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第 79 回日本感染症学会総会 教育セミナー 3 Febrile Neutropenia 診療の現状と課題 福岡大学内科学第一 Key words : fever, neutropenia, antimicrobial, risk はじめに 好中球は細菌をはじめとする異物が体内に侵入した とき第 1 戦の防御機構として働く血球である.した がってその絶対数の減少は易感染状態をもたらす.好 中 球 数 が 1,000! µLをきると発熱する頻度が増し, 500! µL以下ではさらに増加,100! µL以下では発熱, 感染症は必発である .がん診療に重きをおく領域で は,手術療法ばかりでなくがん薬物療法(抗がん剤), 放射線照射が確立してきた 1970 年代より好中球減少 に伴う発熱は経験する機会の多い合併症となり,その 対策は重要な支持療法の一つとなった.本病態は多く の場合起因菌を含め原因が不明であるが,時に重篤な 細菌感染に発展し致死的となることがある一方で,広 域の抗菌薬の投与により改善することが知られてい た.そ の 後 ベ ル ギ ー の Klastersky 等 の 努 力 に よ り Febrile neutropenia(FN)として経験的な抗菌薬の 治療が必要な病態,すなわち感染症の一つとして取り 扱うべきであることが提唱された.米国では感染症学 会(The Infectious Diseases Society of America, IDSA)を中心に 1990 年に FN のマネージメントに対 する最初のガイドラインが作成され ,その後 2 回改 訂が行われた .日本では 1998 年に正岡らがはじめ て FN ガイドラインを作成し ,それを検証する日本 での研究結果 から第 4 世代セフェムであるセフェピ ムが「発熱性好中球減少症」の保険病名のもと保険診 療が認められるにいたった.すなわち厚生労働省が本 病名を一つの疾患単位として認知したことを意味す る.それまでは保険診療上「敗血症あるいは菌血症う たがい」として抗菌薬を使用し,感染症専門家からは 研究対象として必ずしも認知されてこなかった経緯が ある.2004 年 Febrile neutropenia に対し ICD10 コー ド(D70,傷病名コード 8842350,病名交換用コード QNB9)が与えられ,FN が疾患名としてその地位を 世界的に確立した. Febrile neutropeniaFN,発熱性好中球減少症)の 定義 欧米では口腔内温(あるいは好中球正常例では直腸 温)が使用されるが,日本では腋窩温が一般的で,前 者が 0.3~0.5℃ 高い.したがって IDSA の FN 定義で は,1 回の検温で口腔温 38.3℃ 以上または 38℃ が 1 時間以上持続するときに意義のある発熱としている が,日本では好中球数が 500! µL未満あるいは 1,000! µL未満で 500! µL未満になる可能性がある状況下で, 1 回の腋窩温で 37.5℃ 以上(口腔内温≧38℃)の発熱 が生じ,薬剤熱,腫瘍熱,膠原病,アレルギーなどの 発熱の原因が除外できる場合をFNと定義してい .急性白血病をはじめとする造血器疾患や固形癌 に対する強力な化学療法,放射線療法,造血幹細胞移 植に伴う好中球減少は,しばしば不快な発熱を伴い, 重症化し致死的なることもまれではない.その他,先 天性・特発性・免疫性好中球減少,リンパ腫・ウィル ス感染による血球貪食症候群,抗甲状腺薬などの薬剤 や重症感染症に伴う好中球減少で FN が発生する.本 稿では遭遇する機会の多い血液・腫瘍患者の治療経過 中に経験する FN について主としてまとめてみたい. FN の原因 リンパ腫,白血病患者を含む化学療法経過中に経験 する FN では血液培養陽性率は 10% 以下で,口内炎 や肺炎のような臨床的に感染症があきらかなものが 10~20%,原因不明の発熱(FUO)が 70~80% であ (Fig. 1).その中でも後述する重篤な感染症を きたす可能性の低い低リスク FN では,起因菌が同定 されることは極めて少なく,日本急性白血病研究グ ループ(JALSG)による急性骨髄性白血病(AML) 治療の経過中に経験する高リスク FN では,それぞれ 22%,34%,44% であり,菌の検出率が高く,一定 の率で感染死が認められる .FUO は経験的な抗菌薬 使用(empiric therapy)により 60~70% が改善する ことから,FN の大半は何らかの細菌感染症によるも のと考えられる.造血器悪性疾患にみられる FN で血 別刷請求先:(〒8140180)福岡市城南区七隈7 丁目 45―1 福岡大学内科学第一 田村 和夫 感染症学雑誌 第80巻 第4号 358
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第 79回日本感染症学会総会 教育セミナー 3

