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財団法人中東協力センター - JCCME · 4 Kuwait Kuwait 5 2 0 0 3...

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【主要参考資料】 Annual Statistical Abstract 2003 Ministry of Planning Statistical Year Book, Electrical Energy 2004 Ministry of Energy Statistical Year Book, Water 2004 Ministry of Energy Kuwait Facts & Figures Ministry of Information Kuwait, a close look Ministry of Information Snapshots from Kuwait, Past & Present Ministry of Information Quarterly Bulletin, October-December 2004 Central Bank of Kuwait Economic & Financial Review, October 2004 National Bank of Kuwait Doing Business in Kuwait National Bank of Kuwait Annual Report 2002-2003 Kuwait Petroleum Corporation KPC WORLD (1980-2005) Kuwait Petroleum Corporation Annual Statistical Bulletin 2003 Organization of Petroleum Exporting Countries (OPEC) Annual Report 2003 National Real Estate Company Kuwait Pocket Guide 2005 Kuwait Publishing House Company Kuwait Country Profile 2004 The Economic Intelligence Unit (EIU), London Kuwait(クウェイト) 在日クウェイト国大使館、同国情報省、 日本クウェイト協会 クウェイト概要 平成17年1月 在クウェイト日本国大使館 【主要参考ウェブサイト】 Ministry of Planning http://www.mop.gov.kw Public Authority for Civil Information http://www.paci.gov.kw Public Authority for Agricultural Affairs and Fish Resources http://www.paaf.gov.kw Public Authority for Industry http://www.pai.gov.kw Public Authority for Applied Education and Training http://www.paaet.edu.kw Kuwait Port Authority http://www.kpa.com.kw Central Bank of Kuwait http://www.cbk.gov.kw National Bank of Kuwait http://www.nbk.com Kuwait Stock Exchange http://www.q8stocks.com.kw Kuwait Airways http://www.kuwait-airways.com 在日クウェイト国大使館 http://kuwait-embassy.or.jp 【写真・資料提供】 (順不同) 在日クウェイト国大使館 クウェイト石油日本支社 平成17年3月発行 発行者(財)中東協力センター(JCCME) 〒102-0073東京都千代田区九段北1丁目14-17三創九段ビル6階 TEL:03-3237-6721 FAX:03-3237-8018 財団法人 中東協力センター クウェイトの産業基盤 2005年改訂版
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Page 1: 財団法人中東協力センター - JCCME · 4 Kuwait Kuwait 5 2 0 0 3 年7月、水・電気省と石油省が統合され、「エネ ルギー省(Ministry of Energy)」が新設されました。

【主要参考資料】Annual Statistical Abstract 2003

Ministry of Planning

Statistical Year Book, Electrical Energy 2004Ministry of Energy

Statistical Year Book, Water 2004Ministry of Energy

Kuwait Facts & FiguresMinistry of Information

Kuwait, a close lookMinistry of Information

Snapshots from Kuwait, Past & PresentMinistry of Information

Quarterly Bulletin, October-December 2004Central Bank of Kuwait

Economic & Financial Review, October 2004National Bank of Kuwait

Doing Business in KuwaitNational Bank of Kuwait

Annual Report 2002-2003Kuwait Petroleum Corporation

KPC WORLD (1980-2005)Kuwait Petroleum Corporation

Annual Statistical Bulletin 2003Organization of Petroleum Exporting Countries(OPEC)

Annual Report 2003National Real Estate Company

Kuwait Pocket Guide 2005Kuwait Publishing House Company

Kuwait Country Profile 2004The Economic Intelligence Unit (EIU), London

Kuwait(クウェイト)在日クウェイト国大使館、同国情報省、日本クウェイト協会

クウェイト概要 平成17年1月在クウェイト日本国大使館

【主要参考ウェブサイト】Ministry of Planning http://www.mop.gov.kw

Public Authority for Civil Informationhttp://www.paci.gov.kw

Public Authority for Agricultural Affairs and FishResourceshttp://www.paaf.gov.kw

Public Authority for Industryhttp://www.pai.gov.kw

Public Authority for Applied Education andTraininghttp://www.paaet.edu.kw

Kuwait Port Authorityhttp://www.kpa.com.kw

Central Bank of Kuwaithttp://www.cbk.gov.kw

National Bank of Kuwaithttp://www.nbk.com

Kuwait Stock Exchangehttp://www.q8stocks.com.kw

Kuwait Airwayshttp://www.kuwait-airways.com

在日クウェイト国大使館http://kuwait-embassy.or.jp

【写真・資料提供】(順不同)

在日クウェイト国大使館クウェイト石油日本支社

平成17年3月発行

発行者(財)中東協力センター(JCCME)

〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14-17 三創九段ビル6階

TEL:03-3237-6721 FAX:03-3237-8018財団法人 中東協力センター

クウェイトの産業基盤

2005年改訂版

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現在クウェイトには鉄道がありませんので、市民の

足は自家用車か、交通公共機関としてのバスまたはタ

クシーとなっています。そのため、良く整備された舗

装道路網が国内全域をカバーしています。クウェイト

市の中心街を起点として扇状に延びる放射道路とこれ

らにクロスする環状道路が市内の幹線道路です。さら

に、市内から国内各地を結ぶ高速道路(m o t o r w a y)も

発達しており、通行はすべて無料で、その一部は近隣

諸国の国境まで通じています。2 0 0 2年現在、舗装道路

の総延長は5,445キロに達しています。

クウェイトでは、ビジネスも生活も車なしでは成り

立ちませんので、クウェイト人の場合、通常1世帯当り

2~3台の自家用車を保有しています。2 0 0 2年の車両台

数は9 0万7 , 2 2 1台で、通勤や通学時間帯の市中心部の道

路は世界の大都市に引けを取らないほどの大渋滞とな

ります。このような交通渋滞の緩和を目的として、国

内道路網の改善が進められている一方、クウェイトと

近隣諸国を結ぶG C C(湾岸協力会議)鉄道網計画も推

進されています。

●交通機関

公共バスは、「クウェイト公共輸送会社( K u w a i t

Public Transport Company : KPTC)」と「シティバス

(C i t y b u s)」の2社が運行しており、K P T Cのバス路線は

3 0以上あります。シティバスはK P T Cと同一の7路線か

らバスの運行を開始し、近い将来、1 5路線に増加する

予定です。両社のバスは冷房設備が完備されており、

前方の座席は女性専用になっています。運賃は1 5 0フィ

ルス(約5 4円)~2 5 0フィルス(約9 0円)と安く、市内

および郊外各地を結ぶ交通手段として利用することが

できます。国際バス路線はサウディアラビアとバハレ

ーン便があり、K P T Cが運行しています。タクシーは、

行き先が決まっている乗合タクシーや無線タクシーな

ど豊富にありますが、メーター制ではないため、予め

料金を決めてから乗車する必要があります。レンタカ

ー会社も数多くあり便利です。訪問ビザで入国した短

期滞在の外国人は国際運転免許証があれば、ビザの有

効期間中、レンタカーを運転することができますが、

外国人居住者はクウェイトの免許証を取得しなければ

なりません。一部のヨーロッパ諸国民は自国発行の運

転免許証のみでクウェイト免許証を取得でき、その他

の外国人居住者は外国人居住許可証(イカーマ)を取

得した後に自国の免許証、パスポート、写真、その他

必要書類を提出し、視力検査などの手続きを経てクウ

ェイト免許証の交付を受けることができます。車両の

通行は日本とは反対の右側通行です。制限速度は市内

では時速45~60キロ、高速道路は100~120キロです。

高速道路

第5リング道路の夜景

市内バス

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2 0 0 3年7月、水・電気省と石油省が統合され、「エネ

