同で

の操業が必須だった。定置

網、地曳網、あぐり網など

の漁が大規模な集団漁とし

て営まれたのである。した

がって、漁に参加する乗組

みの仲間に「共同」の意識

が無ければ、漁の成功は覚

束なかった。

 そんな共同体の労働の結

束を固める場としての『祭

り』は漁村維持に欠かせぬ

機会だったのである。

  ・・・

 東日本大震災はあらため

て自然の脅威、抗すべき術

のない力を見せつけた。巨

大な防波・防潮コンクリー

ト護岸はなんの役にもたた

ず霧散した。

 今では台風による遭難は

発達した天気予報によって

多くが回避・予防すること

ができるようになった。遠

い震源地の津波も少しは回

避が可能になった。しかし

発生そのものを止める力は

人間にはない。永遠にない

だろう。

 海に生きる人々はいつま

でも、自然を神様と敬いつ

づけ、その証として祭祀を

つづけるのである。

  ・・・

 続けられてきた祭りには

人間共同体を守ってゆこう

という意思が働いている。

「いた」、というのが今日で

は正確かもしれない。

 まだ半世紀にもならない

前は、祭りには村(集落)

の総ての成員が参加してい

た。それも積極的かつ楽し

みにして。祭(

祀)

りの場

は笛太鼓や歌舞演芸に溢

れ、家々の食卓はご馳走の

山、晴れ着の男女が狭い村

の路地を行き交ったもの

だ。

 その光景はどうして消え

て行くのか。若者が消え、

老齢化した人々のみの漁村

から、祭りが消える。

●写真集「海神饗宴―三重

の海の祭りー」阪本博文が

海の博物館ミュージアム

ショップにあります。

世界文化遺産を目指して

  素潜り漁でアワビ、サザ

エ、ウニ、海藻類を取りつ

づけて数千年の歴史を有す

る「海女」をユネスコの無

形世界文化遺産に登録し

て、世界に誇るべき文化遺

産として残し存続を図って

いこうと云う運動が広がり

はじめています。

 現在、日本列島には二一

七四人の海女が働いてい

ます。(2010年調査)

