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CFA NEWSLETTER · 資家(顧客)ファーストに立脚した個...

Date post: 16-Oct-2020
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本ニュースレターでは、世界の公正な投資市場をリードする専門資格CFA ® CFA協会認定証券アナリスト)の認定・推進機関であるCFA協会の 活動から、情報をお届けいたします。取材の参考資料としてご活用いただくことができれば幸いです。 CFA協会ならびに日本CFA協会の詳細はホームページをご参照ください。 CFA協会/http://www.cfainstitute.org ■一般社団法人日本CFA協会/http://www.cfasociety.org/japan CFA NEWSLETTER グローバル金融アナリストの情報誌 No.043/20178月号 CONTENTS Topics ジャパン・インベストメント・カンファレンス2017を開催 特別シンポジウム2017を開催 CFA協会リサーチ・チャレンジ日本大会に過去最多の参加 ヤマハ株式会社を分析対象企業に10周年記念大会始動 ソサエティ・リーダーシップ・コンファレンス2017への参加報告 70Annual Conference70周年記念の参加報告 CFAJ Update 活動報告 CFA News & Trend CFA Magazine 3月号及び6月号より マーケットの教訓 その2 枠を超えて 損なわれたマーク 持続性について 個人顧客のためのリスク管理 エンジン始動 投資ファンドのサステナビリティスコア ヒーロ・タイプ、ジェットコースター、ダーク・ゾーン 投資家は、ガバナンスを統治すべきか? ウェルス・マネジメントの新たな指針 コード・ウェディング 今後の主な予定 事務局より
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本ニュースレターでは、世界の公正な投資市場をリードする専門資格CFA®(CFA協会認定証券アナリスト)の認定・推進機関であるCFA協会の活動から、情報をお届けいたします。取材の参考資料としてご活用いただくことができれば幸いです。 CFA協会ならびに日本CFA協会の詳細はホームページをご参照ください。 ■CFA協会/http://www.cfainstitute.org ■一般社団法人日本CFA協会/http://www.cfasociety.org/japan

CFA NEWSLETTER

グローバル金融アナリストの情報誌 No.043/2017年8月号

CONTENTS

Topics ■ ジャパン・インベストメント・カンファレンス2017を開催

■ 特別シンポジウム2017を開催

■ CFA協会リサーチ・チャレンジ日本大会に過去最多の参加 ヤマハ株式会社を分析対象企業に10周年記念大会始動

■ ソサエティ・リーダーシップ・コンファレンス2017への参加報告 第70回Annual Conference70周年記念の参加報告

CFAJ Update ■ 活動報告

CFA News & Trend

■ CFA Magazine 3月号及び6月号より ■ マーケットの教訓 その2 ■ 枠を超えて ■ 損なわれたマーク ■ 持続性について ■ 個人顧客のためのリスク管理 ■ エンジン始動

■ 投資ファンドのサステナビリティスコア ■ ヒーロ・タイプ、ジェットコースター、ダーク・ゾーン ■ 投資家は、ガバナンスを統治すべきか? ■ ウェルス・マネジメントの新たな指針 ■ コード・ウェディング

■ 今後の主な予定 ■ 事務局より

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ジャパン・インベストメント・カンファレンス2017を開催 日本CFA協会は、7月27日に大手町