ルギー省(Ministry of Energy)」が新設されました。こ

の結果、電気事業は現在、エネルギー省の管轄下にあ

ります。国内の電力ネットワークは完全に整備されて

いますので、一般用、産業用を問わず国内のいかなる

場所においても電力の供給を受けることができます。

政府の補助金制度による低廉な電気料金や人口増、

工業開発により、電力需要は年率約7%増で伸び続けて

います。ピーク時の需要は 2 0 0 1年の6 , 7 5 0メガワットか

ら2 0 0 8年には9 , 7 2 5メガワットに急増すると予測されて

います。クウェイト国民1人当たりの2 0 0 3年度の年間電

力消費量は1万2 , 9 9 2キロワット時に達しており、これ

は世界で第7番目に多い消費量です。特に夏季の期間中

は、エアコンなどの使用により家庭の電力需要が高ま

り、全供給量の3分の2が家庭で消費されています。

現在、シュウエイクとシュアイバ北の発電施設が操

業を休止しているため、稼動しているのは、シュアイ

バ、ドーハ東、ドーハ西、アッゾール南およびスッビ

ーヤの5施設です。発電設備能力は年々増強され、2 0 0 3

年末現在9 , 2 7 3メガワットに達しています。また、総発

電量は1 9 9 6年の2 5 4億7 , 5 0 0万キロワット時から2 0 0 3年

には3 8 5億7 , 7 0 0万キロワット時に増加しています。今

後の需要増に対処するため、クウェイト政府は発電能

力のさらなる増強を計画しています。アッゾール北と

アッゾール南(第2プラント)にそれぞれの発電能力が

2 , 4 0 0メガワットと1 , 0 0 0メガワットの施設を新設するた

め、40億ドルが投資される予定です。

発電プラントの中央制御室

発電プラント

送電設備

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クウェイトの気候は乾燥亜熱帯性で、年間の平均降

雨量は1 0 0ミリ以下です。日本の四国にほぼ等しい面積

の国土は全体的に平坦な砂漠地帯で、河川や湖沼など

は存在していません。このように天然の水資源に乏し

いクウェイトは、飲料水や工業用水の供給を海水を蒸

留して得られる上水に依存しています。海水淡水化施

設はシュウエイク、シュアイバ南、ドーハ東、ドーハ

西、アッゾール南の5カ所にあり、これら施設の淡水化

能力は2 0 0 2年に合計3億1 , 5 6 0万ガロン/日に達しており、

2 0 0 6年にはスッビーヤにも海水淡水化施設が増設され

る予定で、2 0 0 7年からは3億8 , 1 5 0万ガロン/日まで増強

される予定です。2 0 0 3年の海水蒸留水の生産量は9 4 7億

8,500万ガロンでした。

生産された蒸留水には、ミネラル分を補い味付けす

るために少量の地下水が加えられ、さらに、殺菌など

の処理を経て飲料水として供給されています。一部の

蒸留水は未加工のまま工業用水として使用されていま

す。上水道網は国内全土に行き渡っています。

2 0 0 3年にエネルギー省が生産した飲料水の総生産量

は1 , 0 2 0億5 , 7 0 0万ガロンです。また、1 0億6 , 5 0 0万ガロ

ンが「クウェイト国営石油会社(Kuwait National

Petroleum Company : KNPC)」によって生産されていま

すので、これを加えると2 0 0 3年の飲料水の総生産量は

1 , 0 3 1億2 , 2 0 0万ガロンに達しています。一方、同年の飲

料水の総消費量は約1 , 0 1 9億ガロンで、1日当りの最大

消費量は2億9 , 7 5 0万ガロン、最小消費量は2億6 , 1 8 0万ガ

ロン、平均消費量は2億7,910万ガロンでした。

エネルギー省は地下水の有効利用にも積極的に取り

組んでいます。同省と「クウェイト石油会社(K u w a i t

Oil Company : KOC)」が地下水を生産しており、生産

量は年々増加傾向にあります。2 0 0 3年の総生産量は3 4 0

億7,700万ガロンでした。地下水は海水蒸留水との混合、

灌漑、家庭用飲料、家畜用飲料、建設工事などに利用

されています。水井戸の総生産能力は1億2 , 0 0 0万ガロ

ン/日あり、2 0 0 3年夏季の最大消費量は1億2 , 1 0 0万ガロ

ン/日を記録しています。円錐の形をした貯水タワーが

各地に建設されており、現在の総貯水能力は 9 2 5万

4,000ガロンです。

貯水タワー海水淡水化プラント

海水淡水化プラントのコントロール・ルーム

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クウェイトには近代的な商業港と工業港が各3港あり

ます。商業港はシュウエイク港、シュアイバ港、ドー

ハ港、そして工業港はミナ・アハマディ港、ミナ・ア

ブドッラー港、アッゾール港です。商業港の3港は、

1 9 7 7年に設立された「クウェイト港湾局(Kuwait Port

Authority : KPA)」によって管理・運営されています。

●シュウエイク港

クウェイト市の中心街から西へ約3キロ、クウェイト

湾南岸のほぼ中央部に位置するシュウエイク港は総敷

地面積3 2 0万平方メートルを有し、商業港3港のうちで

は最大であり、かつ最も古い歴史を持っている港です。

バース数は合計2 1で、水深は1 4バース(バース N o . 1~

N o . 1 4)が1 0メートル、4バース(バースN o . 1 8~N o . 2 1)

が8 . 5メートル、3バース(N o . 1 5~N o . 1 7)が6 . 7メート

ルあります。これらバースの全長は4,055メートルです。

バースN o . 1は穀物の荷揚げ用で、4 0 0トン/時の取扱

能力を有しています。N o . 8はセメントの荷揚げ用で取

扱能力は4 0 0トン/時です。N o . 1 2とN o . 1 3はコンテナ専

用のバースで、それぞれ4 0トンの能力を持つ、コンテ

ナ取扱ガントリークレーンが2つあります。N o . 1 9と

N o . 2 0は冷蔵品の荷揚げ用で、冷凍食品を貯蔵する冷蔵

倉庫(貯蔵能力1万1 , 5 0 0トン)が両バース間に設置さ

れています。 N o . 2 1は生きた家畜の荷揚げ用バースで、

広さ2万5 , 7 0 0平方メートルの畜舎が設けられています。

残りのバースは一般貨物用です。

シュウエイク港の東北隅に、「クウェイト造船修理会

社(K S R C)」の船舶修理・造船施設があります。同社

は船舶建造・修理、水路・港湾の浚渫、港湾施設のメ

インテナンスなどの事業を行うことを目的として1 9 7 4

年に設立された会社です。

●シュアイバ港

クウェイト市の南方4 5キロのアラビア湾岸に位置す

るシュアイバ港は1 9 8 3年に開港し、シュアイバ工業地

区のために原材料や製品の輸出入を行っている港です。

全長が4 , 0 6 8メートルに達する2 0のバースと、クウェイ

ト国営石油会社が管理している原油積み出し用の桟橋

を備えています。バースの水深は1 0メートルから 1 4メ

ートルで、桟橋の水深は1 6メートルあります。また、

同港には、クウェイトの「石油化学工業会社(P I C)」

生産の尿素を同工場からバースN o . 1とN o . 2に運ぶため

の移動式コンベヤーと、クウェイト国営石油会社の硫

黄をバースN o . 6へ、そして石油コークスをN o . 1 4にそれ

ぞれ運搬するための移動式コンベヤーが設備されてい

ます。バースN o . 1 5~N o . 1 8の4バースがコンテナ専用バ

ースになっています。この他、同港には小型船舶・バ

ージ用の港湾施設もあります。

●ドーハ港

シュウエイク港の西隣、ラス・カジマ岬の付け根の

辺りに位置するドーハ港は、比較的新しく1 9 8 1年に開

港しています。同港にはダウ船(アラブの伝統的な木

造船)やバージ、その他沿岸航路用小型船舶のための

埠頭が9つあり、全長は2 , 6 0 0メートル、水深は4 . 3メー

トルです。倉庫が1 1(総面積 8 , 1 1 0平方メートル)、屋

根付物置場が4(同4 , 1 0 0平方メートル)および畜舎が1

(同3,250平方メートル)、それぞれ設置されています。

●ミナ・アハマディ港

クウェイト石油会社(K O C)のミナ・アハマディ港は

国内で最大かつ最重要の石油専門港で、1 9 4 6年にクウェ

イト原油が初めて積み出された港でもあります。アハマ

ディ市の海岸線の大部分を占める位置にあり、その南隣

にはシュアイバ港があります。

ミナ・アハマディ港は、南埠頭、北埠頭、一点(ブイ)

