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Date post: 21-Jun-2020
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令和元年度厚生労働省委託事業 「伐木等作業安全対策推進事業」 チェーンソーを用いた 伐木作業安全マニュアル 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 (一社)日本労働安全衛生コンサルタント
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令和元年度厚生労働省委託事業

「伐木等作業安全対策推進事業」

チェーンソーを用いた

伐木作業安全マニュアル

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会

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は じ め に 林業における労働災害発生率は、他産業と比較して極めて高く、国際的に見ても高い

水準にあり、また、死亡者数については、平成 23 年以降 40 人前後で推移しており、改善が見られていない状況にあります。

林業における労働災害はチェーンソーに起因するものの割合が高く、チェーンソーに起因する労働災害の被災部位は下肢が最も多くなっております。また、死亡災害についてみると、伐倒方法が不適切であるなどチェーンソー作業に関係するものが約6割に達しています。

厚生労働省では、平成 24 年度以降、林業の安全対策に関する技術的検討を進め、平成 27 年 12 月に「チェーンソーによる伐木等作業に関するガイドライン」をとりまとめ、その普及定着を図り、チェーンソー作業における労働災害防止対策の一層の推進を図っています。

さらに、本年 8 月に改正された労働安全衛生規則を踏まえ、従来からの伐木等作業における安全作業に係る作業方法や手順等を改めて整理するとともに、現に伐木等作業に従事する労働者の能力向上等を図るため、更なる安全対策の推進が求められています。

このマニュアルは、チェーンソーを用いた伐木等作業に係る安全作業のためのものであり、伐木等作業の安全に係る改正労働安全衛生規則を含めた労働安全衛生法令及び同法令に基づく伐木等作業の安全に係るガイドラインに基づく安全対策について理解の促進を図ることを目的として作成したものです。

なお、マニュアルの作成に当たっては、「伐木等作業安全対策推進事業マニュアル作成検討会」を設置し、検討、とりまとめを行いました。

また、事業場でのより的確な活用を図るため、チェーンソーを用いた伐木等作業に係る事業場に対してヒアリングを実施し、マニュアルについて貴重なご意見をいただきました。ご協力をいただいた事業場の皆さまに感謝申し上げます。

本マニュアルが、伐木等作業における安全対策の推進に活用され、林業における労働災害の減少に寄与することを心から祈念申し上げます。

2019 年 9 月

一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会 会⾧ 石 田 修

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目 次

1 林業における労働災害 ................................................................. 1

1.1 林業における労働災害発生の状況 .................................................... 1

1.1.1 林業における労働災害の推移 .................................................... 1

1.1.2 起因物別、事故の型別の災害の状況 .............................................. 2

1.1.3 年代別、事業場規模別、月別の災害発生状況 ...................................... 4

1.2 死亡災害事例、死傷災害事例 ........................................................ 6

2 伐木等における安全な作業 ............................................................ 11

2.1 「伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会」の提言の概要 ................. 11

2.2 労働安全衛生規則の改正のポイント ................................................. 14

2.3 林業作業に係るガイドライン ....................................................... 16

2.3.1 林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン ............... 17

2.3.2 チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン ....................... 18

2.3.3 かかり木の処理 ............................................................... 19

2.3.4 作業計画等 ................................................................... 21

2.4 リスクアセスメントと作業手順 ..................................................... 23

2.4.1 リスクアセスメント ........................................................... 23

2.4.2 作業手順 ..................................................................... 24

3 伐木作業等に関する法令 .............................................................. 27

3.1 作業主任者の選任 ................................................................. 27

3.2 就業に当たっての措置 ............................................................. 27

3.2.1 就業制限 ..................................................................... 27

3.2.2 特別教育 ..................................................................... 28

3.3 譲渡等の制限 ..................................................................... 29

3.4 木材伐出機械等の安全 ............................................................. 29

3.4.1 車両系木材伐出機械共通 ....................................................... 30

3.4.2 伐木等機械 ................................................................... 31

3.5 伐木作業の安全 ................................................................... 32

3.5.1 伐木作業における危険の防止(則 477 条) ....................................... 32

3.5.2 かかり木の処理の作業における危険の防止(則 478 条) ........................... 33

3.5.3 伐倒の合図(則 479 条) ....................................................... 34

3.5.4 造材作業における危険の防止(則 480 条) ....................................... 35

3.5.5 立入禁止(則 481 条) ......................................................... 35

3.5.6 悪天候時の作業禁止(則 483 条) ............................................... 36

3.5.7 保護帽の着用(則 484 条) ..................................................... 36

3.5.8 下肢の切創防止用保護衣の着用(則 485 条) ..................................... 36

参考資料 .................................................................................38

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1 林業における労働災害

1.1 林業における労働災害発生の状況

1.1.1 林業における労働災害の推移

林業における労働災害の死亡者数及び休業 4日以上の死傷者数の推移を図 1-1 に示します。いずれ

も長期的には減少傾向にありますが、死亡者数は、平成 23 年以降は横ばいとなっており、あまり減少

していません。

労働者 10万人あたりの死亡率(図 1-2)を見ると、平成 30 年では林業は 51.7 で全産業の 1.6 に比

較すると約 50倍、死傷年千人率(図 1-3)で見ると、林業は 22.4 で全産業の 2.3 の約 10 倍と非常に

高くなっており、林業の労働災害の発生率が極めて高いことがわかります。

図 1-1 林業における労働災害の死亡者数、死傷者数の推移

(出典:厚生労働省「職場のあんぜんサイト」死亡災害報告、労働者死傷病報告等より集計。

死傷者数は平成 10 年までは労災保険給付データ、平成 11 年以降は労働者死傷病報告による)

※ 図 1-1、図 1-2、図 1-5〜図 1-10、図 1-12〜図 1-16 は厚生労働省の職場のあんぜんサイトに公開されている「死亡災

害報告」による死亡災害発生状況(平成 3年〜平成 30 年)、「労働者死傷病報告」による死傷災害発生状況(平成 11 年

〜平成 30 年及び厚生労働省「労働災害発生状況」(平成 3年~平成 10 年)※)を集計した。

※ 厚生労働省HPでは平成 10 年以前のものが現在把握できないため、林業・木材製造業労働災害防止協会のHPで把握

したものを利用した。

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図 1-2 林業における労働者 10 万人あたりの死亡率 図 1-3 林業における死傷年千人率

出典:死傷年千人率は「職場のあんぜんサイト」

出典:死亡率は「職場のあんぜんサイト」に記載された年千人率と死傷者数から労働者数を算出し、それを死亡者数に除

して算出。

1.1.2 起因物別、事故の型別の災害の状況

林業における死亡災害の起因物(中分類)を図 1-4、起因物(小分類)を図 1-5 に示します。

起因物(中分類)では「環境等」が全体の 68%を占め、もっとも多い。また、起因物(小分類)で

は、立木等が全体の 6 割を占めることがわかります(注:環境等には、「地山・岩石、立木等、水、異常環境

等、高温・低温環境等」があります)。

死傷災害の起因物(中分類)を図 1-6、起因物(中分類)を図 1-7 に示します。

起因物(中分類)では「環境等」が全体の 47%と最も多く、ついで「木材加工用機械」の 21%です。

起因物(小分類)では、立木等が全体の 36%、チェーンソーが 19%を占めています。

図 1-4 林業における起因物(中分類)別の死亡者数 (平成 3 - 30 年の 1537 人の内訳、車両系木材伐出機械等は

平成 27年より集計)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-5 林業における起因物(小分類)別の死亡者数 (平成 11 - 30 年の 939 人の内訳。走行集材機械、伐木

等機械、架線集材機械は平成 27年より集計)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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図 1-10 林業における作業の種類別死亡者数

(平成 27-28 年分 79 人の内訳)

出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部「伐

木等作業における安全対策のあり方に関す

る検討会報告書」

次に事故の型別の死亡者数を図 1-8、死傷者数を図 1-9に示します。

死亡者数では「激突され」が全体の 36%、次いで「墜落・転落」が 17%を占めています。死傷者数

は「切れ・こすれ」が全体の 27%、「激突され」が 20%を占めています。

以上のことから、林業において伐木作業中に伐木が激突する災害やチェーンソーによる災害が多く

発生していることが推察されます。実際に平成 27年から 28年の作業別の死亡者数(図 1-10)におい

て、伐木作業(チェーンソー作業によるもの)が全体の 62%を占めることがわかります。

図 1-8 林業における事故の型別の死亡者数 (平成 3 - 30 年の 1537 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-6 林業における起因物(中分類)別の休業4日

以上の死傷者数 (平成 11 - 30 年の 44684 人の内訳、車両系木材伐出機

械等は平成 27 年より集計)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-7 林業における起因物(小分類)別の休業4日

以上の死傷者数) (平成 17 - 30 年の 27067 人の内訳。走行集材機械、伐

木等機械、架線集材機械は平成 27 年より集計)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-9 林業における事故の型別の休業4日以上の

死傷者数 (平成 11 - 30 年の 44684 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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1.1.3 年代別、事業場規模別、月別の災害発生状況

図 1-11 に年代別の死亡者数、図 1-12 に年代別の死傷者数を示します。

どちらも年代が上がるにつれて被災者数が増えていますが、60 代以上の割合が死亡では 56%、死

傷では 38%となっています。死傷者数で高齢者の割合が減った要因として、身体機能の衰えによって

高齢者に死亡事故が多いことや、経験の浅い作業者が作業中に休業4日以上のケガを負っている可能

性が挙げられます。

その他、事業場規模別の死亡者数、同死傷者数を図 1-13、図 1-14 にそれぞれ示します。

図 1-11 林業における年代別の死亡者数 (平成 3 - 30 年の 1537 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-12 林業における年代別の休業4日以上の

死傷者数(平成 11 - 30 年の 44684 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図1-13 林業における事業規模別の死亡者数(平

成 3 - 30 年の 1537 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-14 林業における事業規模別の休業4日以

上の死傷者数(平成 11 - 30 年の 44684 人の内訳)

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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また、月別の死亡者数、同死傷者数を図 1-15、図 1-16 にそれぞれ示します。

図 1-15 林業における月別の死亡者数。平

成 3 - 30 年の 1537 人の内訳。

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

図 1-16 林業における月別の休業4日以上

の死傷者数。平成 11 - 30 年の 44684 人の内

訳。

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト

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1.2 死亡災害事例、死傷災害事例

【事例 1】

伐採現場で立木を伐倒したとき、かかり木になっていた根腐れした立木が、退避していた被災者の

方向に倒れてきて直撃

<発生状況>

この災害は、パルプ材の伐採現場においてチェーンソーで立木の伐

倒及び玉切り(伐倒木を枝払いし、樹幹の大小、曲がり等を見極め用

途に応じて定められた長さに切り丸太にすること)を行っていた被災

者が立木 Aを伐倒したとき、これとかかり木になっていた根腐れした

立木 Bが被災者の退避方角に倒れてきて直撃したものである。

この伐採現場では、被災者が立木の伐倒及び玉切りを、事業主が林

内作業車により伐木の集材と運材を行っていた。

災害発生当日の午後、事業主が前日までに伐倒した伐木を林内作業車で搬出するため伐採現場を約 1

時間離れたあと、伐採現場に戻ると被災者が立木 Bの倒木(高さ約 14m、根元周囲約 1.3m)の先端で下敷

きになっていた。至急、救急車で病院に搬送したが死亡した。

被災者が倒れていた場所から 1.8m のところに自生している立木 A は、二股に分かれており、1 本(立

木 C)が伐倒され玉切りされ、もう 1本(立木 A)は伐倒された状態であった。このことから立木 Aを伐倒

後に被災したものと推定される。なお、チェーンソーは、そこから 3.7m 谷川に落ちて停止していた。ま

た、被災者の保護帽は倒れていた場所から 6.3m 谷川に落ちており上部に 8cm の亀裂があった。

<原因>

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 被災者を直撃した立木 B は、被災者が伐倒した立木 A と上部で枝条または蔓が絡んでいた。さらに

根腐れを起しており、わずかな力で倒れる状態であったこと。

2 被災者は、立木 Aの切り株から山側に 1.8m 上ったところ(垂直距離で約 1m)に倒れていたことを考え

ると、伐倒直前に倒れた立木 Bの下方側面側に退避したと思われるが、その立木 Bも立木 A に引きず

られて倒れる際に別の立木に当って方角が変って被災者側に倒れてきたものと思われる(別の立木に

擦れた跡があった)。

3 立木の伐倒時に枝条等で作業中に危険を生ずるおそれのあるものの確認、取り除きが不十分であっ

たこと。特に伐倒直前の確認等が不十分であったこと。

4 伐倒予定木の周囲にあるかかり木等の処理を事前に適正に実施していなかったこと。

5 被災者の作業の経験年数は 30 年であったが、チェーンソーによる伐木作業についての正規の安全衛

生教育を受けておらず、伐倒前後のかかり木等周囲の状況への対応が不十分であったこと。

<対策>

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 伐木の作業を行うときは、かん木、枝条、蔓、浮石等で伐倒の際その他作業中に危険の生ずるおそれ

のあるものを取り除くこと。

2 伐倒の際に退避する場所を、あらかじめ、選定すること。

3 伐倒直前には、伐倒方向、周囲の状況、退避場所の再確認等最善の注意を払うこと。

4

5

伐採作業の経験だけで十分な知識・技能を有していると考えずに正規の安全衛生特別教育を行うこと。

重機(グラップル)等を用いてかかり木を処理すること。

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【事例 2】

枯損木をつり切り作業中、胴綱をチェーンソーで切断し墜落

<発生状況>

この災害は、枯損木をつり切りする作業中、誤って胴綱をチェーンソーで

切断し墜落したものである。

松喰虫に冒された立木をつり切りする作業は、木に登って枝を払った後、

幹の頂部にベルトスリングを巻き付け、移動式クレーンで吊りながら、幹を上

部から 3~4 m ほどの長さに順次切断し、クレーンで撤去するものである。

作業者は、胴綱を装着し、鉄の爪(昇柱器)の付いた靴を履き、松の木の

幹を胴綱で体を支えながら切断する位置まで昇り、幹に巻いた胴綱で体を

斜めに支え、幹に靴の爪を食い込ませて足場とし、チェーンソーを使用して幹を切断していた。

災害発生当日、社長、伐採者 A 、現場作業員 B、 トラック運転者 C、 クレーン運転者 D およびクレーン運転

者 E で朝から作業を行い、午後になって 3 本目のつり切り作業に取り掛かった。A は 1 番目のつり切りを終え、

2 番目のつり切りを行うため、高さ約 10.5m の幹の切断箇所で、切断面から 50cm 下あたりに掛けた胴綱で体を

支え、胴綱はチェーンソーの取扱いと上体の動作をさまたげないようにそれを見込んだ長さまで伸ばした状態で

作業を始めた。A はチェーンソーを水平に保持して、受け口、追い口の順に幹を切断し、クレーンで吊った切断

した幹が振れても激突しないように上体を下にかがめたとき、手にしたチェーンソーに触れた胴綱が切断し、墜

落した。

<原因>

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 幹が切断され、クレーンで吊られた状態になったとき、荷が振れて作業者に激突するおそれがあったので、それを

