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米国マンスリー
“先行き不透明も業績期待高まる展開か?” リサーチ部 庵原 浩樹 増渕透吾
DID:03-3666-6980 (内線 244)
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フィリップ証券株式会社
2018 年 7 月号(2018 年 6 月 27 日作成)
■重要性増す FRB のハンドリング 6月のFOMCで政策金利は0.25ポイ
ント引き上げられ、1.75-2.00%となっ
た。2018年の利上げペースは年3回か
ら4回に加速。FRBボードメンバーの予
測は8人(前回7人)が年4回以上、7人
(同8人)が3回以下と拮抗している。
経済見通しも引き上げられタカ派的
な印象となったが、好景気のもと金融
正常化を急ぎたいFRBの意向もあろう。
一方、来年以降GDP成長率は鈍化し、
景気循環からも2019年後半から2020
年にかけて景気後退に陥る可能性もあ
る。貿易摩擦激化による世界景気鈍化
の懸念もある。10年国債利回りは、利
上げ後にむしろ低下している。政府の
強硬な通商政策もあり、金融政策の舵
取りの重要性が高まりそうだ。(庵原)
■マインドは再び先行きに不安感 6/1発表の5月のISM製造業景況指
数は、前月比1.4ポイント上昇の58.7。3
ヵ月ぶりの上昇で市場予想の58.2を上
回った。6/5発表の5月のISM非製造業
景況指数は、同1.8ポイント上昇の
58.6。4ヵ月ぶりの上昇で、市場予想の
57.6を上回った。4月は関税に伴うコス
ト増加への懸念などで企業マインドが
悪化したが5月は持ち直しが見られた。
一方、6/26にコンファレンス・ボード
が発表した6月の消費者信頼感指数
は、126.4と前月の128.8から低下。市
場予想の128を下回った。向こう6ヵ月
の期待指数が大幅に低下。直近、トラ
ンプ政権が強硬姿勢を強めており、マ
インドへの影響を注視したい。(増渕)
■原油価格急落も根強い供給懸念 6/26に米国政府が同盟国に対し、イ
ラン産原油の輸入を11/4までに完全に
停止するよう要求していることが明らか
となった。これを受け、同日WTI原油先
物は、前日比3.6%高の70.53ドル/バレ
ルと、約1ヵ月ぶり高値を付けた。
一方で、トランプ大統領は国内ガソリ
ン価格の高騰への懸念から産油国へ
増産を要求しており、6/22のOPEC総会
では減産緩和の方針で合意に至った
。ただ、EIAが発表した6/15終了週の米
国週間原油在庫統計では、クッシング
在庫が前週比591.4万バレル減と2週
連続の減少で、減少幅も市場予想を
上回った。需給面からも当面の原油市
場は堅調な推移が予想される。(増渕)
【追加利上げとなった 6 月 FOMC~利上げペースは年 4 回に加速だが・・・】
【5 月は持ち直した企業マインド~6 月は再び先行き不安感燻る!?】
【イラン産の輸入停止要求で急騰した原油~減産緩和も需給引き締まり】
予想中央値2.375 予想中央値3.125 予想中央値3.375 予想中央値2.875
年4回利上げペース
年3回利上げペース
■2018年6月FOMCのドットチャート(FOMCメンバーによる予測)
2018年 長期見通し2020年2019年
年1回利上げペース
(%)5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
■2018/6のFRBの経済見通し(FOMC 2018/6/13) (※)下段のデータは前回2018/3/21のFOMC後のFRBの予測値
FRB経済見通しの中央値(%) 2018年 2019年 2020年 長期見通し
実質GDP 2.8 2.4 2.0 1.8
2018/3予測 2.7 2.4 2.0 1.8
失業率 3.6 3.5 3.5 4.5
2018/3予測 3.8 3.6 3.6 4.5
個人消費支出(PCE) 2.1 2.1 2.1 2.0
2018/3予測 1.9 2.0 2.1 2.0
コアPCE 2.0 2.1 2.1 -
2018/3予測 1.9 2.1 2.1 -(出所:FRBの公表資料をもとにフィリップ証券作成)
20
40
60
80
100
120
140
30
35
40
45
50
55
60
65
2007/12 2009/12 2011/12 2013/12 2015/12 2017/12
ISM製造業景況指数(左軸)
ISM非製造業景況指数(左軸)
消費者信頼感指数(右軸)
ISM景況指数と消費者信頼感指数
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
5月のISM製造業:58.7
5月のISM非製造業:58.6
6月の消費者信頼感
指数:126.4
ポイント ポイント
-20
-15
-10
-5
0
5
10
15
20
300
350
400
450
500
550
2014/1 2014/3 2014/6 2014/9 2014/12 2015/2 2015/5 2015/8 2015/11 2016/1 2016/4 2016/7 2016/10 2016/12 2017/3 2017/6 2017/9 2017/12 2018/2 2018/5
百万bbl百万bbl 米国原油在庫(週次、戦略石油備蓄を除く)原油在庫量(左軸)
前週比増減量(右軸)
(米国エネルギー情報局(EIA)の公表資料をもとにフィリップ証券作成)
20
40
60
80
100
120
29,000
30,000
31,000
32,000
33,000
34,000
35,000
2014/1 2014/4 2014/7 2014/10 2015/1 2015/4 2015/7 2015/10 2016/1 2016/4 2016/7 2016/10 2017/1 2017/4 2017/7 2017/10 2018/1 2018/4
WTI原油先物価格とOPECの原油生産量
