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Date post: 07-Jun-2020
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1 微粒子、粉体の特性 粉体は、多数の固体粒子の集合体である。固体 を粒子集合体にすると、固体には備わっていない 流動性や圧縮性など特異な挙動や性質を示す。粉 体粒子の大きさによる特性の変化を整理しておこ う。 1.1  粒子の大きさによる粉体特性の変化 1.2  ナノ粒子、微粒子の構造と機能
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  • 第1章微粒子、粉体の特性

     粉体は、多数の固体粒子の集合体である。固体を粒子集合体にすると、固体には備わっていない流動性や圧縮性など特異な挙動や性質を示す。粉体粒子の大きさによる特性の変化を整理しておこう。

    1.1 粒子の大きさによる粉体特性の変化1.2 ナノ粒子、微粒子の構造と機能

  • 2

    第 1章 微粒子、粉体の特性

    1.1 粒子の大きさによる粉体特性の変化

     粉体工学で対象とする粒子の大きさは、図1.1.1に示すように広範囲にわたる。

    分子、原子の大きさはÅ(オングストローム、10-10 m)のオーダーである。

    分子、原子が集まり、1 nm程度までに成長すると、安定な「核」になる。粒

    子が安定化する限界の大きさ、臨界半径の概念やその基礎理論は 5.2節で論じ

    る。この核が成長した1~100 nm程度までの粒子は、「ナノ粒子」と定義される。

    ナノ粒子の表面に存在する原子、分子の割合は非常に大きく、その表面エネル

    ギーによりナノ粒子の特性を変化させる。

     金属のように単原子で、図 1.1.2のように単純立方晶構造で粒子が成長する

    場合を例に、一辺当たりの原子数 iと表面原子割合を考察する。一辺当たりの

    原子数 i=2までは、構成原子は全て表面原子である。i=3の場合、総原子数N=27のうち内部原子は 1個であり、表面原子の割合 (Rs)は 1-(1/3)3=96%

    である。表面原子の結合状態は内部原子と異なり、表面エネルギーが蓄えられ

    るために、構成原子数の少ない粒子は不安定で、集合離散を繰り返すクラスタ

    ー状態となる。表面原子の割合 (Rs)は、iの関数として次式で与えられる。

    Rii

    12

    s

    3

    = --d n    (ただし、i$3) (1.1.1) 

    図 1.1.1 物質の大きさと粉体工学、粒子の分類

    直径[m]1Å

    10-10 10-8 10-7 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-110-91 nm 1 nm 1 mm 1 cm

    クオーク 原子、分子クラスター

    素粒子物理 化学、高分子化学

    ナノ粒子 付着性微粒子 粒状体

    ウイルス可視光線 トナー ビー玉X

    粉体工学

    3

    1.1 粒子の大きさによる粉体特性の変化

    粒子として安定化するには表面原子割合が 50%以下となる i210~100程度で

    ある必要がある。ただ、ナノ粒子は表面原子の割合、表面エネルギーが高く、100 nm以上の固体に比べ異なる物性が現れる。

    【例題 1.1】

    原子半径 3.0 Åの単原子が、一辺 60 nm の単純立方体結晶粒子を作った。

    この粒子の表面原子の割合は何%か。

    略解

     一辺 60 nmの立方晶の一辺当たりの原子数 i=60/(2×0.3 nm)=100

     式(1.1.1)に i=100を代入すると Rs=0.0588  (答)5.88%

     粒子径が 100 nm以上になると、固体としての構造や物性は、バルク体に近

    づく。しかし、数十 nm程度以下の粒子は、粒子間に働く引力、例えばファン

    デルワールス(van der Waals)力のような分子間力が、粒子に加わる重力に

    比べ大きいため、付着、凝集性が高い付着性粒子となる。

    図 1.1.2 一辺の原子数と表面原子数の割合、単純立方晶の場合

    一辺の原子数

    表面原子内部原子

    総原子数

    表面原子数表面原子割合[%]

    1 2 3 4 5

    1

    1

    23=8 33=27 43=64 53=125

    100 100

    8 26 56 98

    96.2 87.5 78.4

  • 4

    第 1章 微粒子、粉体の特性

    【例題 1.2】

    図 1.1.3に示すように平板に付着した球形粒子を考える。この球形粒子に

    重力と平板とのファンデルワールス力のみが働いている。密度 3000 kg/

    m3、直径 xの球形粒子と平板間に働くファンデルワールス引力 Fvdw[N]

    が式(1.1.2)で記述される場合、重力と引力が釣り合う粒子径を求めよ。

    Fvdw=0.005x (1.1.2)  (係数 0.005の意味は、2.3節で説明)

    図 1.1.3 重力とファンデルワールス力の粒子径依存性

    mg

    付着性微粒子

    10-3

    10-4

    10-5

    10-6

    10-6 10-5 10-4 10-3 10-2

    10-7

    10-8

    Fvdw

    Fvdw 3

    1

    1

    1

    重力

    粒子径[m]

    重力または

    Fvdw[

    N]

    略解

     粒子に働く重力は、mg=3,000 kg/m3×rx3/6×9.8=0.005x

     これを解くと、x=0.00057 m  (答)570 nm

    5

    1.1 粒子の大きさによる粉体特性の変化

     粒子径が数百 nm以上の粒子は、粒子間の分子間力に比べ、重力などの慣性

    力が大きくなるために流動性を示す。流動性のある粒状物の充填体は、物質は

    固体であるが液体のような挙動を示す。流動現象の代表例として 4.1節で述べ

    る流動層がある。

     粉体工学では、数 nmのナノ粒子から流動層で用いる数 mmまで 6~7桁異

    なる大きさの粒子、粉体を取り扱う。粒子の大きさにより粉体特性は著しく変

    化する。特にナノ粒子化すると挙動特性が著しく変化する。その事例を次に概

    観する。


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