+ All Categories
Home > Documents > 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly...

海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly...

Date post: 18-Jan-2021
Category:
Upload: others
View: 0 times
Download: 0 times
Share this document with a friend
56
海外食料需給レポート (Monthly Report:12月) 平成26年12月25日
Transcript
Page 1: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

海外食料需給レポート

( M o n t h l y R e p o r t : 1 2 月 )

平成26年12月25日

Page 2: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

目 次【利用上の注意】 …………………………………………

概要編

1 2014/15年度の国際的な穀物需給の概要 …………… 12 2014/15年度の国際的な油糧種子需給の概要 ……… 23 各国における輸出規制の動き ………………………… 3(資料)1 穀物の生産量、消費量、期末在庫率の推移…………… 42 穀物等の国際価格の動向(グラフ)…………………… 53 平成26年4月以降の食品小売価格の動向……………… 64 世界の小麦生産量と輸出量/日本の輸入量 …………… 75 世界のとうもろこし生産量と輸出量/日本の輸入量 … 86 世界の大豆生産量と輸出量/日本の輸入量 …………… 9

品目別需給編

Ⅰ 穀物1 小麦(1) 国際的な小麦需給の概要 ………………………… 1(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア 米国 ……………………………………………… 2イ カナダ …………………………………………… 3ウ 豪州 ……………………………………………… 4エ EU ……………………………………………… 5オ 中国 ……………………………………………… 6カ インド …………………………………………… 7キ ロシア …………………………………………… 8ク ウクライナ ……………………………………… 9ケ カザフスタン …………………………………… 10コ アルゼンチン …………………………………… 10

2 とうもろこし(1) 国際的なとうもろこし需給の概要 ……………… 11(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア 米国 ……………………………………………… 12イ 中国 ……………………………………………… 14ウ アルゼンチン …………………………………… 15エ ブラジル ………………………………………… 16オ EU ……………………………………………… 17カ ウクライナ ……………………………………… 18

3 大麦(1) 国際的な大麦需給の概要 ………………………… 19

(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア 豪州 ……………………………………………… 20イ カナダ …………………………………………… 20ウ 米国 ……………………………………………… 21エ ウクライナ ……………………………………… 21オ EU ……………………………………………… 21カ ロシア …………………………………………… 21

4 米(1) 国際的な米需給の概要 …………………………… 22(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア 中国 ……………………………………………… 23イ インド …………………………………………… 24ウ タイ ……………………………………………… 25エ ベトナム ………………………………………… 26オ 米国 ……………………………………………… 27カ フィリピン ……………………………………… 28キ インドネシア …………………………………… 28ク ブラジル ………………………………………… 28ケ 豪州 ……………………………………………… 28

Ⅱ 油糧種子1 大豆(1) 国際的な大豆需給の概要 ………………………… 29(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア 米国 ……………………………………………… 30イ ブラジル ………………………………………… 31ウ アルゼンチン …………………………………… 31エ パラグアイ ……………………………………… 33オ カナダ …………………………………………… 33カ 中国 ……………………………………………… 34

2 なたね(1) 国際的ななたね需給の概要 ……………………… 35(2) 主要生産・輸出国等の需給状況ア カナダ …………………………………………… 36イ 豪州 ……………………………………………… 36ウ ウクライナ ……………………………………… 37エ EU ……………………………………………… 37オ 中国 ……………………………………………… 38

今月のトピックス・ロシアの輸出規制懸念の背景…………………………… 1

表紙の写真:アルゼンチン北部 サンタフェ州収穫間近の小麦畑 (2014年11月27日撮影)

写真提供:Pedro Lavignolle

Page 3: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

【利用上の注意】

海外食料需給レポート(Monthly Report)は、在外公館からの情報、農林水産省が独自に各国の現地コンサルタント等を通じて入手した情報、公的機関(各国政府機関、FAO、IGC等)の公表資料、Oil World等民間の調査会社から購入した資料、その他、商社情報や新聞情報等から入手した情報を農林水産省の担当者において検証、整理、分析したものです。

○ 海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに発表した情報を引用しています。

さらに詳細なデータ等が必要な場合は、米国農務省のホームページを参照願います。http://www.usda.gov/wps/portal/usda/usdahome?navid=AGENCY_REPORTS

主な参考資料「World Agricultural Supply and Demand Estimates」 http://www.usda.gov/oce/commodity/wasde/「Grain:World Markets and Trade」 http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1487「Oilseeds:World Markets and Trade」 http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1490「World Agricultural Production」 http://usda.mannlib.cornell.edu/MannUsda/viewDocumentInfo.do?documentID=1860

「PS&D」 http://www.fas.usda.gov/psdonline/psdquery.aspxなど

○ データは予測値であり、毎月各種データの更新を受けて改訂されますので留意してください。

○ 資料原典で表示されるブッシェル及びエーカー等の単位は、それぞれトン及びヘクタールに換算して記載しています。

○ 資料原典において現地通貨で表示される金額を円換算するにあたっては、日本銀行国際局・財務大臣公示の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場(平成26年12月中において適用される)等の換算レートを用いています。

○ 市場年度は、おおむね各国で作物が収穫される時期を期首として各国ごとに設定されているため、国、作物によって年度の開始月は異なります。

なお、各国別、作物別の市場年度は、米国農務省によります。http://www.fas.usda.gov/psdonline/psdAvailability.aspx

○ 期末在庫率の対前年度増減率の欄は、前年度とのポイント差。なお、表示単位以下の数値により計算しているため、表上では合わない場合があります。

○ 本資料の引用等につきましては、出所(農林水産省発行「海外食料需給レポート(Monthly Report)」)を併記願います。

資料内に掲載されている写真については、特に断りがある場合を除き、版権は農林水産省に属するものとします。

Page 4: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

○ 各品目の世界の需給表掲載国については、米国農務省の需給報告が新年度に切り替わる5月時点で、各項目別に過去3年平均の上位7カ国を選定し記載しています。

○ 本レポートの電子版は下記アドレスでご覧になれます。

農林水産省 海外食料需給レポート

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/index.html

○ 本資料に関するご質問、ご意見等は、下記までお願いします。

連絡先 農林水産省大臣官房食料安全保障課TEL:03-3502-8111(内線3805)FAX:03-6744-2396

本文中の略称について

FAO 国連食糧農業機関IGC 国際穀物理事会USDA 米国農務省AAFC カナダ農務農産食品省ABARES 豪州農業資源経済科学局CONAB ブラジル食料供給公社MAGyP アルゼンチン農牧漁業省

世界各国の穀物等の作付・生育状況、作柄等の食料需給に関する情報提供を目的として、農林水産省食料安全保障課公式フェイスブック「海外食料需給インフォメーション」を開設しました。

「海外食料需給インフォメーション」https://www.facebook.com/zyukyu.jouhou

Page 5: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

概要編

Page 6: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 1 -

1 2014/15年度の国際的な穀物需給の概要

<米国農務省の見通し>

○2014/15年度の穀物需給(予測)のポイント穀物全体の生産量は前年度より減少して24.7億トンとなるものの、消費

量24.5億トンを上回る見込み。この結果、期末在庫量は前年度に比べ増加し、期末在庫率も21.2%と上

昇する見込み。

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比

世界の穀物全体の生産量は、小麦、とうもろこしで増加するものの、大麦、米で減少し、史上最高となった前年度を下回る見込み。

品目別には、小麦は、カナダ、豪州、米国で減少するものの、収穫面積の増加や単収の上昇等により、EU、ロシア、中国等で増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。とうもろこしは、ウクライナで単収低下等により減少、ブラジル、アルゼンチン等でも減少するものの、収穫面積の増加等により、米国、EU等で増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。大麦は、収穫面積の減少や単収の低下から、トルコ、カナダ、豪州等で減少し、前年度を下回る見込み。米は、中国等で増加するもののインドで減少し、世界全体では前年度を下回る見込み。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の穀物全体の消費量は、大麦で減少するものの、小麦、とうもろこし、

米で増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。品目別には、小麦は、飼料用需要が米国で減少するものの、EU、中国等

で増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。とうもろこしは、飼料用需要が米国、中国等で増加することから、史上最高となった前年度を上回る見込み。米は、中国、インドネシア等の需要増から増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の穀物全体の貿易量は、大麦で増加するものの、小麦、とうもろこし、

米で減少することから、3.5億トンと前年度を下回る見込み。品目別には、小麦は、米国、EU等の減少により、とうもろこしは、米国、

アルゼンチン等の減少により、輸出量がそれぞれ前年度を下回る見込み。米は、タイ等で増加することから、輸出量が前年度を上回る見込み。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の穀物全体の期末在庫量は、生産量が消費量を上回ることから、前年

度より増加して5.2億トンとなり、期末在庫率も21.2%と上昇する見込み。

表-1 世界の穀物需給(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

穀物計 2,266.1 2,472.0 2,472.7 4.1 0.0

小麦 657.9 714.8 722.2 2.3 1.0

粗粒穀物 1,136.3 1,280.4 1,275.3 1.6 ▲ 0.4

(とうもろこし) 868.0 989.3 991.6 1.3 0.2

( 大 麦 ) 129.8 145.2 139.4 ▲ 0.4 ▲ 4.0

米 471.9 476.9 475.2 0.2 ▲ 0.3

穀物計 2,284.3 2,423.8 2,453.2 2.4 1.2

小麦 679.7 703.9 712.6 ▲ 0.1 1.2

粗粒穀物 1,136.0 1,239.7 1,257.7 2.5 1.4

(とうもろこし) 864.7 954.3 972.2 0.4 1.9

( 大 麦 ) 131.7 141.4 140.6 0.7 ▲ 0.6

米 468.6 480.2 482.9 ▲ 0.1 0.6

穀物計 806.6 869.4 899.5 2.5 3.5

小麦 137.1 130.3 139.2 ▲ 0.7 6.9

粗粒穀物 669.5 739.2 760.3 3.2 2.9

(とうもろこし) 518.8 576.0 597.1 0.4 3.7

( 大 麦 ) 88.8 97.3 95.3 1.6 ▲ 2.0

米 … … … … …

穀物計 299.5 371.4 346.7 2.6 ▲ 6.7

小麦 137.4 165.8 158.0 3.1 ▲ 4.7

粗粒穀物 122.9 163.6 146.7 ▲ 0.9 ▲ 10.3

(とうもろこし) 95.2 130.1 112.3 ▲ 0.8 ▲ 13.7

( 大 麦 ) 19.6 23.2 23.3 ▲ 0.2 0.5

米 39.3 42.0 41.9 0.4 ▲ 0.2

穀物計 453.4 501.6 521.2 1.1 3.9

小麦 174.5 185.3 194.9 2.0 5.2

粗粒穀物 168.9 209.5 227.2 ▲ 1.5 8.4

(とうもろこし) 137.8 172.8 192.2 0.7 11.2

( 大 麦 ) 20.8 24.7 23.5 ▲ 1.3 ▲ 4.8

米 110.1 106.8 99.1 0.6 ▲ 7.2

穀物計 19.8% 20.7% 21.2% 0.0 0.6

小麦 25.7% 26.3% 27.4% 0.3 1.0

粗粒穀物 14.9% 16.9% 18.1% ▲ 0.2 1.2

(とうもろこし) 15.9% 18.1% 19.8% 0.1 1.7

( 大 麦 ) 15.8% 17.5% 16.7% ▲ 1.0 ▲ 0.7

米 23.5% 22.2% 20.5% 0.1 ▲ 1.7

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、

「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」(10 December 2014)

 注:期末在庫率の「前月予測からの変更」と「対前年度増減率」は、前月予測及び

   前年度とのポイント差である。

消 費 量

うち

、飼料用

期末在庫量

期末在庫率

2012/132013/14(見込み)

2014/15

年 度

貿 易 量

生 産 量

Page 7: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 2 -

2 2014/15年度の国際的な油糧種子需給の概要

<米国農務省の見通し>

○2014/15年度の油糧種子需給(予測)のポイント油糧種子全体の生産量は、前年度より増加して5.3億トンとなり、消費量

5.0億トンを上回る見込み。この結果、期末在庫量は前年度に比べ増加し、期末在庫率も20.7%と上

昇する見込み。

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の油糧種子全体の生産量は、大豆、なたねの増加により、前年度を

上回る見込み。品目別には、大豆は、収穫面積の増加や単収の上昇により米国、ブラジ

ル等で増加し、史上最高となった前年度を上回る見込み。なたねは、EU、インド、中国等で増加することから、前年度を上回る見込み。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の油糧種子全体の消費量は、堅調な搾油需要から、前年度を上回る

見込み。品目別には、大豆は、中国、アルゼンチン、米国等で搾油用の需要増等

から、前年度を上回る見込み。なたねは、EU等で増加することから、前年度を上回る見込み。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の油糧種子全体の貿易量は、前年度を上回り1.3億トンとなる見込み。品目別には、大豆は、生産量の増加に伴う米国の輸出増から、前年度を

上回る見込み。なたねは、カナダ、豪州等で減少することから、前年度を下回る見込み。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界の油糧種子全体の期末在庫量は、前年度より増加して1.0億トンとな

り、期末在庫率は20.7%と上昇する見込み。

表-2 世界の油糧種子需給(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更

対前年度

増減率(%)

油糧種子計 474.9 505.6 530.7 1.8 5.0うち、大豆 268.1 285.3 312.8 0.8 9.6   なたね 63.6 71.1 71.9 1.2 1.1   綿実 46.5 45.3 45.0 - ▲ 0.6   ピーナッツ 40.1 39.8 39.0 ▲ 0.2 ▲ 2.0   ひまわり種 36.0 42.9 39.9 0.1 ▲ 6.9油糧種子計 468.6 488.4 503.0 0.1 3.0うち、大豆 260.5 272.6 286.1 0.3 4.9   なたね 65.5 68.5 70.1 ▲ 0.2 2.4   綿実 47.0 45.4 45.4 - ▲ 0.2   ピーナッツ 39.1 39.3 39.0 - ▲ 0.9   ひまわり種 35.8 41.3 40.4 - ▲ 2.2油糧種子計 396.9 415.9 429.7 ▲ 0.0 3.3うち、大豆 229.6 239.8 251.9 ▲ 0.0 5.0   なたね 62.5 65.5 66.9 ▲ 0.1 2.2   綿実 34.6 34.2 34.6 0.2 1.1   ピーナッツ 17.3 17.5 17.4 - ▲ 0.5   ひまわり種 32.5 37.7 36.9 - ▲ 2.1油糧種子計 118.2 133.8 135.3 0.8 1.2うち、大豆 100.5 112.8 116.2 0.7 3.0   なたね 12.5 15.1 13.7 0.1 ▲ 9.6   綿実 1.0 0.9 0.7 ▲ 0.0 ▲ 23.3   ピーナッツ 2.6 2.8 2.5 - ▲ 10.2   ひまわり種 1.4 2.0 2.1 - 5.5油糧種子計 66.8 80.6 104.1 1.1 29.1うち、大豆 56.3 66.6 89.9 ▲ 0.4 35.0   なたね 4.0 6.5 7.8 1.7 19.8   綿実 1.6 1.5 1.3 ▲ 0.0 ▲ 16.9   ピーナッツ 2.4 2.3 2.2 ▲ 0.2 ▲ 6.1   ひまわり種 2.1 3.2 2.5 0.1 ▲ 22.5油糧種子計 14.3% 16.5% 20.7% 0.2 4.2うち、大豆 21.6% 24.4% 31.4% ▲ 0.2 7.0   なたね 6.2% 9.5% 11.1% 2.4 1.6   綿実 3.5% 3.4% 2.8% ▲ 0.0 ▲ 0.6   ピーナッツ 6.2% 5.8% 5.5% ▲ 0.5 ▲ 0.3   ひまわり種 5.8% 7.8% 6.2% 0.1 ▲ 1.6

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、

「Oilseeds:World Markets and Trade」、「PS&D」(10 December 2014)

 注:期末在庫率の「前月予測からの変更」と「対前年度増減率」は、前月予測及び

   前年度とのポイント差である。

消費量

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

生産量

期末在庫率

期末在庫量

貿易量

うち

、搾油用

Page 8: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 3 -

3 各国における輸出規制の動き(2014年12月現在)

2010年8月のロシアの干ばつによる小麦等の輸出禁止措置以降、これに追随して旧ソ連諸国等が穀物の輸出規制を実施したが、2011年に入り穀物の生産が回復してきたこともあり、当該規制措置を緩和する動きが顕著となった。

主な輸出国における輸出規制の状況2010年8月5日、ロシアのプーチン首相は、干ばつによる穀物の減産から8月15日以降の小麦、大麦等の穀物の輸出禁止を決定した。これに続き、旧

ソ連諸国では、ウクライナが2010年10月19日以降、小麦等の穀物の輸出割当を導入し、カザフスタンも油糧種子の輸出を禁止した。2011年に入り、干ばつ等からの回復による小麦・大麦の単収向上による穀物生産量の回復が見込まれたこと等から、ロシアは穀物の輸出禁止措置を

2011年7月1日から解除した。ウクライナにおいても、小麦・とうもろこしの豊作が見込まれたことから、2011年10月22日より、これらに係る輸出税を廃止。大麦についても当初期限通り2012年1月に廃止された。インドにおいても、小麦の生産量が史上最高の87百万トンとなることが見込まれる中で米や小麦等の穀物在庫が積み上がり、備蓄スペースの問題が深

刻化。このため、2011年9月8日、4年にわたる小麦及び米(非バスマティ米)の輸出禁止措置を解除し、輸出枠を設定。アルゼンチンでは、輸出規制に対して生産者や穀物輸出業者の反対が強いため、各年度の作況を踏まえつつ輸出枠数量を調整。2012/13年度は、ロシアやウクライナで乾燥被害等による穀物の大幅減産が見込まれ、ウクライナでは2012年10月24日に農相が「11月15日から小麦の輸

出は禁止されるだろう」と発言したが実施はされなかった。ロシアでは農相が2012年11月7日の「穀物の国家備蓄在庫売却に関する作業部会」で穀物輸出の制限は不適と言明。一方、アルゼンチンでは2012年6月に2012/13年産小麦の輸出枠を600万トンに設定したが、国内需給を満たすため12月に450万トンに下方修正。2013/14年度は、アルゼンチンがとうもろこしの増産見込みを受け、当初から輸出枠を1,600万トンと多めに設定。また、小麦については2012/13年度に

輸出枠を下方修正した経験を踏まえ、輸出枠を150万トンに設定し、2014年1月13日、2月28日、4月27日にそれぞれ50万トンずつ段階的に輸出許可を行うとともに、10月22日に50万トンの追加の輸出許可。2014/15年度は、アルゼンチンがとうもろこし800万トン、小麦150万トンの輸出枠を設定(2014年11月7日)。12月11日に小麦の輸出枠を100万トン追加。

<2010年8月以降の輸出規制等の主な動き>

◇ ロ シ ア :小麦、大麦、とうもろこし等の穀物の輸出禁止措置を実施(2010年8月15日~2011年6月30日)◇ ウクライナ :小麦、大麦、とうもろこし、ライ麦、そばの輸出割当を実施(2010年10月19日~2011年6月30日)

(とうもろこしは2011年5月5日、小麦・大麦は2011年6月3日にそれぞれ規制廃止):小麦、大麦、とうもろこしに輸出税を賦課(2011年7月1日~2012年1月1日)(10月22日から小麦及びとうもろこしの輸出税を廃止)

◇ インド :小麦、米(非バスマティ米)の輸出禁止措置を解除し、それぞれについて200万トンの輸出枠を設定(2011年9月8日)。2012年2月7日、非バスマティ米の輸出枠を400万トンに引き上げ。

◇ アルゼンチン:2012/13年度の小麦の輸出枠を600万トンに設定(2012年6月19日)。2012/13年度の小麦の輸出枠を600万トンから450万トンへ下方修正(2012年12月8日付け報道)。2012/13年度のとうもろこしの輸出枠数量を1500万トンに設定(2012年7月16日)。2012/13年度のとうもろこしの輸出枠数量に200万トンを追加して合計1700万トンに拡大(2013年3月22日)。2012/13年度のとうもろこしの輸出枠数量に300万トンを追加して合計2000万トンに拡大(2013年9月11日付け報道)。2013/14年度のとうもろこしの輸出枠数量を1600万トンに設定(2013年6月26日)。2013/14年度の小麦の輸出枠を150万トンに設定、2014年1月13日、2月26日、4月27日にそれぞれ50万トンずつ段階的に輸出許可。2013/14年度の小麦の輸出枠に50万トンを追加して合計200万トンに拡大(2014年10月22日)。2014/15年度のとうもろこしの輸出枠を800万トンに設定(2014月11月7日)。輸出許可は来年3月15日以降。2014/15年度の小麦の輸出枠を150万トンに設定(2014月11月7日)。輸出許可は12月15日以降。2014/15年度の小麦の輸出枠に100万トンを追加して合計250万トンに拡大(2014年12月11日)。

資料:IGC(国際穀物理事会)、各国政府公表資料等による注:なお、青字は輸出規制の緩和措置

Page 9: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

2,400

2,600

1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

(期末在庫率 %) (百万トン)

生産量

消費量

期末在庫率 (右目盛)

1,108百万トン

1,079百万トン

15.4%

1973

米国大豆禁輸措置

1972

世界同時不作

2007

欧州天候不順・豪州干ばつ

2006

豪州大干ばつ

2010

ロシアで干ばつ

2012

米国の高温・乾燥

2,473百万トン

2,453百万トン

21.2% (2014年度予測値)

○ 世界の穀物消費量は、途上国の人口増、所得水準の向上等に伴い、1970年に比べ2.2倍の水準に増加している。一方、生産量は、主に単収の伸びにより消費量の増加に対応している。

○ 2014/15年度の期末在庫率は、生産量が消費量を上回り、21.2%と2013/14年度(20.7%)に比べ上昇する見込み。

□ 穀物(米、とうもろこし、小麦、大麦等)の需給の推移

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」(December 2014)、「Grain: World Markets and Trade」、「PS&D」 (注)なお、 「Grain: World Markets and Trade」、「PS&D」 については、公表された最新のデータを使用している。

