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スプレードライ工程におけるAlumina 粒⼦の表⾯物理化学が及ぼす製造時の挙動と顆粒形態特性への影響
(スペクトリス株式会社マルバーン事業部)◯舩⼾美幸 佐藤文章 笹倉大督(株式会社プリス) 川口信也 三隅雄一 加藤隼人
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スプレードライ法による粒⼦造粒工程
スラリー調整• 分散性
• 分散安定性
• 粘度
噴霧
• 液滴の粒⼦径・粒度分布
• 液滴の粘度
乾燥
• 液滴体積の急激な縮小
• 粒⼦の⾼密度化
完成• 粒⼦径
• 粒⼦形状
• 硬度、流動性等
• 造粒粒⼦の粒⼦径・形状はセラミックスでの焼結・圧縮・成形に影響する• 造粒粒⼦の品質は造粒機の運転条件にだけでなく、スラリーの性質も影響する• スラリーの性質はゼータ電位で説明できる可能性がある
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ゼータ電位とは
• ⽔溶液中に分散する粒⼦がその表面電位によって形成している電気二重層のすべり面の電位。
• 表面電位そのものではない。• ゼータ電位が0に近いと、
液中での静電反発⼒がなくなり、凝集を発生しやすくなる。
• ゼータ電位の絶対値が大きいと、液中での粒⼦間の静電反発⼒が強くなり、分散状態が⻑期に保持できる。
粒⼦の分散安定性は、粒⼦の表面状態にも、溶媒の環境にも影響を受ける。ゼータ電位を測定することで分散安定性が評価できる。
pH4 6 8 10 12-60
-40
-20
0
20
40
60
80
Zeta
Pot
entia
l (m
V)
Aluminaを10mM KNO3中で分散させた場合のゼータ電位
安定
不安定
安定
ゼータ電位の概念
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電気泳動法によるゼータ電位の測定原理とその⽅法
• 基本原理� 電解液中に浮遊する荷電粒⼦に電場を印加
すると、粒⼦が表⾯電荷と逆の極性を持つ電極⽅向へ一定速度で移動する。
� ゼータ電位は計測した電気伝導移動度より、ヘンリーの式を用いて求められる。
• ⾼感度化へのアプローチ� 測定時の電気浸透流の影響を排除するため、
「M3技術」および⾼感度の電気泳動を検出し、正確に計測する「PALS技術」を併用し、測定を⾏った。
ヘンリーの式
電気泳動法
M3技術 PALS技術
電気浸透流の影響を排除するために、電気浸透流の発生前に電場を切り替える操作と分布を得るために電場の切り替えを遅くする操作を組み合わせた特許技術
僅かな電気泳動移動度も捉えられるよう、散乱光と参照光を合わせたときにおこる変調波の振動を算出する位相差解析
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実験手順� スラリー調整
別途記載� スプレードライ運転条件
スプレードライ装置 TR160(株式会社プリス製)を用いた。運転条件は10000rpmであった。
� ゼータ電位評価:ゼータサイザーナノZSP(マルバーン社製)で測定した。測定条件は25℃とし、電圧150V、溶媒条件を⽔と設定した。
� インライン粒⼦計測造粒中粒⼦のリアルタイム粒度分布はインシテック(マルバーン社製)
を用いて評価した。� 粒⼦画像解析
造粒により得られた粒⼦の画像分析による粒⼦径・粒⼦形状評価はモフォロギG3(マルバーン社製)で評価を実施した。
Zetasizer Nano ZS
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スラリー調整⽅法• アルミナを以下の混合⽐率でスラリーに調整
� アルミナ:50%� PVA(Poly Vinyl Alcohol):0.5%*� 水分:49.5%
*PVAはアルミナに対して粉末で0.5%添加。(10wt%の⽔溶液を作成してスラリーに混合)
• スラリーはゼータ電位測定用に⽔で希釈したのち、pHを調整
• スプレードライ運転用にはスラリー原液をpH4、6、8に調整pH 1 2 4 6-7 7 9 10
希釈
HClまたはNaOH
計7ポイントのサンプルを準備
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測定結果1
●pHとゼータ電位の関係 pHによる粘度の変化
サンプル 原液の粘度(cP)
ゼータ電位(mV)
pH 8 1000 -24.6pH 6 3000 3.87pH 4 10 35.0
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測定結果2
●PVAのゼータ電位
PVAのゼータ電位はいずれのpHにおいてもほぼ0 mV
-2.0
-1.0
0.0
1.0
3 4 5 6 7 8 9 10 11
Zet