Febrile Neutropenia 診療の現状と課題

福岡大学内科学第一

田 村 和 夫

Key words : fever, neutropenia, antimicrobial, risk

はじめに好中球は細菌をはじめとする異物が体内に侵入した

とき第 1 戦の防御機構として働く血球である.したがってその絶対数の減少は易感染状態をもたらす.好中球数が 1,000�µLをきると発熱する頻度が増し,500�µL以下ではさらに増加,100�µL以下では発熱,感染症は必発である1).がん診療に重きをおく領域では,手術療法ばかりでなくがん薬物療法(抗がん剤),放射線照射が確立してきた 1970 年代より好中球減少に伴う発熱は経験する機会の多い合併症となり,その対策は重要な支持療法の一つとなった.本病態は多くの場合起因菌を含め原因が不明であるが,時に重篤な細菌感染に発展し致死的となることがある一方で,広域の抗菌薬の投与により改善することが知られていた.その後ベルギーの Klastersky 等の努力によりFebrile neutropenia(FN)として経験的な抗菌薬の治療が必要な病態,すなわち感染症の一つとして取り扱うべきであることが提唱された.米国では感染症学会(The Infectious Diseases Society of America,IDSA)を中心に 1990 年に FN のマネージメントに対する最初のガイドラインが作成され2),その後 2 回改訂が行われた3)4).日本では 1998 年に正岡らがはじめて FN ガイドラインを作成し5),それを検証する日本での研究結果6)7)から第 4 世代セフェムであるセフェピムが「発熱性好中球減少症」の保険病名のもと保険診療が認められるにいたった.すなわち厚生労働省が本病名を一つの疾患単位として認知したことを意味する.それまでは保険診療上「敗血症あるいは菌血症うたがい」として抗菌薬を使用し,感染症専門家からは研究対象として必ずしも認知されてこなかった経緯がある.2004 年 Febrile neutropenia に対し ICD10 コード(D70,傷病名コード 8842350,病名交換用コードQNB9)が与えられ,FN が疾患名としてその地位を世界的に確立した.

Febrile neutropenia(FN,発熱性好中球減少症)の定義

欧米では口腔内温(あるいは好中球正常例では直腸温)が使用されるが,日本では腋窩温が一般的で,前者が 0.3~0.5℃ 高い.したがって IDSA の FN 定義では,1 回の検温で口腔温 38.3℃ 以上または 38℃ が 1時間以上持続するときに意義のある発熱としている4)

が,日本では好中球数が 500�µL未満あるいは 1,000�µL未満で 500�µL未満になる可能性がある状況下で,1 回の腋窩温で 37.5℃ 以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ,薬剤熱,腫瘍熱,膠原病,アレルギーなどの発熱の原因が除外できる場合を FN と定義している5).急性白血病をはじめとする造血器疾患や固形癌に対する強力な化学療法,放射線療法,造血幹細胞移植に伴う好中球減少は,しばしば不快な発熱を伴い,重症化し致死的なることもまれではない.その他,先天性・特発性・免疫性好中球減少,リンパ腫・ウィルス感染による血球貪食症候群,抗甲状腺薬などの薬剤や重症感染症に伴う好中球減少で FN が発生する.本稿では遭遇する機会の多い血液・腫瘍患者の治療経過中に経験する FN について主としてまとめてみたい.

FNの原因リンパ腫,白血病患者を含む化学療法経過中に経験

する FN では血液培養陽性率は 10% 以下で,口内炎や肺炎のような臨床的に感染症があきらかなものが10~20%,原因不明の発熱(FUO)が 70~80% である6)7)(Fig. 1).その中でも後述する重篤な感染症をきたす可能性の低い低リスク FN では,起因菌が同定されることは極めて少なく,日本急性白血病研究グループ(JALSG)による急性骨髄性白血病(AML)治療の経過中に経験する高リスク FN では,それぞれ22%,34%,44% であり,菌の検出率が高く,一定の率で感染死が認められる8).FUO は経験的な抗菌薬使用(empiric therapy)により 60~70% が改善することから,FN の大半は何らかの細菌感染症によるものと考えられる.造血器悪性疾患にみられる FN で血