フィナンシャルシティ カンファレン

スセンターにて「ジャパン・インベス

トメント・カンファレンス2017」を開

催しました。今回のニュースレターで

は、カンファレンスの模様や参加者の

声などをお伝えしたいと思います。

本カンファレンスは「社会のメガトレ

ンドと20年後の資産運用サービス資

産運用業界が今なすべきことは何

か?」をテーマに、20年後の日本社会、

金融、そして資産運用サービスの姿を

議論しました。本カンファレンスを通

じて、金融・資産運用業界で働く我々

にとって大事なことは、社会に対する

付加価値、即ち人々の幸福にどのよう

に貢献できるのかという視点をしっ

かり持ち続けることとの強調がなさ

れました。

冒頭の日本CFA協会会長の青砥政

孝の挨拶に続き、衆議院議員 自由民

主党 福田峰之氏は「新時代の幕開け

「水素エネルギー」~新しいニッポン

を創る~」と題する基調講演の中で、

水素社会への取組、展望について解説

を行いました。福田氏は、水素社会の

実現に対する様々な課題はあるが、社

会がどこに向かうべきかを決めるこ

とで、そうした課題克服に向けた旗振

りをすることが政治家の役割である

と強調しました。

基調講演に続く第一部「社会経済の

変化と金融業へのニーズ」では、アク

アビット 田中栄氏、FiNC 乗松文夫

氏、三菱地所 井上俊幸氏の各登壇者

によるプレゼンテーションやパネル

ディスカッションが行われました。田

中氏がモデレーターを務めるパネル

ディスカッションでは、ビッグデータ

やAIを活用した一人ひとりに最適化

された健康管理や、街そのものが人々

のコミュニケーションの場となるよ

うに設計された都市開発等、過去の延

長線上としては捉えられないサービ

スが既に始まりつつあることが議論

されました。

第二部「金融業の変化と資産運用業

へのニーズ」では、AIGジャパンホー

ルディングス 竹田竜哉氏は、冒頭の

プレゼンテーションで金融が果たす

6つの機能の説明をし、将来を考える

うえでは、これらの機能を誰がどのよ

うに果たすのかというアプローチが

有益であるとの見方を示しました。こ

れを受けて、三菱UFJ信託銀行 星治

氏、KPMGコンサルティング 東海林

正賢氏、京都大学 岩下直行氏は、日

本の超高齢化に伴う金融の問題、

Fintechの発展やそれを業務に取り込

む際に日本の銀行が直面するシステ

ム上の構造問題等を活発に議論しま

した。

第三部「資産運用サービスへのニー

ズに対する業界の取り組み」では、コ

モンズ投信 渋澤健氏、年金積立金管

理運用独立行政法人 水野弘道氏、日

本銀行 白塚重典氏をお迎えしました。

モデレーター渋澤氏のもとで、パネル

ディスカッションでは年金運用、金融

政策、及び資産運用サービスの役割は

もちろん異なるが、人々の幸福を目指

すという点では共通するとの見解が

示されました。

最後に、日本CFA協会の神谷執行理

事により、未来の社会で役に立つ金融

サービスを議論するためには、まず国

のリーダーが未来社会のビジョンを

示し、その実現をコミットすることが

不可欠であるとの総括がなされまし

た。

このほか、ランチタイムには、立教

大学 中川有紀子氏によって「女性管

理職比率は企業価値向上のバロメー

ターか?人と組織のマネジメント・ブ

ラックボックスを解明する」と題する

特別講演が行われました。定量及び定

性それぞれの分析を踏まえて、女性管

理職比率と企業価値に関する興味深

い研究結果が示されました。

本カンファレンスに対して参加者か

らは以下の様な声が聞かれました。

・カンファレンスの前後で気持ちが

前向きに変化した

・それぞれのテーマが繋がっていて、

興味深かった

・日本政府の水素社会への取り組み

の話は面白かった

当協会では、こうした皆様からの声

を活動に活かしてゆく所存です。今後

のセミナーやカンファレンスについ

ても、皆様の積極的なご参加をお待ち

しています。

最後となりましたが、本カンファレ

ンスは、日本CFA協会会員の方をはじ

め多数のボランティア活動によって

支えられました。皆様の多大なる貢献

に感謝の意を表します。

(中山貴司, CFA)

Topics

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特別シンポジウム2017を開催

4月28日(金)に大手町フィナンシャ

ルシティ・カンファレンスセンターに

於いて、特別シンポジウム「金融の将

来」イニシアチブ(CFA協会 "Putting

Investors First Month"イベント )を開

催いたしました。本シンポジウムでは、

日本の金融機関が本年4月以降に取

り組むべき重要課題の「フィデューシ

ャリー・デューティー(顧客本位の業

務運営)」にフォーカスし、「フィデュ

ーシャリー・デューティー(FD)改革

-日本市場改革第三の矢—業界への影

響、東京国際金融センターへの道筋-」

をテーマとしました。参加登録者は

350名と多数に上り、内外のリーディ

ング・ボイスが注目度の高い重要テー

マを最適のタイミングで徹底討論し、

盛況裏に終了しました。

本シンポジウムは、二部構成で、第

1部 講演 「真に顧客本位で、信頼で

きる」金融機関が集う世界有数の金融

サービスセンターの創出 では、基調

講演1として、金融庁総務企画局審議

官 中島淳一氏から「国民の安定的な

資産形成と顧客本位の業務運営(フィ

デューシャリー・デューティー)」、ま

た基調講演2として、東京都政策企画

局 政策担当部長 田尻貴裕氏から

「国際金融都市・東京の実現に向けて」

と題してご講演を賜りました。続いて、

講演「先進諸国におけるFD改革から

学ぶ」と題して、CFA協会 Managing

Director, Standards and Advocacy,

Mr.Kurt N. Schacht JD, CFAがモデレ

ーターとなり、CFA協会の三人の専門

家とのパネルディスカッションをビ

デオによる講演として上演しました。

第2部 パネルディスカッション:「投

資家(顧客)ファーストに立脚した個

人への資産運用サービスの提供に向

けて」では、投資商品の供給サイド(デ

ィスカッション1)と需要サイド(ディ

スカッション2)と2つのパネルに分け、

筆者がモデレーターを務め、「投資家

(顧客)ファーストに立脚した資産運

用サービスの提供に向けて」、その課

題と対応を徹底討論しました。ディス

カッション1(運用商品提供者の立場

から)では運用商品提供者も立場から、

ブラックロック・ジャパン株式会社

商品開発部長 内藤豊氏、株式会社み

ずほ銀行 専務執行役員リテール・事

業法人部門共同部門長 齊藤哲彦氏、

HCアセットマネジメント株式会社

代表取締役社長 森本紀行氏をパネリ

ストにお迎えしました。冒頭、森本氏

からミニプレゼンテーションを賜わ

り、その後、パネリストの皆様から個

社の現状と課題への対処、今後の取り

組みについてお話を賜わり、重要論点

について活発な議論が行われました。

ディスカッション2(個人投資家の立

場から)ではFoster Forum(良質な金

融商品を育てる会)事務局長 永沢裕

美子氏、楽天証券経済研究所客員研究

員 経済評論家 山崎元氏、 LIFE

MAP,LLC代表 ファイナンシャル・ジ

ャーナリスト 竹川美奈子氏をパネリ

ストにお迎えし、個人への資産運用サ

ービスの現状と課題そしてサービス

を受ける個人の対応を含め、何をなす

べきかについてお話を賜わりました。

個人投資家の立場から投資家保護を

徹底し、投資家本位の投資(金融)サー

ビス提供のためののベストプラクテ

ィスを探る観点から重要論点につい

て活発な議論が行われました。詳細は

こ ち ら を ご 参 照 く だ さ い 。

https://www.cfasociety.org/Japan/List

s/Events

Calendar/DispForm.aspx?ID=776

(原田武嗣, CFA)