a P
ote
ntia
l (m
V)
pH
pH Titration Graph
Zeta Potential (PVA / water) Weighted Mean Zeta Potential (PVA / water)Isoelectric Point (PVA / water)
pH 3.10
0
200000
400000
600000
800000
1000000
-100 0 100 200
Tot
al C
ou
nts
Apparent Zeta Potential (mV)
Zeta Potential Distribution
Record 7: PVA / water Record 19: PVA / water Record 27: PVA / waterpH8 pH6 pH4
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測定結果3
造粒機で作られる粒⼦の粒度分布 ー レーザ透過率、ー D(v,90)ー D(v,50)、ー D(v,10)
pH8 pH6 pH4
pH4のスラリーでは、測定開始から粒度分布が安定するまでの時間が最も短かかった。pH4では造粒粒⼦の流動性が向上。ノッカーを利用しなくても造粒機内で粒⼦が落下していた。
測定開始後、粒度分布が不安定な時間
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測定結果4粒⼦径
pH 粒⼦径(um)(D[4,3])
粒⼦形状(円形度)
4 43 0.934
6 55 0.894
8 45 0.839
粒⼦像(40um近傍)
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
%
HS Circularity
HS Circularity smoothed over 11 points
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
1.1
1 10 100
%
CE Diameter (µm)
Volume transformation: CE Diameter (µm) smoothed over 60 points
円相当径pH4, pH6-7,pH8
円形度pH4, pH6-7,pH8
pH 8pH 6
pH 4
pH4のみ粒⼦が丸く、粒⼦径も⼩さい
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考察:粘度とゼータ電位の関係
pH4
• 低粘度
• ゼータ電位+30mV以上
pH6
• 最も⾼粘度
• ゼータ電位0付近
PH8
• ⾼粘度
• ゼータ電位-20mV程度
一般的に噴霧スラリーに利用されているpHは8-9前後↓
分散状態は良くない
粒⼦は分散している状態 粒⼦は互いに凝集する状態 一部凝集がしている状態
ゼータ電位から予想できるスラリー内のアルミナ粒⼦の状態
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考察:PVAとの相互作用
pH4 pH6 pH8
OH2+
OH2+
OH2+
OH2+
Alum
ina
OH
OH
OH
OH
Alum
ina
O-
O-
O-
O-
Alum
ina
アルミナ粒子表面の官能基とPVAの化学構造より、アルミナとPVAとの静電相互作用はほとんどないと考えられる。ゼータ電位が低くいスラリーは、内部でアルミナ粒子が凝集してネットワーク構造を作り、PVAが偏在する
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結論• pHによってスラリーのゼータ電位が変化する。• ゼータ電位によってサンプルの粘性が変化し、最も低粘度だったのは
pH4となった。• 工程に持ち込むスラリーは、ゼータ電位の⾼くなる条件で調整するこ
とで、形状がより球状になり、粒⼦径も小さくなる。
• 粒⼦そのものの分散性が⾼く、スラリ―のゼータ電位が⾼い場合、添加剤として投入されているPVAがスラリー全体に⾏きわたる。スプレードライ工程の乾燥時は粒⼦の周囲を取り囲み、より均⼀な配向状態になることで粒⼦がより小さく、丸くなると考えられる。
• ⼀⽅で、ゼータ電位の低いスラリーでは、粒⼦間の凝集によるネットワーク構造が形成された状態で乾燥が進むために、粒⼦径としては大きく、歪な構造になることが考えられる。
• スプレードライ装置の運転条件とスラリーのゼータ電位との関係性や、スラリー粒⼦のゼータ電位とスプレードライ造粒された粒⼦の強度や流動性の関係などは、今後の検討課題である。
工業用スプレードライ工程におけるリアルタイム粒子径分析を計測値に用いた工程制御に関する基礎的検討
Evaluation of a real time monitoring for the spray dry process by particle size
analyze.
