2019年 上半期
集中治療最新論文
奈良県総合医療センター 集中治療部
岩永 航
第 36 回 JSEPTIC セミナー2019年9月17日
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
背景①
Hour-1 bundle が提唱されたが…
CENSER
バンドル要素推薦のグレードと証拠のレベル
乳酸値の測定。初回乳酸値≧2mmo/Llの際には再測定する。
弱い推奨低いエビデンス
抗菌薬の投与前に血液培養を取ること
Best practice statement
広域抗菌薬の管理強い推奨中等度のエビデンス
30ml/kg晶質液を投与(低血圧 or乳酸値≧4mmol/L)
強い推奨低いエビデンス
MAPが65mmHg以上に維持されるように、輸液蘇生中または輸液蘇生後に昇圧薬を投与
強い推奨中等度のエビデンス
Intensive Care Med. 2018; 44: 925-8.
背景②
Hour-1 bundle へのPro-Con意見
CENSER
Chest. 2019;155:12-14. Chest. 2019;155:14-17.
P ERで18歳以上の
血圧低下(MAP<65mmHg)を呈した敗血症患者
I 早期ノルアドレナリン(NAD)群
敗血症の診断後 NAD 0.05γで開始
C 標準治療群
プラセボ(5%ブドウ糖液) 0.05γで開始
O 診断後6時間までにショックをコントロールできている割合
単施設第二相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
バンコク Siriraj Hospital(大学病院)
期間:2013年10月〜2017年3月
CENSER
Am J Respir Crit Care Med. 2019; 199: 1097-1105.
今回の論文
背景:両群間で差を認めず
早期NAD群N=155
標準治療群N=155
年齢 65 (54-76) 68 (55-77)
男性 (%) 71 (45.8) 77 (49.7)
APACHEⅡscore 21 (15-26) 20 (16-26)
感染巣
尿路感染症 (%) 47 (30.3) 45 (29)
肺炎 (%) 40 (25.8) 37 (23.9)
併存疾患
高血圧 (%) 77 (49.7) 85 (54.8)
糖尿病 (%) 51 (32.9) 53 (34.2)
冠動脈疾患 (%) 25 (16.1) 28 (16.8)
CENSER
Primary outcome
診断後6時間後までのショック離脱は早期NAD群で有意に高い (p<0.05)
CENSER
*ショック離脱目標mABP>65mmHg、尿量>0.5ml/kg、乳酸クリアランス>10%
結果早期NAD群
N=155標準治療群N=155
OR p値
血圧+組織 118(76.1) 75(48.4) 3.4(2.09-5.53) <0.001
血圧+尿量+乳酸値 48(31.0) 27(17.4) 2.13(1.24-3.64) 0.005
血圧+尿量 55(35.5) 38(24.5) 1.69(1.04-2.77) 0.04
血圧+乳酸値 15(9.7) 10(6.5) 1.55(0.68-3.57) 0.3
28日死亡率 有意差なし
15.5% vs 21.9%
OR 0.79(0.53-1.11)p=0.15
CENSERSecondary outcome
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
早期群 通常群
Limitation
•医療途上国の単一施設での試験
•二重盲検だが、実際には血圧上昇から推測可能
•蘇生輸液量に差がなく輸液制限に至らず
CENSER
まとめ
早期の低用量NAD投与と輸液制限は、
早期ショック離脱≒死亡率改善
の可能性が示された。
末梢静脈からの希釈低用量NADが
安全に投与可能と示された。
CENSER
Intensive Care Med. 2018 ; 44: 2070-2078.
P1000ml輸液後に血圧低下を認める
敗血症疑いの患者@ER
I輸液制限
早期昇圧剤
C 通常治療(2000ml輸液後昇圧剤)
O 6時間までの輸液量
多施設前向き非盲検無作為試験オーストラリア7施設2016年11月〜2018年5月
早期NAD&輸液制限のパイロット研究
でも同様に安全性が証明された
REFRESH trial
Intensive Care Med. 2018 Dec;44(12):2070-2078.
