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課題研究要旨集 Abstractsics/Kaken/synopsis/2018.pdf · 2019-04-04 ·...

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平成 30 年度 課題研究要旨集 Abstracts "Project Study" 2018 情報システム分野 (情報・コンピュータサイエンス分野) Information Systems Course 東京工業大学附属科学技術高等学校 科学・技術科 Tokyo Tech High School of Science and Technology The Department of Science and Technology
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Page 1: 課題研究要旨集 Abstractsics/Kaken/synopsis/2018.pdf · 2019-04-04 · 命令と対象の推論には深層機械学習を用いてい る。これによりユーザの言い方や声色への対応の

平成 30 年度

課題研究要旨集

Abstracts

"Project Study" 2018

情報システム分野

(情報・コンピュータサイエンス分野)

Information Systems Course

東京工業大学附属科学技術高等学校 科学・技術科

Tokyo Tech High School of Science and Technology

The Department of Science and Technology

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目 次

STEM 課題研究

1. トリガ無し音声認識を実装したスマートハウスシステムの開発 ························ 1

2. 3D スキャンによる顔の特徴の検出とその応用システムの開発 ······················ 3

3. 微分積分を中心とした STEM 教育ソフトウェアの開発 ······························· 5

4. モーションキャプチャデバイスによる運動技能向上アシストシステムの開発 ········ 7

SGH 課題研究

5. 孤独死防止のための高齢者見守りサービスの研究 ··································· 9

6. 視覚補助を目的としたベルト型支援デバイスの製作と

ノーマライゼーション社会の実現への提案 ············································ 11

7. 住み続けられるまちづくりへの一提案

~IoT による都市部の緑化~ ·························································· 13

次ページからの著者について

* 情報・コンピュータサイエンス分野 生徒

** 情報・コンピュータサイエンス分野 指導教員

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- 1 -

トリガ無し音声認識を実装したスマートハウスシステムの開発

Smart House System using Speech-Recognition without Triggers

阿部 竜也*,伊藤 柊平*,内河 慶輔*,小倉 周真*,鹿島 匠*,新倉 旭人*,石川 幸治**

1 背景・目的

スマートハウスシステムとは,家電を一元的に

管理するシステムのことである。音声でこれを制

御する既存のシステム(Siri や Google Home な

ど)では命令の開始にユーザがある特定の動作(ト

リガ)を行わなければならない。しかし,照明の

点灯やテレビのオン・オフといった単純な制御に

も,トリガを逐一行う必要があるため,使用者が

煩わしさを感じ,自分で直接制御するようになる,

といったことが発生している(1)。その解決として,

私達はトリガの無い音声認識システムを実装した

スマートハウスシステムの開発を行った。

2 概要

2.1 システム全体の流れ

全体の流れとしては,ユーザが発した命令をマ

イクが検知すると,コンピュータが録音されたデ

ータから命令の推論を行い,処理対象に対応した

Wi-Fi モジュールに処理の実行を命令する,とな

る。本研究では,制御対象を照明,エアコン,テ

レビ,カーテン,扇風機としている。また,ユー

ザが設定した時間に自動的に電気が点いたり,カ

ーテンが開いたりできるように,それを設定でき

るウェブページを作成した。

2.2 トリガ無し命令検知

トリガ無し命令検知は,周辺の音量がある一定

の大きさを超えた時に録音を開始する形で実現を

図る。その際,生活音や会話などの録音されるべ

きでない音と命令との判別が必要となる。

一般的に音量は,振幅-時間のグラフの縦軸であ

る振幅で示される。しかし,振幅の大小で録音を

制御しようとすると,空気との接触音のような急

激な音量の増大も命令とみなし,誤った録音が行

われてしまう恐れがある。男性の声の基本周波数

は 100~150[Hz]であるが(2),それらの雑音はそれ

よりも低い周波数を持つことが実験で分かった。

そこで,波形を周波数領域に変換できる FFT(高

速フーリエ変換)を使用し,得られた振幅スペク

トルを用いることで,低周波数の音を除去した音

の大きさを獲得することに成功した(3)(図 1 参照)。

それ以外の録音されるべきでない音には,テレ

ビ音や会話などが挙げられる(環境ノイズ)。これ

らの音は人の声を含む為,FFT を用いる方法では

対応できない。これは,マイクに入力された直近

2 秒間の音量(FFT で得られた,低音が除去され

たもの)の平均を閾値として用いることで解決を

図った。閾値に周辺音の平均値を用いることで,

環境ノイズを含む周辺音が増大に伴い閾値も上昇

する為,誤検知を減らすことが可能となっている。

マイクが接続された親機は,周辺の低音除去処

