26 さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16December 2014
伊豆諸島の水生甲虫類吉富博之
〒 790-8577 松山市文京町 3 愛媛大学ミュージアム
Water beetles fauna of Izu IslandsHiroyuki Yoshitomi
Summary. Water beetles fauna of the Izu Islands is revised. Forty species of 12 families are listed, and of these 6 species (Ochthebius nipponicus Jäch, 1998; Laccobius (Microlaccobius) oscillans Sharp, 1884; Contacyphon consobrinus (Nyholm, 1950); Babalimnichus masamii M. Satô, 1994; Ordobrevia gotoi Nomura, 1959 and Ectopria opaca opaca (Kiesenwetter, 1874)) and 3 families (Limnichidae, Elmidae, and Psephenidae) are newly recorded from Izu Islands.
はじめに伊豆諸島は身近な海洋島であるにも関わらず,
昆虫相の解明は一部のグループを除きあまり進んでいない.その理由として,日本本土域の昆虫相とあまり異ならない点や,昆虫相が意外に貧弱であることが挙げられる.特に規模の小さい海洋島では,水辺環境が貧弱であり水生昆虫類の記録はとくに少ない(苅部ら,2013).
伊豆諸島については,これまで水生の甲虫類相が取り纏められた報告が無い.そこで本報告では,既存文献の調査に加え,2013 年と 2014 年に行った現地調査で確認された水生甲虫類の記録を纏める.なお,水生甲虫類は,吉富(2013)が示した分類群を指すものとし,ガムシ科とホタル科については水生種のみを取り扱った.また,チビドロムシ科については海浜性種も含めた.
調査地点番号(IZ1 ~)が付いている採集記録は,2013 ~ 2014 年に行った調査により吉富が採集し,愛媛大学ミュージアムで保管している標本で,以下に各地点の採集データを記す.また,調査地点の詳細や環境写真については,以下の URL に示してあるので,併せて参照されたい.
https://sites.google.com/site/waterbeetlesofjapan/home/field-investigation/Collecting_site_Izu_2013.pdf
大島[IZ20] 筆島, N34°42.364, E139°26.614, ca 9 m, 11. II.
2013.利島
[IZ76] 宮塚山, N34°520268, E139°280665, ca 271m, 4. XI. 2013.
式根島[IZ9] 石白川, N34°19.409, E139°13.308, ca 16 m, 7. II.
2013.
神津島[IZ2] 沢尻, N34°13.261, E139°07.746, ca 9 m, 5. II.
2013.[IZ3] めいし, N34°13.368, E139°07.980, ca 13 m, 5. II.
2013.三宅島
[IZ63] 神着, N34°07.439, E139°31.192, ca 151 m, 29. VI. 2013.
御蔵島[IZ34] 卯辰川, N33°53.595, E139°35.612, ca 150 m,
14. II. 2013.[IZ53] 里, N33°53.830, E139°35.815, ca 168 m, 25. VI.
2013.[IZ55] 大島分川, N33°52.737, E139°36.834, ca 445 m,
27. VI. 2013.八丈島
[IZ52] 親水公園, N33°06.558, E139°48.016, ca 63 m, 7. XI. 2014.
[IZ40] 大川, N33°06.412, E139°48.640, ca 184 m, 7. XI. 2014.
[IZ80] 三根, N33°1102220, E139°8187290, 8. XI. 2014.
[IZ85] 鴨川, N33°1048140, E139°8027110, 9. XI. 2014.
リスト伊豆諸島初記録の科,種については名前のあと
に * 印を付けた.
ミズスマシ科 Gyrinidae1. オオミズスマシDineutus orientalis (Modeer, 1776)【文献記録】青ヶ島(朝比奈・梅谷,1955;長谷川,
1984).
27さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16 December 2014
コガシラミズムシ科 Haliplidae2. コガシラミズムシ Peltodytes intermedius (Sharp,
1873)【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).八丈島(神
谷・山本,1935;正木,1937;東京都八丈ビジターセンター,2008).
ゲンゴロウ科 Dytiscidae3. マルケシゲンゴロウ Hydrovatus subtilis Sharp, 1882【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセン
ター,2008).