CFA協会リサーチ・チャレンジ日本大会に過去最多の参加

ヤマハ株式会社を分析対象企業に10周年記念大会始動

晴天に恵まれた去る8月5日(土)、

新丸の内ビルディング20階のSMBC

日興証券のホールにて、今年で10周

年を迎えるCFA協会リサーチ・チャレ

ンジ日本大会のキックオフ・ミーティ

ングが行われました。

この大会は、次世代を担う大学生、

大学院生に対して、学生時代に学んで

きたことの集大成として実務に即し

た実践の場を提供し、金融実務に興味

をもってもらうことを開催目的の1

つに置いています。大学生または大学

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院生は3〜5人のチームを編成し、各

大学2チームを上限として本大会に

参加し、日本CFA協会の指定する上場

企業1社を実際の株式アナリストの

ように調査・分析し、英語で作成した

調査レポート及びプレゼンテーショ

ンの内容を競い合います。参加チーム

は、第一次審査において調査レポート

の内容が評価され、最終審査に進む5

チームが選別されます。そして、12月

上旬に行われる国内大会ファイナル

ではプレゼンテーションとそれに対

する質疑応答を競い合います。

本年度は過去最高となる18チームが

参加し、例年にも増して国際色豊かな

顔ぶれとなりました。会場内は終日、

参加学生や関係者の熱気に包まれて

いました。調査対象企業にヤマハ株式

会社が決定したことが伝えられると、

会場内では大きな歓声が沸き立ち、ま

さに戦いの火蓋が切られる格好とな

りました。

日本CFA協会では、遠方の学生が何

度も上京しなければならない負担を

軽減すべく、昨年まで別々に開催して

いた情報端末トレーニング、倫理講習

会、キックオフ・ミーティングの3つ

のイベントを、今年は1日に集約して

開催しました。休日開催という初の試

みでしたが、10周年記念大会に相応

しい盛況な開幕となりましたことも、

ひとえに休日出勤でサポートしてい

ただいたスポンサー企業の社員の皆

様、そしてメンター、グレーダー、運

営ボランティアといった多くの皆様

のご支援とご協力の賜物と心より感

謝いたします。また本年度の大会は、

SMBC日興証券様、ファクトセット様、

シティグループ証券様、東京海上アセ

ットマネジメント様、ウェリントン・

マネージメント様の計5社のスポン

サー企業様によるサポートを頂いて

おります。

今後は9月5日(火)のIRミーティン

グを経て、12月9日(土)のファイナ

ルへと進んで行きますが、引き続き皆

様のご支援とご協力を賜りますよう、

よろしくお願いいたします。

(川本雄祐, CFA)

ソサエティ・リーダーシップ・コンファレンス2017への参加報告

第70回Annual Conference70周年記念の参加報告

ソサエティ・リーダーシップ・コンファレ

ンス2017(以下SLC2017)が5月18日

から20日まで米国フィラデルフィアで開

催されました。

本コンファレンスの開催は今年で25周

年となり、参加したソサエティは100以

上、参加者は約400名を超えました。コ

ンファレンスはテーマである「The

Power of the Personal」に沿い

「Client Focus」、「Personal Impact」

を中心に参加者自身がプログラムを構

築していく形で進められました。また、

CFA協会の歴史も70周年目の記念す

べき年であり、その基本精神はずっと

変わっていないことが確認できました。

新拠点(中国やブラジル等)の設置が

報告され、グローバルな展開が継続し

ていることを改めて実感しました。詳細

はこちらをご覧ください。

https://www.cfainstitute.org/communi

ty/sales/Documents/global_slc_spon

sorship_opportunities.pdf

SLC2017と併せて、5月21日から24

日まで、同じフィラデルフィアで70th

CFA Institute Annual Conferenceが

開催されました。参加者は1800名と70

周年に相応しく多数の参加がありまし

た。投資に関する新しい理論やストラ

テジーの躍動は感じられませんでした

が、AIやRobot等の躍進についての

様々な議論は、時代を反映して興味深

い内容でした。職業におよばす影響に

ついてオーディエンスは楽観悲観ほぼ

半々でしたが、登壇者は人間の役割は

変化するもののその重要性は変わらな

いという楽観論が多かった印象です。

詳細はこちらをご覧ください。

https://www.cfainstitute.org/learning/

events/Pages/05212017_121269.as

px

(青砥政孝, CFA)

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活動報告 このコーナーでは、日本CFA協会の各分野での活動状況をお知らせしております。

メンバーシップ

メンバーシップ・コミッティは、主に以下

の3つの分野の活動を行っています。

1.会員、CFA試験受験者、合格者サポ

ート

2.CFA協会投資基礎検定(CFA

Institute Investment Foundations)の普

及および受験者サポート

3.会員間のネットワーキング機会の提

供を通じたメンバー・バリューの拡大

CFA試験受験者サポートでは6月の

試験に向けて、CFA試験対策セミナー

(オリエンテーション)&スタディ・グルー

プ・キックオフ、レベル別CFA試験対策

セミナー、 CFA試験指定電卓ワークシ

ョップ、グローバルCFA試験対策セミナ

ー、CFA Mock Exam(模擬試験)等、前

年比で倍増の8回のイベントを実施しま

した。 結果、今年6月のCFA試験では、

日本在住の受験者は、合格者数、合格

率とも各レベルにおいて、軒並み大幅

に上昇しました。 特に、レベル3の合

格者数は昨年の73名から約80%増の

131名の史上最多となりました。これら

の合格者のうち、4年の実務経験等の

要件を満たす方々は、CFA資格取得手

続きを経て、CFA charterholder になる

見込みです。CFA協会(CFA Institute)

にしても、日本CFA協会にしても、これ

らの多くの優秀な投資プロフェショナル

の方々を会員としてお迎えできることは、

大変嬉しいことです。12月の試験に向

けては、8月30日にCFA試験対策セミナ

ー(オリエンテーション)&スタディ・グル

ープ・キックオフを開催しました。今後、

試験に向けて、CFA試験指定電卓ワー

クショップや、Quantitative Methods、

Financial Reporting and Analysis 等、試

験でウエイトが高い学習分野を中心に、

テーマ別の試験対策セミナー、Mock

Exam(模擬試験)等を実施する予定で

す。また、CFA試験合格者のサポートも

行っています。CFA試験レベル3まで合

格された方で、レファレンスが必要な方

はご相談下さい。

「CFA協会投資基礎検定」は、CFA協

会 が 2013 年 に ス タ ー ト し た 「 CFA

Institute Investment Foundations」の日

本 語 名 称 で す 。 ( 注 : 「 Investment

Foundations」は「投資基礎」の意味。)