その内三重県の志摩半島に

は半分弱の九七三人がいま

す。他には石川県輪島の

二〇〇人、千葉の一五八人、

など18県に及びます。

   ※  ※

 2006年に、韓国済州

島で開かれた「日韓海女シ

ンポジューム」に招かれた

時、韓国の海女研究者から、

『海女を世界遺産にするた

め、協力して行動しましょ

う』と誘われ、私は即座に

「やりましょう」と答えま

したが、「しかし、ちょっ

と時間をください。日本に

は多くの県に別れて海女は

存在します。それらの海女

にも呼び掛けねばなりませ

ん」と猶予を求めました。

 帰国して日本財団の支援

をうけて二年間にわたり、

「全国海女存在調査」を実

施した、その結果が上に記

した日本の海女の数です。

 この結果を踏まえ、鳥羽

市と志摩市の協力のもと、

2009年秋、海の博物館

を会場に、第1回海女サ

ミットの開催にこぎつけま

した。海女さんたちが遠方

から来てくれるか心配でし

たが、この時、北は岩手県

久慈から、南は熊本県牛深

まで、12県から参加があり

ました。参加したどの海女

も喜んでくれました。

 翌10年には志摩市で第2

回を、11年には鳥羽市で第

3回を開催し、各地の海女

の交流がはじまりました。

 幸いにも昨年、三重県に

日本一若い知事さんが誕生

し、積極的な海女の世界遺

産推進者になってくれたの

で、まず海女を三重県無形

文化財に登録する活動を進

め、その母体として「海女

振興協議会」を海女、県、

両市、漁協、観光団体が加

わって組織しました。

 一方、08年

から済州島

(韓国済州自

治道)が主催

する海女の祭

典「済州海女

祝祭」に、連

年招待を受け

て、志摩半島

の海女が参加

するようにな

り、日本の海

女サミットに

も毎年済州島

の海女を、同

島の海女研究

者とともに招

待しつづけて

います。

 さらに昨年は2つの大き

な関連行事が行われまし

た。5月に韓国麗ヨ

水ス

で開か

れた「万国博覧会」での海

女交流の催しと、11月東京

で開いた「日韓海女フォー

ラム」です。残念ながら国

中の認知するところまで

はまだ行っていない海女

の存在をはじめて公の場

へ持ち出した意味は大き

く、以降、マスメディア

の注目を受けることにな

りました。

   ※  ※

 今年は春、石川県輪島

から嬉しい頼りが届きま

した。第4回の海女サミッ

トを同市が主催して、10

月27日(日)に開かれるこ

とが決まったと、頼りが

あったのです。輪島の海

女は別名「へくらの海女」

と呼ばれ沖合い20キロに

あるへくら島を主な漁場

とする優れた海女の地で

す。鳥羽での海女サミッ

トに毎回参加してくれて

いて、志摩の海女とも親

しい間柄になっています。

   ※  ※

 これからも海女さんの

ニュースを送りつづけま

すので、ぜひ応援してく

ださい。

早田の船上神楽

海女サミットに集まりアワビの放流を終えた全国の海女さんと韓国済州島の海女さん。

宿田曽の神祭

三重の海の祭り海の民俗

海女

海女さんのユネスコ

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子どもたちと一緒に

 「浦村地区藻場保全活動

組織」(鳥羽市浦村地区の

漁業者などで組織)と「海

の博物館」が協力して行っ

ている「アマモを海に増や

そう!」という取り組みが

少しずつ、広がりをみせて

います。

 アマモのたくさん生えて

いる「アマモ場」は〈海の

ゆりかご〉といわれ、海の

生きものにとってとても大

切な場所です。ところが伊

勢湾内では、50年前に比べ

100分の一にまで減って

しまっています。

 3年前から「アマモを海

に増やそう!」呼びかけ、

春のアマモの苗の移植、夏

のタネの採集や選別、夏か

ら秋のタネの管理、晩秋の

タネまきを、浦村地区の鏡

浦中学校の生徒や公募で集

まった子どもたちと一緒に

行ってきました。昨年から

は鏡浦小学校の生徒も加わ

り、またアマモの苗をビン

の中で育ててもらう活動も

始めました。

アマモの苗の移植

 アマモの苗の移植は、春

の大潮の日を選んで行いま

す。海の博物館から歩いて

10分ほどの小白浜の干潟に

大潮の干潮時に出ると、干

出した砂泥の上にアマモの

苗が生えているのが見つか

ります。潮が引いたときに

干上がるところの苗は、夏

場の高温に耐えることがで

きずに枯れてしまいます。

この枯れてしまう天然の苗

を、干出しない海底に移植

することで、アマモの苗を

生かすことができます。

 

子どもたちには、干上

がっている部分のアマモの

苗を採取してきて、苗の根

を土砂で包んで丸めて、重

りとなる石と一緒にガーゼ

に包み、一株ずつ大事に手

に持って、ひざ丈くらいま

で海水に浸かって、海底に

穴を掘って植えていきま

す。みんなで協力すると、

2時間ほどで150~2

00株の苗を移植すること

ができます。

アマモ場で生きものを探す

 

移植が終ったら、網を

持ってアマモ場に入りま

す。緑色をしたエビ、小さ

なイカ、魚の赤ちゃんなど

捕ることができ、多くの生

きものたちがアマモの中で

暮らしていることを確かめ

てもらっています。

 中学生たちからは「生き

ものがたくさんいるアマモ

場は大切な場所だとわかっ

た。」「去年よりも多くの生

きものが捕れ、アマモの大

切さがわかった。」「タツノ

オトシゴが捕れて驚いた。」

「アマモがもっと海にたく

さん生えてくるといいと

思った。」「アマモ場の中で

たくさん生きものが育って

いるのがよくわかった。」

「生きものをいっぱい捕ま

えることができて楽しかっ

た。」などの感想が寄せら

れています。

タネの採集と選別

 アマモのタネの採集は6

月中旬の大潮の干潮時に行

います。タネの採集は、干

潮時にアマモ場にハサミを

持ってひざ丈くらいまで入

り、花か

すい穂

の付いた株を根元

近くから一本一本ハサミで

切り取って集めます。それ

を乾燥しないように水槽に

つけて、漁業組合前の筏に

吊るした網の中に付けてお

きます。

 最初は浮いていた株は、

やがて網の底に沈んでい

き、花穂からタネが熟成し

てきます。約一か月経つと、

網の中からアマモのタネを

回収します。何度も海水で

洗い、小さな生きものやゴ

ミを除いて、良いタネだけ

を選別する細かな作業を行

います。

 漁業者のみなさんは高齢

(老眼)のためか、目が見

えにくいこともあって中学

生が大活躍します。選別を

終えた良いタネは、海水に

浸けた状態で冷蔵庫入れ、

一週間ごとに海水を交換し

て12月まで保管します。こ

の7月から12月まで続く海

水交換の作業を中学生たち

が当番を決めて毎週行って

くれています。

 タネの採集、選別作業は、

昨年から小学校の5年、6

年生も加わるようになって

きました。今年からは、小

学生にも海水交換の作業を

してもらおうと考えていま

す。

アマモのタネまき

 11月末から12月になる

と、保管したアマモのタネ

を海にまく活動が始まりま

す。地元の小中学生たちと

1回、一般公募で参加する

子どもたちと1回、藻場保

全活動組織スタッフで1回

の合計3回行っています。

 タネまきは、アマモ団子

を作ります。砂泥の上にア

マモのタネを20~30粒の

せ、砂泥と石をガーゼで包

んで一個一個手作りで作り

ます。それを、潜水士が一

個一個海底に穴をあけて植

えていきます。

 