4. チビゲンゴロウ Hydroglyphus japonicus (Sharp, 1873)
【文献記録】神津島(黒澤,1978).御蔵島(沢田・渡辺,1969).八丈島(神谷・山本,1935;Kamiya, 1938; 正木,1937;川畑,2007).【採集記録】八丈島:5exs., [IZ52].
5. チャイロチビゲンゴロウ Allodessus megacephalus (Gschwendtner, 1931)
【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).御蔵島(亀澤,2012).八丈小島(沢田・渡辺,1959).
6. コウベツブゲンゴロウ Laccophilus kobensis Sharp, 1873
【文献記録】神津島(黒澤,1978).八丈島(川畑,2007).
7. ホソセスジゲンゴロウ Copelatus weymarni Balforur-Browne, 1946
【文献記録】神津島(Kamiya, 1938; 中根,1978;黒澤,1978).三宅島(中根,1959;渡辺・相馬,1972;中根,1978;初宿,2011).御蔵島(沢田・渡辺,1969;中根,1978).八丈島(Kamiya, 1938; 川畑,2007;東京都八丈ビジターセンター,2008).【採集記録】八丈島:1ex., [IZ52].
8. クロズマメゲンゴロウ Agabus conspicuus Sharp, 1873
【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセンター,2008).
9. マメゲンゴロウ Agabus japonicus Sharp, 1873【文献記録】大島(Kamiya, 1938).神津島(Kamiya,
1938; 中根,1978).三宅島(初宿,2011).御蔵島(沢田・渡辺,1969).八丈島(川畑,2007;東京都八丈ビジターセンター,2008).
1 0 . ク ロ マ メ ゲ ン ゴ ロ ウ P l a t a m b u s s t y g i u s (Régimbart, 1899)
【文献記録】三宅島(記野・長谷川,2001).御蔵島(御蔵島の自然と文化博物館,2014).八丈島(中根,1959;川畑,2007;東京都八丈ビジターセンター,2008).【採集記録】御蔵島:3exs., [IZ34].
11. ホソクロマメゲンゴロウ Platambus optatus (Sharp, 1884)
【文献記録】八丈島(記野・長谷川,2001).
12. ヒメゲンゴロウ Rhantus suturalis (MacLeay, 1825)【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).八丈
小島(沢田・渡辺,1959).八丈島(神谷・山本,1935;正木,1937;東京都八丈ビジターセンター,2008).【採集記録】青ヶ島:1 ex., 池之沢 , 1–2. VII. 2014,
亀澤洋採集,NLT(野村式ライトトラップ).
13. エゾヒメゲンゴロウ Rhantus yessoensis Sharp, 1891【 文 献 記 録 】 伊 豆 大 島( 神 谷,1938;Kamiya,
1938; 中根,1964).八丈島(川畑,2007;東京都八丈ビジターセンター,2008).【採集記録】八丈島:8exs., [IZ80].【備考】森・北山(2002)によると,北海道以外
では産地は極めて限定的で,伊豆諸島のほかには青森県,宮城県,静岡県,富山県,宮崎県で記録がある.伊豆大島では再確認することが出来なかったが,八丈島では多くの個体を確認した.
14. ハイイロゲンゴロウ Eretes griseus (Fabricius, 1781)
【文献記録】伊豆大島(酒井農園有機日記@伊豆大島,2014).三宅島(渡辺・相馬,1972).八丈島(川畑,2007).
15. シマゲンゴロウ Hydaticus bowringii Clark, 1864【文献記録】八丈島(神谷・山本,1935;正木,
1937;神谷,1938;Kamiya, 1938; 中根,1964;東京都八丈ビジターセンター,2008).
16. コシマゲンゴロウ Hydaticus grammicus (Germar, 1830)
【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).八丈島(東京都八丈ビジターセンター,2008).
17. コガタノゲンゴロウ Cybister tripunctatus lateralis
28 さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16December 2014
(Fabricius, 1798)【文献記録】八丈島(神谷・山本,1935;正木,
1937;神谷,1938;Kamiya, 1938; 中根,1965;東京都八丈ビジターセンター,2008).
