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音声信号の基礎 - mpte.jp’Œ三講師(音声信号).pdf · •...

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日本映画テレビ技術協会大阪支部 基礎技術セミナー 朝日放送株式会社技術局制作技術センター 和三 晃章 音声信号の基礎 ~アナログ音声からハイレゾ音声まで~
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Page 1: 音声信号の基礎 - mpte.jp’Œ三講師(音声信号).pdf · • 連続的に変化するアナログ信号を微小な時間単位に離散化する • 1秒間に何回離散化するかを周波数で表したものをサンプリング周波数という

日本映画テレビ技術協会大阪支部 基礎技術セミナー

朝日放送株式会社技術局制作技術センター和三 晃章

音声信号の基礎~アナログ音声からハイレゾ音声まで~

Page 2: 音声信号の基礎 - mpte.jp’Œ三講師(音声信号).pdf · • 連続的に変化するアナログ信号を微小な時間単位に離散化する • 1秒間に何回離散化するかを周波数で表したものをサンプリング周波数という

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音源の振動が空気を押し出し、空気に圧力差が生じることで、圧力が高いところから低いところに波のように動く。

音は「音波」という波

音を運ぶ役割をするもの=「媒質」

音とは?

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音波

• 音は「縦波(疎密波)」

• 縦波は空気の圧力変化がわかりにくい → 横波で表現

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• 世の中で最も単純な音=「純音」• 音波は正弦波で表される。横軸=時間、縦軸=音圧• 波の高さ = 振幅 =「音の大きさ」単位はPa(パスカル)

• 定期的に変化する波の1回分の時間=周期(T)

• 1秒間の波の数 = 1/T=周波数 =「音の高さ」単位はHz(ヘルツ)

• 音がどの地点にあるかを角度で表したもの = 「位相」単位は度(ラジアン)

• 正相(0度)の波と逆相(180度)の波を合成すると、波は消える。

音の単位と位相

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音域

人間の耳は音の高さ20Hz~20kHzまで聞くことが出来、音の大きさは0.00002Pa=20μ Pa(パスカル) ~ 20Paまで聞くことが可能

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音の性質

音は波の一種。曲がり、回り込んだり、干渉したり、反射する。

•屈折(曲がる) 媒質の変化で速度が変わる音速=331.5+0.61t(t=温度)

•回折(回り込む)•反射・透過 障害物の材質や厚さによる•干渉 複数の波が重なることで、波が大きくなったり、小さくなったりする。

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空気振動を機械的振動に変え、電気信号に変換する道具

動作原理の違いで分類される

•ダイナミック(動電)型

•コンデンサー(静電)型

マイクロフォン

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【ダイナミック型】振動板にコイルがついており、音波で振動板が振動すると、磁界の中をコイルが動くことで発電

①安定した力強い音②構造が簡単で、故障が少ない③電源が不要

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【コンデンサー型】

振動板が音で振動すると静電容量が変化して発電

①音色はクリアで感度が高い

②電源(ファンタム電源)が必要

③湿気、振動に弱い

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【マイクの指向性】

どの角度の音をはっきりと捉える事ができるか、どの向きに感度が良いか、というのを「指向性」と呼ぶ。•無(全)指向性 Omni

•単一指向性 Cardioid

カーディオイド、スパーカーディオイドなど•双指向性 Bidirectional

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スピーカー

「電気信号を振動に変換して音にする」

• マイクと逆の動作• 電気の流れで磁性体内のコイルを震わせ、振動板が震えて空気に振動を伝える。

• 基準となるスピーカーが必要

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dB(デシベル)• 音声業界にいると必ず出て来る言葉• 絶対値を表す「単位」ではなく、「dB」は「比(レベル)」

• 基準値に対する「比」、同じ音量でも、比の対象になる基準レベルが違えば、表し方は変わる

• 対数であらわす• 電圧比電圧比=20logE1/E2 (dB) E1:送端の電圧、E2:受端の電圧ex)マイクやミキサーのレベル(dBm、dBvなど)や、音圧レベル(dBSPL)

