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Development and Practice of Teaching Materials Kyushu Quiz ...

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73 奈良教育大学紀要 第69巻 第1号(人文・社会)令和 2 年 Bull. Nara Univ. Educ., Vol. 69, No.1 (Cult. & Soc.), 2020 中学校社会科地理学習への嫌厭傾向の緩和を目的とした教材 「九州クイズツアー」の開発とその実践 ─ ゲーム「桃太郎電鉄」に着想を得て ─ 阿 部 孝 哉 開智中学校・高等学校 河 本 大 地 奈良教育大学社会科教育講座(地理学) 森 口 洋 一 奈良教育大学社会科教育講座(社会科教育) Development and Practice of Teaching Materials "Kyushu Quiz Tour" to Mitigate Objection to Geographic Learning in Junior High Schools : Inspired by the game "Momotaro Dentetsu" ABE Takaya (Kaichi Junior/Senior High School) KOHMOTO Daichi (Department of Geography, Nara University of Education) MORIGUCHI Hirokazu (Department of Social Studies, Nara University of Education) Abstract The purpose of this study is to clarify the effect of game materials on the alleviation of disgust tendency toward geography learning in junior high school social studies. First, we analyze the effects and challenges of games "Momotaro Dentetsu" as a tool for geographic learning. Next, game teaching materials "Kyushu Quiz Tour" created based on the analysis results are put into practice for junior high school students. Then, based on the image of students practicing the game materials and the results of the subsequent questionnaire, we examine what kind of game materials are effective in mitigating the detestation tendency of geographic learning. As a result, by developing the class using the game teaching material, it was possible to give stimulation to the class which tends to advance in the same form every time. And it was proven that the detestation tendency was eased by attracting the interest of the students and repeating the experience which made the geography learning to be fun. In addition, playing games with other students has the potential to lead to the formation of human relationships. キーワード:地理教育,ゲーム教材,嫌厭傾向 Key Words Geographic education, Game teaching material, Repugnance
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73奈良教育大学紀要 第69巻 第1号(人文・社会)令和 2年Bull. Nara Univ. Educ., Vol. 69, No.1 (Cult. & Soc.), 2020

中学校社会科地理学習への嫌厭傾向の緩和を目的とした教材「九州クイズツアー」の開発とその実践

─ゲーム「桃太郎電鉄」に着想を得て─

阿 部 孝 哉 開智中学校・高等学校河 本 大 地 奈良教育大学社会科教育講座(地理学)森 口 洋 一 奈良教育大学社会科教育講座(社会科教育)

Development and Practice of Teaching Materials "Kyushu Quiz Tour" to Mitigate Objection to Geographic Learning in Junior High Schools :

Inspired by the game "Momotaro Dentetsu"

ABE Takaya(Kaichi Junior/Senior High School)

KOHMOTO Daichi (Department of Geography, Nara University of Education)

MORIGUCHI Hirokazu (Department of Social Studies, Nara University of Education)

Abstract

The purpose of this study is to clarify the effect of game materials on the alleviation of disgust tendency toward geography learning in junior high school social studies. First, we analyze the effects and challenges of games "Momotaro Dentetsu" as a tool for geographic learning. Next, game teaching materials "Kyushu Quiz Tour" created based on the analysis results are put into practice for junior high school students. Then, based on the image of students practicing the game materials and the results of the subsequent questionnaire, we examine what kind of game materials are effective in mitigating the detestation tendency of geographic learning. As a result, by developing the class using the game teaching material, it was possible to give stimulation to the class which tends to advance in the same form every time. And it was proven that the detestation tendency was eased by attracting the interest of the students and repeating the experience which made the geography learning to be fun. In addition, playing games with other students has the potential to lead to the formation of human relationships.

キーワード:地理教育,ゲーム教材,嫌厭傾向 Key Words: Geographic education,

Game teaching material, Repugnance

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阿 部 孝 哉・河 本 大 地 他74

1.はじめに

1. 1. 研究の背景及び目的本研究の目的は,ゲーム教材がもつ中学校社会科地理

学習への嫌厭傾向を緩和する効果について,明らかにすることである。「好きな教科」について,ベネッセ教育総合研究所が

1990年,1996年,2001年,2006年,2015年の計5回実施した学習基本調査を参照する。学校の勉強の中で,「あなたは,次の教科や学習の時間の勉強がどのくらい好きですか」という質問に対して,「とても好き」「まあ好き」

「どちらともいえない」「まあ嫌い」「とても嫌い」の5つの選択肢で答えるという質問項目である。表1は,その結果をランキング形式でまとめたものである1。ここでの「好き」は,ある教科に対して「とても好き」と答えた児童生徒と「まあ好き」と答えた児童生徒の割合を合わせたものである。

表1 好きな教科・活動ランキング 中学生

実施年 1990 1996 2001 2006 20151 位 体育 体育 体育 体育 保体2 位 社会 理科 美術 理科 技家3 位 音楽 美術 音楽 美術 総合4 位 技家 技家 理科 音楽 音楽5 位 美術 音楽 技家 技家 社会6 位 理科 数学 国語 数学 美術7 位 国語 英語 社会 国語 数学8 位 英語 社会 英語 総合 理科9 位 数学 国語 総合 社会 国語10位 数学 英語 英語

(ベネッセ教育総合研究所の調査結果をもとに筆者作成)

中学生の好きな教科ランキングは,実施年ごとにランキングの変動が大きい。「社会」については,1990年は2位であったのに対し,1996年は下位となっている。小学生はどうだろうか(表2)。

表2 好きな教科・活動ランキング 小学生

実施年 1990 1996 2001 2006 20151 位 体育 図工 図工 体育 家庭2 位 図工 家庭 体育 家庭 図工3 位 理科 体育 家庭 図工 体育4 位 家庭 理科 音楽 理科 外国語5 位 音楽 音楽 理科 総合 理科6 位 国語 国語 総合 音楽 総合7 位 算数 算数 算数 算数 音楽8 位 社会 社会 国語 国語 算数9 位 社会 社会 国語10位 社会

(ベネッセ教育総合研究所の調査結果をもとに筆者作成)

表2では,どの年も「体育」・「図画工作」・「家庭科」などのいわゆる「実技教科」がランキングの上位を占める傾向にある一方で,ランキングの下位はどの年も「国語」「算数」「社会」が占めており,これら3教科は相対的に好きではないことがわかる。特に「社会」はどの年もランキングの最下位であり,実施年によっては「好き」と答えた児童が半数を下回る場合もみられた。