避けるために、作業者がバランスを崩し、手に待ったチェーンソーの歯が胴綱に接触し、胴綱が切断したこと。

2 切断する幹に掛けたベルトスリングによる玉掛けの方法が悪かったこと。

切断された幹が作業者の方角に振れるような玉掛け方法であった。

3 幹を切断して、直ぐにチェーンソーを停止しなかったこと。

4 墜落防止の措置が不十分であったこと。

この場合の胴綱は昇柱器と一体として、幹を昇降したり、切断作業中は足場として使用するもので、墜落防止

のために使用されているものではない。

5 危険なつり切り作業を実施し、安全作業手順の検討が不十分であったこと。

6 作業の指揮命令系統が不明確であったこと。

移動式クレーンは運転者付きのレンタルで初めての作業であったが、作業の指揮命令系統が不明確で、作

業の進行が各自の判断にまかされていた。

<対策>

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業現場を事前に調査し、安全な作業計画を検討すること。

高所作業が必要な場合には、高所作業車の使用等安全な作業床が確保できる作業方法を採用する。

2 やむを得ず、つり切り作業を採用する場合には、墜落防止対策を徹底すること。

(1) 切断してクレーンに吊られたときに荷が振れないように玉掛けすること

(2) 切断してクレーンに吊られたときに荷が振れないようにクレーンを運転すること

(3) 切断が終わったとき、直ちにチェーンソーのスイッチを切ること

(4) 胴綱と別に親綱を張り墜落制止用器具(安全帯)を取り付けるなど墜落防止の措置を実施すること

但し、著しく困難な場合は U 字つり用胴ベルトを2本使用するなどの措置を行うこと。※

3 作業現場の状況に適合する安全作業手順を定め、関係作業者に周知徹底すること。 4 安全管理体制を整備し、現場の安全管理を徹底すること。 特に、運転者付きのレンタル移動式クレーンを使用するなど初めて一緒に作業する者がいる場合には、作業の指揮命令系統を明確にし、作業の進行を各自の判断にまかすことのないようにする必要がある。

(※編注:立木上での作業で、墜落制止用器具の使用が著しく困難な場合(フックがかけられない場合など)には、墜落制止用器具の使用に替わる措置として、U 字つり用胴ベルト及び保護帽の使用などにより、墜落による労働災害の防止措置を行う必要があります。(厚生労働省リーフレット))

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【事例 3】

立木の伐倒作業中、激突された。

<発生状況>

この災害は、立木の伐倒作業中に発生したものである。

この作業は、砂防ダム建設工事のうちの準備工として、河川

両岸の立木の伐採(伐倒、枝打ち、玉切り、搬出等)を行うも

のであった。

災害発生当日の朝、午前 7時 50 分頃から、現場作業の説明・

打合せが始まり、伐採範囲、地形、立木の状況、作業方法、作

業分担などが確認され、KYミーティングの後に作業が開始さ

れた。

午前 11 時頃、元請の現場責任者が、被災者に対して立木の

伐倒箇所から南東方向に約 13m離れた地点で別の伐倒木の枝

払い作業を行うよう指示を与えた。あわせて、立木の伐倒方向

を伝えていた。

そして、現場責任者は、現場入口から東北方向約 70m離れた地点で、高さ約 17m、南東方向に約 30

度の下り斜面に立っていた立木をチェーンソーで南西方向(川下方向)に倒そうとし、受け口を切り込

み、次に伐倒する旨を被災者に伝え、最後に追い口を深く入れたところ、川下方向からの風が強くなり、

伐倒方向が約 90 度ずれ、チェーンソーで枝払い作業をしていた被災者の右肩に直撃した。

<原因>

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 伐倒木の倒れる範囲内で作業をしていた被災者を、安全な場所まで待避させることなく立木の伐倒

を行ったこと。

被災者の所属する会社では、安全教育時に使用する「伐倒作業手順」および「作業注意事項」におい

て、「伐採作業を行うときは、作業員の間隔を立木の樹高の約 1.5 倍の距離をおくこと。」としており、

このルールが守られていなかった。

2 チェーンソーによる伐採方法が不適切であったこと。

(1) 受け口および追い口の切り込みを立木に水平に入れるべきところを、地山の傾斜面にほぼ平行

(角度は約 15 度)に入れたため、力学的にみて被災者の作業位置方向に倒れる力が働いたと思わ

れること。

(2) 追い口を深く入れすぎたため、伐倒方向に直角に残るべき「つる」が被災者方向に約 7cm 残る程

度であったことにより、被災者方向に倒れやすい方向になったこと。

3 被災者が伐倒箇所に背を向けて枝払い作業を続けており、伐倒方向を確認していなかったこと。

<対策>

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 立木の伐倒作業を行う場合には、あらかじめ「伐倒作業手順」および「作業注意事項」に定められた

作業方法による作業計画を作成し、当日のKYミーティングなどで、特に次の点の安全確認を行わせ

ること。

(1) 伐倒作業を行う場合には、伐倒範囲内で作業する者に対し、必ず、立木の樹高の 2倍以上の間隔

を確保し、伐倒作業を行う者と枝打ち等の作業を行う者との安全な退避距離や位置を相互に確認さ

せてから作業を開始させること。

(2) チェーンソーによる伐木作業時の技能の判断基準として、伐倒方向が地山の傾斜面の横方向また

は斜め下方向に受け口および追い口の切り込みを入れ、作業手順どおり、伐倒方向に垂直に「切り

残し(つる)」が伐根直径の約 10 分の 1以上残るようにすること。

2 作業時の危険性を再評価し、作業手順や注意事項の内容を見直し、現場責任者、関係労働者全員に対

する安全教育を行い、周知徹底すること。

3 立木の伐採作業についての知識の習得や経験を積ませるため、現場責任者等に対し、専門機関の研

修を受講させ、効果的な技術の習得や安全意識の高揚に努めること。

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【事例 4】

伐採現場に向かう途中、伐倒木の下敷きとなった。

<発生状況>

この災害は、伐木作業中に発生したものである。

被災者の所属する会社は、3 種類のから松(径 21cm、長さ 3.3

m、3.1m、2.5mのもの)各 26 本を伐倒、造材し、搬出する作業

を請け負った。

災害発生当日、社長は、伐木作業員である被災者と現場に入り

伐採を指示したが、被災者一人では間に合わないと判断し、同業

者に伐採作業員、林内作業車の運転者ほか1名の応援を頼んだ。

午前 9時 30 分頃、3名が現場に到着したので社長から作業内容

の指示と伐木に先立って藪の除去の指示があり、3 名は作業に取

りかかり、午前の作業を終える頃に被災者は応援の伐採作業員か

ら 10mほど離れたところで伐採作業を行っていた。

昼食後、応援の伐採作業員は昼食前に行っていた作業現場に戻り立木の伐倒を行うこととし、側にい

た被災者に「この木を切るわ」と声をかけたところ、被災者は「分かった」と返答し、自分のチェーン

ソーが置いてある午前中の作業場所に向かって歩き始めた。

そこで応援の伐採作業員は、長さ 22mの木を伐倒し続いて枝払いをしていたところ、被災者が伐倒し

た木の先端部分に近いところで脳挫傷のため死亡していた。

<原因>

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 接近した箇所で同時に伐木作業を行わせていたこと

被災者が木の伐採を行っていた場所は、広さが 40m×30m程度の比較的狭いところであったが、立木

の高さは 22m前後もあったので、同時に伐木作業を行った場合には他の作業者が伐倒木の下敷きになる

危険があったのに 2名の作業員に同時に作業を行わせた。

2 作業の指示が明確でなかったこと

社長は被災者に午後の伐木の変更を指示したが、関係作業者を含めて指示していなかったため、被災

者が近くの二股の木を切ることを応援伐採作業員は知らなかった。

3 木を倒すときの合図が不十分で、また、伐倒方向に人のいないことの確認を十分に行わなかったこと

応援伐採作業員は、径 37cm の木を意図した方向に倒すため受口を 8cm 作り、この反対側の 8cm 高い

位置に追口を設定したのち、声をあげて伐倒の合図を行ったが、チェーンソーのエンジン音で合図の声

が被災者には届かなかった。

<対策>

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業計画を作成し作業者に徹底すること

立木の伐倒作業を行う場合には、周囲の状況を確認のうえ適切な作業計画を作成し、それに基づいた

作業者の配置等を行う。また、作業計画には立入禁止区域も明示する。(安衛則第 477、481 条関連)

2 伐倒について一定の合図を定め、関係作業者に周知徹底するとともに、伐倒方向に作業者がいないこ

とを十分に確認した後、伐倒作業を開始すること

伐木の作業を行う時の合図については、関係作業者に確実に伝達できる方法で実施する。(安衛則第

479 条関連)

3 安全管理を実施すること

規模の小さい事業場であっても安全担当者の指名等を行い、作業マニュアルの作成と周知徹底、安全

教育の実施等を行わせる。

また、複数の事業場の作業者が同一の場所で行う場合には、作業の責任者を中心として相互の連結調

整を行うとともに、作業内容を関係作業者に徹底する。さらに作業の責任者は、関係作業者の作業状況

を確認し必要な指示を行う。

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【事例 5】

機械集材装置を使用して全幹集材した伐倒木を中継土場に積み上げ中、「はい」が崩れて下敷きと

なった。

<発生状況>

この災害は、伐倒木の中継用土場において、機械集材装置を使用して集

材した伐倒木を山の斜面に積み上げる作業を実施中、既に 3 段まで積み上

げた足元の伐倒木(「はい」状態)が崩れ、作業者が巻き込まれたものであ

る。

標高 370m、傾斜約 35度の斜面にある中継用土場から 300m 離れた伐採現

場では、現場責任者の作業者 A 、作業者 Bおよび作業者 C の 3名が、チェ

ーンソーを用いての伐倒、枝払い作業を行い、その伐倒木を作業者 D が機

械集材装置の搬器に荷掛けを行い、中継用土場では作業者 E が機械集材装

置の運転業務および伐倒木の搬器からの荷下ろし作業を行うという配置で

全幹集材作業を行っていた。なお、中継用土場と伐採現場とは、互いに視認できない位置にあるので、

作業者 E と他の 4人との連絡手段は無線であった。

災害発生当日の午後 4 時 30 分頃、運搬してきた伐倒木(ヒノキ材、胸高直径 30cm、長さ 20m、重さ

500kg)を、35 度の斜面に 30 本の伐倒木を 3 段に積み上げている中継土場の上に下ろした。玉掛け用ワ

イヤロープを外そうとしていたところ、作業者 Eが乗っていた足元の伐倒木が崩れ、頭から転落し、そ

の上に伐倒木が崩れ落ちてきて、下敷きになった。

<原因>

原因としては次のようなことが考えられる。

1 林業架線作業主任者が職務を遂行していないこと

現場に不在で、安全な作業方法を決定し、作業指揮していなかった。

2 伐倒木の中継用土場は急斜面で不安定な場所であったこと

荷下ろし個所である伐倒木の中継用土場は勾配が 35度の急斜面であった。

3 不安定な場所に積み上げていたのに、荷崩れ防止対策を十分に行っていないこと

急斜面に丸太を 3 段に積み上げているのに、ロープで固定する等荷崩れ防止対策を確実に行って

いなかった。

4 1 人で作業させたので、伐倒木の積み上げ方が乱雑になったこと

機械集材装置の操作と荷外し作業を同一の者にさせたので、微調整しないで、あらかじめすぐ外せ

るようにワイヤーを緩めて「はい」に乗せてしまうので、整然と乗せられず、乱雑に積み上がった。

<対策>

同種災害の防止のためには、つぎのような対策の徹底が必要と考えられる。

1 林業架線作業主任者を選任し、安全管理を徹底すること

林業架線作業主任者に、その職務である林業架線作業の安全な作業方法の決定、作業の直接指揮を行

わせる。

2 伐倒木の中継用土場は勾配がなく安定した個所に設置すること

土場は水平な場所に設置する。どうしても勾配のある場所に設置するときは、片桟橋などを設けて、

水平な場所にする。

3 荷崩れを防止する措置を講じること

長尺物で扱いにくいので、伐倒木をロープなどで緊結するなどの「はい」崩れ防止措置を講じる。

4 2 人以上の作業とすること

機械集材装置の操作と荷はずし作業を別の作業者に行わせ、伐倒木が安全に「はい」に乗るのを確認

しながら、徐々に下ろすことができるような共同作業をおこなわせる。

* 本マニュアルの災害事例は厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の労働災害事例より抜粋したものです。一部当会

で編集した部分があります。

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2 伐木等における安全な作業

2.1 「伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会」の提言の概要

労働安全衛生規則(以下、「安衛則」という。)の改正の前段として開催された「伐木等作業における

安全対策のあり方に関する検討会」の提言内容を表2-1に示します。

表2-1 伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会報告書が

提言する災害防止対策の概要

1 チェーンソーによる伐木・造材作業における災害の防止

(1) 伐倒方法

① 胸高直径 20cm 以上の伐木作業では受け口を作ること(現行は胸高直径 40cm 以上) 省令

② ①の伐倒時には、つるを残して追い口を切り、伐倒することを明示 省令

③ 伐木時は、伐倒木から樹高の2倍以内の範囲を伐倒者以外を立入禁止(現行は下方について立入禁止) 省令

④ 伐倒困難木などでは2人以上の伐倒者が樹高の2倍以内の範囲で作業することが適当である場合がある

ことを周知 通達

(2) かかり木処理

① かかられている木の伐倒、あびせ倒しの禁止 省令

② かかり木処理時のかかり木作業に従事しない者の立入禁止 省令

③ 迅速な処理を優先し一人で危険なかかり木処理をしないよう徹底 通達

④ かかり木を放置する場合の立入禁止区域の設定又はかかり木が残されていることの明示 省令

⑤ かかり木処理のための器具の携行を徹底 通達

(3) 下肢の防護

① 伐木又は造材作業時に、下肢を防護する防護衣(防護ズボン又はチャップス)を着用 省令

② 防護ズボン、チャップスの防護性能及び使用上の留意点を明確化 通達

(4) 作業計画の作成等 通達

① 伐木作業を行うときは、事前に以下の事項を調査、記録

・伐木作業: 地形、伐倒する立木の形状等

・造材作業: 地形、伐倒木の形状等

② 調査、記録を踏まえ、以下の事項を示す作業計画の作成

・伐木作業: 伐倒範囲、作業の方法及び伐倒の順序、退避場所の選定方法、かかり木処理の方

法、労働者が伐倒木に激突される危険を防止するための措置、労働災害が発生した

場合の応急の措置、傷病者の搬送の方法

・造材作業: 作業の方法、伐倒木等の転落又は滑動を防止するための措置、労働災害が発生した

場合の応急措置 、傷病者の搬送の方法

③ 調査、記録、作業計画作成は契約ごと、対象範囲が広い場合は林分ごとなどに実施

④ 毎日の作業開始前に安全に関する打合せを行うことを推奨

⑤ 伐木作業又は造材作業を行う際の作業指揮者の配置

⑥ 調査、記録、作業計画の標準様式の提供

(5) リスクアセスメントの普及

2 教育の充実

(1) 特別教育の充実(造材の方法、防護衣の着用) 告示

(2) 伐木等作業に係る特別教育の統合(安衛則第 36 条第 8 号と第 8 号の 2 の統合) 省令

(3) 作業指揮者の教育カリキュラムの作成 通達

(4) チェーンソー業務従事者安全衛生教育のカリキュラムの充実と教育実施の徹底 通達

3 国、地方公共団体、業界団体、労働災害防止団体等の取組

(省略)

4 その他

(1) 木材伐出機械等の作業計画に緊急連絡体制等の追加 省令

(2) 修羅、木馬運材及び雪そり運材に係る規定の廃止 省令

(3) 関係通達の見直し(チェーンソー作業ガイドライン、かかり木ガイドライン、緊急連絡ガイドライン) 通達

(4) 再発防止講習(安衛法第 99 条の 2)の活用 通達

表中、最右欄の「省令」と「通達」は、それぞれ安衛則とすべきもの、およびガイドライン等で周知

徹底を図るべきものとされたものです。また、「告示」は特別教育規程の改正です。

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なお、「省令」と「通達」については、検討会の議論の対象となった項目、すなわち、

1)安衛則で補強すべきあるいは新たな規定を設けるべき項目

2)ガイドラインの内容で安衛則化すべき項目

3)ガイドラインで補強すべきあるいは新たに記載すべき項目

の3種類であり、安衛則及びガイドラインで変更のない項目については記載していません。

以下では、表中の 1から4の大項目(3は省略)について、中項目(両括弧書きの数字の項目)ごとに概

説します(1の(5)は省略)。また、以下の文中で、丸付き番号(①、②等)は表中の小項目を示します。

[1-(1)伐倒方法]