スペクトリス株式会社・マルバーン事業部
○佐藤文章・笹倉大督・舩戸美幸
株式会社プリス
川口晋也・加藤隼人・三隅雄一
Japan Ceramic Congress in 2016
Introduction(1):Spry Drying (SPD) ?
› 噴霧乾燥(スプレードライ法)とは?• スプレードライヤーは、原液を瞬時に粒子にすることが可能な噴霧乾燥法
• 原液を乾燥室内のディスクにより微粒化し、単位体積あたりの表面積を増大させながら、連続して熱風を接触させて、粒子を製造する。
› セラミックス製造への本技術の期待は?• 加圧成形による製造プロセス中に,流動性の良い、粒度分布がシャープな顆粒体を充填し、成形,焼結させることにより,焼結体の欠陥が小さくなり,高密度な製品が得られる。
• 顆粒体の特性が焼結体の強度に反映
Introduction(2):Particle Characterization to SPD
› 近年の各種材料(顆粒体)に求められる性能は、高度なものとなりつつある。
› 得られた顆粒体そのものの物性、特に流動性などとの関係を考察することで、より深く工程を理解できる
[本研究の目的]スプレードライ工程を Real Time粒子分析
Technology(1): “Online Feedback – SPD system”
› 本システムは• オンライン型粒度分布測定装置を実装し、ディスク形状や回転数及び
pH調整による粒度分布変化を即時に観察及び管理。
• フィードバック制御、フィードフォワード制御なども将来的に視野に入れた柔軟なシステム構築・提案が可能 ※システムの詳細は、共同
研究先プリスにて、ポスターセッションでも議論可能
Technology(2): レーザー回折の測定原理› レーザー回折法は、分散された粒子試料をレーザー光が通過する際に散乱する光の強度の角度変化を測定、大きな粒子はレーザー光に対して小さい角度で光が散乱、小さい粒子の場合は大きな角度で光が散乱
› 角度散乱光強度データを解析、光散乱の Mie 理論により粒径を体積相当球の直径として粒度分布を算出。ISO13320(2009)による確立された手法
Technology(3) :リアルタイム式 レーザー回折
› ISO採用の信頼性高い「ミー散乱法」採用› 最大20kg/hr までの連続測定
• (ラボ機の約80~100倍程度のスループット)
› 24時間連続モニタリング› IP65対応› 防爆環境にも対応可能
› 測定レンジ0.1~2,500μm
Technology(4):現場型・リアルタイム粒度分布
Material and Method 製造装置› 製造装置
• ターニング式スプレードライヤーTR160(プリス)
• 主原料:Almina(50wt%)/Water(49.5wt%)/PVA(0.5wt%)
• 入り温度150℃、出口温度78℃~85℃
• 液特性:スラリー供給速度 5Kg/h
• pH 4~pH8
• アトマイザー回転数:10000~6000rpm
› 粒子・紛体計測装置
• インライン計測装置:Insitec (Malvern)
TR160
Material and Method 制御装置 構成図
TR160
› PLCからスプレードライを制御、同時に粒度分布を連続的に監視
› 原料タンク内でpH調整を行い粒子径をモニタリング
Result (1): リアルタイム・レーザー回折 粒度分布› アトマイズ回転速度を変化し、オンライン粒度分布計にて粒子径を監視
› 回転速度を一定に保ち、原料タンク内でpH調整を行い、粒子径を監視
Result (2): 粒度分布 - アトマイザ回転数› 回転数10000,8000,6000prpmの変化により、Dv90のリニアな変化を観測。
› 粒径の均一度の指標を示すSPAN値(Dv90-Dv10)/Dv50はほぼ一定