総 説

別刷請求先:(〒814―0180)福岡市城南区七隈7 丁目 45―1福岡大学内科学第一 田村 和夫

感染症学雑誌 第80巻 第 4 号

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Fig. 1 Febrile neutropeniaの定義と発熱の原因

液から分離される菌の多くは,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌であり 60~70%を占める9).JALSG の最近の研究でも同様の傾向がみられる.造血器疾患,特に悪性疾患の治療にあたっては中心静脈カテーテルが挿入され,輸液・栄養管理,輸血,抗菌薬投与のため長期間使用される.皮膚に常在するグラム陽性菌はカテーテル挿入部を介して,皮下トンネル感染や血流感染を起こす.また好中球減少が長期におよぶことが予測される場合には,発熱前より予防的に経口抗菌薬を使用していることが,グラム陽性菌の検出率増加の一要因になっている10)(Table1).その他大量シタラビン等の強力な化学療法による粘膜障害もその一因と考えられている.一方,予後の悪い緑膿菌等のグラム陰性桿菌が 10~20% と一定の割合で検出されることを確認する必要があり8)9)11),国外では近年ふたたびグラム陰性桿菌が増加してきているとの報告もある(私信:Klastersky)(Table 2).また嫌気性菌による敗血症は 5% 未満ではあるが念頭においておく.最終的には,各施設や病棟によって分離菌,薬剤感受性が異なるので定期的なサーベイランスと院内感染対策が重要である.

起因菌と予後との関係では一般に,グラム陰性桿菌敗血症ではエンドトキシンショックをしばしば伴い死亡率が高く,グラム陽性菌の死亡率は低いとされる.近年分離菌としてよく遭遇するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含むグラム陽性菌は vancomycin 等の特定の薬剤開始が遅れても最終的な治療成績に影響が少ない.しかし,黄色ブドウ球菌,viridans streptococcus,肺炎球菌は重症化する例があり治療開始が遅れてはならない12)13).一方,JALSG の研究では,87 年,89 年プロトコールによる治療で敗血症合併例の死亡率は25% を越えていたが,その後の研究では徐々に下がり,97 年のそれは 10% 以下となっている.またグラム陽性菌,陰性菌いずれの死亡率も全期間では 15%前後で差がない.分離菌数は少ないが前述の日本の前向き研究でも差は出ていない6)7).しかし肺炎ではグラム陰性菌 44%,陽性菌 24% と陰性菌で死亡率が高い傾向がある14).一般に好中球が減少した状態では,臓

器や組織の炎症所見が乏しいと言われるが,肺炎を含め広範囲の炎症を認めることも稀ではなく死亡率は高い13).

初期の対応―診察と検査―FN は,時として重篤な転帰をとるので,適切な診

察・検査の後,速やかな経験的な抗菌薬投与の開始が不可欠である.

まず,問診にて発熱と共に出現した疼痛,発赤,腫脹など局所症状を把握する.口腔・鼻腔粘膜,肛門などの体外に直接通じているところや臀部など衣服に隠れている皮膚など見落としやすい箇所を診察する.

血算,白血球分類,検尿(尿沈渣検査を含む),生化学,C-reactive protein(CRP),胸部 X 線写真(胸写),血液培養,炎症のある部位からの検体採取とグラム染色,適切な培養を行う.腹部症状のある患者は腹部超音波検査,胸写に異常がなく呼吸器症状のある場合は,高解像度 computed tomography(CT)検査がすすめられる.血液培養は好気性・嫌気性培養ボトル各 1 本を 1 セットとして時間と場所をかえて 2 セット行うことが勧められている.特にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が出た場合,1 セットのみの血液培養陽性はコンタミネーションの可能性が高いことが知られている.中心静脈カテーテルが設置されていてカテーテルから血液採取・培養を実施する場合は,末梢静脈からも 1 セット血液培養をする15).また血液量にして計20ml以上を培養に使用することが望ましい.