旧安衛則第 477 条では胸高直径が 40cm 以上の立木の伐倒の際に受け口を作ることが定められていま

したが、提言では 20cm 以上と、その下限寸法を小さくすることを求めています(①)。これは、胸高直径

が 40cm 未満の死亡災害が約 7 割に達しており、その下限寸法を見直す必要があるという判断です。ま

た、後述 2.3.2 の「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」で、「つるを残して

追い口を切る」ことは明記されていますが、「受け口」、「つる」及び「追い口」はセットで用いるべき

伐倒技術であり、すべて安衛則化すべきという意味です(②)。

伐木作業の立入禁止範囲については、欧州での規程、あるいは災防規程(林業・木材製造業労働災害防

止規程)での条文を参考にして、樹高の 2 倍以内を他の労働者の立入禁止とすることが適当としていま

す(③)。ただし、どんな場合でも一人で作業を行うという意味ではありません。伐倒困難木では、複数

の人員の作業により安全が図れる場合があることを周知すべきということです(④)。

[1-(2)かかり木処理]

かかり木処理では、災害が多発しています。後述 2.3.3 の「かかり木の処理」でも5つの禁止作業が

定められていますが、その中でも特に災害が多い2つの禁止作業(①)、及び「かかり木を放置せざるを

得ない場合の措置」(④)をともに義務化すべきとしています。また、他の労働者は立入禁止としていま

す(②)が、前述の[1-(1)伐倒方法]の場合と同様に、一人で危険な作業を行ってはならないことを周

知すべきということです(③)。かかり木処理器具については、上述の「かかり木の処理」でも明記され

ていますが、その携行を徹底すべき(⑤)としています。

[1-(3)下肢の保護]

後述 2.3.2 の「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」でも、作業者が着用す

べき保護具等として、下肢用の防護衣、安全靴、保護帽等が上げられていますが、その中で、下肢用の

防護衣の義務化が必要という判断です(①)。また、上記のガイドラインの留意事項として発出された通

達に関連して、防護ズボンとチャップスの防護性能と使用上の留意点をより明確にすべきということで

す(②)。

[1-(4)作業計画の作成等]

車両系木材伐出機械、機械集材装置及び運材索道、及び簡易架線集材装置については、先の安衛則の

改正(厚労省令第 125 号、平成 25 年 11 月 29 日)で、作業現場の事前の「調査及び記録」、及びそれに

基づいた「作業計画」の策定等が義務化されています(安衛則第 151 条の 88 及び 89、同第 151 条の 124

及び 125、及び同第 151 条の 152 及び 153)。そこで、チェーンソーの伐木等作業においても同様の法令

化が提案されましたが、チェーンソーによる伐木等作業のみを行う事業体の負担等を考慮した場合、ガ

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イドラインでの対応が適当ということです(①~⑥のすべて)。

[2-(1)特別教育の充実]

後述の「伐木等作業に係る特別教育の統合」に併せて、特別教育の内容を見直そうという提案です。

具体的には、造材の方法と防護衣の着用の内容を新たに盛り込むというものです。

[2-(2)伐木等作業に係る特別教育の統合]

旧安衛則第 36 条第 8 号及び第 8 号の 2 では、胸高直径が 70cm 以上であるか、胸高直径が 20cm 以上

の偏心木か、及びかかり木の「かかっている木」の胸高直径が 20cm 以上であるかによって区別されてい

ましたが、それらを統合して新 8号を設けるのが適当という判断です。現場的に、旧 8号及び旧 8号の

2で区別する必要性がないことがその理由です。

[2-(3)作業指揮者の教育カリキュラムの作成]

作業指揮者は、車両系木材伐出機械、機械集材装置及び運材索道、及び簡易架線集材装置による作業

で規定されています(安衛則第 151 条の 90、同第 151 条の 128及び同第 151 条の 154)が、その教育カリ

キュラムを整備すべきということです。

[2-(4)チェーンソー業務従事者安全衛生教育のカリキュラムの充実と教育実施の徹底]

再教育のカリキュラムを充実すべきということです。林業の従事者だけでなく、林業以外の業種で伐

木作業に従事している者を含めた、すべての労働者が受講できる教育プログラムを目指すというもので

す。

[4-(1)木材伐出機械等の作業計画に緊急連絡体制等の追加]

前述[1-(4)作業計画の作成等]にもあるように、車両系木材伐出機械、機械集材装置及び運材索道、

及び簡易架線集材装置による作業では、「作業計画」の策定等が義務化されていますが、その中に、緊

急連絡体制を追加するということです。後述 2.3.1 の「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等

のためのガイドライン」では、その詳細が定められていますが、その中でも特に重要な「応急の措置」

及び「傷病者の搬送の方法」を義務化しようというものです。

[4-(2)修羅、木馬運材及び雪そり運材に係る規定の廃止]

修羅、木馬運材及び雪そりによる運材は、林業の現場ではほとんど使用されていないため、廃止すべ

きという判断です。

[4-(3)関係通達の見直し(チェーンソー作業ガイドライン、かかり木ガイドライン、緊急連絡ガイド

ライン)]

「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(H27.12.7 基発 1207 第 3 号)、「か

かり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン」(H14.3.18 基安安発第 0328001 号)、

及び「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」(H6.7.18 基発第 461 号の

3)の3つのガイドラインに加えて、前述[1-(4)作業計画の作成等]で示された、作業計画のガイドラ

インの新設も併せて見直すというものです。

[4-(4)再発防止講習(安衛法第 99条の 2)の活用]

安衛法第 99 条の 2 で定められている再発防止講習については、都道府県単位で実施することが困難

なため、全国の受講者を1箇所に集めた講習会とし、それを年1回程度開催することが適当であるとい

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うことです。

2.2 労働安全衛生規則の改正のポイント

「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成 31 年 2 月 12 日厚生労働省令第 11 号)(以下「改

正省令」という。)」により、安衛則が改正されました。その一覧表を表2-2に示します。改正省令

は大きく次の2つに分かれます。

改正省令第 1条分は、第 2編(安全基準)第 8章(伐木作業等における危険の防止)での「修羅、木馬運

材及び雪そり運材」に係る規定の廃止です。

改正省令第 2条分は、第 1編(通則)第4章(安全衛生教育)、第 2編(安全基準)第 1章の 3(木材伐出機

械等)、及び同第 8章(伐木作業等における危険の防止)での改正です。

表2-2 安衛則の改正の一覧表(厚生労働省令第 11 号、H31.2.12)

改正省令第1条分

編 章 節 款 条 表題 内容 2 8 伐木作業等における危険の防止

481 立入禁止 「修羅」の用語の削除 482 「修羅」に関する条文の削除 485~497 「木馬」及び「雪そり」に関する条文の削除

改正省令第2条分

編 章 節 款 条 表題 内容 1 4 安全衛生教育

36 特別教育を必要とする業務

第 8 号及び第 8 号の 2 を新 8 号に統合

2 1 の 3 木材伐出機械等 1 車両系木材伐出機械 1 総則 151 の 89 作業計画 第 2 項に第 4 号の新設(労働災害が発生した場合の措置等) 〃 〃 第 3 項に上記第 4 号の追加 2 機械集材装置及び運材索道 151 の 125 作業計画 第 2 項に第 7 号の新設(労働災害が発生した場合の措置等) 〃 〃 第 3 項に上記第 7 号の追加 3 簡易架線集材装置 151 の 153 作業計画 第 2 項に第 6 号の新設(労働災害が発生した場合の措置等) 〃 〃 第 3 項に上記第 6 号の追加 8 伐木作業等における危険の防止

477 伐木作業における危険の防止

第 1 項第 3 号で、受け口を作る胸高直径を 20cm 以上に変更、及び「追い口」と「切り残し(つる)」を追加

478 かかり木の処理の作業における 危険の防止

第 1 項に、かかり木の速やかな処理、及びそれが困難な場合の処置を明記 第 2 項に、事業者は「かかられている木の伐倒」及び「浴びせ倒し」をさせてはならないことを明記

第 3 項に、労働者は「かかられている木の伐倒」及び「浴びせ倒し」をしてはならないことを明記

479 伐倒の合図 第 2 項で、「他の労働者」の参照条文の変更

480 造材作業における危険の防止

「造材の作業」で伐木等機械を除く条分の範囲を変更

481

第 1 項 第 2 項

立入禁止

第 1 項に、「かかり木の処理」を追加 第 2 項に、伐木作業では、立入禁止の範囲を樹高の 2 倍を半径とする円内とすること、及びその立入禁止区域に「他の労働者」を立ち入らせてはならないことを明記

第 3 項に、かかり木の処理作業では、危険が生じる範囲には「他の労働者」を立ち入らせてはならないことを明記

485 下肢の切創防止用保護衣の着用

第 1 項に、事業者は、チェーンソーを用いた伐木・造材作業を行うときは、労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させることを明記

第 2 項に、その作業に従事する労働者は、下肢の切創防止用保護衣を着用しなければならないことを明記

以下では、改正省令第 2条分について、その概要を示します。

[特別教育](図2-1)

旧安衛則第 36 条の第 8 号と第 8 号の 2 を統合して、新たな第 8 号とするものです。胸高直径の区分

がなくなり、チェーンソーを用いない作業を対象外となりました。

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図2-1 「特別教育を必要とする業務」の省令改正の要点

(安衛則第 36 条) (特別教育規程第 10 条)

また、これに伴い特別教育規程も改正され、第 10 条と第 10 条の 2 が統合され、新たな第 10 条とな

りました。この改正では、造材の方法と下肢の切創防止用保護衣の着用が、学科と実技の両方で科目内

容に追加されたため、時間数が増加しています(表2-3)。

表2-3 特別教育規程の新第 10 条への統合

[木材伐出機械等](図2-2)

木材伐出機械等、すなわち、車両系木材伐出機械、機械集材装置及び運材索道、及び簡易架線集材装

置の「作業計画」の中に、応急措置と傷病者の搬送を追加するものです。

図2-2 「木材伐出機械等」の省令改正の要点

(安衛則第 151 条の 89、 第 151 条の 125、第 151 条の 153)

特別教育

① 安衛則第 36 条の第 8 号及び第 8 号の 2 を新 8 号に統合

・ 立木の胸高直径に関わらず、チェーンソーを用いて行う伐木等の業務に従事する

労働者に対する教育の強化

・ チェーンソーを用いない伐木等の業務を特別教育の対象業務から除外

② 特別教育規程第 10 条と第 10 条の 2 を新 10 条に統合

・ 造材の方法、及び下肢の切創防止用保護衣の着用の追加による時間数の増加

木材伐出機械

① 木材伐出機械等の作業計画での追加事項

・「労働災害が発生した場合の応急の措置」及び「傷病者の搬送の方法」を追加

・「応急の措置」は、関係者への連絡、被災者に対する応急の救護措置等

・「傷病者の搬送の方法」は、救急車両等による傷病者の搬送、及び傷病者を

救急車両等まで搬送する方法(担架等)

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[伐木作業等における危険の防止](図2-3)

この中で、重要な改正は 4つの条文(①第 477 条、②第 478 条、第 481 条、及び第 485 条)です。

①では、受け口を作る胸高直径を 20cm 以上とし、また、追い口と切り残し(つる)の確保が義務づけ

られました。なお、「つる」については、安衛則第 477条第 1項第 2号で、「つる性植物」の意味

で用いられているため、混同を避けるため、「切り残し」という用語を用いています。

②では、かかり木の速やかな処理、速やかに処理できない場合の措置、及び 2つの禁止事項が明記さ

れました。

③では、伐木作業とかかり木処理作業での立入禁止範囲が規定されました。

④では、チェーンソー防護衣として、下肢の切創防止用保護衣の着用が義務づけられました。

図2-3 「伐木作業等における危険の防止」の省令改正の要点

2.3 林業作業に係るガイドライン

今回の安衛則の改正に伴って、関連するガイドラインが改正されました。前述 2.1 の4-(3)でも述

べたように、チェーンソー作業、かかり木処理、および緊急連絡の3つのガイドラインに「作業計画の

作成等」を加えて、内容だけでなく、全体の構成も見直されました。

新しいガイドラインの構成を図2-4に示します。緊急連絡のガイドラインについては、従来のまま

の独立したものとなっています。一方、チェーンソー作業のガイドラインでは、作業計画の作成等が書

き加えられています。さらに、従来は独立したガイドラインであった「かかり木処理」が、その別添と

なりました。

図2-4 新しいガイドラインの構成図

① 受け口を作る胸高直径の下限の見直し等 (安衛則第 477 条)

・胸高直径 40cm 以上から 20cm 以上へ対象範囲を拡大

・追い口の作成、及び切り残し(つる)の確保

② かかり木の処理及び禁止事項等 (安衛則第 478 条)

・かかり木の速やかな処理

・かかり木を速やかに処理できない場合の措置

・かかられている木の伐倒、及び浴びせ倒しの禁止

③ 伐木作業とかかり木処理作業での立入禁止 (安衛則第 481 条)

・伐木作業では、樹高の 2 倍を半径とする円内

・かかり木処理では、かかり木が激突する恐れのある範囲

④ チェーンソー防護衣の着用の徹底 (安衛則第 485 条)

・下肢の切創防止用保護衣の着用

伐木作業等における危険の防止

1) 林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン

かかり木の処理

作業計画の作成等

別添

2) チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン

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2.3.1 林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン

林業の作業現場は、一般に市街地から離れた場所にあり、一般車両が走行できる道からも遠い場合

があります。さらに、作業者が相互に離れて作業を行う場合もあります。緊急時の的確な連絡、及び

労働災害発生時の被災者の迅速な救護を実行するための体制の整備が、このガイドラインの目的で

す。

ガイドラインの構成(表2-4)で、「3 緊急時における連絡体制等の整備」には、緊急時の作業者

間の連絡方法だけでなく、労働災害発生時の消防機関あるいは医療機関への連絡方法、救急車等がア

クセスできる場所までの被災者の移送方法、さらに、緊急車両の走行経路が含まれています。「4 作

業開始前の連絡の方法の確認等」は、通信手段と連絡先の事前確認、「5 作業現場における安全確認

等」は、事業所と現場の間の通信及び現場での相互通信の確認が主たる内容です。現在では、携帯電

話等の通信機器を用いるのが最善の方法ですが、林業の現場は山間部にあることが多く、電波の状態

を日々確認することが必要となります。「6 労働災害発生時の連絡等」は、災害発生時の救急機関へ

の連絡だけでなく、救急機関に対して応急処置や被災者の移送の指示を仰ぐことも含まれています。

表2-4 林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン

(発出予定)

ガイドラインの 3(1)にある「緊急時における連絡方法等」の詳細を図2-5に示します。「連絡方

法」では、作業者相互、事務所、及び救急機関への通信手段とその番号等を明記するとともに、想定

される被災場所から山土場等を経由して緊急車両乗車場所までの搬送経路を地図等で表記すること

が必要です。

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図2-5 緊急時における連絡方法等

2.3.2 チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン

このガイドラインは、チェーンソーを用いた一般的な立木の伐木等の作業について、明文化したも

のです(表2-5)。「5 チェーンソーの取り扱い方法等」より前に、「4保護具等」が置かれているの

が特徴的です。

表2-5 チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン

(発出予定)

作業者A

(連絡責任者)

作業者B

作業者C

作業者相互の

連絡方法

山土場等

救急機関

事業所

事務所への

連絡方法

救急機関への

連絡方法

救急機関への

連絡方法

緊急車両

乗車場所

被災

場所

緊急車両の

走行経路

被災者の

搬送経路

1 趣旨・目的2 適用範囲3 事業者及び労働者の責務4 保護具等

(1) 労働者の下肢の切創防止用保護衣(2) 衣服(3) 手袋(4) 安全靴等の履物(5) 保護帽、保護網・保護眼鏡及び防音保護具

5 チェーンソーの取り扱い方法等(1) チェーンソーの選定(2) チェーンソーの始動方法(3) チェーンソーの取り扱いに当たっての基本的な姿勢(4) チェーンソーを携行し、移動する時の静止確認