係留(Single Point Mooring : SPM)ターミナルの各石油積

み出し施設を備え、原油や石油製品を輸出しています。

南埠頭には6バースあり、主として石油製品が積み出さ

れていますが、バースN o . 4は2万5 , 0 0 0トンから8万トンの

タンカー用の原油積み出しバースとして使用されていま

す。南埠頭の原油積み出し能力は最大で2 , 6 0 0トン/時で

す。一方、北埠頭には原油と石油製品の積み出し用とし

て4バースがあり、2万5 , 0 0 0トンから1 6万トンの船舶を受

け入れています。また、バースN o . 1 1とN o . 1 2は3 0万トン

までの大型船の一部を収容しています。

●ミナ・アブドッラー港とミナ・アッゾール港

両港はともにクウェイトとサウディアラビアの分割

地帯(旧中立地帯)にあります。同地帯陸上ではクウ

ェイト石油会社とサウディ・テキサコ社(サウディア

ラビア)が共同で石油操業を行っており、クウェイト

石油会社の持分原油はミナ・アブドッラー港に輸送さ

れています。一方、サウディ・テキサコ社の持分原油

はミナ・アッゾール港から積み出されています。

シュウエイク港

シュアイバ港

ミナ・アハマディ港

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クウェイト国際空港は同国では唯一の民間空港であ

り、クウェイト市の南1 6キロ、市中心部から車では約

2 0分の場所に位置しています。2 4時間オープンの近代

的な空港で、あらゆる機種の航空機の受け入れが可能

な3,000メートル超の滑走路2本を有しています。

旅客ターミナルと貨物用ターミナルがあり、旅客タ

ーミナルの拡張工事が段階的に進められています。到

着ロビーに隣接してコマーシャル・センターが新設さ

れ、駐車場の拡張も行われました。また、出発ロビー

も改築され、完全自動式のチェックイン・システムや

最新の荷物取扱システムが導入されています。さらに、

同空港では初の子供用施設、「キッズ・ゾーン」も新設

されました。空港内には銀行の支店、レンタカー会社

のデスク、携帯電話のレンタル店、免税店、レストラ

ンなど数多くの店舗があり、また、トランジット客用

の宿泊施設として「サフィール・エアポートホテル

(Safir Airport Hotel)」も併設されています。

英国航空、ルフトハンザ航空、エアフランス、K L M

など世界の大手航空会社を含む4 0社あまりの航空会社

がクウェイト国際空港に乗り入れており、乗降客の収

容能力は年間5 0 0万人に達しています。2 0 0 4年には定期

便・不定期便を合わせ、4万5 7 3便が発着しました。旅

客数は、到着2 6 0万6 , 4 2 1人、出発 2 4 4万2 , 5 1 6人で、計

5 0 4万8 , 9 3 7人を数えています。一方、取扱貨物量は、

到着1 2万3 , 8 0 9トン、出発4万1 , 2 0 6トン、計1 6万5 , 0 1 5ト

ンでした。1日当りに換算すると、発着便数は1 1 1便、

旅客数は1万3,832人、取扱貨物量は452トンになります。

クウェイトの国際航空会社としては、政府が保有・

運営している「クウェイト航空(Kuwait Airway : KAC)」

があります。同社は1 9 5 4年に設立され、ベイルート、

ダマスカスなどのごく限られた近隣アラブ諸国の都市

に航路を開設しました。ジェット機時代を迎えた1 9 6 0

年代から同社はロンドンに定期便を就航させるなど、

国際路線の拡大に着手すると共に、ボーイング707型機、

7 4 7型機などの新型機を導入し、国際的な航空会社とし

ての地位を確立しました。現在、クウェイト航空は世

界各国に路線網を広げていますが、クウェイト政府は

同社のさらなる発展を目指し、同社専用の新空港の建

設も計画しています。

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クウェイト国際空港

空港コントロール・タワー内

空港内レーダー施設

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クウェイトは近代的な通信設備を有しており、インタ

ーネットや携帯電話など様々な通信サービスが提供され

ています。通信事業は通信省の管理下にあり、同省と、

同省監督下の民間企業がサービスの提供を行っています。

●電 話

国内の電話事業は通信省が独占的に運営しています。

電話通信ネットワークは、そのほとんどが信頼性の高い、

光ファイバー・ケーブルによって整備されており、2 0 0 3

年末の固定電話回線数は4 8万6 , 9 0 0回線に達しています。

公衆電話は、テレコミュニケーション・センター、

主要郵便局、クウェイト国際空港、一部のスーパーマ

ーケットやショッピングセンターなどに設置されてい

ますがあまり多くありません。国際電話は、テレコミ

ュニケーション・センターや郵便局などの公衆電話か

らかけることができ、専用のプリペイドカードを使用

します。カードはKD3(約1,080円)、KD5(約1,800円)、

K D 1 0(約3 , 6 0 0円)の3種類があり、郵便局の窓口やシ

ョッピングセンターなどで購入することができます。

テレコミュニケーション・センターでは、ファックス、

テレックス、電送写真の各サービスも提供しており、

また、主要郵便局でもファックスのサービスを行って

います。なお、国内の通話料金は、一般の固定電話を

使用する場合、無料です。

携帯電話サービスを国内で提供している会社は、「移

動電話通信会社(Mobile Telecommunications Company :

M T C)」と「国営移動電話通信会社(National Mobile

Telecommunications Company : NMTC)」の2社です。2 0 0 5

年に3番目の携帯電話サービス会社が設立される予定に

なっています。M T CとN M T Cの両社はポケベルのサービ

スも行っていますが、携帯電話の普及に伴いポケベルの

利用者数は減少しています。2 0 0 3年現在、携帯電話の加

入率は、クウェイト人口の5 7 . 8%に達しています。

短期滞在のクウェイト訪問客はポケベルと携帯電話を

レンタルすることできます。レンタル料は1台当りK D 1

(約3 6 0円)/日、通話料は1通話4 0フィルス(約1 4 . 4円)です。

●インターネット

インターネットの利用も盛んに行われています。最近

のデータによれば、普及率は人口の2 3%になっており、

利用者は今後ますます増加するものと予想されていま

す。インターネット・サービスを提供している「インタ

ーネット・カフェ」や娯楽センターの数も増加しており、

約3 0 0店あまりが政府の認可を得て営業を行っています。

これら店舗のインターネット接続料金は1時間当り2 5 0フ

ィルス(約9 0円)から5 0 0フィルス(約1 8 0円)です。

インターネットの主なサービス・プロバイダーは、

「Gulf Telecom」、「Quality Net」、「Fast Telecommunications

C o m p a n y」、「Z a j i l - K e m s」で、それぞれの特色あるサービ

スを提供しています。月額の基本料金は個人の場合の

K D 5(約1 , 8 0 0円)から企業のK D 3 0(約1 0 , 8 0 0円)まで

と幅広い範囲があり、利用料金はプロバイダーによっ

ては時間制を採用しているところと、時間無制限の定

額料金制を採用しているところがあります。

●郵 便

中央郵便局は市中心街のファハド・アッサーレム通り

にあり、この他にサファト、サルミーヤ、ハワリー、ジ

ャハラ、ファハヒールなどの各地区にも郵便局がありま

す。民間業者による郵便宅配サービスは以前からありま

すが、信頼性に欠けることからあまり利用されていませ

ん。ほとんどの人は自分が居住している郵便局の私書箱

を利用して郵便物を受け取っています。2 0 0 2年現在の私

書箱数は合計で1 1万6 0 0箱、そのうち9万4 , 5 8 8箱がレンタ

ルされています。私書箱の年間レンタル料金はK D 4(約

1 , 4 4 0円)ですが、初年度のみに鍵の料金としてK D 3(約

1 , 0 8 0円)を支払う必要があります。

DHLやFederal Expressなど国際大手企業を含むクーリ

エ・サービス会社が国内で営業を行っていますので、

重要な書類や小包の国内・国外への宅配サービスを利

用することができます。

Kuwait 13Kuwait12

通信省

テレコミュニケーション・センター

公衆電話

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Kuwait 15Kuwait14

2 0 0 3年末現在のクウェイトの原油確認埋蔵量は9 9 0億バ

ーレル(世界合計の8 . 7%)で、サウディアラビア、イラ

ン、イラクに次いで世界第4位の地位を占めています。

2 0 0 5年2月現在のクウェイトのO P E C生産割当量2 1 6万7 , 0 0 0

バーレル/日をもとに計算すると、この埋蔵量は約1 2 5年分

に相当します。一方、クウェイトは、世界合計の約0 . 9%

にあたる1兆5 , 7 2 0億立方メートル(約5 6兆立方フィート)