ダルマガムシ科 Hydraenidae18 . クロコブセスジダルマガムシ Och theb iu s
granulosus M. Satô, 1963【文献記録】三宅島(Satô, 1963).
19 . ニッポンセスジダルマガムシ Och theb iu s nipponicus Jäch, 1998*
【採集記録】三宅島:25exs.(in alc.), [IZ63].
ガムシ科 Hydrophilidae20. セマルガムシ Coelostoma stultum (Walker, 1858)【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).
21. キベリヒラタガムシEnochrus (Methydrus) japonicus (Sharp, 1873)
【文献記録】八丈島(川畑,2007;東京都八丈ビジターセンター,2008).【採集記録】八丈島:27exs., [IZ80].
22. キイロヒラタガムシ Enochrus (Holcophilydrus) simulans (Sharp, 1873)
【文献記録】八丈島(川畑,2007).
23. フタホシヒラタガムシ Enochrus (Holcophilydrus) umbratus Sharp, 1884
【文献記録】八丈島(神谷・山本,1935;正木,1937;東京都八丈ビジターセンター,2008).
24. シジミガムシ Laccobius (Laccobius) bedeli Sharp, 1884
【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセンター,2008).
25. コモンシジミガムシ Laccobius (Microlaccobius) oscillans Sharp, 1884*
【文献記録】八丈島(川畑,2009).【採集記録】大島:6exs., [IZ20];三宅島:7exs.(in
alc.),[IZ63].御蔵島:4exs.(in alc.), [IZ53].八丈島:3exs., 三原山,8. IX. 2001,川畑喜照採集.【備考】川畑(2009)により八丈島からシジミ
ガムシの一種として記録されている標本は本種であった.
26. コガムシ Hydrochara affinis (Sharp, 1873)【文献記録】三宅島(渡辺・相馬,1972).八丈島(東
京都八丈ビジターセンター,2008).
27. ガムシ Hydrophilus acuminatus Motschulsky, 1853【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセン
ター,2008).
28. ヒメガムシ Sternolophus rufipes (Fabricius, 1792)【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセン
ター,2008).
29. マメガムシ Regimbartia attenuata (Fabricius, 1801)【文献記録】八丈島(神谷・山本,1935;正木,
1937;東京都八丈ビジターセンター,2008).
マルハナノミ科 Scirtidae3 0 . チャイロチビマルハナノミ C o n t a c y p h o n
consobrinus (Nyholm, 1950)*【文献記録】八丈島(川畑,2009).【採集記録】三宅島:7exs.(東京農業大学蔵),
新 澪 池,13. VII. 1964, 渡 辺 泰 明 採 集. 八 丈 島:1ex., 三根,25. II. 2001,川畑喜照採集;1ex., 同所同採集者,11. V. 2003;1ex., 同所同採集者,26. IV. 2003;1ex., 同所同採集者,28. XII. 2000;1ex., 同所同採集者,17. XII. 2000;1ex., 同所同採集者,10. XII. 2000;1ex., 八丈富士,30. V. 2001,川畑喜照採集;1ex., 大賀郷,10. II. 2001,川畑喜照採集;1ex., 三原山,10. VIII. 2002,川畑喜照採集;1ex., 同所同採集者,8. IX. 2001.【備考】川畑(2009)により Cyphon sp. として記
録されている標本は本種であった.
3 1 . コ キ ム ネ マ ル ハ ナ ノ ミ S a c o d e s n a k a n e i (Klausnitzer, 1973)
【文献記録】八丈島(川畑,2009)【採集記録】利島:1 幼虫(in alc.),[IZ76].神津
島:4 幼虫(in alc.),[IZ3].御蔵島:7exs., 里,17. V. ~ 19. VI. 2013,亀澤洋採集,WFIT;4exs., 同地,12–16. V. 2013, 亀 澤 洋 採 集,WFIT;2exs., 同 地,13–14. V. 2013,亀澤洋採集,NLT.
