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第2章 フレーム・コントロールStep2-全体フレームの判断- …- 6 - ) y î³a±...

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- 1 - 第2章 フレーム・コントロールStep2-全体フレームの判断- 第4 申請個数の判断 4-1 申請個数減少の例外1(申請省略) 29 元本確定登記の省略
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第2章 フレーム・コントロールStep2-全体フレームの判断- 第4 申請個数の判断 4-1 申請個数減少の例外1(申請省略)

29 元本確定登記の省略 ⑴ 確定期日の到来 【事例 58-確定期日の到来-】-C 【事例 58-確定期日の到来-】 解答⇒テキスト 263 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債権の範囲 売買取引 確定期日 平成 32 年7月 1 日 債務者A 根抵当権者 X (事実関係) 1 XおよびYは,令和2(平成 32)年7月1日,1番根抵当権の被担保債権の全額を代金 2,000 万円で移転する旨を合意した。 2 同日,XおよびYは,Aの承諾を得て,1番根抵当権を移転する全部譲渡契約を締結した。 解答⇒テキスト 263 頁 事例 58 ポイント解説 ・ 本事例の根抵当権には,乙区1番の登記事項から,確定期日が定められていることがわかり,当該期日の到来時に,元本が確定する。この確定は,登記簿上明らかとなるため,元本確定登記の申請は要しない。 ・ 事実1では,確定後の根抵当権の被担保債権について,債権譲渡がされているため,債権に随伴して根抵当権も譲受人Yに移転し,「債権譲渡」により根抵当権の主体が変更するので,特定移転登記を申請すべきことになる。 ・ 一方,事実2の全部譲渡契約は,元本確定前に限ってすることができる処分であるため,効力を生じない。 ⑵ 相続後6か月以内に合意の登記なし 【事例 59-6か月以内の合意の登記なし-】-A3 A 平 10 は6か月以内の申請日に極度額の減額,6か月経過後の申請日には一部順位放棄の受益と追加設定,平 18 は6か月経過後に相続による債務者変更登記を申請し債権譲渡による移転,平27 は6か月経過後に相続による債務者変更登記をして一部代位弁済 【事例 59-6か月以内の合意の登記なし-】 解答⇒テキスト 267 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 3番 所有権移転 令和 1 年 12 月1日相続 所有者B

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-債権譲渡 事 2-全部譲渡 ▲確定期日到来 変更 (無効) (先例・申請省略) 移転 特定移転登記 甲

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乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債権の範囲 売買取引 債務者A 根抵当権者 X 付記1号 1番根抵当権変更 令和 1 年 12 月1日相続 債務者B (事実関係) 1 XおよびYは,令和2年7月1日,1番根抵当権の被担保債権金2,000万円のうち金1,555万 5,500円を代金 500 万円で移転する旨を合意した。 2 同日,XおよびYは,Bの承諾を得て,1番根抵当権を分割せずに共有するための一部譲渡契約を締結した。 解答⇒テキスト 267 頁 事例 59 ポイント解説 ・ 乙区1番の根抵当権には,相続を原因とする債務者の変更登記がされており,相続開始後から6か月以内に指定債務者の合意及びその登記がされないことで,相続開始時に元本確定がみなされる根抵当権であることが登記記録上明らかとなる。 ・ 事実1では,確定後の根抵当権の被担保債権について,債権一部譲渡がされているため,債権に随伴して根抵当権の一部も譲受人Yに移転し,「債権一部譲渡」により根抵当権の一部の主体が変更するので,特定移転登記を申請すべきことになる。 ・ 一方,事実2の一部譲渡契約は,元本確定前に限ってすることができる処分であるため,効力を生じない。 ⑶ 根抵当権者の差押 【事例 60-根抵当権者の差押-】-A2 A 平 12 年は,3番根抵当権は根抵当権者の差押により確定し差押が取下られても元本確定は覆滅しないが,極度額の増加変更はできる。2番根抵当権は,第三者の差押となり差押が取り下げられれば元本確定効果は覆滅するが,共用債務者の全員死亡で6か月以内に合意をせず,債務者の変更契約による登記はできない。平 29 年は財務省の差押は第三者の差押となるが,これが全額支払いにより解除されれば,元本確定効果は覆滅する。 【事例 60-根抵当権者の差押-】 解答⇒テキスト 269 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 3番 差押 令和1年 12 月1日甲地方裁判所担保不動産競売開始決定 債権者X 4番 3番差押抹消 令和2年6月1日取下 乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債権の範囲 売買取引 債務者A 根抵当権者 X (事実関係) 1 保証人Yは,Xに対して,令和2年7月1日,1番根抵当権の被担保債権金 5,000 万円のうち金4,000 万円を弁済した。 2 同日,XおよびYは,Aの承諾を得て,1番根抵当権を極度額金 2,000 万円の根抵当権と極度額金 1,000 万円の根抵当権に分割し,極度額金 2,000 万円の根抵当権をYに移転する分割譲渡契約を締結した。