グローバルな金融業界で必須な基礎知

識を問う試験です。日本CFA協会は毎

月1回(原則、第2水曜日午後6時30分

~8時)、無料勉強会を開催しています。

また、サンプル問題集、教材の日本語

版(抄訳)の改訂版も完成しました。こ

のプログラムは今年の前半に大手外資

系資産運用会社の若手社員教育プロ

グラムにも採用されました。グローバル

人材の効率的な育成方法をお探しまた

は検討中の企業には、世界の金融業

界を理解し、正しい金融英語を駆使し、

グローバル・スタンダードで国際業務を

遂行できるグローバル人材を効率的に

かつ低コストで育成することに役立つ本

プログラムを、社員教育の一環として利

用されることをお勧めします。また、個

人的に、本資格および勉強会にご興味

をお持ちの同僚やお知り合いがいらっ

しゃいましたら、お声掛け願います。

ネットワーキング関係では、年初旬に

開催した「Happy Hour ネットワーキン

グ・イベント」、「Luncheon for female

networking」(女性プロフェッショナルの

ためのネットワーキング昼食会)に続き、

6月に「CFA Exam Cool Down Party」を

開催しました。また、年の前半にプログ

ラム・コミッティと連携し、同コミッティ主

催のセミナーの後に、ネットワーキン

グ・タイムを設けました。 今後は、「セミ

ナー&ネットワーキング」イベントを企

画中です。年末には恒例の Charter

Award Ceremony、Year-End Party を

開催予定です。例年を上回る新しい

CFA Charterholdersの方々をお迎えし

て活気に満ちたイベントになると期待し

ます。 今後も、会員間のネットワーキ

ング機会を増加して、メンバー・バリュ

ーの一層の拡大に努めていく所存です。

プログラム

プログラム・コミッティでは毎月2回の

セミナーを目処に企画・活動をしていま

す。4月から8月には、以下のようにセミ

ナーを9回実施しました。なお7月は、

JICを開催した関係もあり通常のセミナ

ーはお休みしました。

5/9、6/9:「iDeCoにおける顧客本位 の

原則(Investors First) 」2回シリーズ

(アドボカシー・コミッティと共催)

4/6: 投資家・アナリスト等の財務情報

利用者からみた IFRS財務諸表の開

示・・・鶯地隆継氏 (IASB)、他

4/21: 外国籍私募ファンドの法務と最

新動向・・・酒井俊和氏 (アンダーソン・

毛利・友常法律事務所)

5/11: The Big Issues Confronting the

Global Economy・・・Dr. Paul Sheard

(S&P Global)

CFAJ Update

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5

5/12: Overview of ETF Trends・・・Mrs.

Deborah Fuhr (ETFGL)

6/1: Become a Great Presenter and

Increase Your Influence・・・Mr.

Andrew Stotz (CFA Society Thailand)

8/8: What Will Drive Financial

Markets in the Nearest Future?・・・

Prof. Krzysztof Jajuga (Wroclaw

University)

8/25: Putting Investors First: How

Japan's Retail Investment Market Is

Evolving to Serve Retail Investors

Better・・・Mr. Douglas L. Hymas (BNY

Mellon)

9月以降は以下のセミナーを予定し

ている他、月に2~3回のペースで様々

なテーマのセミナーを企画・検討中です。

9/21: GPIFが採用したESG指数に関す

る考え方・・・塩村賢史氏 (GPIF)

関心のあるトピックのご提案、セミナ

ー講師をつとめていただける方のご紹

介などを歓迎しますので、日本CFA協

会事務局までご連絡ください。

エンプロイヤー・アウトリーチ

去る7月に開催されたJapan

Investment Conference 2017には多

数の企業様よりご支援を頂き、多数

の参加者をお招きして成功裏に終了

することができました。こうした協

会活動のご支援は、定例のスポンサ

ー企業様のほか、特定のイベントに

的を絞った企業様からも頂戴するこ

とができました。このような活動

が、業界および業界で働く個々人の

お役に立つことを祈念してやみませ

ん。

通常の当コミッティーの活動に関

連しては、今年度新たに1企業が協

会のコーポレート・スポンサーとし

てお名前を連ねて頂くことになりま

した。前向きなご検討ありがとうご

ざいます。現在、総数で14企業がリ

ストアップされています。詳細は協

会ホームページをご覧ください。下

の部分に各社のロゴが掲載されてい

ます。

(https://www.cfasociety.org/japan/Pa

ges/default.aspx)

次のニュースレターが発行される

タイミングでは、理事会の構成も一

部変更になります。それに伴い、当

コミッティーではチェア、バイス・

チェアの見直しも検討しています。

次回のニュースレターではご報告で

きるものと思います。

アドボカシー/倫理教育

CFA 協会の重点施策である 「金融

の将来プロジェクト(the Future of

Finance Project)」に継続的に取り組

んでいます。よりよい社会に奉仕し、

信頼の置ける未来志向の金融業界を

形成するというミッションのもと、CFA

協会本部と連携して当プロジェクトに

関連する諸々の施策を推進して行き

ます。 「金融の将来プロジェクト」は、

金融に携わる全ての人が関心を持つ

べき課題として、1.投資家(顧客)第一

主義、2.金融知識、3.財務報告の 透

明性と公平さ、4.退職後の生活保障、

5.適切な規制と施行、6.金融システム

の安定の 6 つの主要トピックスに焦点

を当てています。 中でも、日本 CFA

協会では、1.投資家(顧客)第一主義に

フォーカスした活動を実施しておりま

す。その一環として、政策担当者、実務

家、投資専門家、個人投資家をお招き

して、4月28日(金)に特別シンポジウム

「金融の将来」イニシアチブ(CFA協会

"Putting Investors First Month"イベン

ト)を開催いたしました。本シンポジウム

では、日本の金融機関が本年4月以降

に取り組むべき最重要課題である「フィ

デューシャリー・デューティー(顧客本位

の業務運営)」にフォーカスし、「フィデュ

ーシャリー・デューティー(FD)改革-日

本市場改革第三の矢—業界への影響、

東京国際金融センターへの道筋-」をテ

ーマとしました。 (詳細はTopicsのシン

ポジウム2017を開催をご覧ください)

ユニバーシティ

今回は特集記事をご覧ください。

広報・出版

ブランド・アウェアネス向上のため、

現在CFA協会ではグローバルな広報

活動を展開しています。日本において

も、今まであまりCFA資格の取得が進

んでいなかった層に対して、CFA取得

を促すような広報活動を検討していると

ころです。 昨年末には新しい試みとし

てCFAプログラムのオンライン広告を新

卒者対象の求職サイトに期間限定で掲

載しました。今年も同様の広告を掲載

予定です。

翻訳グループでは、CFAブログの翻

訳版は330本を超えました。 直近では

「高頻度取引(HFT)の衰退と再興がフ

ィンテックに与える示唆」「市場の失敗:

