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04 点検・評価報告書 4- 4 - Nanzan...

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206 第4章 教育内容・方法・成果 Ⅳ.成果 1.現状の説明 (1)教育目標に沿った成果が上がっているか。 〈1〉大学全体 学修成果の測定は現状では、学生による授業評価の一環として、「この授業を通して、新 しい知識(あるいは、技術や能力)を得たり、理解が深まったと感じますか。」という設問 を用意している。この設問についての大学全体の評定平均値は 4.33 である(資料 4-Ⅳ-1 2011 年度春学期)。 学修成果の測定のための指標としては、現状では GPA 制度と各学部学科が 4 年次に課し ている卒業論文ないし研究プロジェクトなどが準備されている。 在学時の日常的な自己点検としては、「学生による授業評価」の調査があり、これによっ て、学生は授業内容を評価するとともに、自身の授業に対する状況や自己の達成度につい て、確認するようになっている。 評価指標のひとつといえる就職率・内定率については、大学卒業者の就職率が低下して いる昨今においても、全国平均を上回る内定率を常に確保できている。また、大学として、 一部の卒業生に対するアンケート調査も実施しており、卒業後の自身の評価等についての 確認を行っている。 〈2〉学部・研究科 【人文学部】 人文学部のディプロマ・ポリシーは、学生に幅広い教養的知識と現代社会の問題状況に 対する主体的な姿勢を身につけることを求めている。その学習成果は、卒業に必要な科目 群の単位を修得することと、学科教育の最終成果である卒業論文(研究プロジェクト)に よって評価される。提出された卒業論文は、学科内において厳重に永年保管して、本人の 同意があった場合、学内の希望者の閲覧にも供している。キリスト教学科では、学年末に 「キリスト教学科研究プロジェクト発表会」を開催し、各演習の代表者が作成した卒業論 文(研究プロジェクト)の内容紹介と説明をしてもらっている。この発表会にはすべての 学科生と教員が参加でき、自由に質問できる。この発表会を通して、教育目標に沿った成 果をある程度知ることができる。人類文化学科では、研究プロジェクトの成果が学習成果 を評価する中心的な指標となっている。その内容は電子情報として学科で保存し、学科の 在学生の学習に役立てている。心理人間学科では、研究プロジェクトの成果について全員 が公開のパネル発表を行っている。また卒業時に「カリキュラム調査」を 2001 年度入学者 より実施し、その結果については学科として検討している。日本文化学科では、本人の承 諾を得て、研究プロジェクトの成果物を電子化し、CD に収めて学科で保存して、学科の在 学生や教員の閲覧を認めている。この研究プロジェクトの成果を眺めることで、4 年間の学 科での教育目標に到達しているか否かが概ね判断できる。 学生の自己評価、卒業後の評価(就職先等の評価)については現時点では実施されてい ない。今後の課題としてあげておきたい。
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Page 1: 04 点検・評価報告書 4- 4 - Nanzan University26集の投稿数の平均は14.6編となっている(第25集の投稿数が多いのは、経済学部創立 50周年記念の懸賞論文特集であったため)。『経済学生論集』への投稿は指導教員の許可が

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第4章 教育内容・方法・成果

Ⅳ.成果

1.現状の説明

(1)教育目標に沿った成果が上がっているか。

〈1〉大学全体

学修成果の測定は現状では、学生による授業評価の一環として、「この授業を通して、新

しい知識(あるいは、技術や能力)を得たり、理解が深まったと感じますか。」という設問

を用意している。この設問についての大学全体の評定平均値は 4.33 である(資料 4-Ⅳ-1

2011 年度春学期)。

学修成果の測定のための指標としては、現状では GPA 制度と各学部学科が 4 年次に課し

ている卒業論文ないし研究プロジェクトなどが準備されている。

在学時の日常的な自己点検としては、「学生による授業評価」の調査があり、これによっ

て、学生は授業内容を評価するとともに、自身の授業に対する状況や自己の達成度につい

て、確認するようになっている。

評価指標のひとつといえる就職率・内定率については、大学卒業者の就職率が低下して

いる昨今においても、全国平均を上回る内定率を常に確保できている。また、大学として、

一部の卒業生に対するアンケート調査も実施しており、卒業後の自身の評価等についての

確認を行っている。

〈2〉学部・研究科

【人文学部】

人文学部のディプロマ・ポリシーは、学生に幅広い教養的知識と現代社会の問題状況に

対する主体的な姿勢を身につけることを求めている。その学習成果は、卒業に必要な科目

群の単位を修得することと、学科教育の最終成果である卒業論文(研究プロジェクト)に

よって評価される。提出された卒業論文は、学科内において厳重に永年保管して、本人の

同意があった場合、学内の希望者の閲覧にも供している。キリスト教学科では、学年末に

「キリスト教学科研究プロジェクト発表会」を開催し、各演習の代表者が作成した卒業論

文(研究プロジェクト)の内容紹介と説明をしてもらっている。この発表会にはすべての

学科生と教員が参加でき、自由に質問できる。この発表会を通して、教育目標に沿った成

果をある程度知ることができる。人類文化学科では、研究プロジェクトの成果が学習成果

を評価する中心的な指標となっている。その内容は電子情報として学科で保存し、学科の

在学生の学習に役立てている。心理人間学科では、研究プロジェクトの成果について全員

が公開のパネル発表を行っている。また卒業時に「カリキュラム調査」を 2001 年度入学者

より実施し、その結果については学科として検討している。日本文化学科では、本人の承

諾を得て、研究プロジェクトの成果物を電子化し、CD に収めて学科で保存して、学科の在

学生や教員の閲覧を認めている。この研究プロジェクトの成果を眺めることで、4年間の学

科での教育目標に到達しているか否かが概ね判断できる。

学生の自己評価、卒業後の評価(就職先等の評価)については現時点では実施されてい

ない。今後の課題としてあげておきたい。

Page 2: 04 点検・評価報告書 4- 4 - Nanzan University26集の投稿数の平均は14.6編となっている(第25集の投稿数が多いのは、経済学部創立 50周年記念の懸賞論文特集であったため)。『経済学生論集』への投稿は指導教員の許可が

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学生の就職先を見ると、一般企業や公務員への就職に加えて、たとえばキリスト教学科