蘇生輸液制限群で有意に輸液量は少なく、死亡率に差を認めず・ランダム化後6時間まで (12ml/kg vs 23ml/kg; P<0.001)・ER受診後6時間まで (30ml/kg vs 43ml/kg ; P<0.001)・昇圧剤開始まで輸液量も少ない(1400ml vs 2000 ; P<0.001)
REFRESH trial
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
背景①ENCHANTED
脳梗塞後の血圧
再灌流できていない状態での急激な降圧は
ペナンブラ領域への側副血行不全を招き
脳虚血を悪化させる危険性がある
Stroke 2010; 41: 2697-704.
背景②ENCHANTED
血栓溶解療法後の出血リスクStroke 2008; 39: 3316-22.Stroke 2015; 46: 3362-69.
収縮期血圧の上昇と
症候性脳内出血のリスク増加は相関する
24時間後の収縮期血圧
141-150mmHg vs 170mmHg以上
170mmHg以上で出血リスクが4倍
Stroke 2009; 40: 2442-49.
Stroke. 2018;49:e46–e99
アルテプラーゼ開始基準収縮期血圧 <185 mmHg拡張期血圧 <110 mmHg
降圧目標収縮期血圧 <180 mmHg拡張期血圧 <105 mmHg
P18歳以上の脳梗塞(発症6時間以内)rt-PA投与後
収縮期血圧 150-185 mmHg
発症前のmRS:0または1
I 収縮期血圧 130-140 mmHg
C 収縮期血圧 180 mmHg以下
O 割付け90日後のmRS
多施設前向きランダム化試験15カ国 110施設、2012年3月〜2018年4月
今回の論文ENCHANTED
Lancet. 2019; 393: 877-888.
modified Rankin Scale ( mRS )
背景
130-140 mmHg
N=1081180 mmHg以下
N=1115
年齢 y 66.7 67.1
人種 Asian 73.6% 73.9%
収縮期血圧 165.4 165.2
拡張期血圧 91.2 90.7
NIHSS score 7 (4-12) 8 (4-12)
GCS score 15 (14-15) 15 (14-15)
発症から割付 (hr) 3.4 (2.5-4.1) 3.3 (2.6-4.1)
心房細動 13.0 % 15.5 %
糖尿病 21.3 % 23.9 %
降圧開始までの時間 20 分 30 分
ENCHANTED
90日後のmRS 有意差なし
Primary outcomeENCHANTED
降圧群で出血が少ない
出血の差が3.9%、NNT:25
Safety outcome
頭蓋内出血の合併
ENCHANTED
LimitationENCHANTED
• GCS15点、NIHSS7-8点と比較的軽症が対象
•収縮期血圧185mmHg以上を除外している
•アジア人7割
•群間の血圧差が小さいためパワー不足の可能性
•降圧のタイミングが不明
まとめENCHANTED
急性期脳梗塞の血栓溶解療法後の降圧目標は、
症状が軽度であれば低め(130-140mmHg) 管理で、
神経予後を悪化させずに出血合併症を減らすことが
可能かもしれない。
*出血合併が神経予後に影響しているかは不明
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
背景① ROSC後、STEMIへのCAGCOACT
STEMIあるいは新規左脚ブロックを伴う心停止の患者では
緊急CAG+PCIを強く推奨されている(Class 1、Level B)
Eur Heart 2018; 39:119-77
背景② 一方、NSTEMIではCOACT
心停止ROSC後にNSTEMIでも冠動脈病変が疑われる場合には、緊急CAGを弱く推奨しているがエビデンスが低い。(Class Ⅱa、Level C)
ST上昇を伴わないCPA蘇生後の患者に対する
早期CAGの有用性に関するRCTは存在しない
Eur Heart 2018; 39:119-77
N Engl J Med.2019; 380:1397-1407
P院外心停止後、初期波形がVFまたはpulseless VTROSC後に意識障害あり(GCS<8)NSTEMI新規左脚ブロックなし、収縮期血圧>90mmHg