Result (3): 粒度分布 – pH調整› pH4のスラリーでは、測定開始から粒度分布が安定する時間が短い。
› pH4では造粒粒子の流動性が向上。スプレードライヤ内で粒子が自由落下
Result (4): pH調整と流動性の関係
pHの違いよってスラリーのゼータ電位が変化
ゼータ電位によってサンプルの粘性が変化
粒度分布計
サンプルの流動性及び分散性が変化
サンプルの流動性の違いを目視で確認
Summary:
› スプレードライのアトマイザ回転制御、及び、スラリーのpH制御によりリアルタイムに変化する粒子径の計測結果を、PLC等の制御機器に対してリアルタイムにフィードバックシステムへの展開することが可能である。
› 本系は、今後のセラミック工程において、制御と品質管理の最適化の提案が可能であることを示せた。
画像分析法による浸液透光法を用いたスプレードライ顆粒体の内部構造の統計的特性数値化
(スペクトリス株式会社マルバーン事業部)◯笹倉大督 舩戸美幸 佐藤文章
(株式会社プリス) 川口晋也 三隅雄一 加藤隼人
ファインセラミックスにおける顆粒体の形成とその重要性› セラミックスは焼成後もその微細構造は「粒(子)」の集合体
• 出発原料の化学組成だけでは目的とする焼結体の特性と品質は制御困難• 顆粒体の物性は成形体に大きな影響を及ぼす(例:粗大気孔など)
› セラミックスの重要な制御因子は?• 焼成前の成形体中の不均一構造• 粒子形状の異方性・配向状態
› 顆粒体は制御因子を支配する重要な中間体
原料粉体
スラリー 成形体
顆粒体
粗大気孔
粗大気孔
粒子配向
密度分布
セラミックス
破壊源信頼性因子
変形ニアネットシェイプ
Spry Drying Process(SPDP) ?› 噴霧乾燥(スプレードライ法)とは?
• スラリー原液を乾燥室内のディスクにより微粒化し、単位体積あたりの表面積を増大させながら、連続して熱風を接触させ粒子を製造する手法
› 利点• 製造の「One-pod」化
• 濃縮、ろ過、粉砕、分級、乾燥の多くの工程を一挙に省略可能
• 良好「丸い」顆粒体の製造• 丸く、粒度分布がシャープな顆粒体を製造可能。充填・成形・焼結時において、焼結体の欠陥が小さくなる
› SPD工程の課題• 顆粒体の特性が焼結体の強度に影響する• 工程の制御に経験と技術力を要する
これまでの検討:リアルタイム粒子径分布測定
› 基本パラメータの「粒子径」に着目• (株)プリスとの共同研究
• リアルタイム粒子径分布測定
• 製造粒子の成長挙動をリアルタイム監視
• 最終目標:工程へフィードバック・自動化
TR160
株式会社プリス TR160
セラミックス協会・2015年秋年会にて発表
これまでの検討:リアルタイム粒子径分布測定› アトマイズ速度を変化させ、その変化をオンライン粒度分布計にて連続モニタリング
› アトマイズ速度の減少に伴って、粒子径分布の増加が観察
› Dv10, Dv50, Dv90はそれぞれ累積頻度分布(体積基準)の10%径50%径90%径を示す
課題:顆粒体の「内部構造」
› 顆粒体の内部構造を考察する必要性• スプレードライで製造された顆粒体は、外形体は粒子の形態を保っていても、内部構造の欠陥など(主には空孔)が起きている可能性有
› 内部観察法:浸液透光法(Liquid Immersion Method)• セラミックス顆粒・成形体の内部構造観察法としてよく知られている手法
› 内部観察法の課題は?・・・「定性的」で「定量化」が困難• 可視化した画像の数値化の定義が困難• 統計的に取り込む粒子の数が少ない
本研究の目的浸液透光法を用いたスプレードライ顆粒体の内部構造の数値化・統計化を検討する
解決する手法全自動式粒子画像解析法 Automated Particle Image Analysis(APIA)
粒子画像イメージング(解析)法:APIA› 粒子画像イメージング(解析)法とは?