- 4 -

資料1 穀物の生産量、消費量、期末在庫率の推移

Page 10: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

2006 2008 2010 2012 20140

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014

ドル/トン □ 穀物等の国際価格の動向

注:小麦、とうもろこし、大豆は、各月ともシカゴ商品取引所の第1金曜日の期近価格(セツルメント)である。

米は、タイ国家貿易取引委員会公表による各月第1水曜日のタイうるち精米100%2等のFOB価格である。

大豆

小麦

1972

世界同時不作

1973

米国大豆禁輸措置

1980

米国熱波

1981

中国・イラン等の米の

不作によりタイ米需要急増

1982

世界的な米の豊作

1988

米国大干ばつ

1989

中国・インドネシア等の米の輸入需要増大

2002

米国・カナダ・豪州同時不作

1999

世界の米生産量が史上最高

2003

米国高温・乾燥

・中国輸入急増

2004

世界の米在庫量が約20年ぶりの低水準

1995

米国天候不順

中国が米の輸出禁止措置

フィリピン・インドネシア・タイで洪水

日本の冷害による米の緊急輸入

米国大洪水

1993

2014年12月19日現在 2006

豪州大干ばつ

2007

欧州天候不順・豪州干ばつ

小麦

2008

世界的な小麦等の豊作

大豆

とうもろこし とうもろこし

2010

ロシアで干ばつ

2011

米国で高温・乾燥

(ドル/トン)

2012

米国で高温・乾燥

タイで担保融資制度導入

注1:各月第1金曜日(米は第1水曜日)に加え、直近の最終金曜日(米は最終水 曜日の価格)を記載。 注2:過去最高価格については、米はタイ国家貿易取引委員会の公表する価格 の最高価格、米以外はシカゴ商品取引所の全ての取引日における期近価 格(セツルメント)の最高価格。 注3:図中の倍率は2006年秋頃と比較した直近の価格水準。

○ 穀物等の国際価格は、2012年の高値から大きく値を下げたものの、現在は、2006年秋頃に比べ依然として1.3~1.9倍の水準。 ・ 2012年6月以降の米国の高温・乾燥の影響から、とうもろこしは、8月に史上最高値(327.2ドル/トン)、大豆は、9月に史上最高値(650.7ドル/ トン)。2013年7月以降、とうもろこし・大豆共に、米国産の豊作見込みから低下していたが、2014年2月以降、堅調な輸出需要や南米の大豆の作柄懸 念から上昇。小麦は、2012年6月以降、とうもろこしに追随して上昇。その後低下したものの、2014年2月以降、米国での乾燥・凍害懸念等から上昇。 2014年5月以降、とうもろこし・大豆は、米国の順調な生育、小麦は、世界在庫量が潤沢なこと等から共に低下したが、2014年10月以降、米国、黒海沿 岸の凍害懸念等によりやや上昇。 ・ 米は、タイで担保融資制度の再導入等により上昇していたが、2013年7月以降、安価なインド産等への輸出需要のシフトやタイで担保融資制度の見直 しの動き等から低下。2014年5月以降、タイ政府による輸出停止により上昇。

大豆 378.6ドル 1.9倍

過去最高 650.7ドル (2012.9.4)

とうもろこし 161.6ドル 1.8倍

過去最高 327.2ドル (2012.8.21)

小麦 232.3ドル 1.7倍

過去最高 470.3ドル (2008.2.27)

米 426.0ドル 1.3倍

過去最高

1,038ドル (2008.5.21)

- 5 -

資料2 穀物等の国際価格の動向(ドル/トン)

Page 11: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

平成26年4月~平成26年10月の食品小売価格の動向 【参考】平成26年9月~平成26年11月の 食品小売価格の動向(速報値)

○ 平成26年4月に消費税率の引上げがあったものの、国内の食品小売価格は大きな値動きはなし。 なお、現時点では円安が国内の食品小売価格に及ぼす影響は限定的。

H24 H25

上昇率(11月/10月)

上昇率(11月/24平均)

食パン 97.6 96.2 100.0 99.6 99.7 0.1% 2.2%

即席めん 107.4 106.6 110.0 109.8 109.8 0.0% 2.2%

豆腐 101.5 99.3 103.2 103.1 103.0 -0.1% 1.5%

食用油(キャノーラ油)

90.8 91.2 91.6 90.6 89.7 -1.0% -1.2%

みそ 118.0 117.2 120.8 120.9 120.5 -0.3% 2.1%

チーズ 113.0 111.0 129.2 128.3 128.5 0.2% 13.7%

バター 106.0 107.6 114.5 114.7 114.8 0.1% 8.3%

マヨネーズ 99.6 103.7 112.5 112.1 111.1 -0.9% 11.5%

11月

食品価格動向調査(農林水産省)

品目 平均

資料:農林水産省加工食品小売価格調査注1: 平成20年1月の価格を100とした指数で表記している。ただし、バターについては平成20年5月の価格を100とした指数で表記している。注2:調査結果は毎週調査の平均値で算出。注3:マヨネーズのH24平均値は調査を開始した平成24年10月~12月平均。

平均 9月

H26

10月

H24 H25

上昇率(10月/24平均)

生鮮食品を除く食料

99.7 99.6 103.4 103.5 103.6 103.8 103.8 103.9 104.0 4.3%

食パン 100.8 99.9 102.7 103.2 102.8 102.7 103.0 102.9 102.5 1.7%

即席めん 99.2 98.7 101.9 102.3 102.6 102.4 101.8 101.3 101.6 2.4%

豆腐 96.7 95.1 99.4 99.3 99.2 99.5 99.5 99.8 100.0 3.4%

食用油(キャノーラ油)

99.7 100.2 103.0 101.8 100.7 100.5 99.7 100.3 100.1 0.4%

みそ 98.3 96.3 99.0 99.1 98.4 97.8 97.7 97.2 96.9 -1.4%

チーズ 97.0 95.5 108.1 109.2 108.6 108.9 109.9 110.8 110.0 13.4%

バター 103.8 105.0 109.1 109.3 110.0 111.1 111.6 112.1 112.4 8.3%

マヨネーズ 96.8 100.1 111.2 109.4 110.4 109.5 108.5 107.1 107.4 11.0%

注2:平成26年10月の調査結果は総務省が平成26年11月28日に公表したもの。

10月

資料:総務省消費者物価指数

平均 5月 8月 9月

消費者物価指数(総務省)

品目 平均

注1:平成22年の平均値を100とした指数で表記している。

H26

4月 6月 7月

資料3 平成26年4月以降の食品小売価格の動向

- 6 -

Page 12: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

EU 22%

中国 17%

インド 13%

ロシア 8%

米国 8%

カナダ 4%

パキスタン 4%

その他 24%

EU 18%

米国 16%

カナダ 14%

ロシア 14%

豪州 11%

ウクライナ 7%

アルゼンチン 4%

その他 16%

エジプト 6.4 インドネシア

4.9

アルジェリア 4.7

ブラジル 4.5

イラン 4.2

日本 3.8

トルコ 3.7 その他

67.8

3.2(52.1)

資料:財務省:「貿易統計」 (概算値) 単位:百万トン、( )は輸入シェア

日本の国別小麦輸入量(2013年) 世界の小麦生産量

世界の小麦輸出量

<参考>世界の小麦輸入国 (2014/15) -世界輸入量全体の32%を上位7カ国が、残る68%を111カ国が占める- 日本の小麦生産量

2012年:85.8万トン 2013年:81.2万トン 2014年:84.9万トン (資料:農林水産統計)

1.7(27.1)

1.0(15.5)

2014/15 予測値

7.2億トン

2014/15 予測値

1.6億トン

- 7 -

0.3(4.3)

資料4 世界の小麦生産量と輸出量/日本の輸入量(2014年12月現在)

資料:USDA 「PS&D」

Page 13: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

米国 40%

ブラジル 17%

ウクライナ 15%

アルゼンチン 11%

ロシア 3%

セルビア 2%

インド 2% その他

11%

米国 37%

中国 22%

ブラジル 8%

EU 7%

ウクライナ 3% メキシコ 2% アルゼンチン 2%

その他 19%

日本 14.0

メキシコ 9.9

韓国 8.7

エジプト 6.8

EU 5.5

イラン 5.0

コロンビア 3.8

その他 46.3

-8- 資料5 世界のとうもろこし生産量と輸出量/日本の輸入量(2014年12月現在)

6.4(44.8)

資料:財務省:「貿易統計」 (概算値) 単位:百万トン、( )は輸入シェア

資料:USDA 「PS&D」

日本の国別とうもろこし輸入量(2013年) 世界のとうもろこし生産量

世界のとうもろこし輸出量

2014/15 予測値

1.1億トン

4.4(30.4)

1.9(13.3)

0.7(4.7)

2014/15 予測値

9.9億トン

- 8 -

0.7(5.1)

<参考>世界のとうもろこし輸入国 (2014/15) -日本は世界一のとうもろこし輸入国-

Page 14: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

中国 65.6

EU 11.3

メキシコ 3.5

日本 2.6

台湾 2.0

インドネシア 2.0

その他 13.0

1.7(60.1)

資料:財務省:「貿易統計」 (概算値) 単位:百万トン、( )は輸入シェア

日本の国別大豆輸入量(2013年) 世界の大豆生産量

世界の大豆輸出量

<参考>世界の大豆輸入国 (2014/15) -世界の約66%を中国が輸入-

日本の大豆生産量 2012年:23.6万トン 2013年:20.0万トン (資料:農林水産統計)

0.4(13.7)

0.6(23.5)

2014/15 予測値

3.1億トン

2014/15 予測値

1.2億トン

- 9 -

0.03(1.1)

資料6 世界の大豆生産量と輸出量/日本の輸入量(2014年12月現在)

資料:USDA 「PS&D」

米国 34%

ブラジル 30%

アルゼンチン 18%

中国 4%

インド 4%

パラグアイ 3% カナダ 2%

その他 6%

米国 41%

ブラジル 40%

アルゼンチン 7%

パラグアイ 4%

カナダ 3%

その他 5%

Page 15: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

品目別需給編

Page 16: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 1 -

EU22%

中国17%

インド13%

ロシア8%

米国8%

カナダ4%

パキスタン4%

その他24%

生産量 7.2億トン

EU18%

米国16%

カナダ14%

ロシア14%

豪州11%

ウクライナ7%

アルゼンチン4%

カザフスタン4%

その他12%

輸出量 1.6億トン

Ⅰ 穀物1 小麦

(1) 国際的な小麦需給の概要(詳細は右表を参照)

<米国農務省(USDA)の見通し>

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、カナダ、豪州、米国で減少するものの、EU、ロシア、中国等で増加す

ることから、世界全体で史上最高の前年度を更に上回る722.2百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、カナダで上

方修正された。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、米国等で減少するものの、EU、中国等で増加することから、世界全体

で史上最高の712.6百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、エジプトで

上方修正、EU、インドで下方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より減少し、158.0百万トンとなる見込み。国別には、輸出国では、ロシア等で増加するものの、米国、EU等で減少する見込

み。輸入国では、イラン、EU等で増加するものの、エジプト等で減少する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、輸出国では、EU、カ

ナダ、カザフスタン、ウクライナで上方修正、ロシアで下方修正、輸入国では、イラン、エジプトで上方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、前年度より増加し、世界全体では194.9百万トンとなる見込み。国別には、カナダ、インドで在庫が取り崩されるものの、EU、中国、ロシア等で

積み増しされる見込み。世界全体の期末在庫率は27.4%と前年度より上昇する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、カナダ、E

U、ロシア、イラン、米国で上方修正された。

表-1 世界の小麦需給(米国農務省)(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 657.9 714.8 722.2 2.3 1.0EU 133.9 143.1 155.4 - 8.6中国 121.0 121.9 126.0 - 3.3インド 94.9 93.5 95.9 - 2.6米国 61.3 58.1 55.1 - ▲ 5.1ロシア 37.7 52.1 59.0 - 13.3カナダ 27.2 37.5 29.3 1.8 ▲ 21.9豪州 22.9 27.0 24.0 - ▲ 11.1消 費 量 679.7 703.9 712.6 ▲ 0.1 1.2

 うち飼料用 137.1 130.3 139.2 ▲ 0.7 6.9中国 125.0 121.5 124.0 - 2.1EU 119.3 115.8 124.5 ▲ 1.5 7.6インド 83.8 94.0 94.2 ▲ 0.3 0.2米国 37.8 34.2 33.1 - ▲ 3.2ロシア 33.6 34.1 35.0 - 2.6パキスタン 23.9 24.1 25.1 - 4.1エジプト 18.7 18.5 17.9 0.4 ▲ 3.2貿 易 量 137.4 165.8 158.0 3.1 ▲ 4.7(輸出)米国 27.5 32.0 25.2 - ▲ 21.4EU 22.7 31.9 29.0 1.0 ▲ 9.2カナダ 19.0 23.2 22.5 0.5 ▲ 3.2豪州 18.7 18.6 17.5 - ▲ 6.0ロシア 11.3 18.5 22.0 ▲ 0.5 18.7ウクライナ 7.2 9.8 10.3 0.3 5.5カザフスタン 6.3 8.1 5.8 0.5 ▲ 28.4(輸入) 144.2 156.6 156.2 2.7 ▲ 0.3エジプト 8.3 10.2 10.0 0.5 ▲ 1.7インドネシア 7.1 7.4 7.7 - 4.2ブラジル 7.4 7.1 7.0 - ▲ 1.0アルジェリア 6.5 7.5 7.4 - ▲ 1.1日本 6.6 6.1 6.0 - ▲ 2.0イラン 6.6 4.8 6.5 1.0 35.4EU 5.3 4.0 5.0 - 25.6期末在庫量 174.5 185.3 194.9 2.0 5.2中国 54.0 60.3 63.0 - 4.5インド 24.2 17.8 16.3 - ▲ 8.6米国 19.5 16.1 17.8 0.3 11.0EU 10.7 10.2 17.1 0.5 67.9カナダ 5.1 9.8 6.8 0.8 ▲ 31.1ロシア 5.0 5.2 7.4 0.5 42.2イラン 4.1 5.2 5.6 0.3 7.6期末在庫率 25.7% 26.3% 27.4% 0.3 1.0

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)

2014/15年 度 2012/13

2013/14(見込み)

図-1 世界の小麦のシェア(2014/15年度)

Page 17: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 2 -

(2) 小麦の主要生産・輸出国等の需給状況ア 米国

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積が増加するものの単収が低下することから前年度より

減少し、55.1百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が減少することから前年度より減少し、33.1百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、25.2百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も30.6%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸入量で上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】<冬小麦>・2014/15年度

作付時は土壌水分量が多く発芽率も平年を上回ったが、大平原南部では、冬季の異常低温や春先以降の乾燥型の天候による土壌水分不足等から作柄が悪化した。収穫は2014年6月頃から開始され、8月中旬にはほぼ終了。生産量は37.5百万トン(対前年度比10.7%減)。

作柄評価は、シーズン当初の2013年10月28日時点には主要18州の良/やや良の割合が61%(前年同期40%)であったが、最終の2014年7月6日時点では31%(前年同期34%)まで低下した。・2015/16年度

作付けは2014年9月頃から開始され、11月中旬にほぼ終了。大平原中部では積雪によりシーズン当初の寒波の被害を免れたが、南部では被害が懸念されており、作付時期が遅かった地域では急な寒さで発芽や生育を阻害されたと見られる。また、大平原南部等で乾燥型の天候となり、米国農務省(USDA)「U.S.Drought Monitor」(2014.12.11)によれば、12月9日時点で、冬小麦産地の37%が乾燥状態となっている模様。

USDA「Crop Progress」(2014.11.24)によれば、主要18州の11月23日時点の発芽進捗率は92%(前年同期92%、平年同期89%)と前年並みだが、作柄評価は良/やや良の割合が58%(前年同期62%)と前年を下回っている。

<春小麦>・2014/15年度

作付けは2014年4月から6月に行われた。8月から収穫が開始され、北部では湿潤型の天候により平年より収穫作業が遅れたものの10月上旬にはほぼ終了。春小麦とデュラム小麦の生産量は計17.6百万トン(対前年度比9.5%増)。

作柄評価は、最終の9月7日時点で主要5州の良/やや良の割合が60%(前年9月1日時点70%)。

【貿易情報・その他】USDA「World Market and Trade」(2014.12.10)は、カナダからのデュラム小

麦の輸入増加に伴い、輸入量を前月から0.3百万トン上方修正。

我が国の輸入先国シェア1位(2013年数量ベース 52.1%)世界の生産量シェア 5位(2014/15年度 7.6%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 15.9%)

表-2 米国の小麦需給(市場年度:6月~翌年5月)

図-2、3 2015/16年度米国産冬小麦の発芽進捗率と作柄評価(2014年11月24日時点)

-発芽進捗率は前年並み、作柄評価は前年を下回っている-

図-2 発芽進捗率 図-3 作柄評価

資料:USDA「Crop Progress」(2014.11.24)をもとに農林水産省で作成注)2013年10月5日、10月12日のデータは、米国政府機関の閉鎖により

発表されていない。

(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 61.3 58.1 55.1 - ▲ 5.1 消 費 量 37.8 34.2 33.1 - ▲ 3.2

うち飼料用 10.1 6.2 4.9 - ▲ 20.8

輸 出 量 27.5 32.0 25.2 - ▲ 21.4 輸 入 量 3.3 4.6 4.9 0.3 6.8 期末在庫量 19.5 16.1 17.8 0.3 11.0 期末在庫率 29.9% 24.3% 30.6% 0.5 6.3

(参考)収穫面積(百万ha) 19.73 18.35 18.77 - 2.3 単収(t/ha) 3.11 3.17 2.94 - ▲ 7.3 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

0

20

40

60

80

100

9月28日

10月5日

10月12日

10月19日

10月26日

11月2日

11月9日

11月16日

11月23日

2014年 2013年 平年(過去5年平均)

(%)

15

36

49

9

26

30

53

9

悪い やや悪い 普通 やや良い 良い

2014/11/23 前年同期

(%)

Page 18: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 3 -

イ カナダ【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、単収、収穫面積共に減少することから前年度より減少し、29.3

百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が増加することから前年度より増加し、10.3百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、22.5百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度並みの0.5百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より減少し、期末在庫率も20.6%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の生産量、消費量で上方修正、2014/15年度の生産量、消費量、輸出量で上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

・2014/15年度春小麦の作付けは2014年5月から6月に行われた。6月下旬の大雨により、サスカチュワン州やマニトバ州の一部で洪水が発生。

作付けができない、作付けた苗が流される等の被害が発生し、作物の生育も遅延。7月は比較的温暖となり生育が進展し、8月上旬から収穫が開始されたが、大雨、強風、降雹等により作業が中断するとともに、一部の地域では病害虫や赤カビ病が発生。その後、9月に入り、平原の主要産地では乾燥型の天候となったものの、土壌水分過多の状態が続く中、気温が低下し、霜害が発生して作柄が悪化。収穫作業は数週間程度の遅れが見られたものの、10月下旬にはほぼ終了。

米国農務省(USDA)「World Agricultural Production」(2014.12.10)は、カナダ統計局が西部のアルバータ州とサスカチュワン州での収穫面積の増加と単収見込みの見直しに伴い生産量を上方修正したことを受けて、収穫面積、単収、生産量を上方修正。

なお、品質については、サスカチュワン州では過去10年平均を下回っていると見られ、アルバータ州でも収穫期の9月初旬の降霜・降雪により低下した模様。

・2015/16年度

農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、冬小麦の作柄はまちまちとなっており、西部では収穫遅延により作付面積が減少したものの土壌水分が十分となり発芽状態は良好。一方、中部、特にオンタリオ州では収穫遅延や降雪と土壌水分過多により作付けが遅れており、東部では土壌水分不足により発芽が遅延。

我が国の輸入先国シェア2位(2013年数量ベース 27.1%)世界の生産量シェア 6位(2014/15年度 4.1%)

輸出量シェア 3位(2014/15年度 14.2%)

表-3 カナダの小麦需給(市場年度:8月~翌年7月)

写真-1 オンタリオ州ロンドン地方

-発芽期を迎えた冬小麦-(2014年11月17日撮影)

写真提供:Dr. Neal Blue, Consultant, Columbus, OH

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 27.2 37.5 29.3 (27.5) 1.8 ▲ 21.9 消 費 量 9.6 10.0 10.3 (9.4) 0.5 3.3

うち飼料用 4.4 4.8 5.0 (4.8) 0.5 4.4

輸 出 量 19.0 23.2 22.5 (22.7) 0.5 ▲ 3.2 輸 入 量 0.5 0.5 0.5 (0.1) - 6.7 期末在庫量 5.1 9.8 6.8 (5.2) 0.8 ▲ 31.1 期末在庫率 17.7% 29.5% 20.6% (16.2%) 1.9 ▲ 8.9

(参考)収穫面積(百万ha) 9.50 10.44 9.46 (9.35) 0.16 ▲ 9.4 単収(t/ha) 2.86 3.59 3.10 (2.94) 0.14 ▲ 13.6 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、      「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)   AAFC 「Outlook For Principal Field Crops」(21 November 2014)

予測値、( )はAAFC年 度 2012/13

2013/14(見込み)

2014/15

Page 19: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 4 -

ウ 豪州【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積が増加するものの単収が低下することから前年度より

減少し、24.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より減少し、6.8百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、17.5百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より減少するものの、需要量の減少に比べて期末在庫量の減少が少なかったことから、期末在庫率は25.1%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の期末在庫量で下方修正された。結果として、2014/15年度の期末在庫量がわずかに下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

作付作業は例年5月から7月に行われるが、2014/15年度は好天に恵まれて作業が前倒しで進展し、2014年6月には全ての州で完了。

生育時期の冬から春にかけては、東部のクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州の産地で降水量が平年を下回った。一方、豪州最大の産地である西部のウエスタンオーストラリア州では、生育時期は降雨に恵まれた。