I 即時に(2時間以内)CAG
C 待機的に(入院中神経学的回復を待って)CAG*心原性ショック、致死的不整脈、虚血再発あれば緊急CAGへ
O 90日生存率
多施設前向きRCT:オランダ(19施設)2015年1月〜2018年7月
今回の論文
COACT
• ERでECG上STEMIもしくは新規の左脚ブロック、V1-3のST低下(後壁梗塞)
• 薬物治療を行っても血行動態が不安定(30分以上収縮期血圧90mmHg未満)
• 明らかな心原性以外の心停止の要因
• 高度腎機能障害(GFR< 30 mL/min )
• 妊娠の疑い
• 頭蓋内出血、脳卒中の疑い
• DNRの方針
• 心停止より以前の時点でCerebral performance category 3-4
• ROSC後4時間以上経過
• 再燃性の心室性不整脈
• 90日間のフォローアップが不可能
除外基準
患者背景
即時CAG群N=273
待機CAG群N=265
年齢 65.7 ±12.7 64.9 ±12.5
男性 (%) 81.7 76.2
心筋梗塞既往 (%) 26.7 28.7
CABG既往 (%) 15.8 9.1
冠動脈疾患既往 (%) 36.3 36.2
心停止目撃あり (%) 79.9 76.6
心停止-ROSC 時間 (分) 15 (9-21) 15 (8-20)
ECG虚血変化 (%) 64.1 69.4
pH 7.2 ± 0.1 7.2 ± 0.1
乳酸値 (mmom/L) 5.3 (3.0-8.8) 4.9 (2.8-8.1)
*
冠動脈疾患既往が多く心電図では虚血性変化を7割近く認めている神経予後が望める蘇生状況
*連続する誘導の1mm以上のST低下やT波の陰転化
COACT
Primary Outcome
90日生存率において2群間に有意差はなかった64.5 vs 67.2% OR;0.89(0.62-1.27)
50.0%
52.0%
54.0%
56.0%
58.0%
60.0%
62.0%
64.0%
66.0%
68.0%
70.0%
即時群 待機群
COACT
CAG施行
即時群の97.1%、待機群の64.9%(生存者の95%)*待機群5人中1人が緊急CAG
CAGの結果両群とも冠動脈狭窄は65%程度
不安定病変 13.6%(36/265人) vs 16.9%(29/172人)
心停止-CAGの時間:即時群2.3hr、待機群は約5日後
COACT
PCI施行
即時群33.0%、待機群24.2%(生存者の36%)
PCI/CAG施行率即時群 33%(90/265人)、待機群 37%(64/172人)
COACT
まとめCOACT
初期波形VF/VT、院外心停止ROSC後で
血行動態が安定しているNSTEMI患者への
即時的CAG/PCI介入は死亡率の改善に影響しない。
ただし、介入の不要判断は専門的な知識を要する。
<進行中のRCT2つ>
ACCESS TRIALhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03119571
DISCO TRIALhttps://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02309151
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
背景①デクスメデトミジンの立ち位置
SPICE 3
Crit Care Med. 2018 ;46:e825-e873.
推奨する 推奨しない
人工呼吸器管理薬剤的介入
プロポフォール>ベンゾジアゼピン
デクスメデトミジン>ベンゾジアゼピン
せん妄の治療人工呼吸器管理中に、興奮によりWeaningや抜管遅延がある場合デクスメデトミジンの使用
ルーチンのハロペリドール、非定型抗精神病薬、スタチンの使用
PADIS 2018 Gudelines
人工呼吸器管理された重症患者の鎮静に、ベンゾジアゼピンよりもプロポフォールもしくはデクスメデトミジンのいずれかを使用することを推奨する
推奨
暫定的
Evidenceの質
Low
P 24時間以上の人工呼吸器管理を要する成人敗血症患者
I デクスメデトミジンによる鎮静
C ミダゾラム、プロポフォールによる鎮静
O 28日間での死亡率と人工呼吸器管理期間
JAMA. 2017;317:1321-1328.