6 作業計画等(1) 調査及び記録 (標準的な様式→別添1)(2) リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施等(3) 作業計画(4) 作業指揮者(5) 作業に必要な安全衛生教育

7 伐木作業(1) 作業前の準備(2) 作業に伴う立入禁止区域及び退避等(3) 基本的伐倒作業(4) 追いづる切り(5) かかり木の処理(詳細→別添2)

8 造材作業(1) 造材作業に伴う基本的な安全確保対策(2) 枝払い作業(3) 玉切作業

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「4 保護具等」については、脚部防護服及び履物ともに 2009 に JIS 化されています(JIS T8125-

2、及び JIS T8125-3)が、チェーンソーに起因する労働災害の約 7割で下肢を被災しているという現

状を踏まえたものです。

「5 チェーンソーの取り扱い方法等」については、すでに林災防(林業・木材製造業労働災害防止協

会)のテキスト等で記載されている内容と同等であり、特段目新しいものはありません。伐木作業及

び造材作業についても、林災防のテキスト等で掲載されているものと同様です。「安全な伐倒方向」、

「伐倒作業に係る寸法(図2-5)」、及び「くさびの打ち込み位置の例(図2-6)」等が図で示され

ていますが、林災防の会員には従来から周知されているものです。

図2-6 伐倒作業に係る寸法、及びくさびの打ち込み位置の例

「6 作業計画等」の(1)~(4)が、今回の改正で新たに書き加えられた部分です。(1)調査及び記録、

(2)リスクアセスメント、及び(3)作業計画という、作業計画の決定に必要な工程を含んだものとなっ

ています。内容については、以下「2.3.4 作業計画等」で示します。

「7 伐木作業」では、(5)かかり木の処理のとおり、その詳細が別添2となりました。内容につい

ては、以下「2.3.3 かかり木の処理」で示します。

なお、このガイドラインには「『チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン』の

留意事項」と題する通達も改正されました(R1.8.〇)が、その改正の要点は、前述のように、新たに書

き加えられた作業計画等の中で、(1)調査及び記録、(2)リスクアセスメント、(3)作業計画、及び(4)

作業指揮者に関する事項です。

2.3.3 かかり木の処理

前述 2.3.2 のガイドラインの別添2を、ここでは便宜上「かかり木の処理」と称します。なお、「か

かり木の処理」は、従来の「かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン」

(H14.3.18 基安安発第 0328001 号)と内容的に大きく変わるものではありません。

この「かかり木の処理」は、人工林における間伐作業の増加等に伴う、かかり木処理での災害を防

止することを目的としています。ここで「かかり木」とは、伐倒する立木の鋸断を行った後に、その

木が傾いた状態で他の立木に寄りかかった状態をいいます。ここで、傾いて寄りかかった木を「かか

っている木」、寄りかかられた木を「かかられている木」と呼びます。なお、台風等による被害木、

枯損木等が、他の立木に寄りかかった場合の処理作業は含まれません。

その構成を表2-6に示します。「2 具体的な措置」の中の3つの項目の中で、「(1)かかり木に

伐倒方向

追い口

切り残しの幅

(つる幅)

追い口の高さ

伐根直径

受け口

受け口の角度

切り残し

(つる)

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係る調査及び記録」の調査については、かかり木処理に係るものだけでなく、通常の伐木作業の際に

も事前に行うべきものです。「(2)安全な作業方法の徹底」については、「イ かかり木の速やかな処

理」という文言がありますが、これは決して短時間でかかり木を処理するということではなく、かか

り木を放置してはいけないという意味です。「エ かかり木の処理の作業における禁止事項の遵守」

では、災害の可能性のある5つの禁止事項が列記されています(図2-7)。「(3)かかり木を一時的に

放置せざるを得ない場合の措置の徹底」は、前述「(2)イ かかり木の速やかな処理」を補完するもの

であり、かかり木処理が困難で放置せざるを得ない場合の措置が記載されています。以上の項目内容

のフローが図2-8です。

図2-7の5つの禁止事項の中で、「かかられている木の伐倒」及び「浴びせ倒し」については、

安衛則第 478 条で禁止とされています。また、かかり木を速やかに処理できない場合の措置につい

ても同条文に明記されており、十分理解する必要があります。

表2-6 かかり木の処理「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」別添2

(発出予定)

図2-7 かかり木処理の作業における禁止事項

かかられている木の伐倒 浴びせ倒し

かかっている木の

元玉切りかかり木の枝切りかかっている木の

肩担ぎ

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図2-8 かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドラインの概念図

2.3.4 作業計画等

構成としては、「調査・記録」、「リスクアセスメント」、「作業計画」、及び「作業指揮者」の4つ

からなり、「リスクアセスメント」以外の3つの内容としては、車両系木材伐出機械、機械集材装置及び

運材索道、及び簡易架線集材装置について安衛則で定められているそれら3つの条文(第 151 条の 88~

90、第 151 条の 124~125、第 151 条の 128、及び第 151 条の 152~154)に類したものになります(図2-

9)。

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図2-9 作業計画の作成等の詳細

作業計画作成のフローを図2-10に示します。調査・記録の結果に基づいて作業計画を立案しま

す。次にリスクアセスメントを実施しますが、その結果がレベル2を超えている場合は、再度作業計

画を見直します。そして、リスクのレベルが2以下になったところで、その作業計画を決定とします。

なお、リスクのレベルが2を超えている場合の措置の用語としては、「危険性又は有害性等の調査

等に関する指針」(基発第 0310001 号、H18.3.10)で用いられている「リスク低減措置」ではなく、「機

械の包括的な安全基準に関する指針」(基発第 731001 号、H19.7.31)での「保護方策」を用いていま

す。

作業計画は、書面による周知が基本ですが、文字や数字だけでは表現できない情報については、地

図あるいはポンチ絵での表記が必要な場合もあります。作業計画の標準的な様式が当該ガイドライン

の別添1にありますが、ここでは、図2-11にその概念図を示します。この絵は、伐木作業地であ

る山の斜面を俯瞰したものですが、作業場所の全体図と山割り(各作業者の担当範囲)を表示するとと

もに、前述の図2-9で示した項目等の情報を描き込んでいます。

作業計画等

① 調査・記録

・地形・地質、伐倒する立木の形状等

・緊急車両の走行経路、携帯電話等の通信可能範囲

② リスクアセスメント

③ 作業計画

・地形・地質、伐倒範囲

・緊急車両の走行経路、緊急連絡先

・携帯電話等の通信可能範囲

・作業の方法及び伐倒の順序

・かかり木の処理方法

・合図の方法

・退避場所の選定と周知の方法

・労働者が伐倒木に激突される危険を防止するための措置

・立入禁止範囲の設定と周知の方法

・その他の安全対策

④ 作業指揮者

・伐木作業、及び造材作業

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図2-10 作業計画作成のフロー

図2-11 作業計画の概念図

2.4 リスクアセスメントと作業手順

2.4.1 リスクアセスメント

リスクアセスメントの手順を図2-12に示します。「危険要因の洗い出し」では、作業を要素作

業に細分化し、個々の作業での危険性あるいは有害性を特定します。「リスクの見積り」では、過去

の災害事例を参考にして、その重篤度(重大性)と頻度(可能性)を見積ります(図-2-13)。重大性

と可能性はそれぞれ3段階とし、図で示すような評点を付けます。「リスクの評価」では、評点をい

くつかのレベルに分割します。図2-14では、重大性の評点と可能性の組み合わせとして、それを

5段階に分けています。ここで、リスクレベルが2の場合(重大性〇で可能性△、あるいは重大性△で

作業範囲と山割り

伐倒の順序

伐倒の方向

かかり木

の処理等

伐倒木の

滑落防止

傷病者の

措置と搬送

合図の方法

通信可能

範囲

作業道

作業指揮者

樹種

径級

形状

地形傾斜

斜面状態

稜線

緊急車両

乗車場所

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図2-13 リスクの見積り

可能性〇)を ALARP 領域と呼び、残留リスクはあるが許容可能(受け入れ可能)なリスクレベルである

と判断します。

図2-14 リスクの評価

2.4.2 作業手順

図2-10のフローのように、リスクレベルが2を超えている場合には、保護方策を実施すること

になりますが、その内容を図2-15に示します。ここでは、前述 2.3.4 で述べた「機械の包括的な

安全基準に関する指針」で定めている3段階の方策の中で、チェーンソー伐木作業等に関連する内容

のみを示します。

「本質的安全方策」では、チェーンソー等の機械の安全性の維持、及び労働者の負担(長時間の連続

図2-12 リスクアセスメントの手順

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作業、無理な作業姿勢等)の軽減があります。次の「安全防護及び付加保護方策」では、機械の安全防

護物の使用、および労働者の機械への挟まりや転落の防止が主な内容となります。そして、それら2

つの段階の保護方策では除去できない危険性に対しては、作業手順の整備、労働者教育の実施、及び

個人用保護具の使用を行うこととしています。

しかしながら、チェーンソーによる伐木等作業においては、前者の2段階の保護方策で対応でき

るものは限られているため、第3段階の保護方策を主体にその措置を図ることが重要になります。

第3段階の保護方策の中で、労働者教育と個人用保護具については、前述 2.2 で述べたように関連

する安衛則を遵守することはいうまでもありませんが、「作業手順」についても、個々の状況に対

応したものを整備しておくことが必要です。

整備すべき作業手順を図2-16に示します。作業手順としては伐木等の作業に係るものとそれ以

外のものに大別できます。伐木作業では、通常木の作業手順だけでなく、大径木、偏心木、風倒木等

の困難木、あるいはかかり木処理についても作業手順を整備すべきです。伐木等以外の作業では、前

述 2.3.1 の緊急連絡体制のガイドラインで示されている内容について、その手順を定めておく必要が

あります。

大径木、偏心木、損傷木、及び風倒木等の困難木の伐木作業で整備すべき作業手順の例を図2-1

7に示します。図中で、左右を繋ぐ横線は、それぞれの困難木で適応できる作業手順を示しています。

図では6種類の伐木方法を上げていますが、樹種や径級によってさらに細分化した作業手順が必要に

なる場合もあります。

図2-16 作業手順の作成

1 本質的安全方策

2 安全防護及び付加保護方策

3 作業手順の整備、労働者教育の実施、

個人用保護具の使用等

・ 機械の安全性の維持

・ 労働者の負担の軽減

・ 安全防護物(ガードと保護装置)の使用

・ 労働者のはさまれ、転落等の防止

図2-15 保護方策の実施

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図2-17 伐木(困難木等)の作業手順の例

⑥ 伐木等機械での立木固定によるチェーンソー鋸断

⑤ 伐木等機械を用いた鋸断

② 芯切り・根張り切りによるチェーンソー鋸断

① 追いづる切りによるチェーンソー鋸断

③ 裂け・跳ね・滑り防止処置によるチェーンソー鋸断

大径木

損傷木

偏心木

風倒木

④ チェーンソー受け口作成とウインチ等を用いたけん引鋸断

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3 伐木作業等に関する法令

関係法令については、伐木作業を中心に少し幅広く記載しています。また、条文そのものではなく、

より理解しやすいよう整理したものを記載し、改正法令の条文は巻末に参考として掲載しています。

改正法令の施行期日は、特別教育関係が令和 2年 8月 1日、その他は平成 31年 8月 1日です。

3.1 作業主任者の選任

事業者は、労働災害を防止するための管理を必要とする作業として、法令で定められた作業につい

ては作業主任者を選任し、その作業に従事する労働者の指揮、その他決められた事項を行わせなけれ

ばなりません。(安衛法第 14条)

林業関係で対象となる作業は次のとおりです。

(作業主任者を選任すべき作業) 令第6条関係

① 次のいずれかに該当する機械集材装置※若しくは運材索道※※の組立て、解体、変更若しくは修理の

作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業

イ 原動機の定格出力が 7.5 キロワツトを超えるもの

ロ 支間の斜距離の合計が 350 メートル以上のもの

ハ 最大使用荷重が 200 キログラム以上のもの ※ 集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木又は薪炭材を巻き上げ、かつ、空

中において運搬する設備をいう。

※※ 架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、原木又は薪炭材を一定の区間空中において運搬する設備をい

う。

② 木材加工用機械※を5台以上※※有する事業場において行う当該機械による作業 ※ 丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤及びルーターに限るものとし、携帯用のものを除く。

※※ 当該機械のうちに自動送材車式帯のこ盤が含まれている場合には、3台以上

③ 高さが2メートル以上のはい※のはい付け又ははい崩しの作業(荷役機械の運転者のみによつて行

われるものを除く。)

※ 倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷(小麦、大豆、鉱石等のばら物の荷を除く。)の集団をいう。

3.2 就業に当たっての措置

3.2.1 就業制限

事業者は、危険な作業に労働者を就かせるときは、一定の資格がないとその作業に従事させてはな

らない場合があります。(安衛法第 61 条)

林業関係では次の業務があります。

(就業制限に係る業務)令 20 条

① つり上げ荷重が1トン以上の移動式クレーンの運転※の業務 ※ 道路交通法第2条第1項第一号に規定する道路上を走行させる運転を除く(以下②③④⑤の「運転」において同じ)。

② 最大荷重※が1トン以上のフオークリフトの運転の業務 ※ フオークリフトの構造及び材料に応じて基準荷重中心に負荷させることができる最大の荷重をいう。

③ 機体重量が3トン以上の別表※第7第一号、第二号、第三号又は第六号に掲げる建設機械で、動力

を用い、かつ、不特定の場所に自走することができるものの運転の業務 ※ 令別表第 7(略)

④ 最大荷重(ショベルローダー又はフォークローダーの構造及び材料に応じて負荷させることがで

きる最大の荷重をいう。)が1トン以上のショベルローダー又はフォークローダーの運転の業務

⑤ 作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転の業務

⑥ 制限荷重が1トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーン若

しくはデリックの玉掛けの業務

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3.2.2 特別教育

事業者は、危険又は有害な業務で、一定のものに労働者をつかせるときは、その業務に関する安全

又は衛生のための特別教育を行わなければなりません。(安衛法第 59条)

林業に関係するものには次のものがあります。(下線は平成 31 年 2 月改正のものです。以下同じ)

(特別教育を必要とする業務)安衛則第 36 条

① 最大荷重1トン未満のフオークリフトの運転※の業務 ※ 道路上を走行させる運転を除く(以下②③④⑧⑩⑫の「運転」において同じ)。

② 最大荷重1トン未満のシヨベルローダー又はフオークローダーの運転の業務

③ 伐木等機械※の運転の業務 ※ 伐木、造材又は原木若しくは薪炭材の集積を行うための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できる

ものをいう。以下同じ。

④ 走行集材機械※の運転の業務 ※ 車両の走行により集材を行うための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいう。

⑦ 機械集材装置※の運転の業務 ※ 集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木又は薪炭材(以下「原木等」

という。)を巻き上げ、かつ、空中において運搬する設備をいう。以下同じ。

⑧ 簡易架線集材装置※の運転又は架線集材機械※※の運転の業務 ※ 集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木等を巻き上げ、かつ、原木等の

一部が地面に接した状態で運搬する設備をいう。以下同じ。

※※ 動力を用いて原木等を巻き上げることにより当該原木等を運搬するための機械であつて、動力を用い、かつ、不特定の

場所に自走できるものをいう。以下同じ。

⑨ チエーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(H31.2 改正,H32.8 施行)

⑩ 作業床の高さ※が 10 メートル未満の高所作業車※※の運転の業務 ※ 令第 10条第四号の作業床の高さ(作業床を最も高く上昇させた場合におけるその床面の高さ)をいう。

※※ 令第 10条第四号の高所作業車をいう。

⑪ 動力により駆動される巻上げ機※の運転の業務 ※ 電気ホイスト、エヤーホイスト及びこれら以外の巻上げ機でゴンドラに係るものを除く。

⑫ つり上げ荷重が1トン未満の移動式クレーンの運転の業務

⑬ つり上げ荷重が1トン未満のクレーン、移動式クレーン又はデリツクの玉掛けの業務

⑭ 令別表第6に掲げる酸素欠乏危険場所における作業に係る業務

⑮ 高さが2メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具※を

用いて、労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業※※に係る業務 ※ 労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であつて、作業箇所の上方にある支持物にロープを緊結してつ