篠原(1992)は,独自の調査から,小学5年生時点での社会科に嫌厭傾向を示している一方で,小学校6年生時点での社会科では好感度が著しく増加しているという結果に至った理由を,小学生は5年生で習う産業学習に強い嫌厭傾向を持ち,一方で6年生での歴史学習に興味を持っている児童が多くいることから社会科という科目の好感度が上がったのではないかと推察している2。この調査からも,小学生高学年の時点で社会科の地理的な分野の学習に対して強い嫌厭傾向があることがわかる。

一方で,小学校児童の地理的興味・関心が薄いわけではない。篠原(1992)の調査によると,小学生時に日本・世界を問わず地図を見たことや地図のパズル,地名当てゲーム,探検行動など小学校社会科地理的分野で扱う同様の内容をしたことに対して「大変おもしろかった」「おもしろかった」と答えた者はいずれも全体の半数を超えた。

では,なぜ社会科,特に地理的分野への嫌厭傾向がみられるのか。この問いに対し,篠原(1992)は児童の地理的興味・関心と小学校での社会科の地理学習の内容が乖離しているためであると指摘している。また,岡谷

(2016)は,地理の嫌厭傾向が顕著である理由として,小学校で社会科を専門とする教員が少なく,児童の興味を引くような授業ができていないことに加え,中学校の社会科教員のうち,地理を専攻していた教員の割合が少なく,地理に対する好感を与えることのできる授業ができていないためであると指摘している3。

小学校・中学校・高等学校どの校種においても,社会科(高等学校の場合は地理歴史科・公民科)の授業では様々な教材が使用されている。その一つとして注目されているのがシミュレーション教材である。山口

(1990)はシミュレーション教材を,「現実社会の構造を何らかの方法で抽象化・単純化し,それに基づく教材・教具を操作または演技することにより,現実社会を模擬的に生起させること」と定義している4。地理学習のシミュレーション教材としては佐藤ほか(1991)の,小学生を対象とした「群馬県における鉄道建設ゲーム」があげられる5。このゲームは,群馬県の交通の要衝である高崎駅から上越線,信越本線,両毛線の3本の鉄道路線をなるべく多くの都市を通り,最も安価な建設費で敷設していくゲームであり,実践の結果として児童・生徒の主体的活動が見られた点,学習内容を実感的理解できる

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点,児童の興味,関心を喚起できる点で有効であるとの結果が得られた。また,開発教育推進セミナーが開発した「世界買い物ゲーム」は,プレイヤーが先進工業国,新興国,発展途上国の労働者となり,支給された原材料や道具を使ってたくさん商品を製造しいかに多く売ることができるかを競う中で,貿易の現状に気づき今後の貿易における課題を考えていくことができる教材である6。上記に述べた 2 つのシミュレーション教材は地理学習における教材であるが,歴史学習においては馬場(2019)の「外交交渉ゲーム“Independence-Day”」がある。これは,戦後の日本の独立に向けた外交交渉を,日本側とアメリカ合衆国側に分かれて模擬的に経験するゲームである。このシミュレーションにおける問題状況をほかの学習者とのコミュニケーションによって解決した経験をもとに,新たな社会的問題状況の理解や解決に活用できる状態を指す問題解決パースペクティブが形成される効果があるとしている7。公民科学習においては福田(2014)の「Restaurant」がある。これは,プレイヤーがレストランの経営者として,他のプレイヤーと顧客を奪い合い,どれだけ利益をあげられるかを競うことを通して,経済分野の市場経済について理解させることを目的としたシミュレーション教材である。市場構造の把握,企業戦略を体験的に理解するのに有効な教材である8。

2019年11月9日,10日に島根大学にて行われた全国社会科教育学会第68回全国研究大会 自由研究発表の部でもシミュレーションを題材とした発表が多数行われた9。

このように社会科の学習方法の一つとしてシミュレーション教材は多数開発されてきたが,これへの教員の負担は大きいと考えられる。シミュレーション教材は教具の作成・準備に時間を要し,授業時数に制約がある中で授業に組み込むことが難しい。また,ルールや自分の役割をしっかりわきまえないと学習効果を得にくいと考えられる。これらの理由から,開発されても実践者以外の教育者による実践に至らない場合も多くあると思われる。

そこで本稿では,シミュレーションではなくシンプルなゲームをすることを通して自然に知識が得られ,なおかつどの教師でもすぐに実践できるようなゲーム教材に着目した。池尻(2019)が歴史的思考を段階的に体験できるデジタルゲームの作成に着手しているように10,近年ゲーム教材を開発し実践できるものにする動きが活発化している。ゲーム教材を利用することで児童生徒にとっても良い影響が与えられると考える。

そこで,社会科の授業,特に地理的分野の授業を生徒にとって楽しいと思わせることのできる教材作りが急務である。地理学習におけるゲーム教材を開発・実践し,教育現場で使用できるものにすることで,児童生徒の地理における嫌厭傾向を緩和させ,なおかつ地理を苦手とする教員の授業をサポートすることにつながるのではな

いか。ゲーム教材には多様な種類がある。その一例として扱

われるのが,クロスワード,しりとり,ビンゴゲーム,かるた,パズルなどである。これらのゲームの中身を社会科の授業で学ぶ内容にして生徒にさせることで,生徒が楽しみながら必要な知識を身につけられるものとして実践されてきた11。澁澤(1993)は,中学校社会科地理的分野の教科書の大単元として扱われる「世界の国々」について学ぶ際に,ゲームを取り入れることの有効性を指摘している12。

今回の実践で私が扱うゲーム教材の種類は「すごろく」である。すごろくを用いた有名な実践に,小林

(1981)の「地理すごろくづくり─中学日本地誌の復習─」があるが13,数あるゲーム教材の中から「すごろく」を題材として扱う理由は筆者の幼少期の経験に遡る。筆者は小学生のころ「桃太郎電鉄」(以下,桃鉄)というゲームに勤しんでいた。電鉄会社の社長となったプレイヤーが,すごろく化した日本列島(世界)を周回しながら,物件駅で物件を購入するなどのアクションを通じて,総資産の多さを競う家庭用ゲームソフトである。私は幼少期にこのゲームで複数回遊んでいたのだが,その中で日本地理に関する知識が自然と身につき,社会科の中でも地理的分野に深く関心を持つようになった。

この自身の経験をもとに,すごろくを楽しみながら教科書の内容を網羅し,知識が自然と身につくような教材があれば,地理学習の一助になるのではないかと考え,ゲーム教材を,桃鉄から着想を得て開発・実践するに至った。地理のゲーム教材の開発はまだ発展途上であり,またゲーム桃鉄についての研究は進んでおらず,桃鉄の学習教材の可能性を追究することも併せて行いたい。

