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熱力学院試問題 - plala.or.jp2 1 熱力学第一法則関連問題 2004 農工大 圧力...

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1 12018.04.15 N2017.08.04 熱力学院試問題 1 熱力学第一法則および理想気体の状態変化 2 熱力学第二法則およびカルノーサイクル 3 蒸気およびランキンサイクル 4 エクセルギー 5 ガスサイクル 6 熱力学の一般関係式
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1

□1E

A 2018.04.15 A□NE

A 2017.08.04

熱力学院試問題

1 熱力学第一法則および理想気体の状態変化 2 熱力学第二法則およびカルノーサイクル 3 蒸気およびランキンサイクル 4 エクセルギー 5 ガスサイクル 6 熱力学の一般関係式

2

1 熱力学第一法則関連問題 2004 農工大 圧力 500kPa が,温度が 527K の状態にある 10.0kg の空気を等圧のもとで冷却

したところ,体積が初めの体積の1 2⁄ になった.次の(1)~(4)の各問に答え

よ.なお,問(3),(4)に関しては正負を明確に示せ. ただし,空気を理想気体とみなし,空気のガス定数を287 𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾) ∙⁄ ,定圧比

熱を1.01k 𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾) ∙⁄ とし,温度によって変化しないものとする. 1)初めの状態,すなわち冷却前の状態における空気の体積を求めよ. 2)冷却後の空気の温度を求めよ. 3)この冷却過程において空気に加えられた熱量および空気が外部になした仕事

を求めよ. 4)冷却前後における空気の内部エネルギーの増加量およびエントロピーの増加

量を求めよ. 必要があれば下表の数値を用いても良い. x 2 3 4 5 6 7 8 9

lnx 0.693 1.10 1.39 1.61 1.79 1.95 2.08 2.20 2005 東北大 図に示すように,断熱されたシリンダー内が,ピストンで領域 1,2 に仕切ら

れている.領域 1 には単原子分子の理想気体(質量𝑚𝑚1,気体定数𝑅𝑅1) が,領域 2 には別の単原子気体(質量𝑚𝑚2,気体定数𝑅𝑅2)が,それぞれ温度𝑇𝑇1,𝑇𝑇2で封入されている.ピストンは初期状態では領域 1,2 の圧力差に抗して固定さ

れているが,固定を外せば滑らかにゆっくり動いて領域 1,2 の圧力の均衡と共

に停止する.初期状態における領域 1,2 の体積を𝑉𝑉1,𝑉𝑉2とする.なお,各領域

はピストンで仕切られており,気体の混合は無いものとする. 1)ピストンを介した熱伝導がない場合に,ピストンの固定を外して自由に移動

可能としたとき,ピストンが移動を止めて領域 1,2 が釣り合い状態に達したと

きの体積,温度および圧力を領域 1,2 それぞれについて示せ. 2)領域 1,2 がピストンを介して良好な熱伝導を行える場合は,上記の釣り合

いはどうなるか.体積,温度および圧力を領域 1,2 それぞれについて示せ.

3

3)ピストンを取り去った場合の,平衡状態における領域全体の温度および圧力

を示せ.ピストンの体積は無視する.

2009 阪大 図に示すように,内容積𝑉𝑉𝐴𝐴 + 𝑉𝑉𝐵𝐵 + 𝑉𝑉𝐶𝐶[𝑚𝑚3]の容器が,固定された仕切り板 ABと仕切り板 BC によって,体積𝑉𝑉𝐴𝐴[𝑚𝑚3]の部屋 A,体積𝑉𝑉𝐵𝐵[𝑚𝑚3]の部屋 B,体積𝑉𝑉𝐶𝐶[𝑚𝑚3]の部屋 C の 3 部屋に分割されている.すべての部屋には同一の機体が封入され

ており,部屋 A は温度𝑇𝑇𝐴𝐴[𝐾𝐾],圧力𝑃𝑃𝐴𝐴[𝑃𝑃𝑃𝑃],部屋 B は温度𝑇𝑇𝐵𝐵[𝐾𝐾],圧力𝑃𝑃𝐵𝐵[𝑃𝑃𝑃𝑃],部屋 C は温度𝑇𝑇𝐶𝐶[𝐾𝐾],圧力𝑃𝑃𝐶𝐶[𝑃𝑃𝑃𝑃]であるとする.この状態を状態 1 とする.ここ

で,一般気体定数を𝑅𝑅0[𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ]とする.封入されている気体は理想気体とし,

その定積比熱を𝑐𝑐𝑣𝑣[𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ]とする.仕切り板 AB と仕切り板 BC 以外の容器

壁は断熱壁であり,仕切り板 AB と仕切り板 BC を通じての気体移動はできない

が,熱移動はできるとする.また,仕切り板の熱容量は無視できるとする. 状態 1 から十分に時間が経過すると,仕切り板 AB と仕切り板 BC を通じて熱

が移動し,部屋 A. B, C は同一温度𝑇𝑇𝑚𝑚[𝐾𝐾]で一定となった.この状態を状態 2 と

する.このとき,以下の問いに答えなさい.ただし,小問(2)以降では,状態

2 における気体温度𝑇𝑇𝑚𝑚の記号を用いて答えなさい. 1)𝑇𝑇𝑚𝑚を𝑉𝑉𝐴𝐴,𝑉𝑉𝐵𝐵,𝑉𝑉𝐶𝐶 ,𝑇𝑇𝐴𝐴,𝑇𝑇𝐵𝐵,𝑇𝑇𝐶𝐶 ,𝑝𝑝𝐴𝐴,𝑝𝑝𝐵𝐵,𝑝𝑝𝐶𝐶を用いて表しなさい. 2)状態 1 から状態 2 への変化による系全体のエントロピー変化を求めなさい. 3)状態 2 において,部屋 A に𝑄𝑄[𝐽𝐽]の熱量を加えた後,十分に時間が経過した状

態を状態 3 とする.状態 3 での部屋 C の温度を求めなさい.ただし,部屋 A に

熱量 Q を加えた直後に,部屋はいったん最高温度に達し,その後,仕切り板 ABならびに仕切り板 BC を通じて熱が移動するものとする. 4)小問(3)において,状態 2 から状態 3 への変化による系全体のエントロピ

ー変化を求めなさい.

4

2009 東北大 質量 1kg の理想気体を準静的に 2 段階で膨張させる過程を考える.最初,気

体の圧力𝑝𝑝1,温度𝑇𝑇1の状態 1 から圧力𝑝𝑝2の状態 2 まで等温膨張させる.次に,状

態 2 から圧力𝑝𝑝3の状態 3 まで断熱膨張させる.このとき,各状態における比体

積𝑣𝑣𝑖𝑖(𝑖𝑖 = 1,2,3)および各々の膨張過程において気体のする仕事と加えるべき熱量

を,𝑝𝑝𝑖𝑖(𝑖𝑖 = 1,2,3),𝑇𝑇1気体定数 R および気体の比熱比κを用いて表せ. 2010 東北大 圧力𝑝𝑝1,温度𝑇𝑇1,比体積𝑣𝑣1の作動流体が等圧下で準静的に加熱されて,比体積

が𝑣𝑣2となった.作動流体は 1.0kg の理想気体であり,定圧比熱を𝑐𝑐𝑝𝑝とするとき,

以下の諸量を𝑝𝑝1,𝑇𝑇1,𝑣𝑣1, 𝑣𝑣2, 𝑐𝑐𝑝𝑝を用いて表せ. 1)絶対仕事 2)工業仕事 3)比エンタルピーの変化 4)比内部エネルギーの変化 5)比エントロピーの変化

5

2010 首都大 圧力 2.5MPa,温度 1400K の空気 2.0kg を圧力 100kPa まで断熱的に膨張させた

ところ,エンタルピーが 1650kJ 減少した.このとき,次の値を求めよ.ただし,

空気はガス定数R = 0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘𝐾𝐾⁄ ,比熱比κ = 1.4の理想気体とする.(a) 膨張後

の温度(b) この膨張過程のエントロピーの変化量 2010 阪大 図に示すような周囲を断熱された内容積2𝑚𝑚3の容器が,体積を無視することが

できる仕切り板によって部屋 1 と部屋 2 に仕切られている.なお,仕切り板は,

固定,可動の切り替えと,断熱(仕切り板を通じて熱移動が不可能)と非断熱

(仕切り板を通じて熱移動が可能)の切り替えができるとする.また,仕切り

板を固定から可動へと切り替えた場合には仕切り板は十分にゆっくりと滑らか

に動くものとし,仕切り板を除去する場合を除き,部屋 1 と部屋 2 の気体が混

合することはないとする. 初期状態において,部屋 1 には温度𝑇𝑇1[𝐾𝐾],質量 1kg,気体定数𝑅𝑅1[𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ]の気体 1 が,部屋 1 には温度𝑇𝑇2[𝐾𝐾],質量 1kg,気体定数𝑅𝑅2[𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ]の気体 2 が

封入されている.気体 1 と気体 2 は互いに異なる単原子分子理想気体である.

仕切り板は固定され断熱となっており,部屋 1 と部屋 2 の容積はともに1𝑚𝑚3であ

った.このとき,以下の問いに答えなさい.なお,解答の導出過程をできるだ

け詳細に示しなさい.

1)初期状態から,仕切り板を断熱に保ったままで固定から可動に切り替えて,

十分に時間が経過したとき,部屋 1 の圧力と容積をそれぞれ答えなさい. 2)初期状態から,仕切り板を固定したままで断熱から非断熱に切り替えて,十

分に時間が経過したとき,部屋 1 の圧力と容積をそれぞれ答えなさい.