OPEC加盟国の産油量(左軸)
WTI原油先物価格(右軸)
1000bbl/日 USD/bbl
(Bloombergのデータをもとにフィリップ証券作成)
米国マンスリー 2018 年 7 月号
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■企業業績への期待高まる展開? 貿易摩擦の影響が懸念される中で
も業績見通しは良好だ。S&P500構成
企業の2018/12期2Q(4-6月)は、6/22
時点で前年同期比20.3%増益、通期
で前期比23.0%増益の見通し。4/20時
点から何れも上方修正され、業績期待
が相場を押し上げる展開もありそうだ。
通期の業種別見通しで、通信サー
ビスを除く10セクターの増益率が引き
上げられた。中でも原油高を背景にエ
ネルギーの上方修正が大きい。また、
素材、ハイテクなどの変化率も大きく増
益率も高い。先行き不透明感が強まり
、軟調な展開の株式市場は反転上昇
となるか、動向に注目したい。(庵原)
■評価見直しに期待~半導体株 中国への先端技術流出に対する制
裁強化検討など米国政府の動きから
ハイテクセクター、特に半導体株に利
益確定の動きが出ている。中でも業績
好調で市場の評価も高い半導体株が
大きく売られ、最高値圏にあった SOX
指数は 6/7 から 6/25 に 6.76%もの下
落。上方修正など好業績が確認された
マイクロン・テクノロジー(MU)はこの
間 10.85%安となるなど、年初来パフォ
ーマンスが良好な銘柄が下げている。
一方、半導体は、メモリーなど市況
がやや軟調な推移だが、用途は拡大
し実需を伴った市場拡大が当面続く見
通しである。マイクロンの他、微細化が
進み複数の新製品リリースを控え収益
拡大が見込まれるアドバンスト・マイク
ロ・デバイセズ(AMD)や AI 技術の核
となるディープラーニングを支える GPU
で注目されるエヌビディア(NVDA)など
の評価見直しに期待したい。(庵原)
■ますます広がるクラウドの裾野 ロサンゼルスのゲーム見本市「E3」に
先駆けてマイクロソフト(MSFT)が6/10
に開いた新作説明会で、同社はクラウ
ド「Azure」によるストリーミングゲームの
開発を推進すると表明。ゲームのクラウ
ド化で同社ゲーム機「Xbox」の販売台
数を落とすリスクを孕んでの開発であ
り、改めてクラウド・コンピューティング
市場の裾野の広がりが意識されよう。
調査会社IDCによると、パブリック・
クラウド市場は2016-2021年まで年率平
均21.9%で伸びる見通し。マイクロソフ
トのほか、アルファベット(GOOGL)、ア
マゾン・ドット・コム(AMZN)のクラウド・
ビッグ・スリーは、それぞれクラウド事業
を成長ドライバーとする。その他、クラウ
ド経由でソフトを提供するアドビシステ
ムズ(ADBE)なども注目したい。(増渕)
【高まる増益率の見通し~株式市場は反転上昇となるか?】
【マイクロンが会社計画を上方修正~半導体需要は引き続き拡大へ!】
【マイクロソフトはストリーミングゲームの開発推進~広がるクラウド市場!】
-5.40%
32.76%
5.99%
50.78%
25.06%
13.68%
10.87%
29.44%
-5.51%-24.06%
6.41%
-30% -15% 0% 15% 30% 45% 60%(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
年初来
-22.66%
-7.86%
-7.23%
-7.13%
-6.99%
-1.52%
-1.35%
-0.65%
0.33%
4.01%
-4.18%
-36% -27% -18% -9% 0% 9%
SMART Global Holdings Inc
マイクロン・テクノロジー
マイクロチップ・テクノロジー
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ
エヌビディア
マキシム・インテグレーテッド・プロ…
アナログ・デバイセズ
メラノックス・テクノロジーズ
ラムリサーチ
シーラス・ロジック
SOX指数
過去5営業日
フィラデルフィア半導体指数(SOX)30銘柄 ベスト・ワースト5社 パフォーマンス(2018/6/26現在)
6,296
5,583
6,2605,923
6,711
6,097
6,758 6,730
7,434
6,922
7,795 7,896
24%
25%
26%
27%
28%
29%
30%
31%
5,500
6,000
6,500
7,000
7,500
8,000
8,500
2015/4Q 2016/1Q 2016/2Q 2016/3Q 2016/4Q 2017/1Q 2017/2Q 2017/3Q 2017/4Q 2018/1Q 2018/2Q 2018/3Q
マイクロソフトのインテリジェント・クラウド部門の売上高の推移インテリジェント・クラウド部門の売上高(左軸)
売上高全体に占める割合(右軸)
百万USD
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
(出所:マイクロソフトの公表資料より)
米国マンスリー 2018 年 7 月号
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加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会Member of PhillipCapital Group
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第127号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会Member of PhillipCapital Group
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