収穫作業は9月下旬から開始され、総じて乾燥型の天候となり作業は進展しているが、ウエスタンオーストラリア州の一部地域で降雨により作業が遅延。

現地調査会社によれば、11月末日時点の収穫進捗率(速報値)は、クイーンズランド州100%、ニューサウスウェールズ州87%、ウエスタンオーストラリア州80%、サウスオーストラリア州80%、ビクトリア州78%。

豪州農業資源経済科学局(ABARES)「Australian crop report」(2014.12.2)は、生産予測を前回予測(2014年9月)から1.0百万トン減の23.2百万トン(対前年度比14%減)に下方修正。

なお、州別の生産量等は次のとおり。◇ウエスタンオーストラリア州:生産量は8.4百万トン(対前年度比20%減)。品

質は総じて良いが、11月の降雨により南部の一部地域では穂発芽が発生した模様。

◇ニューサウスウェールズ州:生産量は前年度並みの6.6百万トン。北部産地の大半ではたんぱく含有量は高いが、中部・南部ではばらつきが見られる。

◇サウスオーストラリア州:生産量は4.5百万トン(同12%減)。◇ビクトリア州:高温乾燥型の天候による土壌水分不足で単収が減少することか

ら、生産量は2.6百万トン(同27%減)。現時点での品質は総じて良い。◇クイーンズランド州:生産量は1.0百万トン(同13%減)。

【貿易情報・その他】

ABARES「Agricultural commodities」(2014.12.9)によれば、2014/15年度の第1四半期に、豊作の前年度からの持越在庫から約4百万トンが輸出され、今年度の生産量減少の影響が一部緩和すると見られる。

我が国の輸入先国シェア3位(2013年数量ベース 15.5%)世界の生産量シェア 9位(2014/15年度 3.3%)

輸出量シェア 5位(2014/15年度 11.1%)

表-4 豪州の小麦需給(市場年度:10月~翌年9月)

写真-2 サウスオーストラリア州クレア地方

-収穫中の小麦畑-(2014年12月5日撮影)

写真提供:Australian Crop Forecasters

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 22.9 27.0 24.0 (23.2) - ▲ 11.1 消 費 量 6.7 7.0 6.8 (…) - ▲ 2.2

うち飼料用 3.4 3.6 3.4 (…) - ▲ 5.6

輸 出 量 18.7 18.6 17.5 (17.0) - ▲ 6.0 輸 入 量 0.1 0.2 0.2 (…) - - 期末在庫量 4.7 6.2 6.1 (…) ▲ 0.0 ▲ 2.4 期末在庫率 18.3% 24.4% 25.1% (…) ▲ 0.0 0.7

(参考)収穫面積(百万ha)※ 12.98 13.51 13.80 (13.84) - 2.1 単収(t/ha) 1.76 2.00 1.74 (1.68) - ▲ 13.0 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、     「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)

予測値、( )はABARES年 度 2012/13

2013/14(見込み)

2014/15

ABARES「Agricultual commodities(9 December 2014)」(※ABARESは作付面積)

Page 20: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 5 -

エ EU【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積の増加及び単収の上昇から前年度より増加し、史上最

高の155.4百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が増加すること等から前年度より増加し、124.5百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、29.0百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より増加し、5.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も11.1%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で上方修正、消費量で下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

・2014/15年度収穫は2014年7月頃から開始され、9月末にほぼ終了。6~7月の結実期に降雨に恵まれたことで単収は5.80トン/ヘクタールと前年

(5.55トン/ヘクタール)を上回り、生産量は史上最高の155.4百万トン(対前年度比8.6%増)となる見込み。しかしながら、8~9月の収穫期にも一部産地では降雨が続き、収穫作業が遅延するとともに品質が劣化。

・2015/16年度冬小麦の作付けは例年どおり10月頃から開始され、12月上旬にはほぼ終了。

農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、作付時期のEU全体の気象条件は総じて良好となった。主産地のフランス北部では降雨により作業が一時停滞したもののその後は乾燥型の天候となった。ドイツ、英国ともに作付時の天候は良く、他の産地でも作付作業は概ね順調であった。また、作付作業が停滞した地域でも気温が平年を上回ったため、その後の生育に大きな問題は生じなかった模様。

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、収穫予定面積は、普通小麦は前年度をわずかに下回るものの、デュラム小麦は前年度並みとなることから、小麦全体では前年度並みの26.5百万ヘクタールとなる見込み。

【貿易情報・その他】

2014年10月23日、EUの商品取引所であるユーロネクストは、上場される製粉用小麦の品質基準について、2017年9月限から引き上げる予定であると発表。新たな品質基準では、たんぱく含有量の最低基準は11%、フォーリングナンバーの最低基準は220、容積重の最低基準は76キログラム/ヘクトリットルとなる予定。

我が国の輸入先国シェア5位(2013年数量ベース 0.9%)世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 21.5%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 18.3%)

表-5 EUの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

写真-3 フランス西部 シャラント=マリティーム地方東部

- 分げつ期を迎えた小麦畑 -(2014年12月12日撮影)

写真提供:Serge Brossard氏

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 133.9 143.1 155.4 (154.4) - 8.6 消 費 量 119.3 115.8 124.5 (124.1) ▲ 1.5 7.6

うち飼料用 51.0 48.0 56.0 (51.6) ▲ 1.5 16.7

輸 出 量 22.7 31.9 29.0 (31.0) 1.0 ▲ 9.2 輸 入 量 5.3 4.0 5.0 (6.5) - 25.6 期末在庫量 10.7 10.2 17.1 (14.3) 0.5 67.9 期末在庫率 7.6% 6.9% 11.1% (9.3%) 0.4 4.2

(参考)収穫面積(百万ha) 25.95 25.77 26.80 (26.70) ▲ 0.03 4.0 単収(t/ha) 5.16 5.55 5.80 (5.63) 0.01 4.5 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) EU 「Balance Sheets For Cereals and Oilseeds and Rice」(27 November 2014) 「Crop monitoring in Europe」(24 November 2014)

2014/15

予測値、( )はEU年 度 2012/13

2013/14(見込み)

Page 21: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 6 -

オ 中国【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積が減少するものの単収が上昇することから、史上最高

の126.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、124.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、1.0百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、1.7百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も50.4%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

2014年12月4日、中国国家統計局は、2014年の小麦に関し、生産量は126.2百万トン、作付面積は24.06百万ヘクタール、単収は5.24トン/ヘクタールと発表。

<冬小麦>・2014/15年度

作付時期の2013年10月から11月下旬は適温で土壌水分量も十分であった。休眠期(2013年12月~2014年1月)は乾燥していたが温暖で、休眠期明けの2月には温暖湿潤型の天候となり土壌水分量が上昇し、4~5月も適期に降雨が観測されて幼穂形成期から登熟期の生育条件も良好で、例年より早く完熟期を迎えた。6月も好天に恵まれ、収穫作業は6月にほぼ終了。品質は平年を上回る模様。

・2015/16年度作付けは2014年9月下旬から開始され、気象条件に恵まれ11月下旬にほぼ終了。一方、農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、

作付後は中部の一部では土壌水分不足で生育が阻害された模様。

中国中央気象台「農業気象週報」(2014.12.12)によれば、西北部、華北部、黄淮(黄河と淮河の間)東北部の大部分では越冬期に入り、中部の揚子江中・下流域、黄淮西部・南部の大部分では分げつ期、西南部の大半では三葉期~分げつ期だが雲南省の一部では茎立期を迎えている。

<春小麦>作付けは2014年4~5月に実施。収穫は8月から開始され、東北部の一部で

降雨により作業が中断したものの9月中にほぼ終了。

【貿易情報・その他】

2014年12月12日、中国国家発展改革委員会(NDRC)は、2015年の小麦の関税割当(TRQ)枠内数量を2014年と同水準(9.6百万トン)にすると発表。

中国税関(海関)統計(2014.12.22)によれば、2014年1月~11月の小麦輸入量累計は対前年同期比42.9%減の292.4万トン。国別の内訳は、豪州135.7万トン(シェア46.4%)、米国86.0万トン(同29.4%)、カナダ41.0万トン(同14.0%)。なお、2014年11月の小麦輸入量は4.3万トン(対前年同月比95.5%減)。

(世界の生産量シェア2位(2014/15年度 17.4%))

表-6 中国の小麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

写真-4 中国中部 安徽省亳州市の小麦(2014年12月7日撮影)

-分げつ期を迎えた小麦は順調に生育している-

写真提供:アイ・シー・ネット(株)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 121.0 121.9 126.0 (125.3) - 3.3 消 費 量 125.0 121.5 124.0 (122.9) - 2.1

うち飼料用 25.0 21.0 23.0 (23.0) - 9.5

輸 出 量 1.0 0.9 1.0 (0.5) - 12.4 輸 入 量 3.0 6.8 1.7 (2.0) - ▲ 74.9 期末在庫量 54.0 60.3 63.0 (62.6) - 4.5 期末在庫率 42.8% 49.2% 50.4% (50.7%) - 1.1

(参考)収穫面積(百万ha) 24.27 24.12 24.10 (23.82) - ▲ 0.1 単収(t/ha) 4.99 5.06 5.23 (5.26) - 3.4 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

Page 22: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 7 -

カ インド【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積が史上最高となり単収も前年度より上昇することか

ら、史上最高の95.9百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、史上最高の94.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、3.3百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より減少し、期末在庫率も16.7%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で上方修正、消費量で下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

・2014/15年度作付時期の土壌水分量は十分で、生育期の生育条件も良好となり、登熟期も

冷涼な気候に恵まれた。収穫は3月下旬から開始され、北部の一部地域では豪雨や雹により遅延したものの6月上旬にほぼ終了。なお、小麦の作柄は総じて良/やや良。

インド農業省は第4次生産高予想(2014.8.14)において、小麦の生産高予想を95.9百万トンに上方修正。これは、2014年2月の最終週を除きシーズン期間中は好天に恵まれ、収穫面積が増加したため。

・2015/16年度2014年10月から開始された作付作業は、ほぼ平年並みのペースで進展。

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、11月は温暖で乾燥した天候となったが、主産地では灌漑用水が十分にあるため作付作業が進展。

2014年12月12日、インド農業省は、現段階での作付進捗状況に関し、作付済面積は24.2百万ヘクタールと発表(前年同期25.1百万ヘクタール)。

【貿易情報・その他】

2014年10月29日、インド政府は、2015/16年度の小麦に関し、公的分配制度に基づく最低支持価格(※)を、対前年度を50ルピー(88円)上回る1,450ルピー/キンタル(25,526円/トン)に決定したと公表。

(※)最低支持価格(Minimum Support Price, MSP)インドでは、1960年代半ば以降、低所得者層や社会的弱者への食料安全保障の

提供等を目的とした公的分配制度(Public Distribution System, PDS)を構築。インド食料公社(Food Cooperation of India, FCI)は、生産費、買上必要量、需給状況等を考慮して農業費用価格委員会が設定した買取価格の勧告を受けて、最低支持価格(MSP)を決定し、生産者から同価格で買い上げる(買上数量は上限なし)。

世界の生産量シェア3位(2014/15年度 13.3%)輸出量シェア10位(2014/15年度 2.1%)

表-7 インドの小麦需給(市場年度:4月~翌年3月)

図-4 小麦の最低支持価格と生産量の推移

-最低支持価格の上昇と共に生産量も増加-

資料:最低支持価格はインド農業省、生産量はUSDA「PS&D」のデータをもとに、農林水産省で作成。

注:最低支持価格には、加算金(Insentive Bonus)を含む。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 94.9 93.5 95.9 (95.9) - 2.6 消 費 量 83.8 94.0 94.2 (93.5) ▲ 0.3 0.2

うち飼料用 3.4 4.8 4.5 (5.0) - ▲ 6.3

輸 出 量 6.8 5.9 3.3 (2.8) 0.3 ▲ 44.1 輸 入 量 0.0 0.0 0.1 (…) - 66.7 期末在庫量 24.2 17.8 16.3 (17.7) - ▲ 8.6 期末在庫率 26.7% 17.8% 16.7% (18.3%) - ▲ 1.1

(参考)収穫面積(百万ha) 29.86 30.00 30.60 (31.50) - 2.0 単収(t/ha) 3.18 3.12 3.13 (3.04) - 0.3 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

Page 23: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 8 -

キ ロシア【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積の増加及び単収の上昇から前年度より増加し、59.0百

万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が増加することから前年度より増加し、35.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、史上最高の22.0百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、0.2百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も13.0%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】<冬小麦>・2014/15年度

主産地の西部では生育期間中は総じて好天に恵まれた。収穫は2014年6月下旬から開始され8月下旬にほぼ終了。

・2015/16年度作付けは2014年8月中旬から開始され、10月末にほぼ終了。ロシア農業省の

速報値によれば、12月12日時点の冬穀物全体の作付面積は、前年同期比11.6%増の16.8百万ヘクタール。

農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、平年より高温乾燥型で降雪がないまま霜が降り、冬穀物に悪影響を及ぼしたおそれがあるが、その影響度合いは雪解け後まで判明しないと見られる。

<春小麦>・2014/15年度

作付けは6月半ばにほぼ終了。8月の降雨で作柄が改善。収穫は8月から開始され、一部地域では降雨・降雪、低温で作業が遅延したが11月中旬にほぼ終了。

【貿易情報・その他】

ロシア農業省は、ロシア税関データによれば、2014/15年度(2014年7月~)の12月3日時点の穀物輸出量累計は、対前年同期比31.9%増の18.3百万トンとなった。うち、小麦は14.6百万トン。

2014年11月27日、連邦動植物衛生管理当局は、同局サイトで輸出穀物の品質基準を厳しくする旨を伝えた。倉庫や搬出・運搬設備では、穀物だけでなく加工製品等を含む衛生状態の追加調査も行われる見込み。なお、同決定の理由は、輸出向け穀物・加工製品の衛生状態が大幅に悪化しているため。

2014年12月11日、フョードロフ農業相は下院の農業問題委員会会議において、穀物の輸出禁止は行なわれないと発言。一方で、穀物輸出量の拡大傾向は懸念すべきものである(12月3日時点の穀物輸出量は前年同期比3割増)と指摘し、農業省は輸出を抑制するために、禁輸以外のあらゆる可能性を検討すると付言。

世界の生産量シェア4位 (2014/15年度 8.2%)輸出量シェア4位 (2014/15年度 13.9%)

表-8 ロシアの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

写真-5 ボルガ川西岸 ボルゴグラード州-越冬状態の冬小麦-(2014年12月6日撮影)

積雪(スノーカバー)が薄く、-10℃以下の強い冷え込みに見舞われれば被害を受けるおそれがある

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 37.7 52.1 59.0 (60.0) - 13.3 消 費 量 33.6 34.1 35.0 (36.1) - 2.6

うち飼料用 11.9 12.5 13.0 (13.5) - 4.0

輸 出 量 11.3 18.5 22.0 (22.7) ▲ 0.5 18.7 輸 入 量 1.2 0.8 0.2 (0.5) - ▲ 75.0 期末在庫量 5.0 5.2 7.4 (7.2) 0.5 42.2 期末在庫率 11.0% 9.9% 13.0% (12.3%) 1.0 3.1

(参考)収穫面積(百万ha) 21.30 23.40 23.75 (24.70) - 1.5 単収(t/ha) 1.77 2.23 2.48 (2.43) - 11.2 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

予測値、( )はIGC年 度 2012/13

2014/152013/14(見込み)

Page 24: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 9 -

ク ウクライナ【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、収穫面積が減少するものの単収が上昇することから前年度よ

り増加し、24.5百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が増加することから前年度より増加し、12.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、史上2番目の10.3百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率は26.5%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で上方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

<冬小麦>・2014/15年度

収穫は2014年6月中旬から開始され7月下旬にほぼ終了したが、7月の局地的な集中豪雨や突風により、一部地域で収穫前の作物に倒伏や黄化等の被害が発生。また、成熟期に大気中や土壌の水分が多くなったことにより、品質は南部や中央部の一部以外で並以下となる模様。

・2015/16年度作付けは2014年8月下旬から11月中旬に実施され、12月上旬時点で作物は休

眠状態となっている。

ウクライナ農業政策・食料省によれば、11月21日時点の小麦・ライ小麦の作付面積は6.5百万ヘクタール(計画面積の104%)。

12月12日時点では、冬穀物全体の作付面積の95%(7.4百万ヘクタール)が発芽済であり、作柄状況は、うち82%が良/並だが、18%では生育が遅れている。

ウクライナ気象センター農業気象局長は、11月28日、冬穀物は土壌水分不足により半分が脆弱な状態で越冬期入りしており、作物の状態は2013年より悪いが過去10年では平均的で、危機的状況ではないが好ましい状況でもないと発言。

<春小麦>作付けは2014年3月から6月中旬に行われた。8月上中旬の猛暑は生育に悪

影響を及ぼしたが、下旬には気温が低下し、降雨も観測された。収穫作業は、9月上中旬に好天に恵まれて進展した後、9月下旬の降雨で南部・中央部・東部の一部で作業に遅れが生じたものの、既に終了。

【貿易情報・その他】

ウクライナ税関によれば、2014/15年度(2014年7~)の10月までの小麦輸出量は、累計で616万トン(対前年同期比18.9%増)。国別には、エジプト152万トン(シェア24.6%)、スペイン63万トン(同10.2%)、パキスタン47万トン(同7.7%)、韓国45万トン(同7.2%)。

我が国の輸入先国シェア 4位(2013年数量ベース 4.3%)世界の生産量シェア 8位(2014/15年度 3.4%)

輸出量シェア 6位(2014/15年度 6.5%)

表-9 ウクライナの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

写真-6 ウクライナ ドニエプロペトロフスク州(黒土地帯)-これから越冬期を迎える小麦-(2014年12月13日撮影)

生育は順調だが積雪(スノーカバー)がない状態。冷え込む前に積雪がなければ被害を受けるおそれがある。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 15.8 22.3 24.5 (24.9) - 10.0 消 費 量 11.4 11.5 12.0 (12.6) - 4.3

うち飼料用 3.1 3.4 4.0 (4.4) - 17.6

輸 出 量 7.2 9.8 10.3 (10.3) 0.3 5.5 輸 入 量 0.1 0.1 0.1 (…) - ▲ 28.6 期末在庫量 2.6 3.7 5.9 (5.9) ▲ 0.3 61.3 期末在庫率 13.9% 17.3% 26.5% (25.6%) ▲ 1.7 9.3

(参考)収穫面積(百万ha) 5.63 6.57 6.30 (6.05) - ▲ 4.1 単収(t/ha) 2.80 3.39 3.89 (4.12) - 14.7 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

Page 25: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 10 -

ケ カザフスタン

(世界の輸出量シェア 8位(2014/15年度 3.7%))表-10 カザフスタンの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の春小麦の作付けは、2014年3月下旬~6月上旬に行われた。

生産量は12.5百万トンと前年度(13.9百万トン)より10.3%減少する見込み。これは、7月の気温が平年を下回り、湿潤型の天候となったため作物の生育が遅延したことや、そのことにより収穫作業の開始が遅れ、8月から開始された作業も10月の降雨・降雪により作業が停滞したため。なお、収穫作業は既に終了している。

米国農務省(USDA)「World Agricultural Production」(2014.12.10)は、収穫面積と生産量を前月から上方修正。これは、カザフスタン国家統計局(SSA)のデータを踏まえたもの。

【貿易情報・その他】

カザフスタン財務省税関監督委員会によれば、2014/15年度(2014年7月~)の10月までの小麦輸出量(関税同盟加盟国(ロシア、ベラルーシ)を除く)は、累計で101万トン(対前年同期比27.0%減)。また、10月の小麦輸出量は40.3万トンで、国別には、ウズベキスタンが13.9万トン(シェア34.5%)、タジキスタンが9.1万トン(同22.7%)、キルギスが7.3万トン(同18.1%)と中央アジア諸国が上位を占めている。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 9.8 13.9 12.5 (13.0) 0.5 ▲ 10.3 消 費 量 6.8 6.8 6.7 (6.9) - ▲ 1.5

うち飼料用 2.0 2.0 1.9 (2.0) - ▲ 5.0

輸 出 量 6.3 8.1 5.8 (6.0) 0.5 ▲ 28.4 輸 入 量 0.0 0.0 0.2 (0.2) - 1900.0 期末在庫量 2.9 2.0 2.2 (1.9) - 10.1 期末在庫率 22.5% 13.4% 17.5% (14.8%) ▲ 0.7 4.2

(参考)収穫面積(百万ha) 12.40 12.95 12.20 (12.75) 0.50 ▲ 5.8 単収(t/ha) 0.79 1.08 1.02 (1.02) ▲ 0.01 ▲ 5.6 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

コ アルゼンチン

(世界の輸出量シェア 7位(2014/15年度 3.8%))表-11 アルゼンチンの小麦需給(市場年度:12月~翌年11月)

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の作付けは2014年5月から開始。東部の一部産地では降雨続きで土壌水分過多となり作業が遅延したが8月下旬には終了。

収穫は10月から開始され、アルゼンチン穀物取引所週報(2014.12.11)によれば、北部産地ではほぼ終了し、現在中部・南部で作業が進展中で、収穫進捗率は53.5%、収穫量は5.6百万トン。

アルゼンチン農牧漁業省「農業推計週報」 (2014.12.11)によれば、単収や品質にはばらつきがあるが、生育進捗は作付面積の31%が乳熟期、67%が完熟期を迎えている。

【貿易情報・その他】

アルゼンチン経済省によれば、2013/14年度の小麦・小麦粉の輸出枠につき、2014年10月22日に50万トンを追加承認した(同年度は累計で200万トンの輸出枠を承認)。