6

3)小問(2)の最終状態において,初期状態からの系全体のエントロピー変化

を求めなさい. 4)小問(2)の最終状態において,部屋 1 と部屋 2 の圧力が等しい場合を考え

る.この状態から,仕切り板を除去して十分に時間が経過したとき,小問(2)の最終状態からの系全体のエントロピー変化を求めなさい. 2010 埼玉大 軸流圧縮機が圧力 100kPa,温度 300K を空気を 1MPa まで圧縮する仕事を定常

で行っている.圧縮機から周囲への単位時間当たりの放熱量は,圧縮機に供給

している動力の 40%の値であった.空気は断面積 0.01𝑚𝑚2の圧縮機入口では流速

54𝑚𝑚 𝑠𝑠⁄ であり,断面積8.1 × 10−4𝑚𝑚2の出口では流速100𝑚𝑚 𝑠𝑠⁄ であった.空気を理

想気体と仮定し,その定圧比熱を1 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,気体定数を300 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とし

て次の諸量を求めなさい.なお,圧縮機内における空気のポテンシャルエネル

ギーの変化量は,空気のエンタルピーおよび運動エネルギーの変化量に比較し

小さいため無視することができる. 1)圧縮機入口における空気の質量流量(質量流量は単位時間当たりに流れる流

体の質量であり,密度×流速×断面積で計算しなさい) 2)圧縮機出口における空気の温度 3)圧縮機出口と入口における比エンタルピー差 4)圧縮機出口と入口における単位質量当たりの運動エネルギーの差 5)圧縮機に供給している動力 2011 阪大 図に示す,円筒と円板からなる断熱壁でできたシリンダーの中に,断熱ピス

トンと熱を通過させるピストン(以下熱通過ピストンと呼ぶ)が入っていて,

それらのピストンによって A 室,B 室の 2 室に仕切られている.以下ではこれ

らを系と呼ぶ.シリンダー内の A 室,B 室には同一の理想気体が封入されてお

り,その物性値は定積比熱𝑐𝑐𝑣𝑣,比熱比κ,気体定数 R でそれぞれ一定とする.系

は,周囲の温度𝑇𝑇0,圧力𝑃𝑃0中に置かれていて,最初の状態(添字 1 をつける)と

して,各室の温度𝑇𝑇𝐴𝐴1 = 𝑇𝑇𝐵𝐵1 = 𝑇𝑇0,圧力𝑃𝑃𝐴𝐴1 = 𝑃𝑃𝐵𝐵1 = 𝑃𝑃0,体積𝑉𝑉𝐴𝐴1 = 𝑉𝑉𝐵𝐵1 = 𝑉𝑉0にな

っている.状態 1 から,熱通過ピストンを移動させて B 室の温度が𝑇𝑇𝐵𝐵2 =𝛼𝛼𝑇𝑇0(𝛼𝛼 > 1)となる状態 2 まで,準静的に圧縮した場合,以下の問いに答えなさい.

7

ただし,ピストンの移動に際してはピストンとシリンダー間の,摩擦および気

体のもれは無いものとし,またピストン,シリンダーの熱容量は無視できるも

のとする.なお系が周囲にする仕事を正,周囲から系に流入する熱量を正とす

る. 1)状態 2 における,B 室の圧力𝑃𝑃𝐵𝐵2を求めなさい. 2)系の内部エネルギーの増加量𝛥𝛥𝛥𝛥 = 𝛥𝛥2 − 𝛥𝛥1を求めなさい. 3)系が周囲にする仕事𝑊𝑊12を求めなさい. 4)周囲から系に流入する熱量𝑄𝑄12を求めなさい. 5)系のエントロピー変化量𝛥𝛥𝛥𝛥 = 𝛥𝛥2 − 𝛥𝛥1を求めなさい.

2011 埼玉大 図 3-1 に示すように,摩擦の無いピストンーシリンダー装置に𝑉𝑉1 = 0.09𝑚𝑚3の

気体が𝑝𝑝1 = 100𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃で封入されている.ピストンの断面積はA = 0.3𝑚𝑚2であり,

気体の質量はm = 0.1kgである.この状態で,バネ定数k = 20 𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑚𝑚⁄ の線形特性

バネ(フックの法則を満足する)をピストンに力を及ぼさないように取り付け

た.次に,気体に熱量を加えたところ,ピストンはシリンダー内の体積が最初

の 2 倍となる位置までバネを縮めながら上昇した.気体は理想気体であると仮

定し,その気体定数をR = 300 𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.ピストンの質量は無視できる

ものとして,次の問いに答えなさい. 1)気体の最初の温度を求めなさい. 2)気体の最終的な圧力を求めなさい. 3)気体の最終的な温度を求めなさい. 4)この過程を縦軸にシリンダー内の圧力 p,横軸に体積 V をとった図に表しな

さい.

8

2011 首都大 ピストンとシリンダーからなる装置に圧力𝑝𝑝1 = 0.15𝑀𝑀𝑃𝑃𝑃𝑃の作動流体が入って

いる.その作動流体の比体積および比内部エネルギーはそれぞれ𝑣𝑣1 = 0.2𝑚𝑚3 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,

𝑢𝑢1 = 240 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ である.作動流体は等圧下で可逆的(準性的)に,比体積および

比内部エネルギーが𝑣𝑣2 = 0.001𝑚𝑚3 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,𝑢𝑢2 = 8 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ になるまで冷却される.作

動流体 1kg あたりについて次の値を求めよ.(a)内部エネルギーの増加量(b)エン

タルピーの増加量(c)加熱量(d)絶対仕事 2012 年東北大 温度,圧力,比体積がそれぞれ𝑇𝑇,𝑝𝑝, 𝑣𝑣 の理想気体を考える.気体定数を R とす

る. 1)理想気体の状態方程式を示せ.また,理想気体の定温下における圧力による

比体積の偏微分と,定圧下における温度による比体積の偏微分を導出せよ. 2)理想気体の体積膨張率(定圧体積膨張率)βを導出せよ.

9

2012 首都大院 ある理想気体が位置 1 から位置 2 まで流れている.そのときの管径と流体の

状態量を Table1 に示す.以下の値を求めよ. a)質量流量 b) 位置 1 と位置 2 の間の運動エネルギーの変化量 c) 位置 1 と位置 2 の温度 d) 位置 1 と位置 2 の間の比内部エネルギーおよび比エンタルピーの変化量 e)流体が 50kW の仕事を外部にした場合の流体と外部の熱移動量 Table 1 Point 1 2 diameter(m) 0.18 0.14 density(𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑚𝑚3⁄ ) 5.50 0.90 velocity(𝑚𝑚 𝑠𝑠⁄ ) 70 707 pressure(𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃) 750 50 2012 首都大 次の四つの可逆過程で構成された空気を作動流体とするサイクル(空気標準

サイクル)がある. 1→2 100kPa, 300K から 800kPa まで等エントロピー圧縮 2→3 1800K へ等容加熱 3→4 100kPa まで等エントロピー膨張 4→1 サイクル開始状態へ戻る等圧熱放出 a) このサイクルの p-v 線図および T-s 線図を示せ(各過程の始点.終点における

値を示せ.なお,状態 1 の比エントロピーを 0 とせよ) b)単位質量当たりの正味出力を計算せよ. c)熱効率を求めよ. 但し,空気は気体定数𝑅𝑅 = 0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比熱比κ = 1.4の理想気体とする. 2012 首都大 下図のように 2 つの容器が管とバルブを介してつながっている.バルブを閉

じた状態で,一方の容器には30℃,550kPa の 1𝑚𝑚3の空気が,他方の容器には

60℃,200kPa,の 3kgの空気が充填されている.バルブを開いたところ,両容器

は20℃の周囲温度と熱平衡に達した.最終的な圧力と放熱量を求めよ.ただし,

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空気はガス定数𝑅𝑅 = 0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,定積比熱𝑐𝑐𝑣𝑣 = 0.719 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ の理想気

体とする.

2012 首都大 空気を作動流体とするブレイトンサイクルで運転される定置型動力装置の圧

力比は 8 である.作動流体の質量流量は1𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ である.圧縮機の入口での空気の

圧力は 100kPa, 温度は 300K である.燃焼器(定圧加熱過程)での伝熱量は 800𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑠𝑠⁄ である.次の値を求めよ.(a)圧縮機出口の温度,(b)タービン入口の温度,

(c)圧縮機およびタービン出口の比エンタルピー,(d)熱効率.ただし,空気は気

体定数𝑅𝑅 = 0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比熱比κ = 1.4の理想気体とする. 2012 阪大 圧力𝑝𝑝1,体積𝑉𝑉1,温度𝑇𝑇1の理想気体からなる系がある.これを小問(1)と小

問(2)の 2 通りの準静的過程により,圧力𝑝𝑝2,体積𝑉𝑉2,温度𝑇𝑇2の状態へと変化

させることを考える.以下の問いに答えなさい.なお,定積比熱𝑐𝑐𝑣𝑣と定圧比熱𝑐𝑐𝑝𝑝は一定とし,比熱比をκとする. 1)等温変化により体積を𝑉𝑉𝑀𝑀にし,そののち断熱変化により体積を𝑉𝑉2にする(下

図 A→B→C)場合,系が外界にした仕事,系の内部エネルギーの変化,系が外

界から受け取った熱量,系のエントロピー変化を𝑝𝑝1,𝑉𝑉1,𝑇𝑇1,𝑝𝑝2,𝑉𝑉2,𝑇𝑇2,κの中から必要なものを用いて表しなさい. 2)等積変化により圧力を𝑝𝑝2にし,そののち等圧変化により体積を𝑉𝑉2にする(下

図 A→D→C)場合,系が外界にした仕事,系の内部エネルギーの変化,系が外

界から受け取った熱量,系のエントロピー変化を𝑝𝑝1,𝑉𝑉1,𝑇𝑇1,𝑝𝑝2,𝑉𝑉2,𝑇𝑇2,κの中から必要なものを用いて表しなさい. 3)小問(1)と小問(2)の結果に基づき,4 つの物理量(仕事,内部エネル

ギー,熱量,エントロピー)のうち状態量はどれであるかを説明しなさい.

11

2013 東北大 周囲との間で熱と仕事の作用がある定常流動系を考える. 1)作動流体の運動エネルギー変化およびポテンシャルエネルギー変化が無視

できないときのエネルギー保存式を示せ.なお,系の入口を 1,出口を 2 と

して,使用する記号は全て定義せよ. 2)系の入口における作動流体の圧力が 2.0MPa,比体積が0.050𝑚𝑚3 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,比内部

エネルギーが2900 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ であるとき,系の入口における作動流体の比エンタ

ルピーを計算せよ. 3)系の出口における作動流体の比エンタルピーが2500 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,流速が400𝑚𝑚 𝑠𝑠⁄

であり,系の外部への仕事が作動流体1kgあたり350kJである場合を考える.