• 電力比電力比=10logP1/P2 (dB) P1:送端の電力、P2:負荷で消費される電力ex)スピカーやパワーアンプのレベル(dB)

• 基準は常に「0dB」• ある値が増えた場合は+◯dB、減った場合は-◯dB

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• プリアンプに1.0mVの入力があり、出力が2.0Vとなった時、プリアンプが何dB増幅されたかを計算

電圧増幅度=20log2.0V/1.0mV

=20log2.0V/0.001V

=20log2000

=20log(2×1000)

=20log2+20log1000

=6dB+60dB=66dB

• 減衰の場合は、マイナスをつける。1/2なら−6dB、1/10なら−20dB

倍数 電圧比(dB) 電力比(dB)

1/2 -6 -3

1 0 0

2 6 3

4 12 6

10 20 10

100 40 20

1,000 60 30

10,000 80 40

1,000,000 120 60

10,000,000 140 70

倍数/電圧比/電力比

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オーディオ信号は交流電流交流電流における抵抗を「インピーダンス」

オームの法則V=IRI=V/RR=V/IP=VIP=V /R

電圧(V) = 電流(A)✕ 抵抗値(Ω )抵抗値(Ω )= 電圧(V)÷ 電流(A)

例)10Wの電力を送る場合A)100V(ボルト)、0.1A(アンペア)で転送する場合 (100V✕0.1A=10W)この時のインピーダンスは:1000ΩB)10V、1Aで転送する場合 (10V✕1A=10W)この時のインピーダンスは:10Ω

インピーダンスが高いと、効率がよく、電圧が高く取れる。ノイズを拾いやすい。 インピーダンスが低いと、効率は悪く、電圧は低くなる。ノイズは拾いにくい。

インピーダンス

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出力側のインピーダンス = 入力側のインピーダンス「インピーダンスマッチング」が取れている。理想

出力側のインピーダンス < 入力側のインピーダンス 「ロー出しハイ受け」

出力側のインピーダンス > 入力側のインピーダンス 「ハイ出しロー受け」

600Ω 600Ω

600Ω 10kΩ

600Ω 200Ω

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dBm?dBu?dBV?dBの後ろに m のような英語の添え字が付くと、相対レベルではなく絶対レベルを表わす。添え字によって規準が異なり、いくつか種類がある。

• dBm

『 600Ωの負荷に対して 1mWを生じる電圧を 0dB(規準)とする』

電圧はオームの法則から、 +0.775vrms。すなわち、0dBm = +0.775vrms。

• dBu(dBv)

1mW 600Ωを基準としたdBmと互換性を保ちつつ、電圧ベースの測定単位が必要になったので、『インピーダンスを問わず0.7746Vを基準とする』(uはunterminated

の頭文字)。600Ωの機材であればdBmとdBuは同じ値を示す。

• dBV

dBVはdBuと同様に電圧ベースの測定単位だが、1Vが基準になっている。マイクロホン感度の表記やコンシューマー機器で使われることが多い。dBVの値に約2.2dBを加えるとdBu値となる