見える手」「米国経済は時流に乗ってい

るか?」など、幅広い内容のブログを日

本の読者に提供しています。

https://www.cfasociety.org/japan/Pag

es/Blog.aspx

Page 7: CFA NEWSLETTER · 資家(顧客)ファーストに立脚した個 人への資産運用サービスの提供に向 けて」では、投資商品の供給サイド(デ ィスカッション1)と需要サイド(ディ

6

このコーナーでは、 CFA協会会員に配布される四半期刊の会員誌 CFA Institute Magazineから計11本の記事を日本語で

要約しています。原文はこちらのURLをご参照ください。http://www.cfapubs.org/toc/cfm/2017/28/1,

http://www.cfapubs.org/toc/cfm/cfm/28/2

マーケットの教訓 その2

Lessons from Capital Market History, Part 2 ハリー・マーマー, CFA

前回記事(CFA Institute Magazine

2016年12月発行)に引き続いて、マー

ケットで広く知れ渡っている「信念」につ

いて、市場データを使って検証していき

ましょう。ポイントは歴史の教訓です。

まず一点目。「株式市場のボラティリ

ティは年々上昇してきている」とよく言

われます。実際それを根拠に株式から

(ボラティリティが低い)オルタナティブ

資産に資金をシフトさせる機関投資家

も多いようです。

しかしその「信念」は必ずしも正しくは

ありません。これまで積み重ねられた

実証分析から、株式のボラティリティは、

データの期間の取り方によって結論が

大きく変わってくると言う点です。

もう一点は、「歴史は繰り返す」という

「信念」です。投資家はよくこの言葉を

口にしますが、実は正しくはありません。

正しくは、「歴史は二度と繰り返すこと

はない」です。

例えば、現在はインフレ率と実質金利

がともに極めて低い水準で長期間推移

し続けるという、これまで前例のない状

況にあることがわかります。もしかした

ら実は今、世界経済に大きな構造変化

が生じているのかもしれません。

まさにチャーチルが残した「歴史を学

びなさい、歴史を学びなさい、すべては

そこにある」の言葉通り、投資家は過

去の市場データから多くの教訓を得る

ことができます。賢い長期投資という点

から参考となる教訓は、相場の節目の

予想に依存しないこと、評価は4年以

上で行うこと、市場タイミングほど勝ち

目のない戦略はないこと、ボラティリテ

ィは観測期間によって多様であること、

構造変化は新しい投資環境を創世す

ることです。

(要約翻訳:金子豊和, CFA)

投資ファンドのサステナビリティスコア

Sustainability Scores for Investment Funds ジェローン・ボス, CFA

最近、資産運用プロセスにESG要素

が組み込まれ、業界全体で「サステナ

ブル」および「エシカル」ファンドの設定

が増加傾向にあります。しかし、「サス

テナブル」や「エシカル」と銘打つファン

ドは看板に偽りがないことを証明する

必要があります。ファンドのサステナビ

リティ格付けは、どのファンドが名実と

もにサステナブルであるかを明らかに

します。

2016年にモーニングスター社がファ

ンドのサステナビリティ評価法を考案

し、MSCI社をはじめ他社もこれに続き

独自の評価指標や格付けを導入しまし

た。この結果、資産運用会社はESG要

素やサステナビリティをより重視するよ

うになりました。しかし、これらの評価

法には限界やバイアスがあるため、サ

ステナビリティスコアの利用は想像以

上に難しく注意を要します。例えば、企

業の提供する製品やサービスが実際

に社会や環境に役立っているかどうか

やエンゲージメントについては、サステ

ナビリティスコアで捉えることが難しく、

また、大企業ほどスコアが高くなる傾

向、セクター内で見るとエネルギーやタ

バコ企業のスコアが高くなる傾向、比

較対象ファンドを適切に選ばないとスコ

アから見たファンドの評価を誤りやすい

といったバイアスが含まれる可能性が

あります。

ファンドのサステナビリティ格付け

は、透明性の向上とファンド間の比較

に役立ち、ESG要素を組み込む運用手

法の拡大とサステナビリティへの注目

の高まりを裏付けています。しかし、投

CFA News & Trend

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資家はファンドのサステナビリティ格付

けに対して注意を払い、企業の規模、

事業活動、比較対象企業の影響等の

バイアスに留意する必要があります。

今後はファンドの投資先企業の実際の

行動の評価に重点が移っていくとみら

れます。企業行動は最終的な社会的

影響を決定付け、ビジネスモデルの長

期的な持続可能性を明らかにし、運用

実績を左右します。

(要約翻訳:森由紀, CFA)

枠を超えて

Beyond Category カシェリー・デェコブニー

かつてニッチであった環境、社会、ガ

バナンス(ESG)要因に基づく投資も、

今では、多くの投資家が、ESG調査と

その投資プロセスにもたらす価値を評

価しており、全ての資産クラスにまで広

がりつつ、メインストリームになってきま

した。

資産規模も約8.7兆ドルとなり、国連が

提唱する「社会的責任投資原則」署名

企業1500の管理資産は、世界全体で

約60兆ドルに上っています。

ESG要素を企業の評価に組み入れて

いく試みも進められており、データもよ

り入手しやすく、洗練され、分析も容易

になっているほか、財務データとの統

合化も見られています。

ESGの中では気候変動は殆どの産業

に拘わっていますし、従業員満足や経

営陣の質など「人」、つまりはガバナン

ス問題も重要な要素です。ESG要素が

企業戦略の中に組み込まれることで、

収益の成長を促し、強力なサプライチ

ェーンを確実にして、リスクを管理し、

顧客を満足させることになります。

ESG格付けやランキングも意味ある

情報を提供しています。パフォーマンス

との関係についても、伝統的なポートフ

ォリオに対して、必ずしもペナルティを

与えるものでなく、リスク調整後で、小

さいながらも確実にパフォーマンス面

での利点をもたらしているとの報告も

あります。

一方、ESGの超過リターンが統計的に

は有意でなかったと言う研究もあり、パ

フォーマンスにおける限界的な超過

は、複数の要因がまだ織り込まれてい

ないという事実を反映したもので、長期

的には、これらの要素がもっと織り込ま

れることで裁定されてしまうとの考えも

あります。とはいえ、もし裁定されたとし

ても、良い企業に投資していることには

変わりありません。

(要約翻訳:大浜匠一, CFA)

ヒーロ・タイプ、ジェットコースター、ダーク・ゾーン

金融市場の安定度が低下した場合におけるクライアントの感情的なリアクションへの対処法とは?