系の入口における流速および系に入口と出口の高さの差が無視できるとき,

作動流体 1kg あたりの熱損失を計算せよ. 2013 首都大 下図に示すように,一端がピストンのシリンダ内に質量 0.1kg の空気が容積

0.02𝑚𝑚3,温度 310K で充填されている.ピストンをゆっくり移動させ,圧力が

100kPa になるまで膨張させた.以下の 1)から 5)の値を求めよ.ただし,空気

12

は理想気体と仮定でき,定積比熱を0.719 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,気体定数を

0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする. 1)最初の状態の空気の圧力 2)等温変化の場合の,最終状態の空気の体積 3)2)の場合の,空気が外部へなす仕事と空気への加熱量 4)ポリトロープ変化(指数 n=1.3)の場合の,最終状態の空気の体積と温度 5)4)の場合の,空気が外部へなす仕事と空気への加熱量

2013 首都大 圧力 100kPa,温度 300K(状態 1)の質量 1kg の空気が,圧力が 5 倍になるま

で等温圧縮され(状態 2),さらに体積が状態 2 の 0.8 培になるまで等圧で圧縮

された(状態 3).以下の 1)~」5)の値を求めよ.ただし,空気は理想気体と

仮定でき,定圧比熱1 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,ガス定数0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする. 1)状態 2 の空気の体積 2)状態 1 から状態 2 までの空気のエンタルピー変化 3)2)において,空気が外部へなす仕事と空気への加熱量 4)状態 2 から状態 3 までの空気のエンタルピー変化 5)4)において,空気が外部へなす仕事と空気への加熱量 2014 首都大 下図に示すように,窒素ガスが充填された容積0.5𝑚𝑚3の容器が,管とバルブを

介して,摩擦のないピストンを有するシリンダーとつながっている.ピストン

にはその質量と大気圧によって常に 110kPa の圧力がかかっている.最初,バル

13

ブは閉じられており,窒素ガスは圧力 200kPa,温度 300K の状態で,ピストン

はシリンダーの底面にある.バルブを開いたところ,窒素ガスがシリンダー内

に流入し,ピストンはゆっくり上昇した.最終的にピストンは停止し,このと

き温度は 300K で熱平衡に達していた.以下の 1)から 3)の値を求めよ.ただ

し,窒素ガスは理想気体と仮定できるとする. 1)最終状態のシリンダーの体積 2)窒素ガスが外部へなした仕事 3)窒素ガスと外部の熱授受量

2015 首都大 窒素ガスが容積0.05𝑚𝑚3の金属容器の中に圧力 2.0MPa,温度 15℃で充填されて

いる.今,容器の弁を速やかに開き,ガスを一部放出しながら断熱的に圧力を

下げ,1.0MPa になった時点で弁を速やかに閉める.周囲温度は 15℃,窒素ガス

は気体定数0.297𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比熱比 1.4 の理想気体とみなせるとし,以下の問

いに答えよ. 1)初めのガスの質量を求めよ. 2)弁を閉じた時点の容器内の意ガスの温度と質量を求めよ. 3)その後放置して,ガス温度が周囲温度と等しくなったときの容器内の圧力

を求めよ. 4)もし,ガス温度が常に周囲温度と釣り合うように弁の解放を徐々に行った

とすると,圧力 1.0MPa の時点で残っているガスの質量はいくらになるか. 2015 首都大 Fig.1 に示すように,質量流量5.0𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ で流れる水が,温度の異なる 2 つの熱

源によって 2 段階で加熱されている.入口 i と出口 e における水の状態量,およ

14

び熱源の温度と加熱量は図中に記したとおりである.ここで,記号 h は比エン

タルピー,s は比エントロピーを表す.加熱は可逆的に行われ,運動エネルギー

の変化は無視できるとして,以下の問いに答えよ. 1)加熱量𝑄𝑄2を求めよ. 2)それぞれの熱源の単位時間当たりのエントロピー変化を求めよ. 3)全体の単位時間当たりのエントロピー変化を求めよ. 4)もし,加熱を 200℃の熱源一つで行い,同じ水の状態が得られたとすると,

全体の単位時間当たりのエントロピー変化いくらになるか.(3)の結果と比較

せよ.

2015 首都大 密度1.2𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑚𝑚3⁄ ,圧力 100kPa の空気を質量流量0.24𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ で吸い込み,密度

4.5𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑚𝑚3⁄ ,圧力 600kPa にして吐き出す圧縮機がある.圧縮の過程で,空気の比

内部エネルギーは65𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ 増加し,外部へ 8.0kW 放熱する.この圧縮に必要な

動力を求めよ. 2015 首都大 ある内燃機関のシリンダ内のガスが𝑉𝑉1 = 0.20 × 10−3𝑚𝑚3,𝑝𝑝1 = 8.0𝑀𝑀𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑇𝑇1 =1900𝐾𝐾の状態から𝑉𝑉2 = 8𝑉𝑉1まで膨張し,この過程は n=1.5 の可逆ポリトロープ過

程とみなせた.ガス定数は0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,定積比熱0.719 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ の理想

気体とみなせるとき,以下の問いに答えよ. 1)ガスの質量を求めよ.

15

2)この過程の p-V 線図と T-s 線図を示せ.線図には状態量の数値を書き入れ

よ. 3)仕事と熱移動量を求めよ. 2017 農工大 理想気体を対象として,次の 4 つの可逆過程より構成されるカルノーサイク

ルについて考える.但し,V は体積[𝑚𝑚3],T は絶対温度[𝐾𝐾],κは比熱比[−],下

付数字は状態を表す.(例えば𝑇𝑇1は状態 1 での絶対温度を表す).以下の問いに答

えよ.ただし,𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒2 = 0.69, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒3 = 1.1, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒5 = 1.6, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒7 = 1.9(e は自然対数

の底)を用いてもよい. 状態 1→2 の過程:等温膨張 状態 2→3 の過程:断熱膨張 状態 3→4 の過程:等温圧縮 状態 4→1 の過程:断熱圧縮 1)本サイクルによる熱機関の理論熱効率η[−]はη = 1 − 𝑇𝑇3 𝑇𝑇1⁄ であることを導出

せよ. 2)状態 1 から状態 3 に変化するポリトロープ過程(𝑇𝑇𝑉𝑉(𝑛𝑛−1) =一定,n は1 < n < κを満たす定数)を考える.𝑉𝑉2 = 2𝑉𝑉1,かつ𝑇𝑇1 = 2𝑇𝑇3の場合,n をκを用いて表せ.

導出過程も示せ. 3)本カルノーサイクルの状態 1→状態 2→状態 3 を(2)で求めたポリトロープ

過程に変えたサイクルによる熱機関の理論熱効率を求めよ.導出過程も示せ. 2017 首都大 図 3-1 に示すように,体積 V の断熱容器を,熱容量や容積を無視できる断熱仕

切り板で 2 つに分ける.仕切り板の一方の側には,温度𝑇𝑇1の理想気体𝑛𝑛 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚を詰

め,もう一方の側は真空にする.この仕切り板を取ると,理想気体は断熱容器

を満たし,容器内は平衡状態に達する.このとき,以下の問いに答えよ.ただ

し,理想気体の定容モル比熱は𝑐𝑐𝑣𝑣であり,温度によって変化しない.また一般ガ

ス定数を𝑅𝑅0とする. 1)この系の状態変化に対する熱量 Q,仕事 W,内部エネルギーの変化量𝛥𝛥𝛥𝛥を求

めよ. 2)状態変化後の理想気体の温度𝑇𝑇𝑓𝑓と圧力𝑝𝑝𝑓𝑓を求めよ.

16

2017 首都大 1)図 3-2 で,系 A から系 B に1.0𝑘𝑘𝐽𝐽の熱量Δ𝑄𝑄𝐴𝐴𝐵𝐵が移動したとする.系 A の温

度𝑇𝑇𝐴𝐴を 100℃とし,系 B の温度𝑇𝑇𝐵𝐵が 50℃,20℃の二つの場合について,系 A と

系 B を合わせた全体のエントロピー変化量を求めよ.ただし,系 A と系 B の熱

容量は十分に大きく,両系の温度は変化しないものとする.

2)今,大気圧下で,質量 1kg の理想気体が温度𝑇𝑇0,エントロピー𝑠𝑠0の状態から

温度𝑇𝑇 ,エントロピー𝑠𝑠 の状態まで変化する場合について考える.この時,温

度𝑇𝑇 を,温度𝑇𝑇0,エントロピー𝑠𝑠0, 𝑠𝑠を用いて表せ.また,この変化の概形を T-s線図上に示せ. 2017 東北大 定常流動系において 1kg の理想気体が状態 1 から状態 2 に変化する準静的過

程を考える.運動エネルギーとポテンシャルエネルギーは無視できるものとす

る.状態 1 におけるこの気体の圧力,比体積,温度,比内部エナルギー,比エ

ンタルピーをそれぞれ𝑝𝑝1, 𝑣𝑣1,𝑇𝑇1,𝑢𝑢1,ℎ1とし,状態 2 におけるこれらの状態量をそ

17

れぞれ𝑝𝑝2, 𝑣𝑣2,𝑇𝑇2,𝑢𝑢2,ℎ2とする.また,気体定数を R とする.𝑝𝑝1 > 𝑝𝑝2および𝑣𝑣1 < 𝑣𝑣2であるとき,以下の問いに答えよ. 1)ℎ1を𝑢𝑢1,𝑝𝑝1および𝑣𝑣1で表せ. 2)この過程において気体に加えられる熱量が𝑞𝑞12であるとき,絶対仕事および工

業仕事(定常流動系における仕事)を求めよ.また,これらに相当する領域を

圧力ー比体積(𝑝𝑝 − 𝑣𝑣)線図上に示せ. 3)この過程が等温過程であるとき,絶対仕事と工業仕事が等しいことを示せ. 4)この過程が断熱過程であるとき,絶対得仕事と工業仕事のどちらが大きいか

を示せ.また,その理由を流動仕事の概念を用いて説明せよ. 2018 東北大 シリンダとピストンからなる閉じた系に蓄えられた理想気体の準静的圧縮過

程に関する以下の問いに答えよ.ただし,この過程の初期状態 1 における圧力

および比体積を𝑝𝑝1,𝑣𝑣1とし,この理想気体の比熱比をκ,気体定数を R とする. 1)この気体が状態 1 から最終状態 2 まで等温圧縮されたとき,状態 1 と状態 2における圧力および比体積の間に成り立つ関係を示せ.ただし,最終状態 2 に

おける圧力および比体積を𝑝𝑝2,𝑣𝑣2とする. 2)問 1)の等温圧縮過程における比エントロピー変化を求めよ. 3)状態 1 から開始する断熱圧縮過程においてこの気体が受け取る仕事を求めよ.

ただし,この断熱圧縮過程の最終状態 3 における圧力を𝑝𝑝3とする. 4)問(1)の等温圧縮過程と,問(3)の断熱圧縮過程とが同じ量の仕事によっ

て行われたとき,等温圧縮時の最終比体積と断熱圧縮時の最終比体積はどちら

が大きいか,理由を付して述べよ.また圧力比𝑝𝑝3 𝑝𝑝2⁄ を,この気体の比熱比κ,初期温度𝑇𝑇1,断熱圧縮時の最終温度𝑇𝑇3を用いて表せ.

18

2 熱力学第二法則関連問題 エントロピーの計算問題とカルノーサイクルの問題に大別される.

1)エントロピーの計算問題 2006 東北大 体積20𝑚𝑚3の断熱剛体容器が隔壁により同じ体積の二つの領域に分けられてお

り,一つの領域には温度700KのN2ガス2.8kgが,温度200KのCO2ガス4.4kgが入

れられている.ここで隔壁を取り去ると,ある時間後に容器内が熱力学的平衡

に達する.この熱力学的平衡状態における容器内混合気体の温度と圧力を計算

せよ.さらに,混合前後のエントロピーの変化を計算せよ.ただし,N2およびCO2

の分子量をそれぞれ 28および 44,定積モル比熱をそれぞれ𝑐𝑐𝑣𝑣,𝑁𝑁2 = 20 𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,

𝑐𝑐𝑣𝑣,𝐶𝐶𝐶𝐶2 = 30 𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.気体は理想気体とみなし,一般気体定数を𝑅𝑅0 =8.3 𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.必要ならば下記の値を使用しても良い.

x 1.5 1.55 1.6 1.65 1.7 1.75 1.8 1.85 1.9 1.95 2.0 lnx 0.41 0.44 0.47 0.50 0.53 0.56 0.59 0.62 0.64 0.67 0.69

2007 東北大 体積変化が無視できる質量の物質を考える.この物質の比熱 c は一定とする.