1. 2. 研究方法研究方法は以下のとおりである。①ゲーム桃鉄が地理学習のツールとしてどのような効

果・課題があるのか分析する。②上記の分析で得られた効果を最大限に活用し,課題

となる点を克服して作成したゲーム教材「九州クイズツアー」を,中学生を対象に実践し,実践中の生徒の姿やその後のアンケート結果をもとに,どのようなゲーム教材が中学校社会地理学習への嫌厭傾向緩和に効果があるのかを検討する。

2.ゲーム「桃太郎電鉄」

2. 1. 桃鉄の概要前章で述べたように,桃太郎電鉄(略称桃電,桃鉄)

はプレイヤーが電鉄会社の社長となりすごろくとなった日本全国を周回しながら,物件駅の物件を購入するなど

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のアクションを通じて,総資産の多さを競うゲームである。1998年12月2日にスーパーファミコン用ソフト「桃太郎電鉄」としてHUDSON社が発売したのが始まりであり,その後,「スーパー桃太郎電鉄」「スーパー桃太郎電鉄Ⅱ」「スーパー桃太郎電鉄Ⅲ」「スーパー桃太郎電鉄DX」「桃太郎電鉄HAPPY」「桃太郎電鉄7」「桃太郎電鉄jr.~全国ラーメンめぐりの巻~」「桃太郎電鉄V」「桃太郎電鉄X~九州編もあるばい~」「桃太郎電鉄11ブラックボンビー出現!の巻」「桃太郎電鉄 西日本編もありまっせー!」「桃太郎電鉄USA」「桃太郎電鉄Gゴールド・デッキを作れ!」「桃太郎電鉄15 五大ボンビー登場!の巻」「桃太郎電鉄16 北海道大移動の巻!」「桃太郎電鉄」「桃太郎電鉄DSTOKYO&JAPAN」「桃太郎電鉄20周年」「桃太郎電鉄2010 戦国・維新のヒーロー大集合!の巻」「桃太郎電鉄タッグマッチ 友情・努力・勝利の巻!」「桃太郎電鉄WORLD」というように多くのシリーズを生み出してきたが,これを機に桃鉄シリーズの制作終了が発表される。しかし,2011年の東日本大震災,2017年の熊本地震を受け,電鉄会社の社長が全国を周回することで日本全体の発展につながるというコンセプトのもと作成されてきた桃鉄を復活させる要望が高まった。そこで同年に新作「桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!」が発売,2020年11月には「桃太郎電鉄~昭和平成令和も定番!~」も発売された。そのため桃鉄は全24ものシリーズが制作,販売されたことになる。また,携帯アプリ版の桃鉄も配信されている。  

電鉄会社の社長となったプレイヤーは物件駅「東京」から所持金1000万円(桃鉄3年決戦!モードでは1億円)が支給され,ランダムに決まった最初の目的地を目指して電車を進めるのだが,その進み方は1か月に1回サイコロを振り,出た目のマスだけ進むというものである。日本全国がすごろくとなっている桃鉄では,各マスが様々な駅となっている。その一部を紹介する。・青マス駅…停まるとお金をもらうことができる。・赤マス駅…停まるとお金を払わなければならない。・カード駅…停まるとルーレットで引いたカードを手に入れることができる。カードにはサイコロを同時に2個以上振ることができるなどの進行形のカードと相手の社長の妨害をできる便利系・攻撃系のカードとがある。・物件駅…停まると所持金に応じてその都市ならではの物件を購入できる。物件それぞれには収益率があり,物件の収益に応じて毎年3月の決算時に精算される。また都市の物件を全部購入すると(独占),収益率が2倍になる。

その他,カード売り場駅,ぶっとび駅,ワープ駅,ダビング駅,鉄道省駅,宝くじ駅,ナイスカード駅,スーパーカード駅,周遊駅,カードバンク駅などがある。

目的地に最も早くぴったり到着したプレイヤーには多

額の援助金が支給され,戦いを有利に進めることができる。一方で,目的地到着時に最も目的地から遠くにいたプレイヤーには「貧乏神」が憑く。貧乏神はプレイヤーからお小遣いとして所持金を没収したり,ゲームの勝敗を握るカギとなりうるカードを没収したりするなどのいたずらを仕掛けてプレイヤーを困らせる。時にそれ以上のむごい仕打ちをするキングボンビーに変身することもある。ほかのプレイヤーにちょうど追いついたり追い抜かしたりすることで擦り付けることが可能である。目的地に着いたプレイヤーは次の目的地をルーレットで決定し,それぞれのプレイヤーは次の目的地に向かってゲームを進める。貧乏神を上手に回避したり,カードを有効活用したり,ある物件駅を独占することで味方になる偉人の力を借りたりして最終的に最も総資産が多かったプレイヤーが優勝である。ここでの総資産とは所有している物件の収益とゲーム終了時での所持金を合算した額である。

2. 2. 桃鉄により期待される学習効果本来,桃太郎電鉄というゲームは,日本地理(桃太郎

電鉄WORLDの場合は世界地理)の学習を深めるために作られたというより,家族や友達と駆け引きをしながら楽しめる側面を強く有したものである。実際,架空のキャラクターであるキングボンビーが出てきたり,ゲームを乱すことのできるカードが数多くあったりする桃鉄は,学習要素よりバラエティ要素の強いゲームであることから,地理学習ツールとしての価値はあまり見出されてこなかった。しかし,桃太郎電鉄には地理の学習の場面で利用できる側面を有しており,地理の教材として扱う価値があるのではないかと私は考える。その理由は以下のとおりである。

①各都道府県を代表する都市や県庁所在地,名産品を楽しく覚えることができる。

桃鉄をプレイすることによる,学習面の最大のメリットといえよう。プレイヤーは目的地を目指す道中で様々な物件駅に停まり,その都市や地域の産業に関わる物件を購入することの繰り返しによってゲームが進む。その中で,各地でどのような農業・工業・水産業がさかんに行われているかであったり,どのような文化・伝統・郷土料理が現在に残っていたりするのかを知識として得ることが可能である。教科書や地図帳を使用して各地の特産物を学習するのと比べ,ゲームをしながら知識を得ることができる桃鉄の方が社会科に苦手意識をもつ児童生徒に対して効果があるのではないかと考える。

②流行や実際に起こりうる災害,気候が産業にどのような影響を与えるのかがわかる。

桃鉄をプレイし,なおかつ物件を所有していると様々な自然に関係するイベントが起こる。以下にその例を挙

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げる。A 大寒波襲来…数年に一度の大寒波が押し寄せる。

押し寄せた物件駅により,農作物が凶作となり被害が出る場合,スキー場が盛況となり臨時収入が得られる場合がある。

B 台風…南九州・南四国を中心に台風が通過し,その地域の物件駅を所有していることで被害が出る。

C 火山噴火…浅間山や阿蘇山,桜島といった火山が噴火し,その地域の物件駅を所有していることで被害が出る。

このように,ゲーム内で自然と産業が深く関連したイベントが頻繁に起こる。桃鉄をプレイした経験がある人は自然環境と産業の結びつけが自然とできており,学習時に容易に理解ができると考えられる。また,その結果として市場に流通する商品の価格が大きく左右されることに着目すれば,公民の経済分野への学習にも応用できる。