理後の音量が閾値を超えたら録音を開始し,下回

ったら録音を終了するという形で,トリガ無し命

令検知を行っている。

2.3 音声認識

命令と対象の推論には深層機械学習を用いてい

る。これによりユーザの言い方や声色への対応の

広範化が期待できる。推論には Tensor Flow(機

械学習用フレームワーク)を用いて作成した CNN

(畳み込みニューラルネットワーク)を用いてい

る(4)。ニューラルネットワークとは,人間の脳の

神経回路を模したもので,画像認識や音声認識な

どの明確な違いが発生しにくい対象の判別に有用

な手段である。一般的な音声データである振幅-時

間で示されるデータは,大量の情報で構成されて

いるため,そのままでは適切に学習することがで

きない。そのため,MFCC(メル周波数ケプスト

ラム係数)を用いて,情報量の削減を行いながら,

特徴量を表した画像に変換し,学習を行っている。

ニューラルネットワークが,入力された情報か

図 1 FFT 後の低音除去のイメージ

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情報・コンピュータサイエンス分野

- 2 -

ら正しい推論を行うには,事前に,入力と正解の

出力がペアとなった教師データを渡し,特徴や傾

向を学習させる必要がある。今回のシステムの教

師データには,10 種類の命令のデータを班員 6 名

が言ったものを 5 つずつ,合計 300 種類を用意し

た。そして,それぞれのデータに対して手拍子や

接触音などの 10 種類の雑音を組み合わせた数千

種類のデータを学習に使用した。

2.4 ハード制御,通信

テレビ,エアコン,扇風機はリモコンから発せ

られる赤外線で制御が行われる。子機に載せた受

光モジュールにリモコンから発せられる赤外線を

当ててパターンを記録し,命令の内容に応じてそ

のパターンを送信し,電源のオン・オフやチャン

ネルの変更を行うことができた。照明については,

電源につながった延長コードを電気的に切断,接

続を行うことで制御を行う。カーテンは,紐で引

く機構を設置することで制御を行う。それぞれの

制御対象に Wi-Fi モジュールを設置し,それらを

用いた無線通信によって機器を制御している。

作成したウェブページは,自動で起動させたい

時間の設定や,遠隔で制御できるリモコンとして

の使用が可能となっている。

3 精度測定と結果

作成したシステムのうち,トリガ無し命令検知

と音声認識は,命令をする人や,声色,環境ノイ

ズの状況などの条件によって結果が左右するため,

不安定なシステムとなっている。そこで,その 2

つのシステムについての精度を計測する。

3.1 音声認識の精度

音声認識システムに命令データを推論させた結

果の精度を調べる。具体的な方法としては,全て

の命令をトリ

ガ有り,トリガ

無しの 2 つの

環境で録音し,

それを音声認

識に入力した

際の結果を用

いて測る。トリ

ガ有りの録音

データは不安

定さのない理

想的なデータなため,トリガ無しのデータがそれ

に対してどの程度の精度を出せるのかも,ここで

検証する。それぞれの結果を表 1 に示す。

結果より,トリガの有無に関わらず,精度はほ

ぼ変わらず,概ね 90%以上の精度を持つことを確

認できる。

3.2 トリガ無し命令検知の精度

様々な周辺音の環境で,トリガ無し命令検知が

どの程度の精度で行われるかを調べる。使用した

周辺音は,無音,40dB の純音,40dB から 60dB

の音量を持つ動画サイト上のニュースで,各周辺

音下で班員 1 人当たり 100 回ずつの命令を行っ

た。

結果,作成したトリガ無し命令検知システムは,

全ての環境において 90%以上の精度を記録した。

4 考察

トリガ無し命令検知,音声認識,各機器制御の

全てを結合した状態で,スマートハウスシステム

としての機能の実行を確認できた。トリガ無し命

令検知は,人の声を含む環境において精度の若干

の低下がみられた。そこで,環境(会話が多い,

少ないなど)ごとに閾値を動的に変化させる事で,

全ての環境において精度を 98%以上にする事が

できた。音声認識の精度において,トリガ有りの

平均値がトリガ無しの 90%信頼区間内にいるこ

とから,「音声認識の精度はトリガの有無に左右さ

れない」と立証できた。その為,トリガを無くし

たことによる精度の低下は起こり得ないと判断で

きる。実際の使用では,仮にトリガ無し命令検知

が誤った録音を行っても,音声認識がそこから命

令を推論しない限りは機器の制御は行われないの

で,より多くのデータを学習させたり,ニューラ

ルネットワークの層を増やして強化させたりする

ことで,誤動作を防ぐことができる。

参考文献

(1) KDDI: 「日本人の音声操作に対する意識調査 2017」, <http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/10/05/2726.html>, (2018,5,3)

(2) 亀井俊智:発声器官の機能情報計測,大阪大学大城研究室, <http://oshiro.bpe.es.osaka-u.ac.jp/thesis/ bachelor/2005/kamei.pdf>,(2018,5,3)

(3) ヒッポファミリークラブ:フーリエの冒険 トランスナショナルカレッジオブレックス編.ヒッポファミリークラブ.2016, 404p~424p

(4) 新村拓也 :TensorFlowではじめるDeepLearning実装入門. Impress, 2018, 208p.

表 1 音声認識の精度

機器 命令 精度(%)

(トリガ有り/無し)

電気 つけて 94 / 92

消して 92 / 93

エアコン つけて 90 / 91

消して 97 / 94

カーテン 開けて 96 / 95

閉めて 83 / 84

テレビ つけて 94 / 93

消して 91 / 88

扇風機 つけて 98 / 96

消して 93 / 98

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3D スキャンによる顔の特徴の検出とその応用システムの開発