温度が𝑇𝑇1から𝑇𝑇2(> 𝑇𝑇1)まで変化したとき,のエントロピー変化を表す式を示せ. 2007 東北大 質量50𝑘𝑘𝑘𝑘,温度 700𝐾𝐾の鋼が,質量100𝑘𝑘𝑘𝑘,温度300𝐾𝐾のオイルに投入された.

鋼とオイルの体積変化は無視でき,比熱は一定で,それぞれ0.5𝑘𝑘𝐽𝐽/(𝑘𝑘𝑘𝑘𝐾𝐾),1.75𝑘𝑘𝐽𝐽/(𝑘𝑘𝑘𝑘𝐾𝐾)であるとする.鋼とオイルからなる系が断熱状態にあるとき,熱

平衡に達したときの系のエントロピー変化量を求めよ.必要ならば近似値

𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘5 = 1.6, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘6 = 1.8, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘7 = 2.0, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘10 = 2.3を用いよ. 2009 東北大 熱容量が共に𝐶𝐶 ,温度がそれぞれ𝑇𝑇1および𝑇𝑇2(𝑇𝑇2 > 𝑇𝑇1)の 2つの物体 1および 2

があり,2つの物体はいずれも周囲とは断熱されている.物体の熱容量は温度に

19

依存せず,物体の変形もないものとする.

a) 2つの物体を熱源としてカルノーサイクルを作動させた場合の最大熱効率を

求めよ.ただし𝐶𝐶 = ∞とする.

b) 2つの物体を互いに熱的に接触させ,熱力学的平衡状態になるまで放置した

時のエントロピー変化を求め,この過程が不可逆過程であることを示せ.ただ

し𝐶𝐶 ≠ ∞とする.

2010 東北大

1500K の高温熱源から 900J の熱を得てその一部を仕事に変換し,300K の低温熱

源に 400J の熱を放熱するサイクルを考える.このサイクルが可逆サイクルであ

るか不可逆サイクルであるかをクラウジウスの不等式を用いて判定せよ.

2011 農工大

体積が𝑣𝑣 = 𝑣𝑣1 + 𝑣𝑣2の容器の中に 2 種類の理想気体(気体 1 と気体 2)が分離し

て入れられている.これらの気体を拡散により混合した場合の拡散前と拡散後

のエントロピーの差𝛥𝛥𝑠𝑠について考える.拡散前の気体 1 のモル数[𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚],圧力[𝑃𝑃𝑃𝑃],温度[𝐾𝐾],体積[𝑚𝑚3]は,それぞれ,𝑛𝑛1,𝑝𝑝,𝑇𝑇, 𝑣𝑣1であり,気体 2 のモル数[𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚],圧

力[𝑃𝑃𝑃𝑃],温度[𝐾𝐾],体積[𝑚𝑚3]は,それぞれ,𝑛𝑛2,𝑝𝑝,𝑇𝑇, 𝑣𝑣2であった.拡散によって,

圧力,温度の変化は起こらず,混合気体におけるそれぞれの気体の分圧はモル

比に比例するとする.この場合のエントロピー差𝛥𝛥𝑠𝑠は

𝛥𝛥𝑠𝑠 = 𝑅𝑅 �𝑛𝑛1𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑛𝑛1 + 𝑛𝑛2𝑛𝑛1

+ 𝑛𝑛2𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑛𝑛1 + 𝑛𝑛2𝑛𝑛2

と書けることを示せ.ただし,ここで𝑅𝑅は気体定数である. 2016 東大 図示のように,断熱壁で断熱された容器の中に圧力が異なる平衡状態の気体が

隔膜で仕切られている状態を「状態 a」と呼ぶ.状態 a において,隔膜で仕切ら

れた 2 つの部分(気体 1 と気体 2)体積,圧力,モル数を,それぞれ,𝑉𝑉1,𝑉𝑉2,𝑝𝑝1,𝑝𝑝2, 𝑛𝑛1,𝑛𝑛2とする.また,状態 a において 2 つの気体は同じ温度𝑇𝑇𝑎𝑎に保たれていると

仮定する.この隔膜が破られると,2 つの気体は反応せずに混ざり合い,最終的

に気体は別の平衡状態に至る.これを「状態 b」と呼ぶ. 1 平衡状態 b に至った後の気体の圧力𝑝𝑝𝑏𝑏を,𝑝𝑝1,𝑝𝑝2,𝑛𝑛1,𝑛𝑛2で表せ.

20

2 状態 a と状態 b の気体のエントロピー差を求め,状態 a から状態 b に至る過

程が不可逆過程であることを説明せよ.

2016 農工大 (2)図 5-1 に示したように,状態

1において異なる理想気体A, Bが等

しい温度 300K,圧力100kPaで断熱

壁で囲まれた 2 つの部屋に分けられ

て入れられている.A の物質は

1.0mol,体積は𝑉𝑉𝐴𝐴[𝑚𝑚3],B の物質は

2.0mol,体積は𝑉𝑉𝐵𝐵[𝑚𝑚3]であった.2つの部屋の壁を静かに取り除くと,

二つの気体は拡散して,最終的に温

度 300K , 圧 力 100kPa , 体 積

𝑉𝑉(= 𝑉𝑉𝐴𝐴 + 𝑉𝑉𝐵𝐵)の混合気体(状態 2)となった.この過程におけるエント

ロピー生成量[𝐽𝐽𝐾𝐾−1]を求めよ.(導出方法も解答用紙に記すこと.)ただし,気体

の化学反応はないとし,一般気体定数𝑅𝑅0は8.3[𝐽𝐽𝐾𝐾−1𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚−1]とする.必要であれば

次の値を使用してよい.𝑚𝑚𝑛𝑛2 = 0.69, 𝑚𝑚𝑛𝑛3 = 1.1, 𝑚𝑚𝑛𝑛5 = 1.6ただし,𝑚𝑚𝑛𝑛は自然対数を

表す.

21

カルノーサイクル関連問題 2006 農工大 1] 120℃の地熱と 10℃の水を熱源としてカルノーサイクルを運転したときの熱

効率を求めよ. 2] 図のように𝑇𝑇1[𝐾𝐾]の高温熱源から𝑄𝑄1[𝐽𝐽]の熱量をもらって,𝑇𝑇2[𝐾𝐾]の大気に

𝑄𝑄2[𝐽𝐽]の熱量を捨てるカルノーサイクルエンジンBがある.Bが発生する仕事W[𝐽𝐽]で駆動される逆カルノーサイクル冷凍機 R を設置し,冷凍室(𝑇𝑇3[𝐾𝐾])から𝑄𝑄3[𝐽𝐽]の熱量を取って大気に𝑄𝑄4[𝐽𝐽]の熱量を捨てるものとする.このとき,次の問いに答

えよ. 1)大気に捨てられる全熱量𝑄𝑄2 + 𝑄𝑄4は𝑄𝑄1 + 𝑄𝑄3に等しいことを示せ. 2)高温熱源から熱を投入して冷凍するシステムとみなしたとき,その効率

𝑄𝑄3 𝑄𝑄1⁄ を𝑇𝑇1,𝑇𝑇2,𝑇𝑇3を用いて表せ. 3)この全システムについてエントロピーが増大しないことを数式で示せ.

2010 東北大 1500K の高温熱源から 900J の熱を得てその一部を仕事に変換し,300K の低温

熱源に 400J の熱を放出するサイクルを考える.このサイクルが可逆サイクルで

あるか不可逆サイクルであるかをクラウジウスの不等式を用いて判定せよ.

22

2012 東北大 熱源 A と熱源 C の間で作動するカルノーサイクル熱機関と,熱源 B と熱源 Cの間で作動する逆カルノーサイクルヒートポンプがある.このヒートポンプは

熱機関で発生する仕事により作動している.熱源A, B, Cの各々の温度は𝑇𝑇1,𝑇𝑇2,𝑇𝑇3 であり,𝑇𝑇1 > 𝑇𝑇2 > 𝑇𝑇3である.熱機関が熱源 A から受け取る熱量は𝑄𝑄𝐴𝐴である.

𝑇𝑇1,𝑇𝑇2,𝑇𝑇3,𝑄𝑄𝐴𝐴の記号を用いて,次の問いに答えよ. 1)熱機関の熱効率ηおよびヒートポンプの動作係数(成績係数)𝜀𝜀𝐻𝐻を示せ. 2)熱機関の等温膨張過程におけるエントロピー変化量ΔSを求めよ. 3)ヒートポンプが熱源 B に放出する熱量𝑄𝑄𝐵𝐵を求めよ. 4)熱源 A, B, C のそれぞれのエントロピー変化量Δ𝛥𝛥𝐴𝐴,Δ𝛥𝛥𝐵𝐵,Δ𝛥𝛥𝐶𝐶を求めよ. 5)質量 m,気体定数 R,比熱比κの理想気体を熱機関の作動流体として使用

する.熱機関のサイクル中で吸熱過程の終了時点と放熱過程の終了時点での圧

力が同じ場合,熱量𝑄𝑄𝐴𝐴を𝑇𝑇1, 𝑇𝑇3,𝑚𝑚,𝑅𝑅, 𝜅𝜅を用いて表せ.

23

3蒸気およびランキンサイクル関連問題 クラペイロン・クラウジウス式関連問題とランキンサイクル関連問題に大別

される. クラペイロン・クラウジウス式関連問題 2007 東北大 次の問いに答えよ. 1)図 1 は純粋物質の p-T 線図を示しており,p は圧力,T は温度である.曲

線 DE は蒸発曲線である.A 相,B 相,C 相および点 D,点 E の名称を記せ.

2)気相と液相が平衡状態にあるとき,クラペイロン・クラウジウス式が次式

のように与えられる. 𝑑𝑑𝑝𝑝𝑑𝑑𝑇𝑇

=𝑟𝑟

𝑇𝑇(𝑣𝑣𝑣𝑣 − 𝑣𝑣𝐿𝐿)

ここに,𝑣𝑣𝑣𝑣は気相の比体積,𝑣𝑣𝐿𝐿は液相の比体積,𝑟𝑟は蒸発潜熱である.液相の比

体積が気相の比体積に比べ無視できるとき,蒸発曲線の勾配𝑑𝑑𝑝𝑝𝑑𝑑𝑑𝑑を r, p, R, T を用い

て表せ.ただし,気相は理想気体とし気体定数を R とする. 3)問(2)の結果を用いて,温度𝑇𝑇1および𝑇𝑇2における蒸発曲線上の圧力をそれ

ぞれ𝑝𝑝1および𝑝𝑝2とするとき,圧力比𝑝𝑝2𝑝𝑝1を r, R, 𝑇𝑇1, 𝑇𝑇2を用いて表せ.