ナガハナノミ科 Ptilodactylidae32. オオメコヒゲナガハナノミPtilodactyla ramae
Lewis, 1895【文献記録】八丈島(川畑,2009).
33. コヒゲナガハナノミ属の一種 Ptilodactyla sp.
29さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16 December 2014
【文献記録】八丈島(川畑,2009).
チビドロムシ科 Limnichidae*34. ババチビドロムシ Babalimnichus masamii M.
Satô, 1994*【採集記録】式根島:3exs., [IZ9].神津島:1ex.(目
撃), [IZ2].
ナガドロムシ科 Heteroceridae35. タテスジナガドロムシ Heterocerus fenestratus
Thunberg, 1784【文献記録】御蔵島(沢田・渡辺,1969).
ドロムシ科 Dryopidae36. ムナビロツヤドロムシElmomorphus brevicornis
Sharp, 1888【文献記録】伊豆大島(亀澤・野村,2013).
ヒメドロムシ科 Elmidae*37. ゴトウミゾドロムシ Ordobrevia gotoi Nomura,
1959*【採集記録】御蔵島:4 成虫・4 幼虫(in alc.),[IZ55].
ヒラタドロムシ科 Psephenidae*38. チビヒゲナガハナノミEctopria opaca opaca
図1–6.伊豆諸島の水生甲虫類の生息環境.1–2,三宅島(IZ63)の環境(1)とニッポンセスジダルマガムシ(2);3,御蔵島(IZ55);4–6,八丈島(4:IZ40;5:IZ52のビオトープとその看板(左下);6:IZ80).
30 さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16December 2014
(Kiesenwetter, 1874)*【採集記録】八丈島:5 幼虫(in alc.),[IZ40];5
幼虫(in alc.),[IZ85].
ホタル科 Lampyridae39. ゲンジボタル Luciola cruciata Motschulsky , 1854【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセン
ター,2008;川畑,2009).【備考】川畑(2009)によると 1965 年と 1994 年
に放流されたとのことである.
40. ヘイケボタル Luciola lateralis Motschulsky, 1860【文献記録】八丈島(東京都八丈ビジターセン
ター,2008;川畑,2009).【備考】川畑(2009)によると 1924 年に神奈川
県から放流されたとのことで,近年でも放流されているようである.
考察本報告により,12 科 40 種の水生甲虫類の記録ま
たは生息が確認された.そのうち,3 科 6 種については伊豆諸島初記録であった.各科の概況は以下の通りである.
ミズスマシ科,コガシラミズムシ科およびナガドロムシ科は,文献により各 1 種が記録されているが,最近の記録は知られておらず,現地調査でも確認できなかった.東京都環境局(2011)ではコガシラミズムシとオオミズスマシがそれぞれ絶滅と情報不足として扱われているが,移入もしくは偶産の可能性もあると思われる.
ゲンゴロウ科とガムシ科は,それぞれ 15 種と 10種が確認されているが,分布に疑義があると考えられる種(たとえばシジミガムシ)も含まれており,今後の調査が必要である.また,コガタノゲンゴロウ,シマゲンゴロウ,コガムシ,ガムシなどの大型種については,近年は生息が確認されておらず,現地調査でも発見することができなかった.東京都環境局(2011)のレッドリストには 9種のゲンゴロウと 5 種のガムシが掲載されているが,大型種についてはほとんどが絶滅種として扱われている.全国的に生息地が限られるエゾヒメゲンゴロウが八丈島に多産することは特記される.
ダルマガムシ科は,これまでに 1 種が記録されていたが,新たに 1 種を記録した.両種とも海浜性種であり,淡水域に生息する種は確認されなかった.琉球列島では各島で種分化しているダルマガムシ属 Hydraena や,微小で広域分布を示すミジンダルマガムシ属 Limnebius の種が確認されなかった
のは特徴的である.マルハナノミ科は,幼虫が樹洞に生息するコキ
ムネマルハナノミと,湿地的な環境に生息するチャイロチビマルハナノミの 2 種が確認された.本土域で普通である Scirtes 属の種が確認されていないのは特徴的である.