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-債権一部譲渡 事 2-一部譲渡契約 ▲相続後6か月経過 変更 (無効) (先例・申請省略) 移転 特定移転登記 甲

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解答⇒テキスト 269 頁 事例 60 ポイント解説 ・ 甲区3番で,根抵当権者であるXを債権者とする差押えの登記がされているため,乙区1番のXの根抵当権の元本が確定していることは,登記簿上明らかである。甲区3番は取下げにより抹消されているが,第三者の差押えの場合と異なり,元本確定の効果は覆滅しない。 ・ 事実1では,確定後の根抵当権の被担保債権の一部について,債務者以外の第三者であるYによる代位弁済がされているため,債権に随伴して根抵当権の一部も代位弁済者Yに移転し,「一部代位弁済」により根抵当権の一部の主体が変更するので,特定移転登記を申請すべきことになる。 ・ 一方,事実2の分割譲渡契約は,元本確定前に限ってすることができる処分であるため,効力を生じない。 民法改正の影響 ・ 代位弁済 ⑷ 設定者の破産 【事例 61-設定者の破産-】-B B 平 13 は設定者の破産否認 【事例 61-設定者の破産-】 解答⇒テキスト 270 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 3番 破産手続開始決定 令和2年4月1日午前 10 時甲地方裁判所破産手続開始決定 乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債権の範囲 売買取引 債務者A 根抵当権者X (事実関係) 1 Yは,Aに対して,令和2年7月1日,金 1,000 万円を貸し渡した。 2 同日,XおよびYは,1番根抵当権の極度額からYがXに優先して弁済を受ける譲渡契約を締結した。 解答⇒テキスト 270 頁 事例 61 ポイント解説 ・ 甲区3番の破産の登記から,設定者Aについて破産手続開始決定がされていることがわかり,同決定時

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-一部代位弁済 事 2-分割譲渡契約 ▲根抵当権者の差押 変更 (無効) (先例・申請省略) 移転 特定移転登記 甲

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-YA金銭消費貸借 事 2-XY抵の譲渡契約 ▲設定者の破産 ―― 変更 (先例・申請省略) 変更 変更登記 甲

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点で甲土地の根抵当権の元本は確定する。当該確定は登記簿上明らかであるため,元本確定登記の申請は要しない。 ・ 事実2では,根抵当権者Xと,後順位担保権者以外の債務者を同じくする他の債権者Yとが,根抵当権の極度額からYが優先弁済を受ける譲渡契約をしているため,民法 376 条の(根)抵当権のみの譲渡契約を法律構成する。当該根抵当権は元本確定後であるため,有効に民法 376 条の処分をすることができる。 ⑸ 第三者の差押と元本確定の覆滅効果 【事例 62-第三者の差押と元本確定の覆滅効果-】-A2 A 平 12 年は,3番根抵当権は根抵当権者の差押により確定し差押が取下られても元本確定は覆滅しないが,極度額の増加変更はできる。2番根抵当権は,第三者の差押となり差押が取り下げられれば元本確定効果は覆滅するが,共用債務者の全員死亡で6か月以内に合意をせず,債務者の変更契約による登記はできない。平 29 年は財務省の差押は第三者の差押となるが,これが全額支払いにより解除されれば,元本確定効果は覆滅する。 【事例 62-第三者の差押と元本確定の覆滅効果-】 解答⇒テキスト 273 頁 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 3番 差押 令和1年 12 月1日甲地方裁判所担保不動産競売開始決定 債権者Y 4番 3番差押抹消 令和2年6月1日取下 乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債権の範囲 売買取引 債務者A 根抵当権者 X 2番 抵当権設定 債権額金 1,000 万円 債務者A 抵当権者 Y (事実関係) 1 XおよびWは,令和2年7月1日,1番根抵当権の被担保債権の全額を代金 2,000 万円で移転する旨を合意した。 2 同日,XおよびWは,Aの承諾を得て,1番根抵当権を移転する全部譲渡契約を締結した。 解答⇒テキスト 273 頁 事例 62 ポイント解説 ・ 甲区3番で,根抵当権者X以外の第三者を債権者とする差押登記がされているため,原則として,Xが当該差押(競売開始決定)を知って2週間が経過した時に,根抵当権の元本が確定する。しかし,当該差押は,取下げにより抹消されているため,根抵当権の元本は確定しなかったものとみなされる。したがって,Xの根抵当権は元本確定前のままである。 ・ 事実1では,元本確定前の根抵当権の被担保債権について,債権譲渡がされており,債権は譲受人Wに移転するものの,随伴性が否定されるため,根抵当権は移転せず,債権譲渡は原因関係にならない。 ・ 事実2では,元本確定前の根抵当権について,設定者の承諾を得て,全部譲渡契約がされているため,根抵当権の主体がWに変更する権利変動が生じ,「(全部)譲渡契約」が原因関係となり,登記の種類は「特定移転登記」となる。