また、2014/15年度については、11月6日に150万トン、12月11日に100万トンの計250万トンの輸出枠を承認。

アルゼンチン農牧漁業省農畜食糧衛生品質管理センター(SENASA)によれば、2014年1月~10月の小麦輸出量は158万トン(対前年同期比39.4%減)。国別には、ブラジルが148.8万トン(シェア94.3%)と大半を占め、次いで、ベネズエラが5.0万トン(同3.2%)、米国が1.0万トン(同0.6%)となっている。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 9.3 10.5 12.0 (12.5) - 14.3 消 費 量 6.2 6.1 6.2 (5.5) - 1.7

うち飼料用 0.3 0.1 0.1 (0.4) - -

輸 出 量 3.6 2.2 6.0 (7.0) - 172.7 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (…) - - 期末在庫量 0.3 2.5 2.4 (1.7) - ▲ 5.5 期末在庫率 3.0% 30.8% 19.8% (13.6%) - ▲ 11.0

(参考)収穫面積(百万ha) 3.60 3.50 4.10 (4.20) - 17.1 単収(t/ha) 2.58 3.00 2.93 (2.98) - ▲ 2.3 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

Page 26: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 11 -

2 とうもろこし

(1) 国際的なとうもろこし需給の概要(詳細は右表を参照)

<米国農務省(USDA)の見通し>

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、ウクライナで通貨安に伴う資材コストの上昇による単収低下及び晩夏の

高温・乾燥から減少、ブラジル、アルゼンチン、中国等でも減少するものの、米国、EUで増加が見込まれることから、世界全体では前年度を上回り、史上最高の991.6百万トンとなる見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、中国、EUで上方修正、アルゼンチンで下方修正された。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、米国、中国等で飼料用需要の増加が見込まれることから、世界全体では

前年度を上回り、史上最高の972.2百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、EU、米国

で上方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より減少し、112.3百万トンとなる見込み。国別には、輸出国では、パラグアイで増加し、米国、アルゼンチン等で減少する見

込み。輸入国では、日本等で増加し、EU、エジプト等で減少する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、輸出国では、アルゼン

チンで下方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、前年度より増加し、世界全体では192.2百万トンとなる見込み。国別には、南アフリカ、ブラジルで在庫が取り崩されるものの、米国、アルゼンチ

ン等で積み増しされる見込み。期末在庫率は19.8%と、前年度より上昇する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、中国で上方

修正、米国、EUで下方修正された。

表-1 世界のとうもろこし需給(米国農務省)(単位:百万トン)

2013/14

(見込み) 予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 868.0 989.3 991.6 1.3 0.2米国 273.2 353.7 366.0 - 3.5中国 205.6 218.5 215.5 1.5 ▲ 1.4ブラジル 81.5 79.3 75.0 - ▲ 5.4EU 58.9 64.2 73.6 0.5 14.6ウクライナ 20.9 30.9 27.0 - ▲ 12.6アルゼンチン 27.0 25.0 22.0 ▲ 1.0 ▲ 12.0インド 22.3 24.2 21.0 - ▲ 13.2消 費 量 864.7 954.3 972.2 0.4 1.9

 うち飼料用 518.8 576.0 597.1 0.4 3.7米国 263.0 295.4 302.8 0.3 2.5中国 200.0 212.0 216.0 - 1.9EU 69.6 76.0 77.0 0.5 1.3ブラジル 52.5 55.0 56.5 - 2.7メキシコ 27.0 31.7 33.3 - 4.9インド 17.5 19.5 19.5 - 0.0日本 14.5 15.1 15.4 - 2.0貿 易 量 95.2 130.1 112.3 ▲ 0.8 ▲ 13.7(輸出)米国 18.6 48.7 44.5 - ▲ 8.7ブラジル 25.0 21.5 19.5 - ▲ 9.3アルゼンチン 18.7 15.5 12.0 ▲ 1.0 ▲ 22.6ウクライナ 12.7 20.0 16.5 - ▲ 17.5インド 4.7 3.9 2.5 - ▲ 35.9ロシア 1.9 4.2 3.0 - ▲ 28.4パラグアイ 2.8 2.2 2.3 - 4.5(輸入)日本 14.4 15.1 15.4 - 1.9EU 11.4 15.8 6.0 - ▲ 62.1メキシコ 5.7 11.0 10.9 - ▲ 0.5韓国 8.2 10.4 9.6 - ▲ 7.8エジプト 5.1 8.5 7.5 - ▲ 11.8イラン 3.7 5.5 5.5 - 0.0台湾 4.2 4.4 4.2 - ▲ 4.5期末在庫量 137.8 172.8 192.2 0.7 11.2中国 67.6 77.3 78.7 1.0 1.8米国 20.9 31.4 50.8 ▲ 0.3 61.7ブラジル 14.2 17.8 17.6 - ▲ 1.1EU 5.1 6.7 6.8 ▲ 0.1 1.3南アフリカ 3.1 3.3 2.9 - ▲ 14.4アルゼンチン 1.3 2.1 2.9 - 38.2期末在庫率 15.9% 18.1% 19.8% 0.1 1.7

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、「PS&D」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)

年 度 2012/132014/15

図-1 世界のとうもろこしのシェア(2014/15年度)

米国

37%

中国

22%

ブラジル

8%

EU7%

ウクライナ

3%

メキシコ

2%

アルゼンチン

2%その他

19%

生産量 9.9億トン

米国

40%

ブラジル

17%

ウクライナ

15%

アルゼンチン

11%

ロシア

3%

セルビア

2%

インド

2%その他

11%

輸出量 1.1億トン

Page 27: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 12 -

(2) とうもろこしの主要生産・輸出国等の需給状況

ア 米国

【需給状況】

<米国農務省の見通し>

生産量は、収穫面積が減少するものの、好天に恵まれ単収が上昇することから、史上最高の366.0百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が増加することから、前年度より増加し、302.8百万トンとなる見込み。

輸出量は、大幅に増加した前年度に比べ減少し、44.5百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、0.6百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、50.8百万トンと前年度より大幅に増加(+61.7%)し、期末在庫率も14.6%と、前年度より上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、消費量で上方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

米国中西部では、例年、とうもろこしの作付けは4月中旬から5月中旬にかけて行われる。2014年2月以降、厳しい寒さが続いたコーンベルトの北部では凍結した土壌の溶解に時間を要し、作付作業に遅れが生じたが、5月初旬以降気温が上昇したことにより、作付作業の遅れを一気に取り戻した。6月下旬、北部産地では多雨により作柄の悪化が懸念されたが、その後は総じて理想的な天候が続き、作柄は極めて良好となった。

米国農務省(USDA)「Crop Production」(2014.12.10)によれば、11月23日時点の収穫進捗率は、平年同期(92%)及び前年同期(94%)並みの94%に達し、収穫作業はほぼ終了した。しかしながら、五大湖周辺の積雪を伴う寒波の到来により、ウィスコンシン州及びミシガン州では未収穫分の収穫作業の遅れが懸念されている。

米国民間調査会社(2014.11.14)によれば、2015/16年度のとうもろこしの作付面積は35.7百万ヘクタールと前年度を上回る見通し。1983/84年度以降初めてとうもろこしと大豆の面積が同水準に並ぶ事となる。

【貿易情報】

2013年11月18日、中国は、未承認のGM種子であるMIR162が検出されたため、それ以降米国産とうもろこしの受入れを拒否。

2014年7月24日、米国穀物協会は、中国国家品質監督検査検疫総局(AQSIQ)が米国産DDGSの輸入に際しMIR162無混入証明書の添付を義務化したと伝えた。

報道(2014.12.18)によれば、ビルサック米国農務長官は、汪洋中国副首相がGMとうもろこし1種(MIR162)及びGM大豆2種の輸入を正式に承認したと発表した。

※DDGS:とうもろこしを原料にエタノールを生産する際の副産物。家畜飼料として利用される。

我が国の輸入先国シェア1位(2013年数量ベース 44.8%)

世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 36.9%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 39.6%)

表-2 米国のとうもろこし需給(市場年度:9月~翌年8月)

(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 273.2 353.7 366.0 - 3.5消 費 量 263.0 295.4 302.8 0.3 2.5

うち飼料用 109.6 130.4 136.5 - 4.7  エタノール用等 117.9 130.4 130.8 - 0.3輸 出 量 18.6 48.7 44.5 - ▲ 8.7輸 入 量 4.1 0.9 0.6 - ▲ 29.7期末在庫量 20.9 31.4 50.8 ▲ 0.3 61.7期末在庫率 7.4% 9.1% 14.6% ▲ 0.1 5.5

(参考)収穫面積(百万ha) 35.36 35.48 33.63 - ▲ 5.2単収(t/ha) 7.73 9.97 10.88 - 9.1資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)

年 度2013/14(見込み)

2014/152012/13

写真-1 カンザス州(2014年11月22日撮影)-収穫後のとうもろこし畑-

写真提供:Dr. Robert Wisner, University Professor Emeritus,

Department of Economics, Iowa State University

Page 28: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 13 -

【バイオエタノール】

米国におけるとうもろこしのエタノール向け需要は、RFS(再生可能燃料基準)によるバイオ燃料の義務付け使用量の増加等の要因で、とうもろこし需要の約4割を占めるまで増加してきた。しかし、2012/13年度は、とうもろこし価格の高騰により需要が減少した。2013/14年度はとうもろこしの豊作により価格が下落したため、需要が拡大したものの、その後は、米国のガソリン需要の低迷に伴い、エタノール向け需要も横ばいで推移している(図-2)。

また、同国には「ブレンドの壁(blend wall)」という制約要因があり、今後はこれまでのような高い増加率は見込まれていない。「ブレンドの壁」とは、ガソリンにバイオエタノール15%混合(E15)が認められているものの、給油所の設置数及び関連インフラ等の問題により普及が進まず、バイオエタノール10%混合(E10)が米国内市場の大勢を占めており、エタノール需要が伸び悩む要因となっていることを指す。

エタノールの生産量は、2012年6月に入り、とうもろこしの価格高騰を受け減少し始め、1日当たり90万バレル超だった生産量が、7月以降は80万バレル前後の水準で推移した。2013年4月に入り、原料価格の下落及び粗利益の回復を受け増加、概ね85万バレル前後で推移していたが、2013/14年度における米国産とうもろこしの大豊作が確定的となった9月後半以降更に増加し、90万~95万バレルで推移、2014年11月21日の週には98.2万バレルと、米国エネルギー情報局(EIA)が統計を取り始めた2010年以降で最高値を記録した(図-3)。

報道(2014.12.2)によれば、原油価格を背景としたガソリン価格の下落により、エタノール価格はガソリン価格を上回っているが、輸出需要が強いこと、とうもろこし安で原料費が抑えられていること、低温型の天候によりプラント冷却費用の削減効果が得られるため、エタノールの製造採算が改善していることにより、エタノール生産量は高水準で推移している。しかしながら、ガソリン価格の下落により割高なエタノールの価格競争力は低下しており、早晩、エタノール需要は減少するとの見方が強まっている。

2013年11月15日、米国環境保護局(EPA)は2014年の再生可能燃料の使用義務について181.5億ガロンから152.1億ガロンへの引下げを提案した。とうもろこし由来のエタノール使用義務量は144億ガロンから130億ガロンに引き下げられると見られている。

2014年11月21日、EPAは再生可能燃料使用義務量の決定を年明けに延長すると発表した。

2014年6月6日、EPAは燃料油の精製業者に対し、2013年バイオ燃料使用義務遵守についての報告期限を、当初予定の6月末から9月末に延期した。精製業者は割当てられた義務数量以上のバイオ燃料を使用した場合、その超過分をRIN(再生可能燃料識別番号)の形で次年度の義務数量の20%まで繰り越すことが出来るが、2014年使用義務数量が未だ確定していない中、精製業者の次年度へのRINの繰越数量が決められない状況となっている。同年11月21日、2014年使用義務数量の決定が先延ばしされたことにより、RINの報告期限も自動的に先送りされることとなった。

資料:米国エネルギー情報局(EIA)資料(2014.12)をもとに農林水産省で作成

図-3 米国におけるバイオエタノールの週間生産量(日量平均)の推移

資料:USDA「PS&D」(2014.12)等をもとに農林水産省で作成

図-2 米国とうもろこし需給の推移-2014/15年度の生産量は増加、期末在庫率も大幅に上昇-

46 54 54 62 47 50 47 39 19

49 44

156 155

141 149 130

130 121 115

110

130 137

43 47

56

72

74 74 69

46

35

35 35

25 30

34 41

54 77

94

117

118

130 131

0

5

10

15

20

25

30

35

0

50

100

150

200

250

300

350

400

04/05 05/06 06/07 07/08 08/09 09/10 10/11 11/12 12/13 13/14 14/15

(%)(百万t)

(年度)

エタノール向け需要 その他国内需要飼料用需要 輸出量生産量 期末在庫率

14.6%

エタノール向け需要は横ばい

70

75

80

85

90

95

100

(万バレル)

補助金制度期限切れに伴

う駆け込み生産増

(2011年末)

とうもろこし相場高騰

による生産減

(2012年6月以降)

原料価格の下落等

による生産量の回復

(2013年4月)

輸出需要増によるバイオ燃料

価格の上昇及び低い原料価

格による生産増(2014年12月)

Page 29: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 14 -

イ 中国

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、収穫面積は増加するものの、華北平原及び東北部で夏の干ばつにより単収が低下することから前年度より減少し、215.5百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料用需要が堅調なこと等から前年度より増加し、216.0百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、2.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加するものの、消費量の伸びに対して期末在庫量の伸びが少なかったことから、期末在庫率は36.4%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、生産量で上方修正、輸入量で下方修正された。結果として期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の生産量は、215.5百万トンと前年度(218.5百万トン)より3.0百万トン減少する見込み。これは、2014年7~8月、東北部及び華北平原において過去数十年で最悪と言われる干ばつが発生したため。その後、8月下旬から9月初旬にかけて、降雨量が平年並みに回復したことから、作柄悪化に歯止めが掛かったが、先の干ばつの埋め合わせをするには至らず、河南省及び遼寧省の単収は平年を大きく下回る見込み。一方、黒竜江省、北西部、中央部及び南部では、総じて生育に適した天候に恵まれ、単収は平年を上回る見込み。

中国国営放送(2014.12.8)によれば、黒竜江省で収穫済みのとうもろこしにカビが発生し品質劣化に陥っている模様。同国国家食糧備蓄公司(Sinograin)によれば、生育期に高温多湿型の天候に見舞われた他、収穫後、保管倉庫不足から野積みされたことが原因とされる。

【貿易情報】

2014年12月12日、中国国家発展改革委員会(NDRC)は、2015年のとうもろこし関税割当(TRQ)枠内数量を2014年と同水準(720万トン)とすると発表した。

中国通関(海関)統計によれば、2014年11月の輸入量は、前年同月比67.5%減の25.9万トンとなった。国別には、米国が2.0万トン(シェア7.6%)、ウクライナが15.9万トン(同61.5%)。また、2014年1~11月の累計輸入量は、前年同期比18.5%減の199.1万トンとなった。国別には、米国が100.9万トン(同50.7%)と前年同期から56.7%減少する一方で、ウクライナが57.0万トン(同28.6%)と前年同期から急増した。なお、米国からの輸入量の減少は、米国産とうもろこしの未承認のGM種子の混入による受入拒否によるもの。

【その他】

中央一号文件(2014.1.19)に基づき、とうもろこし、なたね、砂糖については現在、臨時買上げ・備蓄政策が実施されている。報道によれば、2014年11月7日、国家発展改革委員会(NDRC)は2014年から大豆及び綿花に試験導入した農家への直接払い制度をとうもろこし及び砂糖にも導入する可能性があると発表した。同政策は現在検証段階だが、大量に積み上がった国家備蓄の削減に有効と判断された場合、導入対象をとうもろこし及び砂糖に拡大する模様。

(世界の生産量シェア 2位(2014/15年度 21.7%))

表-3 中国のとうもろこし需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 205.6 218.5 215.5 (216.0) 1.5 ▲ 1.4消 費 量 200.0 212.0 216.0 (214.6) - 1.9

うち飼料用 144.0 154.0 158.0 (145.0) - 2.6輸 出 量 0.1 0.0 0.1 (0.2) - 400.0輸 入 量 2.7 3.3 2.0 (2.7) ▲ 0.5 ▲ 39.0期末在庫量 67.6 77.3 78.7 (86.0) 1.0 1.8期末在庫率 33.8% 36.5% 36.4% (40.0%) 0.5 ▲ 0.0

(参考)収穫面積(百万ha) 35.03 36.32 37.00 (36.80) 0.20 1.9単収(t/ha) 5.87 6.02 5.82 (5.87) - ▲ 3.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

2014/15

予測値、( )はIGC年 度 2012/13

2013/14(見込み)

図-4 中国産とうもろこしの生産量、消費量、輸入量等の推移

資料:USDA「PS&D」(2014.12)等をもとに農林水産省で作成

0

200

400

600

800

1,000

0

50

100

150

200

250生産量 左目盛

消費量 左目盛

期末在庫量 左目盛

輸入量 右目盛

(百万t)

輸入開始

(万t)

(年度)

Page 30: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 15 -

ウ アルゼンチン

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、単収、収穫面積共に減少することから前年度より減少し、22.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、9.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、12.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も13.8%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、生産量、輸出量で下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の作付作業は2014年9月から開始された。11月中旬、予想外の降雹により、コルドバ州では早植えとうもろこしに被害が発生したものの、現在、土壌水分量が十分であることから作付作業は順調に進捗している。

ブエノスアイレス穀物取引所週報(2014.12.11)によれば、12月11日現在の作付進捗率は51.8%と、前週(44.9%)から6.9%進捗し、前年同期(48.4%)を3.4%下回っている。

同国では、とうもろこしの作付時期を遅らせる農家が増加している。これは、従来の作付時期では受粉期を迎える1月が1年で最も高温となり、単収に悪影響を及ぼす可能性が高い。作付時期を遅らせる事によりこうしたリスクを低減できる他、登熟時期が従来の3~5月から乾期の6~7月になるため、作物の乾燥費用を削減する事が可能となる。その他のメリットとしては、政府による規制や市場の動きなどに対応するための時間的猶予も得られるという。

2014/15年度の収穫面積は、3.0百万ヘクタールと前年度(3.4百万ヘクタール)より11.8%減少する見込み。アルゼンチン駐在米国農務官報告によれば、とうもろこしの国際価格の下落により採算が悪化しており、農家は、物価上昇に伴い賃借相場が高騰している借地での作付けを避け、自己所有地での作付けに専念すると予想。年末までに採算が改善しない場合は作付けを放棄するケースも考えられる。また、種子や農薬などの投入資材に対する経費も極力切り詰められる可能性が高いという。

【貿易情報】

アルゼンチン農牧漁業省農畜食糧衛生品質管理センター(SENASA)によれば、2014年1~10月のとうもろこし輸出量は1,359万トン。国別には、アルジェリア(280万トン)が最も多く、次いでエジプト(157万トン)、マレーシア(119万トン)となっている。

2014年11月6日、アルゼンチン経済省は、2014/15年度のとうもろこしに対する輸出枠を800万トンと発表した。輸出許可証の発給は、2015年3月15日以降となる。

我が国の輸入先国シェア3位(2013年数量ベース13.3%)

世界の生産量シェア 7位(2014/15年度 2.2%)

世界の輸出量シェア 4位(2014/15年度 10.7%)

表-4 アルゼンチンのとうもろこし需給

(市場年度:翌年3月~翌々年2月)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 27.0 25.0 22.0 (22.5) ▲ 1.0 ▲ 12.0消 費 量 7.9 8.7 9.2 (8.8) - 5.7

うち飼料用 5.3 5.8 6.1 (6.0) - 5.2輸 出 量 18.7 15.5 12.0 (14.5) ▲ 1.0 ▲ 22.6輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (0.0) - 0.0期末在庫量 1.3 2.1 2.9 (1.3) - 38.2期末在庫率 5.0% 8.8% 13.8% (5.5%) 0.6 5.1

(参考)収穫面積(百万ha) 4.00 3.40 3.00 (3.50) ▲ 0.25 ▲ 11.8単収(t/ha) 6.75 7.35 7.33 (6.43) 0.25 ▲ 0.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

図-5 アルゼンチン産とうもろこしの生産量、収穫面積、単収の推移

10 10 11 11

16

19

14

17 15 15 16 15

20

16

23 22

16

25 25

21

27 25

22

-1

1

3

5

7

9

11

13

15

0

5

10

15

20

25

30

生産量左目盛

収穫面積 左目盛

単収 右目盛

(百万t、百万ha) (t/ha)

資料:USDA「PS&D」(2014.12)等をもとに農林水産省で作成

Page 31: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 16 -

エ ブラジル

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、単収、収穫面積共に減少することから前年度より減少し、75.0百万トンとなる見込み。

消費量は、飼料需要増から前年度より増加し、56.5百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、19.5百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も23.1%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

ブラジル南部を中心に作付けされる夏とうもろこしは、例年9月から12月にかけて作付けが行われる。米国調査会社によれば、2014年11月27日現在における州別の夏とうもろこしの作付進捗率は、パラナ州がほぼ終了、リオグランデ・ド・スル州は平年を上回る85%に達した。また、パラナ州では25%、リオグランデ・ド・スル州では40%が受粉期を迎えている。

ブラジル食料供給公社(CONAB)の12月報告(2014.12.10)によれば、とうもろこし価格の低迷により収益性の高い大豆に作付けがシフトする傾向にあることから、2014/15年度の夏とうもろこしの作付面積は、6.18百万ヘクタールと前年度(6.62百万ヘクタール)を下回り、生産量も29.3百万トンと前年度(31.7百万トン)を下回る見込み。一方、冬とうもろこしの作付面積は、9.18百万ヘクタールと前年度実績で仮置きされ、単収が5.38トン/ヘクタールと前年度(5.26トン/ヘクタール)から改善が見込まれるため、生産量は49.4百万トンと前年度(48.3百万トン)を上回る見込み。