2. 3. 桃鉄における学習面の課題一方で,桃鉄をそのまま学校での学習教材として使う

のは無理がある。まず問題点として挙げられるのが,桃鉄を導入するの

に莫大な費用がかかる点である。生徒一人にゲーム機本体とゲームカセットを提供しなければゲームをプレイすることのできない桃鉄は,学校教育には導入されにくい。また,学校の1時間の授業をゲームで費やすことについて,懐疑的な意見も多く出るであろう。ゲームの内容にも課題はある。桃鉄には多くの物件駅(都市)が出てくるが,ゲーム上の地図に県境がないため,各都市がどの都府県に属しているかがわからない。また,ルールが難解で,ゲームを進めるのに便利なカードの種類が多いためカードの内容を把握できず,すぐにゲームに慣れ親しめない点も課題である。ゲーム上での自然災害が小中学生にとってゲームを盛り上げる要素になってしまう危険性や,「貧乏神」や「キングボンビー」といった教育にふさわしくないキャラクターも出てくるゲームであるため,学校で小中学生に安易に桃鉄をさせることはできない。

そこで,これらの課題をふまえ,桃鉄から着想を得て,ゲームを楽しみながら地理の学習ができることが予想される紙媒体の教材「九州クイズツアー」を開発した。

3 自作ゲーム「九州クイズツアー」の開発とその実践

3. 1.「九州クイズツアー」の概要今回開発した「九州クイズツアー」というゲーム教材

は,九州地方を旅しながら,クイズに答えたり特産品カードを手に入れたりして得られるポイントの数を競うものである。

九州地方を題材としたゲーム教材を開発した理由は,①地方名と日本列島を構成する主な4島(北海道・本州・四国・九州)が一致しており,かつ他の地方と陸地で接しておらず範囲が明確であること,②九州地方が中学校の社会科地理的分野の各教科書で日本の諸地域を学習する際に最初に取り扱われることが多いため,日本の諸地域学習の最初にこのようなゲームを準備しておくことで,他の地域を学習する際も生徒が関心をもって学ぶ動機として有効であることの2点である。なお,①の条件で地方を選択した場合,四国地方でも同様のことがいえるが,四国地方は九州地方よりも県の数が少ないことから,九州地方が適切と判断した。

このゲームを通じて,下記に示す平成29年告示中学校学習指導要領の「第2章第2節 社会 地理的分野 2内容C日本の様々な地域(3)日本の諸地域」のねらいを達成するために必要な最低限の知識を整理することを意図している。

上記には,5つの考察の仕方が示されている。九州地方を授業で扱う際に,多く取り上げられるのは「①自然環境を中核とした考察の仕方」であり,②~⑤の考察の仕方への意識が薄れていることが予想される。そこで,このゲーム教材を通して②~⑤の観点を補うことを意図して作成した。

次にルールを述べる。

次の①から⑤までの考察の仕方を基にして,空間的相互依存作用や地域などに着目して,主題を設けて課題を追究したり解決したりする活動を通して,以下のア及びイの事項を身に付けることができるよう指導する。① 自然環境を中核とした考察の仕方② 人口や都市・村落を中核とした考察の仕方③ 産業を中核とした考察の仕方④ 交通や通信を中核とした考察の仕方⑤ その他の事象を中核とした考察の仕方ア 次のような知識を身に付けること。

(ア)幾つかに区分した日本のそれぞれの地域について,その地域的特色や地域の課題を理解すること。

(イ)①から⑤までの考察の仕方で取り上げた特色ある事象と,それに関連する他の事象や,そこで生ずる課題を理解すること。イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア)日本の諸地域において,それぞれ①から⑤までで扱う中核となる事象の成立条件を,地域の広がりや地域内の結び付き,人々の対応などに着目して,他の事象やそこで生ずる課題と有機的に関連付けて多面的・多角的に考察し,表現すること。

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①九州新幹線の始発駅である博多をスタート地点としてコマを置き,じゃんけんでサイコロを振る順番を決める。

②サイコロを振り出た目のマス分進む。どの方向に進んでも構わないとし,ぴったり止まったマスの内容に従う。自身が九州新幹線の区間内(すごろく上では黄色線で示しており,その中のマス)にいる場合,サイコロを2 つまで振ってもよい。県名が書かれてあるマスに止まった場合,その県に関

連のあるクイズに答える。クイズには1ポイント,2ポイント,3ポイントのものがある。今回は奈良県内の各中学校で使用されている教育出版,帝国書院,東京書籍,日本文教出版の4社の中学校社会 地理的分野の教科書における,小単元として九州地方が扱われているページの太字で記載されている語句を整理し,3 社以上で太字となっている用語に関するクイズ(A),九州地方の地形に関するクイズ(B)に正解すると1ポイント,2 社以上で太字となっている用語に関するクイズ(C),各県に関連のあるその他のクイズ(D)に正解すると2ポイント,思考力や表現力を必要とする難易度の高いクイズ(E)に正解すると3ポイントを得られることとした。4 社の教科書の用語の扱いは下記の表のとおりである。太字となっている用語には〇を,太字になっているが他の教科書会社とは異なる表記の仕方がされているものにはその用語を,太字ではなかったが教科書に記載されている用語には△を,教科書に記載がなかった用語は×で表している。

各教科書会社とも,自然環境を中核として九州地方を概観するという構成になっているため,自然環境や環境問題,環境保全に関する用語が多く太字として取り上げられている。

表3 �教科書会社4社の小単元として九州地方が扱われているページでの用語の扱い

用語(五十音順)

帝国書院

東京書籍

日本文教出版

教育出版

IC(A) ◯ △ ◯ ◯一極集中 × × ◯ ×エコタウン(A) △ ◯ ◯ ◯エコツーリズム × × ◯ ×エネルギー革命 × ◯ × ◯園芸農業 × × ◯ ×温泉 ◯ × △ △火山(C) ◯ △ ◯ △火山灰 △ △ × ◯カルデラ(A) ◯ ◯ ◯ ◯環境産業 × × ◯ 環境関連産業