4)問(2)に示したクラペイロン・クラウジウス式を,気相と液相が平衡状

態にあるとき両相のギブス自由エネルギーが等しいことを用いて導け.

24

2012 東北大 ある物質の蒸発について考える.400K において,この物質の飽和蒸気圧力は

230kPa,蒸発曲線における勾配𝑑𝑑𝑝𝑝 𝑑𝑑𝑇𝑇⁄ は7.00 𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃 𝐾𝐾⁄ である.このとき,この物

質の蒸気は理想気体として扱うことが可能で,蒸気の比体積は液体の比体積に

比べて十分に大きいものとする.また,気体定数 R は0.460 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.

この物質の 400K における蒸発潜熱 r を算出せよ. 2013 東北大 図 1 の p-v 線図において,曲線 EFG はある純粋物質の飽和液線と飽和蒸気線

を表し,曲線 ABCD は温度𝑇𝑇 = 300Kの等温線を表している.点 B, C における状

態量を表 1 に示す.p は圧力,v は比体積,h は比エンタルピー,s は比エントロ

ピーである.以下の問いに答えよ.

1)点 F の名称を記せ 2)温度 300K におけるこの物質の蒸発潜熱を求めよ. 3)等温線 BC 上の状態変化において,𝑑𝑑ℎ = 𝑇𝑇𝑑𝑑𝑠𝑠が成り立つことを示せ. 4)点 C における比エンタルピーℎ𝐶𝐶を求めよ. 5)クラペイロン・クラウジウス式を用いて,点 C から飽和蒸気線に沿ってこ

の物質の温度を 1K 上昇させたときの圧力上昇を求めよ.ただし,温度 300K に

25

おける飽和蒸気の比体積に対して,飽和液の比体積は十分に小さく,無視でき

るものとする. 2017 東北大 三重点にある水を考える.固相,液相および気相における水の比体積をそれ

ぞれ𝑣𝑣𝑠𝑠, 𝑣𝑣𝑙𝑙および𝑣𝑣𝑔𝑔とし,各相の比エントロピーをそれぞれ𝑠𝑠𝑠𝑠, 𝑠𝑠𝑙𝑙および𝑠𝑠𝑔𝑔とする.

また,水の蒸発熱,融解熱および昇華熱をそれぞれ𝑟𝑟𝑣𝑣, 𝑟𝑟𝑓𝑓および𝑟𝑟𝑠𝑠とし,三重点の

温度を𝑇𝑇𝑡𝑡とする.以下の問いに答えよ. 1)𝑇𝑇𝑡𝑡, 𝑠𝑠𝑠𝑠, 𝑠𝑠𝑙𝑙および𝑠𝑠𝑔𝑔を用いて𝑟𝑟𝑣𝑣, 𝑟𝑟𝑓𝑓および𝑟𝑟𝑠𝑠を表せ. 2)次式が成り立つことを示せ. 𝑟𝑟𝑠𝑠 = 𝑟𝑟𝑣𝑣 + 𝑟𝑟𝑓𝑓 3)比ギブス自由エネルギーの式を用いて,クラペイロン・クラウジウスの式を

導け.

4)圧力―温度(𝑃𝑃 − 𝑇𝑇)線図上の三重点近傍において,昇華曲線の傾き�𝑑𝑑𝑝𝑝𝑑𝑑𝑑𝑑�𝑠𝑠は蒸

発曲線の傾き�𝑑𝑑𝑝𝑝𝑑𝑑𝑑𝑑�𝑣𝑣より大きいことを示せ.但し,以下の式が成り立つとする.

𝑣𝑣𝑔𝑔 ≫ 𝑣𝑣𝑠𝑠 , 𝑣𝑣𝑔𝑔 ≫ 𝑣𝑣𝑙𝑙 , 𝑟𝑟𝑠𝑠 > 𝑟𝑟𝑣𝑣

26

ランキンサイクル関連問題 2008 東北大 図 1 は,ある冷凍サイクルの T-s 線図と作動流体の飽和液腺,乾き飽和蒸気線

である.状態 1 から 2 への変化は,比熱比κ(= 4 3⁄ )が一定の理想気体の可逆断

熱変化とする.また,状態 2 から 4,および状態 5 から 1 への変化は等圧変化,

状態 4 から 5 への変化は等エンタルピー変化とする.ただし,蒸気の気体定数 Rは0.460𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ であり,状態 1 の温度𝑇𝑇1は 350K,比エンタルピーℎ1は2640𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,比エントロピー𝑠𝑠1は7.66𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ である.この冷凍サイクルにつ

いて次の問いに答えよ. 1)図 1 の点 A の名称を記せ. 2)状態 2 と 1 の圧力比𝑝𝑝2 𝑝𝑝1⁄ が 16 であるとき,温度比𝑇𝑇2 𝑇𝑇1⁄ と状態 2 の比エン

タルピーℎ2を求めよ. 3)圧力𝑝𝑝2における乾き飽和蒸気の比エンタルピーと蒸発潜熱は,それぞれ

2760𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ と2060𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ である.状態 4 の比エンタルピーℎ4を求めよ. 4)湿り蒸気の乾き度の定義を記せ. 5)圧力𝑝𝑝1における蒸発潜熱が2320𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ であるとき,状態 5 の乾き度𝑥𝑥5と比

エントロピー𝑠𝑠5を求めよ. 6)この冷凍サイクルがヒートポンプとして作動する場合の動作係数(成績係

数)𝜀𝜀𝐻𝐻を求めよ.

27

2009 農工大 1] 図は火力発電所の蒸気タービン発電サイクルを pv 線図上に模式的に描いた

ものである.点 B-C 間および点 D-A 間は等圧過程,点 A-B 間および点 C-D 間は

断熱過程を表している.タービンおよびポンプは等エントロピー過程とみなす.

表には各点における蒸気の比エンタルピーを示す.このとき次の問いに答えよ.

数値を解答する場合は有効数字を考えて答えること. 1)蒸気タービン発電プラントにおいて各点の間の状態変化を与える設備を答

えよ. ①点 A-B 間

②点 B-C 間

③点 C-D 間

④点 D-A 間 2)蒸気流量が7.20𝑡𝑡 ℎ⁄ の時,この熱機関の動力出力(kW 単位)を求めよ. 3)この熱機関の熱効率を求めよ.ただし,ポンプ動力は無視して良い.

2] 火力発電所の発電効率を高めるために蒸気タービン発電とガスタービン発電

を組み合わせたコンバインドサイクルと呼ばれる方式の導入が進められている.

このサイクルにおいて発電効率を向上させる仕組みについて 80 文字以内で述べ

よ. 2010 東北大 理想的なランキンサイクルを考える.このサイクルの温度―比エントロピー

(T-s)線図を図 1 に示す.状態 1 の温度と圧力はそれぞれ 300K,0.1MPa とし

て,状態 3 の比エンタルピーおよび比エントロピーはそれぞれ3200𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ,

28

6.0𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.また,温度 300K における作動流体の飽和液および乾き

飽和蒸気の比エンタルピーおよび比エントロピーを表 1 に示す.以下の問いに

答えよ. 1)図 1 における熱力学的過程 1→2,2→3,3→4,4→1 のそれぞれの名称を記

せ. 2)状態 4 における温度および圧力を求めよ. 3)状態 4 における乾き度(湿り蒸気に含まれる乾き飽和蒸気の質量比)を求め

よ. 4)このサイクルにおける作動流体の単位質量流量あたりの出力を求めよ. 5)状態 1→2 での仕事が無視できるとして,このサイクルの理論熱効率を求め

よ. 6)実際のタービンでタービンにより仕事を取り出す場合,タービン効率が 100%でないために,タービン出力は理論出力よりも小さな値となる.タービン効率

が 80%の場合,外部に 4.8MW の出力を取り出すのに必要な作動流体の質量流量

を求めよ.

2015 農工大 図 5-1,図 5-2 に示すランキンサイクルの構成およびその T-s 線図について考

える(T は温度(℃),s は比エントロピー(𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ )を表す).図 5-2 中の

曲線 XYZ は水の飽和液線と飽和蒸気線を表しており,また,点 A, B, C, D は図

5-1 中の同記号位置の状態を表す.図中の A→B では水ポンプで飽和水を等エン

トロピー(断熱)圧縮し,B→C ではボイラーで定圧加熱し,C→D では水蒸気

は等エントロピー(断熱)膨張しながらタービンに対して仕事をする.D→A で

はタービンから出た水蒸気が復水器で定圧放熱しすべて液体の水に戻る.点 Eは,点 A や点 D と同温度における飽和蒸気線上にある.ここで,点 A,点 B に

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おける水の圧力をそれぞれ 10.0kPa, 15.0MPa,点 C における水蒸気の温度を

600℃とする. 1kg の水または水蒸気あたりの,ポンプがした仕事を𝑊𝑊𝑝𝑝(𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ),ボイラーで

加えた熱量を𝑄𝑄𝑖𝑖𝑛𝑛(𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ),蒸気がタービンにした仕事を𝑊𝑊𝑡𝑡(𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ),復水器で放

熱された熱量を𝑄𝑄𝑜𝑜𝑜𝑜𝑡𝑡(𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ )とし,それ以外のエネルギーの出入りはないものと

する.また,各点の比エンタルピー (𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ )をℎ𝐴𝐴,ℎ𝐵𝐵 ⋯,比エントロピー

(𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ )を𝑠𝑠𝐴𝐴, 𝑠𝑠𝐵𝐵 ⋯,と表す.このサイクルの理論熱効率η�= �𝑊𝑊𝑡𝑡 −𝑊𝑊𝑝𝑝� 𝑄𝑄𝑖𝑖𝑛𝑛⁄ �を求めたい.以下の問いに答えよ.導出過程も

示せ.点 A, C, E における状態量として表 5-1の値を用いよ. 1)図 5-2 中の点 Y の温度を何と呼ぶか答えよ. 2)理論熱効率ηを,𝑄𝑄𝑖𝑖𝑛𝑛,𝑄𝑄𝑜𝑜𝑜𝑜𝑡𝑡のみを用いた式で

表せ. 3)系に出入りした熱量𝑄𝑄𝑖𝑖𝑛𝑛,𝑄𝑄𝑜𝑜𝑜𝑜𝑡𝑡を,ℎ𝐴𝐴,ℎ𝐵𝐵, ℎ𝐶𝐶 , ℎ𝐷𝐷のうち,必要なものを用いて表せ. 4)点 B での比エンタルピーℎ𝐵𝐵(𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ ) を有効

数字 3 桁で求めよ.A→B において比体積 v の

変化はないものとする. 5)点 D では湿り蒸気(飽和水と飽和蒸気の混

合状態)となっている.点 D における乾き度 xを有効数字 3 桁で求めよ.乾き度とは,飽和水

と飽和蒸気の全質量に対する飽和蒸気の質量

の割合であり,点 A では乾き度は 0,点 E で

は乾き度は 1 である. 6)点 D での比エンタルピーℎ𝐷𝐷を,ℎ𝐴𝐴,ℎ𝐵𝐵,ℎ𝐶𝐶,ℎ𝐸𝐸,x のうち,必要なものを用いて表せ. 7)理論熱効率ηを有効数字 3 桁で求めよ.