2014年12月5日、米国の商品先物取引会社は、2014/15年度の冬とうもろこしの生産量を74.3百万トンと、前月予想(76.4百万トン)から下方修正した。これは、大豆の作付遅延に伴い収穫時期が遅れる可能性があり、年明けから開始される冬とうもろこしの作付への影響が懸念されるため。

【貿易情報】

2013年6月10日、中国政府はブラジル産GM大豆3種の輸入を認可している。

さらに、2014年8月21日、ブラジル農務省(2014.9.22)によれば、中国政府はブラジル産GM大豆3種及びGMとうもろこし5種の輸入を新たに認可した模様。

我が国の輸入先国シェア2位(2013年数量ベース30.4%)世界の生産量シェア 3位(2014/15年度 7.6%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 17.4%)

表-5 ブラジルのとうもろこし需給(市場年度:翌年3月~翌々年2月)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 81.5 79.3 75.0 (78.7) - ▲ 5.4消 費 量 52.5 55.0 56.5 (55.0) - 2.7

うち飼料用 44.5 46.0 47.5 (…) - 3.3輸 出 量 25.0 21.5 19.5 (20.0) - ▲ 9.3輸 入 量 0.9 0.8 0.8 (0.3) - 0.0期末在庫量 14.2 17.8 17.6 (19.4) - ▲ 1.1期末在庫率 18.3% 23.2% 23.1% (25.9%) - ▲ 0.1

(参考)収穫面積(百万ha) 15.80 15.70 15.00 (15.36) - ▲ 4.5単収(t/ha) 5.16 5.05 5.00 (5.12) - ▲ 1.0資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) CONAB「Acompanhamento da Safra Brasileira de Graos」(10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値(CONAB)

資料:ブラジル食料供給公社(CONAB)2014年12月報告をもとに農林水産省で作成。注:カレンダーの帯の中の数量はブラジル全体の作付面積及び生産量。

図-6 2014/15年度のとうもろこし、大豆のクロップカレンダー

2014/15年度1月 ・ ・ ・ ・ 6 7 8 9 1 2 3 4 5 6 7 8 9

生産量

夏とうもろこし 作付け (百万ha) 収穫 夏冬計

冬とうもろこし 作付面積夏冬計 作付け 収穫

大豆 作付け 収穫

2014年 2015年

中西部 マトグロッソ州等

29.36.18

15.36 49.49.18

南部 パラナ州等

31.66

78.7

(百万t)

95.8

10 11 12

大豆収穫後冬とうもろこし作付け

Page 32: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 17 -

オ EU

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、73.6百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、77.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、2.5百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、6.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は前年度並みの見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の輸入量、期末在庫量で下方修正、2014/15年度の生産量、消費量で上方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

米国農務省(USDA)「World Agricultural Production」によれば、2014/15年度の生産量は73.6百万トンと、前年度(64.2百万トン)を14.6%上回り史上最高となる見込み。2014年6月の作付け以降、総じて平年を上回る降雨に恵まれEU全土の土壌水分量が増加、干ばつ等のストレスを受けることなく理想的な生育環境となったため。農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、2014/15年度の収穫作業は終了し、作柄は総じて良好。

【その他】

GM作物のEU域内での栽培申請に関し、2014年2月11日、EU閣僚理事会はEUの「GMOの環境への放出に関する指令」の改正案を協議。本改正は、EUで承認又は承認手続中のGM作物であっても、加盟国が自国での栽培を制限又は禁止することを可能にするもの。本改正案につき、加盟国のうち19カ国が反対を表明したため、修正案が提示され、同年6月12日に政治合意、同年7月23日に正式承認された。同年11月11日、欧州議会は理事会で承認された改正案を修正の上承認。同年12月4日、3者(欧州議会、閣僚理事会、欧州委員会)は、GM作物の自国での栽培を禁止したい加盟国に申請者(バイテク企業)と事前協議を義務付けるかは各国の任意とすること、栽培禁止の理由については、欧州食品安全機関が判断する健康や安全以外の理由でEUが承認した禁止理由リストに基づくことで暫定合意した。今後、閣僚理事会及び欧州議会で正式に承認されることとなる。

2014年6月13日、EU閣僚理事会は、輸送燃料における食物由来バイオ燃料の混合比率を7%に制限する法案を可決した。こうした燃料が食料価格の高騰に拍車をかけ、環境面のメリットより悪影響の方が大きいとする批判に対応したものである。今後、加盟国との議論を行い、年末までに結論を得たいとしているが、法案の行方は不透明な状況となっている。

2014年9月19日、欧州委員会は、とうもろこしの輸入関税を5.32ユーロ/トンから10.44ユーロ/トンに引き上げる旨発表した。EUは2010年8月よりとうもろこしの輸入関税を撤廃していたが、国際相場の下落を受け、2014年7月16日に輸入関税を復活させたばかり。

(世界の生産量シェア 4位(2014/15年度 7.4%))

表-6 EUのとうもろこし需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 58.9 64.2 73.6 (73.0) 0.5 14.6消 費 量 69.6 76.0 77.0 (74.7) 0.5 1.3

うち飼料用 53.0 57.5 58.0 (59.8) 0.5 0.9輸 出 量 2.2 2.4 2.5 (3.0) - 4.2輸 入 量 11.4 15.8 6.0 (7.0) - ▲ 62.1期末在庫量 5.1 6.7 6.8 (17.0) ▲ 0.1 1.3期末在庫率 7.1% 8.6% 8.6% (21.9%) ▲ 0.2 ▲ 0.0

(参考)収穫面積(百万ha) 9.72 9.74 9.61 (9.71) 0.02 ▲ 1.3単収(t/ha) 6.06 6.59 7.66 (7.50) 0.04 16.2資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)   EU 「Balance sheets for cereals, oilseeds and rice」(27 November 2014)

2013/14(見込み)

年 度 2012/132014/15

予測値、( )はEU

写真提供:Serge Brossard氏

写真-2 仏シャランテ・マリティム県(2014年12月12日撮影)-収穫後のとうもろこし畑-

Page 33: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 18 -

カ ウクライナ

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、通貨安に伴う資材コストの上昇による単収低下及び晩夏の高温・乾燥から前年度より減少し、27.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、10.4百万トンとなる見込み。輸出量は、前年度より減少し、16.5百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も8.9%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の生産量は27.0百万トンと、史上最高を記録した前年度(30.9百万トン)より12.6%減少する見込み。今年度は、輸入ハイブリッド種子の作付けが前年度より20%増加したものの、2014年7月、とうもろこし主産地である南端部が熱波に見舞われた他、8月には北部及び西部を中心にとうもろこし産地の広い範囲で高温・乾燥型の天候が続いたこと、現地通貨安を背景に肥料等の輸入資材の調達コストが嵩んだことから単収が低下する見込み。

2014年12月12日、ウクライナ農業政策・食料省は、12月12日現在における穀物の収穫進捗率を99%と発表した。収穫量は64.2百万トンに達し、うち、とうもろこしの収穫量は27.6百万トン。

【貿易情報】

2014年12月12日、ウクライナ農業政策・食料省は、12月12日現在における2014/15年度の穀物輸出量を16.6百万トンと発表した。うち、とうもろこしの輸出量は5.3百万トン。

【その他】

報道(2014.11.19)によれば、ウクライナ農作物輸送業者協会のクチェロワ会長は、輸送機器の不足により畑に放置されてロスした作物の割合は、2012年と2013年は全体の10%だったが、2014年は11%を超えると言及した。

同氏によれば、同国の穀物輸送用トラックの23%は保有する輸送業者の財政難により稼働できない状況となっており、今期は現地通貨安により燃料価格が高騰したが、大手農業ホールディングは輸送業者に支払う輸送料金を十分引き上げていないという。

2014年11月14日、中国国家穀物油脂情報局(CNGOIC)は、2012年にウクライナ穀物公社(GPZKU)との間で取り交わした取り決めに基づき、中国より供与したドル借款15億ドルの返済として、2014年10月から2015年2月の間にウクライナ産とうもろこし1.14百万トンを買い付ける旨発表した。報道(2014.12.12)によれば、業界関係者は、ウクライナの政治的混乱などを背景に、期日までに契約量を出荷できず、同合意の約20%が契約不履行に陥る可能性があると見ている。

現在、ウクライナ産とうもろこし、大豆、大麦については対中輸出における植物検疫に関する議定書に署名済みである。ウクライナ政府は、2014年中に小麦となたねの植物検疫議定書の署名を目指している。

我が国の輸入先国シェア 5位(2013年数量ベース 4.7%)

世界の生産量シェア 5位(2014/15年度 2.7%)

世界の輸出量シェア 3位(2014/15年度 14.7%)

表-7 ウクライナのとうもろこし需給

(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 20.9 30.9 27.0 (27.0) - ▲ 12.6消 費 量 8.1 9.9 10.4 (9.7) - 5.1

うち飼料用 6.8 8.5 9.0 (7.8) - 5.9輸 出 量 12.7 20.0 16.5 (17.5) - ▲ 17.5輸 入 量 0.0 0.1 0.1 (0.0) - 0.0期末在庫量 1.2 2.2 2.4 (2.4) - 6.7期末在庫率 5.7% 7.5% 8.9% (8.6%) - 1.4

(参考)収穫面積(百万ha) 4.37 4.83 4.60 (5.00) - ▲ 4.8単収(t/ha) 4.79 6.40 5.87 (5.40) - ▲ 8.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

図-7 ウクライナ産とうもろこしの生産量、輸出量等の推移

資料:USDA「PS&D」(2014.12)等をもとに農林水産省で作成

0

5

10

15

20

25

30

35

生産量

消費量

輸出量

期末在庫量

(百万トン)

(年度)

2014/15年度の輸出量は、

前年度比18%減少見込み

Page 34: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 19 -

3 大麦

(1) 国際的な大麦需給の概要(詳細は右表を参照)

<米国農務省(USDA)の見通し>

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、ロシア、ウクライナで増加するものの、トルコ、カナダ、豪州等で

減少することから、世界全体では前年度を下回り、139.4百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、EUで

上方修正、カナダで下方修正された。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、ロシア等で増加するものの、カナダ、EU、トルコ等で減少するこ

とから、世界全体では前年度を下回り、140.6百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、EU、

サウジアラビアで上方修正、カナダで下方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より増加し、23.3百万トンとなる見込み。国別には、輸出国では、ロシア、ウクライナ、EUで増加するものの、豪州、

アルゼンチン等で減少する見込み。輸入国では、イラン、リビア等で増加し、サウジアラビア、中国等で減少する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、輸出国ではEUで上方修正、アルゼンチンで下方修正、輸入国ではサウジアラビアで上方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、前年度より減少し、世界全体で23.5百万トンとなる見込み。国別には、EU、ウクライナで積み増しされるものの、カナダ、サウジアラビ

ア等で取り崩される見込み。世界全体の期末在庫率は16.7%と前年度より低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、サウジアラビアで上方修正、EUで下方修正された。

表-1 世界の大麦需給(米国農務省)(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 129.8 145.2 139.4 ▲ 0.4 ▲ 4.0 EU 54.9 59.6 59.9 0.1 0.4 ロシア 14.0 15.4 19.5 - 26.7 カナダ 8.0 10.2 7.1 ▲ 0.1 ▲ 30.4 豪州 7.5 9.5 7.6 - ▲ 20.3 ウクライナ 6.9 7.6 9.4 - 24.3 トルコ 5.5 7.3 4.0 - ▲ 45.2 米国 4.8 4.7 3.8 - ▲ 18.4 消 費 量 131.7 141.4 140.6 0.7 ▲ 0.6

 うち飼料用 88.8 97.3 95.3 1.6 ▲ 2.0 EU 51.0 53.5 52.5 1.3 ▲ 1.9 ロシア 12.1 12.6 14.3 - 13.5 サウジアラビア 8.3 8.4 8.5 0.2 1.2 カナダ 6.8 7.7 6.7 ▲ 0.1 ▲ 13.2 トルコ 6.2 7.0 6.1 - ▲ 12.9 ウクライナ 5.1 5.1 4.9 - ▲ 3.9 米国 4.6 4.8 4.7 - ▲ 2.5 貿 易 量 19.6 23.2 23.3 ▲ 0.2 0.5

(輸出)EU 4.9 5.7 6.7 0.2 16.7 豪州 4.5 6.5 4.3 - ▲ 33.8 アルゼンチン 3.6 2.9 1.6 ▲ 0.4 ▲ 44.8 ロシア 2.2 2.7 4.3 - 60.4 ウクライナ 2.1 2.5 4.0 - 61.6 カナダ 1.4 1.6 1.2 - ▲ 23.0 カザフスタン 0.2 0.5 0.4 - ▲ 20.0 (輸入)サウジアラビア 8.5 9.5 8.0 0.5 ▲ 15.8 中国 2.2 4.9 4.5 - ▲ 8.0 日本 1.4 1.3 1.3 - 0.5 イラン 1.6 0.9 1.0 - 11.1 ヨルダン 0.8 1.0 0.7 - ▲ 35.6 アラブ首長国連邦 0.5 0.6 0.6 - - リビア 0.6 0.5 0.6 - 10.0 期末在庫量 20.8 24.7 23.5 ▲ 1.3 ▲ 4.8

EU 5.1 5.5 6.3 ▲ 1.5 13.9 サウジアラビア 3.0 4.1 3.6 0.3 ▲ 12.5 米国 1.8 1.8 1.5 - ▲ 14.9 イラン 1.7 1.3 1.2 - ▲ 7.4 カナダ 1.0 1.9 1.1 - ▲ 40.3 アルジェリア 1.2 1.2 1.0 - ▲ 12.6 ウクライナ 0.9 0.9 1.4 - 57.2 期末在庫率 15.8% 17.5% 16.7% ▲ 1.0 ▲ 0.7

資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」   「PS&D」(10 December 2014)

2013/14(見込み)

2014/15年 度 2012/13

図-1 世界の大麦のシェア(2014/15年度)

EU

43%

ロシア

14%ウクライナ

7%

豪州

5%

カナダ

5%

トルコ

3%

米国

3%

その他

20%

生産量 1.4億トン

EU

29%

豪州

19%ロシア

18%

ウクライナ

17%

アルゼンチン

7%

カナダ

5%その他

5%

輸出量 0.2億トン

Page 35: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 20 -

(2) 大麦の主要生産・輸出国等の需給状況ア 豪州

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、前年度より減少し、7.6百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より減少し、3.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、4.3百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率は5.0%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の生産量、期末在庫量で下方修正された。結果として2014/15年度の期末在庫量がわずかに下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

豪州農業経済科学局(ABARES)「Australian crop report」(2014.12.2)によれば、2014/15年度の生産量は前年度を下回る見込み。これは、冬から春にかけて、特に東部で降水量が平年を下回ったためだが、ウエスタンオーストラリア州、サウスオーストラリア州で前年度が平年を大きく上回る豊作であったことも一因。

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、東部では温暖で総じて乾燥型の天候となったため収穫作業が進展。一方、西部では降雨により作業が停滞し、品質低下によりビール用となる大麦が減少する懸念が浮上。

イ カナダ【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>生産量は、前年度より減少し、7.1百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より減少し、6.7百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、1.2百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より減少し、期末在庫率は14.5%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の生産量、消費量、2014/15年度の生産量、消費量で下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、生育時期に総じて雨がちな天候となったため作物が穂発芽や病害虫の被害を受け、ビール用となる高品質のものは少なくなると見られる。

アルバータ州農務当局(2014.10.21)によれば、単収は過去5年平均を上回るものの9月初旬の降霜・降雪により品質が低下。また、サスカチュワン州農務当局(2014.11.6)によれば、単収は3.12トン/ヘクタールと過去10年平均を上回る見込みだが、品質低下によりビール用が19%と過去10年平均(34%)を下回る見込み。

我が国の輸入先国シェア 1位(2013年数量ベース66.8%)世界の生産量シェア 4位(2014/15年度 5.5%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 18.4%)

表-2 豪州の大麦需給(市場年度:11月~翌年10月)

我が国の輸入先国シェア 2位(2013年数量ベース25.5%)世界の生産量シェア 5位(2014/15年度 5.1%)

輸出量シェア 6位(2014/15年度 5.1%)

表-3 カナダの大麦需給(市場年度:8月~翌年7月)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 7.5 9.5 7.6 (7.4) - ▲ 20.3 消 費 量 3.0 3.3 3.2 (…) - ▲ 3.0

うち飼料用 1.8 2.0 1.9 (…) - ▲ 5.0 輸 出 量 4.5 6.5 4.3 (5.0) - ▲ 33.8 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (…) - …期末在庫量 0.5 0.3 0.4 (…) ▲ 0.0 36.0 期末在庫率 7.2% 2.8% 5.0% (…) ▲ 0.1 2.2

(参考)収穫面積(百万ha)※ 3.64 3.92 3.80 (3.80) - ▲ 3.1 単収(t/ha) 2.05 2.43 2.00 (1.96) - ▲ 17.7 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」、「PS&D」 (10 December 2014)

年 度 2012/13

ABARES「Agricultual commodities(9 December 2014)」(※ABARESは作付面積)

予測値、( )はABARES

2013/14(見込み)

2014/15

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 8.0 10.2 7.1 (7.1) ▲ 0.1 ▲ 30.4 消 費 量 6.8 7.7 6.7 (6.4) ▲ 0.1 ▲ 13.2

うち飼料用 5.7 6.6 5.5 (6.0) ▲ 0.1 ▲ 15.9 輸 出 量 1.4 1.6 1.2 (2.0) - ▲ 23.0 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (0.0) - 177.8 期末在庫量 1.0 1.9 1.1 (0.7) - ▲ 40.3 期末在庫率 11.9% 20.7% 14.5% (8.4%) 0.1 ▲ 6.2

(参考)

収穫面積(百万ha) 2.75 2.65 2.14 (2.13) 0.04 ▲ 19.2 単収(t/ha) 2.91 3.86 3.33 (3.34) ▲ 0.10 ▲ 13.7 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」、「PS&D」 (10 December 2014) AAFC「Outlook For Principal Field Crops」(21 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み) 予測値、( )はAAFC

2014/15

Page 36: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 21 -

ウ 米国我が国の輸入先国シェア3位(2013年数量ベース 4.0%)世界の生産量シェア 7位(2014/15年度 2.8%)

表-4 米国の大麦需給(市場年度:6月~翌年5月)

IGC「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、生育期間中の湿潤型の天候で作物に被害が発生し、収穫の放棄が増加する見込み。生産量は、収穫面積の減少により対前年度比18%減となる見込み。

エ ウクライナ我が国の輸入先国シェア4位(2013年数量ベース 3.7%)世界の生産量シェア 3位(2014/15年度 6.7%)

輸出量シェア 4位(2014/15年度 17.2%)表-5 ウクライナの大麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

ウクライナ農業政策食料省によれば、2014/15年度(2014年7月~)の輸出量は12月12日時点で累計3.4百万トン。2015/16年度の冬大麦の作付けは終了し、12月上旬時点では休眠の状態にある。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 6.9 7.6 9.4 (9.4) - 24.3 消 費 量 5.1 5.1 4.9 (5.5) - ▲ 3.9

うち飼料用 3.5 3.4 3.3 (4.0) - ▲ 2.9 輸 出 量 2.1 2.5 4.0 (3.7) - 61.6 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (…) - ▲ 80.0 期末在庫量 0.9 0.9 1.4 (1.0) - 57.2 期末在庫率 12.1% 11.7% 15.6% (10.5%) - 3.9

(参考)収穫面積(百万ha) 3.29 3.23 3.20 (3.01) - ▲ 0.9 単収(t/ha) 2.11 2.34 2.94 (3.12) - 25.6 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」、「PS&D」 (10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、( )はIGC

(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 4.8 4.7 3.8 - ▲ 18.4 消 費 量 4.6 4.8 4.7 - ▲ 2.5

うち飼料用 1.3 1.4 1.3 - ▲ 7.1 輸 出 量 0.2 0.3 0.2 - ▲ 29.9 輸 入 量 0.5 0.4 0.8 - 86.8 期末在庫量 1.8 1.8 1.5 - ▲ 14.9 期末在庫率 36.2% 35.1% 31.2% - ▲ 3.9

(参考)収穫面積(百万ha) 1.33 1.23 0.99 - ▲ 19.6 単収(t/ha) 3.60 3.84 3.89 - 1.3 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」 (10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

オ EU世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 43.0%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 28.7%)表-6 EUの大麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

2015/16年度の冬大麦の作付はほぼ終了し、FAO「Crop Prospectsand Food Situation」(2014年12月)によれば、温暖な気候に恵ま

れ、発芽時期は前年より2週間程度早まっている模様。

カ ロシア世界の生産量シェア 2位(2014/15年度 14.0%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 18.4%)表-7 ロシアの大麦需給(市場年度:7月~翌年6月)

ロシア税関データによれば、2014年10月の大麦輸出量は63.8万トンと単月で過去最高となった。また、2014/15年度の10月までの輸出量累計は1.9百万トン(対前年度比20%増)。

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 14.0 15.4 19.5 (19.0) - 26.7 消 費 量 12.1 12.6 14.3 (13.7) - 13.5

うち飼料用 7.7 8.2 9.5 (9.2) - 15.9 輸 出 量 2.2 2.7 4.3 (3.3) - 60.4 輸 入 量 0.3 0.1 0.1 (0.3) - ▲ 28.1 期末在庫量 0.7 1.0 2.0 (2.8) - 102.8 期末在庫率 5.1% 6.4% 10.6% (16.8%) - 4.2

(参考)収穫面積(百万ha) 7.63 8.02 8.20 (8.20) - 2.2 単収(t/ha) 1.83 1.92 2.38 (2.32) - 24.0 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」、「PS&D」 (10 December 2014) IGC 「Grain Market Report」(27 November 2014)

2014/15

予測値、( )はIGC年 度 2012/13

2013/14(見込み)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 54.9 59.6 59.9 (60.0) 0.1 0.4 消 費 量 51.0 53.5 52.5 (48.5) 1.3 ▲ 1.9