ヒゲナガハナノミ科はコヒゲナガハナノミ属の 2種が確認されているが,この仲間は幼虫が湿った土壌中に生息するため,厳密な意味では水生甲虫ではない.これらの種については,分類学的に再検討が必要であるため,本報告では記録の再録に留めた.
ドロムシ科は,伊豆大島から 1 種が記録されており,土壌中(落葉層のシフティング)からの発見ということで興味深い発見である(亀澤・野村,2013).しかし,採集地点が 2013 年 10 月に台風 26号の影響で発生した大規模土石流の災害地域に近い場所であることから,再確認は困難かも知れない.
ヒメドロムシ科とヒラタドロムシ科は,これまで伊豆諸島から記録がなかったが,それぞれ 1 種を確認した.海洋島でこれらの科の種が分布することはたいへん特異的なことであると考えられる.しかし,ヒラタドロムシ科については幼虫での確認であることと,確認地点がホタル類の放流地域に近いことから,さらなる調査が必要だと考えられる.いっぽう,チビドロムシ科も伊豆諸島初記録の科であるが,本科の種は海浜性種であり,伊豆諸島における分布は想定内であった.
ホタル科は水生種の 2 種が八丈島に人工的に放流され定着している.餌となる水生貝類も同時に放流されたようだ.
以上のことから,伊豆諸島は水生甲虫類相の貧弱な地域であるが,未解明な部分も残されており,今後新たな発見もあるかも知れない.また,ゴトウミゾドロムシとチビヒゲナガハナノミの生息が確認された御蔵島と八丈島の渓流環境,およびエゾヒメゲンゴロウが生息する八丈島の止水環境は,水生甲虫類の貴重な生息環境として学術的に重要であると考えられる.
謝辞現地調査を行うにあたり,御蔵島と神津島では
許可を受けて調査を行った.川越市の亀澤洋氏,八丈島の川畑喜照氏,東京農
業大学の小島弘昭博士,愛媛大学の酒井雅博博士,小西和彦博士,久松定智博士には,現地調査ならびに文献調査にご協力頂いた.調査許可申請を行うにあたり,みくらしま観光協会の小木万布氏には大変
31さやばね ニューシリーズ No. 16
SAYABANE N. S. No. 16 December 2014
お世話になった.また,原稿をチェック頂いた亀澤洋氏,ホシザキグリーン財団の林成多博士,名古屋市衛生研究所の上手雄貴博士,福岡県保健環境研究所の中島淳博士,北九州市立自然史・歴史博物館の蓑島悠介博士,大阪市の岡田亮平氏,北海道大学の小川直記氏にもお礼申し上げる.
本研究は,科研費(24510333;研究代表者:小島弘昭)の助成を受けて行われた.
引用文献
朝比奈正二郎・梅谷献二,1955.伊豆青ヶ島の昆虫.資源科学研究所年報,(38):153–156.
長谷川澄雄,1984.I. 青ヶ島の動物 (1),147–164.青ヶ島村教育委員会・青ヶ島村勢要覧編纂委員会(編)青ヶ島の生活と文化 .
亀澤 洋,2012.御蔵島よりチャイロチビゲンゴロウを記録.月刊むし,(502):12–13.
亀澤 洋・野村周平,2013.伊豆大島からムナビロツヤドロムシを記録.さやばねニューシリーズ,(9):29.
神谷一男,1938.昆虫綱 , 鞘翅群-鞘翅目 , 龍蝨科 . 日本動物分類 , 10(8–11):i+8+137pp. 三省堂 , 東京 .
Kamiya, K. 1938. A systematic study of the Japanese Dytiscidae. Joural of the Tokyo Nogyo Daigaku, 5: 1–68, 7pls.
神谷一男・山本 玄,1935.八丈島産甲蟲類目録 [ 豆南諸島産昆蟲分布資料 III].昆虫,9(5):228–231.
苅部治紀・須田真一・梅田 孝・林 秀信,2013.伊豆諸島のトンボ.Tombo, Fukui, 55: 99–114.
川畑喜照,2007.伊豆諸島八丈島の甲虫 II.神奈川虫報,(157):27–31.
