“放射線技師の83%がゴリラを⾒逃した”By Trafton Drew, Harvard Medical School
⼈は無意識的に情報を選択している
出典:”The Invisible Gorilla Strikes Again:Sustained Inattentional Blindnessin Expert Observers”, TraftonDrew, Melissa L.-H. Võ, and Jeremy M. Wolfe, Harvard Medical School.
「Moonwalking Bearに気づかない」「放射線技師の83%がゴリラを⾒逃した」
⼈は⾒たいモノしか⾒ない
p ⼈の認知には無意識にバイアス(認知バイアス)がかかっている。
p 特定の集団は特定のバイアスにかかってることが多い。(専⾨家バイアス)
p 全体俯瞰のためには、異なるバイアスを持つ多様な⼈々との協働が必要。
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<Previous>東京⼤学⼤学院⼯学系研究科航空宇宙⼯学専攻
慶應義塾⼤学⼤学院SDM研究科博⼠(システムエンジニアリング学)
三菱電機株式会社宇宙ステーション補給機(HTV)準天頂衛星システム(QZSS)途中、エアバス社にてMBSE⽴ち上げ
内閣府ImPACTプログラム プログラムマネジャ<Present>慶應義塾⼤学⼤学院 SDM研究科 教授
システムアーキテクチャ、“システムxデザイン”思考⽅法論研究
IPAデジタルアーキテクチャ・デザインセンター有識者会議座⻑
ISO JTC1/SC7 WG42「アーキテクチャ」国内主査Synspective inc.ファウンダー、取締役各種委員会委員
内閣府 宇宙政策委員会委員、内閣官房 デジタル市場競争会議委員国交省 スマートシティモデル事業等推進有識者委員会経産省 成⻑戦略部会委員、2030年モビリティビジョン検討会委員等「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」
アーキテクチャの定義• その環境下におかれたシステムの基本的なコンセ
プトや特性であり、要素と要素間の関係性に具現化され、その設計や進化の原則となるもの。
(出典︓ISO/IEC/IEEE 42010-2010)要するに、• 全体がどのように⽬的を実現しているのかの基本
的なコンセプト/構想(実現の⽅向性)。そのコンセプトからシステム特性が⽅向付けられる。
- ビックピクチャーから考える- ⽬的を実現する仕組みをデザインする
• システムと外界との関係、システムを構成する要素、構成要素間の関係で決められ、表現される。
アーキテクチャとはEx. 街というシステムのデザイン• ⽬的︓「住みやすい街」をデザイン–「住みやすい」=⾃由に移動できる
–「住みやすい」=⾃由に移動できる&安全(⾞とそれ以外を分ける)
「⾞とそれ以外を分ける」という⼤きな⽅向性は満たしているが、実際には使いやすさなどは⼤きく異なる。さらに、詳細をどうするかは⾃由である。
アーキテクチャとはEx. 街というシステムのデザイン• ⽬的︓「住みやすい街」をデザイン–「住みやすい」=⾃由に移動できる
–「住みやすい」=⾃由に移動できる&安全(⾞とそれ以外を分ける)
この中のアーキテクチャもある[email protected] 7
アーキテクチャの価値
単⼀ではなく、複数の”要素”を組み合わせることで「価値」が⽣まれる
何と何をどのように組み合わせるかが重要となる︕
何と何をどのように組み合わせるか(つなげるか)︖
=
アーキテクチャ
システムの価値を⽣み出せる⼈材は、各所で必要とされている。AI、IoT、ビッグデータなども、どのように組み合わせるかで価値が変わる。Ex. AI Systems Engineerなど
アーキテクチャの役割① 全体構想をつくる– 構成要素と要素間の関係性を決める→どこを⾃動⾞道にするのか︖歩道にするのか︖→利害関係が絡む。多様な専⾨家が必要。
スマートシティを設計するときに、何をどのように考えればいいのか︖
出典:スマートシティリファレンスアーキテクチャホワイトペーパー[email protected] 9
アーキテクチャの役割① 全体構想をつくる– 構成要素と要素間の関係性を決める→どこを⾃動⾞道にするのか︖歩道にするのか︖→利害関係が絡む。多様な専⾨家が必要。
② 相互運⽤性を⾼める– Society5.0︓これまでつながってなかったものがつながり、データを活⽤することで、⼈間中⼼の新たな価値の創出。
Society 5.0サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を⾼度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両⽴する、⼈間中⼼の社会(Society)
出典︓内閣府
つながる社会とデータ活⽤による、市⺠への新たな価値提供
System of Systems
出典︓INCOSE Systems Engineering Handbook12
System of Systems以下の5つの特徴をもったシステムをSystem of Systems (SoS)と呼んでいる。
1. 運⽤の独⽴性︓SoSの構成システムは、個別に運⽤。2. 管理の独⽴性︓構成システムは別々に調達され、インテグレ
ート。しかし、運⽤中の構成システムはそのまま運⽤。3. 進化的開発︓機能や⽬的が追加/削除されたり、途中で変更
されるなど、開発とシステムが進化的。4. 創発的振舞い︓構成システム単独では実現できない⽬的を、