多施設オープンラベルRCT DESIRE trial
背景②SPICE 3
デクスメデトミジン使用群で死亡率改善せず
*サンプルサイズが小さいため大規模研究への期待が残った
背景③SPICE 3
JAMA. 2017;317:1321-1328.
N Engl J Med 2019; 380:2506-2517
P 挿管・鎮静管理下のICU患者
I デクスメデトミジンを単剤、あるいは主として鎮静
C デクスメデトミジンを使用しない鎮静
O 90日死亡率
多施設オープンラベルRCT:8カ国(74ICU施設)期間:2014年2月〜2017年7月
オーストラリア国立健康医学研究評議会、ニュージーランド健康研究評議会マレーシアのInstitute Jantung Negara財団が研究資金提供
今回の論文
SPICE 3
デクスメデトミジン群の鎮静algorithm
目標鎮静度はRASS -2~+1
※日本の添付文書上用量は0.2-0.7mcg/kg/h
SPICE 3
深鎮静DEX漸減
浅鎮静1)DEX増量 MAX1.5mcg/kg/hr2)Propofol投与
十分な鎮痛
通常群MDZ/propofol/他の鎮静剤で鎮静投与はbolusか持続投与目標鎮静度は同様
DEX導入1mcg/kg/hr
背景
DEX群N=1954
通常群N=1964
年齢 61.2±15.5 61.4±15.3
APACHE Ⅱ score 22.1±7.7 21.9±7.7
体重 kg 81.8 ± 23.2 83.5 ± 24.9
術後 (%) 27.4 28.0
非術後 (%) 72.6 72.0
入室時診断
Sepsis (%) 16.0 16.5
呼吸不全 (%) 39.9 40.5
心血管 (%) 15.4 14.2
外傷 (%) 4.2 4.3
SPICE 3
Primary outcomeSPICE 3
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
45.0%
50.0%
DEX群 通常群
90日死亡率は有意差なし
29.1% vs 29.1%
OR 1.00(0.87-1.15)
有害事象SPICE 3
デクスメデトミジン群で有害事象が多かった
徐脈 5.1% vs 0.5%血圧低下 2.7% vs 0.5%Asystole 0.7% vs 0.1%
*デクスメデトミジン群で7件心臓マッサージを要した
Limitation
• 深鎮静が必要な患者が除外されていない• DEX群は86%もプロポフォールが追加投与されている• DEX群でも23.3%がミダゾラムを併用
• 通常群でも11.5%の患者でデクスメデトミジンを使用
SPICE 3
まとめ
ICU人工呼吸器患者への
デクスメデトミジンによる鎮静コントロールは
死亡率改善しない。
また合併症が増える可能性が高い。
SPICE 3
CENSER AJRCCM敗血症性ショックへの
早期ノルアドレナリン導入
ENCHANTED LANCET血栓溶解療法後の血圧管理目標
130-140 vs 180mmHg以下
COACT NEJM初期波形VF/pulseless VTROSC後NSTEMI患者へのCAG介入のタイミング
SPICE 3 NEJM人工呼吸器患者へのデクスメデトミジン
SCARLET JAMA敗血症関連凝固障害への
rhsTM製剤
2019年上半期 集中治療最新論文
欧米の多国間第Ⅱb相試験
Crit Care Med. 2013;41:2069-2079.