では、宗教科教員やカトリック司祭になる者が見られ、人類文化学科では高等学校、中学

校の社会科教員になる者や県、市町村の文化財担当者をめざす者が見られる。心理人間学

科では、卒業後大学院に進学して臨床心理士になる者や公務員を含め福祉関係に進む者、

特別支援教育を含む教員になる者などがいる。日本文化学科では高等学校、中学校の国語

教員や、内外の学校で日本語教師になる者が見られる。またどの学科でも学科の専門領域

の大学院進学者なども一定数見られ、学科の教育目標がそれなりに達成されていると考え

られる。

【外国語学部】

各学科は学生の専門外国語の運用能力を客観的に検証するための検定試験等の受験を奨

励しており、学科によっては以下に記すように検定試験の集団受験を実施しているところ

もある。

〔英米学科〕2009~2011 年度において、文部科学省の大学教育推進プログラムに採択さ

れた大学教育推進プログラム「多文化社会における英語による発信力育成」の一環と

して、TOEIC 試験の集団受験を行った(資料 4-Ⅳ-2 p.133)。

〔スペイン・ラテンアメリカ学科〕インターネットを通じたシステム(BITACORA)によ

り、スペイン語科目を担当する全教員が毎回授業内容を報告し、相互の情報共有なら

びに授業方法の改善に役立てている。また、1・2 年次生には毎月 1 回、文法・作文・

会話・講読の授業すべての学習内容に基づく語彙力確認試験を実施し、学科の語学教

育プログラムによる教育成果を逐次検証するために役立てている。

〔フランス学科〕毎学期試験終了後に「成績会議」を開催し、1・2 年次生のフランス語

科目の採点方法の確認、再履修クラスの振り分けなどを行っている。また、欧州評議

会設定基準に基づく TCF 試験やフランス語教育振興協会が主催する実用フランス語技

能検定試験の集団受験を行っている(資料 4-Ⅳ-3)。

〔ドイツ学科〕「欧州言語能力共通基準」に基づくオーストリア政府公認ドイツ語能力検

定試験およびゲーテ・インスティトゥートによる試験の受験をすすめており、2009 年

度・2010 年度には希望者を募って集団受験を行っている。また、毎年全国の高校・大

学生を対象に「ドイツ語弁論大会」「ドイツ語暗唱大会」を開催しているが、そこでは

学科学生が常に上位入賞を果たしている(資料 4-Ⅳ-3)。

〔アジア学科〕毎学期試験終了後に「成績会議」を開催し、1・2年次生の外国語科目の

採点方法の確認、再履修クラスの振り分けなどを行っている。また、中国語政府が公

認する HSK の受験を奨励し、日本における中国語検定試験の集団受験も行っている。

更に、毎年 11 月に一般からの参加者も募って「インドネシア語スピーチコンテスト」

を開催し、スピーチによる発信能力を試す機会を提供している。

学生の自己評価については、「学生による授業評価アンケート」に「この授業を通して、

新しい知識(あるいは、技術や能力)を得たり、理解が深まったと感じますか」という項

目があり、学生自身による達成度の評価をある程度把握できる仕組みとなっている。

学生の卒業後の進路は、愛知県を中心とする近隣地域の企業への就職が主流である。職

種については、外国語学部内定者 336 名のうち、メーカー70 名、金融 61 名、サービス 56

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名、商社・流通 52 名、輸送 36 名、教育 17 名、公務 17 名となっている(2012 年 3 月 31

日現在)。外国語学部卒業生の進路は、大学全体の傾向とそれほど大きな違いはない(資料

4-Ⅳ-23、p.35)。

卒業後の評価については、卒業生全体に対して統一的に調査を行う機会は設けられてい

ない。しかし、キャリアサポート・プログラムにおいて卒業生を外部講師として招く場合

や、オープンキャンパスにおいて卒業生を招く場合などに、本学卒業生の卒業後の就業状

況について問い合わせる機会を設けている。

【経済学部】

学生は、自らの学修の成果を論文としてまとめ、『経済学生論集』に投稿することができ

る。過去 5年の投稿数は、10 編、14 編、13 編、22 編、14 編であり、これら第 22 集から第

26 集の投稿数の平均は 14.6 編となっている(第 25 集の投稿数が多いのは、経済学部創立

50 周年記念の懸賞論文特集であったため)。『経済学生論集』への投稿は指導教員の許可が

必要である。このため、掲載された論文にはすべて教員の助言・指導が入っており、それ

らは所定の水準を満たしている。論集への投稿数が毎年ある程度維持されていることは、

演習での指導の1つの成果といえよう(資料 4-Ⅳ-4)。

2011 年度の経済学部内定率は、96.6%であった。内定先の内訳をみると、経済学の知識

を生かした金融・保険が、男子で 26.3%、女子で 41.9%と高い数値を示している。

学生の満足度を測るために、2011 年度は試験的に、演習 4を通じて「学生生活とその成

果に関するアンケートを行った(回収率 61.9%;167/270)。アンケートの内容は、就職に関

わること、卒業論文に関わること、学生生活に関わること、および経済学部で受けた教育

に関わることの 4つである。このアンケートで、卒業論文の取り組みに関して、学生が論

文に取り組み始めた時期が、教員の認識よりかなり遅いことが判明した一方で、彼らが就

職活動に満足し、学生生活や経済学部の教育に対する満足度も高いということもわかった。

【経営学部】

給付奨学金受給者や成績優秀者を表彰する「学部長表彰」被表彰者を選定する基準とし

て GPA を適用している。GPA に基づく学年成績順位は、推薦入試合格者の学内成績の追跡調

査や、学園内高校の先生方との懇談会でも利用している。ビジネス英語科目では、English

Placement Test を用いて登録希望学生の能力別クラス編成を行っている。更に、年 2 回実

施の学内 TOEIC-IP テスト結果から、学部生の英語学習成果を測定している。

経営学部の就職内定率は過去 3 年間で 94~97%と全学平均以上である。一般企業への就

職以外にも、税理士、公認会計士、国税専門官といった会計プロフェッションを目指し、

資格試験にチャレンジする学生も多い。2011 年度は、公認会計士試験に 4名(内 2名現役)

が合格した。46 名の学生が日商簿記 2 級以上の資格を得て、会計科目単位認定制度による

単位認定を受けている。また、5名が教員免許を取得し、内 3名が専任の教職に付いている。

2011 年度は、企業へのインターンシップ研修科目履修者が 36 名(大学全体履修者の 2割強)

であり、就職先からも一定の評価を得ている。

卒業生の評価は組織的に取りまとめられてはいないが、大学同窓会、ゼミごとの OB・OG

会、学生の就職支援のための企業回り等の機会に得られる評価はおおむね良好である。

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【法学部】

法学検定試験などを、演習を通じて各教員が指導・奨励し、『めざせ!スペシャリスト』

を毎年発行して(資料 4-Ⅳ-5)、合格体験記や試験情報を学生に提供している。法学検定試

験については、ここ数年合格者を一定数、輩出し、法学部で対象学生を例年表彰している。

また、その他の資格取得(司法書士資格など)、法科大学院進学においても一定数の成果を

上げている。

2010 年度の法学部生の就職内定率は、92.98%であり、国家公務員、地方公務員採用内定

者は 35 名と南山大学の中でも1位を占め、進学者も 12 名いる(資料 4-Ⅳ-6 p.2、p.46)。

更に、企業・官公庁への就職状況もよく、この数年は、一定数の就職確保の状況を作り上

げている。

学生の学習成果を測定するための評価指標は、統一的なものがあるわけではなく、学生

の自己評価、卒業後の評価についても具体的な取り纏め作業を行っていない。ただし、キ

ャリア支援室所管の委員会委員に就いた法学部教員が会社訪問の際に卒業生の評価を収集

している。そこでは一般的に比較的良い評価を得ている。

【総合政策学部】

学生の学習成果を全科目で共通的に測定するための評価指標は開発されていない。しか

し、上記のように学生による授業評価結果を活用したり、複数クラスを複数教員で担当す

る場合には、日常的な情報の共有化と定期的なミーティングで、評価の公平性を担保する

ための取り組みを行っている。

授業に対する学生の自己評価は、学生による授業評価の中である程度把握できる仕組み

となっている(資料 4-Ⅳ-28)。卒業後の就職先等での学生の評価を客観的に把握するため

の仕組みは整えられていないが、就職先確保のための専任教員による企業訪問が、企業側

の学生評価を知る上での一つの機会となっている。内定率および就職率は、全学のそれら

と大差ない。

【情報理工学部】

評価指標の視点から 2つを述べる。第 1に、成果の発表会を行い、複数の視点から評価

することを行っている。具体的には、卒業研究において、3名以上の審査員を指定した上で、

中間発表会、卒業論文発表会を行い、それを成績に反映させている。第 2に、就職状況の

調査を毎年行い、求められる能力等を確認している。

学生の自己評価も導入しており、JABEE 対応コース登録学生に対しては、学期ごとに、達

成度確認票を提出させている。

【人間文化研究科】

進路については、キリスト教思想専攻・宗教思想専攻、人類学専攻、言語科学専攻の博

士前期課程では、一般企業への就職もあるが、教員、聖職者、学芸員といった専門職に従

事するものや博士後期課程に進学する者が多い。また、博士後期課程では、教育職、研究

職が主となる。教育ファシリテーション専攻修士課程は、社会人を対象としているが、実

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務家だった学生が大学教員になるなど、課程修了後に新たな職を求めるものも毎年少数な