SoSとして実現。5. 地理的な分散︓構成システムが離れており、構成システム間
では、質量やエネルギーの物理量ではなく、情報を交換。
SoSでないSystemを“Monolithic System”と呼ぶ。出典: “Architecting Principles for Systems-of-Systems”, Mark W. Maier (1998)
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System of Systems
世の中の動き︓つながりはじめたシステム
出典︓経済産業省資料より抜粋
出典︓テキサスインスツルメント資料より抜粋
出典︓「インダストリー4.0 実現戦略報告書」より抜粋
出典︓「インダストリー4.0 実現戦略報告書」出典:Smart Grid Reference Architecture
Smart Grid Reference Architecture RAMI4.0
• 範囲を限定することによって、ArchitectureのReference
Modelをつくることができる
• 相互運⽤性を担保するための⽅針
SoSの相互運⽤性のためのリアレンスアーキテクチャ
Society 5.0 リファレンスアーキテクチャモデル
“Data Free Flow with Trust”2019年1⽉ダボス会議 安倍⾸相提案
相互運⽤性のためのリファレンス
アーキテクチャ
出典:内閣府
アーキテクチャの役割① 全体構想をつくる– 構成要素と要素間の関係性を決める→どこを⾃動⾞道にするのか︖歩道にするのか︖→利害関係が絡む。多様な専⾨家が必要。
② 相互運⽤性を⾼める– Society5.0︓これまでつながってなかったものがつながり、データを活⽤することで、⼈間中⼼の新たな価値の創出。
→そのためには、つながりやすくするためのリファレンスが役⽴つ。スマートグリッドリファンレスアーキテクチャやRAMI4.0など。(リファレンスアーキテクチャは多様な⽬的があるので注意が必要。)
アーキテクチャの役割③ ⼈の⾏動を決める– アーキテクチャを決めることで、⼈の⾏動を律することができる(参考︓ハーバード⼤学 レッシグ教授)
• 「酒気帯び運転禁⽌」
アーキテクチャにより⼈を律すると、⼈の合意を経ることなく⾏動を制限させることが可能
出典:いらすとや 出典:TABI LABhttps://tabi-labo.com/147260/non-alcohol-car
アーキテクチャの役割③ ⼈の⾏動を決める– アーキテクチャを決めることで、⼈の⾏動を律することができる(参考︓ハーバード⼤学 レッシグ教授)
④ 全体像の可視化– 特にデジタルの世界は、⽬に⾒えない。アーキテクチャの可視化により多様な利害関係者が議論可能となる。
– ⼤きな⽅向性を産官学で議論可能とする⼟台。
出典︓ISO/IEC/IEEE 42010 – Systems and software engineering –Architecture description
アーキテクチャの記述
出典:機械設計のための基礎製図https://www.nmri.go.jp/eng/khirata/mechdesign/ch04/ch04.html
アーキテクチャの役割③ ⼈の⾏動を決める– アーキテクチャを決めることで、⼈の⾏動を促すことができる(参考︓ハーバード⼤学 レッシグ教授)Ex.壁をつくって渡れない道路にすれば、道路を渡ることはできない。
④ 全体像の可視化– 特にデジタルの世界は、⽬に⾒えない。アーキテクチャの可視化により利害関係者が議論可能となる。
– ⼤きな⽅向性を産官学で議論可能とする⼟台。⑤ ガバナンスの変⾰(ガバナンスイノベーション)
VUCAワールドVolatility:変動, Uncertainty:不確実Complexity:複雑, Ambiguity 曖昧
• これまでの常識・前提が通⽤しない• “⾃分が知っている”と思っているものが実際は知っていない [email protected] 35
リバイアサンモデルの崩壊
ガバナンスイノベーション
• 技術進化を含む環境変化の早さ• 全てを理解することは困難
出典:Wikipedia
国(ルールを作る側)と民間(ルールに従う側)との役割分担の変更
出典:経済産業省[email protected] 36
アーキテクト育成• ⾼い抽象度(全体感)と具体の両⽅のアーキ
テクチャを扱える⼈材が不⾜– ⼤きな構想と実際の実装経験– 多様な分野の経験
• 理論と実践の両輪が必要– ⾃分の専⾨分野において、実装に近いアーキテク
チャをデザインできる⼈はいる– 実践的にはできても、System of Systems、アー
キテクチャデザインに関する知識、考え⽅、アプローチ⽅法を知らず、応⽤ができない
– ⼀⽅、実践経験がないと、実⾏上の困難さなどの想像ができない。
• 多岐にわたる分野の統合が必要– ⾃分の専⾨以外の分野も統合– コミュニケーション&可視化スキル
まとめ
• アーキテクチャはビッグピクチャーからスタートする設計のアプローチ
• システムオブシステムズの相互運⽤性のためにリファレンスアーキテクチャを活⽤可能
• スマートシティリファレンスアーキテクチャは、スマートシティ設計と相互運⽤性をサポート
• アーキテクト育成は重要だが、簡単でない• IPAにデジタルアーキテクチャデザインセンター(DADC)がスタート
Design the future!www.sdm.keio.ac.jp
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