Detection of Facial Features by 3D Scanning and

Development of the Application System

飯泉 玲哉*,井上 奨太*,塚田 理江那*,本所 真鞠*,宮川 広大*,吉岡 信太郎*,都留 裕貴**

1 背景・目的

昨今,3D スキャンの技術は企業だけでなく,携

帯電話にも搭載されるなど我々の身近の様々な場

所で活用されている。そこで,顔を検出すること

でその人個人の特徴の生きたアクセサリー,メガ

ネが作れるのではないかと考え,この研究をする

に及んだ。

2 概要

測定の流れとしては,3D スキャンにより顔に

関するデータを取得し,保存する。そのデータを

もとに眼鏡のモデリングを自動で行い,3D プリ

ンタで出力する。特徴量を取得し,データからモ

デリングをすることで,個人にあったメガネを作

ることができると考えられる。3D スキャンに

KinectV2(以下,Kinect とする)という全身を用い

てゲーム機を操作するためのセンサを応用してい

る。また,今回は顔パーツの検出を,容易に行え

る OpenCV と CNN を用いる 2 パターンで進め

た。

3 方法

3.1 特徴の検出

OpenCV と Kinect の Depth センサを用いた測

定は既存の画像認識ライブラリを用いることによ

り開発がしやすく,CNN では Depth センサのみ

をもとに特徴点や実長を求めるため前者に比べて

開発は難しいが,独自性が保たれ,また本質的な

「3D スキャン」と言えると考えたため,この双方

から開発を進めることとした。

3.1.1 OpenCV による検出

眼鏡作成において,検出すべき特徴として顔の

幅,鼻の幅,目から耳までの距離が挙げられる。

まず顔の幅の取得について,Kinect センサから取

得したいデータである骨格情報を指定しておき,

フレームが発生したとき,イベントハンドラにお

いて骨格情報を取得しその中で Face Tracking が

認識している人物を,顔情報の取得元として登録

する。取得できた骨格に対して顔データを取得す

る。センサが新しい顔データを取得するたびに顔

のパーツの座標を取得する。Kinect で顔の左端,

右端の座標を取得し,それをもとに顔の横幅を算

出している。鼻の幅の取得については Kinect HD

Face を用いる。先ほどより詳細な顔の座標群を取

得するために配列の形で取得した座標群のうち,

「鼻の幅」を求めるために取得したい座標に最も

近い点に対応するインデックスを選択して抽出す

る。次に,目から耳までの距離の取得について,

Kinect センサでは,正面からのみ顔のパーツを認

識するため,推定・取得することはできないので

今回はステレオカメラから OpenCV という画像

認 識 ラ イ ブ ラ リ の C# ラ ッ パ ー で あ る

OpenCvSharp を用い検出した。流れとしては,

耳を囲む矩形の頂点の座標と,横顔の輪郭(を構

成する座標)を検出し,(目と耳が同じ高さになる

ように顔の角度を調整し)輪郭の座標群のうち,

目の座標と同じ高さの点と,耳の座標との座標間

距離を計算する。そのうち,耳の座標の検出につ

いては既存の耳のカスケードファイルによって映

像から耳を囲む矩形の左上の頂点の x, y 座標,

幅,高さを検出した。横顔の輪郭の検出は,配列

の形で,横顔を構成する座標群を取得し,この時

点では顔以外の微細な部分の輪郭まで検出されて

しまうので(ノイズ),輪郭で囲まれた面積が 2000

を超える輪郭座標のみを抽出した。また,一つの

輪郭において,全座標でなく,囲む長さの 0.01 倍

の長さの線分(≒精度)で新たに輪郭を構成する

ようにも,座標群を抽出した。

3.1.2 CNN による検出

特徴量として,目の座標,耳の座標,顔の幅を

取得することを考えている。Kinect の距離データ

は縦 424px×横 512px の画像のとして各画素 0~

8000mm で取得できる。耳の情報を取得するため

には正面からだけでなく,顔の左右からも測定す

る必要がある。また正面,側面どちらからでも取

得できる 3 点からの距離を測定することで耳の座

標も他の必要な点と同じ座標系に変換できると考

えた。目,鼻,口角の 3 点を考えている。

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情報・コンピュータサイエンス分野

- 4 -

更に距離データ画像を分割し各画像に CNN を

用いることで,どこの点のデータを取得させるか

を決定できると考えた。現在,教師データを取得

し,正面からのデータを学習させている。

CNN を用いる際に無駄なデータをできる限り

排除するため,距離を取得できる範囲を 500~

750mm のみとし,画像を 256px×256px にトリミ

ングした。また距離画像の決まった座標がエラー

値を返すことがあったのでダウンサンプリングを

行い, 128px×128px とした。そこから更に

16px×16px にトリミングしたものの枠を作り,目

視でそれに合わせて取得するようにした。

16px*16px に細かく分割したもの判定させるこ

とで各部位を検出する。

教師データを増やすために,画像に加工を施し,

1枚の画像を 40 枚にした。「正面から見た,目」

などのラベル1つ毎に 50 枚ずつ集め,2000 枚に

加工した。

3.2 モデリング

最終的に 3D プリンタで印刷できるよう,また

すぐにメガネのモデルを確認できるよう blender

を用いてメガネのフレームを作成する。

blender の PythonAPI を使用し,モデリングを

行う。Kinect で両黒目,耳の座標を取得し,座標

からフレーム間の距離,ツルの長さ,ツルの角度,

耳掛けの角度をそれぞれ求め,入力することで個

人に合うよう変更できるようにした。また,人の

顔は左右対称ではないため,左右別に値を入力で

きるようにした。それに対し,フレームを長軸

5cm 短軸 3cm の楕円,顔に対してのフレームの

角度を 5 度,耳掛けの高さを 2.8cm に固定した。

ツルの部分には関数 tanhθ(0≦θ)を利用したため,

θ の係数で耳掛けの角度,tanhθ の係数で掛かる

部分の長さを細かく調整することが可能になって

いる。また,両耳の高さのズレを緩和するため,

ツルの角度を左右それぞれ調節可能にした。

4 結果と考察

OpenCV を用いて,顔幅や「鼻幅」,「目から耳

までの長さ」の検出に成功した。

CNN を用いて,教師データを基に学習させた

ところ,教師データに対しての正解率が約 50%と

非常に低い値となってしまった。その理由として,

色などでなく顔の起伏から特徴を検出するため目

の特徴が少ないことが考えられる。

眼鏡のモデルを表示することができるようにな

った。

5 今後の課題

検出された結果から,実際の大きさを算出し,

モデリングと統合する。

5.1 OpenCV における課題

Kinect による測定を行うアプリケーションの

起動が遅く,またフリーズが頻発するため,パフ

ォーマンスの向上や,OpenCV による測定を別個

のステレオカメラでなく Kinect をステレオカメ

ラとして用いることで測定全体を通して Kinect

のみで行い,現在,各測定を別々のアプリケーシ

ョンで行っているものを一つのアプリケーション

にまとめる。また,現在用いている既存のカスケ

ードファイルは片耳分しかなく,人の顔は左右対

称ではないから,もう片耳のカスケードファイル

を作成し,両側の「目から耳までの距離」を測定

することを検討する。

5.2 CNN における課題

ニューラルネットワークでは層を深くすること

でより細かい特徴を検出できるようになる。よっ

て層を深くすることで解決していこうと考えてい

る。そのため,部位の検出,同一座標上にするこ

とがまだ出来ていない。今後認識精度を上げると

ともに部位の場所についてのズレを減らしていき

たい。

5.3 モデリングにおける課題

固定している値があるが,両黒目間の長さと顔

幅の両方を考慮してフレームの大きさなども変更

可能なモデルを表示することが今後の課題となっ

ている。

参考文献

(1) 中村恭之,小枝正直,上田悦子:OpenCVによるコンピュータビジョン・機械学習入門

(2) 斎藤 康毅:ゼロから作るDeep Learning Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実践

(3) shimat: GitHub - shimat/opencvsharp:.NET Framework wrapper for OpenCV 入手先〈https://github.com/shimat/opencvsharp〉 [参照 2018/09/27]

(4) メガネ ササガワ:フィッティング〈http://www.sasa-gawa.net/howto/fitting/index.html〉 [参照 2018/09/27]