がらいる。進路に関する限り、学生はそれなりに目的を達成していると考えられる。

明確な評価基準としては、学位論文に代表される学生の研究成果がある。学内の合同ゼ

ミや中間報告会で研究発表を行い、さらにその内容を発展させて、国内外で学会発表を行

ったり、専門誌に学術論文を公刊するケースも過去には相当数あった。これらは、充実し

た研究成果が得られていることを示している。さらに、教員が遂行する研究プロジェクト

において、大学院生が、高度専門職業人あるいは研究者としてのインターンシップ的な訓

練を受けつつ、不可欠な貢献をしている。これも、彼らが着実に力をつけていることを示

すものである。

修了後の評価は行っていないが、各専攻、特に教育ファシリテーション専攻において、

修了生が学位取得後も、研修生として研究科に残り、研究を続けるケースが多く見られる。

教育目標に賛同し、さらなる成果を追求するために、継続して研究指導を受けようとする

意志の表れであろう。

【国際地域文化研究科】

学習成果については、学位論文の審査を通しての評価や GPA を導入しての評価によって

確認している。また進路については、担当委員を中心に詳細な把握を行っており、研究科

委員会においても、同調査の結果を公開している。

本研究科の前期課程修了者は、他大学の博士後期課程への進学者等を除いて、この 5年

間で 34 名が就職しているが、その内 11 名が大学および高等学校の教員、2名が公務員、1

名が国連機関に勤務している。外国人留学生の中には帰国して商社に勤務し、日本との間

の貿易に従事している者もある。更に、2011 年に設置された博士後期課程への内部進学者

も 1名あった。高度専門職業人の養成という点においては、一定の成果を上げているとい

える。また、近年は中国からの留学生が増加の傾向にあり、これらの留学生にも、学位授

与方針に基づき、確実に学位を授与する体制が整ってきており、上述のとおり、帰国して

職を得る例もみられるようになっている。

他方、研究の成果については、特にアメリカ研究領域の学生を中心に、外部での研究発

表等の成果がみられるほか、修士論文の一部を、論集『南山大学大学院国際地域文化研究』

に掲載する学生も多い(資料 4-Ⅳ-7)。しかし、外部の査読付きの学術誌への投稿を行う者

は稀であり、博士後期課程が設置されたことを鑑みると、この点をより強化する必要があ

ると思われる。

【経済学研究科】

博士前期課程では、修士論文の中間報告会で発表された内容に対して、審査委員から出

されたコメントで、委員が合意した重要な部分については、すべて改訂が必要とされてい

る。このため、学生にとっては、このコメントの開示は、修士論文の中間報告時点での評

価や改善点を知る指標となっており、学生の研究効果をあげている。また、論文の最終試

験の結果は、点数で評価されており、客観的な指標となっている。

研究科で実施されている「学生による授業評価アンケート」により、学生の満足度や問

題点を具体的に確認している。問題点がある場合には、研究科委員会で議論し、改善する

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ように対応しているため、学生の研究環境は向上している。

優秀な修士論文については、指導教授の推薦を受けて、『南山論集(経済学・経営学編)』

に投稿、掲載されており、研究成果の評価尺度にもなっている。

修了後の評価については、組織的な評価体制はない。修了後に学生が研究室を訪れたと

きや連絡があったときに、様子を聞く程度である。また、就職先企業の方が来学された時

には、修了生の評価を聞いている。

税理士の資格取得をめざしている学生の多くは、修了時や修了後早い時期に資格を取得

しており、学生の満足感は大きく、研究科の指導に対する評価は高い。

【ビジネス研究科経営学専攻】

学生の学習成果は、GPA で測定されるが、最終的には学位論文に結実される。

「大学院生による授業評価」の中に授業への取り組み、達成度等の項目を入れることで、

学生の自己評価も行われている。

【総合政策研究科】

特段の評価指標は有しておらず、前述した方法で成績評価・単位付与が行われているが

特に問題は生じていないと考えている。

単位の修得や修了状況を見れば、博士前期課程の学生のほとんどが 2年で課程を修了し

ており、本研究科の制度設計と学生のレベルとの間で著しい齟齬は見られない。社会人学

生が職場との関係で休学することはあるものの、これは研究課程そのものの問題ではない。

また、授業科目・研究指導とも「学生による授業評価アンケート」でも高い評価を得てお

り、教育指導体制は充実していると考えている。これまで研究科としても、事務局(キャ

リア支援室)としても、修了生の進路(就職先)を把握してこなかったが、民間企業への

就職を希望する学生は順調に就職してきたと認識している。

【数理情報研究科】

修士論文、OJL 報告書の指導においては、3名以上の審査員を指定した上で、中間発表会、

最終審査を行い、複数の視点から評価している。

就職状況の調査を毎年行い、求められる能力等を確認している。

IT スペシャリストコースにおいて、学生の就職先の企業等へのアンケート調査を行って

いる。

(2)学位授与(卒業・修了認定)は適切に行われているか。

〈1〉大学全体

学位は、各学部・学科の「カリキュラム・ポリシー」に定められた教育課程を修了し、「デ

ィプロマ・ポリシー」に明示された能力、知識等を身につけた学生に対し授与される。

具体的な授与の要件および学位の種類は、「南山大学学則」第 13 条・第 21 条、「南山大

学学位規程」第 2 条・第3条において明示されている。なお、卒業に要する在学期間につ

いては、「南山大学早期卒業規程」に基づき教授会の承認を得て短縮することができる。

学位授与の認定は、各学部の教務委員が個々の学生の修得単位を確認した後、教授会の

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審議を経て大学評議会において決定される。これは「南山大学学位規程」第 13 条に明記さ