り下げ、当該ロープに労働者の身体を保持するための器具(安衛則第 539 条の 2 及び第 539 条の 3 において「身体保持器

具」という。)を取り付けたものをいう。

※※ 40度未満の斜面における作業を除く。以下「ロープ高所作業」という。

⑯ 高さが2メートル以上の箇所であつて作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用

器具※のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(前号⑮に掲げる業務を除く。) ※ 令第 13条第3項第二十八号の墜落制止用器具をいう。第 130 条の 5第1項において同じ。

【特別教育の改正】上記⑨の関係

平成 31 年 2 月に安全衛生規則が改正され、これまでの次の 2 つの特別教育が上記⑨に改正統合

されました。対象は、チェーンソーによる立木の伐木等の作業に限定される一方、立木の胸高直径

の条件がなくなっています。(施行令和 2年 8月 1日)

<改正前>

八 胸高直径が 70 センチメートル以上の立木の伐木、胸高直径が 20 センチメートル以上で、かつ、重

心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつて

いる木の胸高直径が 20センチメートル以上であるものの処理の業務(第六号の二に掲げる業務を除

く。)

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八の二 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(前号に掲げる業務を

除く。)

<改正後>

八 チエーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務

【墜落制止用器具の追加改正】上記⑯の関係

次項の譲渡等の制限で記載したように、従来の安全帯が「墜落制止用器具」に改正されるととも

に、フルハーネス型が原則とされ、このフルハーネス型での作業が特別教育の対象とされています。

なお、従来の安全帯を使用することに関する条文は、「要求性能墜落制止用器具」に改正されてい

ます。

要求性能墜落制止用器具とは、「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具」

のことです。比較的低い高さでの使用ではフルハーネス型ではショックアブソーバの関係で一定距

離伸びることから地上に着いてしまうおそれがあります。この場合はフルハーネス型ではなく、「胴

ベルト型一本つり」を選択することがあることによるものです。一つの基準として高さが6.75

mを超えた場合はフルハーネス型を使用するとガイドライン※で示されています。

※ 「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成 30 年6月 22 日付け基発 0622 第2号)

※ 同上リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000473567.pdf

(林業架線作業主任者の職務)

第 151 条の 127 事業者は、林業架線作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

一 作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。

二 材料の欠点の有無並びに器具及び工具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

三 作業中、要求性能墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

3.3 譲渡等の制限

一定の機械等、あるいは危険を防止するため使用するもの等については厚生労働大臣の定める構造

規格又は安全装置を具備しなければ譲渡、貸与、設置等をしてはならないとされています。その対象

としては例えば次のものがあります。(法 42条)

【令 13 条3項】

・ 木材加工用丸のこ盤及びその反発予防装置又は歯の接触予防装置

・ 保護帽

・ 手押しかんな盤及びその刃の接触予防装置

・ 墜落制止用器具(第二十八号)

・ チエーンソー(内燃機関を内蔵するものであつて、排気量が 40cm3以上のものに限る。)

【墜落制止用器具】

構造規格の対象となるものに安全帯がありましたが、その名称が「墜落制止用器具」に法令改正

されるとともに、「フルハーネス型」が原則となりました。なお、胴ベルト型(U字つり)のものは

墜落制止機能がないことから対象外となっています。

3.4 木材伐出機械等の安全

安衛則「第1章の3木材伐出機械等」では、次のように分類され規制されています。

第 1 章の 3 木材伐出機械等

第 1 節 車両系木材伐出機械

第 1款 総則 第 2款 伐木等機械 第 3款 走行集材機械 第 4款 架線集材機械

第 2 節 機械集材装置及び運材索道

第 3 節 簡易架線集材装置

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ここでは、車両系木材伐出機械全体と、そのうち伐木等機械を中心に記載をしています。

3.4.1 車両系木材伐出機械共通

車両系木材伐出機械※を用いて作業を行うときは次のことを行わなければなりません(抜粋)。(安

衛法 21 条)

※「車両系木材伐出機械」とは、伐木等機械、走行集材機械及び架線集材機械(機械集材装置又は簡易架線集材

装置の集材機として用いている場合を除く。)をいいます。(安衛則 151 条の 84)

① 調査及び記録(安衛則 151 条の 88)

事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、当該車両系木材伐出機械の転落、

地山の崩壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について地

形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録し

ておかなければならない。

② 作業計画(安衛則 151 条の 89)

事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、あらかじめ、上記①の調査により

知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければなら

ない。

この作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

一 使用する車両系木材伐出機械の種類及び能力

二 車両系木材伐出機械の運行経路

三 車両系木材伐出機械による作業の方法及び場所

四 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送の方法

事業者は、上記の作業計画を定めたときは、上記第二号から第四号までの事項について関係

労働者に周知させなければならない。

③ 作業指揮者(安衛則 151 条の 90)

事業者は、車両系木材伐出機械(伐木等機械を除く。※)を用いて作業を行うときは、当該作

業の指揮者を定め、その者に作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。 ※ 伐木等作業では作業指揮者に対する危険があるため除外されている。

④ 制限速度(安衛則 151 条の 91)

事業者は、車両系木材伐出機械※を用いて作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場

所の地形、地盤の状態等に応じた車両系木材伐出機械の適正な制限速度を定め、それにより作業

を行わなければならない。 ※ 最高速度が毎時 10km以下のものを除く。

⑤ 転落等の防止等(安衛則 151 条の 92、安衛則 151 条の 93)

事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、車両系木材伐出機械の転倒又は転

落による労働者の危険を防止するため、次の必要な措置を講じなければならない。

・当該車両系木材伐出機械の運行経路について必要な幅員を保持すること

・路肩の崩壊を防止すること

・岩石、根株等の障害物を除去すること

事業者は、路肩、傾斜地等で車両系木材伐出機械を用いて作業を行う場合において、当該車両

系木材伐出機械の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置

し、その者に当該車両系木材伐出機械を誘導させなければならない。

また、事業者は、路肩、傾斜地等であつて、車両系木材伐出機械の転倒又は転落のおそれのあ

る場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたものを使用するよう努

めるとともに、運転者にシートベルトを使用させるように努めなければならない。

⑥ 立入禁止(安衛則 151 条の 96、安衛則 151 条の 97)

事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、物体の飛来等により労働者に危険

が生ずるおそれのある箇所※に労働者を立ち入らせてはならない。 ※ 当該作業を行つている場所の下方で、原木等が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのある箇所を含む。

事業者は、車両系木材伐出機械※※については、そのブーム、アーム等又はこれらにより支持

されている原木等の下に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、修理、点検等の作業を行う

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場合において、ブーム、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当

該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロツク等を使用させるときは、この限りでない。 ※※ 構造上、ブーム、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。

ただし書の作業を行う労働者は、ただし書の安全支柱、安全ブロツク等を使用しなければなら

ない。

⑦ 検査 (安衛則 151 の 108)

事業者は、車両系木材伐出機械については、1 年を超えない期間ごとに 1 回、定期に、次の事

項について検査を行うよう努めなければならない。ただし、1 年を超える期間使用しない車両系

木材伐出機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 原動機の異常の有無

二 動力伝達装置及び走行装置の異常の有無

三 制動装置及び操縦装置の異常の有無

四 作業装置及び油圧装置の異常の有無

五 車体、ヘツドガード、飛来物防護設備、アウトリガー、電気系統、灯火装置及び計器の異

常の有無

事業者は、車両系木材伐出機械については、1 月を超えない期間ごとに 1 回、定期に、次の事

項について検査を行うよう努めなければならない。ただし、1 月を超える期間使用しない車両系

木材伐出機械の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一 制動装置、クラツチ及び操縦装置の異常の有無

二 作業装置及び油圧装置の異常の有無

三 ヘツドガード及び飛来物防護設備の異常の有無

⑧ 点検 (安衛則第 151 条の 110)

事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次

の事項について点検を行わなければならない。

一 制動装置及び操縦装置の機能

二 作業装置及び油圧装置の機能

三 ワイヤロープ及び履帯又は車輪の異常の有無

四 前照灯の機能

<②作業計画>

作業計画に、「労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送の方法」が改正で追加

されています。これについては、厚生労働省の通達で次のように解説されています。

ア 伐木等の作業については、一般的に、救急車両等による乗入れが困難である場所で行われ

ることが多く、重とくな労働災害が発生した場合においては、速やかに、救急車両等により、

負傷者を搬送できないことが想定されることから、車両系木材伐出機械を用いて行う作業、

林業架線作業又は簡易林業架線作業を用いて行う作業の各作業計画に示す事項に、それぞ

れ「労働災害が発生した場合の応急の措置」及び「傷病者の搬送の方法」を追加するもの。

イ 「労働災害が発生した場合の応急の措置」には、関係者への連絡、被災者に対する応急の救

護措置等がある。

ウ 「傷病者の搬送の方法」には、救急車両等による傷病者の搬送に加えて、傷病者を救急車両

等まで搬送する方法(担架等)を含むもの。

(注) 施行日 令和元年8月1日

<⑦検査関係>

⑦は努力義務となっていることから、根拠条文は安衛法第 20条で、安衛法 45条の定期自主検

査ではないことに留意が必要です。

3.4.2 伐木等機械

① 伐木作業における危険の防止(安衛則 151 条の 112)

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事業者は、伐木等機械を用いて伐木の作業を行うときは、立木を伐倒しようとする運転者に、

それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ず

るおそれのあるものを取り除かせなければならない。

前項の運転者は、それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他

作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除かなければならない。

② 造材作業における危険の防止(安衛則 151 条の 113)

事業者は、伐木等機械を用いて造材の作業を行うときは、造材を行う原木等が転落し、又は滑

ることによる危険を防止するため、当該作業を行おうとする運転者に、平たんな地面で当該作

業を行う等の措置を講じさせなければならない。

前項の運転者は、同項の措置を講じなければならない。

3.5 伐木作業の安全

3.5.1 伐木作業における危険の防止(安衛則 477条)

事業者は、伐木の作業(伐木等機械による作業を除く。以下同じ。)を行うときは、立木を伐倒しよ

うとする労働者に、それぞれの立木について、次の事項を行わせなければならない。

一 伐倒の際に退避する場所を、あらかじめ、選定すること。

二 かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取

り除くこと。

三 伐倒しようとする立木の胸高直径が 20cm以上であるときは、伐根直径の四分の一以上の深さ

の受け口を作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合において、技術的に困難な場

合を除き、受け口と追い口の間には、適当な幅の切り残しを確保すること。

また、立木を伐倒しようとする労働者は、前各号に掲げる事項を行わなければならない。

ア 胸高直径が概ね 20cm 以上の立木を伐倒するときに死亡災害が大きく増加していることから、

伐木作業において「受け口」を作るべき立木の対象を胸高直径が 40cm 以上のものから 20cm 以上

のものへと対象範囲が拡大されました。

なお、一般的に、立木の伐倒方向を確実なものにするためには、立木を伐倒したい方向に「受

け口」を設けることが必要であることから、「受け口」を設けることは、伐倒方向を絞り込み、伐

木作業における危険の防止を図るために有効であるとされています。また、胸高直径 20cm 未満

の立木については、規制の対象ではないものの、伐木に従事する労働者の知識、経験等を踏まえ、

胸高直径 20cm 未満の立木であっても、適切に受け口、追い口及び切り残しを作ることができる

場合は、受け口を作ることが望まれます。

イ 三の「伐倒しようとする立木の胸高直径が 20cm 以上であるときは、伐根直径の4分の1以上

の深さの受け口を作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合において、受け口と追

い口の間には適当な幅の切り残しを確保すること」は、立木を切り落とし、斜め切りにより伐倒

することを死亡災害の発生状況に鑑み禁止するとともに、受け口と追い口の間に適当な幅の切り

残し(つる)を確保することは伐木の作業を安全に 行うために有効であるとされていることか

ら、措置が義務付けられたものです。

ウ 三の「技術的に困難である場合」とは、次のような場合が該当します。

・偏心が著しい等の立木を伐倒する場合において、上記に定められた措置により、当該伐倒を行

う労働者の安全を確保することが著しく困難である場合

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・人命救助等の緊急を要する場合において、上記に定められた措置を行うことが困難である場合

エ 「受け口と追い口の間には、適当な幅の切り残しを確保すること。」については、図3-1のと

おり、受け口と追い口の中間に残る部分を切り残し(つる)といい、この切り残し(つる)の幅

(つる幅)が伐根直径の 10 分の1程度となるように、図3-1のとおり適当な幅の切り残しを

確保することが必要です。

なお、「つる」の用語については、安衛則第

477 条第1項第2号において、立木の幹等に絡

みつく草等の植物の意味として既に用いられ

ていることから、用語の混同を避けるために、

「追い口と切り口の間における切り残し」と

いう意味では用いないこと、また、伐根直径に

ついては、立木の根張りを含めるものではな

いことに留意が必要です。

図3-1 受け口、追い口及び切り残し(つる)の関係

3.5.2 かかり木の処理の作業における危険の防止(安衛則 478 条)

1 事業者は、伐木の作業を行う場合において、既にかかり木が生じている場合又はかかり木が生

じた場合は、速やかに当該かかり木を処理しなければならない。ただし、速やかに処理すること

が困難なときは、速やかに当該かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずる箇所におい

て、当該処理の作業に従事する労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を縄

張、標識の設置等の措置によつて明示した後、遅滞なく、処理することをもつて足りる。

2 事業者は、上記 1 の規定に基づき労働者にかかり木の処理を行わせる場合は、かかり木が激

突することによる危険を防止するため、かかり木にかかられている立木を伐倒させ、又はかかり

木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒させてはならない。

3 上記 1 の処理の作業に従事する労働者は、かかり木が激突することによる危険を防止するた

め、かかり木にかかられている立木を伐倒し、又はかかり木に激突させるためにかかり木以外の

立木を伐倒してはならない。

全面改正。

ア 第1は、かかり木の処理の作業(図3-2)に従事する労働者以外の労働者が、放置されたま

まのかかり木に気付かず接近したときに、かかり木が落下し、労働災害に被災した事例を踏まえ、

かかり木を放置することなく、かかり木の処理の作業を速やかに行わなければならないとされた

ものです。

また、作業の手順や作業の場所によっては、かかり木が発生した場合であっても、やむを得な

い事由により、かかり木の処理の作業を速やかに行うことができない場合があることから、この

場合には、かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者がかかり木に接近することがな

いように立入りを禁止します。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わらず、より安全にかかり木の処理の作業を行

うことを規定する趣旨であり、複数の労働者が協同して、かかり木の処理の作業に従事すること

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を禁止するものではありません。

イ 「伐木の作業を行う場合」には、立木を伐倒する作業のほか、かかり木処理の作業のための段取

り作業等を含むものです。

ウ 「既にかかり木が生じている場合」とは、労働者が立木を伐倒しようとする場合において、既に

かかり木が存在している場合のことです。

エ 「かかり木が生じた場合」とは、労働者が立木の伐倒の作業を行ったことによりかかり木が生じ

た場合のことです。

オ 「速やかに処理することが困難なとき」とは、次のような措置を行うために、かかり木の処理の

作業を直ちに行うことが困難である場合が該当します。

なお、伐木作業を行う場合には、かかり木の処理の作業を安全に行うため、けん引具等の器具

を携行することが望ましいこと。

・ 職長等への作業の支援要請

・ 必要となる機材の搬送等によるかかり木の処理の作業における安全の確保

・ かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者の退避

カ 「縄張、標識の設置等の措置」とは、かかり木に激突されることにより、労働者に危険が生ずる

箇所において、当該労働者以外の労働者の立入りを禁止し、当該箇所に縄を張り、又はかかり木

の処理を行っている旨標識を設置する等の措置があります。

なお、かかり木の状態のままで放置されることがないように規定する趣旨であり、かかり木の

処理の作業を速やかに行うことが可能な場合にまで、縄張、標識の設置等の措置を義務付けるも

のではありません。

キ 「遅滞なく」とは、次の措置を講じた後、なるべく早

急に、かかり木の処理の作業を行うことをいいます。

・ 職長等への作業の支援要請

・ 必要となる機材の搬送等によるかかり木の処理の

作業における安全の確保

・ かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労

働者の退避等

図3-2 かかり木の処理

ク 第2及び第3は、かかり木処理時に発生する死亡災害は多数に上っていることから、死亡災害

が多く発生している「かかり木にかかられている立木を伐倒」及び「かかり木に激突させるため

にかかり木以外の立木を伐倒(浴びせ倒し)」を禁止するということです。

3.5.3 伐倒の合図(安衛則 479 条)