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微分積分を中心とした STEM 教育ソフトウェアの開発

Creating STEM Education Software of Calculus

糸井 麻夏*,染谷 龍平*,間宮 佑樹*,安田 尚生*,仲道 嘉夫**

1 背景・目的

高校数学の学習指導要領に含まれている単元

の 1 つである微積分は様々な科学技術の基礎にな

る単元である。高等学校の数学の授業において,

この単元に関して公式や計算方法を学習するが肝

心の微積分の概念についてはあまり触れないとい

う点が問題になっている(1)。そこで,私達の班で

は web 上にて直感的に微積分の概念をより理解

することが可能なプログラムを作成するとともに,

それをベースとして,様々な応用に向けた STEM

教育ソフトウェアを開発することを目的として研

究・制作を行った。

2 概要

2.1 教材の構成

今回私達は,オーソドックスに①微積分の単元

に関する説明 ②微積分の問題演習の 2 つから成

る教材を作成した。しかし,通常の説明文と問題

演習では既存の紙媒体の教科書や参考書と大きな

違いはない。そこで,私達は web 上であるという

特徴を生かし,①についてはマウスで操作可能な

グラフを 2 つ作成し,学習の理解が深まるように

した。また,②として,選択式の正誤がすぐ判別

できるアプリを作成して,理解の定着を図った。

これらの機能から,ユーザーがより能動的に学習

を進めることができる教材を作成した。

2.2 微積分の単元に関する説明

私達は,テキストエディタ「Atom」を用いてプ

ログラムの作成を進めた。文章を用いた説明とし

ては,学校で使用している教科書や参考書を中心

に微積分に関する知識を簡単な言葉を用いて説明

した。理解を深めるためのユーザーが操作可能な

グラフ表示機能に関しては,関数がどういったグ

ラフを描くのか,また,微分や積分した関数の概

形などがすぐわかるようにすることで学習を円滑

に進めるために有効であると考えた。1 つ目のグ

ラフ表示機能として,式に数値を入力することに

よってグラフを表示するものを作成した。これは

一次,二次,三次関数を扱うことができ,正負の

数,小数が入力可能である。グラフには HTML の

campas タグを使用して,それに対応するように

javascript でコーティングした(2) (3) (4) (5)。微分に

関する機能として,微分を用いてグラフ上の点を

通る接線を求めることができ,積分に関する機能

として,x 座標をユーザー側が 2 つ指定すること

によって積分を行える。さらに,カーソルをグラ

フ内で動かすと x,y 座標がカーソル位置の座標

に応じて表示されるため,知りたい座標を容易に

知ることが可能である。

次に,2 点を接近させると徐々に直線が接線に

近づく様子を用いることで可視的に微分の概念を

伝えるために,曲線上の 1 点を指定して接線を表

示する機能と指定した 2 点を結んだ直線を表示す

る機能を持つグラフ表示機能を作成した。このグ

ラフも前述したグラフと同様にHTMLの campas

タグと javascript を使用した。

図 2 曲線上に指定した点の接線を

描画したグラフ

図 1 数値入力で表示されるグラフ

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情報・コンピュータサイエンス分野

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2.3 微積分の問題演習

問題演習は微積分の理解の確認,定着に効果的

なものである。今回,web上の問題出題部分では,

問題と選択肢,1 問毎の解答後に評価(正答には

得点,誤答には 0),解説を表示する。選択肢を選

ぶと,解答と解説が表示され,次の問題を表示す

る。学習者が解答の記号を覚えることを避けるた

め,問題はランダムに出題し,それに対応した解

説を表示するために,配列変数を用い問題の要素

を 1 セットにまとめて,それを利用した。正誤判

定は,配列データ内に選択肢と同じ順番で得点を

入れておくことで(選んだ選択肢+選択肢の数番

目で表せる)正答を選んだ場合のみ得点が入るよ

うにした。同様に解説部分も同配列から表示させ

ている。また,2.2 で使用した 1 つ目のグラフ表

示機能をページ内に導入した。そうすることで,

問題のページ内において数値を入力することで問

題に登場した式のグラフを確認できるようにした。

さらに,10 問終了後,記録した点数と合計点を表

示する。

3 結果と考察

今回,基本的な微積分の説明および視覚的な理

解を促すグラフ表示機能,問題演習から成る教材

を作成した。しかし,そのグラフ表示機能には改

善点が多く存在している結果となった。例として,

√や三角関数を含んだグラフを表示できないこと

が挙げられる。これにより,一部の方程式のグラ

フを表示できない。また,問題演習のページに 2.2

で使用した 1 つ目のグラフ表示機能を統合したが,

式の数値を自動的に引きわたせていないので,ボ

タン 1 つ押すことで数値を手動で入力することな

く自動で回答の方程式のグラフを表示する機能を

導入することで,より効率的に学習を行うことが

可能であると考えられる。

4 今後の課題

教材としての質を高めるためには,上記 2 つの

改善点の他に問題出題のページにおける記録の保

存と問題の出題方法の改善が必要であると考えら

れる。記録の保存に関しては,アカウントの作成

を行うことで,問題を解くごとに点数や間違えた

問題の結果などをそのアカウントに記録する機能

を加えることで,使用者の成績の推移などが容易

にわかり,使用者に次に何を学習するべきかを示

すことできると考えられる。また,出題方法の改

善としては,現在は前述したように入力した問題

をランダムで出題しているが,さらに,問題の数

値まで乱数を利用することで,現在以上に問題の

数を増加させることが可能となり,問題をそのま

ま覚えるといったことに対応できる。これらの改

善を行うことによって,より質の高い微積分の教

育ソフトウェアとして発展させることが可能であ

ると考えられる。

参考文献

(1) 太田 邦郎,高等学校の積分指導におけるいくつかの問題 https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/38805/1/108-003.pdf 閲覧:2018/9/27

(2) k.ishiwata, HTML5で作るCanvasアニメーションの基礎 http://www.webopixel.net/javascript/1001.html 閲覧:2018/05/03

(3) HTMLクイックリファレンス, Canvasリファレンス http://www.htmq.com/canvas/ 閲覧:2018/4/19

(4) 羽田野 太巳, Canvas - HTML5.JP http://www.html5.jp/canvas/index.html 閲覧:2018/4/1

(5) w3schools.com, HTML Canvas Text https://www.w3schools.com/graphics/canvas_text.asp 閲覧:2018/5/17

図 3 問題出題画面

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モーションキャプチャデバイスによる 運動技能向上アシストシステムの開発