うち飼料用 35.5 38.0 37.0 (36.0) 1.5 ▲ 2.6 輸 出 量 4.9 5.7 6.7 (7.0) 0.2 16.7 輸 入 量 0.1 0.0 0.1 (0.1) - 127.3 期末在庫量 5.1 5.5 6.3 (11.5) ▲ 1.5 13.9 期末在庫率 9.1% 9.3% 10.6% (20.8%) ▲ 2.9 1.3

(参考)収穫面積(百万ha) 12.51 12.36 12.39 (12.48) - 0.2 単収(t/ha) 4.39 4.83 4.83 (4.8) 0.01 - 資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」 「World Agricultural Production」、「PS&D」 (10 December 2014) EU 「Balance Sheets For Cereals and Oilseeds and Rice」(27 November 2014)

2014/15

予測値、( )はEU年 度 2012/13

2013/14(見込み)

Page 37: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 22 -

4 米(1) 国際的な米需給の概要 (詳細は右表を参照)

〈米国農務省(USDA)の見通し〉

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、中国等で増加するもののインドで減少することから、世界全体では

減少し、475.2百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、中国、

ベトナムで上方修正、インドネシアで下方修正された

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、中国、インドネシア等で前年度より増加することから、世界全体で

は増加し、史上最高の482.9百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より減少し、41.9百万トンとなる見込み。輸出国では、タイ等で増加、インド等で減少する見込み。一方、輸入国では、

ナイジェリア、フィリピン等で増加、EU、中国で減少する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には輸出国で

は、タイ等で上方修正、輸入国では、インドネシア、中国で上方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、フィリピン、米国等で増加するものの、インド、インドネシア

等で減少することから、世界全体では前年度より減少し、99.1百万トンとなり、期末在庫率も20.5%と低下する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には中国、日

本で上方修正、タイ、インドネシア、米国で下方修正された。

図-1 世界の米のシェア(2014/15年度)

表-1 世界の米需給(米国農務省)

(単位:百万精米トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 471.9 476.9 475.2 0.2 ▲ 0.3中国 143.0 142.5 144.5 0.5 1.4インド 105.2 106.5 102.0 - ▲ 4.3インドネシア 36.6 36.3 36.5 ▲ 0.5 0.6バングラデシュ 33.8 34.4 34.6 - 0.6ベトナム 27.5 28.2 28.3 0.1 0.3タイ 20.2 20.5 20.5 - 0.2ミャンマー 11.7 12.0 12.2 - 1.6消 費 量 468.6 480.2 482.9 ▲ 0.1 0.6中国 144.0 146.3 148.0 - 1.2インド 94.0 99.2 99.0 - ▲ 0.2インドネシア 38.1 38.5 39.2 - 1.8バングラデシュ 34.5 34.9 35.2 - 0.9ベトナム 21.9 22.0 21.9 - ▲ 0.5フィリピン 12.9 12.9 13.2 - 2.7タイ 10.6 10.9 10.9 - 0.2貿 易 量 39.3 42.0 41.9 0.4 ▲ 0.2(輸出)インド 10.9 10.3 8.7 - ▲ 15.5タイ 6.7 10.3 11.0 0.2 6.8ベトナム 6.7 6.5 6.7 - 3.1パキスタン 3.6 3.9 3.9 - 0.0米国 3.4 3.0 3.3 0.0 10.0ミャンマー 1.2 1.5 1.4 0.1 ▲ 3.4カンボジア 1.1 1.0 1.2 - 20.0(輸入)ナイジェリア 2.8 3.0 3.5 - 16.7中国 3.1 4.0 4.0 0.1 ▲ 0.5イラン 2.1 1.7 1.7 - 3.0フィリピン 1.4 1.5 1.6 - 10.3インドネシア 0.7 1.2 1.3 0.3 5.7EU 1.4 1.5 1.5 - ▲ 2.0イラク 1.4 1.4 1.5 - 7.4期末在庫量 110.1 106.8 99.1 0.6 ▲ 7.2中国 46.8 46.8 46.9 0.7 0.2インド 25.4 22.5 16.8 - ▲ 25.3タイ 12.8 12.4 11.3 ▲ 0.2 ▲ 8.9インドネシア 6.5 5.5 4.1 ▲ 0.1 ▲ 25.5日本 2.7 2.8 2.8 0.0 0.0フィリピン 1.5 2.0 2.6 - 30.8米国 1.2 1.0 1.3 ▲ 0.0 24.3期末在庫率 23.5% 22.2% 20.5% 0.1 ▲ 1.7

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、  「PS&D」(10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

Page 38: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 23 -

(2)米の主要生産・輸出国等の需給状況ア 中国【需給状況】(詳細は右表を参照)

〈米国農務省の見通し〉生産量は、単収が上昇することから、前年度より増加し、144.5百万トンとな

る見込み。

消費量は、前年度より増加し、148.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、0.4百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度並の4.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は31.6%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の輸入量が下方修正、期末在庫量が上方修正、2014/15年度の生産量、輸出量、輸入量が上方修正された。結果として期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況】農業市場情報システム(AMIS)「GEOGLAM December Crop Monitor Report」に

よれば、11月28日現在、晩生は、成熟期の南部地域を除いて、大部分は収穫が終了。中国国家統計局は、2014年の米の生産量(籾ベース)を206.4百万トンと公表。

【輸出入その他】中国税関総署によれば、2014年10月の中国の米輸入量は、18.0万トンであり、

前月に比べて0.02万トンの減少となった。2014年1月~10月の米輸入量の累計は200.7万トンとなっている。

海外情報サイトによれば、中国は、タイとの政府間取引で米とゴムを合わせて2.2百万トン(うち米2.0百万トン)を輸入することに合意。

米国農務省(USDA)「Rice Outlook」(2014.12.12)によれば、中国の2014年の輸入量は、前月に比べて0.1百万トン増加の4.0百万トンと予測。2012年以前は、中国は一般的に1年間につき30万~60万トンの米(大部分はタイからの香り米)を輸入する国だったが、2012年以降、輸入は年々増加し、世界最大の輸入国となった。国内価格に比べて国際価格が低いこと等によるものと見られている。

海外情報によれば、中国政府は、カンボジア国内の米備蓄用施設建設に3億ドルの投資を行うことを決定、2015年1月に両国政府間で署名が行われる。今回の投資では、10カ所以上のカントリーエレベーターを建設し、最低備蓄100万トンを確保する予定。

国際穀物理事会(IGC) 「Grain Market Report」(2014.11.27)よれば、中国は、2013/14年度も2年連続で世界最大の輸入国になり、その輸入量は、国内価格に比べて国際価格が低いことから、3.2百万トン(前年 3.1百万トン)となる見込み。

世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 30.4%)

輸入量シェア 1位(2014/15年度 10.1%)

表-2 中国の米需給(市場年度:7月~翌年6月)

写真-1 大連市内で販売される長粒種

-42.9元/5kg(810円/5kg)-

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 143.0 142.5 144.5 (141.7) 0.5 1.4消 費 量 144.0 146.3 148.0 (142.0) - 1.2輸 出 量 0.3 0.3 0.4 (0.4) 0.1 53.8輸 入 量 3.1 4.0 4.0 (3.0) 0.1 ▲ 0.5期末在庫量 46.8 46.8 46.9 (102.1) 0.7 0.2期末在庫率 32.4% 31.9% 31.6% (70.2%) 0.4 ▲ 0.3

(参考)収穫面積(百万ha) 30.14 30.31 30.31 (…) ▲ 0.29 0.0単収(もみt/ha) 6.78 6.72 6.81 (…) 0.09 1.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

Page 39: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 24 -

イ インド【需給状況】(詳細は右表を参照)

〈米国農務省の見通し〉生産量は、収穫面積が減少すること及び単収が低下することから、前年度よ

り減少し、102.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より減少し、99.0百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、8.7百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も15.6%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、行われていない。

【生育進捗状況】インド農業省によれば、2014年10月10日現在、雨季米(カリフ米)の作付けは

38.0百万ヘクタール(前年同時期37.6百万ヘクタール)に達している。農業市場情報システム(AMIS)「GEOGLAM December Crop Monitor Report」に

よれば、11月28日現在、生育は順調で、一期作の収穫が開始。またラビ米(乾季米)の二期目の作付けも始まり、生育は順調。

【輸出入その他】国際穀物理事会(IGC)(2014.12.8 DAILY)よれば、2014/15年度(2014年4月

/2015年3月)の9月末時点での輸出量の累計は、バスマティ米が1.4百万トン(前年同期の26%減)。前年度から減少は、主にイランへの輸出低下に起因。

米国農務省(USDA)「Rice Outlook」(2014.12.12)によれば、インドの2014/15年度の期末在庫量は、前年に比べて5.7百万トン減少の16.8百万トンで、2007/08年以降最も低い在庫量となっている。

世界の生産量シェア 2位(2014/15年度 21.5%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 20.8%)

表-3 インドの米需給(市場年度:10月~翌年9月)

写真-2 インド北東部ハリヤナ州(2014年10月8日撮影)

-収穫後のほ場での落ち穂拾い-

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 105.2 106.5 102.0 (104.0) - ▲ 4.3消 費 量 94.0 99.2 99.0 (99.1) - ▲ 0.2輸 出 量 10.9 10.3 8.7 (8.0) - ▲ 15.5輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (0.1) - …期末在庫量 25.4 22.5 16.8 (20.5) - ▲ 25.3期末在庫率 24.3% 20.6% 15.6% (19.1%) - ▲ 5.0

(参考)収穫面積(百万ha) 42.41 43.94 43.50 (…) - ▲ 1.0単収(もみt/ha) 3.72 3.64 3.52 (…) - ▲ 3.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

資料:USDA「PS&D」(2014.12)をもとに農林水産省で作成

図-2 インドの期末在庫の推移-2000年以降2004/05年が最低-

Page 40: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 25 -

ウ タイ【需給状況】(詳細は右表を参照)

〈米国農務省の見通し〉生産量は、前年度並みの20.5百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度並みの10.9百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、11.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率は51.6%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の輸出量が上方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。

【生育進捗状況】農業市場情報システム(AMIS)「GEOGLAM December Crop Monitor Report」によれ

ば、11月28日現在、生育は順調。生育ステージは作付けから収穫までと多岐に渡る。

【貿易情報等】国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、タイ

の米の輸出量は、2011年10月に導入された籾担保融資制度が、今年の初め(2014年2月末)に中止された後に飛躍的に上昇した。

海外情報サイトによれば、タイ商業相は、中国に政府間取引で米とゴムを合わせて2.2百万トン(うち米2.0百万トン)を輸出することに合意したと公表。調印は12月に行われ、2015~16年の輸入で国際市場価格での売却する予定。政府在庫量は18.0百万に達しており、政府在庫米のだぶつきは、米の国際市場の押し下げ要因と見られている。

IGC(2014.11.27 DAILY)によれば、タイの2014年1月1日から11月16日の期間の白米及びパーボイルドライス(籾のまま蒸気で蒸して乾燥させた米)の輸出量は、4.66百万トン(前年同期の62%増)となっている。

米国農務省(USDA)「Rice Outlook」(2014.12.12)によれば、タイの2015年(2014/15年度)の輸出量は、インドネシアの需要増加に基づき、前月に比べて0.2百万トン上方修正され、過去最高の11.0百万トンと見込まれている。

世界の生産量シェア 6位(2014/15年度 4.3%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 26.2%)

表-4 タイの米需給(市場年度:翌年1月~翌年12月)

図-3 タイ産とベトナム産の輸出価格(FOB)(12月11日現在)

-8月以降、タイ産米は政府米の放出が進み低下

ベトナム産米は市場競争力の低下から低下-

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 20.2 20.5 20.5 (24.8) - 0.2消 費 量 10.6 10.9 10.9 (16.0) - 0.2輸 出 量 6.7 10.3 11.0 (10.6) 0.2 6.8輸 入 量 0.6 0.3 0.3 (0.3) - 0.0期末在庫量 12.8 12.4 11.3 (16.5) ▲ 0.2 ▲ 8.9期末在庫率 74.0% 58.5% 51.6% (62.0%) ▲ 1.4 ▲ 6.9

(参考)収穫面積(百万ha) 10.84 10.92 10.90 (…) - ▲ 0.2単収(もみt/ha) 2.82 2.84 2.85 (…) - 0.4資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

2014/15

予測値、()はFAO年 度 2012/13

2013/14(見込み)

資料:IGC資料をもとに農林水産省で作成注:1)タイは丸米2等(精米)、ベトナムは砕米混入率5%(精米)。

2)タイ、ベトナムで輸出される米の上位のグレードで比較。

Page 41: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 26 -

エ ベトナム【需給状況】(詳細は右表を参照)

〈米国農務省の見通し〉生産量は、前年度より増加し、28.3百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より減少し、21.9百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、6.7百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より増加し、0.4百万トンとなる見込み。

期末在庫量は前年度より増加し、期末在庫率も3.0%とわずかに上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の生産量が上方修正、期末在庫量が下方修正、2014/15年度の生産量が上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況】国際連合食糧農業機関(FAO)「Crop Prospects and Food Situation」(October2014)によれば、米は、価格支持のため、作付面積が減少しているにも関わらず、

良好な生育状況から生産量は増加すると見込まれている。ベトナム水文気象局南部センター(2014.12.2)によれば、クーロン(メコン)

デルタ地域は、干ばつと海水の侵入により、冬春作を含め、2015年の稲作の水対策が懸念されている。

【輸出その他】国際穀物理事会(IGC)(2014.11.26 DAILY)によれば、ベトナム統計局は、

2014年1月~11月の米輸出量の累計は、6.1百万トン(前年同時期比2%減)にと予測。一方、ベトナム農業省は、1月~11月の累計は6.0百万トン(前年同時期比3%減)と予測。

IGC「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、ベトナムの米輸出量は、2014年の最初の10ヶ月で5.6百万トンで前年同期に比べて4%の減少となっている。中国、マレーシア及びシンガポールへの輸出量は減少したが、フィリピンへの輸出が増加したことから、アジアの輸出は20%増の4.1百万トンとなった。

IGC(2014.12.1 DAILY)によれば、ベトナムの精米の輸出は、市場競争力の低下より低迷している。また中国への輸出は、国境での取り締まりの規制により低調のまま推移している。

世界の生産量シェア 5位(2014/15年度 5.9%)

輸出量シェア 3位(2014/15年度 16.0%)

表-5 ベトナムの米需給(市場年度:翌年1月~翌年12月)

資料:USDA「PS&D」(2014.12)をもとに農林水産省で作成

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 27.5 28.2 28.3 (29.7) 0.1 0.3消 費 量 21.9 22.0 21.9 (22.8) - ▲ 0.5輸 出 量 6.7 6.5 6.7 (6.9) - 3.1輸 入 量 0.1 0.3 0.4 (0.5) - 33.3期末在庫量 0.9 0.8 0.9 (5.7) 0.2 6.1期末在庫率 3.0% 2.9% 3.0% (19.2%) 0.7 0.2

(参考)収穫面積(百万ha) 7.86 7.79 7.77 (…) ▲ 0.01 ▲ 0.3単収(もみt/ha) 5.60 5.79 5.82 (…) 0.02 0.5資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

図-4 ベトナムの生産量と輸出量の推移

-生産量は右肩上がりも輸出量は伸び悩み-

Page 42: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 27 -

オ 米国【需給状況】(詳細は右表を参照)

〈米国農務省の見通し〉生産量は、収穫面積が増加することから、前年度より増加し、7.1百万トン

となる見込み。

消費量は、前年度より増加し、4.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、3.3百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度よりほぼ前年度並みの0.7百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率は17.1%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2014/15年度の輸出量がわずかに上方修正された。結果として、期末在庫量がわずかに下方修正された。

【生育進捗状況】米国農務省(USDA)「Crop Progress」(2014.10.27)によれば、10月26日時点

の主要6州の収穫進捗率は96%(5ヵ年平均91%)。うち、テキサス州は100%(同100%)、ルイジアナ州は100%(同99%)と収穫は終了。干ばつに見舞われたカリフォルニア州の10月19日~25日の週の天候は、にわか雨や少雨だったが、収穫は中断することがなく95%(同76%)と進んだ。10月中旬は収穫が遅れていたミズーリ州も91%(同90%)と進んだ。

農業市場情報システム(AMIS)「GEOGLAM November Crop Monitor Report」によれば、10月28日現在、米の収穫は、ほぼ終了。生育は順調であったことから、生産量はほぼ前年度並みとみられている。

USDA「Rice Outlook」(2014.12.12)によれば、長粒種の生産量は、2010/11年以降で最大の5.1百万トン(対前年度比16%増)。長粒種の殆どが南部で生産されている。また中短粒種の生産量は、2.0百万トン(対前年度比5%増)となる見込み。作付面積は、カリフォルニア州以外では前年度を上回り、米国全体で対前年

度比18%増の1.2百万ヘクタール。一方、中短粒種の主産地のカリフォルニア州では、厳しい干ばつにより貯水量が少なく、水の利用が制限されため減少となる見込み。

〔世界の輸出量シェア 5位(2014 /15年度 7.9%)〕

表-6 米国の米需給(市場年度:8月~翌年7月)

写真提供: Dr. Neal Blue, Consultant, Columbus, OH

写真-3

米国カリフォルニア州北部オーロビル地方(2014年11月10日撮影)

- 収穫後のほ場 -

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 6.3 6.1 7.1 (7.0) - 15.5消 費 量 3.8 4.0 4.2 (4.1) - 4.8輸 出 量 3.4 3.0 3.3 (3.4) 0.0 10.0輸 入 量 0.7 0.7 0.7 (0.7) - ▲ 8.2期末在庫量 1.2 1.0 1.3 (1.2) ▲ 0.0 24.3期末在庫率 16.1% 14.7% 17.1% (16.0%) ▲ 0.5 2.4

(参考)収穫面積(百万ha) 1.08 1.00 1.18 (…) - 18.0単収(もみt/ha) 8.37 8.62 8.51 (…) - ▲ 1.3資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

Page 43: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 28 -

ク ブラジル【需給状況】表-9 ブラジルの米需給(市場年度:翌年4月~翌々年3月)

ブラジル食料供給公社(CONAB)(2014年12月)によれば、2014/15年度の生産量は12.2百万トン(籾ベース)と予測。

ケ 豪州【需給状況】

表-10 豪州の米需給(市場年度:翌年3月~翌々年2月)

豪州農業資源経済科学局(ABARES)「Australian crop report」(2014.12.2)によれば、2014/15年度の生産量は、0.7百万トン(籾

ベース)になる見通し。

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 8.0 8.3 8.4 (8.1) - 0.6消 費 量 7.9 7.9 7.9 (7.8) - 0.0輸 出 量 0.8 0.9 0.9 (1.0) - 0.0輸 入 量 0.6 0.7 0.7 (0.7) - 0.0期末在庫量 0.5 0.7 1.0 (0.8) - 34.2期末在庫率 6.1% 8.3% 11.1% (…) - 2.8

(参考)収穫面積(百万ha) 2.39 2.40 2.45 (…) - 2.1単収(もみt/ha) 4.95 5.09 5.01 (…) - ▲ 1.6資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 20012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 0.8 0.6 0.5 (0.6) - ▲ 16.0消 費 量 0.4 0.4 0.4 (0.3) - 0.8輸 出 量 0.4 0.5 0.4 (0.5) - ▲ 13.0輸 入 量 0.2 0.2 0.2 (0.2) - 0.0期末在庫量 0.2 0.2 0.1 (0.2) - ▲ 62.0期末在庫率 30.1% 20.9% 8.6% (…) - ▲ 12.4

(参考)収穫面積(百万ha) 0.11 0.08 0.07 (…) - ▲ 7.9単収(もみt/ha) 10.18 10.96 10.00 (…) - ▲ 8.8資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

予測値、()はFAO年 度 2012/13

2013/14(見込み)

2014/15

カ フィリピン【需給状況】表-7 フィリピンの米需給(市場年度:7月~翌年6月)

国際穀物理事会(IGC)(2014.12.8 DAILY)によれば、フィリピン農政省は、2014年12月に襲来した台風ハグピートにより、2万トン(玄米ベース)が被害を受けたと公表。キ インドネシア【需給状況】〔世界の生産量シェア 3位(2014/15年度 7.7%)〕表-8 インドネシアの米需給(市場年度:翌年1月~翌年12月)

国際穀物理事会(IGC)(2014.11.20 DAILY)によれば、インドネシア政府は、2015年度の生産量(玄米ベース)を前年度(70.6百万トン(見込み))に比べ4%増の73.4百万トンに設定。

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 11.4 11.9 12.2 (12.2) - 2.9消 費 量 12.9 12.9 13.2 (13.7) - 2.7輸 出 量 0.0 0.0 0.0 (…) - …輸 入 量 1.4 1.5 1.6 (1.7) - 10.3期末在庫量 1.5 2.0 2.6 (2.2) - 30.8期末在庫率 0.1 0.2 0.2 (…) - 4.1

(参考)収穫面積(百万ha) 4.70 4.80 4.89 (…) - 1.9単収(もみt/ha) 3.86 3.92 3.96 (…) - 1.0資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

(単位:百万精米トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 36.6 36.3 36.5 (44.0) ▲ 0.5 0.6消 費 量 38.1 38.5 39.2 (46.3) - 1.8輸 出 量 0.0 0.0 0.0 (…) - …輸 入 量 0.7 1.2 1.3 (1.0) 0.3 5.7期末在庫量 6.5 5.5 4.1 (5.3) ▲ 0.1 ▲ 25.5期末在庫率 17.0% 14.3% 10.5% (…) ▲ 0.2 ▲ 3.8

(参考)収穫面積(百万ha) 12.19 12.10 12.16 (…) - 0.5単収(もみt/ha) 4.72 4.72 4.73 (…) ▲ 0.06 0.2資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014) FAO 「Food Outlook (October 2014)」

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はFAO

Page 44: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 29 -

Ⅱ 油糧種子

1 大豆

(1) 国際的な大豆需給の概要 (詳細は右表を参照)

