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ノート ⅢⅢⅢⅢⅢⅢ田川‖ JMJDJOSOTOPES，61，511-516(2012) 福島第一原発事故後のツクシヘの134Cs，137Csの移行と 分布及び調理・加工による除去 田上恵子，内田滋夫 独立行政法人 放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター 廃棄物技術開発研究チーム 263-8555 千葉県千葉市稲毛区穴川4-9-1 2012年４月26日 受理 ツクシはシダ類の一種であるスギナの胞子体である。本研究では，東京電力福島第一原子力発電 所の事故後の2011年３月28日と１年経過後においてツクシを採取し，134Cs，137Cs濃度とその体 内分布，さらに調理・加工による除去率を測定した。その結果，直接沈着の影響を受けた2011年 の試料に比べて濃度が1/100～1/200に減少した。茎部の調理による除去率は，2011年の試料で は70％，2012年では32～72％であった。 Key Words : radiocaesium,field horsetan, direct deposision, root uptake， distribution in components, removal percentage 1.はじめに ツクシは早春に観察されるスギナ（句心靖,ｍ ａｒＶｅｎＳｅ）の胞子体であり，食用にもされる野 草である。スギナはシダ類の一種であり，シダ 類は高等植物に比べて放射性セシウム（Cs） を濃縮することが知られている1）･2）。したがっ て，ツクシについて，放射性Csの移行と部位 毎の分布，また，調理・加工による除去につい て検討しておくことは，ツクシに放射性セシウ ムが濃縮されるのか，また食用とする場合にど の程度除去できるのかを知るという観点からも 重要である。 著者らは東京電力福島第一原子力発電所の事 故後の2011年３月28日に，食用野草の採取を 千葉県千葉市の放射線医学総合研究所（以下， 放医研）敷地内で行い，調理・加工による除去 率について分析を行っており3），ツクシについ てもデータを得ている。当時のサンプリングは， 関東付近での主たる汚染となった３月21，22 日の降雨後に行われており，主に直接沈着によ る影響を受けたと考えられた。一方，本年度の ツクシは放射性Csが土壌に含まれる状態で生 育したものである。本研究では2012年３月に 同敷地内で採取したツクシの分析を行った。 ｀Ｚ 材料及び方法 試料は2011年３月28日と,2012年３月19,27 及び28日に放医研敷地内にて採取したツクシ の地上部である。１回のサンプリングで200～ 300本を採取した。採取後ただちに実験室に持 ち帰り，ツクシ全体の濃度を測定するために一 部を分取し，残りは全て胞子嚢穂(ツクシ先端 部分。胞子を含む部位)，葉(一般に｢はかま｣ と呼ばれる部位)及び茎の部分に分けた (Fig.1)。胞子嚢穂，葉については無処理のま ま，また茎については２分割し，無処理，洗浄 後煮沸,の２種類の試料を作成した。なお,2011 年度については，試料を生のまま計測すること ができたが，2012年度には濃度が低く生のま までは測定できなかったため，乾燥機を用いて 80℃で乾燥し，威容して試料とした。 洗浄は，2011年３月28日では，水道水中に 放射性ヨウ素が含まれていたため，逆浸透膜 (RO膜)処理により放射性物質を除去したRO 水4)を用いて３回丁寧に洗浄した。 2012年３月 （17）