Developing Assistance for Athletic Ability Improvement System

with Motion Capture 小松 伶綺*,佐藤 神威*,関 優人*,竹内 和輝*,中島 周人*,星川 優太*,都留 裕貴**

1 背景・目的

日本は 2020 年に東京五輪の開催が予定されて

いる。日本社会のスポーツに対する関心は今後高

まり,これをきっかけにしてスポーツ人口の大幅

な増加が見込まれる。その中で,ある技能が上手

くできない人やそのスポーツの初心者である人が

技能向上を図るために上級者の映像を用いること

がある。しかし,目で見るだけでは上級者とどれ

だけ違いがあるか,体のどの部位の動きを修正す

ればよいかなどがわからないことがある。そこで

我々は,体の運動を行う上で重要な部位の動きを

何かしらの方法で数値化し解析することで,効率

的な運動技能の改善が見込めるのではと考えた。

この仮説を基に,本研究ではモーションキャプ

チャデバイスとしてMicrosoft社が開発したXbox

One Kinect センサー(以下 kinect と記述する)を

使用して体のさまざまな部位の位置情報を上級者

とリアルタイムで比較し,自身のパフォーマンス

向上をより効果的に補助するシステムの作成を目

指した。

2 概要

具体的な流れとしては,改善したい技能の手本

のデータをあらかじめ用意しておき,kinect のセ

ンサーを用いて体の各部位の位置座標を 1/30 秒

ごとに x 座標と y 座標別々に取得して Excel に保

存する。このデータと手本のデータをベクトルで

比較し,画面上にズレの状況を色で分かりやすく

処理した後リアルタイムで示すことにより,上級

者とのズレの指摘を行う。これにより,プレーヤ

ー自身と上級者との比較を映像だけの場合より容

易に,かつ専門的な知識を必要とせずに体の動き

を改善することが可能となった。

今回のシステムでは,手本データの取得,手本

データとの比較および判定,判定の数値に基づく

描画の 3 つに分けることができる。以下に詳しい

説明を記す。

2.1 手本のデータの取得

手本のデータは対象とする技能それぞれに必要

とする。そのため,比較を担当するものとは別個

のプログラムであらかじめデータを取得・保存を

しておく必要がある。具体的には,手本のデータ

の取得を行うために上級者に kinect の前で動作

を行ってもらう。プログラムはこの間 30fps で各

部位(頭,首中央,右肩,左肩,肩中央,右肘,左

肘,右手首,左手首,右手先,左手先,右親指,

左親指,背骨中央,右腰,左腰,脊髄,右膝,左

膝,右踵,左踵,右足先,左足先)の位置データの

変化を取得し,Excel の列に部位別および x 座標

y 座標別々に保存している。このデータは Excel

ファイルとして保存され,以下 2.3 に記す比較担

当のプログラムで使用される。

2.2 手本データとの比較および判定

本プログラムでは,あらかじめ取得した手本デ

ータを部位別で配列に入れる作業を使用者に見え

ない形で行っている。その後,パソコン上で「甘

さ」の設定が要求されるが,これは手本データと

の「ズレ」をどこまで許容するかを示す値で,こ

の数値より小さいズレは「アドバイス」の対象と

は認識されず無視される。

「甘さ」の数値を入力後に画面の録画とともに

比較をスタートさせて,対象者の動きを各部位の

位置情報として取得する。同時に手本とのズレを

リアルタイムで Spine Base (脊椎)を基準点とす

るベクトルを使い比較する。さらに手本データの

人との身長差の考慮を行った後の値を「ズレ」と

し,前述した「甘さ」の考慮をさらに行った後に

画面上の描画のデータとして渡される。具体的に

は,甘さの設定値を 25 とした上で,ある瞬間で手

本データの基準点から頭のベクトルの大きさが x

成分で 200,y 成分で 180 とする。測定者の身長

差を考慮した後での大きさが x 成分 y 成分共に

175 であれば,差は x 成分 25,y 成分 5 となり,

y 成分は甘さの値 25 より小さいので「ズレはな

い」とみなされ,x 成分は逆に大きいので「ズレ」

が生じていると判断される。よって,x 成分のみ

アドバイスとして表示される仕組みとなっている。

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情報・コンピュータサイエンス分野

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2.3 アドバイスの表示

アドバイスの表示は音声,メッセージ,画面上

に描画など様々な形での検討がなされたが,今回

はリアルタイムでアドバイスを表示し,かつ対象

者ができるだけパフォーマンスに集中できるよう

にするために,画面上での描画を採用した。

具体的には,ズレの位置を上,下,右,左の 4

区域に分け,argb を利用し各区域に明度,緑,青,

赤を割り振り,斜めも含めズレの方向に応じて色

の 変化,ズレの大きさに応じて色の濃さが

濃くなる(明度に関してはより透明になる)ように

する。なお,これらの判定については,2.3 で記し

た「甘さ」を考慮した後のデータを使用している。

3 結果及び考察

上記理論に基づきシステムを作成し,現時点で

はバスケットボールでのフリースロー,ダンスに

対応させることに成功した。以下の図 1 が本シス

テムの動作で得たアドバイス表示の結果の一例で

あり,リアルタイムでずれている箇所がさまざま

な色の丸で示されている。

表 1 は本システムを使用することにより技能

が改善したかについて実験した結果を示したもの

である。使った技能はバスケットボールのフリー

スローで,バスケットボール部の部員のプレーを

手本のデータとして取得し,その後にバスケット

ボール初心者である我々研究メンバーの 3 人が

実際にシステムを使用することにより技能の向上

が見られるか 9 つの部位の上昇率を算出し考察

した。なお,ここで述べる上昇率は 1 回目と 10

回目の一致率の平均と 40 回目と 50 回目の平均

との差である。しかし,今回は本研究の期間が非

常に短期であるため長期的な計測できず,表のデ

ータからは見ても分かるように必ずしも技能が向

上したとは断定しきれないため,このデータはあ

くまでも参考程度の域を出ない。しかしながら,

アドバイスをより重点的に行った上半身において

は 3 人とも共通して改善がみられることから,

このシステムが初心者の技能向上に一定の貢献は

しているといえる。

4 課題点

まず,プログラムの起動から実行可能までの時

間が長いことがあげられる。これは手本データを

Excel から取り出す作業が影響していると思われ,

実行自体に影響は出ないが長時間のデータを取れ

ばそれだけ時間もかかってしまい,何らかの形で

改善するべきだと考えている。

さらに,本システムは短距離走など展開が早く

プレーが広範囲に及ぶ競技や水中で行う競技は,

kinectの性能上対応ができないなどかなり競技が

限定されてしまうことも課題である。こちらは計

測方法を工夫するなどしてある程度改善はすると

考えている。

参考文献

(1) DOBON!. : MIDI,MP3などの音楽ファイルを再生する - .NET Tips (VB.NET,C#...),DOBON.NET(オンライン),入手先<https://dobon.net/vb/dotnet/programing/playmidifile.html>[参照2018/08/17]

(2) ni4muraano :【WPF】 簡易動画プレーヤーを作成する - 旅行好きなソフトエンジニアの備忘録,旅行好きなソフトエンジニアの備忘録(オンライン),入手先<http://ni4muraano.hatenablog.com/entry/2017/07/30/170831> [参照2018/08/19]

(3) Microsoft : SendKeys.Send(String) Method (System.Windows.Forms),Microsoft Docs(online),available from < https://docs.microsoft.com/ja-jp/dotnet/api/system.windows.forms.sendkeys.send?redirectedfrom=MSDN&view=netframework-4.7.2#System_Windows_Forms_SendKeys_Send_System_String_ >[accessed 2018/08/18]

(4) Microsoft : MediaElement(再生,一時停止,停止,ボリューム,および速度)を制御する,Microsoft Docs(オンライン),入手先<https://docs.microsoft.com/ja-jp/dotnet/framework/wpf/graphics-multimedia/how-to-control-a-mediaelement-play-pause-stop-volume-and-speed>[参照日2018/08/05]

(5) Whoopsidaisies : C#でキーボード操作する(SendKeysクラスによる方法),whoopsidaisies's diary(オンライン),入手先<whoopsidaisies.hatenablog.com/entry/2013/11/27/222127>[参照日2018/08/17]