1 事業者は、伐木の作業を行なうときは、伐倒について一定の合図を定め、当該作業に関係があ

る労働者に周知させなければならない。

2 事業者は、伐木の作業を行う場合において、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の

労働者(以下この条及び第 481 条第 2項において「他の労働者」という。)に、伐倒により危険

を生ずるおそれのあるときは、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者に、あらかじめ、前項の

合図を行わせ、他の労働者が避難したことを確認させた後でなければ、伐倒させてはならない。

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3 前項の伐倒の作業に従事する労働者は、同項の危険を生ずるおそれのあるときは、あらかじ

め、合図を行ない、他の労働者が避難したことを確認した後でなければ、伐倒してはならない。

従来からの規定。

3.5.4 造材作業における危険の防止(安衛則 480条)

1 事業者は、造材の作業(伐木等機械による作業を除く。以下同じ。)を行うときは、転落し、

又は滑ることにより、当該作業に従事する労働者に危険を及ぼすおそれのある伐倒木、玉切材、

枯損木等の木材について、当該作業に従事する労働者に、くい止め、歯止め等これらの木材が転

落し、又は滑ることによる危険を防止するための措置を講じさせなければならない。

2 上記の作業に従事する労働者は、上記の措置を講じなければならない。

従来からの規定。

3.5.5 立入禁止(安衛則 481 条)

1 事業者は、造林、伐木、かかり木の処理、造材又は木寄せの作業※を行つている場所の下方で、

伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるとこ

ろには、労働者を立ち入らせてはならない。

※ 車両系木材伐出機械による作業を除く。以下「造林等の作業」という。

2 事業者は、伐木の作業を行う場合は、伐倒木等が激突することによる危険を防止するため、伐

倒しようとする立木を中心として当該立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内

側には、他の労働者を立ち入らせてはならない。

3 事業者は、かかり木の処理の作業を行う場合は、かかり木が激突することにより労働者に危

険が生ずるおそれのあるところには、当該かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働

者を立ち入らせてはならない。

1で「木寄せ又は修羅による集材若しくは運材」の規定が削除され、「かかり木の処理」が追加さ

れています。

2及び3が新規に追加されています。

<改正の内容>

ア 従来から、造林等の作業を行っている場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落

し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働者の立入りを禁止している

が、本条第1項において、かかり木の処理の作業を行っている場所の下方でも、かかり木が転落

し、又は滑ることにより危険を生ずるおそれがあることから、同様に労働者の立入りを禁止した

もの。

イ 立木の伐倒の作業に従事していない労働者が伐倒木に激突される災害が発生していることか

ら、このような災害を防止するため、本条第2項において、諸外国の基準を踏まえ、立木の根元

からその樹高の2倍に相当する距離を設定し、その距離を半径とする円の内側において、当該立

木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者の立入りを禁止したもの。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わらず、より安全に伐木の作業を行うことを規

定する趣旨であり、複数の労働者が協同して、伐木の作業に従事することを禁止するものではな

い。また、立木を伐倒するときには、立木の伐倒の作業に従事する労働者は、周辺の全ての労働

者に合図により的確に情報伝達を行い、当該伐倒に係る立入り禁止の範囲から、伐倒作業に従事

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する労働者以外の労働者の待避の確認を徹底することが望ましい。

ウ 本条第2項において、「伐倒木等が激突することによる危険」とは、伐倒木が伐倒する際に近傍

の立木の枝等が落下し、労働者に激突すること等を含む。

エ 本条第2項において、「他の労働者」には、立木の伐倒の作業に従事する労働者及びその労働者

に対して、伐木の作業を安全に行う等のための助言、指導等を行う者を含まない。

オ 本条第3項において、新安衛則第 478 条に定めるかかり木の処理の作業における危険の防止と

ともに、新安衛則 481 条第2項を踏まえ、かかり木の処理の場合であってもかかり木の処理の作

業に従事する労働者以外の労働者の立入りを禁止するもの。

カ 「かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるところ」とは、かかり木

の直下及びその周辺を含み、当該かかり木等に激突されることにより、労働者に危険が生ずる箇

所と判断された範囲である。

キ 「かかり木の処理の作業に従事する労働者」には、かかり木の処理の作業を安全に行う等のた

めの助言、指導等を行う者を含む。

3.5.6 悪天候時の作業禁止(安衛則 483 条)

事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、造林等の作業の実施について危険が予想される

ときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。

従来からの規定

3.5.7 保護帽の着用(安衛則 484 条)

1 事業者は、造林等の作業を行なうときは、物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止す

るため、当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。

従来からの規定。

3.5.8 下肢の切創防止用保護衣の着用(安衛則 485 条)

1 事業者は、チェーンソーを用いて行う伐木の作業又は造材の作業を行うときは、労働者の下

肢とチェーンソーのソーチェーンとの接触による危険を防止するため、当該作業に従事する労

働者に下肢の切創防止用保護衣(次項において「保護衣」という。)を着用させなければならな

い。

2 前項の作業に従事する労働者は、保護衣を着用しなければならない。

従来の規定を削除後に新規追加。

<改正の内容>

ア チェーンソーによる休業4日以上の死傷災害の多くは、労働者の下肢を切創しているものであ

るが、チェーンソーの刃(以下「ソーチェーン」という。)が接触しやすい下肢の部分に切創防止

用の繊維を入れた防護ズボン、取り外しができる前掛け状のチャップスであるような労働者の下

肢の切創防止用保護衣が普及していることを踏まえ、チェーンソーによる伐木作業等を行う場合

において、事業者に、防護ズボン、チャップス等の労働者の下肢を防護する保護衣を着用させる

ことを義務付けるもの。

また、労働者に対して、この場合に着用することを義務付けたもの。

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イ 下肢の切創防止用保護衣については、前面にソーチェーンによる損傷を防ぐ保護部材が入って

おり、日本工業規格 T8125-2 に適合する防護ズボン又は同等以上の性能を有するものを使用する

こと。また、下肢の切創防止用保護衣については、労働者の身体に合ったサイズのものを着用す

ること。既にソーチェーンが当たって繊維が引き出されたものなど、保護性能が低下しているも

のは使用しない。

ウ チャップスを着用するに当たっては、留め金具式の場合は全ての留め具を確実に留めた上で、

左右にずれないように、適度に締め付けて着用すること。なお、チャップスについては、作業中

の歩行等によりチャップスがめくれることのないよう、最下部の留め具が足首にできるだけ近い

ものを着用することが望ましい。

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参 考 資 料

参考資料 1 林業における作業別死亡者数

参考資料 2 「チェーンソーによる伐木等作業の安全」に関する

法令改正等(平成 31年 2 月改正)

参考資料 3 「チェーンソーによる伐木等作業の安全」に関する

法令改正に関する通達

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林業における作業別死亡者数

(平成 19-28 年分 430 人の内訳)

出典:林業・木材製造業労働災害防止協会の

データより再構築

<参考資料 1> 林業における作業別死亡者数

平成 19 年から平成 28 年の林業における作業別死亡者数を示す。死亡者数 430 人の中で、「伐木造材」

が約 2/3 を占めるが(277 人、64.4%)、その大部分は「伐木」(254 人、「伐木造材」の 91.7%、全体の

59.1%)である。その「伐木」の中では「自己伐倒」、すなわち自らが伐った木によるものが多い(166 人、

「伐木」の 65.4%、全体の 38.6%)。さらに、その 「自己伐倒」の中では「かかり木処理」が最も多い

結果となっている(69 人、「自己伐倒」の 41.6%、全体の 16.0%)。すなわち,自己伐倒中のかかり木処

理中が最も危険な作業であり,かかり木が発生しないように作業することが望ましいといえる。

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40

林業における伐木等作業の死亡災害と胸高直径の関係(累積)

(平成 12 年から 28 年に発生した伐木作業のうち胸高直径の判明した 292 件を分析)

出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部:伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会報告書、平成 30 年3月。

これまで労働安全衛生規則第 477 条においては、胸高直径 40cm 以上の立木を伐倒しようとするとき

に受け口を作ることとされていたが、令和元年8月の法改正により胸高直径 20cm 以上の立木を伐倒し

ようとするときに受け口を作ることとされました。

上図に平成 12年から 28年に発生した伐木作業中の死亡事故のうち、胸高直径が判明した 292 件の災

害について、胸高直径ごとの死亡者数の累積比率を示します。この立木の胸高直径ごとの伐倒作業に関

する死亡災害の発生状況をみると、胸高直径が 20cm 以上で死亡災害が大きく増加していくことから、

概ね胸高直径 20cm から死亡災害のリスクが高まっていくと考えられます。胸高直径が 20cm 台の立木

を斜め切りで伐倒した際等にも死亡災害が発生していることも踏まえ、伐倒時の受け口を作るべき立木

の胸高直径を 20cm 以上としたものです。

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41

<参考資料 2>

「チェーンソーによる伐木等作業の安全」に関する法令改正等(平成 31年 2 月改正)

平成 31 年2月 12 日に次の法令の公布及び告示がされました。

・ 労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成 31 年 2 月 12 日 厚生労働省令第 11号)

・ 安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示(平成 31 年 2 月 12 日 厚生労働省告示第 32 号)

また、関係する次の通達が発せられています。

・ 労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(平成31年 2月 14日基発0214 第 9号)

1 新旧対照表(省令改正関係)

○厚生労働省令第 11 号

労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)第 27 条第 1 項及び第 59 条第 3 項の規定に基づき、労働安全衛

生規則の一部を改正する省令を次のように定める。

平成 31 年 2 月 12 日

厚生労働大臣 根本 匠

労働安全衛生規則の一部を改正する省令

第 1条 労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)の一部を次の表のように改正する。

改正後 改正前

目次

第1編(略)

第2編 安全基準

第1章~第7章(略)

第8章 伐木作業等における危険の防止(第477条

―第517条)

第8章の2~第12章(略)

第3編・第4編(略)

附則

第8章(略)

(削る)

目次

第1編 (略)

第2編 安全基準

第1章~第7章(略)

第8章 伐木作業等における危険の防止

第1節 伐木、造材等(第477条―第484条)

第2節 木馬運材及び雪そり運材(第485条―第

517条)

第8の2~第12章(略)

第3編・第4編(略)

附則

第8章(略)

第1節 伐木、造材等

(立入禁止)

第481条 事業者は、造林、伐木、造材又は木寄せの作

業(車両系木材伐出機械による作業を除く。以下この

章において「造林等の作業」という。)を行つている

場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転

落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあ

るところには、労働者を立ち入らせてはならない。

第482条 削除

(立入禁止)

第481条 事業者は、造林、伐木、造材、木寄せ又は修

羅による集材若しくは運材の作業(車両系木材伐出

機械による作業を除く。以下この節において「造林等

の作業」という。)を行つている場所の下方で、伐倒

木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ること

による危険を生ずるおそれのあるところには、労働

者を立ち入らせてはならない。

(修羅による集材又は運材作業における危険の防止)

第482条 (条文略)

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42

(削る)

第485条から第517条まで 削除

第二節 木馬運材及び雪そり運材 (条文略)

(木馬道)第485条、第486条、487条

(木馬への積荷)第488条

(木馬をひく作業)第489条

(点検)第490条

(雪そり道)第491条、第492条

(雪そりへの積荷)第493条

(雪そりを走行させる作業)第494条

(点検)第495条

(悪天候時の作業禁止)第496条

(保護帽の着用)第497条

第2条 労働安全衛生規則の一部を次の表のように改正する。

改正後(安衛則) 改正前(安衛則)

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険

又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~七の二(略)

八 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり

木の処理又は造材の業務

(削る)

九~四十一(略)

(作業計画)

第151条の89 事業者は、車両系木材伐出機械を用いて

作業を行うときは、(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもの

でなければならない。

一~三(略)

四 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病

者の搬送の方法

3 事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項第

二号から第四号までの事項について関係労働者に周

知させなければならない。

(特別教育を必要とする業務)

第36条 法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険

又は有害な業務は、次のとおりとする。

一~七の二(略)

八 胸高直径が70センチメートル以上の立木の伐

木、胸高直径が20センチメートル以上で、かつ、重

心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他

特殊な方法による伐木又はかかり木でかかつてい

る木の胸高直径が二十センチメートル以上である

ものの処理の業務(第六号の二に掲げる業務を除

く。)

八の二 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、か

かり木の処理又は造材の業務(前号に掲げる業務を

除く。)

九~四十一(略)

(作業計画)

第151条の89 事業者は、車両系木材伐出機械を用いて

作業を行うときは、(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもの

でなければならない。

一~三(略)

(新設)

3 事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項第

二号及び第三号の事項について関係労働者に周知さ

せなければならない。

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43

(作業計画)

第151条の125 事業者は、林業架線作業を行うときは、

(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもの

でなければならない。

一~六(略)

七 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病

者の搬送の方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項

第一号、第二号、第四号、第六号及び第七号の事項に

ついて関係労働者に周知させなければならない。

(作業計画)

第151条の125 事業者は、林業架線作業を行うときは、

(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもので

なければならない。

一~六(略)

(新設)

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項

第一号、第二号、第四号及び第六号の事項について関

係労働者に周知させなければならない。

(作業計画)

第 151 条の 153 事業者は、簡易林業架線作業を行うと

きは、(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもので

なければならない。

一~五(略)

六 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病

者の搬送の方法

3 事業者は、第 1 項の作業計画を定めたときは、前項

第一号から第三号まで、第五号及び第六号の事項に

ついて関係労働者に周知させなければならない。

(伐木作業における危険の防止)

第 477 条 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による

作業を除く。以下同じ。)を行うときは、立木を伐倒

しようとする労働者に、それぞれの立木について、次

の事項を行わせなければならない。

一・二(略)

三 伐倒しようとする立木の胸高直径が20センチメ

ートル以上であるときは、伐根直径の 4 分の 1 以

上の深さの受け口を作り、かつ、適当な深さの追い

口を作ること。この場合において、技術的に困難で

ある場合を除き、受け口と追い口の間には、適当な

幅の切り残しを確保すること。

2 (略)

(作業計画)

第 151 条の 153 事業者は、簡易林業架線作業を行うと

きは、(略)

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているもので

なければならない。

一~五(略)

(新設)

3 事業者は、第 1項の作業計画を定めたときは、前項

第一号、第二号、第三号及び第五号の事項について関

係労働者に周知させなければならない。

(伐木作業における危険の防止)

第 477 条 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による

作業を除く。第 479 条において同じ。)を行うときは、

立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木に

ついて、次の事項を行わせなければならない。

一・二(略)

三 伐倒しようとする立木の胸高直径が 40 センチメ

ートル以上であるときは、伐根直径の 4 分の 1以上

の深さの受け口をつくること。

2 (略)

(かかり木の処理の作業における危険の防止)

第 478 条 事業者は、伐木の作業を行う場合において、

既にかかり木が生じている場合又はかかり木が生じ

た場合は、速やかに当該かかり木を処理しなければ

ならない。ただし、速やかに処理することが困難なと

きは、速やかに当該かかり木が激突することにより

第478条 削除

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労働者に危険が生ずる箇所において、当該処理の作

業に従事する労働者以外の労働者が立ち入ることを

禁止し、かつ、その旨を縄張、標識の設置等の措置に

よつて明示した後、遅滞なく、処理することをもつて

足りる。

2 事業者は、前項の規定に基づき労働者にかかり木

の処理を行わせる場合は、かかり木が激突すること

による危険を防止するため、かかり木にかかられて

いる立木を伐倒させ、又はかかり木に激突させるた

めにかかり木以外の立木を伐倒させてはならない。

3 第 1 項の処理の作業に従事する労働者は、かかり

木が激突することによる危険を防止するため、かか

り木にかかられている立木を伐倒し、又はかかり木

に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒して

はならない。

(伐倒の合図)