FNマネージメントガイドラインと治療成績1960 年代から FN に対しすぐれた多くの治療研究

がなされてきた.原疾患の治療と起因菌の変遷,すぐれ た 抗 菌 薬 の 開 発,顆 粒 球 増 殖 因 子(colony-stimulating factor,G-CSF)の臨床応用,抗菌薬の用法・用量の工夫,耐性菌に対する研究,宿主である患者の全身管理の改善が感染死の減少に寄与してきたが,多くの問題も残されている.IDSA はこれらの結果をふまえ 1990 年に最初の FN 時のマネージメントを提唱し,1997 年に改定,2 回目のガイドラインを作成した2)~4).1998 年日本でも正岡らが中心になって日本の現状に則したガイドラインを作成した5).すなわち FN の初期治療としてセフェピムあるいはカルバペネムを単剤で使用するかそれらにアミノグリコシドを併用する.72 時間後に判定し,無効な場合にはアミノグリコシドの追加あるいは抗菌薬の変更を,有効の場合にはあと数日間同薬を継続し中止するというものである.本ガイドラインを検証するために 2 つの臨床試験が実施され,3 日目までに解熱効果で 39%,解熱傾向+症状改善で 63% の奏効率が得られ,7 日目までには 70% の症例で解熱し,本ガイドラインの妥当性が確認された6)7).

平成18年 7 月20日

359Febrile Neutropenia 診療の現状と課題

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Table 1 抗菌薬予防的投与とFebrile neutropeniaの起因菌との関係

抗菌薬予防投与患者の率が上がるほど分離菌としてグラム陽性菌が増加する.

CordonnierDel FaveroFeldWinston起因菌

CID36:149, 2003CID33:1295, 2001JCO18:3690, 2000CID32:381, 2001

予防的抗菌薬投与(%) 無し 40% 90% あり 

グラム陽性菌 127(44.4) 41(44.1) 166(66.1) 112(67.1)

14( 8.4) 14( 5.6) 2( 2.2) 14( 4.9)黄色ブ菌

52(31.1)110(43.8)11(11.8) 44(15.4)CNS

34(20.4) 31(12.4)26(28.0) 41(14.3)連鎖球菌属

6( 3.6) 5( 2.0) 1( 1.1) 14( 4.9)腸球菌属

その他 14( 4.9) 1( 1.1) 6( 2.4) 6( 3.6)

55(32.9) 85(33.9)52(55.9)159(55.6)グラム陰性菌

30(18.0) 41(16.3)20(21.5) 63(22.0)大腸菌

― 4( 1.6)13(14.0) 39(13.6)クレブシエラ属

13( 7.8) 24( 9.6) 6( 6.5) 5( 1.7)緑膿菌

12( 7.2) 16( 6.4) 13(14.0) 52(18.2)その他

167 251 93 286 計

(文献10を改変)

Table 2 菌血症分離菌の推移(EORTC研究)

European Organization for Radiation Therapy and Chemotherapy(EORTC)の癌に対する治療とFebrile neutropenia時

の菌血症分離菌の推移.1994年まではグラム陽性菌の検出率が増加していたが,1997年~2001年では再びグラム陰性菌

が増加する傾向がみられる.

XIVXIVIVIIIIII1997-20011993-941986-881983-861980-831978-801973-78

Single-organism

170/598199/958213/749219/872141/582115/419145/453Bacteraemias

(29)(21)(28)(25)(24)(27)(32)Bactereaemias(%)

Gram-negative

91(53)61(31)78(37)129(59)85(59)74(64)103(71)Bacteraemias(%total)

41304563383346E. coli

10 81434231818P. aeruginosa

Gram-positive

79(47)138(69)135(63)90(41)58(41)37(36)42(29)Bacteraemias(%total)

13112026141028S. aureus

3475492124 9 5CNS

―― 4 6 4 6 5S. pneumoniae

3039463514 0 0Other streptococci

―1316 3 212 4Other Gram-positive

(私信,Klastersky)

これらの試験結果を含め 1998 年以降蓄積されたFN に関する情報を検討し,また 2002 年に出された米国感染症学会の改定ガイドライン4)を参考に,2003年にコンセンサス会議を開催し改訂日本版を作成した16).このガイドラインでは次項で述べるリスク分類をとりいれ,より現実的で合理的な FN のマネージメントを提唱している.

最近 FN 治療研究のまとめやメタ解析の結果があいついで報告されているので参考にしてほしい17)~19).

FN患者の重症化リスクFN をきたした患者を診療する中で短期間に改善す

る症例をしばしば経験する.すなわち好中球数,その期間,静脈カテーテル感染,悪性腫瘍の状態,臓器障

害の有無から予後良好群が推測できる(Table 3).Klastersky らは FN をきたした患者が重症化するかどうかの危険因子と予測のためのスコアリング(Mul-tinational Association of Supportive Care in Can-cer,MASCC スコア)を提唱した20)(Table 4).症状の重症度からスコアを一つと当該患者に合致する他の 6 項目のスコアを合わせる.もっとも高得点は 26点であり,21 点以上は重篤な感染症を発症する可能性が 5% 以下で低リスク群,20 点以下を高リスク群として対処する.