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-債権譲渡 事 2-全部譲渡契約 ▲第三者の差押の効力消滅 (元本確定効果の覆滅) (随伴性否定) 変更 甲区3番抹消登記済 移転 特定移転登記 甲

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【事例 63-第三者による担保不動産収益執行の差押-】-C 【事例 63-第三者による担保不動産収益執行の差押-】 解答⇒テキスト 275 頁 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 (甲建物の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A 3番 差押 令和1年 12 月1日甲地方裁判所担保不動産収益執行開始決定 債権者Y 乙区1番 根抵当権設定 極度額金 3,000 万円 債務者A 根抵当権者 株式会社X 2番 抵当権設定 債権額金 1,000 万円 債務者A 抵当権者 Y (事実関係) 1 令和2年7月1日,分割会社を株式会社Xとし,承継会社を株式会社Wとする吸収分割の分割契約に定めた効力発生日が到来したため,同年7月4日,商業登記所において会社分割による変更登記を完了させた。 解答⇒テキスト 275 頁 事例 63 ポイント解説 ・ 担保不動産収益執行は,根抵当権者自身が申し立てれば元本確定事由に当たるが,根抵当権者以外の者の申立てによるものは元本確定事由に当たらない。不動産収益執行を原因とする甲区3番の差押登記の申立人(債権者)は根抵当権者Xではないため,根抵当権は元本確定前のままである。 ・ 元本確定前の根抵当権者を分割会社とする会社分割の効力が生じているため,根抵当権は分割会社株式会社Xと承継会社株式会社Wの共有に属することになる。すなわち,「会社分割」によって,根抵当権の一部の主体が株式会社Wに変更されることになり,登記の種類は特定移転登記となる。 4-2 個数減少の例外2(数個の法律関係を1個の原因関係と評価)

30 遡及効の遺産分割型 ⑴ 遺産分割協議 【事例 64-遺産分割協議-】-B B 81 平 18-遺産分割による相続による移転 【事例 64-遺産分割協議-】 解答⇒テキスト 278 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 なお,甲土地の課税標準の額は金 6,000 万円とする。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A (事実関係) 1 Aは,令和2年2月1日に死亡した。Aの相続人は,配偶者Bおよび子Cである。 2 BおよびCは,令和2年7月1日,甲土地をBが相続する旨の協議をした。

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-会社分割 ▲第三者の収益執行(元本確定効果なし) 変更 甲区3番登記済 移転 特定移転登記 甲