第 479 条(略)

2 事業者は、伐木の作業を行う場合において、当該立

木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者(以

下この条及び第 481 条第 2項において「他の労働者」

という。)に、伐倒により危険を生ずるおそれのある

ときは、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者に、

あらかじめ、前項の合図を行わせ、他の労働者が避難

したことを確認させた後でなければ、伐倒させては

ならない。

3 (略)

(造材作業における危険の防止)

第480条 事業者は、造材の作業(伐木等機械による作

業を除く。以下同じ。)を行うときは、転落し、又は

滑ることにより、当該作業に従事する労働者に危険

を及ぼすおそれのある伐倒木、玉切材、枯損木等の木

材について、当該作業に従事する労働者に、くい止

め、歯止め等これらの木材が転落し、又は滑ることに

よる危険を防止するための措置を講じさせなければ

ならない。

2 (略)

(伐倒の合図)

第479条(略)

2 事業者は、伐木の作業を行なう場合において、当該

立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者(以

下本条において「他の労働者」という。)に、伐倒に

より危険を生ずるおそれのあるときは、当該立木の伐

倒の作業に従事する労働者に、あらかじめ、前項の合

図を行なわせ、他の労働者が避難したことを確認させ

た後でなければ、伐倒させてはならない。

3 (略)

(造材作業における危険の防止)

第480条 事業者は、造材の作業(伐木等機械による作

業を除く。以下この条において同じ。)を行うときは、

転落し、又は滑ることにより、当該作業に従事する労

働者に危険を及ぼすおそれのある伐倒木、玉切材、枯

損木等の木材について、当該作業に従事する労働者

に、くい止め、歯止め等これらの木材が転落し、又は

滑ることによる危険を防止するための措置を講じさ

せなければならない。

2 (略)

(立入禁止)

第481 事業者は、造林、伐木、かかり木の処理、造材

又は木寄せの作業(車両系木材伐出機械による作業

を除く。以下この章において「造林等の作業」とい

う。)を行つている場所の下方で、伐倒木、玉切材、

(立入禁止)

第481条 事業者は、造林、伐木、造材又は木寄せの作

業(車両系木材伐出機械による作業を除く。以下この

章において「造林等の作業」という。)を行つている

場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転

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枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険

を生ずるおそれのあるところには、労働者を立ち入

らせてはならない。

2 事業者は、伐木の作業を行う場合は、伐倒木等が激

突することによる危険を防止するため、伐倒しよう

とする立木を中心として、当該立木の高さの2倍に

相当する距離を半径とする円形の内側には、他の労

働者を立ち入らせてはならない。

3 事業者は、かかり木の処理の作業を行う場合は、か

かり木が激突することにより労働者に危険が生ずる

おそれのあるところには、当該かかり木の処理の作

業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせては

ならない。

(下肢の切創防止用保護衣の着用)

第485条 事業者は、チェーンソーを用いて行う伐木の

作業又は造材の作業を行うときは、労働者の下肢と

チェーンソーのソーチェーンとの接触による危険を

防止するため、当該作業に従事する労働者に下肢の

切創防止用保護衣(次項において「保護衣」という。)

を着用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、保護衣を着用しな

ければならない。

第486条から第517条まで 削除

落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのある

ところには、労働者を立ち入らせてはならない。

(新設)

(新設)

第485条から第517条まで 削除

附則

(施行期日)

1 この省令は、平成 31 年 8 月 1 日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日

から施行する。

一 第 1 条の規定 公布の日

二 第 2 条中労働安全衛生規則第 36 条の改正規定 平成 32 年 8 月 1 日

(罰則に関する経過措置)

2 この省令の施行の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

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2 新旧対照表(特別教育規程(伐木)告示改正関係)

○ 厚生労働省告示第 32号

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成 31 年厚生労働省令第十言言 の一部の施行に伴い、

労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)第 39 条の規定に基づき、安全衛生特別教育規程(昭

和 47年労働省告示第 92号)の一部を次の表のように改正し、平成 32 年 8月 1 日から適用する。

平成 31 年 2 月 12 日

厚生労働大臣 根本 匠

改正後 改正前

(伐木等の業務に係る特別教育)

第 10 条 安衛則第 36 条第八号に掲げる業務に係る特

別教育は、学科教育及び実技教育により行うものと

する。

2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に

応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について

同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。

科 目 範 囲 時 間

伐木等作業に

関する知識

伐倒の方法 伐倒の合図 退

避の方法 かかり木の種類及

びその処理 造材の方法 下

肢の切創防止用保護衣等の着

4 時間

チェーンソー

に関する知識

チェーンソーの種類、構造及

び取扱い方法 チェーンソー

の点検及び整備の方法 ソー

チェーンの目立ての方法

2 時間

振動障害及び

その予防に関

する知識

振動障害の原因及び症状 振

動障害の予防措置

2 時間

関係法令 法、令及び安衛則中の関係条

1 時間

3 第1項の実技教育は、次の表の上欄に掲げる科目に

応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同

表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。

(伐木等の業務に係る特別教育)

第 10 条 安衛則第 36 条第八号に掲げる業務に係る特

別教育は、学科教育及び実技教育により行なうもの

とする。

2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応

じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同

表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。ただし、

安衛則第 36 条第八号に掲げる業務に従事する者の

うちチェーンソーを用いて当該業務に従事する者以

外の者については、チェーンソーに関する知識及び

振動障害及びその予防に関する知識の科目の教育

は、行うことを要しないものとする。

科 目 範 囲 時 間

伐木作業に関

する知識

伐倒の方法 伐倒の合図 退

避の方法 かかり木の種類及

びその処理

3 時間

チェーンソー

に関する知識

チェーンソーの種類、構造及

び取扱い方法 チェーンソー

の点検及び整備の方法 ソー

チェーンの目立ての方法

2 時間

振動障害及び

その予防に関

する知識

振動障害の原因及び症状 振

動障害の予防措置

2 時間

関係法令 法、令及び安衛則中の関係条

1 時間

3 第1項の実技教育は、次の表の上欄に掲げる科目に

応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同

表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。ただし、

前項ただし書に規定する者については、チェーンソー

の操作及びチェーンソーの点検及び整備の科目の教

育は、行うことを要しないものとする。

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科 目 範 囲 時 間

伐木等の

方法

伐木の方法 かかり木の処理方法

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

5 時間

チェーン

ソーの操

基本操作 応用操作 2 時間

チェーン

ソーの点

検及び整

チェーンソーの点検及び整備の方

法 ソーチェーンの目立ての方法

2 時間

(削る)

科 目 範 囲 時 間

伐木の方

大径木及び偏心木の伐木の方法

かかり木の処理方法

4 時間

チェーン

ソーの操

基本操作 応用操作 2 時間

チェーン

ソーの点

検及び整

チェーンソーの点検及び整備の方

法 ソーチェーンの目立ての方法

2 時間

第 10 条の 2 安衛則第 36 条第八号の二に掲げる業務

に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行

うものとする。

2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に

応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について

同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。

科 目 範 囲 時 間

伐木作業

に関する

知識

伐倒の方法 伐倒の合図 退避

の方法

2時間

チェーン

ソーに関

する知識

チェーンソーの種類、構造及び

取扱い方法 チェーンソーの

点検及び整備の方法 ソーチ

ェーンの目立ての方法

2時間

振動障害

及びその

予防に関

する知識

振動障害の原因及び症状 振

動障害の予防措置

2時間

関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1時間

3 第1項の実技教育は、次の表の上欄に掲げる科目に

応じ、それぞれぞれ、同表の中欄に掲げる範囲につい

て同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。

科 目 範 囲 時 間

伐木の方

胸高直径が70センチメートル

未満の立木の伐木の方法 かか

り本でかかつている木の胸高直

径が20センチメートル未満で

あるものの処理方法

2時間

チェーン

ソーの操

基本操作 応用操作 2時間

チェーン

ソーの点

検及び整

チェーンソーの点検及び整備

の方法 ソーチェーンの目立

ての方法

2時間

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<参考資料 3>

3 「チェーンソーによる伐木等作業の安全」に関する法令改正に関する通達

○ 労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について(平成31年 2月 14日基発0214 第 9号)

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成31年厚生

労働省令第11号。以下「改正省令」という。)及び安全衛

生特別教育規程の一部を改正する件(平成31 年厚生労働

省告示第32号。以下「改正告示」という。)が、平成31年

2月12日にそれぞれ公布又は告示され、修羅による集材又

は運材作業における危険の防止並びに、木馬運材及び雪そ

り運材に係る規定の廃止については、公布日に施行し、特

別教育に係る規定については、平成32年8月1日から施行

又は適用し、その他の規定については、平成31年8月1日

から施行することとされたところである。

改正省令及び改正告示の趣旨及び内容については、下記

のとおりであるので、関係事業者に対する周知を図るとと

もに、その施行に遺漏なきを期されたい。

第1 改正の趣旨及び概要

1 改正の趣旨

林業における労働災害発生状況について、死亡災害は長

期的には減少しているものの、平成23年以降の死亡者数は

年間40人前後で推移し、改善がみられていない。この中、

チェーンソー作業による伐木作業中に発生した死亡災害

については、年間の死亡者数の約6割を占めており、伐木

作業中に立木等が労働者に激突する等の災害が発生して

いる。また、林業における労働災害による休業4日以上の

死傷者数(以下「死傷者数」という。)についても減少し

ているものの、林業における労働災害発生率は依然として

高く、労働災害の起因物別に分析すると、「立木等」が労

働者に激突する等により被災する労働者が年間の死傷者

数の約3割程度、「チェーンソー」による切創等に被災す

る労働者が年間の死傷者数の約2割程度を占めている。

このような労働災害発生状況等を踏まえ、厚生労働省で

は、伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会

を開催し、「伐木等作業における安全対策のあり方に関す

る検討会報告書」(平成30年3月6日公表。以下「報告書」

という。)をとりまとめた。今般、同報告書に基づき、伐

木、かかり木の処理及び造材の作業における労働災害並び

に車両系木材伐出機械を用いた作業による労働災害等を

防止するため、事業者が講ずべき措置等について、必要な

規定の新設又は見直しを行ったものである。

2 改正の概要

(1) 改正省令関係

ア チェーンソーによる伐木等の業務の特別教育を統合

することを規定すること。

イ 車両系木材伐出機械による作業、林業架線作業及び簡

易林業架線作業の作業計画に示す事項に、労働災害が

発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送の方法を

追加すること。

ウ 伐木作業において受け口を作るべき立木の対象を、胸

高直径が40cm以上のものから20cm以上のものへ拡大す

るとともに、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口

に加え適当な深さの追い口を作ることを追加すること。

この場合において、技術的に困難である場合を除き、受

け口と追い口の間には適当な幅の切り残しを確保する

ことを追加すること。

エ 事業者に対して、伐木作業におけるかかり木の速やか

な処理を義務付けることを規定すること。ただし、速や

かに処理できない場合は、当該かかり木が激突するこ

とにより労働者に危険が生ずる箇所において、当該処

理の作業に従事する労働者以外の労働者が立ち入るこ

とを禁止し、かつ、その旨を縄張、標識の設置等の措置

によって明示するとともに、できるだけ速やかにかか

り木を処理しなければならないことを規定すること。

オ 事業者は、かかり木の処理において、労働者に、かか

り木にかかられている立木を伐倒させ、又はかかり木

に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒させて

はならず、また、労働者はこれらを行ってはならないこ

とを規定すること。

カ 事業者は、伐木作業においては、当該立木の高さの2

倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、当該

立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者を立

ち入らせてはならないことを規定すること。

キ 事業者は、かかり木の処理においては、かかり木が激

突することにより労働者に危険が生ずるおそれのある

ところには、当該かかり木の処理の作業に従事する労

働者以外の労働者を立ち入らせてはならないことを規

定すること。

ク 修羅による集材又は運材作業において、労働者を木材

の滑路に立ち入らせない等の事業者が講じなければな

らない措置に係る規定を廃止すること。

ケ 事業者は、チェーンソーによる伐木作業等を行う労働

者に下肢の切創防止用保護衣を着用させなければなら

ず、また、当該労働者は、当該切創防止用保護衣を着用

しなければならないことを規定すること。

コ 木馬運材及び雪そり運材に係る規定を廃止すること。

サ その他所要の改正を行うこと。

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49

(2) 改正告示関係

改正省令により、かかり木の処理の禁止や労働者に下

肢の切創防止用保護衣の着用等が義務付けられることか

ら、これらの内容についても、新たに特別教育の内容と

して含めるなど、改正告示において、チェーンソーを用

いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務に

係る特別教育の科目、範囲及び時間等の細目等の所要の

改正を行うこと。

第2 詳細事項

1 特別教育

(1) 対象業務(改正省令による改正後の労働安全衛生規

則(昭和 47 年労働省令第 32 号)(以下「新安衛則」と

いう。)第 36 条第8号関係)

ア 本条は、従前、立木の胸高直径により区分されていた

2種類の特別教育を統合し、立木の胸高直径に関わら

ず、チェーンソーを用いて行う伐木、かかり木の処理及

び造材(以下「伐木等」という。)の業務に従事する労

働者に対する教育を強化する趣旨であること。

イ 現在、伐木等の業務を行う場合において、作業の効率

性等のために、チェーンソーを用いて行うのが一般的

であることから、今般の改正により、チェーンソーを用

いない伐木等の業務を特別教育の対象業務から除外す

ることとし、特別教育の統合の概要については、表1の

とおりであること。

ウ なお、今般、除外された、チェーンソーを用いない伐

木等の業務は、伐木等に熟練した者が宗教施設等に用

いる木材を伐木するとき等の特殊な場合に限定的に実

施されている現状にある。

表1 特別教育の統合の概要

胸高直径 20cm 未満 20cm 以上

70cm 未満

70cm 以上

チェーンソ

ーを用いて

行う場合

①普通木の伐

● ● ○

②偏心木の伐

● ○ ○

③かかり木の

処理

● ○ ○

①造材 ● ● ●

上記以外 ①普通木の伐

― ― △

②偏心木の伐

― △ △

③かかり木の

処理

― △ △

①造材 ― ― ―

(凡例)

〇:施行日の前日の時点において、改正省令による改正前の労

働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)(以下「旧安

衛則」という。)第 36 条第8号の特別教育の対象となる業

務(チェーンソーを用いて行う場合)

△:施行日の前日の時点において、旧安衛則第 36 条第8号の特

別教育の対象となる業務(上記○のチェーンソーを用いて

行う場合以外の場合)

●:施行日の前日の時点において、旧安衛則第 36 条第8号の2

の特別教育の対象となる業務

―:施行日の前日の時点において、旧安衛則第 36 条第8号又

は第8号の2の特別教育の対象ではない業務

(注)新安衛則第 36 条第8号の特別教育は、「〇」及び「●」で

示す業務が対象となる。なお、「△」及び「-」で示す業務に

ついては対象とならない。

(2) 特別教育の充実(改正告示による改正後の安全衛生特

別教育規程(昭和 47 年労働省告示第 92 号)(以下「新

規程」という。)第 10 条関係)

ア 伐木等の業務に関する特別教育については、以下のと

おり、学科教育及び実技教育の科目、範囲及び時間等の

細目等の所要の改正を行うこと。

イ 改正告示による改正前の安全衛生特別教育規程(以下

「旧規程」という。)第10条第2項に定める「伐木作業

に関する知識」の科目については、科目の名称を「伐木

等作業に関する知識」に改め、その範囲に、新たに「造

材の方法」及び「下肢の切創防止用保護衣等の着用」を

追加すること。また、時間を3時間から4時間に充実す

ること。

ウ 旧規程第10条第3項に定める「伐木の方法」の科目に

ついては、科目の名称を「伐木等の方法」に改め、その

範囲に、新たに「造材の方法」及び「下肢の切創防止用

保護衣等の着用」を追加し、「大径木及び偏心木の伐木

の方法」を「伐木の方法」に改めること。また、時間を

4時間から5時間に充実すること。

(3) 科目の省略(新安衛則第 36条第8号及び新規程第 10

条関係)