表 1 フリースローの技能向上状況

単位:%

頭 左肘 右肘 左手首右手首 左膝 右膝 左踵 右踵

Aさん -3.93 5.18 14.9 5.42 22.3 -12.4 -6.68 -17.0 -11.1

Bさん 6.51 -4.27 29.4 4.10 9.35 16.6 26.7 21.6 26.5

Cさん 1.91 7.05 14.1 -11.2 9.53 5.95 3.59 -2.79 -4.59

図 1 動作の様子

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孤独死防止のための高齢者見守りサービスの研究

The Elderly Watching Service for Solitary Death Prevention

朝田 有希子*,小島 颯*,中道 恵将*,樋口 れみ*,松居 岳*,渡部 大地*,仲道 嘉夫**

1 背景・目的

近年問題視さ

れている孤独死

者数は日本の超

高齢社会化に伴

い,図 1 の通り

右肩上がりに増

加している(1)。孤

独死は高齢者の

みに限って起こ

るものではない

が,高齢者の割

合が多いことが

報告されている

(2)。私達の班は,希薄になったコミュニティによ

って生じる高齢者の異変察知・遺体発見の遅れを

防ぐ策として,日常生活の中から抽出できる情報

をもとにした見守りサービスの実現を考えた。現

在実用化されているシステムの多くはプライバシ

ー面に配慮がなく不快感を持たれるシステムが多

い(3)。したがって,プライバシー面の配慮と並行

して見守りができるシステムを構築する必要があ

る。

2 システム概要

プライバシー面の配慮として,時計機能等の実

用的な機能を備え,必要最低限のセンサを用いた

システムを制作することで不快感を軽減できるの

ではないかと考えた。

実際に作成したシステムについて図 2 に示す。

ハードウェアは親機と子機の二種類を制作した。

子機は Wi-Fi モジュールを使用し,家の離れた場

所でデータを取得する。取得したデータは親機で

ある Raspberry Pi に送信する。データ取得のた

めに光センサと温湿度センサ,ドアセンサを設置

した。データは見守る方が,どのような環境でも

参照できるよう 3種(Web, Android, iOS)のソフト

ウェアを作成した(4) (5) (6)。

3 ハードウェア開発

3.1 子機側システム開発

子機側では①エアコンの操作,②各データの取

得,の 2 種類のプログラムを制作した。

①について,アプリケーション側から Wi-Fi モ

ジュールに対してリクエストされるごとに,それ

に応じた信号を赤外線 LED で発信する。エアコ

ンのメーカーによって,赤外線リモコンの通信フ

ォーマットが異なるため,使用する家庭のエアコ

ンに合わせて,プログラム内の信号を書き変える

必要がある。②は Wi-Fi モジュールを用いて各セ

ンサの動作制御を行い,読み取ったデータはネッ

トワークを介して親機に送信する。

3.2 親機側システム開発

親機側では①気温データ収集,②危険時に高齢

者に警告,③高齢者に便利な機能を提供,④制御

信号の中継,の 4 種のプログラムを制作した。①

について,計測データをグラフ化し,1 日ずつ分

けて保存した。②について,危険を察知できるよ

う音と光による警告を行った。光警告は温度によ

って光の色を変えて行う。音警告はあらかじめ用

意した音声を危険時に再生することで注意を促す。

③について,時計機能,目覚まし機能,天気予報

機能を実装した。④について,外部のサーバーか

らデータを取得し子機に送信する。

図 2 システム概要

図 1 孤独死者数の推移

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情報・コンピュータサイエンス分野

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4 アプリケーション開発

アプリケーションは危険時にどのような環境で

も見守る方が情報を取得できるよう,Android 版

と iOS 版,Web 版を開発した。Android 版では環

境は Android Studio を iOS 版では Xcode を Web

版では html, python を使用した。アプリケーショ

ンの UI は OS によって形態が異なってくるが,

備えている機能は基本同じである。作成したソフ

トウェアの UI を図 3,図 4,図 5 に示す。作成し

たソフトウェアでは①取得したデータの確認②電

子機器の制御,を行うことができる。①では,直

近 4 時間で取得した 1 時間ごとの気温データと,

サーバーにおけるそれらの更新時間を確認するこ

とができる。Android では起動時,iOS では所定

のデータ更新ボタンを押下時,Web では一時間毎

にデータ更新が行われる。②ではエアコン等の電

子機器の電源の ON/OFF や室温を設定し外部か

ら遠隔操作を行う事ができる。送信ボタンを押す

事で設定した情報を json に渡して指定した URL

に送信する。それを親機が受信して子機の赤外線

信号で操作する。

Web アプリケーションは複数の見守る方が情

報を取得できるようログインによる認証を行った。

見守りシステム内で取得したデータは,

RaspberryPi を介して,危険かどうかの判断を行

う。その後,危険通知のデータと共に json データ

に格納され,外部のサーバーに送信される。各ア

プリケーションはサーバーの指定した URL にア

クセスし,json データを各言語の構造体にそれぞ

れ変換することでデータの受け渡しを完了させる。

ここでアプリケーションに受け渡す json データ

は気温データと緊急通知データのみに設定するこ

とで,高齢者のプライバシーに配慮した設計とな

っている。

5 現在までの成果

家の中の複数のセンサからデータを取得し,精

査した情報をアプリケーション上で表示すること

に成功している。また,アプリケーション側から

電子機器の制御信号を送信することで,エアコン

の状態を制御できる。高齢者においては,複数の

便利な機能を付与することで不快感を軽減するこ

とができた。

6 今後の展望

蓄積データから危険と判断する条件等を精査し

実用化を目指す。また,現在の条件ではログイン

した見守る方がすべての情報を見ることができる。

よって,ある一定の基準を設けて情報のレベル分

けを行って情報を公開していくことで,プライバ

シーを維持しながらシステムだけでなく,多くの

人による見守りが可能になるのではないか。

また,私達の考えたサービスは日本の高齢者に

焦点を当てたものである。しかし, 孤独死の問題

はグローバルな視点から考えたとき,文化や制度

の違いによって人々に受け入れられる解決方法が

異なるのが事実である。今後は日本の高齢者以外

の人々にとっての有用性の確保,また世界で活用

できるサービスの構築の研究が必要である。 参考文献 (1) 東京都福祉保険局東京都監察医務院, 東京都 23 区

内における1人暮らしの者の死亡者数推移(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansatsu/kouza.files/19-kodokushinojittai.pdf) [参照日2018/09/27]

(2) 日本少額短期保険協会, 年齢階級別孤独死発生数 (http://www.shougakutanki.jp/general/info/2015/news20160310.pdf) [参照日2018/09/27]

(3) 東京ガス, 高齢の親を持つご家族向けの調査(https://home.tokyo-gas.co.jp/service/mimamori/ article04.html) [参照日2018/09/27]