<米国農務省(USDA)の見通し>

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、中国で減少するものの、米国、ブラジルで収穫面積、単収共に増

加し史上最高となること等から、世界全体では前年度を上回り、史上最高の312.8百万トンとなる見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、パラグアイ、カナダで上方修正された。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、中国、アルゼンチン、米国等で増加することから、世界全体では

前年度を上回り、史上最高の286.1百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より増加し、116.2百万トンとなる見込み。国

別には、輸出国では米国等で増加し、ブラジルで減少する見込み。輸入国ではメキシコ、タイ等で増加し、EU、台湾で減少する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、輸出国では米国等で上方修正、ブラジル、アルゼンチンで下方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、前年度より増加し、世界全体では89.9百万トンとなる見込み。

国別には、中国で在庫が取り崩されるものの、米国、ブラジル、アルゼンチン等で積み増しされる見込み。期末在庫率は31.4%と前年度より上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、ブラジル、アルゼンチンで上方修正、米国で下方修正された。

表-1 世界の大豆需給(米国農務省)(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 268.1 285.3 312.8 0.8 9.6米国 82.8 91.4 107.7 - 17.9ブラジル 82.0 86.7 94.0 - 8.4アルゼンチン 49.3 54.0 55.0 - 1.9中国 13.1 12.2 11.8 - ▲ 3.3インド 11.5 11.0 11.0 - 0.0パラグアイ 8.2 8.2 8.5 0.3 3.7カナダ 5.1 5.4 6.1 0.1 12.9消 費 量 260.5 272.6 286.1 0.3 4.9

 うち搾油用 229.6 239.8 251.9 ▲ 0.0 5.0中国 76.2 80.3 85.9 - 7.0米国 48.8 49.9 51.6 - 3.5アルゼンチン 36.1 39.0 41.2 - 5.6ブラジル 38.2 39.3 40.8 - 3.7EU 13.7 13.7 13.8 - 0.7インド 11.4 10.5 10.9 - 4.3メキシコ 3.7 3.9 4.2 - 7.6貿 易 量 100.5 112.8 116.2 0.7 3.0(輸出)ブラジル 41.9 46.8 46.0 ▲ 0.7 ▲ 1.8米国 35.9 44.8 47.9 1.1 6.9アルゼンチン 7.7 7.8 8.0 ▲ 0.2 2.0パラグアイ 5.5 4.4 4.5 0.2 2.7カナダ 3.5 3.5 3.7 0.1 6.6(輸入)中国 59.9 70.4 74.0 - 5.2EU 12.5 13.0 12.8 - ▲ 1.5メキシコ 3.4 3.7 4.0 - 6.8日本 2.8 2.9 2.9 - 0.3台湾 2.3 2.4 2.3 - ▲ 2.1タイ 1.9 1.8 2.0 - 11.2インドネシア 1.8 2.2 2.3 0.0 2.3期末在庫量 56.3 66.6 89.9 ▲ 0.4 35.0アルゼンチン 21.8 29.0 34.9 0.2 20.2ブラジル 15.3 16.5 24.4 0.4 47.5中国 12.4 14.4 14.0 - ▲ 2.8米国 3.8 2.5 11.2 ▲ 1.1 346.4トルコ 0.5 0.4 0.4 - 4.9期末在庫率 21.6% 24.4% 31.4% ▲ 0.2 7.0

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

図-1 世界の大豆のシェア(2014/15年度)

米国

34%

ブラジル

30%

アルゼンチン

18%

中国

4%

インド

4%

パラグアイ

3%

カナダ

2%その他

6%

生産量 3.1億トン

米国

41%

ブラジル

40%

アルゼンチン

7%

パラグアイ

4%

カナダ

3%

その他

5%

輸出量 1.2億トン

Page 45: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 30 -

(2) 大豆の主要生産・輸出国等の需給状況

ア 米国

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、単収、収穫面積共に増加することから、史上最高の107.7百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、51.6百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、47.9百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より大幅に増加(+346.4%)し、期末在庫率も11.2%と大幅に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で上方修正された。結果として、期末在庫量が下方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度の作付けは、2014年5月初旬から開始された。頻繁な降雨により作業は遅れがちであったが、5月後半から好天に恵まれ作付作業は急ピッチで進捗、6月末までに作付作業を終了した。6月下旬、北部産地では多雨により大豆畑が浸水する被害が出るなど、作柄の悪化が懸念されたが、その後は総じて好天に恵まれ、作柄は極めて良好となった。

米国農務省(USDA)「Crop Production」(2014.12.10)によれば、2014年11月23日時点の収穫進捗率は、前年同期より2%早く、平年同期よりわずかに遅い97%となり、ケンタッキー州、ノースカロライナ州、テネシー州を除き収穫作業はほぼ終了した。

2014年12月18日、米国農務省は2024年までの長期予測(ベースライン予測)を発表した。2015/16年度の大豆の作付面積は、84.0百万エーカー(34.0百万ヘクタール)と、2014/15年度(34.1百万ヘクタール)を0.2%下回る見通し。作付面積は年々減少し、2018/19年度には78.0百万エーカー(31.5百万ヘクタール)となり、その後、2024/25年度まで78.5百万~79.0百万エーカー(31.8百万~32.0百万ヘクタール)で推移する見通し。

2015/16年度の生産量は、3,820百万ブッシェル(104.0百万トン)と、2014/15年度3,958百万ブッシェル(107.7百万トン)を3.5%下回る見通し。2016/17年度は3,630百万ブッシェル(98.8百万トン)と更に減少するが、その後は年々増加し、2023/24年度には3,920百万ブッシェル(106.7百万トン)まで増加する見通し。

【その他】

報道(2014.12.21)によれば、米国環境保護局(EPA)は、大豆油由来のディーゼル油を含め、2014年の再生可能燃料使用義務量の決定を年明けに延長すると発表した。(⇒とうもろこしの米国【バイオエタノール】の項も参照)

我が国の輸入先国シェア1位(2013年数量ベース60.1%)

世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 34.4%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 41.2%)

表-2 米国の大豆需給(市場年度:9月~翌年8月)(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 82.8 91.4 107.7 - 17.9消 費 量 48.8 49.9 51.6 - 3.5

うち搾油用 46.0 47.2 48.4 - 2.6輸 出 量 35.9 44.8 47.9 1.1 6.9輸 入 量 1.1 2.0 0.4 - ▲ 79.0期末在庫量 3.8 2.5 11.2 ▲ 1.1 346.4期末在庫率 4.5% 2.6% 11.2% ▲ 1.2 8.6

(参考)収穫面積(百万ha) 30.82 30.86 33.75 - 9.4単収(t/ha) 2.69 2.96 3.19 - 7.8資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014)

2012/132013/14(見込み)

2014/15年 度

写真:アイオワ州中部 収穫後の大豆畑(2014年11月25日撮影)

写真提供:Dr. Robert Wisner, University Professor Emeritus,

Department of Economics, Iowa State University

Page 46: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 31 -

イ ブラジル

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、史上最高の94.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、40.8百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、46.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も28.1%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の消費量で上方修正、期末在庫量で下方修正、2014/15年度の輸出量で下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

ブラジル食料供給公社(CONAB)の12月報告(2014.12.10)によれば、2014/15年度は、作付面積が31.66百万ヘクタール、単収が3.03トン/ヘクタールと、いずれも前年度を上回ることから、生産量は95.8百万トンと前年度(86.1百万トン)を11.2%上回る見込み。

OILWORLD Monthly(2014.12.12)は、一部の地域で高温・乾燥型の天候に見舞われたこと、サビ病の発生、大豆価格の下落により農家の多くが肥料等の投入コストを縮小する可能性が高いことから、CONABの予測の実現には懐疑的であり、生産量を93.0百万トン、収穫面積を31.3百万ヘクタール、単収を3.0トン/ヘクタールと見込んでいる。

ウ アルゼンチン

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、史上最高の55.0百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、41.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、8.0百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も70.9%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸出量で下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2014/15年度の生産量は前年度比0.2%増の53.5百万トンとなる見込み。

2014年12月12日、アルゼンチン中央銀行は、同国内の大豆を売り手控えている農家に対し次年度の作付けのための融資を停止すると発表した。2013/14年度は豊作に恵まれたが、高いインフレ率から農家は約12.9百万トンの大豆を売り手控えている。政府は、穀物輸出による外貨取得及び輸出税の徴収を促すため、同措置を取った模様。

我が国の輸入先国シェア2位(2013年数量ベース 23.5%)世界の生産量シェア 2位(2014/15年度 30.1%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 39.6%)

表-3 ブラジルの大豆需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 82.0 86.7 94.0 (95.8) - 8.4消 費 量 38.2 39.3 40.8 (42.2) - 3.7

うち搾油用 35.2 36.3 37.6 (・・・) - 3.6輸 出 量 41.9 46.8 46.0 (49.6) ▲ 0.7 ▲ 1.8輸 入 量 0.4 0.6 0.6 (0.3) - ▲ 1.6期末在庫量 15.3 16.5 24.4 (4.3) 0.4 47.5期末在庫率 19.1% 19.2% 28.1% (4.7%) 0.7 8.9

(参考)収穫面積(百万ha) 27.70 30.10 31.50 (31.66) - 4.7単収(t/ha) 2.96 2.88 2.98 (3.03) - 3.5資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) CONAB「Acompanhamento da Safra Brasileira de Graos」(10 December 2014)

2013/14(見込み)

年 度2014/15

2012/13予測値、()はCONAB

世界の生産量シェア 3位(2014/15年度 17.6%)

輸出量シェア 3位(2014/15年度 6.9%)

表-4 アルゼンチンの大豆需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 49.3 54.0 55.0 (54.0) - 1.9消 費 量 36.1 39.0 41.2 (・・・) - 5.6

うち搾油用 33.6 36.2 38.1 (40.0) - 5.2輸 出 量 7.7 7.8 8.0 (7.5) ▲ 0.2 2.0輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (・・・) - 0.0期末在庫量 21.8 29.0 34.9 (32.1) 0.2 20.2期末在庫率 49.8% 62.0% 70.9% (・・・) 0.7 9.0

(参考)収穫面積(百万ha) 19.40 19.80 20.00 (19.60) - 1.0単収(t/ha) 2.54 2.73 2.75 (2.76) - 0.7資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) OIL WORLD「OIL WORLD Monthly」 (12 December 2014)

予測値、()はOil.W年 度 2012/13

2013/14(見込み)

2014/15

Page 47: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 32 -

(参考)南米の土壌水分量の推移と作付けの動向

ブラジルの大豆産地では、2014/15年度の作付作業は2014年9月中旬から開始された。マトグロッソ州では、10月初旬より高温・乾燥型の天候が続き土壌水分量が低下したことから作付作業に遅れが生じたが、11月の降雨により順調に進捗、同州の作付作業は12月初旬に終了した。また、リオグランデ・ド・スル州では、10月の豪雨が作付開始の足かせとなったが、その後好天に恵まれ順調に進捗。ブラジル民間調査会社(2014.12.15)によれば、12月12日現在、同州の作付進捗率は89%と前年同期を上回り、平年同期並みとなっている。(図-2、3、4)アルゼンチンの大豆産地では、2014/15年度の作付作業は好天に恵まれた10月中

旬から開始された。土壌水分量は十分な状況であり(図-2、5)、ブエノスアイレス穀物取引所週報(2014.12.11)によれば、現時点の作付進捗率は66.8%。

図-3 B①ブラジル中西部 マトグロッソ州

図-4 B②ブラジル南部 リオグランデ・ド・スル州

図-5 A①アルゼンチン ブエノスアイレス州

図-2 南米(ブラジル・アルゼンチン)の土壌水分量平年対比

資料:JAXA提供の「AMSR2土壌水分プロダクト」を農林水産省にて加工

B① ←ブラジル

マトグロッソ州

B② ←ブラジル

リオグランデ・ド・スル州

A① ←アルゼンチン

ブエノスアイレス州

資料:JAXA提供の「AMSR2土壌水分プロダクト」

注:点線及び白丸は、統計の対象となる資料が速報版であるか、

資料の一部が許容する範囲内で欠けている場合を意味する。

Page 48: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 33 -

エ パラグアイ

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、8.5百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、3.8百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、4.5百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も5.4%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の輸出量で上方修正、2014/15年度の生産量、消費量、輸出量で上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

OIL WORLD「OIL WORLD Weekly」(2014.12.5)によれば、2014/15年度の生産量は前年度に比べ減少する見込み。これは、過去数週間の生育に重要な時期に乾燥型の天候が続いたことから、大豆産地の4分の1で単収が前年度より30~50%低下すると見られるため。また、2014/15年度の一期作の作付面積は、前年度と大きな変更はないが、二期作の作付面積は、前年度から大幅に減少する見込み。これは、大豆価格の低迷により収益性が低下したことから、一期作より単収が低い二期作の作付けを控える傾向にあるため。

オ カナダ

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、6.1百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、2.3百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より増加し、3.7百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も11.0%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、2013/14年度の生産量、消費量で上方修正、2014/15年度の生産量、輸出量で上方修正、消費量でわずかに上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

農業市場情報システム(AMIS)「Market Monitor」(2014.12.4)によれば、土壌水分過多、夏の冷涼型の天候及び秋の降霜の影響により、作柄はまちまちとなっている。2014年11月末現在、カナダ西部では収穫作業が終了、カナダ東部では降雪による土壌水分過多により収穫作業が数週間遅延している。

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2014/15年度の生産量は、前年度(5.4百万トン)より11.2%増加し、史上最高の6.0百万トンとなる見込み。これは、単収は2.7トン/ヘクタールと前年度を下回るものの、収穫面積が2.2百万ヘクタールと前年度を大幅に上回ることによる。

我が国の輸入先国シェア3位(2013年数量ベース 13.7%)世界の生産量シェア 7位(2014/15年度 1.9%)

輸出量シェア 5位(2014/15年度 3.2%)

表-6 カナダの大豆需給(市場年度:8月~翌年7月)

(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 5.1 5.4 6.1 (6.0) 0.1 12.9消 費 量 1.9 2.1 2.3 (2.1) 0.0 7.1

うち搾油用 1.6 1.5 1.7 (・・・) - 9.0輸 出 量 3.5 3.5 3.7 (4.2) 0.1 6.6輸 入 量 0.3 0.3 0.3 (0.4) - ▲ 11.8期末在庫量 0.2 0.3 0.7 (0.3) - 133.0期末在庫率 3.3% 5.0% 11.0% (4.0%) ▲ 0.3 6.0

(参考)

収穫面積(百万ha) 1.68 1.86 2.24 (2.21) 0.04 20.4単収(t/ha) 3.03 2.88 2.71 (2.70) 0.03 ▲ 5.9資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) AAFC「Outlook for Principal Field Crops」 (21 November 2014)

2013/14(見込み) 予測値、()はAAFC

年 度 2012/132014/15

世界の生産量シェア 6位(2014/15年度 2.7%)輸出量シェア 4位(2014/15年度 3.9%)

表-5 パラグアイの大豆需給(市場年度:3月~翌年2月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 8.2 8.2 8.5 (9.2) 0.3 3.7消 費 量 3.0 3.6 3.8 (・・・) 0.1 4.1

うち搾油用 3.0 3.5 3.6 (4.0) - 2.9輸 出 量 5.5 4.4 4.5 (4.8) 0.2 2.7輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (・・・) - ▲ 7.4期末在庫量 0.0 0.2 0.5 (・・・) 0.1 95.7期末在庫率 0.4% 2.9% 5.4% (・・・) 0.5 2.6

(参考)収穫面積(百万ha) 3.16 3.20 3.30 (3.82) 0.20 3.1単収(t/ha) 2.60 2.56 2.58 (2.41) ▲ 0.07 0.8資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) OIL WORLD「OIL WORLD Monthly」 (12 December 2014)

2013/14(見込み)

年 度 2012/13予測値、()はOil.W

2014/15

Page 49: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 34 -

カ 中国

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より減少し、11.8百万トンとなる見込み。

消費量は、堅調な搾油需要から前年度より増加し、85.9百万トンの見込み。

輸入量は、生産減と需要増から前年度より増加し、74.0百万トンの見込み。

期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も16.3%に低下する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

中国では、例年4月初旬から5月下旬にかけて作付けが行われ、9月初旬から10月下旬にかけて収穫が行われる。2014/15年度の収穫は終了した。

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2014/15年度の生産量は、11.5百万トンと前年度(12.0百万トン)より3.8%減少する見込み。これは、主要産地の黒竜江省の単収は良好であるものの、華北平原を襲った夏の干ばつが大きく単収を押し下げたことによる。

【政府備蓄等】

中国政府は、国産大豆と綿花の高値買取りによる保護政策(国家備蓄制度)を廃止し、代わって農家への直接払い制度へ移行することを決定した。

中央一号文件(2014.1.19)に基づき、中国政府は、東北地域の黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区を対象に、大豆の目標価格を設定し、市場価格がこれを下回った場合は、農家にその差額を補助金として直接給付するプログラムの導入を決定した。中国国家発展改革委員会(NDRC)は、2014年5月18日、同プログラムに基づき、1トン当たり4,800元(8万1,600円)の目標価格を導入し、国内大豆相場の安定化と農家の作付意欲の向上を図る旨発表した。

市場関係者によれば、目標価格は、現在の最低価格保証額である1トン当たり4,600元(7万8,200円)を200元(3,400円)上回るものの、依然としてとうもろこし及び米に比べて採算が悪いことから、大豆作付面積は更に縮小する見込み。

【貿易情報】

中国通関(海関)統計によれば、2014年11月の輸入量は、前年同月比0.1%減の6.0百万トンとなった。国別には、米国4.7百万トン(シェア77.4%)、ブラジル0.5百万トン(同8.9%)、アルゼンチン0.5百万トン(同8.5%)、。また、2014年1~11月の累計輸入量は、前年同期比12.3%増の62.9百万トンとなった。国別には、ブラジル31.8百万トン(同50.6%)、米国22.2百万トン(同35.4%)、アルゼンチン5.8百万トン(同9.3%)。

2014年12月4日、中国国産食品商工会議所(CFNA)によれば、2014/15年度の輸入量は73.5百万トンと前年度比4.5%の増加に止まる見込み。これは、同国の経済状況が畜産業や配合飼料業に及ぼす影響から大豆粕需要が減退するため。

世界の生産量シェア 4位(2014/15年度 3.8%)

輸入量シェア 1位(2014/15年度 65.6%)

表-7 中国の大豆需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 13.1 12.2 11.8 (11.7) - ▲ 3.3消 費 量 76.2 80.3 85.9 (・・・) - 7.0

うち搾油用 65.0 68.9 74.5 (66.8) - 8.2輸 出 量 0.3 0.2 0.3 (・・・) - 36.4輸 入 量 59.9 70.4 74.0 (7.6) - 5.2期末在庫量 12.4 14.4 14.0 (・・・) - ▲ 2.8期末在庫率 16.2% 17.9% 16.3% (・・・) - ▲ 1.6

(参考)収穫面積(百万ha) 7.17 6.85 6.70 (6.40) - ▲ 2.2単収(t/ha) 1.82 1.78 1.76 (1.83) - ▲ 1.1資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) OIL WORLD「OIL WORLD Monthly」 (12 December 2014)

2013/14(見込み)

2012/13年 度予測値、()はOil.W

2014/15

図-6 中国の大豆の生産量と輸入量の推移-14/15年度の生産量は過去20年で最少、輸入量は最大見込み-

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

92/93 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 98/99 99/00 00/01 01/02 02/03 03/04 04/05 05/06 06/07 07/08 08/09 09/10 10/11 11/12 12/13 13/14

(百万t)

(年度)

輸入量

国内生産量

期末在庫量

大豆輸入は10年間で約2.5倍に増加

14/15

資料:USDA「PS&D」(2014.12)をもとに農林水産省で作成

Page 50: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 35 -

2 なたね

(1) 国際的ななたね需給の概要(詳細は右表を参照)

<米国農務省(USDA)の見通し>

【生産量】 2014/15年度 前年度比 前月比生産量は、カナダ、豪州等で減少が見込まれるものの、EU、インド、中国等

で増加することから、世界全体では前年度を上回り71.9百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、カナダ、

EUで上方修正された。

【消費量】 2014/15年度 前年度比 前月比消費量は、中国で減少するものの、EU等で増加が見込まれることから、世界

全体では前年度を上回り70.1百万トンとなる見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、EUで

下方修正、カナダでわずかに下方修正された。

【貿易量】 2014/15年度 前年度比 前月比世界全体の貿易量は、前年度より減少し、13.7百万トンとなる見込み。国別には、輸出国では、EU等で増加し、カナダ、豪州等で減少する見込み。

輸入国では、パキスタン等で増加し、中国、EU等で減少する見込み。なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、輸出国ではEUで

上方修正、輸入国では中国で上方修正された。

【期末在庫量】 2014/15年度 前年度比 前月比期末在庫量は、前年度より増加し、世界全体で7.8百万トンとなる見込み。国

別には、インド等で在庫が取り崩されるものの、EU、豪州、米国等で積み増しされる見込み。期末在庫率は11.1%と前年度より上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、カナダ、中国、EUで上方修正された。

表-1 世界のなたね需給(米国農務省)

図-1 世界のなたねのシェア(2014/15年度)

(単位:百万トン)

予測値前月予測

からの変更対前年度増減率(%)

生 産 量 63.6 71.1 71.9 1.2 1.1EU 19.6 21.1 24.1 0.1 14.0カナダ 13.9 18.0 15.6 1.2 ▲ 13.4中国 14.0 14.5 14.7 - 1.7インド 6.8 7.3 7.5 - 2.7豪州 4.1 3.8 3.3 - ▲ 12.3ウクライナ 1.3 2.4 2.2 - ▲ 6.5ロシア 1.0 1.4 1.5 - 7.7消 費 量 65.5 68.5 70.1 ▲ 0.2 2.4