• ISO記載の手法(13322-1,2)• 粒子の投影画像を数千個以上測定• コンピュータ処理により、粒子の径と形状をリアルタイム解析
› 粒子画像イメージング(解析)法の利点は?• 粒子の形態を数値化可能• 「粒子径vs形状」・「形状vs形状」といった多角的解析が可能
Material and Method
› SPD製造条件• 原料:Almina
• バインダー:Polyvinyl Alcohol(PVA)
• 分散液:水分散
• スプレードライ装置:TR160(株式会社プリス製)
• スプレー方式:回転ディスク式
› Automated Particle Image Analysis : APIA分析• 粒子画像分析装置:MorphologiG3 (Malvern Instruments社製)
• 撮像倍率:500倍(対物鏡10倍)
› 浸液透光法• 1-bromo naphthaleneを使用
Morphologi G3
(株)プリス社製TR160
浸液透光法による顆粒体の観察
粒子形態情報の取得-「径」・「形状」・「物性」
› それぞれの粒子の2次元投影画像から、さまざまな数値情報を得ることが可能
長さ 幅径 形状
面積
› 粒子径
長さ
幅
円相当径
› 粒子形状
Aspect ratio (Width/Length)
Elongation (1- Aspect ratio)
› 粒子形態
Convexity (perimeter)
Solidity (area)
Circularity
HS Circularity
Intensity
“輝度値”による粒子の物性評価:「外観」の数値化
› 輝度値とは ?
• それぞれの粒子画像は多数のCCDカメラのピクセルドットで形成
• それぞれのピクセルは「光強度」の情報を持つ
• 光の強度はグレイスケール[255階調]で振り分けられる。
• グレイスケールの意味合い;• Intensity Mean = 0(black) to 255 (white) . Mid-Gray is 128
Intensity Mean; 122 Intensity Mean; 162
輝度値(平均値・標準偏差)による粒子の物性評価
› 輝度平均値(Intensity Mean :IM)–粒子厚み/密度
e.g. 薄い vs. 厚い
› 輝度標準偏差(Intensity SD : ISD)–均一な表面? / 粗い表面?
e.g. 滑らか? vs. 粗い?
浸液透光法で観察された粒子の数値化› 円相当径(CE Diameter :CED)で概ね同じ大きさで算出› 円形度;アスペクト比では違いがない› 輝度平均値、輝度標準偏差:顕著な違いがある
Sample CE Diameter (µm) HS Circularity Aspect Ratio Intensity Mean Intensity SD
A 35.11 0.99 0.99 41.48 13.99
B 33.74 0.99 0.99 65.72 26.54
A:35.11um(充填構造) B:33.74um(気泡を含む)
APIA測定による顆粒体の検出› 噴霧条件8000rpmで製造したアルミナスラリー
› 浸液透光法+APIA分析した画像測定個数:8426粒子測定
Dv10=35umDv50=51umDv90=72umMode=Approx. 50um
IM&ISD:全粒子測定› IMとISD一定の分布がみられる
• 粒子径に依存した分布
IM
ISD
CED
IM
粒度分布(CED)に依存してIMの分布がある。
限定粒子径での(Mode径:50um近傍)検討› 粒子限定パラメータ
• 粒子径:45-55um、形状:円形度:0.960以上• 総解析個数:307個/8426個
IM<39.5 , ISD<24.0 ,122 particle IM>39.5 , ISD>24.0, 185 particle
Classification (Volume Based)
› 空孔なし(Full), 空孔有(Hale)
空孔なし46%、122個
空孔あり54%、185個
SUMMARY
› 浸液透光法での顆粒粒子の内部構造観察• 大きさ・形状が類似しているものでも、輝度パラメータ(IMとISD)で判別する可能性が示唆された。
› 統計的な数値化の可能性検討• 粒子径に依存して、輝度値が変わるため、一義的なパラメータですべての粒子を分類することは困難であった。
• 適切な粒子径限定を実施することで、IM&ISDで空孔粒子と充填粒子を分類することが可能であった。
› 今後の課題• 分類精度を上げるためのパラメータの選別や測定法の構築
• 限定粒子径の最適化
• 工程パラメータに依存した両粒子比率の違いに関する基礎的検討
セラミックス用スプレードライ工程のReal Time粒度分布測定による運転条件最適化に関する研究
株式会社プリス○川口晋也 三隅雄一 加藤隼人
スペクトリス株式会社・マルバーン事業部佐藤文章 笹倉大督 舩戸美幸
Annual Meeting of The Ceramic Society of Japan 2016
スプレードライ(噴霧乾燥)とは
© PRECI CO.,LTD.