治療ガイドライン必要な診察と検査を実施したのち培養結果を待たず

治療を開始することが肝要である.2004 年の改訂ガ

感染症学雑誌 第80巻 第 4 号

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Table 3 好中球減少時重症感染リスクの低い因子

単球数≧100/μL好中球数≧100/μL

10日以内に好中球減少回復好中球減少<7日

悪性腫瘍寛解状態早期骨機能回復の兆し

重篤感がない最高体温<39℃

腹痛がない神経学的・精神的異常なし

静脈カテーテル感染なし嘔吐,下痢なし

肝腎機能ほぼ正常正常胸写所見

肺炎・深部臓器感染症なしショック,低酸素血症なし

(文献4より改変)

Table 4 MASCCスコア

重篤な感染症に移行する危険因子7個について,それぞれの

因子に与えられた点数を加える.すべての因子が当該患者に

当てはまるとすると26点となる.21点以上は低リスク群と

なり,20点以下は高リスク群として対処することを薦める.

ポイント危険因子

病状(次の中から1つ選ぶ)

5症状なし

5軽度の症状

3中等度の症状

5低血圧なし

4慢性閉塞性肺疾患なし

4固形腫瘍/真菌感染既往なし

3脱水なし

3発熱時外来

260歳未満

合計点数

イドラインを紹介する形で FN 治療の概要を説明する16).

1.初期の治療(Fig. 2)1)低リスク群低リスク群に対する経口薬の有用性は,ofloxacin

経口単剤21)あるいは経口 ciprofloxacin と amoxicillin-clavulanate 併用と広域セフェム+アミノグリコシド薬併用22)23)との比較検討でその同等性が確認されている.経口薬による治療では胃腸障害が多いことを除き,有効性,死亡率について差はなかった24).治療開始後 3~5 日後に判定するが,通常 1~3 日で解熱するので,状態が安定していて再発熱がなければ数日間抗菌薬を続けて中止する.患者の多くは状態が良好で外来での治療が可能である.医療者側は 24 時間緊急対応がとれる体制を整え,高熱(≧39℃)の持続,腹痛・咳嗽などの臓器症状が出現した場合は,すぐ来院するように指導する.

2)高リスク群全身状態の悪い例,好中球減少が長期に持続する可

能性のある患者や MASCC スコアが 20 以下では,第4 世代セフェムまたはカルバペネム静注単独か,それらとアミノグリコシド系薬剤の併用がすすめられる.前 者 で は piperacillin-tazobactam,cefepime,mero-penem,imipenem-cilastatin 等が推奨される17)~19).ただ piperacillin-tazobactam は日本での用法・用量での臨床経験が乏しいので検討が必要である.一方アミノグリコシド薬のかわりに ciprofloxacin 静注も考慮される25).薬剤量,投与スケジュールは保険適用の用法・用量に準じて使用し十分な効果が得られるが,緑膿菌などグラム陰性桿菌を考慮すると保険適用範囲内で使用できる最も高用量の使用をすすめる.

2.初期治療に反応しない場合高・低リスクを問わず,適切な抗菌薬を投与したに

もかかわらず 3~5 日以上熱が続き,状態の改善がみられない時は,血算,生化学検査,CRP,必要な画像検査,培養,β-D-glucan,galactomannan などの真菌の血清学的検査を実施した後,経口薬投与例は高リスク群の単剤または併用抗菌薬の静脈内投与を開始す

る.高リスク群で静注抗菌薬を開始した例では,原因微生物が分かれば感受性のある抗菌薬を開始する.ただし好中球減少が続いている場合は複数菌が関与している場合もあるので,広域の抗菌薬は継続して使用する.起因菌が分離されるのは 10% 前後の例で,残りは不明なので静注薬単剤で開始した症例ではアミノグリコシドを加え,アミノグリコシドを併用している例では β-ラクタム薬の変更を考慮し,また他のアミノグリコシドかシプロキサン静注薬への変更を考慮する.

ただ解熱がみられなくても全身状態の良い例は,初期治療薬をそのまま継続することも可能であることが2004 年のガイドラインでは付け加えられた.抗菌薬を追加・変更した後 48 時間経過しても改善がみられないときは,抗真菌薬を追加する.