Hero Types, Roller Coasters, and Dark Zones HOW CAN ADVISERS MANAGE CLIENTS’ EMOTIONAL REACTIONS TO MARKET STRESS?

エド・マッカーシ

完全な世界では、投資家はいつも

合理的に判断するものですが、実際

は、不測の事態に直面した時、感情に

流されることがあります。アドバイザー

の立場から、市場急変時にクライアント

がどのような感情的投資行動に陥りや

すいか理解することで、乗り越えること

ができるでしょう。

クリス・ホワイト、CFA、は、共同著

書で、クライアントがどのタイプか見分

け方と洞察を教えています。元ハーバ

ード大学メディカルスクール教授の心

理学者デビッド・カントが提唱した自己

分類の3つのヒーロー型(fixer、

survivor、protector)を用い、3つの市

場環境「ゾーン」(ライト・ゾーン、インタ

ーミディエート・ゾーン、ダーク・ゾーン)

における各ヒーロー型の反応を分析。

例えば、2008年の金融危機に代表

されるダーク・ゾーンでは、サバイバー

型は、一貫性に固執しポートフォリオの

変更を望まず損失が拡大する可能性

があります。クライアントと自身の行動

の傾向を把握すれば、各タイプに応じ

た信頼関係構築にも役立ちます。

一般投資家は、高く買い安く売る傾

向があると学術研究で示されていま

す。投資家はニュースに大きく影響さ

れ、長期的投資目標を忘れ短期的な

パフォーマンスに囚われがちだからで

す。バークレイズの2013年のホワイト

ペーパー「人間のコストを克服する」で

は、短期的な視点はなぜ感情的ジェッ

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トコースターに落ち入りやすいかを論じ

ています。

21年前、アラン・グリーンスパンが

「根拠なき熱狂」と有名な発言をしまし

た。現在、一部の市場関係者は、株価

バリュエーションが比較的高く利回りが

上昇傾向にあることから、当時と同じ

局面に突入している、と指摘します。も

し本当ならば、今こそクライアントの感

情的な投資判断に備えるべきです。

(要約翻訳:井上佐知子)

損なわれたマーク RAIDER OF THE MISSED MARK

マハ・クハン・フィリップス

2016 年 4 月、英国のアセット・マネ

ジメントであるウッドフォード・インベスト

メントマネジメント(Woodord Investment

Management)は、そのスタッフの報酬

体系を変更する旨を発表しました。そ

の会社は、変動ボーナス体制をやめる

ことにしました。これに代わって、現在

ではすべての従業員は固定給を受け

取っています。

この決定の鍵となったのは、ボーナ

スとパフォーマンスとの間の相関性に

関する証明に不足がある点にあります。

「多くの研究は、ボーナスはパフォーマ

ンスの動機付けにはならないと結論づ

けています」とウッドフォードのCEOの

クレイグ・ニューマン氏は述べています。

批評家は、アセット・マネージャーは

ステップアップしなくてはならないと述

べます。「最初のステップはより透明性

を高めることです」と責任投資に関する

活動を行う慈善団体であるシェアアク

ション(ShareAction)のシニア・ポリシ

ー・オフィサーのカミラ・デ・ステ・クロッ

クス氏は述べています。「我々は機関

投資家に対し、すべての手数料とチャ

ージに関してより可視化できるよう取り

組んで来ました」

英国の金融行為監督機構(FCA)の

CEのアンドリュー・バイレィ氏も、「投資

家が、彼らがその収益からの支払いや

チャージについて明確に分かるように、

より高い透明性を見たい」と発言してい

ます。

欧州では、アセット・マネジメントに関

する規制の刷新が続いています。報酬

体系に関しては、2017 年 1 月に、

UCITS V が発効しました。UCITS のマ

ネージャーは、給与の支払いが、過度

なリスクテイクを誘発しないよう配慮す

ることが求められます。

(要約翻訳:吉野雅法)

投資家は、ガバナンスを統治すべきか? Should Investors Govern Governance?

ロードリ・プリース, CFA

CFA 協会は、最近欧州における企

業統治の実態等に関する報告書を公

開し、欧州における政策論争を助け、

確実に投資家の見解が反映されるよう

尽力しています。

企業統治は、経営判断、統治、説明責

任が企業の中で実施される仕組みの

ことであり、資本市場が機能していく上

で中心的な役割を果たします。それに

よってステークホルダーは自らの影響

力を企業経営に行使することができる

からです。

欧州の企業投資政策は、透明性向

上、株主権利保護強化、取締役会の

効率性増進、企業経営に対する株主

の関与強化など、投資家のスチュワー

ドシップ促進のため一連の積極策を講

じてきており、投資家には好意的に受

け止められ、欧州全体に共通する最低

限の統治基準を制定する上で貢献して

きました。しかし、これらの積極策は統

一的な枠組みを欠いていました。

報告では、企業統治に関する議論を進

め、資本市場の規律を強化するため

に、少数株主権利の保護強化、国境を

跨いだ委任状による議決権行使、取締

役会構成における多様性の促進など

個別課題を提示しています。

さらに、協会はこれらの視点を強化し

政策議論に関与するべく、EU政策当局

とともに各国規制当局との間で積極的

に新たな議論を行っていきます。昨

今、機関投資家も主要なステークホル

ダーになりつつあり、強力な株主権

は、年金受給者や貯蓄者の利益のた

めに、資産運用の専門家が受託者責

任を執行するうえで重要です。投資家

は、欧州における企業統治の課題の

解決にあたって中心的な役割を果たす

ことを通して、企業の効果的な資金配

分をサポートし、受益者やステークホ

ルダーの長期的ニーズと期待に答え

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つつ、良質な経営に支えられて業績が

好調となるよう、背中を押すことができ

るのです。

(要約翻訳:大浜匠一, CFA)

持続性について On Sustainability

ポール・スミス

“持続性”に対する唯一の定義はなく、

それを考慮した投資を実行する方法も

1通りではありません。その核心は

ESG要素を考慮することの重要性であ

り、企業の長期的な見通しに重要であ

る場合は特に、ESG要素に関する分析

を取り入れることがアセットマネジャー

の受託者責任であることは広く共有さ

れつつあります。それではどこに問題

があり、それはどのように解決できる

のでしょうか?