ア 労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第37条

の規定により、特別教育の科目の全部又は一部につい

て、十分な知識及び技能を有していると認められる労

働者については、当該科目の教育を省略することがで

きることから、同条に基づき、次のとおり特別教育を省

略することができること。

イ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号

の特別教育を修了した者のうち、旧規程第10条第2項

ただし書きに定めるチェーンソーに関する知識及び振

動障害及びその予防に関する知識の科目の教育を含め

て同特別教育を修了した者については、旧安衛則第36

条第8号の2の特別教育の修了の有無にかかわらず、

新規程第10条第2項及び第3項に規定する科目、範囲

及び時間のうち下記の表2及び表3に規定する科目、

範囲及び時間を受講することにより、同表に定める科

目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

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表2 学科教育

科目 範囲 時間

伐木等作業に

関する知識

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

1時間

関係法令 法、令及び新安衛則中の関係条項 1時間

(注)「法」とは、労働安全衛生法(昭和 47年法律第 57 号)、「令」

とは、労働安全衛生法施行令(昭和 47 年政令第 318 号)のこ

と。以下、表3から表7まで同じ。

表3 実技教育

科目 範囲 時間

伐木等の方法 下肢の切創防止用保護衣等の着用 30 分間

ウ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号

の特別教育を修了した者のうち、旧規程第10条第2項

ただし書きに基づき、チェーンソーに関する知識及び

振動障害及びその予防に関する知識の科目の教育を行

うことを要しないとされた者については、旧安衛則第

36条第8号の2の特別教育の修了の有無にかかわらず、

新規程第10条第2項及び第3項に規定する科目、範囲

及び時間のうち下記の表4及び表5に規定する科目、

範囲及び時間を受講することにより、同表に定める科

目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

表4 学科教育

科目 範囲 時間

伐木等作業に

関する知識 造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用 1時間

チェーンソー

に関する知識

チェーンソーの種類 構造及び取扱い

方法

チェーンソーの点検及び整備の方法

ソーチェーンの目立ての方法

2時間

振動障害及び

その予防に

関する知識

振動障害の原因及び症状

振動障害の予防措置

2時間

関係法令 法、令及び新安衛則中の関係条項 1時間

表5 実技教育

科目 範囲 時間

伐木等の方法 下肢の切創防止用保護衣等の着用 30 分間

チェーンソー

の操作

基本操作 応用操作 2時間

チェーンソー

の点検及び整

チェーンソーの点検及び整備の方法

ソーチェーンの目立ての方法

2時間

エ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の特別

教育を修了していない者であって、旧安衛則第36条第8号の2

の特別教育を修了した者については、新規程第10条第2項及び

第3項に規定する科目、範囲及び時間のうち表6及び表7に規

定する科目、範囲及び時間を受講することにより、同表に定め

る科目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

表6 学科教育

科目 範囲 時間

伐木等作業 伐倒の方法 2時間

に関す る知

かかり木の種類及びその処理

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

関係法令 法、令及び新安衛則中の関係条項 1時間

表7 実技教育

科目 範囲 時間

伐木等の方法 伐木の方法

かかり木の処理の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

2時間

オ 施行日の前日までに、新規程第10条に規定する特別教

育の全部又は一部の科目を受講した者については、当

該受講した科目を省略できること。

(4) 特別教育の講師

特別教育の講師についての資格要件は定めていないが、

学科及び実技の科目について十分な知識、経験を有する

者でなければならないこと。

(5) 施行日及び適用日(改正省令附則第 1号第 2号及び

改正告示関係)

平成 32 年 8 月 1 日

2 車両系木材伐出機械による作業等の作業計画(新安衛

則第 151 条の 89 第2項、第 151 条の 125 第2項及び第

151 条の 153 第2項関係)

(1) 改正の内容

ア 伐木等の作業については、一般的に、救急車両等によ

る乗入れが困難である場所で行われることが多く、重

とくな労働災害が発生した場合においては、速やかに、

救急車両等により、負傷者を搬送できないことが想定

されることから、車両系木材伐出機械を用いて行う作

業、林業架線作業又は簡易林業架線作業を用いて行う

作業の各作業計画に示す事項に、それぞれ「労働災害が

発生した場合の応急の措置」及び「傷病者の搬送の方法」

を追加するものであること。

イ 「労働災害が発生した場合の応急の措置」には、関係

者への連絡、被災者に対する応急の救護措置等がある

こと。

ウ 「傷病者の搬送の方法」には、救急車両等による傷病

者の搬送に加えて、傷病者を救急車両等まで搬送する

方法(担架等)を含むものであること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成 31 年8月1日

3 伐木作業における危険の防止(新安衛則第477条第1項

関係)

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(1) 改正の内容

ア 本項は、胸高直径が概ね20cm以上の立木を伐倒すると

きに死亡災害が大きく増加していることから、伐木作

業において「受け口」を作るべき立木の対象を胸高直径

が40cm以上のものから20cm以上のものへと対象範囲を

拡大する趣旨であること。なお、一般的に、立木の伐倒

方向を確実なものにするためには、立木を伐倒したい

方向に「受け口」を設けることが必要であることから、

「受け口」を設けることは、伐倒方向を絞り込み、伐木

作業における危険の防止を図るために有効であるとさ

れている。また、胸高直径20cm未満の立木については、

新安衛則第477条第1項による規制の対象ではないも

のの、伐木に従事する労働者の知識、経験等を踏まえ、

胸高直径20cm未満の立木であっても、適切に受け口、追

い口及び切り残しを作ることができる場合は、受け口

を作ることが望ましいこと。

イ 「伐倒しようとする立木の胸高直径が20cm以上であ

るときは、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口を

作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合

において、受け口と追い口の間には適当な幅の切り残

しを確保すること」は、立木を切り落とし、斜め切りに

より伐倒することを死亡災害の発生状況に鑑み禁止す

るとともに、受け口と追い口の間に適当な幅の切り残

し(つる)を確保することは伐木の作業を安全に行うた

めに有効であるとされていることから、措置を義務付

けること。

ウ 「技術的に困難である場合」とは、偏心が著しい等の

立木を伐倒する場合において、本条第1項に定める措

置により、当該伐倒を行う労働者の安全を確保するこ

とが著しく困難である場合、人命救助等の緊急を要す

る場合において、同項に定める措置を行うことが困難

である場合があること。

エ 「受け口と追い口の間には、適当な幅の切り残しを確

保すること。」については、図1のとおり、受け口と追

い口の中間に残る部分を切り残し(つる)といい、この

切り残し(つる)の幅(つる幅)が伐根直径の10分の1

程度となるように、図1のとおり適当な幅の切り残し

を確保すること。なお、「つる」の用語については、安

衛則第477条第1項第2号において、立木の幹等に絡み

つく草等の植物の意味として既に用いられていること

から、用語の混同を避けるために、「追い口と切り口の

間における切り残し」という意味では用いないこと。ま

た、伐根直径については、立木の根張りを含めるもので

はないこと。

図1 受け口、追い口及び切り残し(つる)の関係

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

4 かかり木の処理の作業における危険の防止(新安衛則

第478条)

(1) 改正の内容

ア 本条第1項は、かかり木の処理の作業(図2)に従事

する労働者以外の労働者が、放置されたままのかかり

木に気付かず接近したときに、かかり木が落下し、労働

災害に被災した事例を踏まえ、かかり木を放置するこ

となく、かかり木の処理の作業を速やかに行わなけれ

ばならないものとすること。

また、作業の手順や作業の場所によっては、かかり木

が発生した場合であっても、やむを得ない事由により、

かかり木の処理の作業を速やかに行うことができない

場合があることから、この場合には、かかり木の処理の

作業に従事する労働者以外の労働者がかかり木に接近

することがないように立入りを禁止すること。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わら

ず、より安全にかかり木の処理の作業を行うことを規

定する趣旨であり、複数の労働者が協同して、かかり木

の処理の作業に従事することを禁止するものではない

こと。

イ 「伐木の作業を行う場合」には、立木を伐倒する作業

のほか、かかり木処理の作業のための段取り作業等を

含むこと。

ウ 「既にかかり木が生じている場合」とは、労働者が立

木を伐倒しようとする場合において、既にかかり木が

存在している場合であること。

エ 「かかり木が生じた場合」とは、労働者が立木の伐倒

の作業を行ったことによりかかり木が生じた場合であ

ること。

オ 「速やかに処理することが困難なとき」とは、職長等

への作業の支援要請、必要となる機材の搬送等による

かかり木の処理の作業における安全の確保、かかり木

の処理の作業に従事する労働者以外の労働者の退避等

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の措置を行うために、かかり木の処理の作業を直ちに

行うことが困難である場合をいうこと。なお、伐木作業

を行う場合には、かかり木の処理の作業を安全に行う

ため、けん引具等の器具を携行することが望ましいこ

と。

カ 「縄張、標識の設置等の措置」とは、かかり木に激突

されることにより、労働者に危険が生ずる箇所におい

て、当該労働者以外の労働者の立入りを禁止し、当該箇

所に縄を張り、又はかかり木の処理を行っている旨標

識を設置する等の措置があること。なお、かかり木の状

態のままで放置されることがないように規定する趣旨

であり、かかり木の処理の作業を速やかに行うことが

可能な場合にまで、縄張、標識の設置等の措置を義務付

けるものではないこと。

キ 「遅滞なく」とは、職長等への作業の支援要請、必要

となる機材の搬送等によるかかり木の処理の作業にお

ける安全の確保、かかり木の処理の作業に従事する労

働者以外の労働者の退避等の措置を講じた後、なるべ

く早急に、かかり木の処理の作業を行うこと。

図2 かかり木の処理

ク 本条第2項及び第3項は、かかり木処理時に発生する

死亡災害は多数に上っていることから、死亡災害が多

く発生している「かかり木にかかられている立木を伐

倒」及び「かかり木に激突させるためにかかり木以外の

立木を伐倒(浴びせ倒し)」を禁止すること。

(参考1)「かかり木にかかられている立木を伐倒」とは、

図3のとおり、かかられている立木を伐倒することに

より、当該伐倒木及びかかり木を一体的に伐倒させる

こと。

図3 かかり木にかかられている立木を伐倒

(参考2)「かかり木に激突させるためにかかり木以外の

立木を伐倒」とは、図4のとおり、他の立木を伐倒し、

かかり木に激突されることにより、かかり木を外す(い

わゆる浴びせ倒し)こと。

図4 かかり木に激突させるためにかかり木以外の

立木を伐倒

(参考3)図5に示す「かかっている木の元玉切り」(か

かっている木について、かかった状態のままで元玉切

りをし、地面等に落下させることにより、かかり木を外

すこと。)については、改正省令により禁止するもので

はないが、かかり木の処理の作業を安全に行うもので

あるとは言えないこと。

図5 かかっている木の元玉切り

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

5 立入禁止(新安衛則第481条)

(1) 改正の内容

ア 従来から、造林等の作業を行っている場所の下方で、

伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑るこ

とによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働

者の立入りを禁止しているが、本条第1項において、か

かり木の処理の作業を行っている場所の下方でも、か

かり木が転落し、又は滑ることにより危険を生ずるお

それがあることから、同様に労働者の立入りを禁止す

ること。

イ 立木の伐倒の作業に従事していない労働者が伐倒木

に激突される災害が発生していることから、このよう

な災害を防止するため、本条第2項において、諸外国の

基準を踏まえ、立木の根元からその樹高の2倍に相当

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する距離を設定し、その距離を半径とする円の内側に

おいて、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外

の労働者の立入りを禁止すること。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わら

ず、より安全に伐木の作業を行うことを規定する趣旨で

あり、複数の労働者が協同して、伐木の作業に従事する

ことを禁止するものではないこと。また、立木を伐倒す

るときには、立木の伐倒の作業に従事する労働者は、周

辺の全ての労働者に合図により的確に情報伝達を行い、

当該伐倒に係る立入り禁止の範囲から、伐倒作業に従事

する労働者以外の労働者の待避の確認を徹底すること

が望ましいこと。

ウ 本条第2項において、「伐倒木等が激突することによ

る危険」とは、伐倒木が伐倒する際に近傍の立木の枝等

が落下し、労働者に激突すること等を含むこと。

エ 本条第2項において、「他の労働者」には、立木の伐

倒の作業に従事する労働者及びその労働者に対して、

伐木の作業を安全に行う等のための助言、指導等を行

う者を含まないこと。

オ 本条第3項において、新安衛則第478条に定めるかか

り木の処理の作業における危険の防止とともに、新安

衛則481条第2項を踏まえ、かかり木の処理の場合であ

ってもかかり木の処理の作業に従事する労働者以外の

労働者の立入りを禁止すること。

カ 「かかり木が激突することにより労働者に危険が生

ずるおそれのあるところ」とは、かかり木の直下及びそ

の周辺を含み、当該かかり木等に激突されることによ

り、労働者に危険が生ずる箇所と判断された範囲であ

ること。

キ 「かかり木の処理の作業に従事する労働者」には、か

かり木の処理の作業を安全に行う等のための助言、指

導等を行う者を含むこと。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

6 修羅による集材又は運材作業における危険の防止(旧

安衛則第481条及び第482条)

(1) 改正の内容

報告書の「修羅、木馬運材及び雪そり運材については

林業の現場でほとんど使用されていないことから、こ

れらに係る規定については廃止すべきである。」という

提言を踏まえ、修羅による集材又は運材作業に係る規

定を廃止すること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条第1号関係)

公布日

7 下肢の切創防止用保護衣の着用(新安衛則第485条)

(1) 改正の内容

ア チェーンソーによる休業4日以上の死傷災害の多く

は、労働者の下肢を切創しているものであるが、チェー

ンソーの刃(以下「ソーチェーン」という。)が接触し

やすい下肢の部分に切創防止用の繊維を入れた防護ズ

ボン、取り外しができる前掛け状のチャップスである

ような労働者の下肢の切創防止用保護衣が普及してい

ることを踏まえ、チェーンソーによる伐木作業等を行

う場合において、事業者に、防護ズボン、チャップス等

の労働者の下肢を防護する保護衣を着用させることを

義務付けること。

また、労働者に対して、この場合に着用することを義

務付けること。

イ 下肢の切創防止用保護衣については、前面にソーチェ

ーンによる損傷を防ぐ保護部材が入っており、日本工

業規格T8125-2に適合する防護ズボン又は同等以上の

性能を有するものを使用すること。また、下肢の切創防

止用保護衣については、労働者の身体に合ったサイズ

のものを着用すること。既にソーチェーンが当たって

繊維が引き出されたものなど、保護性能が低下してい

るものは使用しないこと。

ウ チャップスを着用するに当たっては、留め金具式の場

合は全ての留め具を確実に留めた上で、左右にずれな

いように、適度に締め付けて着用すること。なお、チャ

ップスについては、作業中の歩行等によりチャップス

がめくれることのないよう、最下部の留め具が足首に

できるだけ近いものを着用することが望ましいこと。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成 31 年8月1日

8 木馬運材及び雪そり運材における危険の防止(旧安衛

則第485条から第497条まで)

(1) 改正の内容

報告書の「修羅、木馬運材及び雪そり運材については

林業の現場でほとんど使用されていないことから、こ

れらに係る規定については廃止すべきである。」という

提言を踏まえ、木馬運材及び雪そり運材に係る規定を

廃止すること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条第1号関係)

公布日

第 3 関係通達の改正

昭和 36 年3月 13 日付け基発第 183 号関係

同通達中の 10(2)及び(3)、11 並びに 13から 23 を

廃止する。

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(20190930)


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