(4) yuki, Raspberry Pi3(ラズベリーパイ3)とDHT11の温湿度センサーを使って室温を測定してみよう (https://yuki-no-yabo.com/measure-temp-usingdht11/) [公開日2017/12/06]

(5) _kazuya, Raspberry pi 3 で部屋の赤外線受信できる機器をコントロール!(https://qiita.com/_kazuya/items/62a9a13a4ac140374ce8)[公開日2017/04/23]

(6) 赤外線リモコン信号受信・送信(http://www.feijoa.jp/laboratory/raspberrypi/infrared/)[参照日2017/06/01]

図 3 Android 画面

図 4 iOS 画面 図 5 Web 画面

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視覚補助を目的としたベルト型支援デバイスの製作と ノーマライゼーション社会の実現への提案

Suggestion of Normalization Society and

Production of Belt-Type Device for Visual Support 五十嵐 慧斗*,越後 光太*,關根 基*,蛭田 陸*,廣川 赳丸*,村上 幸乃*,西澤 吉郎**

1 背景・目的

私たちは現在,盲導犬不足という問題を抱えて

いる。2017 年時点で盲導犬を必要としている人の

数は約 3000 人であり,それに対して盲導犬は

1000 頭にも満たず,約 2000 人の視覚障害者は盲

導犬なしですごしている(1)。そこで,情報的観点

からのアプローチとして,盲導犬が借りられてい

ない人向けに視覚補助デバイスを製作することが

問題解決の糸口になると考えた。よって私たちは,

安価であること,量産可能であることを条件とし

たベルト型支援デバイスの製作とノーマライゼー

ション社会の実現への提案を目的として研究を行

った。

2 理論

本デバイスは視覚補助を必要とする人とその介

助者が使用することを想定し,以下のような機能

を実現する。

2.1 ベルト型装置

デバイスに取り付けたカメラと Raspberry Pi(2)

により写真撮影および画像認識を行い,横断歩道

や階段などの障害物を検知した上で,音声により

周囲の状況説明を行う。そしてセンサにより前方

の障害物までの距離を検知する。更に,GPS によ

って現在地を測位している。

2.2 リストバンド型振動装置による情報提示

視覚補助を必要とする人に対し,腕部に振動ア

クチュエータを取り付ける。視覚情報を触覚情報

に変換してフィードバックを行う。

2.3 介助者が現在の状況を確認できる機能

スマートフォンやパソコンなどから専用 web

ページにアクセスし,カメラで撮影された写真と

現在位置の情報を表示する。写真・現在位置とも

に数秒間隔で更新を行い,リアルタイムでの情報

確認を可能とする。

3 方法と結果

3.1 画像認識部門

画 像 認 識に つ い ては Microsoft Computer

Vision API を用いて,その画像のタグを取得し,

それをもとに前方に何があるかを判別している。

このタグは JSON(3)形式で返ってくるので,これ

を python の辞書型(4)へ変換し,その要素を検証

することで振動や音声による出力を行っている。

今回の課題研究では対象物を駅の改札,信号,階

段や横断歩道など,視覚に障害を持っている人た

ちにとって必要最低限,なくてはならない情報を

読み込んでいる。

3.2 フィードバック部門

3.2.1 音声合成について

身近な環境を使用者に伝えるために Open

JTalk(5)という隠れマルコフモデル方式の Linux

の音声合成エンジンを用いている。これを google

翻訳で日本語へ変換し,その言葉を ALSA

(Advanced Linux Sound Architecture)で出力す

ることで Raspberry Pi での音声による状況説明

を可能にしている。

3.2.2 リストバンド型振動装置

リストバンド型振動

デ バ イ ス の 制 御 に は

Arduino を使用した。親

機である Raspberry Pi

と子機の Arduino との

無線通信には ZigBee 規

格 の 無 線 モ ジ ュ ー ル

TWELITE を採用した。

また,デバイスの基板を設計し小型化を図った。

無線モジュール,加速度センサ,圧電スピーカを

搭載し,複数の振動アクチュエータの制御を行う

ことができる。複数の振動によって視覚情報を触

覚に置き換えて使用者にフィードバックされる。

3.2.3 ベルト型装置

このデバイスに Raspberry Pi を取り付けるた

めのケースを 3DCAD で設計し,3D プリンタを

図 1 作成した基板

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情報・コンピュータサイエンス分野

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用いて出力した。

そして,Raspberry Pi 用シールド基板を作成し,

GPS モジュールや赤外線センサを取り付けてい

る。

3.2.4 GPS について

Raspberry Pi に GPS モジュールを接続し,シ

リアル通信で緯度,経度を受信している。Google

Geocoding API V3 が python 環境で動作する

pygeocoder モジュールでこのデータを住所に変

換し,使用者に位置情報を伝えている。

3.3 マップ表示

Raspberry Pi 上に WebiOPI というフレームワ

ークを用いて Web サーバを構築し,同 Wifi 環境

内で Web ページを表示している。Web ページは

主に次の機能からなる。

GPS モジュールから得られた緯度,経度情報か

ら,Google Maps API を用いてグーグルマップに

表示する。緯度と経

度が一定以上変化

のあった場合は再

読み込みを行う。そ

して,目的地を設定

すると現在地から

の経路を表示する

機能も実装した。

3.4 検証

3.4.1 検証方法

交差点,駅前,学

校内のそれぞれの

地点で実際にデバ

イスを装着し検証

した。それぞれ音

声,リストバンド

から得られる情報を確認した。

3.4.2 検証結果

交差点では,画像処理により信号や横断歩道を

識別することができた。駅前では,階段は認識す

ることが難しかった。また,屋内においても階段

の認識は難しかった。だが,それ以外の情報は音

声を通して被験者に伝わり,ある程度の状況把握

ができた。

4 考察

検証を行うことによって実際にデバイスを使う

ことの問題点が浮き彫りになった。例えば,画像

認識に時間がかかり,周辺の情報を伝達するのに

遅延があること。また,認識率に偏りがあること

が挙げられる。これらの問題は画像認識の精度を

向上させることで解決すると思われる。

GPS については天候に左右される,屋内での座

標の取得が難しいといった問題点が得られた。こ

れは最後に得られた情報を記憶しておき,再びデ

ータが取得できるまでそのデータを保持するとい

った解決法が考えられる。

リストバンド型デバイスは赤外線センサが正確

ではないために距離によって条件を分岐させるこ

とができなかった。より詳細な処理を行うことで

安全性が向上すると考えられる。

そして,このシステムは拡張性が高く,子供の

見守りや老人の徘徊防止にも使用できると考えら

れる。

5 ノーマライゼーション社会の提案

盲導犬を利用した場合,街を歩くことは可能で

あっても,動物を連れて動かなくてはいけないと

いう点で障害のない人と差が生まれてしまう。だ

が,このデバイスを用いることで視覚に障害があ

る人であっても障害のない人と同じように駅や都

市部を歩く事ができ,場所の情報を得る事ができ

る。したがって,このデバイスは視覚障害者の方

が社会に参加することを支援するものとなり,ノ

ーマライゼーション社会を実現する一つのきっか

けになるであろう。

参考文献

(1)公財日本盲導犬協会:盲導犬と歩く,日本盲導犬協会50周年記念誌 入手先<https://www.moudouken.net/special/50th/anniversary_book.php>(オンライン)[参照日 2018/09/13]