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動

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解答⇒テキスト 278 頁 事例 64 ポイント解説 ・ 遺産分割の遡及効により,甲土地は相続開始の当初から,Bが単独で承継したことになり,甲土地に関しては,未だ共同相続の登記がされていないため,直接Bのための,「相続」を原因とする包括移転登記を申請することができる。「遺産分割」は「相続」に吸収される結果,独立した原因関係にならない。 ⑵ 相続人間の相続分の譲渡 【事例 65-相続人間の相続分の売買-】-B B 平 17 年は,相続人の1人の時効援用の前提として相続人間の相続分譲渡が問題となっている。 【事例 65-相続人間の相続分の売買-】 解答⇒テキスト 280 頁◎先例 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 なお,甲土地の課税標準の額は金 6,000 万円とする。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A (事実関係) 1 Aは,令和2年2月1日に死亡した。Aの相続人は,配偶者Bおよび子Cである。 2 BおよびCは,令和2年7月1日,Cの相続分を代金 500 万円でBに移転する旨を合意した。 解答⇒テキスト 280 頁 事例 65 ポイント解説 ・ 相続人間で相続分の売買がされており,未だ共同相続の登記がされていないため,遺産分割の取扱いに準じて,譲渡人以外の相続人のための,「相続」を原因とする包括移転登記を申請することができる。 ⑶ 第三者への相続分の譲渡 【事例 66-第三者への相続分の譲渡-】-C 【事例 66-第三者への相続分の譲渡-】 解答⇒テキスト 283 頁・434 頁◎先例☆連件 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 なお,甲土地の課税標準の額は金 6,000 万円とする。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A (事実関係) 1 Aは,令和2年2月1日に死亡した。Aの配偶者はB,AB間には子Cがおり,Bには,Aとの婚姻前にBが出産した子Dがいる。 2 BおよびDは,令和2年7月1日,Bの相続分を無償でDに移転する旨を合意した。

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-Aの法定相続 事 2-遺産分割協議 変更 (相続の修正事由) 移転 包括移転登記 甲

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 事 1-Aの法定相続 事 2-BC相続分売買 変更 (相続の修正事由) 移転 包括移転登記 甲

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解答⇒テキスト 283 頁・434 頁 事例 66 ポイント解説 ・ 相続分の贈与の受贈者が相続人ではない者(D)であるため,登記手続上,これを相続の修正事由と扱うことはできず,相続人BCを登記名義人とする包括移転登記を経て,BDの共同申請により,相続分贈与によりDが持分を取得した旨の特定移転登記を申請すべきことになる。 ⑷ 遺留分減殺 【事例 67-遺留分減殺-】-A A 平7,平 24 は,既に遺贈の登記がされている状況での遺留分減殺請求である 【事例 67-遺留分減殺-】 解答⇒テキスト 285 頁・432 頁◎判例,先例☆連件 問 次の事実について,法律構成の判断,原因関係の判断,登記の種類の判断をしなさい。 なお,甲土地の課税標準の額は金 6,000 万円とする。 (甲土地の登記記録) 甲区2番 所有権移転 所有者 A (事実関係) 1 Aは,平成 29 年4月1日,「甲土地をDに遺贈する。遺言執行者はDとする。」旨の公正証書遺言書を作成した。 2 Aは,平成 31 年2月1日に死亡した。Aの相続人は,配偶者Bおよび子Cである。A死亡時のAが保有している権利義務は,甲土地のみである。 3 Bは,Dに対して,令和元年7月1日到達の内容証明郵便をもって遺留分減殺請求の意思表示をした。 ※ 本事例は,改正後でも,改正前の規定の適用を受けるように,相続開始日を調整している。 解答⇒テキスト 285 頁・432 頁 事例 67 ポイント解説 ・ (令和元年6月 30 日以前に開始した相続に関して)遺留分権利者である配偶者Bから,特定遺贈の受遺者Dに対して遺留分減殺請求の意思表示がされており,死亡時のAの財産は甲土地のみであるため,遺留分侵害額に相当する遺贈の一部が失効する。 ・ 未だ遺贈の登記がされていない本事例の場合,甲土地の一部についての遺贈と,残部についてのBのための法定相続が,同時に効力を生じているが,相続による移転登記は,権利の一部のみについてすること

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 2 事 1-Aの法定相続 事 2-BD相続分贈与 変更 変更 移転 移転 包括移転登記 特定移転登記 甲 甲

順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 順 序 法律構成 原因関係の判断 登記の種類の判断 物件 民 177 の効果 法3の権利変動 1 2 事 1-A遺言書作成 事 2-A死亡 ▽特定遺贈 事 3-BD遺留分減殺 ―― ―― 変更 変更 移転 移転 特定移転登記 包括移転登記 甲 甲