の天然ガスの確認埋蔵量を保有しています。

クウェイトの石油・ガス産業は1 9 8 0年1月に設立された

「クウェイト石油公社(Kuwait Petroleum Corporation : KPC)」

によって管理・統括されています。K P Cは同社の傘下企業

を通じ、原油の開発・生産から精製、輸送、販売に至る一

貫操業と、石油化学関連事業を実施しています。また、同

社の事業活動は国内のみにとどまらず、ヨーロッパ、中東、

アジア・太平洋州など世界各地において積極的に展開され

ています。

●原油・ガス生産

国内の原油・ガスの探鉱、開発、生産は「クウェイト

石油会社(Kuwait Oil Company:K O C)」が行っています。

クウェイトの原油は、そのほとんどが陸上の油田から生

産されており、中でもブルガン、アハマディ、マグワの3

油田からなる「大ブルガン油田(Greater Burgan)」はサウ

ディアラビアのガワール油田に次いで世界第2位の規模を

誇る大油田です。クウェイトの原油確認埋蔵量の約7 0%

が同油田地帯に存在しています。

クウェイトとサウディアラビアの分割地帯(旧中立地

帯)沖合いでは、「クウェイト・ガルフ石油会社(K u w a i t

Gulf Oil Company : KGOC)」がサウディアラビアの「アラ

ムコ・ガルフ・オペレーションズ社(Aramco Gulf Operations

Company : AGOC)」と共同操業を行っており、日本のアラ

ビア石油がK G O Cに技術サービスを提供しています。

K G O CはK P Cの子会社で、クウェイト初の海上油田操業会

社として2 0 0 2年に設立されたものです。

2 0 0 3年の原油生産量は2 1 0万8 , 0 0 0バーレル/日で、そのうち

1 2 4万3 , 0 0 0バーレル/日が輸出されています。現在の原油生

産能力は2 5 0万バーレル/日ですが、クウェイト政府はこれ

を2 0 2 0年までに4 0 0万バーレル/日まで増強する目標を立てて

います。この目標達成のため、政府は原油の開発・生産部

門に外国石油企業の参入を認める、「プロジェクト・クウェ

イト(Project Kuwait)」と称される計画を推進中で、参入を

希望する外国企業と交渉を継続しています。

一方、天然ガスは2 0 0 3年に1 1 0億2 , 0 0 0万立方メートルが生

産されていますが、そのほとんどが石油の随伴ガスです。

天然ガスは家庭用と石油化学工業などの産業用に利用され

ています。政府は発電・造水施設などの燃料として、ガス

の使用拡大を目指しており、現在、無駄に燃やされている

随伴ガスの削減と一層の有効利用を図っています。また、

構造性ガス田の開発計画や、カタールとイランからの天然

ガス輸入計画も進められています。

●石油精製

クウェイトには、ミナ・アハマディ、シュアイバ、ミ

ナ・アブドッラーの3製油所があります。1 9 6 0年に設立され

た「クウェイト国営石油会社(Kuwait National Petroleum

Company : KNPC)」がこれらの製油所を管理・操業し、石

油・ガス製品の国内販売を行っています。無鉛ガソリン、

有鉛ガソリン、ナフサ、軽油、ジェット燃料、重油などの

ほか、硫黄や石油コークス、アスファルトなどの副産物も

生産されています。2 0 0 3年の石油製品の生産量は8 3万9 , 2 0 0

バーレル/日、輸出量は6 2万3 , 1 0 0バーレル/日でした。また、

ミナ・アハマディ製油所には、L P Gプラントが付設されて

おり、プロパン、ブタン、N G L(天然ガソリン)、リーンガ

ス(希薄ガス)が生産・輸出されています。

●海外進出

1 9 8 1年に設立されたK P Cの子会社、「クウェイト海外石

油探鉱会社(Kuwait Foreign Petroleum Exploration Company :

K U F P E C)」が海外で石油の探鉱、開発事業に従事してい

ます。同社が権益を保有している国は、イエメン、エジ

プト、スーダン、チュニジア、アルジェリア、パキスタ

ン、中国、オーストラリア、インドネシア、マレーシア

の1 0カ国に上っています。一方、K P Cの傘下企業の「ク

ウェイト石油インターナショナル社(Kuwait Petroleum

International : KPI)」が石油精製・製品販売の海外事業を行

っています。K P Iはヨーロッパに製油所(オランダとイタ

リア)と5 , 0 0 0あまりのガソリン・スタンドを保有し、自

社ブランド「Q 8」の名前でヨーロッパ1 0カ国とタイで約

3 0万バーレル/日の石油製品を販売しています。

陸上油田掘削リグ(ブルガン油田)

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湾岸諸国の中で最初に化学肥料の生産を開始したのは

クウェイトです。1 9 6 3年7月、アンモニアと窒素肥料の

生産を目的として、「石油化学工業会社(P e t r o c h e m i c a l

Industries Company : PIC)」が首長勅令により設立されま

した。P I Cは国内の天然ガスを原料として1 9 6 0年代後半

からシュアイバ工業地区において化学肥料の生産・輸出

を開始しています。その後、化学肥料プラントの拡張や

新規プラントが建設され、現在、P I Cはアンモニアプラ

ント3基(総生産能力8 5万8 , 0 0 0トン/年)、尿素プラント3

基(総生産能力7 9万2 , 0 0 0トン/年)ならびに、1 9 9 7年か

ら操業を開始したポリプロピレン・プラント1基(生産

能力1 0万トン/年)を所有しています。P I Cは2 0 0 2 / 0 3年

の会計年度に、アンモニア5 4万8 , 0 0 0トン(前年度比

2 5%増)、尿素6 3万4 , 0 0 0トン(同7 . 8%増)、ポリプロピ

レン1 1万6 , 0 0 0トン(生産能力の1 6%増)をそれぞれ生

産しています。

クウェイト政府は本格的な石油化学工業を興すため、

1 9 9 5年から一大石油化学コンプレックスの建設プロジ

ェクトに着手しました。このプロジェクトを実施する

ため、クウェイト石油公社はP I Cを通じて、米国の「ユ

ニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)」お

よび「ブビヤン石油化学会社(Boubyan Chemical

C o m p a n y)」と合弁事業協定を締結し、1 9 9 5年7月に石

油化学コンプレックスを建設、所有、運営する「エク

エ イ ト 石 油 化 学 会 社 ( EQUATE Petrochemical

C o m p a n y)」を設立しました。出資比率は、それぞれ

4 5%、4 5%、1 0%です。ブビヤン石油化学会社は、ク

ウェイトの民間個人と機関投資家が出資して新たに設

立した会社で、PICは10%の持ち株比率を有しています。

計画は順調に進捗し、1 9 9 7年8月、総額2 0億ドルを投

資したクウェイト初の石油化学コンプレックスの建設

工事がシュアイバ工業地区で完了しました。エチレン

プラント(生産能力6 5万トン/年)、ポリエチレンプラ

ント(生産能力4 5万トン/年)ならびにエチレングリコ

ールプラント(生産能力3 5万トン/年)から成るこのコ

ンプレックスの完成式典は同年1 1月に行なわれ、プラ

ントの操業がスタートしました。2 0 0 2 / 0 3年度の生産量

は、エチレンが7 7万8 , 0 0 0トン、ポリエチレンが4 9万

4,000トン、エチレングリコールが48万1,000トンでした。

現在、P I Cはユニオン・カーバイドの親会社であるダウ

ケミカル社(Dow Chemical Company)と共同で、これ

らプラントの生産能力増強計画、「E Q U A T EⅡ」プロジ

ェクトを推進しています。プロジェクトの完了は2 0 0 7

年が予定されています。

P I Cはまた、バハレーンでアンモニア、尿素、メタノ

ールを生産している「ガルフ石油化学工業会社(G u l f

Petrochemical Industry Company)」と、中国で燐酸二ア

ンモニウム、化成肥料を生産している「中国・アラブ

化学肥料会社(Sino-Arab Chemical Fertilizer Company)」

にそれぞれ33.33%と30%の比率で出資しています。

Kuwait 17Kuwait16

尿素プラント

石油化学工業会社 化学肥料プラント

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1 9 9 7年1月、クウェイト産業部門の管轄機関として