30

4エクセルギー関連問題

2005 東北大 空気を作動流体とし,初期状態(圧力𝑝𝑝1 = 2.5𝑀𝑀𝑝𝑝𝑃𝑃,温度𝑇𝑇1 = 700𝐾𝐾)から,

周囲条件(圧力𝑝𝑝2 = 0.1𝑀𝑀𝑝𝑝𝑃𝑃,温度𝑇𝑇2 = 298𝐾𝐾)まで状態変化する系に関する以

下の問いに答えよ.ただし,空気の定圧比熱𝑐𝑐𝑝𝑝 = 1.01𝑘𝑘𝐽𝐽/(𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾),ガス定数𝑅𝑅 =0.287kJ/(𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)およびlog(700 298⁄ ) = 0.854およびlog25 = 3.22の近似値を用

いてよい. 1)この系が定常流動系である時,空気の比エクセルギー𝑒𝑒1を求めよ. 2)この系が閉じた系(非流動系)である時,空気の比エクセルギー𝑒𝑒2を求めよ. 3)𝑝𝑝 − 𝑉𝑉線図を用いて𝑒𝑒1および𝑒𝑒2に相当する部分を示せ. 2008 東北大 日本は年間 13 億トン(質量:1.3 × 1012𝑘𝑘𝑘𝑘)の二酸化炭素を大気に放出して

いる.この二酸化炭素を大気と同じ温度,圧力の純粋二酸化炭素に再び分離す

るための最小エネルギーをエクセルギーの考え方を用いて計算せよ.ただし,

大気の温度,圧力を300K, 0.1MPa,二酸化炭素の体積濃度を 400ppm(1ppm は百

万分の一)とする.また,大気の質量は放出二酸化炭素に比べて十分大きく,

大気中の二酸化炭素の濃度は十分薄いものとする.

31

5ガスサイクル関連問題 2005 東北大 作動ガス流量10 𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ ,入口温度 300K,タービン入口温度 1000K,圧力比 16のガスタービンエンジンの過程をブレイトンサイクルとして考える.以下の問

いに答えよ.ただし,エンジンは気圧 100kPa,300K の環境下で作動している.

作動ガスは,定圧比熱と比熱比がそれぞれ1 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ および4 3⁄ の理想気体と

する.必要ならば下記の近似値を用いてもよい. √2=1.4,√3=1.7,√5=2.2,√7 = 2.6,√10 = 3.2

1)このサイクルを示す p-V 線図を描け.ただし,各過程の始まりと終わりにお

ける温度と圧力を示すこと. 2)燃料の発熱量を40𝑀𝑀𝐽𝐽 𝑚𝑚⁄ としたとき,このエンジンの燃料消費率(単位時間あ

たりの燃料消費量)を計算せよ. 3)このサイクルを示す T-s 線図を描け.ただし,各過程の始まりと終わりにお

ける温度を示すこと. 4)このサイクル中の等圧膨張過程について,その始まりと終わりにおける T-s線図上の傾きを求めよ. 2006 東北大 理想気体を準静的に圧縮する定常流動系としての圧縮機を考える.圧縮機入

口における気体の温度および圧力をそれぞれ𝑇𝑇1,𝑝𝑝1とし,圧縮機出口における気

体圧力を𝑝𝑝2とする.二つの圧縮過程,すなわち等温過程および断熱(等エント

ロピー)過程を仮定し,以下の問いに答えよ.ただし,機体の運動エネルギー

およびポテンシャルエネルギーの変化は無視せよ. 1)ポリトロープ過程について説明し,等温過程および断熱(等エントロピー)

過程の場合の各々のポリトロープ指数を示せ. 2)p-v線図の等温線の勾配を,等エントロピー線の勾配と比熱比κを用いて表せ.

さらに,等温線の勾配の絶対値と等エントロピー線の勾配の絶対値を比較し,

どちらが大きいかを理由を付して述べよ. 3)圧力𝑝𝑝1,𝑝𝑝2および比熱比κを用い,圧縮過程が等温変化である場合の単位質量

流量当たりの圧縮工業仕事𝑚𝑚𝑑𝑑と圧縮過程が断熱(等エントロピー)過程である場

合の単位質量流量当たりの圧縮工業仕事𝑚𝑚𝑠𝑠との比𝑚𝑚𝑑𝑑 𝑚𝑚𝑠𝑠⁄ を表せ. 4)3)で求めた等温圧縮過程の場合と断熱(等エントロピー)圧縮過程の場合

32

の圧縮工業仕事に相当する部分を各々p-v 線図に面積で図示し,両者の仕事のど

ちらが大きいか理由を付して述べよ. 2008 農工大 図の p-V 線図に示すようなサイクルに基づいてヒートポンプを運転し,低温

側から熱をくみ上げ,高温側に放出する.A→B および C→D は等圧変化であり,

B→C および D→A 断熱変化である.𝑇𝑇2[𝐾𝐾] > 𝑇𝑇1[𝐾𝐾]とする.作動媒体は理想気体

m[𝑘𝑘𝑘𝑘]とし,定積比熱を𝑐𝑐𝑣𝑣[𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ],定圧比熱を𝑐𝑐𝑝𝑝[𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ],比熱比をγで表す.次の問いに答えよ. 1)C 点の温度を𝑇𝑇𝐶𝐶[𝐾𝐾]とするとき,B→C で投入した仕事W[𝑘𝑘𝐽𝐽]を示せ・ 2)C→D で取り出される熱量Q[𝑘𝑘𝐽𝐽]を示せ. 3)𝑇𝑇1 𝑇𝑇𝐶𝐶⁄ を圧力の比𝑝𝑝2 𝑝𝑝1⁄ とγを用いて表せ. 4)上記の圧縮仕事に対する熱量の割合𝑄𝑄 𝑊𝑊⁄ を𝑇𝑇2 𝑇𝑇1⁄ ,𝑝𝑝2 𝑝𝑝1⁄ ,γを用いて表せ.

2009 東北大 図 1 に示す理想的なブレイトンサイクルで運転される動力プラントがある.

作動流体は大気中の空気を使用する.このサイクルでは圧縮機はタービンと結

合しており,圧縮機効率およびタービン効率は共に 100%である.圧縮機入口(状

態 1)の空気の温度,圧力は 300K, 0.1MPa である.空気は,この圧縮機で 0.4MPaまで圧縮された後(1→2),加熱器で温度 900K まで加熱される(2→3).その後,

空気はタービンで圧力 0.1MPa まで膨張した後(3→4),圧力 0.1MPa の大気に放

出される.図 2 はこのサイクルの温度―比エントロピー(T-s)線図である.空気を

比熱比 1.4,気体定数0.3 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ の理想気体と仮定して,以下の問いに答えよ.

33

必要であれば近似値42 7⁄ = 1.5を用いてよい. 1)1→2,2→3 の各過程の名称を記せ. 2)空気の定積比熱および定圧比熱を求めよ. 3)空気の状態 2 における温度および状態 4 における温度を求めよ. 4)このサイクルにおいて,外部に 630kW の仕事を発生させるために必要な空

気の質量流量を求めよ. 5)このサイクルに図 1 に示すような再生熱交換器を設置して,サイクルの熱効

率向上を図った.この再生熱交換器では熱交換が完全に行われるものとして,

高圧空気の再生熱交換器出口の状態を2’,低圧空気の再生熱交換器出口の状態を

4’とするとき,2’,4’を T-s 線図上に図示せよ.また,このとき加熱器で空気の

加えられる熱量を T-s 線図上に示せ. 6)再生熱交換器がない場合と問(5)の条件で再生熱交換器を設置した場合の

サイクルの熱効率を各々求めよ.

2011 東北大 図 1 に示す冷凍機として運転されている理想的なブレイトン逆サイクルを考

える.作動流体は比熱比κ,気体定数 R の理想気体である.この冷凍機では圧縮

機はタービンと結合している.圧縮機入口(状態 1)での温度,圧力は𝑇𝑇1,𝑝𝑝1であり,気体は圧縮機で可逆断熱圧縮され,圧力𝑝𝑝2 = 𝛼𝛼𝑝𝑝1となる(1→2).ここで,

圧力比α > 1である.その後,気体は熱交換器 A で等圧下にて放熱して温度𝑇𝑇3となり(2→3),タービンで可逆断熱膨張する(3→4).さらに,気体は熱交換器 Bで等圧下にて吸熱して圧縮機に戻る(4→1).𝑇𝑇1,𝑇𝑇3,𝛼𝛼, 𝜅𝜅,𝑅𝑅の記号を用いて,以下の

問いに答えよ. 1)このサイクルの圧力―比体積(p-v)線図,温度―比エントロピー(T-s)線図を描

け.各々の線図に状態 1,2,3,4 を示すこと. 2)気体の温度𝑇𝑇2および𝑇𝑇4を求めよ. 3)状態 4→1の過程における気体の比エントロピー変化量𝑠𝑠41を求めよ.

34

4)単位質量の気体が熱交換器 A で放出する熱量𝑞𝑞𝐴𝐴および単位質量の気体が熱交

換器 B で吸収する熱量𝑞𝑞𝐵𝐵を求めよ. 5)単位質量の気体に対する圧縮機の所要仕事𝑚𝑚𝐶𝐶および単位質量の気体に対する

タービンの発生仕事𝑚𝑚𝑑𝑑を求めよ. 6)この冷凍機の動作係数(成績係数)𝜀𝜀𝑅𝑅をαおよびκの記号を用いて表せ.

2012 首都大 空気を作動流体とするブレイトンサイクルで運転される定置型動力装置の圧

力比は 8 である.作動流体の質量流量は1 𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ である.圧縮機の入口での空気

の圧力100kPa,温度は300Kである.燃焼器(定圧加熱過程)での伝熱量は800 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑠𝑠⁄である.次の値を求めよ.(a)圧縮機出口の温度,(b)タービン入口・出口の温度,

(c)圧縮機およびタービン出口の比エンタルピー,(d)熱効率.ただし,空気はガ

ス定数R = 0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比熱比κ = 1.4の理想気体とする. 2012 農工大 1)図 5-1 の p-V(圧力ー体積)線図に示すように,理想気体に可逆サイクル

ABCDA を行わせる熱機関を考える.過程 AB,CD は断熱過程であり,過程 BC,DA は定積過程である.このサイクルの熱効率𝜂𝜂1を比熱比γと圧縮比ε(≡ 𝑉𝑉𝐴𝐴 𝑉𝑉𝐵𝐵⁄ ,

ここで𝑉𝑉𝐴𝐴と𝑉𝑉𝐵𝐵はそれぞれ状態 A, B における体積を表す)を用いて求めよ.導く

過程も記述すること.