 うち搾油用 62.5 65.5 66.9 ▲ 0.1 2.2EU 23.6 24.0 24.9 ▲ 0.3 3.5中国 17.6 19.1 18.5 - ▲ 3.4カナダ 7.0 7.1 7.3 ▲ 0.0 3.6インド 7.0 7.4 7.6 - 3.4日本 2.4 2.4 2.5 - 3.4米国 1.3 1.7 1.9 - 6.7メキシコ 1.4 1.5 1.5 - 2.8貿 易 量 12.5 15.1 13.7 0.1 ▲ 9.6(輸出)カナダ 7.1 9.2 8.3 - ▲ 9.5豪州 3.7 2.9 2.3 - ▲ 20.7ウクライナ 1.3 2.2 1.9 - ▲ 15.3EU 0.1 0.3 0.6 0.1 106.9米国 0.2 0.2 0.2 - ▲ 0.6ロシア 0.0 0.2 0.2 - 17.00 0.0 0.2 0.2 - ▲ 2.4(輸入)中国 3.4 5.0 3.8 0.3 ▲ 25.7EU 3.4 3.5 2.4 - ▲ 31.3日本 2.5 2.4 2.5 - 3.0メキシコ 1.4 1.5 1.5 - 2.8パキスタン 0.6 0.6 0.9 - 41.7アラブ首長国連邦 0.6 0.7 0.7 - 0.0米国 0.4 0.9 0.9 - ▲ 3.5期末在庫量 4.0 6.5 7.8 1.7 19.8カナダ 0.6 2.4 2.4 1.2 0.7EU 1.5 1.8 2.8 0.2 56.0中国 0.6 1.0 1.0 0.3 0.0インド 0.6 0.5 0.4 - ▲ 19.3豪州 0.3 0.4 0.5 - 45.9米国 0.1 0.1 0.2 - 28.2日本 0.1 0.1 0.1 - ▲ 3.5期末在庫率 6.2% 9.5% 11.1% 2.4 1.6

資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade」(10 December 2014)

年 度 2012/132013/14(見込み)

2014/15

EU34%

カナダ

22%

中国

21%

インド

10%

豪州

5%

ウクライナ

3%

その他

6%

生産量 72百万トン

カナダ

61%

豪州

17%

ウクライナ

14%

EU4%

その他

4%

輸出量 14百万トン

Page 51: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 36 -

(2) なたねの主要生産・輸出国等の需給状況

ア カナダ

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より減少し、15.6百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、7.3百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、8.3百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、ほぼ前年度並み、期末在庫率は15.2%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、生産量で上方修正、消費量でわずかに下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2014/15年度の生産量は14.1百万トンと、史上最高を記録した前年度(18.0百万トン)より21.6%減少する見込み。作付作業の遅れに加え、2014年9月半ばの降雪を伴う冷涼湿潤型の天候により収穫作業に遅れが生じたが、9月下旬以降、温暖乾燥型の天候に転じ収穫作業が進捗、10月末、主要産地の収穫作業はほぼ終了した。なお、生育及び収穫期間中に続いた冷涼湿潤型の天候により、単収は前年度に比べ大幅に低下する見込み。

イ 豪州

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より減少し、3.3百万トンとなる見込み。

消費量は、ほぼ前年度並みの0.8百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、2.3百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も17.2%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2014/15年度の生産量は3.4百万トンと、前年度(3.8百万トン)を9.6%下回る見込み。東部産地では、10月の乾燥により土壌水分不足が悪化し、単収は平年を大きく下回った。生育に適した天候に恵まれたウエスタンオーストラリア州では、比較的作柄が良好で、単収は年度当初の予測を若干下回る程度と見られている。11月末現在、収穫作業は大詰めを迎えている。

我が国の輸入先国シェア1位(2013年数量ベース 93.8%)世界の生産量シェア 2位(2014/15年度 21.6%)

輸出量シェア 1位(2014/15年度 60.8%)

表-2 カナダのなたね需給(市場年度:8月~翌年7月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 13.9 18.0 15.6 (14.1) 1.2 ▲ 13.4消 費 量 7.0 7.1 7.3 (7.3) ▲ 0.0 3.6

うち搾油用 6.7 7.0 7.2 (・・・) - 3.4輸 出 量 7.1 9.2 8.3 (8.4) - ▲ 9.5輸 入 量 0.1 0.1 0.1 (0.1) - 51.5期末在庫量 0.6 2.4 2.4 (0.9) 1.2 0.7期末在庫率 4.2% 14.5% 15.2% (5.7%) 7.7 0.7

(参考)収穫面積(百万ha) 8.80 8.01 8.08 (7.82) 0.28 0.9単収(t/ha) 1.58 2.24 1.93 (1.80) 0.08 ▲ 13.8資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) AAFC「Outlook for Principal Field Crops」 (21 November 2014)

2014/15

予測値、()はAAFC

2013/14(見込み)

年 度 2012/13

我が国の輸入先国シェア2位(2013年数量ベース 6.2%)世界の生産量シェア 5位(2014/15年度 4.6%)

輸出量シェア 2位(2014/15年度 16.8%)

表-3 豪州のなたね需給(市場年度:12月~翌年11月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 4.1 3.8 3.3 (3.3) - ▲ 12.3消 費 量 0.7 0.8 0.8 (・・・) - 6.4

うち搾油用 0.7 0.8 0.8 (・・・) - 6.7輸 出 量 3.7 2.9 2.3 (2.1) - ▲ 20.7輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (・・・) - 0.0期末在庫量 0.3 0.4 0.5 (・・・) - 45.9期末在庫率 6.5% 10.1% 17.2% (・・・) - 7.2

(参考)収穫面積(百万ha)※ 3.27 2.66 2.70 (2.71) - 1.5単収(t/ha) 1.27 1.42 1.22 (1.23) - ▲ 14.1資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production」(10 December 2014)  ABARES「Agricultural commodities」 (9 December 2014)(※ABARESは作付面積)

予測値、()はABARES年 度 2012/13

2013/14(見込み)

2014/15

Page 52: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 37 -

ウ ウクライナ

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より減少し、2.2百万トンとなる見込み。

消費量は、ほぼ前年度並みの0.2百万トンとなる見込み。

輸出量は、前年度より減少し、1.9百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も9.8%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は行われていない。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2015/16年度の作付面積は86万ヘクタールと5年平均(1.1百万ヘクタール)から大幅に減少する見込み。11月20日現在、作柄は良い/やや良いが80%と、前年同期(95%)及び5年平均(84%)を下回る見込み。一部で低温による生育の遅れや、乾燥により再作付けが必要となる地域が見られ、このような生育の遅れにより、今冬、霜による被害が発生する可能性が高まっている。

エ EU

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、前年度より増加し、24.1百万トンとなる見込み。

消費量は、前年度より増加し、24.9百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、2.4百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も11.0%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、生産量、輸出量で上方修正、消費量で下方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

国際穀物理事会(IGC)「Grain Market Report」(2014.11.27)によれば、2015/16年度の作付面積は、なたね価格の低迷に伴い農家の採算が悪化すること及び生育に好ましくない秋季の天候から、前年度(6.8百万ヘクタール)より減少し6.4百万ヘクタールと、過去3年で最低の水準となる見込み。また、2013年12月のEUにおけるネオニコチノイド系殺虫剤の使用を規制する決定に伴い、病害虫による被害が急激に増加している。

世界の生産量シェア 1位(2014/15年度 33.5%)輸入量シェア 2位(2014/15年度 18.2%)

表-5 EUのなたね需給(市場年度:7月~翌年6月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 19.6 21.1 24.1 (22.5) 0.1 14.0消 費 量 23.6 24.0 24.9 (25.3) ▲ 0.3 3.5

うち搾油用 22.7 23.0 23.8 (24.2) ▲ 0.3 3.1輸 出 量 0.1 0.3 0.6 (0.3) 0.1 106.9輸 入 量 3.4 3.5 2.4 (3.0) - ▲ 31.3期末在庫量 1.5 1.8 2.8 (1.3) 0.2 56.0期末在庫率 6.2% 7.4% 11.0% (4.9%) 0.8 3.6

(参考)収穫面積(百万ha) 6.33 6.75 6.77 (6.76) ▲ 0.01 0.3単収(t/ha) 3.10 3.12 3.55 (3.30) 0.01 13.8資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014)   EU 「Balance sheets for cereals, oilseeds and rice」(27 November 2014)

2012/132013/14(見込み)

2014/15

予測値、()はEU年 度

世界の生産量シェア 6位(2014/15年度 3.1%)輸出量シェア 3位(2014/15年度 13.9%)

表-4 ウクライナのなたね需給(市場年度:7月~翌年6月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 1.3 2.4 2.2 (2.3) - ▲ 6.5消 費 量 0.0 0.2 0.2 (・・・) - ▲ 1.3

うち搾油用 0.0 0.2 0.2 (・・・) - ▲ 1.3輸 出 量 1.3 2.2 1.9 (2.0) - ▲ 15.3輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (・・・) - 50.0期末在庫量 0.1 0.1 0.2 (・・・) - 288.5期末在庫率 7.5% 2.2% 9.8% (・・・) - 7.7

(参考)収穫面積(百万ha) 0.55 1.00 0.85 (0.88) - ▲ 15.0単収(t/ha) 2.38 2.36 2.59 (2.63) - 9.7資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、「PS&D」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) OIL WORLD「OIL WORLD Monthly」 (12 December 2014)

年 度予測値、()はOil.W

2012/132014/152013/14

(見込み)

Page 53: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 38 -

オ 中国

【需給状況】(詳細は右表を参照)

<米国農務省の見通し>

生産量は、収穫面積が減少するものの、単収が上昇することから前年度より増加し、史上最高の14.7百万トンとなる見込み。

消費量は、搾油用需要が減少することから前年度より減少し、18.5百万トンとなる見込み。

輸入量は、前年度より減少し、3.8百万トンとなる見込み。

期末在庫量は、前年度並み、期末在庫率は5.6%に上昇する見込み。

なお、前月からの予測の改訂は、輸入量で上方修正された。結果として、期末在庫量が上方修正された。

【生育進捗状況及び作柄】

2014/15年度のなたねは、2014年5月末までに収穫作業を終了した。収穫面積は7.5百万ヘクタールと、史上最高の前年度より0.4%減少するものの史上2番目の水準であり、単収は1.96トン/ヘクタールと、前年度より2.1%上昇し史上最高が見込まれることから、生産量は、史上最高の14.7百万トンとなる見込み。

2015/16年度のなたねは、2014年12月上旬現在、揚子江中・下流域の大部分で5葉期から移植、活着期にある。西南部の大部分では移植、活着期にあるが、貴州省、雲南省の一部では、抽苔期(蕾が見え始める頃)にある。

【貿易情報】

中国通関(海関)統計によれば、2014年11月の輸入量は、前年同月比9.6%減の50.6万トンとなった。国別の輸入先は、カナダが49.4万トンと97.7%を占めた。また、2014年1~11月までの累計輸入量は、前年同期比45.7%増の459.9万トンとなった。国別には、カナダが408.0トンと全体の88.7%を占めた。

中国政府系研究機関の発表(2014.11.5)によれば、2014年のなたね輸入量は前年比64%増の5百万トンと、史上最高の水準に達する見込み。これは、政府が臨時買上げ政策を実施し国内なたねの価格を引き上げており、その価格は、船舶輸送費や税金などの輸入コストを含む輸入なたねより約40%高いため。

【その他】

中央一号文件(2014.1.19)に基づき、とうもろこし、なたね、砂糖の臨時買上げ・備蓄政策は引き続き実施される。中国政府は、なたねの生産を促進するため、最低価格保証と、耕作面積に応じた直接補助金を支給している。なたねの買上価格の下限は1トン当たり5,100元(8万6,700円)となっており、種子の購入補助金は1ヘクタール当たり150元(2,550円)となっている。

世界の生産量シェア 3位(2014/15年度 20.5%)輸入量シェア 1位(2014/15年度 28.4%)

表-6 中国のなたね需給(市場年度:10月~翌年9月)(単位:百万トン)

前月予測からの変更

対前年度増減率(%)

生 産 量 14.0 14.5 14.7 (10.8) - 1.7消 費 量 17.6 19.1 18.5 (・・・) - ▲ 3.4

うち搾油用 17.0 18.5 17.9 (14.9) - ▲ 3.5輸 出 量 … … … (・・・) … …輸 入 量 3.4 5.0 3.8 (4.5) 0.3 ▲ 25.7期末在庫量 0.6 1.0 1.0 (・・・) 0.3 0.0期末在庫率 3.6% 5.4% 5.6% (・・・) 1.4 0.2

(参考)収穫面積(百万ha) 7.43 7.53 7.50 (6.30) - ▲ 0.4単収(t/ha) 1.88 1.92 1.96 (1.71) - 2.1資料:USDA「World Agricultural Supply and Demand Estimates 」、 「Oilseeds:World Markets and Trade 」、 「World Agricultural Production 」(10 December 2014) OIL WORLD「OIL WORLD Monthly」 (12 December 2014)

2014/15

予測値、()はOil.W年 度 2012/13

2013/14(見込み)

図-2 中国のなたねの生産量と輸入量の推移

資料:USDA「PS&D」(2014.12)をもとに農林水産省で作成

0

5

10

15

20

25

輸入量

国内生産量

(年度)

(百万トン)

Page 54: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

今月のトピックス

Page 55: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 1 -

【ロシアの輸出規制懸念の背景】

2014/15年度のロシアの穀物生産は、小麦、大麦を始めとして豊作となり、穀物全体の生産

量は104百万トンと、前年度の92百万トンを大きく上回る見通しである。しかしながら本年12月に入り、ロシアが穀物の輸出規制を行うのではとの思惑から、シカゴ商品取引所では小麦の

先物価格が上昇している。

ロシアの需給状況や、輸出規制が市場関係者の間でささやかれている背景について見てみる。

1 概 要

ロシアでは、原油価格の下落に伴う経済の減速やクリミア半島併合に端を発する欧米の対ロ制

裁長期化を背景に、10月から12月にかけてルーブルの為替相場が下落した結果(ロシア中銀は11月

10日から機械的な為替介入制度を廃止、ルーブルが変動相場制に移行)、特に穀物輸出地帯である

南部連邦管区などでは、ドル建て決済の国際穀物取引に引きずられて穀物価格が上昇したことで

インフレが加速し、全国に波及している。国内の製粉・畜産業者らは、年末年始の連休を前に在

庫を確保する必要に迫られ、ある程度の高値でも購入せざるを得ない状況にある。また、ロシア

東部では、今期は品質が悪く、良質な穀物が不足気味であり、食用を中心とする供給不足も価格

を押し上げている。

このような事態を背景に、連邦動植物衛生監督局が輸出穀物の品質基準厳格化や、農業省が国

内市場に十分な量を流通させることを目的として穀物の輸出量を抑制する方向で検討しているこ

とが報じられ、ロシアが穀物の輸出規制をするのではとの懸念が、小麦を中心に穀物の国際相場

に波及している。

2 穀物需給を取りまく状況

2014/15年度のロシアの穀物生産は、生育期間を通じて温暖な天候となり、秋蒔き作物や春蒔き

大麦は例年に比べ10日から2週間早く完熟期を迎え、収穫時期の気象条件も作業に適した天候の日

が多かったことから、穀物全体の生産量は104百万トンとなり、2012/13年度の71百万トン、2013/

14年度の92百万トンを大きく上回る見込みである。穀物全体の輸出量も、2012/13年度の16百万ト

ン、2013/14年度の26百万トンに対し、2014/15年度は32百万トンが見込まれている。

一方、2015/16年度は、南部連邦管区のロストフ州、クラスノダル地方、スタヴロポリ地方では

積雪が少なく、スノーカバーがない状態で夜間の気温が-10℃まで下がっており、こうした気候

条件は秋蒔き作物に悪影響を与え、播種地の20~30%が枯死するのではと危惧されている。この

ことも、ハイペースで進む穀物輸出により国内供給量が不足するのではとの懸念となっている。

民間調査会社では、枯死面積が多くなる可能性は確かに高いが、秋蒔き穀物の播種面積が当初見

込みよりも大きく、必ずしも悲観する必要はないと指摘している。

また、2014/15年度の国家備蓄在庫の買い入れは9月30日にスタートしているが、12月10日時点

の買入れ数量は合計28万トンに留まっている。買入れの実施機関である国営「統一穀物会社」によ

れば、今期は最大で500万トンを買い入れる用意があるが、10月以降のルーブル安による穀物価格

の上昇で、買い入れのペースは低調と見られている(特に食用)。

図-1 ロシア管区地図

図-2 ルーブルの対米ドル・日本円レートの推移

資料:ロシア中央銀行公式レート

11月7日 12月5日 増減 11月7日 12月5日 増減 11月7日 12月5日 増減

北カフカス 9700 11775 2075 9260 11300 2040 7600 8150 550黒土地帯 8600 11060 2460 7900 10185 2285 5860 7350 1490沿ヴォルガ 8115 9800 1685 7610 9200 1590 5300 7550 2250ウラル 8500 10770 2270 7800 9500 1700 5680 6740 1060シベリア 8100 10440 2340 7550 9570 2020 4750 6200 1450

地域 小麦  3等 小麦  4等 大麦

表-1 ロシアの小麦・大麦の国内価格(単位:ルーブル/トン)

資料:ロシア農業市況研究所

Page 56: 海外食料需給レポート - maff.go.jp...海外食料需給レポート(Monthly Report)で使用している統計数値は、主に米国農務省が2014年12月中旬までに

- 2 -

3 穀物輸出抑制の動き

11月27日、連邦動植物衛生監督局は、輸出向け穀物と加工製品の衛生状態が大幅に悪化してい

ることを理由として、輸出穀物の品質基準を厳しくする旨通達。穀物だけでなく、倉庫や搬出・

運搬設備、加工製品等を含めた衛生状態の追加調査も行う模様。同局はまた、穀物ロットの国内

運搬時に衛生証明書の付帯を義務化。これに対し、全国農産物輸出者協会は、連邦動植物衛生監

督局によって穀物輸出が制限されることに懸念を示し、穀物在庫量は逼迫しておらず、国内市場

への供給を考慮しても3200~3300万トンの輸出が可能と指摘。

11月28日、ユリエフ農業省次官は、今シーズンにおいて穀物輸出の制限を行う可能性は検討し

ていないと述べ、現時点で関税の見直し等施策の必要性も検討されていない旨発言。

12月1日、連邦動植物衛生監督局は、農業省に対しオフショア地域(税制が優遇されている地域)

を通じたロシア産穀物の輸出禁止を提案。穀物の主要輸出相手国はトルコ、エジプト、イスラエル、

グルジア、スーダン、南アフリカ共和国、イラン、韓国だが、こうした国々への輸出はオフショア

経由で行われることが多く、同局はロシアの税収増につながらないと強調。

フョードロフ農業相は、12月11日の下院の農業問題委員会において、ロシアからの穀物輸出の

禁止は行われないが、穀物輸出量の拡大の傾向については懸念すべきであり、農業省は輸出を抑

制するために、禁輸以外のあらゆる可能性を検討する旨発言。また、同相は12月15日、「禁輸は損

失が大きく利益が少ない」として禁輸を行う可能性は検討していないと強調した上で、2014/2015

年の穀物輸出量の予測は3000万トン程度である旨発言。

穀物市場関係者等の情報によれば、12月16日朝、連邦動植物衛生監督局が穀物輸出業者に対し

て衛生証明書の発行を停止。停止された穀物の種類や停止の原因について公式の説明はないが、

ドヴォルコヴィチ副首相に事態改善の嘆願書を送った全国農産物輸出者協会によれば、エジプト、

トルコ、インド、アルメニア以外へ輸出される全品目の穀物が対象の模様。しかし、12月19日、

グレンコア、カーギル等も加盟する上記協会は市況及び「市民としての責任」を理由に、国内相場

が落ち着くまでは輸出用の穀物買付を見合わせる旨発表。

なお、12月22日、ロシア農業省は小麦の最低買入価格の引き上げを発表。

4 結 び

連邦税関局の統計によれば、11月の穀物輸出量は299万トン(うち小麦は205万トン)で、同月と

しては過去最高水準となった。そのうち小麦の占める割合が10月の72%から68.5%に減少し、ま

たトウモロコシの割合も減少する一方で、大麦の割合は上昇している。現地調査会社によれば、

関税引き上げ又は輸出制限を行う懸念の高まりを背景に、12月初めには輸出業者の買付が一時止

まったが、12月を通してみればある程度の数量は輸出される模様。

なお、国際穀物理事会(IGC)によれば、世界の輸出余力は依然として十分な状況だが、ロシア

からの輸出の不確実性を背景に、小麦の国際市場では価格変動幅が大きくなっている。

ロシアは、過去にも2007年に輸出税の導入、2010年に輸出禁止等の規制を行っていることもあ

り、今後、どのような対策が講じられるのか、市場関係者はその動向からしばらくは目が離せな

いようである。

写真 南部連邦管区 ノボロシースク港黒海に面し、外洋港としての規模拡張が進められている。

食品

前月比 前年末比 前年同月比

食品(アルコール

飲料を除く)102,3 111,6 112,5 109,1

パン類 100,7 105,5 105,8 105,3

穀粒及び豆類 115,3 120,7 120,5 104,7

パスタ 101,3 104,3 104,3 102,0

肉類 99,8 118,4 118,2 108,2

水産品 101,8 114,7 116,4 112,3

牛乳・乳製品 101,0 112,5 114,3 117,1

バター 101,1 112,8 115,4 121,3

ヒマワリ油 102,2 98,8 97,6 94,6

卵 107,8 91,3 90,8 109,2

砂糖 108,5 122,4 120,8 112,1

野菜・果物 108,7 108,1 111,1 107,4

アルコール飲料 100,5 112,9 113,4 112,5

2014年11月 2014年1-11月の前年同期比

表-2 ロシアの消費者物価指数(食品)

資料:ロシア連邦統計局


Recommended