れ、各学部教授会および大学評議会の議を経ることで、学位授与手続きの客観性・厳格性

を確保している。

博士前期課程または修士課程の修了要件は、「大学院に 2年以上在学し、所定の単位を修

得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、修士論文の審査および最終審査に合格すること」

(大学院学則 65 条)とされている。その手続きは、「修士論文等の審査および最終試験は、

当該研究科委員会の定める審査員によりこれを行う。」(同 74 条)とされている。その上で、

審査を行う学位審査委員会の構成については、「南山大学学位規程」第 10 条において、三

名以上の審査委員により組織することを定めている。なお、すべての研究科は、指導教員

は学位審査委員会の主査になれないことを定めた内規を持って運用しているが、学位規程

に明確に規定するよう改正手続きを進めている。このようにして、学位審査および修了認

定の客観性・厳格性を確保している。

専門職学位課程の修了要件は「所定の単位を修得し、最終試験に合格すること」(南山大

学大学院学則 68 条~71 条)とされているが、法務研究科については、「最終試験に合格す

ること」にかえて、「第 24 条で定める方法で算定した GPA が 1.5 以上」を要件とする学則

および関連諸規程の改正手続きを進めている。

博士後期課程の修了要件は「大学院に 5年(博士前期課程または修士課程を修了した者

にあっては、当該課程における 2年の在学期間を含む)以上在学し、所定の単位を修得し、

かつ、必要な研究指導を受けた上、博士論文の審査および最終試験に合格すること」(同 66

条)とされている。審査を行う学位審査委員会の構成については同じく学位規程第 10 条に

明記され、学位審査および修了認定の客観性・厳格性を確保している。

学位審査委員会による審査が終了した後の修士および博士の学位授与の判定手続きにつ

いては「南山大学学位規程」第 14 条に定めている。

〈2〉学部・研究科

【人文学部】

学位授与については、人文学部教授会において卒業判定を厳格に行っている。学位授与

の基準は履修要項に明示された単位取得(研究プロジェクトを含む)が完了しているかど

うかであり、事前に学科長が教務課職員とともに単位取得状況を確認した上で教授会への

資料提供がなされる。学部教授会での学位授与の決定(卒業判定)は、最終的には大学評

議会において承認される。

各学科においては、4単位を与える「研究プロジェクト(卒論)」が重視されており、教

員による長時間に及ぶ指導に基づいて最終的に完成へと導かれる。キリスト教学科では、

研究プロジェクト発表会を開催し、演習参加者の作成した卒業論文(研究プロジェクト)

の内容を、各自、紹介・説明することになっている。人類文化学科では、提出された論文

は、学科が一斉に行う複数教員による厳正な口頭試問を経て評価される。心理人間学科で

は、指導教員を含めた 2名の教員による面接指導が行われ、全員がその成果を公開でパネ

ル発表している。日本文化学科でもゼミ毎に研究プロジェクト発表会を開催し、教員によ

る適切な指導・評価が行われている。

Page 8: 04 点検・評価報告書 4- 4 - Nanzan University26集の投稿数の平均は14.6編となっている(第25集の投稿数が多いのは、経済学部創立 50周年記念の懸賞論文特集であったため)。『経済学生論集』への投稿は指導教員の許可が

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【外国語学部】

外国語学部では、ディプロマ・ポリシーにあるとおり、高度な外国語運用能力を有する

と同時に、専門地域に関する広範な知識と高度な研究能力を備えた、国際社会に貢献しう

る優れた人材を育成することを目標としている。そのため学位授与に対しては、「外国語学

部自己点検・評価委員会」において、ディプロマ・ポリシーに従って学位授与が行われて

いるかを定期的に点検している。また、外国語学部教授会における卒業判定審議に先立ち、

各学科の学科会議において、学科のディプロマ・ポリシーに従って学位授与が行われてい

るか厳格な点検を行なっている。

【経済学部】

ディプロマ・ポリシーにしたがい、本学の教育モットー「人間の尊厳のために」の精神

を身につけるとともに、経済学の基礎とその特定分野の専門知識、発想、思考力、表現力、

さらには問題解決能力を修得したと考えられる者に学士を授与している。

卒業に必要な単位数(128 単位)や、必要な単位の内訳については、経済学部履修要項に明

示してある。毎年、年度の始まりに、新たに導入される事項や、卒業に必要な単位の取り

方の注意点をまとめたものを教務委員が作成し、各演習を通じて学生全員に配布し、単位

取得上の注意を促している。卒業論文の提出は教務課を通じて厳格に行われており、学生

全員の卒業判定は、教務委員があらかじめ卒業要件の具備を判断したうえで、教授会に諮

られ、その審議を経て決定されている(資料 4-Ⅳ-8 pp.121-132)。

【経営学部】

ディプロマ・ポリシーで明記されているように、学位を取得するためには、全学的に要

求されている共通教育科目に加え、経営学部が提供する科目の中から所定の単位数を修得

しなければならない。講義科目や演習科目の履修を通して経営学に関する知識を深め、自

主的な選択によって各自の研究領域を特定した後、卒業論文の作成を通じて一定の学習成

果を修める必要がある。履修要項の規定に基づき、学部教授会においてこの卒業要件が満

たされていると判定された学生に学位が授与される(資料 4-Ⅳ-9)。

【法学部】

法学部では、「人間の尊厳のために」という倫理観・世界観をもち、幅広い法学的素養と

法的思考能力をベースに、優れた社会的適応能力、社会におけるさまざまな問題について、

原因を究明する能力、それら問題について、多くの解決策を考案し提示する能力を身に着

けることが、ディプロマ・ポリシーとして掲げられている。この基準に沿って、履修要項

の規定に基づき、卒業認定が、教授会で厳正に行われている。

【総合政策学部】

学位授与は、必要単位の修得と、ディプロマ・ポリシーに謳われた諸要素に照らし合わ

せた上で卒業論文を評価することで行われている(資料 4-Ⅳ-9)。必要単位の履修状況につ

いては機械的にデータが作成されたものを、教務担当の複数教員がチェックの上で学部教

授会に提出し、判定することとなっている。また、卒業論文の評価・成績付与は各学生の

Page 9: 04 点検・評価報告書 4- 4 - Nanzan University26集の投稿数の平均は14.6編となっている(第25集の投稿数が多いのは、経済学部創立 50周年記念の懸賞論文特集であったため)。『経済学生論集』への投稿は指導教員の許可が

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指導教員たる「総合政策プロジェクト研究Ⅳ」の担当教員が行うこととなっており、その