「産業公社(Public Authority for Industry : PAI)」が設立

されました。P A Iの主目的は(1)地場産業の発展と保

護、(2)工業生産基盤の拡大、(3)国家歳入源の多様

化、(4)国家安全保障の観点から必要とされる食糧な

どの戦略物資の生産促進・開発、(5)工業技術の開

発・奨励、(6)国内既存産業と、湾岸諸国やアラブ諸

国にて将来提起される産業との調整、(7)他国および

国際機関との工業協力の強化、などです。これらの目

的に沿って、P A Iは工業計画の立案や工業区域設定の

提案、必要なインフラや工業的サービスの提供を行な

っており、また、工業ライセンスの認可・取り消しの

手続き・規則を制定しています。

●工業地区

石油依存経済からの脱却と地場産業の育成・振興な

どを目的として、クウェイト政府は従来から国内各地

に工業地区を設置し、製造業を積極的に誘致してきて

います。各工業地区では道路をはじめ電力・水・ガス

などのインフラ施設が整備されており、工業用地も低

廉な価格にて貸与されています。現在、シュアイバ、

シュウエイク、スブハン、ドーハ、ジャハラ、アハマ

ディなどの国内1 0カ所あまりに工業地区が設けられて

います。工業地区の先駆けで、そのモデル地区となっ

ているのが、シュアイバ工業地区です。

シュアイバ工業地区はクウェイト市の南方5 0キロに

位置し、北側はクウェイト石油会社のアハマディ港の

南埠頭に、また南側はクウェイト国営石油会社のミ

ナ・アブドッラー製油所に隣接しています。1 9 6 4年に

設立された同工業地区の総敷地面積は約2 , 3 0 0万平方メ

ートルで、中央を南北に走る高速道路によって、東地

区(1 , 0 3 7万平方メートル)と西地区(1 , 2 6 1万平方メー

トル)に分割されています。石油、石油化学およびそ

れらの関連産業を中心とするクウェイトの重工業プラ

ントが集中的に立地しており、P A Iの統計によれば、

3 2企業に属する4 1工場(東地区1 7工場、西地区2 4工場)

が操業を行なっています。東地区の主な会社は、石油

化学工業会社、クウェイト国営石油会社、クウェイト

セメント会社などです。また、西地区では、石灰レン

ガ、絶縁材、ガラス瓶、ティッシュペーパーなどの製

造工場が稼動しています。

シュウエイク工業地区はシュウエイク港に隣接して

設置されています。ここには建材を生産する大規模プ

ラントや中小規模の工場、製作所、修理・メインテナ

ンス工場、卸・小売業の流通倉庫、店舗などが数多く

進出しています。スブハン工業地区は食品や金属工業、

エンジニアリング会社などが事業を行なっている軽工

業地区で、流通倉庫も多数建設されています。また、

ドーハ地区では船舶の修理が主に行なわれており、そ

の他の工業地区においても、アルミニウム、煉瓦、強

化プラスチック、冷蔵庫、タイル、自動車の車台など、

多岐にわたる品物が製造されています。

●クウェイト自由貿易区

(Kuwait Free Trade Zone : KFTZ)

クウェイト自由貿易区(K F T Z)はクウェイト市中心

部から西へ約3キロのシュウエイク港に設置されていま

す。K F T Zはクウェイト政府の援助を受けた民間部門に

よ る 独 立 事 業 で 、 1 9 9 9 年 1 1月 に 正 式 に 開 設 し 、

「National Real Estate Company (N R E C)」によって管

理・運営されています。豊富な電気・水の供給、最新

の通信設備、近代的な陸海空の輸送システムなど、ハ

ード面の社会基盤は十分に整備されており、また、商

業規則や関連法律に関する情報の提供などソフト面に

おける各種サービスも充実しています。K F T Zに進出す

る企業が享受できる主な投資インセンティブと特典は

次の通りです。

(1) 法人税、個人所得税の免除

(2) 資本および利益のK F T Z域外への移転の自由と

為替管理の適用外

(3) 外資100%による企業進出の認可

(4) 簡素な手続きによる各種ライセンスの取得

(5) 外国人労働者の雇用

(6) 迅速な居住許可証の取得

(7) 銀行・金融サービスの提供

(8) コンサルティング・サービスの提供

Kuwait 21Kuwait20

シュアイバ工業地区

潤滑油プラント

クウェイト自由貿易区

石膏工場

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クウェイトの金融機構は、政府の「クウェイト中央銀

行(Central Bank of Kuwait : CBK)」と、ほとんどが同行の

管轄下にある商業銀行、特殊銀行、投資銀行、両替商、

投資基金から構成されています。

2 0 0 4年初頭、外国銀行の支店開設を認可する法律がク

ウェイト国民議会にて承認され、クウェイト中央銀行が

同年3月に外国銀行のクウェイト市場参入に関する規則

を制定しています。今後、欧米諸国をはじめとする外国

銀行のクウェイト進出が見込まれています。

●クウェイト中央銀行(CBK)

クウェイト中央銀行は1 9 6 8年6月に「クウェイト金融評

議会(Kuwait Monetary Council)」の発展的解消によって

設立され、1 9 6 9年4月1日から事業を開始しました。C B K

の主要設立目的は以下の通りです。

・通貨クウェイト・ディナール(K D)の発行

・クウェイト・ディナールの安定と他国通貨との自由交

換の保証

・通貨政策の立案・管理

・商業銀行をはじめ政府・民間の投資銀行、両替商など、

金融機関の監督

・政府銀行としての金融業務の遂行と政府に対する財政

的アドバイスの提供

C B Kはまた、財務省に代わり公債の発行を行うと共に、

各種出版物や定期刊行物を通じ、経済・財政・金融に関

する情報を提供しています。

●地場銀行・金融機関

C B Kの監督下にある地場銀行は合計1 1行あり、その内

訳は、「クウェイト国営銀行(National Bank of Kuwait :

N B K)」、「クウェイト商業銀行(Commercial Bank of

K u w a i t)」をはじめとする商業銀行が6行、株式の5 0%が

クウェイト所有の外国銀行の支店がひとつ、特殊銀行が

2行およびイスラム銀行が2行です。

特殊銀行は、「クウェイト工業銀行(Industrial Bank of

Kuwait )」と「クウェイト不動産銀行(Kuwait Real Estate

B a n k)」です。工業銀行は、クウェイトの経済・社会開

発計画を推進するため同計画に沿った工業、農業関連プ

ロジェクトに対して有利な条件で融資を行っている銀行

です。不動産銀行は、不動産売買、建設関連の融資事業

に投資することを専門としている金融機関です。イスラ

ム銀行は、イスラム法(シャリーア)に則り金融サービ

スを行う銀行です。2 0 0 3年に、イスラム・バンキング法

が国民議会で承認された後、C B Kは同法に基づき営業を

行うイスラム銀行として3行のみを認可すると発表しま

した。従来からイスラム法に準拠して営業を行ってきた

「クウェイト・ファイナンス・ハウス(Kuwait Finance

H o u s e)」と2 0 0 4年4月に設立された「ブビヤン銀行(B a n k

B u b i a n)」の2行は定款にてイスラム法に従い銀行業務を

行うと定めており、C B Kはこれら2行をイスラム銀行と

して認可しました。また、上記のクウェイト不動産銀行

は2 0 0 3年1 0月に株主の承認を得てイスラム金融業に移行

することを選択しています。これらの銀行に加え、クウ

ェイト国内外で投融資事業を営むC B K監督下の投資会社

(investment company)が4 1社、両替商(exchange company)