環境保全 × △ △ ×環境モデル都市(C) × ◯ ◯ ×環境問題 × × × ×観光業(B) △ 観光産業 ◯ 観光産業北九州工業地帯(C) ◯ × ◯ 地域九州山地 × × ◯ △グリーンツーリズム × × ◯ ×公害(C) ◯ × ◯ △耕作放棄地 × × ◯ ×再生可能エネルギー(C) ◯ × ◯ ×サンゴ礁(A) ◯ ◯ ◯ ◯持続可能な社会(C) × ◯ ◯ ×重工業(C) × ◯ 重化学 重化学循環型農業 × × × ◯食の安全 × × ◯ ×シラス大地(A) ◯ シラス ◯ ◯世界自然遺産(C) × × ◯ ◯促成栽培(A) ◯ ◯ ◯ ×台風 ◯ △ △ ×大陸棚 △ × ◯ ×棚田 × ◯ × ×地域ブランド(C)ブランド化 ブランド化 ◯ △畜産業 × 畜産 ◯ ◯地熱発電(A) ◯ × ◯ ◯地方中枢都市 × × ◯ ×梅雨 ◯ 梅雨前線 △ ×伝統的工芸品 ◯ × × ×南西諸島(C) ◯ △ ◯ △日本海流(C) 黒潮 黒潮 ◯ ×二毛作(C) ◯ × ◯ ×バイオマス × × ◯ △ハザードマップ × × × ◯ヒートアイランド現象 × ◯ × ×干潟 △ × ◯ △四大公害病(C) × ◯ ◯ ×リアス海岸 ◯ × × ×離島 × × ◯ ×琉球王国(C) × × ◯ ◯

上記の表を参考に,各県に関連する以下の問題を作成した。

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中学校社会科地理学習への嫌厭傾向の緩和を目的とした教材「九州クイズツアー」の開発とその実践 79

表4 各県クイズ一覧福岡県

⑤の川の名前は?(B) 筑後(ちくご)川

⑥の山脈の名前は?(B)  筑紫(つくし)山脈

⑦の平野の名前は?(B) 筑紫(つくし)平野

福岡県北九州市で見られる,廃棄物となったペットボトルや機械類のリサイクルをする工場が多く集まっている地域

(事業)のことをカタカナ5文字で何という?(A)

エコタウン

九州にある政令指定都市は福岡市と何市?(D)

北九州市

北九州市のような,持続可能かつ低炭素社会の実現のための取り組みが高く評価されている都市のことを○○○○〇都市という。〇に入る5文字は?(C)

環境モデル(都市)

福岡県にある,八幡製鉄所を中心として戦前に発展した工業地帯(地域)の名前は?(C)

北九州工業地帯(地域)

将来の世代のニーズを損なうことなく,現代のニーズを満たすことのできるような社会を○○○○な社会という。〇に入る漢字4文字は?(C)

持続可能(な社会)

明治時代後期~昭和時代前期にかけて九州地方でさかんだった産業の分野はどれ?(C)

(重化学・軽・繊維)工業

重化学(工業)

佐賀県

⑨の海流の名前は?(B) 日本海流(親潮)

筑紫平野で春から夏にかけてさかんに生産されている穀物は?(D)

筑紫平野で冬から春にかけて生産されている穀物は?(D)

小麦

有明海で養殖がさかんな海藻は何?(D)

のり

同じ農地で一年間に2種類の作物を生産することを漢字3文字で何という?(C)

二毛作

長崎県

①の火山の名前は?(B) 雲仙(普賢)岳

④の海(湾)の名前は?(B) 有明海

長崎県はあるものが九州一です。それは何か,( )の中から選んでください。

(工業生産額・農業生産額・漁獲高)(D)

漁獲高

いわゆる「鎖国」をしていた時代に,出島を使って貿易をしていたヨーロッパの国はどこ?(D)

オランダ

いわゆる「鎖国体制」をとっていた江戸幕府が,アメリカに対し長崎の開港を認めた,1858年に日米間で結んだ条約は?(D)

日米修好通商条約

大分県

火山の多い九州地方でさかんに行われている,マグマの熱を利用した発電方法は?(A)

地熱発電

あるものが多い大分県は,自らの県を「○○○○県おおいた」と名乗っています。○に入るひらがな4文字は何?(D)

おんせん

令和元年現在の一万円札に描かれている人物はここ大分県育ちです。誰でしょう?(D)

福沢諭吉

太陽光や風力など,繰り返し使用できるエネルギーのこと○○○○エネルギーという。〇に入る漢字4文字は?(C)

再生可能(エネルギー)

火山とともに生活することで起こるメリットとして,エネルギー源としてどのような影響をもたらす?(D)

温泉水や地熱が地熱発電の電力源になる。

熊本県

②の火山の名前は?(B) 阿蘇山

噴火の際に火山から噴き出した火山灰や溶岩のあとがくぼんでできたものを何という?

(A)

カルデラ

熊本県が日本一の生産量を誇る,畳の原料になる作物を何という?(D)

いぐさ

四大公害病のうち,熊本県で起こった公害は何?(C)

水俣病

火山とともに生活することで起こるメリットとして,観光にどのような影響をもたらす?(E)

温泉が湧き,観光客でにぎわう。カルデラや風景が観光資源になる。

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阿 部 孝 哉・河 本 大 地 他80

宮崎県

⑧の平野の名前は?(B) 宮崎平野

ビニールハウスなどを利用して,野菜の成長を早めて出荷する栽培方法を何という?(A)

促成栽培

外国産食品の大量輸入に対抗するために食材の質を向上させて商品を売ることを○○○○化という。〇に入るカタカナ4文字は?(C)

ブランド(化)

促成栽培とはどのような栽培方法?(E)

ビニールハウスなどを利用して,野菜の成長を早めて出荷する栽培方法。

促成栽培をすることでどのような利点がある?(E)

ほかの地域の産物と時期をずらして出荷できるので高く売れる。

鹿児島県

③の火山の名前は?(B) 桜島

1970年ごろから九州地方で生産が進んだ「集積回路」をアルファベット2文字で表すと何?(A)

IC

主に九州地方南部で見られる,火山の噴出物が積もってできた土地は何台地と呼ばれている?(A)

シラス台地

屋久島は世界遺産のうちどれに登録されている?世界(文化・自然・複合)遺産

(C)

(世界)自然(遺産)

火山とともに生活することで起こるデメリットとして,農業にどのような影響が及ぶ?