結果も含めて卒業判定が教授会の審議事項として取り扱われている。

【情報理工学部】

情報理工学部を卒業するために必要な単位数は 132 であり、それは、年間・学期の登録

単位数上限、必修科目などの登録条件、単位制度の趣旨(1 単位は標準 45 時間)のもとで 4

年間に修得できる単位数と整合している。この 132 単位の修得において、各科目の単位認

定の適切性は「Ⅲ.教育方法」の(3)にあるとおりである。これらの単位は JABEE に基づい

て体系化されており、最終的にディプロマ・ポリシーに対応している。具体的な対応は「教

育方法(1)a」で述べたとおりである。さらに、学位授与は教授会において審議され決定し

ている。一方、学位授与の条件は、学則第 13 条、第 21 条、および各学部の履修要項に記

載され、学生に周知されている。

【人間文化研究科】

博士前期・修士課程は、必修科目、選択必修科目を含む 30 単位の修得、学位論文の審査

および最終試験の合格を条件として、修士の学位を授与している。博士の学位授与も、18

単位の修得、学位論文審査および最終試験の合格が条件である。最終試験においては、デ

ィプロマ・ポリシーに示された知識、能力を修得しているかが判断される(資料 4-Ⅳ-10)。

修士論文、博士論文 (および最終試験) の審査は、主査と副査2名以上によって構成さ

れる学位審査委員会が行っている。2010 年度からは、主査には指導教員以外の研究指導担

当教員があたることが規定化され、学位審査および修了認定における透明性と客観性がさ

らに担保されるようになった(資料 4-Ⅳ-16)。博士論文の場合は、学外の専門家に副査を

依頼することとし、さらには最終試験を公開にして、開かれた形で学位審査を行っている。

学位論文 (および最終試験) の審査報告書は、研究科委員会で審議されたのち、大学院委

員会および大学評議会で承認される。

【国際地域文化研究科】

ディプロマ・ポリシーに基づき、所定の年限以上在学し、所定の科目について前期課程

は 30 単位以上、後期課程は 18 単位以上を修得し、かつ論文を提出し審査に合格した人に

学位を授与する(資料 4-Ⅳ-10、資料 4-Ⅳ-11 pp.437−449)。

学位授与については、2011 年の博士後期課程の設置に際して、「学位審査は、主査 1 名、

副査 2名以上、合計 3名以上の審査員によって審査するものとする。ただし審査の厳格

性および透明性を確保するために、主査は指導教員以外とし、審査員 1名以上は、必要

に応じて本研究科所属教員以外の当該分野の専門家に依頼する」とする体制とし、博士

前期課程もこれに準ずることによって、学位審査体制の透明性を高めることとした(資

料 4-Ⅳ-13)。

両課程とも、審査を通った学位論文は、副本を図書館に寄贈することとなっており、

誰でも簡単に閲覧できるようにもなっている。また、博士論文の審査については、論文

の要旨および審査結果を、冊子等を通して公表する体制も整える予定であり、その有効

性を広く公開し、客観性と厳格性を担保させることにしている(資料 4-Ⅳ-13)。

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【経済学研究科】

学位授与基準は、経済学研究科の「ディプロマ・ポリシー」で述べられている。

博士前期課程では、基礎的知識および理論的・実証的な分析応用力を有し、更に、高い

経済分析能力、指導的役割を担える能力、あるいは、職業会計人や研究者をめざすことが

できる学術的な研究能力を備えているかという基準から、学位授与を判断している。

学位授与基準の明文化については、それまでの慣例が、2010 年度に研究科委員会で「修

士論文の審査および最終試験に関する取り扱い要項」として承認され、この内容は、「研究

科ガイダンス」や指導教員を通して、学生に周知されている。具体的には、義務付けられ

ている中間報告において、審査委員会がまとめたコメントに沿って、修士論文が作成され

ており、その水準が十分に高いという最終試験評価が「修士論文評価表」で得られた場合

に、研究科委員会で修了を認めている。

学位授与の手続きについては、「履修要項」に記載されており、指導方針や中間報告会に

ついては、「修士論文の指導および審査委員会、中間報告会に関する取り扱い要項」で規定

されている。これらについても、ガイダンスで説明している(資料 4-Ⅳ-15)。

博士後期課程における学位授与基準としては、高度な専門的知識を習得し、自立的研究

能力を持つとともに、研究専門職に従事できる能力、あるいは、企業や行政機関において

高度の専門的業務を担える能力を身につけているかということである。博士後期課程の場

合には、博士論文の中間審査が厳格に行われる。

1999 年 12 月 1 日開催の研究科委員会で承認された「経済学研究科学位論文提出条件(内

規)」(資料 4-Ⅳ-17)があるが、その後、見直しはされていない。また、学位授与手続きに

ついては、「履修要項」に記載されている。更に、同年 6月に「経済学研究科における学位

審査に関する取扱(学位審査フローチャート)」が研究科で議論に上がったが、その後、成

文化はされていない。

審査の厳格性を守るため、2010 年度に研究科委員会で「修士論文の審査及び最終試験に

関する取り扱い要項」(資料 4-Ⅳ-18)や「修士論文の指導および審査委員会、中間報告会

に関する取り扱い要項」(資料 4-Ⅳ-15)が承認されており、その中には、指導教授は、審

査委員長とならないことも明文化されている。また、審査の評価は点数で行われ、審査委

員それぞれの持ち点が、研究科委員会で承認されており、60%以上の合計得点で合格とな

る。

中間報告会および最終試験の開催日程については、前年度の研究科委員会で承認を受け、

年度初めの「研究科ガイダンス」時に全学生に周知され、約 2 か月以前に、日程と場所が

学内に掲示されるとともに、指導教授から詳細の連絡を受け、公開で実施されている。

博士後期課程においては、上記 2つの要項が準用されることになっている。

【ビジネス研究科経営学専攻】

ディプロマ・ポリシーに明示する能力を基準として、学位論文の審査が行われる(資料

4-Ⅳ-10)。

本専攻では、論文プロポーザル公聴会、中間審査を経て、最終審査を行い、これらをす

べて公開している。また、中間審査、最終審査では、指導教員以外の研究指導担当教員が

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主査となり、2名以上の副査とあわせて複数名による審査を行っている。以上により学位審

査の客観性・厳格性を確保している(資料 4-Ⅳ-11)。

【総合政策研究科】

博士前期課程・後期課程とも、前述のとおり、履修規程において定められた要件に従い、

ディプロマ・ポリシーに明示した能力が身についたかどうかという観点から審査が行われ、

学位が授与されている。

学位授与にあたっては、教務事項の責任者である専攻主任が作成した単位修得状況の一

覧表を基に修了見込み判定が研究科委員会において行われ、修士論文および博士論文の評

価については、中間報告段階での報告書が研究科委員会に提出され、全委員がそれに目を

通している。最終的な学位授与は、修士論文・博士論文の審査および最終試験の結果が研

究科委員会に提出され、最終的な判定は各学生について投票によって決定されており、学

位授与は適切に行われていると考えている。なお、論文審査に際しての透明性・公平性の

確保手段については前述のとおりである。

なお、近年、大学院における研究指導の透明性・公平性の確保が全国的・全分野的に問

題となっている。本研究科においても、当該の学生の指導教員は、論文審査委員会委員長

(主査)になれないという内規(資料 4-Ⅳ-19)を整備した。加えて、倫理的な観点から博

士前期課程・後期課程双方について、論文計画書を学内の研究審査委員会で審査すること

にした。

【数理情報研究科】

学位授与の条件は、南山大学学位規程第 4条および履修要項に記載され、学生に周知さ

れている。この学位授与の条件のうち、修了に必要な単位数 30 は、単位制度の趣旨(1 単位

は標準 45 時間)のもと、2年間に修得できる単位数と整合している。また、その 30 単位の

修得において、各科目の単位認定の適切性は(3)で述べたとおりである。これらの単位は

JABEE に準じた形で構成されており、ディプロマ・ポリシーに対応している。具体的な対応

は「Ⅲ.教育方法(1)」で述べたとおりである。

学位審査および修了認定の客観性・厳格性を確保する方策として、学位論文を提出する

年度に

・6月に計画書を提出する

・9~10 月に中間発表を行う

・年度末に最終審査を行う

ことを制度化している。とくに、中間発表、最終審査では、指導教員でない教授が主査と

なり、2名以上の副査と合わせて複数の審査員で評価を行っている。また、学位授与は、最

終審査後に、研究科委員会の審議により決定している。

2.点検・評価

(1)効果が上がっている事項

〈1〉大学全体

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〈2〉学部・研究科

【人文学部】

専門性と教養性の両面を重んじる人文学部の教育成果は、卒業論文(研究プロジェクト)