35

2)図 5-1 のように,理想気体に可逆サイクル ABEDA を行わせる別の熱機関

を考える.過程 BE は定圧過程であり,過程 ED は断熱過程である.このサイク

ルの熱効率𝜂𝜂2を比熱比γと圧縮比εと締切比σ(≡ 𝑉𝑉𝐸𝐸 𝑉𝑉𝐵𝐵⁄ ,ここで𝑉𝑉𝐸𝐸は状態 E にお

ける体積を表す)を用いて求めよ.導く過程も記述すること. 3)熱効率𝜂𝜂1と𝜂𝜂2の大小を比較せよ.導く過程も記述すること. 2012 首都大 次の四つの可逆過程で構成された空気を作動流体とするサイクル(空気標準

サイクル)がある. 1→2 100kPa, 300K から 800kPa まで等エントロピー圧縮 2→3 1800K へ等容加熱 3→4 100kPa まで等エントロピー膨張 4→1 サイクル開始状態へ戻る等圧放熱 a)このサイクルの p-v 線図および T-s 線図を示せ.(各過程の始点,終点におけ

る値を示せ.なお,状態 1 の比エントロピーを 0 とせよ) b)単位質量当たりの正味出力を計算せよ. c)熱効率を求めよ.

36

2013 農工大 図 5-1 に示すガスタービンがある.圧縮機において圧力 0.101MPa,温度 30℃の空気を圧力比 10.0�= 圧縮機出口圧力 圧縮機入口圧力� �で圧縮する.圧縮後の

空気は熱交換器を通り燃焼ガスと熱交換した後,燃焼器で加熱されて温度

1300℃の燃焼ガスとなる.燃焼ガスはタービンで 0.101MPa まで膨張する.圧縮

機およびタービンは断熱過程とみなせるものとする.なお,燃焼器,熱交換器,

配管部での圧力損失はなく,燃料の流量は空気の流量に比べて無視できるとす

る.燃焼ガスと空気は理想気体とみなせると仮定する.空気の定圧比熱を

1.01 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,燃焼ガスの定圧比熱を1.16 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,いずれもガス定数を

287 𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする.また,空気の流量を25.0 𝑘𝑘𝑘𝑘 𝑠𝑠⁄ とする.

このとき,以下の問いに答えよ.

1)圧縮機出口の空気の温度[𝐾𝐾]を求めよ.

2)タービン出口の燃焼ガスの温度[𝐾𝐾]を求めよ. 3)タービンが発生する動力[𝑀𝑀𝑊𝑊]を求めよ. 4)熱交換器で燃焼ガスから熱回収することにより,熱交換器がない場合に比べ

て燃料消費量を削減できる.点 3 と点 5 の温度差が 70.0℃の時,燃料消費量の

削減率[%]を求めよ.ただし,点 3 から点 4 の間の比熱は空気の値と同じとする. 5)熱交換器の対数平均温度差[𝐾𝐾]および UA 値(熱通過と伝熱面積の比)[𝑘𝑘𝑊𝑊 𝐾𝐾⁄ ]を求めよ.

37

2013 首都大 次の三つの可逆過程で構成された,理想気体を作動流体とするサイクルがあ

る. 1→2 𝑝𝑝1 = 100𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑇𝑇1 = 300𝐾𝐾から𝑇𝑇2 = 800𝐾𝐾まで断熱圧縮.その際の単位質量

辺りの圧縮仕事は318 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ 2→3 等温の下,500 𝑘𝑘𝐽𝐽 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ 加熱 3→1 等容変化 1)単位質量あたり外部へなす仕事および熱効率を求めよ. 2)このサイクルの p-v 線図および T-s 線図を示せ.ただし,図中には各状態点

の番号を示せ.圧力,温度等の数値を書き入れる必要はない.また,各変化過

程において仕事 w および熱量 q の出入りがある場合,p-v線図には w の出入りを,

T-s 線図には q の出入りを矢印で記入せよ. 3)各過程の比エントロピーの変化𝑠𝑠2 − 𝑠𝑠1, 𝑠𝑠3 − 𝑠𝑠2, 𝑠𝑠1 − 𝑠𝑠3を求めよ. 2014 首都大 次の 4 つの過程で構成された,1kg の空気を作動流体とするサイクルがある. 1→2 𝑝𝑝1 = 100𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑇𝑇1 = 300𝐾𝐾から𝑝𝑝2 = 200𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃まで断熱圧縮 2→3 𝑝𝑝3 = 300𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃まで等積加熱 3→4 𝑝𝑝4 = 150𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃.𝑇𝑇4 = 450𝐾𝐾まで断熱膨張 4→1 等積冷却 ただし,空気は気体定数を0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,定積比熱を0.719 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比

熱比 1.4 の理想気体とみなし,以下の問いに答えよ. 1)2→3 の過程における空気への加熱量を求めよ. 2)サイクルが外部へなす正味の仕事と熱効率を求めよ. 3)各過程におけるエントロピー変化を求めよ. 4)サイクルの p-v 線図と T-s 線図を示せ.状態量の数値を書き入れる必要はな

い. 2014 首都大 ディーゼルエンジンではシリンダー内の空気を圧縮してその温度は燃料の発

火点以上にされる.今,圧縮初めにおいて体積𝑉𝑉1 = 2000𝑐𝑐𝑐𝑐,温度𝑇𝑇1 = 120℃,

圧力𝑝𝑝1 = 100𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃の空気を断熱圧縮して𝑇𝑇2 = 700℃になるようにする.以下の 1)

38

から 3)の値を求めよ.ただし,空気は理想気体と仮定でき,気体定数を

0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,比熱比を 1.4 とする. 1)圧縮後の空気の体積 2)圧縮後の空気の圧力 3)圧縮に必要な仕事 2014 首都大 次の 3 つの可逆過程で構成された,1𝑘𝑘𝑘𝑘の空気を作動流体とするサイクルがあ

る. 1→2 𝑝𝑝1 = 150𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃,𝑇𝑇1 = 400𝐾𝐾から𝑝𝑝2 = 100𝑘𝑘𝑃𝑃𝑃𝑃まで等温膨張 2→3 等圧冷却 3→1 等積加熱 ただし,空気は気体定数0.287 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ,定圧比熱1.006 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ の理想気

体とみなせるとし,以下の問いに答えよ. 1)サイクルが外部へなす正味の仕事と熱効率を求めよ. 2)p-v 線図と T-s 線図を示せ.線図には各過程の始めと終わりの状態量の数値を

書き入れよ.ただし,状態 1 のエントロピーを𝑠𝑠1 = 1.0 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ と仮定する. 2015 東北大 1kg の単原子理想気体を作動流体とする,圧縮比 8 のオットーサイクルを考え

る.その圧力―比体積(p-v)線図を図 1 の 1→2→3→4→1 に示す.また,状態

1 の圧力は𝑝𝑝1 = 0.12𝑀𝑀𝑝𝑝𝑃𝑃,比体積は𝑣𝑣1 = 0.8𝑚𝑚3 𝑘𝑘𝑘𝑘⁄ とし,状態 3 の圧力は𝑝𝑝3 =6.4𝑀𝑀𝑝𝑝𝑃𝑃とする.以下の問いに答えよ.ただし,作動流体の気体定数は𝑅𝑅 =0.32 𝑘𝑘𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ とする. 1)各過程 1→2,2→3,3→4,4→1 の名称を答えよ. 2)作動流体の定積比熱𝑐𝑐𝑣𝑣および定圧比熱𝑐𝑐𝑝𝑝を求めよ. 3)状態 1,2,3,4 の温度をそれぞれ求めよ. 4)このサイクルが 1 サイクル作動する間に,外部から受ける熱量𝑞𝑞𝐻𝐻と外部へ放

出する熱量𝑞𝑞𝐿𝐿を求めよ.また,この結果を用いて,このサイクルの理論熱効率

を求めよ. 5)1→2→3→4→1 のサイクルの一部を等圧的に変化させるサイクル 1→2→2’ →3’→4→1 を考える.状態 2’および状態 3’の圧力は 4.8MPa である.このサイクル

の理論熱効率を有効数字 2 桁で求めよ.ただし,0.7512 5⁄ = 0.891とする.

39

2016 東北大 閉じた系における理想気体を用いたサイクルを考える.このサイクルは 3 つ

の準静的過程からなり,状態 1→2 の過程は等積加熱過程,状態 2→3 の過程は

断熱膨張過程,状態 3→1 の過程は等圧冷却過程である.状態 1 の圧力を𝑝𝑝1,比

体積を𝑣𝑣1とし,状態 2 の圧力を𝑝𝑝2とする.また,この理想気体の比熱比をκ,気

体定数を R とする.以下の問いに答えよ.必要に応じて𝑝𝑝1, 𝑣𝑣1, 𝑝𝑝2, κ, R の記

号を用いよ. 1)このサイクルの圧力―比体積(𝑝𝑝 − 𝑣𝑣)線図および温度ー比エントロピー

(𝑇𝑇 − 𝑠𝑠)線図を描け. 2)状態 1,2,3 における温度をそれぞれ求めよ. 3)各過程 1→2,2→3,3→1 において,この系に入る熱量をそれぞれ求めよ.

系に入る熱量を正とする. 4)このサイクルの熱効率を求めよ. 2017 農工大 理想気体を対象として,次の 4 つの可逆過程より構成されるカルノーサイク

ルについて考える.但し,V は体積[𝑚𝑚3],T は絶対温度[𝐾𝐾],κは比熱比[−],下

付数字は状態を表す.(例えば𝑇𝑇1は状態 1 での絶対温度を表す).以下の問いに答

40

えよ.ただし,𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒2 = 0.69, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒3 = 1.1, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒5 = 1.6, 𝑚𝑚𝑚𝑚𝑘𝑘𝑒𝑒7 = 1.9(e は自然対数

の底)を用いてもよい. 状態 1→2 の過程:等温膨張 状態 2→3 の過程:断熱膨張 状態 3→4 の過程:等温圧縮 状態 4→1 の過程:断熱圧縮 1)本サイクルによる熱機関の理論熱効率η[−]はη = 1 − 𝑇𝑇3 𝑇𝑇1⁄ であることを導出

せよ. 2)状態 1 から状態 3 に変化するポリトロープ過程(𝑇𝑇𝑉𝑉(𝑛𝑛−1) =一定,n は1 < n < κを満たす定数)を考える.𝑉𝑉2 = 2𝑉𝑉1,かつ𝑇𝑇1 = 2𝑇𝑇3の場合,n をκを用いて表せ.

導出過程も示せ. 3)本カルノーサイクルの状態 1→状態 2→状態 3 を(2)で求めたポリトロープ

過程に変えたサイクルによる熱機関の理論熱効率を求めよ.導出過程も示せ. 2017 首都大 図 3-3 はある理想可逆サイクルの p-v 線図である.ただし,曲線「1→2」およ

び「3→4」は断熱線,「2→3」および「4→1」は等圧線である.なお,解答にあ

たって必要な物理量は記号を定義して用いてよい. 1)このサイクルの名称を答えよ. 2)このサイクルの T-s 線図を描け. 3)このサイクルが外界と授受するすべての熱量を熱の移動方向とともに答えよ. 4)このサイクルの理論熱効率𝜂𝜂を圧力 p を用いて表せ.