タネまき1回当たり、

150個~250個のアマ

モ団子を作り、昔アマモが

生えていた湾の奥の海域、

アマモが生えて欲しい離島

周辺などに植えています。

また小中学生が作ったアマ

モ団子の一部は、通学路に

かかる橋の下に毎年植えて

います。

ボトルでの苗作り

 昨年、中学生たちと行っ

たペットボトルでアマモの

苗を育てる試みがうまく

いったこともあり、今年は

一リットルのビンを使って

苗を育てることにしまし

た。子どもたちに、生分解

性の小袋を渡し、その中に

砂を詰めて、アマモのタネ

を20~30粒入れて、砂を薄

く被せて、海水を満たした

ビンの中に入れて保管して

もらいます。小学生は一人

1ビン、中学生は一人2ビ

ン作ってもらい、先生たち

の分もいれるとその数は全

部で130個程になりまし

た。

 

12月初旬に入れたタネ

は、12月末には芽を出し始

め、1月中旬には緑色をし

た葉を伸ばし始めて、3月

下旬には長いものは10セン

チほどに生育しています。

鏡浦中学校では、鳥羽市内

の他の中学校にタネを入れ

たビンをプレゼントしまし

た。また伊勢湾内の小中学

校に問い合わせをすると数

校の学校から欲しいとの希

望があり、それらの学校に

もプレゼントしました。

プレゼントをされた

       学校では

 今年の春は、プレゼント

を受けた2校の小学校と一

般公募で参加した市内の中

学校の生徒たちが地元の漁

業組合の了解のうえ、アマ

モの苗を学校近くの海に植

えることになりました。苗

を植えたからアマモが直ぐ

に育つというものではあり

ませんが、中学生が採集し

たタネから育てた苗を、他

の学校にプレゼントする。

受け取った学校は、それを

管理して苗を育て上げ、海

に植える。その間には、多

くの子どもたちや先生たち

がアマモを目にすることが

でき、海の中で育つアマモ

のことを知ってもらえる機

会が作れたことはとても大

切なことだと思います。

 子どもたちが育てたアマ

モが、もっと多くの人々に

出会える機会を増やすこと

が、海にアマモを増やすこ

とにつながっていくことを

信じて、活動を続けていき

たいと思います。

*今年の一般公募のア

マモのタネの採集日は

6月8日(土)、小中

学校との採集日は6月

10日(月)、タネの選

別作業は7月17日(水)

を予定しています。

ぜひ参加してください。

アマモ場は海のゆりかご

採集した花穂の株を船で運ぶ

タネの選別作業

当番を決めて毎週行う海水の交換

ビンの中で育ったアマモの苗

砂を詰めた袋にアマモのタネを入れる

アマモを育てる子どもたち

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 平成25年(2013年)

3月現在、海の博物館に

収蔵・保管されている実

物資料点数は59,315

点(件)にのぼります。別

表の資料分類一覧表にあ

るように海に関する民俗

資料が大半を占めていて、

うち6,879点が国指定

重要有形民俗文化財に指

定されています。

 これらの資料は、三重

県沿岸の漁村から収集

されたものが中心ですが

「船」や「海女」資料に関

しては、国内はもとより

海外から収集したものも

多くあります。

 

海の博物館を訪れて、

展示場や公開している船

の収蔵庫の中でふれるこ

とのできる実物資料の点

数は3,000点余りです。

その約20倍5万数千点の

実物資料が未公開の収蔵

庫に保管されています。

 分類一覧表に紹介した

資料の中でも「海女道具」、

「磯漁道具」、「突き漁道

具」、「捕鯨用具」、「網漁

具」、「釣漁具」、「壺筒籠

漁具」、「漁具製作修理用

具」などの漁撈用具資料

や「水産加工用具」、「水

揚販売用具」の資料は、

漁師さんや加冶屋、桶屋、

籠屋などの職人さんたち

の手作りの資料がほとん

どです。

 特に「網糸」や「釣糸」

は麻や木綿など天然繊維

のものが多く、「桶・樽」

や「籠」は、木や竹が材

料となっています。化学

繊維やプラスチックに駆

逐され、今では年配の人

たちしか知らないような

日本人が長い歴史の中で

使い続けてきた実物の資

料が保管されています。

 海の博物館では、これ

らの実物資料の他に、三

重県下の漁村文書(8,

363点)、海の祭りや漁

業関係などの写真・スラ

イド(33,928点)、伊

勢湾台風被害写真(1,

840点)、映画フィルム

(51点)やビデオ(674点)