として結実する。研究プロジェクトの成果は、学科ごとに複数教員による厳格な審査によ

って評価されている。

【外国語学部】

「1.現状の説明」(1)で述べたように、外国語学部では各学科が語学教育の効果の客

観的検証の手段として検定試験等の集団受験を行っており、以下のような結果が得られて

いる。

〔英米学科〕2009~2011 年度の文部科学省の大学教育推進プログラムに採択された GP「多

文化社会における英語による発信力育成」プログラムにおける TOEIC 試験の集団受験

の結果として、全学年平均が 2009 年度が 673 点、2010 年度が 715 点、2011 年度が 737

点という結果が得られた(資料 4-Ⅳ-2 pp.134-137)。

〔スペイン・ラテンアメリカ学科〕スペイン語検定試験(DELE)の問題を用いて学科内で

毎年実力試験を実施し、学生のスペイン語力を測定している。2年次には B1 レベル、3

年次には B2 レベルの試験を課しているが、後者の難易度は 3年次生にとってはかなり

高いと認められるため、合格圏内の得点に達する学生は 20~30%に留まっている。し

かしながら 2 年次生においては極めて良好な結果が示され、文法・語彙部門では 70~

90%、また講読・作文部門では 60~75%の学生が合格圏内に入っている(いずれも 2009

~2011 年度分データによる)。

〔フランス学科〕TCF 試験の集団受験(2011 年 3 月)の結果として、1 年次生受験者 33

名のうち 20 名が A2 を、13 名が B1 を取得した(資料 4-Ⅳ-3)。また、実用フランス語

技能検定試験の団体受験(2011 年春季・秋季)の結果として、2 名が準一級、19 名が

二級、33 名が準二級を取得した(資料 4-Ⅳ-20)。

〔ドイツ学科〕2010 年度には、オーストリア政府認定ドイツ語能力検定試験の集団受験(受

験者 24 名)の結果として、Grundstufe Deutsch 2(「ヨーロッパ共通参照枠」の A2 レ

ベル)の受験者 16 名全員が合格し、Zertifikat Deutsch(同 B1 レベル)の受験者 8

名のうち 4名が合格、3名が部分合格(口頭試験のみの合格)した。2011 年度には、ゲ

ーテ・インスティトゥートのドイツ語能力検定試験を受験し、A2(ヨーロッパ統一基

準に基づく)の合格者が 11 人中 9名、B1(同上)の合格者が 18 名中 15 名となってい

る。

〔アジア学科〕2011 年度において、日本中国語検定協会による中国語検定試験の団体受験

の結果として、4 名が二級を、30 名が三級を取得した。また、中国政府公認の中国語

資格である新 HSK 試験において、4 名が六級(最上級)を、3 名が五級を、3 名が四級

を取得した。

【経済学部】

2011 年度の就職内定率は 96.1%であった。内定先は、経済学の知識を生かした金融・保

険が男子で 26.3%、女子で 41.9%と高い数値を示している。

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【経営学部】

就職内定率が過去 3年間で 94~97%と良好である。2011 年度は、公認会計士試験に 4名

(内 2名現役)が合格し、5名が教員免許を取得し、内 3名が専任の教職に付いている。ま

た、2006 年度から始まった簿記検定試験合格者への会計科目単位認定制度は、当初、商業

高等学校からの入学者だけが利用していた。しかし、普通科高等学校からの入学者が在学

中に簿記検定 2級などの資格を取得するケースが増え、2011 年度には 46 名がこの制度を利

用している。2011 年度に実施された、任意の学内 TOEIC-IP テストについては、経営学部か

ら 209 名が受験し、テスト結果においても高い平均点を得ている(資料 4-Ⅳ-21)。派遣留

学生として海外留学を経験する学生数も、過去 4 年間で平均毎年 7 名となっている。これ

は、名古屋キャンパスでは外国語学部に次ぐ派遣留学生数であり、ビジネス英語科目に対

する興味が高まっていると言える。

【法学部】

法律学の基礎的な事項についての理解は、法学検定など各種資格試験の受験や、進路に

合わせた基礎的科目の修得を、促進してきたと考える。そのため、法学検定合格者につい

ては成績優秀者を表彰し、各種試験について合格者を輩出できたことから、キャリアを意

識した学習意欲の向上も、一定程度、達成することができた。また、南山大学法学部とし

て、例年、法学検定試験を団体受験しており、2012 年度に、法学検定試験ベーシック<基

礎>コースにおいて、団体賞合格率の部第 2位を獲得し、本学部が表彰された。

【総合政策学部】

ここ数年、就職内定率も大学全体のそれと比して遜色ない。また、成績不良者に対する

履修規程第 27 条の対象となる学生は、例年、学部全体を通じて 4~5 名であり、著しい成

績不良者の数は極めて少数にとどまっている。これらのことから、本学部に入学する学生

は本学部の理念・特色とそれに基づく教育課程を活かして学修しているものと考えられる。

【情報理工学部】

必修の卒業研究では、外部評価委員も参加する発表会を行うこと、緊張感のある教育・

研究活動が行えている。また、卒業論文の他に、学会と同様の形式で要旨を提出させ、後

者は研究成果としてWeb ページで公開している。

【人間文化研究科】

多くの大学院生が、教員の研究プロジェクトに参加することによって実践的な訓練を受

けており、教育と研究の連携が効果的に機能している。また、学際性の追究という本研究

科の理念が学生にも浸透しており、例えば、人類学専攻、言語科学専攻では、多くの学生

が、主たる領域以外の指定された科目 8 単位を履修することにより、副領域履修証明書の

発行を受けることができる副領域制度を活用して、幅広い知識を身につけている。

【国際地域文化研究科】

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文部科学省 GP「多文化社会対応企業人・教員養成プログラム―アメリカ研究の国際化を

軸としたグローバル・スタディーズ教育―」および「名古屋アメリカ研究夏期セミナー

(NASSS)」への学生の参加が特筆すべき成果である。また、本研究科の論集として、『南山

大学大学院国際地域文化研究』が継続的に刊行されており、修士論文の内容を広く一般に

公表する場ともなっている(資料 4-Ⅳ-7)。

【経済学研究科】

指導教員が推薦する論文が掲載される大学院生の論文集『南山論集(経済学・経営学編)』

への論文投稿が毎年数編あり、研究指導を中心とした指導が効果を挙げている。また、中

間報告後の指導を徹底させていること、報告会を公開しているため低年次から問題点を意

識できることにより、学位論文のレベルが安定してきている。

【ビジネス研究科経営学専攻】

学位論文を完成させる過程では、積極的な学会発表、学術雑誌への投稿などがみられる

ようになり、教育目標に沿って成果があがっていると考える。

【総合政策研究科】

授業科目・研究指導について、学生から一定の評価を受けていることは研究科としても

評価できるところである。これを起点として、さらなる充実を目指したい。

また、「1.理念・目的」でも記したとおり、学生による学会賞の受賞に加え、教員の指

導の下、関連学会の全国大会や地方部会等で研究報告を行ったり、毎年一回刊行される院

生論集(『南山総合政策研究』)(資料 4-Ⅳ-22)には、毎号ほぼすべての博士後期課程在籍

者が執筆したりするなど、学生自身による研究活動も活発である。さらに、本研究科で博

士の学位を取得した外国人学生の一人は、その母国の大学で教職に就くとともに、活発に

論文執筆を行っている。

【数理情報研究科】

必修の研究指導科目では、学内公開の発表会を行い、一部の分野では外部の聴講者も参

加するなど、緊張感のある教育・研究活動が行えている。また、修士論文の他に、学会と

同様の形式で要旨を提出させ、後者は研究成果としてWeb ページで公開している。

(2)改善すべき事項

〈1〉大学全体

〈2〉学部・研究科

【人文学部】

卒業時における学生の自己評価は現時点では実施されていないが、今後の課題として、実

施を検討すべ きであると考える。同時に、卒業後、社会に出た学生が大学で学んだことを

どう生かしているか、大学で学んだことにどのような意味があったと考えるかなどについ

ての調査もなされていない。これも今後検討すべき事柄となろう。さらには就職先の企業

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が人文学部の卒業生をどう評価しているかについての調査も将来的にはなされなければな