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が許されないため,1番目に遺贈による特定移転登記を,2番目に相続による包括移転登記を申請する順序となる。 民法改正の影響 ・ 遺留分の侵害を回復する請求については,金銭債権化する改正がなされ,令和元年7月1日以降に開始した相続に関しては,請求により,現物返還の効果が生じるのではなく,侵害相当額の金銭債権が発生することとされた(改民 1046Ⅰ)。その結果,遺留分侵害額の請求により直接,不動産に物権的効果が生じることはなくなり,遺留分減殺は原因関係とはならなくなる。 ・ 例えば,本事例の相続開始日が令和元年7月1日以降であり,改正法を適用した場合,事実3の請求によって,BはDに対し,侵害額相当の金銭債権を取得するが,甲土地の遺贈の効果が否定されることはなく,申請すべき登記は,甲土地全部についてのDのための遺贈による特定移転登記1件のみとなる。もっとも,D及びBが,侵害額の支払いに代えて,甲土地(の一部)をBに返還する合意をすることは妨げられない。しかし,当該合意は,金銭債権の弁済に代えて,金銭以外の物を給付する代物弁済契約と解され,侵害額請求とは別個の法律関係と評価すべきである。したがって,当該合意に基づき申請すべきは,「代物弁済」を原因とする特定移転登記となろう。 ・ なお,令和元年6月 30 日以前に開始した相続については,施行日以降も依然として旧規定が適用されるため,論理的には,令和 11年6月 30日までの日を原因日付とする「遺留分減殺」による登記はあり得る点(旧民 1042参照)には,一定の留意が必要である。

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1-3 株式数の増減に関する登記

10 株式の併合 【事例 17―株式の併合―】-B ★過去問:平6○株式の併合(株券発行会社で株券提出公告) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 発行可能株式総数 800 株 発行済株式の総数 200 株 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の定時株主総会議事録) 2号議案 議長は,本日をもって2株を1株に併合し,発行可能株式総数を 400 株とする必要性を説明し,その可否を議場に諮ったところ,満場一致で可決した。 (聴取記録) 1 令和2年5月 26 日,官報に令和2年6月 27 日までに株券を会社に提出しなければならない旨を公告すると共に,株主に通知した。 2 発行済株式の総数のうち 50 株は自己株式である。 解答⇒テキスト 109 頁 ※参考:株主リスト 登記すべき事項につき株主総会決議を要する場合にあたるため、株主総会議事録と併せて株主リストの添付を要する(規 61Ⅲ) 11 株式の分割 【事例 18―株式の分割―】-A4 ★過去問:平3○株式分割、平5○株式分割(期限付)、平8○株式分割(期限付) 平 18○種類株式発行会社で普通株式,優先株式を双方分割,種類株主総会不要の指示,基準日後に新株予約権の行使があるがそれは株式分割後の株式数に影響なし 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 平成7年7月7日 単元株式数 100 株 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 3万株 令和2年6月1日変更 株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,基準日を令和2年3月 31 日とし,同日の最終の株主名簿に記載された株主の所有株式数を,1株につき4株の割合をもって分割し,その効力発生日を本決議の成立時とし,併せて発行可能株式総数を 32万株に変更し,単元株式数を 300株とすることの可否を議場に諮ったところ,出席取締役全員一致をもって可決した。 (聴取記録) 1 発行済株式の総数3万株のうち自己株式は1万株である。

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

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解答⇒テキスト 111 頁 12 株式の無償割当て 【事例 19―株式の無償割当て―】-A ★過去問:昭 57○株式無償割当て(新株交付・6月 14 日決議で効力発生日7月1日) 昭 58○株式無償割当て(新株交付・4月 14 日決議で効力発生日6月 30 日) 昭 59○株式無償割当て(新株交付・決議日が効力発生日) 昭 60×株式無償割当て(定款の定めなしに株主総会で決議し無効) 昭 61○株式無償割当て(新株交付・6月 25 日決議で効力発生日6月 30 日) 平1○株式無償割当て(新株交付・決議日が効力発生日) 平 30○株式無償割当て(自己株 100 株に割当て不可、新株交付) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 平成7年7月7日 単元株式数 100 株 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 3万株 令和2年6月1日変更 株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,決議時の株主名簿に記載された株主に対して,払込をさせずその所有株式数1株について1株の割合で株式(うち1万株は自己株式を使用する)を割り当てる株式無償割当てを行うことの可否を議場に諮ったところ,出席取締役全員一致をもって可決した。 (聴取記録) 1 発行済株式の総数3万株のうち自己株式は1万株である。 解答⇒テキスト 113 頁 13 株式の消却 【事例 20―株式の消却―】-A ★過去問:平 10○特定の株主からの自己株取得と株式の消却 平 25○株主全員の同意を得ての自己株式の無償取得と株式の消却(100%減資) 平 27○完全子会社となる会社において自己株式全部を消却したことについて考えられる理由を記載 【事例 20―株式の消却―】●過問(H10,H25,H27) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 平成7年7月7日 発行可能株式総数 800 株 発行済株式の総数 200 株 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