などの映像記録、漁業や

漁村関係図書(18,912

点)などの収集も行って

きています。

 最近は、昭和40年代ま

でに撮られた漁村や漁業

関係の写真の収集・保存

に力を入れていています。

その一部は「大漁にわい

た漁村 ―熊野灘沿岸の

マグロ漁・ブリ漁の記録

―」として特別展で紹介

させていただきました。

 海に囲まれ、水揚げさ

れる魚介の種類も豊富な

日本では、魚食の文化が

生活に深く根付いていま

す。そして現在、魚は獲っ

て出荷する、飲食店で提

供するだけのものではな

く、モニュメント・ポス

ターなど、デザインとし

てまちづくりに繋げる、

重要なツールです。 

 地域毎で特産品の魚種

が異なるのはもちろん、

例えば同じタコであって

も、長い8本足のリアル

な形状を活かす所もあれ

ば、公園の砂場や交番ま

でタコ型にしてしまうま

ちもあり、アプローチの

方法は個性豊かです。

 おいしさ・栄養・形状

など、海の幸の良さをど

のように情報発信すれば

よいか、全国の事例をも

とに探ることにより、人々

を惹きつける魚の魅力を

再発見し、海産物の利用、

魚食の普及を促進する一

助となれば幸いです。

 【展示資料(予定)】

モニュメント・欄干など

の写真パネル、マンホー

ルの蓋(実物・複製)・祭

りで使う法被、魚キャラ

クターの等身大看板 他

*期間限定で、伊勢えび

祭り(三重県志摩市浜島

町)の御輿なども展示予

定です。展示資料は変更

する場合があります。

【とりあげる魚種と調査地】

①カツオ/高知県、静岡

県焼津市

②タコ/熊本県天草市有

明町、兵庫県明石市 他

③フグ/山口県下関市

④ズワイガニ/兵庫県香

美町香住区

⑤イカ/佐賀県唐津市呼

子町

⑥マグロ/静岡県焼津市、

静岡市清水区

⑦イセエビ/三重県志摩

市浜島町

春が旬!

あおさ、わかめ

 この春も新物のあおさ

のりとわかめを販売して

います。このふたつは組

み合わせ自由で3袋千円

と、ほかではないお値打

ちな商品です。この時期

を待ってショップに買い

に来て下さるお客様もい

るほど。あおさは南伊勢

町産で、濃い緑色と豊か

な香りが特徴です。28

g入り。わかめは鳥羽の

安楽島(あらしま)と相

差(おうさつ)で養殖さ

れたもの2種類、どちら

も100g入り。地方発

送も致します。単品は

400円。

今だけ!

生めかぶ伊勢うどん

 

めかぶはわかめの

根っこで、春先にしか

とれません。最近の健

康食ブームで注目され

ている海藻の一つです。

刻んだ生のめかぶを

さっとお湯にくぐらせ、

伊勢うどんにかけてい

ただく「生めかぶ伊勢う

どん」はこの季節限定の

ひと品です。生のめかぶ

は乾燥よりもはるかに粘

りが強く、色も鮮やか。

麺やタレとよく絡みま

す。タレだけ残ったら少

量のごはんをまぜても美

味しくいただけます。一

杯550円。

実物資料の分類と所蔵点数( )内は国・重要有形民俗文化財点数  ・海女道具           855 点 (233 点)  ・磯漁道具           935 点  (279 点)  ・突き漁道具          442 点  (59 点)  ・捕鯨用具             81 点  (18 点)  ・網漁具            3,142 点  (829 点)  ・釣漁具            8,087 点(2,364 点)  ・壺筒籠漁具          628 点  (51 点)  ・養殖用具           1,786 点  (851 点)  ・水産加工用具         1,331 点 (380 点)  ・水揚販売用具         974 点 (179 点)  ・船関係用具          4,976 点 (639 点)   ・漁具製作修理用具       7,576 点 (792 点)  ・漁業鑑札等          369 点  (19 点)  ・信仰儀礼具          4,930 点  (186 点)   ・生活用具 ( 農具含 )      17,936 点    ・考古資料           150 点  ・図面パネル資料        3,382 点   ・参考資料           1,735 点     合 計          59,315 点 (6,879 点)

平成25年4月20日(土)

平成25年9月1日(日)

展示期間中休館日

6月26日~6月30日

海の博物館特別展示室

(入館料として)

大人800円、小中高400円

漁撈用具類の収蔵室

網漁具類の収蔵室

カツオ柄のマンホール蓋(静岡県焼津市)

生めかぶ伊勢うどん

あおさ、わかめ

籠類の収蔵室キャラクター「伊勢えび大王」

(三重県志摩市浜島町)

会 期 場 所 観覧料

海の博物館の収蔵資料

企画展

「まちなかを泳ぐ魚たち 

 ~魚でまちをデザインする~」

喫茶あらみのおすすめ

ショップのあれコレ

資料


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