川畑喜照,2009.伊豆諸島八丈島の甲虫 IV.神奈川虫報,(167):1–9.
記野直人・長谷川洋,2001.日本産クロマメゲンゴロウ類の記録.甲虫ニュース,(134):21–25.
黒澤良彦,1978.神津島天上山のゲンゴロウ.甲虫ニュース,(42):3.
正木十二郎,1937.豆南諸島に於ける昆蟲相に就いて ( 第 1 報 ).昆蟲,11(1–2):80–93.
御蔵島の自然と文化博物館,2014.クロマメゲンゴロウ.(http://mikura-museum.info/nature/result.php?class=ks&id =ks000031)2014 年 11 月 12 日アクセス
森 正人・北山 昭,2002.改訂版図説日本のゲンゴロウ.231pp., 文一総合出版.
中根猛彦,1959.日本の甲虫 (47).新昆虫,(7/8):47–52.中根猛彦,1964.日本の甲虫 (48) げんごろう科(続き).甲
虫学小誌,(1–3):1–12.中根猛彦,1978.伊豆諸島および小笠原諸島に産する若干の
興味ある甲虫類について(新種記載を含む).国立科学博物館専報,(11):155–161.
酒井農園有機日記@伊豆大島,2014.ハイイロゲンゴロウが い ま し た.2009 年 7 月 12 日 付 記 事(http://ssakai-kuroshio.at.webry.info/200907/article_7.html)2014 年 11 月12 日アクセス
Satô, M., 1963. A new inter-tidal species of the genus Ochthebius Leach from Japan. Transaction of Shikoku Entomological Society, 7 (4): 129–132.
沢田玄正・渡辺泰明,1959.八丈小島の昆虫相.農学集報,5(2):47–63.
沢田玄正・渡辺泰明,1969.御蔵島の昆虫相.農学集報,14(1):1–48.
初宿成彦(編),2011.大阪市立自然史博物館 所蔵甲虫類目録(1)-ゲンゴロウ科,ゴミムシダマシ科,ナガクチキムシ類- . 大阪市立自然史博物館収蔵資料目録第 43集.208pp.
東京都八丈ビジターセンター,2008.こめっこ通信,(88),4pp.
東京都環境局,2011.「東京都の保護上重要な野生生物種」(島しょ部)~東京都レッドリスト~ 2011 年版(http://
www.kankyo.metro.tokyo.jp/nature/animals_plants/rare_creature/red_data_book/redlist2011/)2014 年 11 月 12 日 アクセス
渡辺泰明・相馬州彦,1972.三宅島の昆虫相.農学集報,17(1):1–58.
吉富博之,2013.甲虫の幼虫図鑑水生甲虫類(1)概説.昆虫と自然,48(3):34–36.
(2014 年 11 月 17 日受領,2014 年 12 月 10 日受理)
【短報】神奈川県初記録のオオシラホシハナノミオ オ シ ラ ホ シ ハ ナ ノ ミ Hoshihananomia pirika
Kôno は北海道から九州にかけて分布するが,中部・関東地方ではごく局地的に記録されているにすぎない.神奈川県ではこれまで記録がなかったが,次のとおり採集されたので報告しておく.
1♀,相模原市緑区名倉葛原(旧津久井郡藤野町),2. VII. 2014, 服部仁採集(神奈川県立生命の星・地球博物館収蔵予定).
クリの花から採集されたという.本種は本州ではブナ帯で記録されているが,今回の採集地点は標高 250 m 程度であり,周囲の山塊も標高せいぜい 500 m である.八巻(2014)は本種の東京都高尾山における本年(2014 年)の採集例を報告しているが,今回の採集地点から 10 km ほどの距離し
かなく,また同じ低標高地である点で興味深い.本標本は,逗子市の露木繁雄氏を通じて筆者に
もたらされた.採集者の服部仁氏(東京都豊島区)とともに,心からのお礼を申し上げる.
引用文献
八巻 卓,2014.東京都高尾山でオオシラホシハナノミを採集.月刊むし , (525): 63.
(高桑正敏 236-0031 横浜市金沢区六浦 3-16-9)