3.初期治療に奏効している場合解熱傾向があり状態が改善している場合で起因菌が

分かれば感受性抗菌薬を追加する.起因菌が判明しても初期治療開始 3~5 日で解熱しているので,感受性抗菌薬に変更することなく同じ薬剤をさらに数日継続することも考慮される.少なくともトータル 7 日間抗菌薬を投与する.一方,解熱し,状態が安定していて好中球数が 500�µL以上に回復している場合は抗菌薬を速やかに中止してよい.

4.治療期間骨髄機能が回復し解熱,全身状態が改善すれば前述

の通りであるが,これ以外の状況での中止時期は種々の要因を考慮しなければならないため症例ごとの検討が必要となる.基本的には IDSA のガイドラインに沿って検討する4).

好中球数≧500�µLにもかかわらず解熱してこない例は膿瘍形成や細菌性心内膜炎の合併,真菌,ウイルス感染症,薬剤熱,腫瘍熱等を考慮して検討・対処す

平成18年 7 月20日

361Febrile Neutropenia 診療の現状と課題

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Fig. 2 日本の2004年Febrile neutropeniaガイドライン―初期マネージメント

 好中球数減少に伴う発熱が見られる患者は,適切な検査・培養を実施した後,Table 4から高・低リスク群

に分け,前者は静注広域抗菌薬を後者は経口または単剤の静注広域抗菌薬を使用する.

る.好中球数が回復してこない場合は意見が分かれる.好中球が 500�µL以上に回復するまで抗菌薬を続けることをすすめる考えもあるが,副作用や菌交代現象が問題となる.粘膜障害がなく状態の安定している低リスク群では解熱していれば,好中球減少が続いていても 5~7 日間治療して中止する.一方好中球減少が強く,粘膜障害があり不安定な患者では最低 2 週間広域の抗菌薬を継続し,観察を十分することを前提に中止してみる.

FNマネージメントの進歩による死亡率の低下1960 年代 FN の死亡率はきわめて高く,好中球数<

100�µLが長期間続く例の感染症は 80% の致死率であった.広域の抗菌薬の開発と経験的治療の導入,さらにガイドラインの普及により感染死は減少し 10%以下となった14).一方リスク分類の導入は,低リスク群での強力な静注抗菌薬の使用が減り,重篤な副作用の軽減や医療経済的なメリットが考えられる.日本では現在 levofloxacin 経口薬の有用性について検討を始めたところである.耐性菌,特にMethicillin-resistant staphylococcus

aureus(MRSA)の対応についてMRSA は一般病棟,集中治療室,慢性型高齢者収

容施設を問わず保菌者を含めると検出率は低くない.そういった中で FN が発生したときの対応は,日本では 1998 年ガイドラインでも 2004 年改訂版でも抗MRSA 薬の慎重投与をすすめている.一方,米国感染症学会のガイドラインでは,疑わしい場合は早期より抗 MRSA 薬を使用することになっている.前述の日本の FN に関する 2 つ臨床研究では,MRSA はそ

れほど大きな問題とはなっていない6)7).しかし,各施設・病棟の分離菌の情報から MRSA の検出率が高く,状態の改善がなくグラム陽性菌が検出された時にはグリコペプチドの開始がすすめられる.ただ耐性菌が検出されてから開始しても遅くはないというメタ解析の結果から慎重な対応が望ましい26).さらにメタロβ ラクタマーゼ産生や ESBL 産生の多剤耐性グラム陰性桿菌の検出頻度が増加する傾向にあり,バンコマイシン耐性腸球菌の分離も散発的に報告されている.今後その感染対策を熟知し専門チームと協力して対応する必要がある.

予防的抗菌薬投与について長期間にわたる好中球減少が予想される,あるいは

無症状ではあるが好中球減少が持続している状態において,感染症の発生あるいは重篤化を予防するために経口抗菌薬がしばしば使用される.感染症の発現は減少することは確認されたが,耐性菌発現の助長や生命予後に影響をおよぼさないという研究結果から,長くその使用については慎重な姿勢がとられた.実際もっとも最近出された 2002 年 IDSA ガイドライン4)でもルーチンとしての使用は推奨しない.最近報告された2 つの大規模臨床試験では,やはり全体の死亡率に差はみられず,levofloxacin 経口薬の予防的投与をしない群と比較し FN の発生率が,それぞれ 10.8% vs15.2%(P=0.01)27),65% vs 85%(P=0.001)であった28).予防的投与はすでに多くの施設で実施されており,それを検証した形となっている.今後さらにニューキノロン薬による予防的投与が検討,一般化していく可能性がある.