1つ目は、投資家にとって企業がESGを

含むリスクにいかに効率的に対処し組

織の持続性を担保しているかを把握す

ることが重要であり、そのためには透

明で効果的なディスクロージャーが必

要不可欠です。2つ目は、投資業界は

目的志向である必要があり、投資の専

門家は、信頼され長期的な価値創造

や持続性をもって社会に良い影響を与

えていくことが重要です。3つ目は、投

資業界は長期投資に対するコミットメン

トに欠けており、そのためにはガバナ

ンスや企業カルチャーの変革、そして

何よりも長期投資の実行における信頼

を獲得することが必要です。

CFA協会は投資家にESGや持続性に

関する教育を提供する重要な役割を担

っています。文字通り何百万ドルもの

投資家のお金が強固で信頼のおける、

持続可能な投資システムにかかってい

ます。我々は投資家が持続可能な戦

略をとる企業に対して行うエンゲージメ

ントをサポートする重要な役割を担って

いるのです。

(要約翻訳:斉藤哲朗, CFA)

ウェルス・マネジメントの新たな指針 A New Way Forward for Wealth Management

ジョン・ボウマン, CFA

CFA協会の新しいプロジェクト「a New

Way Forward」の一環として、ウェルス・

マネジメント・サービスに関する調査が

3月に発表されました。富裕層ビジネス

には米国とカナダの協会会員の約40%

が携わっており、重要なプロジェクトと

して位置づけられています。

富裕層がアドバイザーに求める資質と

してコミュニケーション能力、誠実さ、金

融市場に対する洞察力が上位にあが

りました。この要求を満たすためには、

金融商品のダイナミクスを理解し投資

戦略を立てる能力(IQ)が必要です。同

時に、感情が投資判断に影響を与える

ことを認識し行動ファイナンスの観点

から判断する能力(EQ:エモーショナ

ル・インテリジェンス)も不可欠です。顧

客が投資目的から外れた判断をしない

ようIQとEQをバランスよく発揮し助言

する力が必要です。

その他にも今後のウェルス・マネジメン

トの方向性を示唆する調査結果があり

ました。ITに関しては、62%の個人顧

客がテクノロジーを駆使した包括的な

ソルーションを望んでおり、特に富裕層

はデジタルサービスの充実を求めてい

ます。CFAの80%は資産相続をビジネ

スチャンスと捉え、市場サイクルや顧

客の家族構成の変化に対応すること

が長期的な信頼関係を築くきっかけと

なっています。一方、富裕層4000世帯

のうち25%は、アドバイザー手数料が

高く顧客が最優先されていないと感じ

ており、アドバイザーを利用していませ

ん。

「A New Way Forward」はCFA協会会員

と一緒にウェルス・マネジメントに関す

る新たな指針を作り、様々な活動を通

して価値観を広く伝えることを目指しま

す。

このプロジェクトを成功させる為には会

員皆様の協力が必要です。あなたの

意見やアイディアをお聞かせください。

詳細は

www.cfainstitute.org/wealthmanagerを

ご覧ください。

(要約翻訳:井上佐知子)

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個人顧客のためのリスク管理 Risk Management for Private Clients

エド・マッカーシー

機関投資家と同様、個人投資家にとっ

てもリスク管理は重要です。以下、これ

に関する最近の話題です。

最初はヒューマンキャピタルという考え

方、人が一生の間に稼ぐ労働所得を、

リスクフリーレート、変動率等を用いた

リスク調整後の割引モデルです。年齢

や職業等によって債券型や株式型が

あり、その特性を考慮して金融資産と

のポートフォリオを構築します。

稼ぐ力のリスクとしては、AI等技術革新

による失職リスクの高まりがあり、その

ヘッジとして業務スキルや知識習得に

向けた自己投資も欠かせません。

保険商品の分野では、DNAによる寿命

予想を活用した商品、ウエアラブルに

よる健康監視機能との組合せ、長生き

等対応商品、他社商品との比較サービ

ス等新商品やサービスが誕生していま

す。

2020年にはAUM8兆ドルに迫るとされ

るロボットアドバイザーのリスクも見逃

せません。その発展の最終形は、自己

学習機能を備え市況や投資家ニーズ

変化を捉えて資産配分を行う完全自動

型とされていますが、そこには利用顧

客が陥りやすい2つのリスクがありま

す。

まずは好調時に満足して「お任せ」して

しまうリスク。自動投資とは言え顧客自

身がリスクを適切に理解しなければな

りません。さらに、本サービスが深刻な

ベア市場を経験していないため、どん

なパフォーマンスを実現するのか、急

落に遭遇した顧客が長期志向を堅持

できるか懸念があります。このために

は緊密な連絡が必要であり、市況変化

に応じたEメール自動送信サービスや、

人間のアドバイザーを組み合わせた混

合型がある他、変動性を一定水準に抑

えるモデル等も提供されています。

(要約翻訳:大浜匠一, CFA)

コード・ウェディング Code Wed

シンシア・ハリントン, CFA

今後、資産運用において人間が行っ

ている仕事はすべて「テクノロジー」に

よって自動化されてしまうのでしょう

か?それとも人間とコンピュータは互い

に共存しながら、より良い運用成果を

獲得したりビジネスを成功させたりする

ような新たな「テクノロジー」が開発され

るのでしょうか?