41

42

6熱力学の一般関係式関連問題 2004 東北大

次の問いに答えよ. 1)ジュール・トムソン効果について説明せよ. 2)ジュール・トムソン係数

𝜇𝜇 =1𝑐𝑐𝑝𝑝�𝑇𝑇 �

𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝− 𝑣𝑣�

を導け.必要ならは,マクスウェルの関係式の一つ

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

= −�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

を使用してもよい. 3)実在ガスの状態方程式が,

�𝑝𝑝 +𝑃𝑃𝑣𝑣2� 𝑣𝑣 = 𝑅𝑅𝑇𝑇

のとき,逆転温度を計算せよ.ここで,:a 定数,:𝑐𝑐𝑣𝑣定圧比熱,R:ガス定数,

T:温度,s:比エントロピー,v:比体積,𝜇𝜇:ジュールトムソン係数である. 2006 京大

窒素に関して,以下の問いに答えよ.なお(1)では窒素を近似的に理想気体

としてみなせる場合について問うが,(2)以下では実在気体としての窒素の特

性に関して問うこととする. 1)まず,窒素の圧力・温度・体積の関係を記述する状態方程式を考える.一般

気 体 定 数 𝑅𝑅0 を 𝑅𝑅0 = 8.314 𝐽𝐽 (𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚𝑚 ∙ 𝐾𝐾)⁄ と す る と き , 窒 素 の 気 体 定 数

𝑅𝑅𝑁𝑁𝑖𝑖𝑡𝑡𝑁𝑁𝑜𝑜𝑔𝑔𝑒𝑒𝑛𝑛[𝐽𝐽 (𝑘𝑘𝑘𝑘 ∙ 𝐾𝐾)⁄ ]を有効数字 2 桁で求めよ. 2)窒素分子の比熱容量につき知るところを述べよ. 3)下図に示すように,周囲から断熱された管の中に細孔栓を設置して,窒素を

高圧の左側から低圧の右側に定常的に流す場合を考える.窒素の運動エネルギ

ーは無視できるとする.このとき細孔栓を通る前後の圧力と比体積をそれぞれ,

𝑝𝑝1と𝑣𝑣1,𝑝𝑝2と𝑣𝑣2とする.また,比内部エネルギーと比エンタルピーをそれぞれ,

43

𝑢𝑢1とℎ1,𝑢𝑢2とℎ2とする.これらの変数を全部用いて,この現象を説明する関係

式を示せ.

4)前問の現象に関して重要となるµ ≡ �𝜕𝜕𝑑𝑑𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑋𝑋は,ジュール・トムソン係数と呼ば

れる.ここで,T は温度である.上式の右辺のカッコに示した添え字 X は,偏微

分の際に一定とする変数を表す.X に相当する変数は何か. 5)比エントロピーs,温度 T,圧力 p の関係式,

𝑑𝑑𝑠𝑠 = �𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝𝑑𝑑𝑇𝑇 + �

𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑𝑑𝑑𝑝𝑝

から出発して,

𝜇𝜇 ≡ �𝜕𝜕𝑇𝑇𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑋𝑋

=1𝑐𝑐𝑝𝑝�𝑇𝑇 �

𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝− 𝑣𝑣�

を導け.ここで𝑐𝑐𝑝𝑝は定圧比熱容量である.ただし,もし必要であれば,マクスウ

ェルの関係式,

�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

= −�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

は既知として用いてもよい.ジュール・トムソン係数は,理想気体の状態方程

式を代入した場合には 0(ゼロ)になるが,実在する窒素では,特別の場合以外

には,そうではない.その理由を考察せよ. 6)窒素のジュール・トムソン係数の,圧力 p と温度 T に対する変化を論ぜよ.

なお解答方法として,横軸を p,縦軸を T とするグラフ上に,ジュール・トムソ

ン係数の変化を定性的に示すことが望ましい. 2007 東北大 1)ヘルムホルツ自由エネルギーの式を用いて,次のマクスウェルの関係式を導

け.

�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑣𝑣�𝑑𝑑

= �𝜕𝜕𝑝𝑝𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑣𝑣

2)次の関係式が成り立つことを示せ.ただし,𝑐𝑐𝑣𝑣は定積比熱,𝑐𝑐𝑝𝑝は定圧比熱で

ある.

𝑐𝑐𝑝𝑝 − 𝑐𝑐𝑣𝑣 = −𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑝𝑝𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑣𝑣

2

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

2011 東北大

44

比内部エネルギーu が比エントロピーs と比体積 v の関数であるとする. 1)比内部エネルギーの全微分の式を示せ. 2)圧力 p と温度 T が次の式で表されることを示せ.

𝑝𝑝 = −�𝜕𝜕𝑢𝑢𝜕𝜕𝑣𝑣�𝑠𝑠

𝑇𝑇 = �𝜕𝜕𝑢𝑢𝜕𝜕𝑠𝑠�𝑣𝑣

3) 2)に示した 2 つの式から導かれるマクスウェルの熱力学的関係式を書け. 4)次の関係式を導け.

�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑣𝑣�𝑜𝑜

=𝑃𝑃𝑇𝑇

2012 東北大 温度,圧力,比体積がそれぞれ𝑇𝑇,𝑝𝑝, 𝑣𝑣の理想気体を考える.気体定数を R とす

る. 1)理想気体の状態方程式を示せ.また,理想気体の定温下における圧力による

比熱比の偏微分と,低圧下における温度による比体積の偏微分を導出せよ. 2)理想気体の体積膨張係数(定圧体積膨張率)βを導出せよ. 2014 東北大 次の問いに答えよ.ただし,𝑝𝑝,𝑇𝑇, 𝑣𝑣, ℎ, 𝑠𝑠, 𝑐𝑐𝑝𝑝はそれぞれ圧力,温度,比体積,比

エンタルピー,比エントロピー,定圧比熱である.必要であれば,次の Maxwellの関係式を用いよ.

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

= −�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

1)系の比エンタルピー,比エントロピーが p と T の関数であるとき,比エンタ

ルピーの微小変化 dh と比エントロピーの微小変化 ds がそれぞれ以下の式で

表されることを示せ.

𝑑𝑑ℎ = 𝑐𝑐𝑝𝑝𝑑𝑑𝑇𝑇 − �𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝− 𝑣𝑣� 𝑑𝑑𝑝𝑝

𝑑𝑑𝑠𝑠 =𝑐𝑐𝑝𝑝𝑇𝑇𝑑𝑑𝑇𝑇 − �

𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝𝑑𝑑𝑝𝑝

2)問 1)の式を用いて Joule-Thomson の係数𝜇𝜇𝐽𝐽𝑑𝑑を表す式を導き,この式を使っ

て逆転温度について簡単に説明せよ. 3)理想気体が絞り弁を通過して膨張し,圧力が𝑝𝑝1から𝑝𝑝2に変化する場合の比エ

ントロピー変化量Δsを求めよ.ただし,気体定数を R とし,流速の変化は無

45

視する.この過程が可逆,不可逆のいずれであるか理由を付して述べよ. 4)可逆断熱膨張により気体の圧力が変化するとき,気体の温度変化を表す次の

係数

𝜇𝜇𝑠𝑠 = �𝜕𝜕𝑇𝑇𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑠𝑠

を𝜇𝜇𝐽𝐽𝑑𝑑 , 𝑣𝑣, 𝑐𝑐𝑝𝑝を用いて表せ.また.理想気体の可逆断熱膨張では温度が常に低

下することを示せ. 2015 岡山大 1)s = s(𝑝𝑝,𝑇𝑇)の全微分を考え,またマクスウェルの関係式の一つである

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

= −�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

を用いて,次式を導け.ただし,定圧比熱を𝑐𝑐𝑝𝑝とする.

𝑑𝑑ℎ = 𝑐𝑐𝑝𝑝𝑑𝑑𝑇𝑇 + �𝑣𝑣 − 𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝� 𝑑𝑑𝑝𝑝

2)ジュール・トムソン係数を求めよ. 3)状態式が以下の式で表されるとき,逆転温度を求めよ.ただし,R はガス定

数,a および b は定数である.

𝑝𝑝 �𝑣𝑣 − 𝑃𝑃 +𝑏𝑏𝑅𝑅𝑇𝑇

� = 𝑅𝑅𝑇𝑇

2016 東北大 圧力,温度,比体積,比内部エネルギー,比エントロピー定積比熱をそれぞ

れ𝑝𝑝,𝑣𝑣,𝑢𝑢,𝑠𝑠,𝑐𝑐𝑣𝑣とする.以下の問いに答えよ.必要に応じて次に示すマクス

ウェルの熱力学的関係式を用いよ.

�𝜕𝜕𝑝𝑝𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑣𝑣

= �𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑣𝑣�𝑑𝑑

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

= −�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

1)次の式を導け.

𝑐𝑐𝑣𝑣 = 𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑣𝑣

46

2)s を T と v の関数として,s の全微分を求めよ. 3)次の式を導け.

𝑑𝑑𝑢𝑢 = 𝑐𝑐𝑣𝑣𝑑𝑑𝑇𝑇 + �𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑝𝑝𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑣𝑣− 𝑝𝑝� 𝑑𝑑𝑣𝑣

4)理想気体は次の式を満たすことを示せ.

�𝜕𝜕𝑢𝑢𝜕𝜕𝑣𝑣�𝑑𝑑

= 0

�𝜕𝜕𝑢𝑢𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

= 0

2018 東北大 熱力学の一般関係式に関する次の問に答えよ. 1)比エンタルピーℎの微小変化𝑑𝑑ℎを表す式を,圧力 p,比エントロピーs,温度

T,比体積 v およびそれらの微小変化 dp,ds,dT,dv の中から必要なものを用い

て示せ. 2)以下の式を導け,ただし𝑐𝑐𝑝𝑝は定圧比熱である.

𝑑𝑑𝑠𝑠 = �𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑𝑑𝑑𝑝𝑝 +

𝑐𝑐𝑝𝑝𝑇𝑇𝑑𝑑𝑇𝑇

3)比ギブス自由エネルギーの式𝑘𝑘 = ℎ − 𝑇𝑇𝑠𝑠を用いて,以下のマクスウェルの熱

力学的関係式を導け.

�𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝

= −�𝜕𝜕𝑠𝑠𝜕𝜕𝑝𝑝�𝑑𝑑

4)問 1)から問 3)までの関係式を用いて以下の式を導け.

𝑑𝑑ℎ = 𝑐𝑐𝑝𝑝𝑑𝑑𝑇𝑇 + �𝑣𝑣 − 𝑇𝑇 �𝜕𝜕𝑣𝑣𝜕𝜕𝑇𝑇�𝑝𝑝� 𝑑𝑑𝑝𝑝

5)理想気体の定圧比熱は圧力に依存しないことを問 4)の式を用いて示せ.


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