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抗真菌薬の位置づけFN で遭遇する機会の多い真菌はカンジダである.

一方重篤な好中球減少が長期にわたる場合はアスペルギルス感染が問題となる.一般に Grade3,4 の重篤な好中球減少が 1 週間以上持続した場合や,造血幹細胞移植後や免疫抑制薬を併用しているため長期の免疫抑制状態にある場合は真菌症の発生リスクが上昇する.高リスク群の一部に十分な抗菌薬投与にもかかわらず反応せず,抗真菌薬の追加によって改善する例がみられる.したがって FN の治療経過中,上記抗菌薬を 1 週間以上使用しても解熱せず状態の改善がみられないときは,経験的な抗真菌薬の投与が行われる29).β-D-グルカン,アスペルギルスガラクトマンナン・カンジダマンナン抗原などの真菌に対する血清検査や培養結果をもとに,すでにアゾール系薬剤を予防的に使用している場合は,amphotericin B や micafunginを,予防的投与がなされていない場合は fluconazoleまたは itraconazole を経験的に使用する.画像診断でHalo サインなどからアルペルギルス感染を強く疑うときは,第 1 選択薬の voriconazole が標的治療薬として考慮される30).

予防的投与に関しては,急性白血病寛解導入療法や造血幹細胞移植を実施する例ではアゾール系薬剤,mi-cafungin による予防的抗真菌薬の投与が推奨される31)~33).

今後 β-D-グルカン,アスペルギルスやカンジダ抗原等の真菌に対する血清検査,真菌遺伝子検査がルーチンに検討され,早期推定治療 early presumptivetherapy という概念が導入・定着していくと,高価で毒性のある抗真菌薬の経験的治療が不要な一群を選択・除外できる可能性がある.今後これらの補助診断技術の確立が望まれる.

抗ウィルス薬FN 一般診療の中でウィルス感染症は問題にならな

いことが多く,予防的投与は推奨されていない3).ただ造血幹細胞移植では,単純ヘルペスウイルスに対し予防的に移植後 30 日までアシクロビルを投与し,好中球減少時とは限らないが細胞性免疫不全状態ではサイトメガロウイルス抗原血症を確認しガンシクロビルの先制攻撃的投与が行われる.治療経過中に単純ヘルペス感染症や帯状疱疹に罹患した場合はアシクロビルを投与する.

顆粒球コロニー増殖因子(G-CSF)悪性リンパ腫や固形癌に対する標準的な治療で G-

CSF が必要となることはまれであるが,高リスク群で初期治療に反応しない場合は白血球数<2,000�µL,好中球数<1,000�µLをめどに使用する.G-CSF は全体の死亡率に影響を与えないが,抗がん薬に伴う好中

球減少による感染死亡率は改善,好中球減少の程度を軽減,その期間を短縮し,結果として入院期間を短縮するので使用されている34).また,骨髄機能が悪い例,骨髄に腫瘍浸潤のある例,強力な前治療が複数回実施された例や治癒率の改善を期待して薬剤減量,投与延期を防ぐ目的で,抗がん薬を投与して 24~48 時間後から G-CSF を好中球数の低下を待たずに予防的に使用することも行われる.

まとめと今後の課題造血器疾患や化学療法の経過中しばしば経験する

FN を,適切な診察と検査ののち,高リスク,低リスク群に分けて,広域の抗菌薬を使用して感染症の重症化を防ぎ,安全で最大の原疾患の治療効果を得る努力をする.しかし今回提唱した新ガイドラインで使用される抗微生物薬が,保険診療で認められている用法・用量で FN を安全に治療できるか,またリスク分類の指標とする MASCC スコアが日本の FN に応用が可能かを検証する研究が必要である.

本総説に対し貴重な意見をいただいた福岡大学内科学第一講座,�田徹先生ならびに論文作成に協力いただいた生駒規子氏に深謝します.

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平成18年 7 月20日

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Clinical Management for Febrile Neutropenia

Kazuo TAMURAThe First Department of Internal Medicine, School of Medicine, Fukuoka University

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平成18年 7 月20日

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