液体を霧状にし、熱風で乾燥させ、球状の粉末を得る方法。
・ 液体原料から直接粉末化することができる。・ 球状なので流動性の良い粉末ができる。・ 乾燥時間がとても短く熱の影響が受けにくい。・ 製品粉末の粒子径、残水分、嵩密度の調整も可能。・ 連続運転の装置。・ 他の粉体製造装置と比較して粒度分布がシャープ。
スプレードライヤーのシステムフロー
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ファインセラミックスにおけるスプレードライの役割
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ファインセラミックスは純度、流動性、密度、粒子径、粒度分布を高精度に制御する必要がある。
高精度に制御することで、成形工程では成形型の充填性が向上・安定し、焼結後は高密度の高硬度の製品となる。
リアルタイムで計測することの意義
© PRECI CO.,LTD.
オフラインでの間欠測定粒子径 OOS
OOS
運転時間
Δ時間ごとのサンプリング測定
Ex.) 時間ごとに計測した場合
一連のプロセスで粒子径に変化があったとしても検出できず、大量のOOSが発生してしまう。
リアルタイムで測定データ(粒子径)のフィードバックを得ることにより、OOSの低減やプロセスの詳細な理解を深めることが可能。
前回テスト内容(2015年9月秋季シンポジウム発表)
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実験内容
・ スプレードライヤーの製品回収部にオンライン粒度分布測定器Insitecを取り付け、連続的に粒子径を測定する。
・ スプレードライヤーのアトマイザー回転数を可変し、粒子径のコントロールを行い、粒子径の変化がリアルタイムで測定できることを確認する。
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前回テスト内容(2015年9月秋季シンポジウム発表)
・ アルミナ 50wt%・ 水 49.75wt%・ PVA 0.25wt%
原料
スプレードライヤー
ターニング式スプレードライヤー(TR160)・ 乾燥室径φ1600mm・ 電気ヒーター、回収粉は本体下と
サイクロン下の2点捕集・ 噴霧方式はロータリーアトマイザー、
ピン型ディスク
実験用スプレードライヤー
・ 熱風温度:150℃・ 排風温度:78~85℃・ 原液フィード量:5kg/h
基本運転条件
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前回テスト内容(2015年9月秋季シンポジウム発表)
スプレードライヤー乾燥室下とインシテックを接続する。
前回テスト内容(2015年9月秋季シンポジウム発表)
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不明点:8000rpm、6000rpm時に粒度分布の乱れが発生した。
粒度分布はリアルタイムで変化し、回転数の変更に追従し測定されることが確認できた。
実験結果
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条件を変更した再テスト
前回運転条件
アトマイザーディスク回転数を15分毎に変更する。
① 18000rpm② 16000rpm③ 14000rpm④ 12000rpm⑤ 10000rpm⑥ 8000rpm⑦ 6000rpm⑧ 4000rpm
変更運転条件
アトマイザーディスク回転数を
60分毎に変更する。
① 10000rpm(粒度分布安定)
② 8000rpm(粒度分布不安定)
③ 6000rpm(粒度分布不安定)
④ 8000rpm
粒子径 小
粒子径 大
粒度分布が安定していた回転数、不安定だった回転数を長時間運転し、挙動の変化を確認する。
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条件を変更した再テスト
実験結果
10000 rpmは前回同様に安定したグラフを示し、8000 rpm、6000 rpmは回転数変更から15分~30分程度粒度分布が乱れた後に、安定した状態となった。
6000 rpm→8000 rpmの粒子径の変化は粗大粒子の残存からか、元に戻るまでに60分以上に時間を要した。
前回テストの8000rpm、6000rpmの粒度分布の乱れは、安定する前の状態であることが確認できた。
前回可変時間15分
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考察
・本テストでは、粒度分布が安定するまでに時間を要する運転条件があることが確認できた。
・経験上、安定運転まで時間を要することは知見していたが本研究によってデータとして可視化された。
・本研究では、熱風温度、原液供給速度、スラリー濃度等、回転数以外の条件は全て固定した結果であるため、その他条件を変更して、粒度分布の挙動を確認、検討する必要がある。
Real Time粒度分布測定により、間欠測定のオフライン粒度分布測定では、分かり得ない粒度分布の挙動を確認することができ、本研究のシステムの有効性が示された。