(E)

火山灰が栽培中の野菜に積もって成長を阻害し,野菜が出荷できなくなる。

沖縄県

日本南西の暖かい海で見られる,サンゴ虫の遺骸が集まってつくられるものは?(A)

サンゴ礁

沖縄県の県庁所在地は何市にある?(D)

那覇市

沖縄県が日本一の生産量をほこる作物を一つ挙げなさい。

(D)

さとうきび・ゴーヤ・パイナップルなど

沖縄県民の約8割の人が第3次産業に従事しています。第3次産業にあたるものを( )の中から選んでください。

(観光業・鉱業・林業)(C)

観光業

沖縄島などの南西諸島はどの気候帯に属する?(熱帯・亜熱帯・温帯)(C)

亜熱帯

アルファベットのCが書かれたマスに止まると,ゲームを進めるのに便利なお助けカードを引くことができる。カードを使うタイミングは自由とするが自分のターン1回につき1枚のみ使用でき,カードを使用したターンではサイコロは触れないものとする。ボードゲームに多少のバラエティ要素を取り入れて生徒がゲームを楽しく進めることができるようにするために設定した。カードの種類は以下に示すとおりである。ゲームの桃鉄で使用するカードを参考に考えた。

表5 九州クイズツアー お助けカード一覧

カードの名前 カードの使用効果

急行カード サイコロを2回連続で振れる。

1マスカード 1マスぴったり進める。

2マスカード 2マスぴったり進める。

3マスカード 3マスぴったり進める。

4マスカード 4マスぴったり進める。

5マスカード 5マスぴったり進める。

6マスカード 6マスぴったり進める。ヘリコプターカード

行きたい駅にワープし特産品カードをもらえる。

冬眠カード 次の番のプレイヤー 1人を休みにできる。

都市名が書かれたマスにぴったり止まるとその都市のご当地カードを手に入れることができる。実際のマスには便宜上,地名のみ書いている。ご当地カードは3ポイントのもの,5ポイントのものがある。

また,すごろく上においてピンク色で塗りつぶされている都市では,ご当地カードを手に入れた次のターンに

「沖縄チャレンジ」をすることができる。

表6 ご当地カード一覧

駅・バス停・空港名 特産品 ポイント

小倉(駅) 焼うどん 3

博多(駅) 博多ラーメン 5

佐賀(駅) のり 3

長崎(駅) ちゃんぽん 5

佐世保(駅) 船 3

大分(駅) 温泉入湯手形 3

中津(駅) 福沢諭吉グッズ 3

熊本(駅) スイカ 5

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八代(駅) い草 3

水俣(駅) 水俣茶 3

宮崎(駅) ピーマン 5

西都(バスセンター) マンゴー 3

都城(駅) 地鶏 3

鹿児島(駅) 黒豚 5

鹿屋(バス停) さつまいも 3

屋久島 屋久杉テーブル 3

種子島 鉄砲 3

那覇(空港) サーターアンダギー 5

那覇(空港) パイナップル 5

那覇(空港) シーサーの置物 5

ピンク色で塗りつぶされた都市とピンク色で塗りつぶされていない都市との違いは,那覇─各空港間の直行便の有無を基準とした。ターンの最初に「沖縄チャレンジ」をすることを宣言してサイコロを振り,サイコロの目が「2」「4」「6」の場合は「那覇」に移動しご当地カードがもらえる。サイコロの目が「1」「3」「5」の場合はそのターンが1回おやすみとなる。逆に「那覇」では,九州に戻るために九州チャレンジをしなくてはならない。那覇についた次のターンに「九州チャレンジ」することを宣言してサイコロを振り,サイコロの目が「1」

「3」「5」の場はピンク色で塗りつぶされた都市に移動でき,ご当地カードが残っていれば手に入れることができる。サイコロの目が「2」「4」「6」の場合はそのターンが1回おやすみとなる。

②を繰り返し行い,設定した時間内で最も多くのポイントを獲得したプレイヤーまたは先に設定したポイント数を獲得したプレイヤーの勝ちとする。1位が決定した段階でゲームを終了し,その時点で獲得していたポイント数で残りの順位を決定する。

写真1 九州クイズツアー

3. 2. 実践の概要と結果および分析上記で紹介した「九州クイズツアー」の効果を検証す

べく,2019年12月10日に奈良教育大学附属中学校にて,有志で集まった中学2年生4名を対象に実践した。参加した4名は以下のとおりであり,中学1年生の時に九州地方について学習済みである。

被験者1(女子生徒):歴史を題材としたアニメをよくみるので歴史は地理に比べて好き。

被験者2(女子生徒):日本地理への関心が高く,今回の参加者の中では比較的社会科に対してよいイメージを持っている。

被験者3(男子生徒):歴史は流れがあって好きで覚えやすいが,地理は情報量が多いイメージがあって好きではない。

被験者4(女子生徒):世界地理への関心は高いが日本地理への関心は低い。

今回は16:00から10分程度ルール説明を行い,16:10から20分間を目安に20ポイント先取というルールでゲームを行った。ゲーム中は,引いたクイズカードのクイズに対して,「答えわかった!」や「このクイズカード引きたかったな」,「答えど忘れした」といったつぶやきやそれらに対するレスポンス,自身が引いていないカードのクイズも考える場面が見受けられた。また,「よっしゃ!もう10ポイントたまった!」や「もうそんなにポイントたまったん!?」などのポイントに関するつぶやきなどが見受けられた。

写真2 九州クイズツアー 実践の様子

その後,16:30から九州クイズツアーに関するアンケートを実施した。アンケートは以下の様式のA4サイズの紙を配布して行った。なお,実物のアンケートの自由記入欄は以下に示したものよりも大きな四角で囲ってある。

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阿 部 孝 哉・河 本 大 地 他82

Q1 このゲームをし終えての率直な感想や改善すべき点を下の□に書いてください。

以下の質問には,当てはまる数字に〇をつけてください。Q2 これまで学校の社会科の地理の内容の授業で,

ゲーム形式で学習して楽しかった経験はありますか?   

1 ある→Q2-1へ   2 ない→Q3へQ2-1 Q2で「はい」と答えた方にお聞きします。どの

ようなゲームをしたか詳しく教えてください。

Q3 このゲームは授業で学ぶ内容の予習や復習に使えそうですか?