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(株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,本日をもって自己株式 50 株の全部を消却することの可否を議場に諮ったところ,満場一致で可決した。 (聴取記録) 1 発行済株式の総数のうち 50 株は自己株式である。 2 令和2年6月27日,消却に係る株式の株主名簿の記載を抹消するなど株式の失効手続を完了した。 解答⇒テキスト 116 頁 14 単元株式数の登記 ⑴ 単元株式数の設定 【事例 21―単元株式数の設定―】-A2 ★過去問:平3○単元株式数の設定(発行済株式総数 30 万株で 100 株を設定,株主総会決議で設定する場合には,議決権の減少は考慮不要) 平 10×単元株式数の設定の登記不可(発行済株式総数 2,000 株で 100 株を設定し発行済株式総数の 200 分の1を超過するため) 【事例 21―単元株式数の設定―】●過問(H3,H10) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の定時株主総会議事録) 2号議案 議長は,株主管理コストを低減するため,本定時総会の終結をもって定款第7条の3として「当社の単元株式数を 100 株とする。」旨の定めを新設することの理由を説明し,その可否を議場に諮ったところ,満場一致をもって可決した。 解答⇒テキスト 117 頁 ※参考:株主リスト 登記すべき事項につき株主総会決議を要する場合にあたるため、株主総会議事録と併せて株主リストの添付を要する(規 61Ⅲ) ⑵ 単元株式数の廃止 【事例 22―単元株式数の廃止―】-B ★過去問:平6○単元株式数の廃止(取締役会決議,株式の併合条件) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 平成7年7月7日 単元株式数 100 株 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

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(株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,定款第7条の3として定めを設定している単元株式数を廃止することの可否を議場に諮ったところ,出席取締役の全員一致をもって可決した。 解答⇒テキスト 118 頁 ⑶単元株式数の変更 【事例 23―単元株式数の変更―】-A2 ★過去問:平 16○減少変更(取締役会決議,期限付,1000 株から 100 株) 平 18×増加変更の登記不可(株式分割の際に取締役会決議で変更したが変更後の株主の議決権数が変更前よりも減少するため) 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 公告をする方法 官報に掲載してする 会社成立の年月日 平成7年7月7日 単元株式数 100 株 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 株券を発行する旨の定め 当会社の株式については,株券を発行する。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,定款第7条の3に定めた単元株式数を 100 株から 50 株に変更することの可否を議場に諮ったところ,出席取締役の全員一致をもって可決した。 解答⇒テキスト 119 頁 15 株主名簿管理人の登記 ⑴ 株主名簿管理人の設置 【事例 24―株主名簿管理人の設置―】-B ★過去問:平 20○取締役会設置会社において営業所を本店とするABC信託銀行株式会社を株主名簿管理人に選定 問 次の事実に基づき暫定答案を作成しなさい。 (株式会社Zの登記記録) 会社成立の年月日 平成7年7月7日 発行可能株式総数 8万株 発行済株式の総数 2万株 取締役会設置会社に関する事項 取締役会設置会社 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の定時株主総会議事録) 2号議案 議長は,定款第7条の4に「当会社は,株主名簿管理人を置く。」旨の定めを新設することの可否を議場に諮ったところ,満場一致をもって可決確定した。 (株式会社Zの令和2年6月 27 日の取締役会議事録) 議案 議長は,株主総会の定款変更決議に基づき,株主名簿管理人として東京都渋谷区乙町2番地の株式会社B証券(本店 東京都千代田区甲町1番地)の渋谷支店とすることの可否を議場に諮ったところ,出席取締役の全員一致をもって可決した。 (聴取記録)

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)

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1 株式会社Zと株式会社B証券と間で,令和2年6月 28 日,株式会社B証券の渋谷支店を株主名簿管理人とする委託契約を締結した。 解答⇒テキスト 120 頁

登記の事由 登記すべき事項 登免税額(根拠)


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