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音声信号の諸特性

【周波数特性】

音声信号の伝送系で、周波数によってレベルが変化する特性を表してして、「f特」とも言う。

横軸に周波数を対数で、横軸にレベルを表示したセミログのグラフで表示

【歪】

入力信号と出力信号の波形を比較し、出力の波形が何らかの理由で変形している時の波形は「歪んでいる」

【S/N】

伝送系の基準レベルとノイズレベルの比を、信号(Signal)対ノイズ(Noise)レベルとして「S/N」と言い、dBで表す。この値が大きいほどノイズが少ない。

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【ダイナミックレンジとヘッドルーム】

ダイナミックレンジ = 最大入力レベルと最小入力レベルの差をdBで表したレベル

ヘッドルーム = 基準レベルから最大入力レベルまでの「余裕」のレベルをdBで表したレベル

0

23

45

68

90

0 25 50 75 100

出力

入力

最大入力レベル

最小入力レベル

基準レベル

ヘッドルーム

ダイナミックレンジ

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ケーブルの種類

【バランス方式】• HOT,COLD,GNDという3本の電線を使用する接続方法• ノイズに強い• XLR(キャノン)ケーブル等

【アンバランス方式】• 2本の電線を使用する接続方法• ノイズに弱い• RCAピンケーブル、フォーンケーブル等

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アナログ信号のメリット・デメリット

メリット• 早い=遅延が無い アナログ信号は回路を通る電気の速度≒光の速度• 音が良い

ただし・・・

デメリット• コピー(ダビング)を繰り返すとドンドン劣化・・・。なぜなら、フラットな特性のアナログ機器など無い!!

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デジタル信号のメリット・デメリット

メリット・完全なコピーが出来る・圧縮が出来る データを圧縮することで、ファイル容量や転送レートを節約!!

デメリット・遅い A/D変換等で処理時間がかかる。しかし最近ではかなり改善している!!

・音が変わる 完全なアナログ音声の変換は出来ない。しかし、「ハイレゾ」などで、かなり原音に近い音が出せるようになった。

ということで

デジタルは使い勝手が良く、音も良い!!

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• アナログ信号からデジタル信号への変換をA/D変換

• デジタル信号からアナログ信号への変換をD/A変換

• A/D変換は標本化と量子化の2つの過程からなる

アナログ~デジタル変換

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• 連続的に変化するアナログ信号を微小な時間単位に離散化する• 1秒間に何回離散化するかを周波数で表したものをサンプリング周波数という

fs=48kHzの場合、1秒間を48000回分割• 再現可能な音の周波数は、サンプリング周波数の約半分

標本化

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• 標本化されたパルスの高さを測定し、有限の値に変換• 1つ1つの分割データ(サンプリング)にどれだけ分割して変換するかの割合を量子化ビット数(ビットデプス)という16bitの場合、1サンプルを縦に2の16乗(65536)に分割

量子化

• ビットレートサンプリングレート(Hz)× ビットデプス(bit)= ビットレート(bps)48kHz、24bit、ステレオの場合48000×24×2=2304000bps=2300kbps

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変調方式• PCM(Pluse Code Modulation:パルス符号変調)

音波の振幅の連続的な変化を離散的な変化に変換(デジタル化)することにより音を記録。従来の PCM は、データをデジタル化する際に圧縮したり、人間の耳には聞こえにくい部分のデータを減らしている。リニアPCM は、こうした圧縮をしないで、取り込んだ音を全部そのまま記録。データ量が大きくなる。

• DSD(Direct Stream Digital)PCM方式では無くΔΣ変調(デルタシグマへんちょう)とよばれる原理でデジタル化する方式。SA-CDの記録フォーマットとして採用されている。100kHzまでカバーする。DSDは高サンプリング周波数、低ビットが特徴で、例えばCDの64倍の「2.8224MHz(=2822.4kHz)、1bit」という単位でデジタル化されている(倍の5.6448MHz、1bitなどもある)。

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デジタル信号のやりとり

•デジタル音声信号の種類(インターフェイス)

•サンプリング周波数

•クロック

が同じでないと、デジタル機器間の信号のやりとりは出来ない

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デジタル機器はそれぞれ内部の水晶を使って、時間が管理されている。それぞれの機器が時間がずれていては、サンプリング周波数を完全に一致させることができないために、正常な音声を再生することができない。内部のクロックを一致させることを「同期」という。

・ワードクロックサンプリング周波数と完全に一致する矩形波の信号で、デジタル音声機器では標準となる同期信号と言える。対応するサンプリング周波数は44.1〜48kHzの機器が多く、最近では「ハイレゾ」と呼ばれる最大384kHzに対応する機器も増えてきている。