1  予習にも復習にも使えそう  2  予習には使えそう  3  復習には使えそう 4  予習にも復習にも使えなさそうQ4 このようなゲームを授業でするならどのくら

いの頻度であるといいですか? 1  なるべく毎日の授業でゲームがあるといい 2  たまに授業でゲームがあるといい 3  別に授業にゲームがなくてもいいQ5 このようなゲームが授業にあれば社会科が好

きになれそうですか? 1  好きになれそう 2  少しは好きになれそう  3  特に何も変わらなさそう

Q1は「九州クイズツアー」というゲームを扱うことに対する感想を聞き取るため,Q2は篠原(1992)で述べられていた社会科の授業における楽しかった経験と嫌厭傾向の関連性について考察するため,Q3は九州クイズツアーをどの場面で用いることが有効か分析するため,Q4は生徒が授業内でゲームをする機会をどれくらい求めているのかを知るため,Q5は授業でゲームを用いることと社会科への嫌厭傾向の関連性を分析するために設定した問いである。このアンケートの結果を表に示すと下記のようになった。

本実践時の打ち合わせの際に,奈良教育大学附属中学校の社会科担当の教諭にゲームを体験してもらい,このゲームを活用してより学びがいのある学習につなげるために,どのような手法を用いればよいかについて検討した。

表7 九州クイズツアー アンケート結果

被験者

Q1 Q2 Q2-1 Q3 Q4 Q5

被験者1

3ポイントの問題に記述だけでなく難しい一問一答の問題があってもよいと思った。楽しかった。またやりたいと思う。

2 1 2 1

被験者2

楽しくゲームをしながら問題に答えるところが良かった。3 ポイントの問題が記述式の問題で復習にとても役に立った。予習にも役に立つと思う。一緒にゲームをした友人と仲が深まりそうで良かった。とても面白かった。またやりたい。

2 1 1 1

被験者3

問題が,自分が思っていたより難しく,楽しめた。もっと多くのクイズがあったり面白いクイズがあったりしてもいいと思う。もう少しルールが多くあってもいいと思う。

2 1 2 1

被験者4

問題マスが多く問題も基本的なものからテストに出てきそうな問題まであっておもしろかった。

2 3 1 1

その中で「他の地方を勉強する際に生徒たちですごろくをつくる」「ご当地カードに書かれてある特産品について,詳しく調べて新聞にして共有する」などの活動ができればよいのではないかという意見が挙がった。アンケートを書き終えた生徒たちに,このような活動をすることについて賛否を問うたところ,好意的な反応があった。

上記のアンケートの結果から得られた成果としては,Q1に対して4名の生徒全員がクイズに対して「楽しかった」「またしたい」といった感想が得られたこと,Q5に対して4名の生徒全員が「授業にゲームがあれば社会科が好きになれそう」と回答したことから,ゲームを楽しみながら九州地方を学習し嫌厭傾向を緩和するといった,ゲームをプレイする最低限の目的は達成したといえるだろう。今回は全生徒が九州地方について学習済みであることを踏まえ,予習の要素よりも復習を目的としてクイズを作成したが,4名中3名の生徒から「予習にも」使えそうと回答があった。このことから,教科書や資料集を用いながらゲームをプレイしたり,クイズの内容を生徒が九州地方に関心を持てるようなクイズに変更したりすることで,予習にも応用できる可能性を秘めた教材になりうるだろう。Q4では,「なるべく毎日の授

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業でゲームがあるといい」「たまに授業でゲームがあるといい」と意見が 2 つに割れたが,授業でゲームを扱う機会はないよりはある方がよいといった傾向があることが分かった。「たまに授業でゲームがあるといい」と答えた理由としては,やはりゲームだけでは学校での定期テストの範囲全てを補えないことへの不安があるのではないかと推測できる。

また,学習効果とは少し異なるが,被験者2のQ1に「一緒にゲームをした友人と仲が深まりそうで良かった」とあるように,桃鉄を紙媒体へとアナログ化した本ゲームを生徒全員で囲んでプレイすることで,生徒同士の人間関係づくりにも一役買う効果があることが分かった。また,引いたクイズカードを生徒全員に聞こえる声で読み上げることで,クイズカードを引いた生徒以外もクイズの答えについて考えており,「わかった」や「答え何だったっけ」というようなつぶやきが見られた。デジタルゲームである桃鉄をプレイする際にはこのような場面はほとんどない。プレイヤー全員が顔を合わせ,ポイントの有無に関わらずクイズの答えを考えながらゲームが進んでいくことで,本ゲームゆえの利点を見いだすことができた。

その反面,課題も数点見られた。1 点目はQ1の回答からわかるように,自身が設定し

たクイズの難易度と生徒が感じる難易度にずれが生じた点である。2ポイントの問題よりも3ポイントの問題の方が生徒の正答率が高かった。九州地方について学習したのが約1年半前に遡るため,定着した語句の知識が薄れていることも一因として考えられるが,問題の内容や難易度について再考する必要があるだろう。

2点目はおなじくQ1の回答からわかるように,本ゲームが,被験者それぞれがもつ社会科地理学習に対して持っている消極的なイメージに直接働きかけることができたとは言い難い点である。被験者3の場合では,多すぎるとされていた地理の情報が本クイズで整理できたかについて,被験者4の場合では,日本地理への関心に変化が生じたかについて,ゲームの前後で社会科地理学習に持っていたイメージに正の影響を与えることができるとは言えないものであった。

以下は,実践の様子から浮かびあがった課題である。3点目はクイズ要素が強いものであったため,すごろ

くの長所を生かしきれなかった点である。すごろく上では九州新幹線の区間内で振ることのできるサイコロの数を増やせるルール,沖縄への直行便がある都市から沖縄チャレンジができるというルールを設けることを通して,九州地方の各県や各都市の位置を把握したり,交通網について理解したりすることを意図してすごろくを作成した。だが,クイズの方に重きが置かれ,これらのルールを利用せずにゲームは進んでいった。筆者のルー

ル説明が不十分であったことも一因として挙げられる。九州地方を縦横無尽に回ることで九州地方の全体像が把握できたかは不確かであった。

4点目は生徒だけでゲームを進めることができるかが不確かな点である。今回は4名という小規模での実践であったため,筆者がファシリテーターとしてクイズの正誤確認やルール確認の対応を行ったが,このゲームを実際の授業でするとなると,教師のサポートがなくても生徒同士でゲームを進めていかなければならない。そういった場合の対応を考える必要があるだろう。

最後に九州クイズツアーの内容そのものについて,浮かび上がった改善点を挙げる。

まず,すごろくのマス目を設定するにあたって,便宜上,九州地方の鉄道網を核としてマス目設定を行ったため,九州地方の道路網をすごろくに反映できなかった。九州地方の高速道路網の発展をきっかけに,IC工場や自動車工場の進出が進んだという観点から考えると,九州地方を学習する際に高速道路網の発展は欠かせない事項であった。再度交通網を客観的に捉え,マス目の設定をし直すことで「すごろく」という形でゲームを進めることの意義を見出せるのではないか。マス目の設定を再考すれば,九州本土だけではなく,今回すごろく上では行きにくい扱いになってしまった壱岐や対馬,種子島や屋久島などにも目を向けることにもつながる点で,正の影響をもたらす。