らないと考える。

【外国語学部】

外国語学部では全体に学生の在籍年数が長くなる傾向がある。2012 年度は全学部の在籍

者 9,742 名中のうち 5年次以上の学生が 555 名(5.7%)であるのに対し、外国語学部では

在籍者 1,912 名のうち 5年次以上が 168 名(8.8%)おり、他学部よりも高い割合となって

いる(資料 南山大学概要 2012、p.20)。これについては、一年を越える長期留学をする学

生や休学して留学する学生が多いことが最大の原因である。学生の主体的な判断の結果と

もいえるので、一概に「改善すべき点」とは言えないが、留学期間中に就職活動が始まり

その点で不利益を被ることが少なくないので、留意する必要がある。

【経済学部】

留学をしても 4年間で卒業することを可能にするために、留学先で取得した単位を単位

認定する「英語プログラム」という制度を用意しているがこの制度を利用する学生が年々

減少している。2010 年度においては、全学 99 名の派遣留学生のうち経済学部の学生は 2名

だけであった。派遣留学のうち認定または推薦留学の場合は、学生は南山大学と留学先大

学の双方に学費を納めなければならない。一方、休学して留学した場合は、休学のために

南山大学に納付する費用が一学期 5万円ですむ。このため、昨今の不況の中、留学したい

という学生は休学して留学するという選択をしている。また、就職難のため、3年次の秋か

らは就職活動を優先したいという学生が増え、これまで多かった 3年次秋学期から 4年次

春学期までの留学が避けられるようになったことも派遣留学生減少の一因として挙げられ

る。

【経営学部】

就職内定率は高水準に推移していることは評価できるが、起業家を目指す学生は極めて

まれであることなど、進路についてもう少し多様であってもよいと考えている。

【法学部】

履修モデルコースの作成や、1年次のキャリア教育について、一定の成果が得られたこと

から、今後は、将来のキャリアに向けた主体的な姿勢をより引き出すために、2年次以降の

キャリア教育体制について、定期的な検証が必要である。また、就職活動の長期化に伴い、

3年次、4年次の専門教育が、大きな影響を受けている。特に、4年次教育については、近

年の就職活動の状況をも見据えたうえで、今後も定期的な検証が必要である。更に、法律

学の専門分野でも、講義科目については、新しい分野の発展、社会のニーズに応じて、関

連科目の設定・廃止を検証していくことが必要である。

【総合政策学部】

2010 年度に留学生を対象に国際教育センターが行ったアンケートによれば、留学生の多く

が、日本人学生とより多く交流を希望しつつも、それができないとの不満を抱いているこ

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とが判明した。前述の日本人学生と留学生との交流が部分的なものに留まっているという