が3 5社および投資基金(investment fund)が6 1あります。

両替商は、外国為替取引、送金、トラベラーズ・チェッ

クなどを取り扱っており、手数料は相対的に安く、また、

午後は宵のうちまで営業しているため、外貨売買や送金

などでよく利用されています。

●クウェイト証券取引所

1 9 8 3年8月、首長の勅令により、クウェイト証券取引所

(Kuwait Stock Exchange)は近代的な概念と原則に基づく

独立した金融組織となりました。政府の民営化プログラ

ムの一環として、公営企業の政府保有株の売却が1 9 9 4年

から開始されたことなどを背景として、株式市場は順調

に発展してきています。株式取引はクウェイト人とG C C

諸国の国民にのみ許可されていましたが、2 0 0 0年8月に外

国人にも上場会社の株式の保有・売買を認める法律が国

民議会にて承認されました。クウェイト国内居住の外国

人は、外国人の株式保有率が4 9%までしか認可されてい

ない銀行を除く上場会社の株式を1 0 0%保有することが

できるようになり、クウェイトの株式市場は順調に拡大

しています。

2 0 0 5年2月末現在の上場企業数は、クウェイト企業1 1 8

社とG C C諸国企業1 4社の合計1 3 2社です。クウェイト企

業の業種別内訳は、銀行部門8行、投資部門3 1社、保険

部門7社、不動産部門2 0社、産業部門2 3社、サービス部門

2 4社、食品部門5社です。

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クウェイトの紙幣/クウェイトナショナル銀行/銀行内部/クウェイト証券取引所

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●農畜産業

国土の大部分が砂漠地帯であるため、耕作可能面積は

国土面積1万7 , 8 1 8平方キロメートルの内、わずか8 . 6 3%

の1 , 5 3 8平方キロメートルしかありません。2 0 0 0 / 0 1年度

の耕作可能面積の利用状況は、未使用が1 0 5平方キロ、

放牧・植林地が1 , 3 6 2平方キロ、そして耕作地が7 1平方

キロとなっています。従って実際の耕作地面積は国土面

積の0 . 4%弱を占めているに過ぎません。

1 9 8 3年、クウェイト政府は農業、畜産、水産業の責

任監督機関として「農業・水産資源庁(Public Authority

for Agricultural Affairs and Fishery Resources : PAAAFR)」

を設立しました。同庁は、過酷な自然環境に耐え、病

気にも強い、生産性の高い野菜の開発・品種改良のた

め、幅広い研究に取り組んでいます。国立クウェイト

科学研究所(K I S R)と共同で、魚類の養殖研究、アラ

ビア湾のエビや魚類の生息数の研究なども行なってい

ます。クウェイト政府は、無利子や低金利ローンの提

供、農業用水井戸の掘削許可など、農畜産物の生産奨

励策も実施しています。

現在、農場はクウェイト南部のワフラ、北部のアブダ

リ、中央部のスレイビヤに集中しており、2 0 0 0 / 0 1年度

の農場数は3 , 8 6 8、農業就労者数は1万4 , 5 4 7人でした。就

労者の主な国籍別人数は、ベンガル人が最多で8 , 4 8 2人、

次いでインド人3 , 8 3 0人、パキスタン人9 2 2人、エジプト

人7 4 6人、イラン人2 1 4人の順になっており、クウェイト

人就労者はわずか4 7人です。主な農作物は、トマト、キ

ュウリ、ジャガイモ、ナス、キャベツなどで、2 0 0 0 / 0 1

年度の生鮮野菜の合計生産量は2 0万1 , 8 0 9トン、主要畜

産物の生産量は鶏卵1万6 , 6 4 8トン、家禽肉3万2 , 6 8 9トン、

ミルク3万3 , 2 4 0トンでした。

●水産業

水産資源はクウェイトにとっては重要な天然資源で

す。古くから沿海漁業が盛んに行なわれてきており、タ

イ、ハタ、マナガツオなど2 0種以上の魚やエビが水揚げ

されています。

人口増により、需要は以前から国内漁獲量をはるか

に上回る率で伸びてきたため、現在の自給率はエビを

除き5 0%弱に落ち込んでいます。拡大する需要増に対

処するため、クウェイト政府は、既存漁港の近代化工

事 や 魚 市 場 の 改 装 、 新 設 な ど を 行 な っ て い ま す 。

2 0 0 0 / 0 1年度の漁獲高は、エビが1 , 0 9 1トン、その他魚類

が3,522トンでした。

Kuwait24

農業地帯

ハウス栽培

酪農

小型漁船による漁

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Kuwait 27Kuwait26 Kuwait 27

1 9 6 1年の独立以来、クウェイト政府は国民の福利厚

生に意を尽くした福祉国家としての道を歩んできてお

り、国民は世界でも有数の福祉制度を享受しています。

クウェイトの医療施設は公立、私立ともに非常に充実

しており、初期診療から高度な外科手術にいたるまで、

質の高い医療サービスが提供されています。2 0 0 3年の

データによると、乳児の死亡率は出生児1 , 0 0 0人当たり

9人で、ほぼ先進国並の水準に達しており、また、平均

寿命も76.6歳にまで伸びています。

初期診察と治療は通常、政府が管理・運営している

公立のヘルス・ケアセンター(Health Care Center : HCC)