・DIクロック

デジタル入力信号から同期を抽出する方法。

・ビデオ同期アナログビデオ時代からビデオ機器の同期に使用されている、「ブラックバースト(BB)信号」を使って

音声機器の同期を取る。対応するサンプリング周波数は48kHz

同期

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デジタル音声信号をやりとりするため、接続するコネクタや音声データの形式等が国際規格化されている

• AES/EBU

AES(AudioEngineerSciety)と(EuropeBroadcastingUnion)が策定したデジタル音声信号で、インピーダンスが110ΩのXLRコネクタのケーブルを使い、1本のケーブルで2chの音声信号を伝送でき、プロ用の音声機器で最も使われているデジタル音声信号のインターフェイス規格。75Ωの同軸ケーブルを使う「AES3ID」という規格もある。民生用では、「SPDIF」がありAES/EBUとの互換性がある。

• MADI

MADIは、最大64チャンネル分の連続した24ビットのAES/EBU信号を「Time Division Multiplexing (時分割多重化)」によって1本のケーブルで伝送。 MADIは一方向の信号を伝送。 44.1kHz/48kHzの場合64チャンネル、96kHzの場合32チャンネル、192kHzの場合16チャンネルのオーディオ伝送に対応。

• ネットワークオーディオTCP/IPプロトコルを使い、PCと同じLANケーブルを使って、多チャンネルのデジタル音声のやりとりができる。古くは「CobraNet」「EtherSound」などがあり、AESでネットワークオーディオの規格として策定された、AES67と互換性のある、「Dante」「Ravenna」などが最近では主流になってきている。

デジタル音声信号のインターフェイス規格

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フォーマット

• WAV

ハードディスク等に保存するオーディオファイルの一形式。MicrosoftとIBMが開発し、PCで扱うオーディオファイルフォーマットとして標準とされている。このWAVファイルに放送などに必要な様々な情報などを埋め込んだものを「BWF」(BroadcastWaveFormat)と言い、タイムコード情報などが必要な現場ではこちらのフォーマットが使われている。• MPEG

ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)という2つの標準化組織が提案。下部組織のMPEG(MovingPictureEXpertsGroup)が動画データとそれに対応する音声

データの圧縮を目的として、開発したフォーマット。多くの規格があり、用途によって使い分けられる。

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• MPEG-1

1992年に実用化され、膨大なデータ量の映像及び音声ファイルをCD-ROMに収まるサイズにまで圧縮することを念頭に開発• MPEG-2

MPEG-1から派生した規格。現在のテレビ放送やDVDで使われており、データ量の削減が画質や音質を劇的に悪化させてはいけないように開発され、画質などはMPEG-1と比べると格段の違いがあります。5.1chサラウンドに対応していて、音声のコーディックは地域によって異なる。アメリカはAC-3というDolbyのデジタル・マルチチャンネル規格が採用されていて、日本はAACという規格が採用されている。• MPEG4

電話回線などによる低速動画通信のために制定された規格。現在インターネットや「iTunes」などで使われている。

MPEG-1とMPEG-2ではレイヤーと呼ばれるオーディオデータの圧縮段階を選ぶことができる。階段が上がるほど、符号化と複合化のプロセスが複雑になり、より高率のデータ圧縮を行うことができる。• レイヤー1 比較的オリジナルサウンドに近いが、それだけにデータスループットも多い。(ステレオで

384kbs)

• レイヤー2 より複雑な信号圧縮プロセス。それ以外の点ではレイヤー1とよく似ている。(ステレオで128

~192kbs)

• レイヤー3 レイヤー1や2とは全く異なるコンセプトで開発された信号圧縮プロセスであり、最も圧縮率の高いレイヤー。そのぶんだけオリジナルサウンドに最も不忠実なサウンドになってしまうが、同じデータレートならば、レイヤー1、2よりサウンドの劣化の度合いは少ない。一昔前からある「MP3」はMPEG1