最近の運用会社では、業務のアウトソ

ース化や様々なテクノロジーの導入に

より、一部の仕事を除いて最低限の従

業員しか抱えていません。このように

今後金融業界では、これまで人間が行

ってきた仕事の多くの部分をこれから

コンピュータが取って代わることでしょ

う。

しかしそれは物事の一面に過ぎません。

近年、これまでは定量化することがで

きなかったようなものを定量化し、デー

タ分析に活用する動きが広がっていま

す。特に「ファイ」と呼ばれる、人が無意

識に行っている行動や癖のようなもの

を定式化し、運用成果を改善するよう

な仕組みを構築することができるように

なっています。

さらにビッグデータや機械学習の活用

によって、従来の方法では実現できな

かったような、より正確で的確な推論

ができるようになってきています。しか

しそこには、分析に相応しい大量のデ

ータベースを準備する必要があったり、

アルゴリズムには必ずバイアスが存在

してしまう、といった大きな問題点が残

されています。人工知能といった新し

いテクノロジーであってもそれは未だ完

全なものではなく、モデルによっては結

果について人間が適切に正誤を判断

する必要があるものもあるのです。

今後、「テクノロジー」と「ファイ」をいか

に巧妙に結びつけ、運用やビジネスを

発展させていくか。この問題をクリアし

た企業が勝者となるでしょう。

(要約翻訳:金子豊和, CFA)

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エンジン始動 Kick-Start

ロリ・ピッツアニ

これまで一生懸命に努力してきたに

もかかわらず、キャリアの惰力走行が

続いているなら、今こそ

状況を変えるべき時でしょう。慣れ親し

んだ仕事を続けるのは容易ですが、新

しい事に挑戦するリスクを取らなけれ

ば、惰性に流されてしまい刺激に富ん

だキャリアを逃すことになります。自分

が目指すべき方向性を見出す最善の

方法は、一旦立ち止まって現状を分析

することです。

新しい会社に転職する前に現在の勤

務先での社内異動、つまり水平移動に

加えて職位を下げて、再び前進する機

会に備えるための後方移動を検討す

べきです。社内で功績を認められ、昇

格するためには職務を果たすだけでな

く、群を抜いている必要があります。

成功を収めたプロフェッショナルがキャ

リアに行き詰まる主な理由の一つに、

何が欲しいのか分からない状態があり

ます。何が欲しいのかを明確に述べる

ことが出来れば、その実現に向けた実

行可能な計画を立てることが容易にな

ります。理想のキャリアは、自分の得

意な事、自分にとって楽しい事、そして

報酬が交わる点に見出されます。深い

自己分析を行い、自分の嫌いな事を明

確にした上で、行動計画を立て始めて

みましょう。

新たな挑戦、新たな責任またはキャリ

ア転換を検討する際は、考え方を変え

て古い自己認知から自分を解放するこ

とから始めるとよいでしょう。キャリアの

壁を乗り越えるには、厳しい内省を行

い、自分が望む職場環境、担いたい役

割、自分がもたらす付加価値、働きた

い企業や就きたい仕事における優先

事項を明確にする必要があります。

(要約翻訳:森由紀, CFA)

●9月6日(水) CFA試験対策セミナー「CFA試験 指定電卓ワークショップ(SCM限定

イベント) 会場:東京証券会館9階 第8会議室 時間:18:30-20:00 講師:Jie Yu 氏(CFA) ●9 月 13 日(水) CFA協会投資基礎検定第3回勉強会 会場:東京証券会館9階 第8会議室 時間:18:30-20:00 講師:川本雄祐,CFA 日本CFA協会

理事

●9月21日(木) GPIFが採用したESG指数に関する

考え方 会場:東京金融ビレッジ Room1-2 時間:19:00-20:30 講師: 塩村賢史氏 (年金積立金管理

運用独立行政法人(GPIF)、エコノミ

スト/ストラテジスト) モデレーター:三木隆二郎,CFA (日本

CFA協会理事、年金シニアプラン総

合研究機構 特任研究員) ●9月22日(金) Behavioral factors and their performance in emerging markets---an illustration using China A-Shares data

Venue: Room1,2 Tokyo Shoken Kaikan 9F Time: 19:00-20:30 Language: English Speaker: Jason Hsu, Ph.D. (Chairman and CIO, Rayliant Global Advisors, Co-founder and Vice Chairman, Research Affiliates, Professor in Finance, UCLA Anderson School ) ●9月22日(金) CFA試験対策セミナー「CFA試験 「Quantitative Methods」(SCM限定

イベント) 会場:東京証券会館9階 第9会議室 講師:志村裕久氏(CFA)

今後の主な予定 9月以降、日本CFA協会が主催する主なセミナー等の予定は以下の通り

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事務局より

7月27日のインベストメント・コンファレンスも

無事終了し、10カ月に及ぶ事務局での仕事に

終止符を打ちました。以前を含めると長くも短く

もあった期間でしたが、協会活動もこれで最後

となるので感ずるところをいくつか記しておきたい

と思います。

まず、日本CFA協会はインベストメント・プロフェ

ッショナルの団体であり、ボランティアによって運

営されるということ。それには、ボランティアが積

極的に参加しやすく、活動しやすい開かれた組

織でなければならないと思います。

次に、日本CFA協会は「会員の、会員による、

会員のため」の団体として運営されるということ。

より多くの会員が自分たちの為に積極的に参

加し、CFAとしての価値を高めるべく活動する

組織でなければならない。何故なら、CFAの価

値向上・維持はCFA保有者自身にかかってい

るからです。

三つ目として、日本CFA協会の存在価値は若

い現役の人達にとってより重要であるとうこと。そ

れは存在価値が大きければ自分たちへの恩恵

も大きくなるからです。よって、より多くの若い会

員が協会活動を盛り上げていくのが好ましいと

思います。

最後に、日本CFA協会に対する社会からのニ

ーズがここ数年大きく変化していること。今後日

本における協会の展開は、このニーズに対して

どれだけ適切に対応できるかにかかっているので

はないかと思います。今後日本CFA協会が

益々発展するよう期待しています。

依田孝昭,CFA

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[報道に関するお問い合わせ先]日本CFA協会 事務局

〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-7

大手町フィナンシャルシティ サウスタワー5階

Tel 03-3517-5471 / Fax 03-3517-5472

E-mail:[email protected]

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