や私立のクリニックで受け、病状によっては公立・私

立の総合病院でさらに診察してもらうことになります。

国内は5つの医療地域に分かれており、各地域に国立の

総合病院が設置されています。2 0 0 0年現在、国立病院

は、総合病院と心臓や神経外科、産科、伝染病などの

専門病院を合わせ計1 5病院あり、また、ヘルス・ケア

センターは総合診療センター、歯科、母親用、子供用

などの専門センターなど合計2 8 2センターが国内各地に

設立されています。

国立病院とヘルス・ケアセンターにおける医療費は、

クウェイト人、外国人ともに無料でしたが、外国人に

対する一部の診療費が1 9 9 4年から有料になっています。

但し、これら公立医療施設の医師の処方箋に基づき、

同施設内の薬局にて入手する薬剤は無料です。私立の

病院とクリニックの医療費は有料ですが、数も多くよ

く利用されています。2 0 0 0年4月、クウェイト政府は外

国人に対し、健康保険制度への加入を義務付け、同年7

月から健康保険カードの発行を開始しました。保険料

は、一家の主がK D 5 0(約1万 8 , 0 0 0円)、その配偶者が

K D 4 0(約1万 4 , 4 0 0円)、1 8歳以下の子供がK D 3 0(約1

万8 0 0円)となっています。保険期間と居住許可期間は

密接に関連しており、保険料の支払いが行なわれない

場合は居住許可証も更新されません。

クウェイトでは、砂嵐などによる砂塵が原因で、眼

やのど、気管支、耳などに関する疾病が多く見られま

すが、クウェイト固有の伝染病や風土病はありません。

また、外国人がもたらす疾病に対しても完全な防疫体

制が整えられています。

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アル・アミーリー病院

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クウェイトの普通教育課程の就学年数は従来、小学校4

年、中学校4年、高校4年の1 2年間で、1 9 6 7年に制定の義

務教育制度に基づき義務教育は中学校までと定められて

いました。しかし、2 0 0 4年度から義務教育期間が1年間延

長され、その結果、就学年数は、小学校5年、中学校4年、

高校3年に変更されました。クウェイト国民に対する教育

は、公立学校の場合、小学校入学前の4歳から6歳までの

クウェイト人児童の幼稚園も含め、普通教育から大学の

高等教育にいたるまで、授業料および教科書代は原則と

してすべて無料です。これらの学校以外に、身体障害者

用の特別学校や宗教研修所もあります。公立学校は幼稚

園を除きすべて男女別学で、週5日制になっています。

2 0 0 1 / 0 2年度における公立の幼稚園・小・中・高校の

学校数合計は6 3 1校、生徒数は合計3 1万8 , 9 9 2人、教師数

は3万1 , 0 1 8人、また、私立の幼稚園・小・中・高校の学

校数合計は3 5 4校、生徒数は合計1 3万1 , 5 9 7人、教師数は

7 , 5 1 7人でした。国立大学は1 9 6 6年に創設されたクウェ

イト大学1校と「応用教育訓練庁(Public Authority for

Applied Education and Training : PAAET)」管轄の単科大

学(C o l l e g e)が4校あります。2 0 0 1 / 0 2年度第2学期のク

ウェイト大学在籍学生数は合計2万6 , 1 2 9人で、そのうち

2万3 , 6 1 7人がクウェイト人、2 , 5 1 2人が非クウェイト人で

す。また、クウェイト人学生の6 6 . 5%に当たる1万5 , 7 1 5

人が女子学生です。一方、私立の総合大学・単科大学

は、「American University of Kuwait」、「A u s t r a l i a n

U n i v e r s i t y」、「Gulf University for Science and Technology」

など、合計6校が開校しています。

クウェイト政府は職業訓練や技能教育にも力を入れ

ており、上記のP A A E Tがこの部門の担当責任機関にな

っています。PAAETが管理・運営している単科大学は、

(1)基礎教育単科大学(College of Basic Education)、(2)

ビジネス学科単科大学(College of Business Studies)、

(3)保健科学単科大学(College of Health Science)、(4)

技術学科単科大学(College of Technological Studies)の

4校で、主に高卒者を対象とした高等教育および専門的

技術訓練を行なっています。一方、「電気・水」、「テレ

コミュニケーション・航空ナビゲーション」、「産業」、

「医療看護」、「建設」、「職業訓練」の各分野の研修所

(I n s t i t u t e)が7カ所あり、中卒者を主な対象とした訓練

が実施されています。さらにP A A E Tでは、政府省庁と

民間企業の依頼に基づき、従業員用の特別訓練プログ

ラムも実施しています。

クウェイトの公立学校への入学はクウェイト国民と、

同国教育省所属の外国人教師の子女に限定されているた

め、外国人児童のほとんどは出身国が運営している私立

学校やその他の外国人学校に通学しています。日本人学

校は1 9 7 2年に開設され、長年にわたりクウェイト在留邦

人子女の学びの場となっていましたが、1 9 9 0年のイラク

によるクウェイト侵攻後に閉鎖されたまま今日に至って

います。現在は、クウェイト日本人会が運営する「クウ

ェイト補習授業校」にて、日本の文部科学省の学習指導

要領に準拠した国語の授業が小・中学生を対象に週一回

(毎週木曜日)開かれています。場所は、クウェイト市内

ジャブリア地区にある、マリオットホテル所有の家屋で、

学期は4月1日から翌年の3月3 1日まで、授業料は年間

K D 1 3 0(約4万6 , 8 0 0円)です。また、クウェイト人と結婚

している日本人子弟用の日本語学級も併設されています。

外国人学校は、「American School of Kuwait」、「Gulf English

S c h o o l」、「Kuwait English School」、「British School of Kuwait」、

「Kuwait National English School」など数多くあります。授

業料は学校により多少の相違はありますが、一例として

Gulf English Schoolの授業料を別表にまとめてあります。

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公立学校

小学校の休憩時間実験中の生徒

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Kuwait 31Kuwait30 Kuwait 31

クウェイトの主要研究機関としてはクウェイト大学

と国立科学研究所(Kuwait Insti tute for Scientific

Research : KISR)があげられます。クウェイト大学に

は理学部、医学部、法学部など合計1 4の学部があり、

研究活動は基礎研究が中心となっています。

K I S Rは1 9 6 7年に日本のアラビア石油株式会社によっ

て設立されたもので、(1)砂漠農業の開発、(2)アラ

ビア湾の水産資源開発、(3)石油産業、の3分野におけ

る研究活動を目的としていました。設立以降、日本か

ら調査団や研究者が派遣され、砂漠の緑化研究や水産

資源調査、エビ養殖などの研究活動が行なわれてきま

した。1 9 7 3年、首長勅令により、K I S Rはクウェイト閣

僚会議の管轄下に移管され、同勅令にてK I S Rの事業目

的は、国家の経済・社会開発に資する応用科学研究、

特に産業、エネルギー、農業、経済の各分野における

応用科学研究である、と定められました。その後1 9 8 1

年の勅令にてK I S Rは国立機関として独立し、今日に至

っています。なお、この1 9 8 1年の勅令において、K I S R

の目的は、国家産業の振興に役立つ応用科学研究と、

環境保全、天然資源・水資源保護、農業開発技術、水

資源利用促進などに関する研究活動である、と修正さ

れています。現在、K I S Rには研究部門として、「食料

資源・海洋科学部(Food Resources and Marine Science

D i v i s i o n)」、「石油研究・調査センター( P e t r o l e u m

Researches and Studies Center)」、「水資源部(W a t e r

Resources Division)」、「環境・都市開発部(Environment

and Urban Development Division)」、「技術・経済部

(Techno-Economics Division)」の5部門があり、国内各

地に設けられている実験場や付属施設などで各種研究

活動が実施されています。これら活動に加え、K I S Rは

日本を含めた海外の研究機関と共同で、砂漠緑化技術、

海洋汚染、マングローブ生態環境、海水淡水化技術、

工業汚染など多くの分野に関する国際会議やシンポジ

ウムを開催しています。 K I S Rと日本は、クウェイトの

汚染土壌の浄化や原油回収率向上技術などに関し共同

研究を行なうなど、緊密な協力関係を続けています。

クウェイトは経済・産業開発から生じる大気、土壌、

海洋の汚染、廃棄物、廃水汚染など様々な環境汚染問

題を抱えており、政府をはじめK I S Rやクウェイト環境

ボランティア協会、クウェイト環境保護協会などが汚

染の防止に努めてきています。1 9 9 0 / 0 1年の湾岸危機・

戦争がもたらした甚大な大気・海洋・土壌汚染被害を

契機として、クウェイト政府は環境汚染防止対策の強

化に乗り出し、1 9 9 6年に環境問題を担当する、「環境庁

(Environment Public Authority : EPA)」を新設しました。

関係省庁の大臣、長官から組織された「最高環境会議」

が環境問題に関する最高意思決定機関であり、E P Aの

主な責務は、環境保護政策の策定とアクションプラン

の作成・実施・監視、環境保護活動の監督、汚染物質

の特定と環境基準の設定、環境問題研究の指導・支援、

環境汚染と環境悪化により生じた問題の特定など、広

範囲にわたっています。一方、日本政府は湾岸戦争で

汚染されたアラビア湾や大気汚染の問題に戦争終結後

の早い段階から取り組むとともに、廃棄物処理問題や

砂漠の緑化対策など、クウェイトの環境改善のため、

クウェイト政府に協力を提供してきました。こうした

日本側の協力に拍車をかけたのが2 0 0 1年8月にクウェイ

ト湾で発生したボラの大量死事件で、日本政府はクウ

ェイト湾の浄化プロジェクトへの協力をいち早く表明

しています。また、環境汚染問題への協力促進のため、

日本・クウェイト民間合同委員会に両国共同の環境問

題分科会も設置されました。数次にわたる会議やクウ

ェイトの現地調査を経た後、日本側はクウェイトが重

点分野として提示していた(1)大気汚染、(2)廃棄物

処理、(3)廃水処理の3分野で実施する具体的な6プロ

ジェクト案と環境政策マスタープランを作成しました。

2 0 0 4年1 1月、環境協力に関する覚書が両国政府代表に

よって署名され、また、環境政策マスタープランがク

ウェイト側に提出されました。日本の協力により、ク

ウェイトの環境問題が早期に克服されることが期待さ

れています。

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水質調査(K I S R)