28日全死亡率
17.8%
20.6%
Log rank検定:p=0.17CMH検定:p=0.273(two sided)
P 敗血症、DIC疑いの患者(PLT, INRから算出した
modified DIC score≧2(3))
I rhsTM投与群
C Placebo群
O 28日全死亡率
背景②SCARLET
28日死亡率有意差なし、しかし低い傾向あり
rhTM 日本の第Ⅲ相試験
J Thromb Haemost 2007; 5:31-41
P DICの患者234人
I rhsTM(0.06mg/kg/day)を6日間投与
C 未分画ヘパリン(8U/kg/h)投与群
OPrimary:DIC離脱率Secondary:出血、28日死亡率
DIC:厚生省の診断基準を使用• 7点以上 or 4点以上+重症の血小板減少あり ⇒診断• 6点 or 3点+重症の血小板減少あり ⇒追加検査で診断
Limitation対照患者が敗血症に限らない比較対象がヘパリン治療PrimaryOutcomeが死亡率ではない
背景①SCARLET
この研究を以て日本では保険収載
Primary OutcomeDIC離脱率:rhsTM群で有意に高い
Secondary Outcome出血:rhsTM群で有意に少ない死亡率:有意差なし
Subgroup解析-
上記3点のSubgroup解析で、
rhsTM投与群が28日死亡率低下する傾向にあった
Crit Care Med. 2013;41:2069-2079.
背景③SCARLET
◼循環不全 and/or 呼吸不全がある◼PT-INR>1.4
◼3万< 血小板 <15万/µL
JAMA. 2019;321: 1993-2002
P 敗血症関連凝固障害あり、18歳以上1つ以上の臓器障害を伴う(呼吸or循環)
I rhsTMの投与(0.06mg/kg/day 6日間)
C Placebo投与群
O①介入開始から28日後の全死亡率②3か月後の全死亡率、ショック/人工呼吸器/透析フリーの
生存日数で評価した28日までの臓器機能不全の治癒
多施設RCT:27カ国(319施設)期間:2012年10月〜2018年3月*日本不参加
今回の論文
SCARLET
敗血症関連凝固障害✓ PT-INR>1.4
✓ 3万<血小板<15万/µLor PLT30%減(24Hr以内)
Inclusion Criteria
初回投与
≦4 hrsWindow 2CCC※による
Inclusion criteriaの確認
承認・IC・ランダム化
Window 1臓器障害・凝固障害があるかの確認期間
※中枢機関 CCC:Clinical Coordinating Centers
……
以下の2項目を満たせばWindow 1⇒2へ移行
•循環障害 or 呼吸障害あり• INR>1.4 or 3万<PLT<15万/µL or PLT30%減/24hrs
敗血症起因と思われる循環障害or呼吸障害を伴う
or
INR or PLT 初回測定
組入れされてから
Baseline 採血まで最大36時間
初回薬剤投与まで最大40時間
経過している可能性がある
SCARLET
Baseline採血組み入れ
背景rhsTM群
N=395Placebo群
N=405年齢 63 (50-73) 62 (51-73)
登録人数/ICU1施設 2.0 (1.0-4.0) 2.0 (1.0-4.0)
ICU数 125 127
PT-INR ≧1.601.4-1.59
54.9 (%)31.9 (%)
53.3 (%)33.3 (%)
血小板 ×109 150>150-101
100-81≦80
23.3 (%)36.5 (%)12.2 (%)28.1 (%)
23.7 (%)33.6 (%)16.3 (%)26.4 (%)
乳酸値 mmol/L 4.2(3.6) 3.8 (2.8)
APACHE Ⅱ score mean 22.3(8.1) 22.1(8.0)
腹腔内感染症 31.1 (%) 29.4 (%)
SCARLET
Primary Outcome
28日死亡率 有意差なし
SCARLET
26.8%
29.4%
Baseline凝固障害(1) INR≦1.4(2) PLT≦3万/µL
28日死亡率
凝固障害、重症度(APACHEⅡ)で比較しても有意差なし
INR値
TAT値
Protein C値
APACHEⅡ
Subgroup 解析SCARLET
まとめSCARLET
敗血症性凝固障害の患者に、
rhsTM 製剤を使用しない