(2) Tutorial:Using Serial devices Bridging Raspberry Pi & Arduino 入手先<http://webiopi.trouch.com>(オンライン)[参照日 2018/06/06]

(3) Python Software Foundation: JSON エンコーダおよびデコーダ 入手先<https://docs.python.jp/3/library/json.html>(オンライン)[参照日2018/06/06]

(4) PythonWeb:辞書(ディクショナリ) 入手先<https://t.co/xJzkG7q2dM>(オンライン)[参照日2018/06/06]

(5) Open JTalk:HMM-based Text-to-Speech System 入手先<open-jtalk.sp.nitech.ac.jp/>(オンライン)[参照日 2018/06/06]

図 2 マップの表示例

図 3 検証の様子

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住み続けられるまちづくりへの一提案 ~IoT による都市部の緑化~

A Proposal for Sustainable Cities and Communities:

Greening Cities by IoT 黒嶋 孝嗣*,高木 洋明*,手塚 樹*,道藤 涼太*,近藤 千香**

1 背景・目的

現在,世界人口の半分以上が都市部で暮らして

いている。2050 年までに,都市人口は 65 億人と,

全人口の 3 分の 2 に達する見込みとなっている

(図 1)。

都市開発とはもともと人が住んでいなかった森

林を伐採して,その場所にひとが住みはじめるこ

とだ。これが現在世界中で進行しており,都市化

は地球温暖化の一因である。また,緑地の減少や

アスファルトやコンクリート面の増加により都市

部では平均気温が年々上昇している。その影響に

より冷房の使用が増加する。冷房を使用すると温

室効果ガスが排出されるのでこれも地球温暖化を

進める原因だとわかる。都市部に住む人々こそ,

地球環境に関心を持つべきである。

それと同時に都市部の人口増加を利用して各家

庭で植物を育てたとすると, もとの森林面積に戻

すほどの絶大な効果は得られないが,身近に植物

を設置することにより人々の意識を向けることが

できるだろうと考えた。

以上のことから,私たちは住み続けられる街づ

くりの一提案として都市部の各家庭に植物を設置

し,IoT による植物育成システムの開発をする。

地球環境に絶大な影響は与えられずとも都市部の

人々の意識,関心を地球環境に向けさせることに

意義があると考える。

2 概要

今回の研究では,栽培所要日数や季節を考慮し

て水菜を栽培することにした。

2.1 ハードウェア

まずハードウェアとして土壌センサを回路を経

由して Raspberry Pi に接続させた。その接続回

路図を図 2 に示す。

図 2 土壌センサ接続回路図

2.2 ソフトウェア

水菜を栽培するにあたり,土壌センサで土の水

分を測定し,水やりが必要になったら LED が赤

く光るようにした。水やりが必要と判断するしき

い値を決めるにあたり,土壌センサを水に浸した

時の値,乾いた土に入れた時の値をそれぞれ 5 回

測定した。また土壌センサの分解能は 10bit(0~

1023)である。表 1 より,800 を下回るとき水やり

が必要とみなすことにした。

栽培のプログラムは Python を利用し,シェル

スクリプトで土壌センサの値を測定するプログラ

ムを呼び出し,測定結果を読み取る。測定値が 800

以下だったら Raspberry Pi の GPIO から hi(5V)

を出力させるプログラムにした。

図 1 人口増加グラフ

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表 1 土壌センサの測定値

回数 乾いた土 浸水状態

1 542 900

2 525 900

3 627 876

4 516 862

5 513 859

平均 544 879

次にリアルタイムで土壌センサの値と,Web カ

メラによる映像を表示する Web ページは html を

用いて作成した。手順としては Apache により

Web ページを開設,motion による Web カメラに

よるリアルタイム映像の表示,リアルタイムの土

壌センサの値を表示という手順で作成した。図 3

に Web ページを示す。

また,土壌センサの値は順次累積され,別に保

存するようにした。

以上のことをまとめると図 4 のようになる。

3 結果と考察

今回の実験では,雨水を遮断するため,プラン

ターを室内に設置した。LED が赤く光った時だけ

水を与えるようにした結果,毎日水は与えず 2,3

日に 1 回程度のペースで水を与えることになった。

図 5 から最終的には図 6 のように成長した。

今回設定した土壌センサのしきい値により植物

を育てることは可能だということが分かる。

実験を通して,水やりのタイミングを明確に知

ることができ,植物を育てる難易度が下がったよ

うに感じた。

4 今後の課題

今回は検証回数が少なく,期間が短かったため,

さらに時間をかけて実験データを積み重ねる必要

がある。今回の実験で,水

菜は正常に育ち,このシ

ステムで植物の栽培が可

能だとわかった。本研究

の目的は人々の意識を地

球環境へ向けることなの

で,文化祭でアンケート

を行い,人々の環境への

意識を変化させる取り

組みを実践した結果、図 7 のように環境への意識

向上が見込めることが明らかになった。

参考文献

(1) 環境省自然環境局 自然環境計画課 :環境省_自然環境局【森林対策】-世界の森林の現状,入手先 〈 https://www.env.go.jp/nature/shinrin/index_1_2.html〉[参照2018/05/31]

(2) 国連開発計画:目標 11:住み続けられるまちづくりを | 国連開発計画(UNDP),入手先 〈http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-11.html〉[参照2018/06/07]

(3) ㈳国際農林業協働協会(JAICAF): 世界森林資源評価 2010 - 国際農林業協働協会,入手先 〈 http://www.jaicaf.or.jp/fao/publication/shoseki_2010_4.pdf〉[参照2018/06/07]

(4) 国連人口部,World Urbanization Prospects : the 2007 Revision Population Database,入手先 〈http://www.un.org/esa/population/publications/wup2007/2007WUP_Highlights_web.pdf 〉 [ 参 照2018/06/07]

図 5 水菜写真 1 図 6 水菜写真 2

図 3 Web ページ

図 4 システムの構成

制御基板

図 7 アンケート結果


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