クイズカードについても再考する必要がある。今回参加してくれた生徒4名は,国立の教育大学附属中学校に所属している。奈良教育大学附属小学校から内部進学した生徒,中学受験した生徒が集まる学校ということで,4名の中での学力差が小さいものであったことから,最もポイントを多く稼いだ生徒(被験者4)が19ポイント,次に被験者2と被験者3が16ポイント,被験者1が15ポイントと続くような結果になり,ポイントに大差が開くことはなかった。しかし,学校によっては実践する際に,クイズにすらすら答えられる生徒とそうでない生徒とで,最終的に得られるポイント数に大差が開くことが懸念される。そのため,生徒がゲームを楽しむことに重点を置きながら,学習効果を得られるものにするために,九州地方に関連性がありながらも学力差を問わないクイズを入れることで,誰もが楽しめるゲームになると思われる。

また,ご当地カードのポイントについても設定し直すことで新たな学習効果が得られるのではないかと,奈良教育大学附属中学校の教諭から助言があった。例えば,福岡県以外の県をスタートにして,福岡県のご当地カードのポイントを他県のポイントよりも高く設定することで,プレイヤーは福岡県のご当地カードを獲得することを目指すことが想定される。すごろく上で福岡県以外に

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阿 部 孝 哉・河 本 大 地 他84

いる生徒が福岡県にある高いポイントのカードの獲得を目指して福岡県に向かうことと,福岡県以外にいる人が通勤や通学を理由に,福岡県に人口やそれに伴い都市機能が集中することに類似性が見られる。生徒がすごろく上で九州地方の一極集中を,身をもって体感できるゲームへとステップアップできるのではないか。

このような工夫を加えることで,さらに学習の要素が凝縮されたゲームに生まれ変わるだろう。

4 おわりに

本稿では,ゲーム教材が社会科地理学習における嫌厭傾向を緩和する効果があるのかについて論じた。シミュレーション教材は1970年頃から開発が進んできている。今回はあえてそれにこだわらず,古くからある「すごろく」という形式を用い,ゲームを通して学習意欲を高め,社会科地理学習への嫌厭傾向を緩和することを試みた。結果として,ゲーム教材を用いて授業を展開することで,毎回同じような形式で進んでいきがちな授業に刺激を与えることができた。また,シミュレーション教材を用いた授業などと組み合わせることで児童生徒の関心を引きつけ,社会科地理学習を楽しいと思わせる経験を重ねることで,嫌厭傾向が緩和されていくことがわかった。さらに,他の生徒とともにゲームをすることは,人間関係形成にもつながる可能性を秘めている。

その際に留意すべきことが数点ある。1点目は児童生徒全員がゲームの最初から最後までゲームに関わることのできるよう工夫を施し,なるべく退屈な時間をつくらせないこと,2点目はゲーム教材を単元のどのタイミングでとりいれるのか,ゲームをすることでどのような効果が得られるかを明確にして扱うこと,3点目はゲームをして終わりとならないよう,ゲームをした後のまとめを充実させることである。今回の実践の場合,ゲームを終えたことで,九州地方の学習事項の知識が定着したかについてまで追究することができなかったため,2点目の留意が欠如していた。この点を反省して多くの実践をこれからも重ねていきたい。

また,今回紙媒体で作成した本ゲームを,ソフトウェアを用いて地理院地図の地図を重ねるなどして作成し直し,お助けカードやクイズカード,ご当地カード等を一括してダウンロードできるような体制を整備すれば,これらを印刷するだけで利用してもらえるものとなり,ゲーム教材がいたるところで活用されるだろう。ゲーム教材を通して,児童生徒の社会科地理学習への印象が多少なりともよくなっていくことを期待したい。

謝辞筆者が開発した九州クイズツアーの効果を検証するに

あたり,奈良教育大学附属中学校の4名の生徒の皆様,および教諭の皆様に,ご多忙にもかかわらずご協力いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

註1) ベネッセ教育総合研究所が実施しているもので,調査対

象は「全国3地域(大都市(東京23区内),地方都市(四国の県庁所在地),郡部(東北地方))の小学5年生と中学2年生,全国4地域(大都市(東京23区内),および東北・四国・九州地方の都市部と郡部)の高校2年生(普通科)」である。調査項目は「教科の好き嫌い/教科の理解度/家庭学習の時間・内容・様子/勉強の仕方/日常生活の中の学び/授業で好きな学習方法/授業での能動的な学習の経験/通塾/習い事/学習上の悩み/希望する進学段階/メディアの利用/家庭環境など」である。

2) 篠原(1992)において,1991年当時香川大学教育学部学生であった学生122名を対象にしたアンケートで学年ごとの社会科に対する好き嫌いを問うたアンケートの結果である。

3) 岡谷(2016)において,他にも児童生徒を対象とした調査により,生徒の理解度と教員側からみた想定理解度のギャップが非常に大きいことが,児童生徒の地理への嫌厭傾向を生む原因の一つだと指摘している。

4) 山口(1990),連載講座シミュレーション教材,こう作る・こう使う1,シミュレーション教材に関する基礎・基本(その1),社会科教育No.335 98-104,山口(1990),連載講座シミュレーション教材,こう作る・こう使う2,シミュレーション教材に関する基礎・基本(その2),社会科教育,No.336 115-121において「シミュレーション教材」の定義づけがされた。

5) 佐藤・山口(1991)において開発された,地域を題材としたシミュレーション教材の一例である。2018年9月,筆者

(阿部)が奈良教育大学附属中学校にて教育実習を行い,同時期に行われた教育研究会で当時3年2組の生徒を対象に行った授業である。

6) 開発教育推進セミナー(1995)において紹介されており,シミュレーション教材を代表する教材の一つといえよう。

7) 詳しくは馬場(2019)を参照されたい。8) 詳しくは福田ほか(2014)を参照されたい。9) 2019年11月9日,10日に島根大学にて行われた全国社会科

教育学会第68回全国研究大会において,松山(2019)や,吉永(2019),福村(2019)などのゲーム教材を扱った報告がなされた。

10)詳しくは池尻(2019)を参照されたい。他にも,「historio」などのゲーム教材も開発されている。

11) 2019年8月24日・25日に大阪国際交流センターにて行われた第50回記念授業のネタ研究会IN関西にて,25日の分科会で発表された「社会「〈パズル〉で遊ぼう!社会科ゲーム性教材の開発」神奈川県立海洋科学高校西脇秀晴氏の実践がその一例である。 

12)澁澤(1993)p124,p134では,世界の大陸や国々の位置関係を把握することを目的とした「世界一周すごろく」という教材の紹介がされている。

13)詳しくは小林(1981)を参照されたい。また,2019年現在福井県美浜町立美浜中学校に勤務している行壽浩司教諭は日本の諸地域学習を終えた後に,生徒それぞれに好きな地方のすごろくを作成させる活動を行っている。本実践の以後の活用法として意義のあるものだといえる。

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令和 2 年 5 月 7 日受付,令和 2 年 9 月23日受理

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