ことである。学生間の交流が活発化すれば、留学生の日本語への勉学意欲も高まり、逆に

日本人学生の諸外国への興味関心も更に強まることが期待できるであろう。

【情報理工学部】

卒業研究の内容として、理論的研究、理論の応用、調査、ソフトウェアならびにハードウ

ェアの制作など幅広い取り組みを設定し、定着させてゆく。

【人間文化研究科】

学生が研究プロジェクトに参加する機会を与えられているものの、ここ数年は、特に博

士後期課程で、学生の自立した研究者としての活動に物足りなさが感じられる。より積極

的に、専門誌への論文投稿を奨励する等の方策が必要である。

【国際地域文化研究科】

カリキュラムを通じた教育目標の達成は概ね実現されてきているが、自らの研究を深化さ

せるために外部の学会において発表および論文の投稿等を積極的に行う学生は、以前とし

て少数に留まっている。この点の充実を実現しなければならない。

【ビジネス研究科経営学専攻】

論文の審査は、論文プロポーザル、中間審査を経て最終審査がおこなわれれるが、社会人

や留学生など多様な学生を受け入れているため、中間審査の段階で完成度、進捗度の問題

から最終審査を次年度に伸ばさざるをえない場合がある。

【経済学研究科】

1999 年に博士後期課程の学位授与に関する基準や手続きが議論にあがったが、審議途中

でそのままになっている。

【総合政策研究科】

外部の学会において発表および論文の投稿等を積極的に行うことができる学生が、決して

多くない。この点の充実を実現しなければならない。

【数理情報研究科】

修士論文の研究内容について国内外の学会発表ならびに論文投稿する学生も多い。このよ

うな外部発表をより一層奨励してゆく。

3.将来に向けた発展方策

(1)効果が上がっている事項

〈1〉大学全体

〈2〉学部・研究科

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【人文学部】

心理人間学科では、すでに卒業時に「カリキュラム調査」を実施している。

【経済学部】

経済学科科目として「キャリア科目」を 3科目実施している。

【外国語学部】

各学科が現在行っている検定試験等の集団受験については、今後も引き続き継続する予

定である。

【経営学部】

卒業率(2011 年度 80.4%)や就職内定率(2011 年度男子 95.2%、女子 97.3%)については満

足できる数字である。しかし、キャリア支援関係を含む学生向け講演会の開催が少ないた

め、学部教員へ働きかけ、講演会の頻度を増やしたい。

【法学部】

すでに指摘したとおり、本法学部は、基礎的な法学教育を重視する方針のもとで、演習、

講義、その他の様々な取組みの中で、多様な人材を企業、官公庁などに輩出してきた。ま

た、本学部からは司法書士などの資格合格者も輩出し、さらに、法科大学院進学者も多数

輩出してきた。このことから、一定の成果を果たしてきたと考えられる。これらは、教育

目標に沿った成果であり、将来に向けた発展方策の中で、柱とすべきものである。

【総合政策学部】

大多数の学生は、本学部の理念・特色を活かした学修を行っており、今後とも本学部の

理念・特色に基づく教育課程・編成を基本的に維持しつつ、さらなる充実を目指したい。

【情報理工学部】

就職状況については、卒業率(2011 年度 86.5%)、内定率(2011 年度 94.4%)という数字を残

している。また、半数の学生が製造業、情報通信産業に就職しており、教育の成果を生か

している。

【人間文化研究科】

研究所、博物館、研究センターと連携して、学生に研究者としてのインターンシップ的

訓練の場を与える試みは効果的に機能しており、これを規模と内容の両面においてさらに

充実していくように努める。

【国際地域文化研究科】

将来の本研究科を見据えた時に、すでに一定の効果が上がっていると判断できる事項は、

やはり博士後期課程の設置に関連する。同課程は、「アジア・日本を重視した国際地域文化

研究」を掲げており、同分野の担当者の拡充がはかられたためである。またこの設置にと

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223

もなって、研究指導担当者も増加し、30 代の担当者が出たことは、将来に向けた人材の拡

充と考えることができる。また上述のとおり、この設置にともなって、学位審査体制の透

明化が実現されたことも重要である(資料 4-Ⅳ-13)。

留学生についても、東日本大震災の影響等があり、若干の減少も見られるが、継続して

の希望者があり、学生確保の取り組みが奏功している。文部科学省 GP 等については、実施

期間が終了したが、実質的に内容を継続させた取り組みを行っていく予定である。

【経済学研究科】

研究指導や学位論文のレベルを上げ、『南山論集(経済学・経営学編)』への投稿数を増

加させていく努力が必要である。

【ビジネス研究科経営学専攻】

学会発表、学術雑誌への投稿が増えていることは大いに評価できるので、研究の質が上

がるようにこれらの活動を推奨していきたい。

【総合政策研究科】

授業科目・研究指導への学生の高い評価は、学生数が少ないからこそ可能だという側面

もあるかもしれない。とはいえ、研究科全体として学生に対してきめ細かい指導を継続で

きるよう、研究科委員会等を通じて構成員の意識を高めていきたい。

学生自身による研究活動への支援は、特に博士後期課程の学生で将来、大学等への就職

を希望する学生に対して、より手厚くする必要があろう。

【数理情報研究科】

これまでのような国内外の学会発表だけでなく、国際化事業に沿った海外の大学ならびに

研究機関へ大学院生を派遣し、現地の専門家と英語による研究発表と討論の機会を増やし

た。

(2)改善すべき事項

〈1〉大学全体

〈2〉学部・研究科

【人文学部】

今後は学部として、学生の自己評価、卒業後の評価(就職先等の評価)の方法を工夫する

必要がある。

【外国語学部】

学生の在籍年数の長期化については、今後も引き続き注意を続ける。新入生ガイダンス

で学生に対し長期留学や就職活動を計画的に行うよう指導し、学生のキャリアデザインに

ついての意識を高めるとともに、必要に応じてキャリア支援室と連携しつつ学生の支援に

当たる。

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【経済学部】

学生が就職活動を始める時期に帰国できるよう、これまで主流だった 3 年次からの留学

ではなく、2年次から留学するという選択肢を学生に伝える必要がある。2年次から留学の

メリットについては、これまで入学時の留学ガイダンスで留学希望者に対して伝えていた

が、学外オリエンテーションの場で全員の入学者に対して、2年次からの留学を丁寧に説明

するようにしたい。

【経営学部】

現代産業論(起業論)や現代産業論(先輩実務家と語る)などを充実させることによって、

学生の進路に対する考え方に多様性を持たせるよう工夫したい。

【法学部】

法学部については、法科大学院の登場により、ますますその独自性が求められる時代と

なっている。法学部生の要望が多様化する中で、法学を中心とした学部教育を行うことに

よって、多様な成果をあげることができるような体制整備を継続的に行っていくことが、

必要である。

【総合政策学部】

留学生の学修上・生活上の問題を解決するために、学部内で問題点や情報の共有を図る

と共に、国際教育センターとの緊密な連携体制を構築する必要がある。

【情報理工学部】

卒業生について、就職先での活躍や課題、本学部への要望に関し企業からのアンケートを

行っているが、十分とは言えない。より多くの企業にアンケートを行い、その結果を教育・

研究に反映させる。

【人間文化研究科】

学生の学外における研究成果の公表が、ここ数年は、以前ほど盛んになされていない。研

究者、高度専門職業人としての自立を促すために、博士前期・修士課程の学生による学外

での研究発表、博士後期課程の学生による専門誌への論文投稿をより強く奨励する必要が

ある。これは、課程修了後の就職をも助けるものであり、早急に対処すべきである。また、

上述したように、修了後評価を現時点では行っていない。研究科の発展に役立つものと考

えられるので、修了生との懇談会を開催するなどして、評価に関する情報を得る機会を設

けたい。

【国際地域文化研究科】

大学院生の研究レベルの底上げは、博士後期課程の設置とも関連し、重要な課題であるが、

積極的な取り組みに未だ至っていないのが現状である。

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【経済学研究科】

博士後期課程の学位授与基準や手続きを見直し、明文化する必要がある。

【ビジネス研究科経営学専攻】

複数教員の指導体制を活用し、中間審査までに論文の進捗度、完成度に問題がないよう

に指導するよう配慮する。

【総合政策研究科】

今後の他研究科との統合はともかく、現時点で在籍している学生に対する指導を徹底し、

とくに博士後期課程在籍者については学会報告や学会誌への投稿を慫慂する具体的な方策

を検討する必要があろう。

【数理情報研究科】

国際化事業に沿った海外の大学ならびに研究機関への派遣が始まったが、さらに充実を図

る。

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4.根拠資料

4-Ⅳ-1 南山大学『学生による授業評価』のまとめ(2011 年度春学期、2011 年度秋学期)

(既出 資料 3-31)

4-Ⅳ-2 多文化社会における英語による発信力育成 最終報告書(既出 資料 4-Ⅲ-29)

4-Ⅳ-3 南山大学自己点検・評価報告書 2011 年度(既出 資料 1-69)

4-Ⅳ-4 経済学生論集(第 26 集)(既出 資料 4-Ⅰ-10)

4-Ⅳ-5 2012 年度法職特別課外講座案内(募集要項)(既出 資料 4-Ⅲ-28)

4-Ⅳ-6 就職統計(2011 度確定版)

4-Ⅳ-7 『国際地域文化研究』(既出 資料 1-29)

4-Ⅳ-8 授業科目履修案内 履修要項 (2012 年度入学者用)(既出 資料 4-Ⅰ-7)

4-Ⅳ-9 南山大学 3つのポリシー(既出 資料 1-11)

4-Ⅳ-10 南山大学大学院 3つのポリシー(既出 資料 1-31)

4-Ⅳ-11 2012 大学院学生便覧(人間文化研究科、国際地域文化研究科、経済学研究科、ビ

ジネス研究科経営学専攻)(既出 資料 4-Ⅰ-8)

4-Ⅳ-12 2012 大学院学生便覧(総合政策研究科、数理情報研究科)(既出 資料 4-Ⅰ-9)

4-Ⅳ-13 国際地域文化研究科博士後期課程 設置趣意書(既出 資料 1-71)

4-Ⅳ-14 南山論集(第 39 号)(経済学・経営学編)(既出 資料 4-Ⅰ-22)

4-Ⅳ-15 修士論文の指導および審査委員会、中間報告会に関する取り扱い要項(経済学研

究科)(既出 資料 4-Ⅰ-26)

4-Ⅳ-16 人間文化研究科学位審査に関する内規(既出 資料4-Ⅰ-33、既出 資料4-Ⅲ-19)

4-Ⅳ-17 経済学研究科学位論文提出条件(内規)

4-Ⅳ-18 修士論文の審査及び最終試験に関する取り扱い要項(経済学研究科)(既出 資

料 4-Ⅰ-27)

4-Ⅳ-19 南山大学大学院総合政策研究科学位審査委員会主査に関する内規

4-Ⅳ-20 フランス語検定試験 南山大学フランス学科学年別・級別合格者リスト

4-Ⅳ-21 TOEIC-IP Score Average(英語教育センター委員会資料)

4-Ⅳ-22 南山総合政策研究(第 4号)

4-Ⅳ-23 2012 南山大学概要(既出 資料 1-1)


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