レイヤー3のこと。

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音を圧縮するには、コーディックを使う。可逆でも非可逆でも、符号化手法、パターン認識、線形予測などの手法(コーディック)を駆使して、圧縮を行う。

オーディオデータ圧縮(コーディック)

• FLAC(フラック、Free Lossless Audio Codec)可逆圧縮の音声ファイルフォーマット。圧縮してファイルサイズを小さくして配布し、受け取った側で展開した後データを完全に復元できる。

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音声コーディック比較

圧縮方法 コーディック名 拡張子ファイルサイズ目安 最

大100音質

非可逆

MP3 .mp3 11 ◎

AAC .m4a、.mp4 9.1 ★

WMA .wma 8.5 ★

Vorbis .ogg 8.1 ★

AC3 .ac3 9 ★

MP2 .mp2 13 ◎

可逆

ALAC .m4a 65 ☆

FLAC .flac 75 ☆

WMA lossless .wma、.asf 66 ☆

非圧縮 LPCM .wav、.aiff 100 ☆

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ハイレゾ

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• ハイレゾの定義「CDスペック(DVD含む)(44.1kHz/48kHz、16bit)よりサンプリング周波数またはビットレートいずれかが超えていればハイレゾオーディオとする。」 - JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)

サンプリング周波数 量子化bit ハイレゾ?

48kHz 24bit ◯

96kHz 16bit ◯

96kHz 24bit ◯

48kHz 16bit ☓

96kHz 12bit ☓

32kHz 24bit ☓

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【アナログ系】(1)録音マイクの高域周波数性能 :40kHz 以上が可能であること。(2)アンプ高域再生性能 :40kHz 以上が可能であること。(3)スピーカー・ヘッドホン高域再生性能 :40kHz 以上が可能であること。【デジタル系】(1) 録音フォーマットFLAC or WAV ファイル 96kHz/24bit 以上が可能であること。(2) 入出力 I/F

96kHz/24bit 以上が可能であること。(3) ファイル再生FLAC/WAV ファイル 96kHz/24bit に対応可能であること。(4) 信号処理:96kHz/24bit 以上の信号処理性能が可能であること。(5) デジタル・アナログ変換:96kHz/24bit 以上が可能であること。

ハイレゾ対応機器の定義

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メリット• 量子化ビット数の増加→ダイナミックレンジの増加

• サンプリングレートの増加• 時間あたりの解像度が上がる• 最大再現可能周波数が高くなる

96kHzだと変換可能な最大周波数が48kHzになり、倍音成分などが増えることにより、よりリアルな音声表現となる。

デメリット

• ファイルサイズが大きくなる• 対応機器が高価• ハイレゾ非対応機器との接続に注意が必要

• 聴取環境が限られている。

ハイレゾ化のメリット・デメリット

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メーター

• 「音声技術者」には必須アイテム• アナログ、デジタル問わず、音を正確に測るもの

VUメーター ピークメーター ラウドネスメーター

• 電圧で「音量」を測る• 「0VU」= 4dBm

• 単位はVolume-unit

• 300msecの平均値• デジタルで「ピーク」を測る• 単位はdBFS 最大0dBFS

• 10msecの平均値

• ラウドネス値=感性値を測る• 単位はLKFS

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スペック表を理解する

音声技術者にとって、最も大切なことの一つとは?

目的にあった音を忠実に視聴者に届けること

そのために必要なことは?

どのような機器を使えば、どんな音になるのかがわかる事

どうすれば良いか?

機器を触って、性質を知る

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参考文献

• よくわかる最新音響の基本と仕組み 岩宮眞一郎著 秀和システム• デジタルレコーディングの全知識 Claudius Bruse著 リットーミュージック• サウンドレコーディング技術概論 社団法人音楽スタジオ協会• その他webページ等


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