太陽エネルギーの利用実験(K I S R) 各種実験室

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クウェイトの全人口は約2 7 5万人(2 0 0 4年末)で、そ

のうちクウェイト人は9 6万人弱(全体の3 4 . 7%)です。

クウェイト市と近郊のファルワーニーヤの両地区だけ

で全人口の約4 3%に当たる1 1 7万人が住んでいます。市

の中心街には官庁、銀行、ショッピングセンター、ホ

テルなどの近代的ビルが林立しており、数多くの車と

様々な人種の人々が行き交っています。

●言 語

クウェイトの公用語はアラビア語ですので、政府省庁

との公式通信文書や書類はすべてアラビア語で記載され

ています。外国企業の就業規則や雇用契約などもアラビ

ア語の使用が義務付けられていますが、英語など他の言

語による翻訳文の添付はできます。但し、両言語による

文書の内容に解釈の違いが生じた場合は、アラビア語が

常に優先されます。クウェイト社会では英語がアラビア

語に次ぐ第2の言語と位置付けられていますので、政府

省庁などの公的機関やビジネス社会において広く通用し

ています。海外留学の経験者や高等教育を受けたクウェ

イト人の多くが英語に精通しています。

●勤務時間

イスラム教を国教としているため、金曜日が週休日で、

1週間は土曜日から始まります。官庁や民間企業、商店

の勤務時間は概ね別表の通りですが、ラマダン月(断食

月)の1カ月間は勤務時間が通常、2時間短縮されます。

●祝祭日

祝祭日は別表の通りですが、イスラム暦は西暦より

通常、1 1日短いため、イスラムの宗教行事に準拠して

いる祭日の西暦対応月日は毎年変動します。

●現地時間

GMTに3時間プラス(日本時間とは6時間マイナス)

● 通 貨

外貨と現地通貨のクウェイト・ディナールは銀行や

両替商で自由に交換することができます。

通貨単位:クウェイト・ディナール(KD)

1ディナール=1,000フィルス(fils)

為替レート:US$1=KD 0.291(2005年2月現在)

1ディナール=約360円

●オフィス賃借料

ビジネス街のオフィス賃借料の目安は1平方メートル当

り月額でKD 5.00~KD 8.50(約1 , 8 0 0円~3 , 0 6 0円)位です。

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クウェイトタワー

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Crowne Plaza Hotel

クウェイト市内には5つ星ホテルのシェラトンやマリ

オットなどの高級ホテルからビジネスホテルまで数多

くあります。近年、ホテルの建設ブームが続いており、

現在も多くのホテルの新設工事が行なわれています。

高級ホテルには、ヨーロッパ、中国、日本、韓国など

世界各国の料理を楽しめるレストラン、テニスコート、

室内プール、ヘルスクラブ、ショッピングモールなど

が併設されています。客室の設備もよく整っており、

また、サービスもおおむね国際水準を満たしています

ので、宿泊客は快適なひと時を過ごすことができます。

宿泊料金はクウェイトホテル協会が星の数に基づき

おおむね設定していますが(別表)、多くのホテルは空

港送迎サービス・朝食付きで、長期滞在割引や顧客割

引などのサービスも実施しています。

JW Marriott Hotel Kuwait

Safir International Kuwait

Kuwait Continental Hotel

Sheraton Kuwait Hotel & Towers

Sheraton Kuwait Hotel and Towers

Le Meridien Tower Kuwait Ritz Hotels

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●食 事

主要ホテル内の一流レストランをはじめ、クウェイ

ト市内には数多くのレストランがあります。住民1人当

たりのレストラン数は世界で最も多いと言われており、

各人の好みと予算に応じたいろいろな料理を楽しむこ

とができます。レバノンやエジプトなどのアラブ料理、

イタリア、フランスの西欧料理、日本、中国、韓国、

タイ、インドのアジア料理など、世界各国の料理店が

あります。クウェイトは水産資源に恵まれているため、

新鮮な魚介類を素材としたシーフードのレストランも

あります。店内の雰囲気も良く、質の高い料理を楽し

むことができますが、アルコール飲料は禁止されてい

ますので、お酒を味わうことはできません。また、市

内のあちこちにサンドイッチ店や持ち帰り用の料理販

売店もあります。

日本料理店は、湾岸戦争以降の邦人駐在員・家族の減

少にもかかわらず、最近では増加の傾向にあります。日

本人コックのいる、慶(マリオットホテル内)とその姉

妹店のKei at Marina(マリナ・モール)および江戸、そ

の他にS A K U R A(Crowne Plazaホテル内)と昨年開店し

た店が3軒(神風、わさび、寿司クラブ)あります。さ

らに市内には回転寿司屋なども営業していますので、料

金は高いものの、日本料理を楽しむことができます。

●買い物

クウェイトにはヨーロッパに引けを取らない超モダン

なショッピングモールをはじめ小規模な商店、アラブの

スーク(市場)など様々な種類の店が混在していますの

で、高級ブランド品から食料品、日用雑貨にいたるまで、

すべての生活必需品を手に入れることができます。

市内各地域にはコープが運営する大規模なスーパー

マーケットがあり、米、野菜などの食料品類やその他

日常品を購入することができるほか、おもちゃ、家具、

香水など多種類の品々を豊富に揃えている店もありま

す。また、近代的な建物の魚市場がありますので、新

鮮な魚介類を入手することもできます。インド人やフ

ィリピン人、タイ人などの外国人居住地区には、それ

ぞれの国の食品や品物を販売する小規模なスーパーも

数多くあります。

さらに、金製品やスパイス、豆類、じゅうたん、ア

ラビア服などの専門店が集まるアラブのスーク(市場)

や、中古家具、服、骨とう品、家畜などを売るフライ

デイ・マーケットもありますので、多種多様な買い物

を楽しむことができます。

日本食品は大手高級スーパーマーケット、スルタ

ン・センター内のオリエント・フード・コーナーで醤

油などを買うことができますが、価格は概ね日本の2~

3倍くらいです。カリフォルニア米の「錦」の価格は

2 . 5キロ、K D 1 . 9 9(約7 1 6円)ですので、日本米と比べ

るとやすい値段です。

日本の「1 0 0円ショップ」に相当する店がクウェイト

に進出しています。「Half Dinar Shop」という名称で、

商品の価格は名前の通りすべてディナールの半分、5 0 0

フィルス(約1 8 0円)です。販売されている全商品は日

本の1 0 0円ショップと同じ物で、日本から取り寄せられ

ており、売れ行きは好調なようです。食料品は販売許

可がまだ下りていないため、取り扱われていません。

●娯 楽

クウェイトは美しい海に面していますので、水泳、

ヨット、ウインドサーフィン、水上スキー、スキュー

バ・ダイビング、沖釣りなどを楽しめるほか、テニス、

スカッシュ、サッカーなどの陸上スポーツ施設やアイ

ス・スケート場、ボーリング場などの室内遊戯施設も

整っています。ゴルフ場もあります。芝生ではなく砂

土のコースですが、現在、芝コースのゴルフ場の建設

工事が進捗中です。子供も大人も楽しめる、「娯楽都市

(City of Entertainment)」という名の大規模テーマパー

クや遊園地、アクア・パーク、動物園もあります。主

な観光スポットは、クウェイト国立博物館、教育科学

博物館、サドゥ・ハウス、クウェイトタワー、アラブ

のダウ船建造所、科学センターなどです。また、市内

には映画館が2 0館あり、アラブ、インド、香港、アメ

リカ映画などが上映されています。

●外国人用住宅

在留外国人ビジネスマンとその家族は一般的にはコ

ンパウンド形式のフラット(アパート)や一戸建ての

ヴィラに居住しています。コンパウンド内にはプール

やテニスコートがあり、レストランを併設していると

ころもあります。立地や家具付などの条件により、家

賃は相違しますが、目安は次の通りです。

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近代的なショッピングセンター(Laila Gallery)

魚市場 金スーク

スーパーマーケット


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