海上技術安全研究所
海運・造船業界を取り巻く実海域性能評価気運の高まり
HOPE実海域性能評価プロジェクトチーム
プロジェクト長
佐々木紀幸
海上技術安全研究所
C重油(バンカーオイル)価格推移
¥45,000/KL
¥15,000/KL
海運業界も原油高の波は高く…
C重油価格は94年ごろから1キロリットルあたりから約1万5000円で推移していたが、それが00年後半までに1キロリットルあたり2万5000円近くに到達。その後も燃料油価格はじりじりと上昇を続け、昨年後半には3万円まで高騰。業界ではキロリットルあたり2万円以上が“高値”と言われており、燃料油価格が1000円上がると概算で例えば長距離フェリー業界だけで全体のコスト負担額は年間約10億円アップすると言われている。
カーゴニュース 第3410号
http://www.cargo-news.co.jp/
海上技術安全研究所
TOPICS
船会社に聞いてみましたいまのHOPEこれからのHOPE
海上技術安全研究所
船社ヒアリング結果
海上技術安全研究所
最近の船は馬力が小さくなり太ってきている。同じパナマックスでも実海域での差が出てきている。要目くらいでは分からないかもしれないが調べたい。
20
25
30
35
40
45
FOC(ton/day)
A造船所 B造船所 C造船所 D造船所 E造船所
FOC(同一排水量に修正)イメージ
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これまで平水中性能が良いのがいい船だったがこれからは実海域となると、設計ポイントが変わり、平水中性能での最適設計を行っている造船所の抵抗があるだろうと思う。
波浪中の主機燃料消費量(15.4kts)
50
55
60
65
FOC
[ton
/day
]
45
50
55
B
-6 -4 -2LCB
FOC646362616059585756555453
Calc. Cond.DW, LOA Constant
Hw = 3.0m
Hw = 0.0m
⊿FOC = ⊿FOC(⊿Ps) +⊿FOC(⊿FOCR)
LCB
B
HOPE
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はっきりと燃費が良いと分かれば、造船所にエクストラを払える。それがペイするかどうかが問題。
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実海域で平水中と大きく異なるのは、コンテナ船が顕著。PCCは風の影響が大きい。
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韓国LNG船の満載試運転結果
Speed Trial Results of 141000M3 LNG
海上技術安全研究所省エネ装置の評価
現時点で海技研にどのような解析ツールがあるのかの確認と、それらを用いた実運航データとの比較を早く行ってほしい。省エネ付加物の評価法は緊急課題である。
省エネ装置の付いた船、付かない船で実船性能の比較をしたが、数パーセントの差はでなかった。つまり効果はわからない。効いていると信じるしかない。
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実船の燃費比較を行っているが、軸馬力を直接計測できる装置がなく、実際には燃料消費量から間接的に求めており、本当に正しい燃費比較ができているかが気になっている。このような基礎的な計測技術も大事である。
燃料
制動馬力スラスト馬力
伝達馬力
主機情報:LI, T/C rpm, Pmax etc.
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水槽試験
我々なりにも(実運航データを)分析している。たしかに造船所間で実海域性能に優劣がある。実海域の性能差が模型試験でもきちんと出るのか?
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TOPICS
船会社に聞いてみましたいまのHOPEこれからのHOPE
海上技術安全研究所HOPE エネルギー損失の計算例(平水中)
28万トンVLCCの例(15kts) 大型コンテナ船の例(25kts)
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000
14000
16000
18000
20000
DHP Rv Rw ⊿T ⊿Prop
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
35000
40000
45000
DHP Rv Rw ⊿T ⊿Prop
Kw
72%
3%14% 12%
全体
粘性
造波
推力減少 推進
54%
19%14%
12%
海上技術安全研究所海技研開発:要目最適化システム
Frame Line Factor – LCB – EHP
( Lpp= 250m, B=44m, Displt.=107,500MT)
U型
10
11000
12000
13000
14000
E HP
0.5
1
-6-4
-2
HOPE
V型
船体抵抗から見た最適値はK=0.18,LCB=-4
海上技術安全研究所
0.5
0.6
0.7
0.8
Om
Ws
0.2
0.3
0.4
K
-6
-4
-2
LCB
1-wts
自航要素と推進効率の変化
1-t
0.7
0.75
0.8
Om
T m
0.20.3
0.4 K
-6
-4
-2
LCB
0.52
0.54
0.56
0.58
0.6
0.62
Et a
o
0.20.3
0.4 K
-6
-4
-2LCB
η0
0.5
0.6
Eta
0.2
0.3
0.4
K-6
-5
-4
-3
-2
LCB
推進効率
10000
11000
12000
13000
14000
EHP
00.51 FLF
-6-4
-2LCB
×
有効馬力(抵抗)
= 伝達馬力
推力減少率 伴流係数 プロペラ効率
HOPE
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18000
20000
BH
P
0.20.3
0.4 K
-6-5
-4-3
-2
LCB
1800020000
BHP
0.2
0.3
0.4
K
-6
-5
-4
-3
-2
LCB
K – LCB – BHP ( Lpp= 250m, B=44m, Displt.=107,500MT)
K=0.32, LCB=-3.8%Lpp
V型
U型
海技研開発:要目最適化システム
HOPE
海上技術安全研究所波浪中の主機燃料消費量(15.4kts)
LCB
-4.5-4-3.5-3-2.5-2-1.5-1
K
0.2
0.3
0.4
F OC
424446485052
FOC52.551.550.549.548.547.546.545.544.543.542.541.540.5
LCB-4.5-4-3.5-3-2.5-2-1.5-1
K0.2
0.3
0.4
FOC
wav
424446485052
FOCwav52.551.550.549.548.547.546.545.544.543.542.541.540.5Hw=3mで最適化
LCB=-3.8Lpp
LCB=-2.8Lpp
2.5ton/day
平水中で最適化
HOPE
⊿FOC = ⊿FOC(⊿Ps) +⊿FOC(⊿FOCR)
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TOPICS
船会社に聞いてみましたいまのHOPEこれからのHOPE
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前方ダクト型省エネ装置
SSD (Universal) SILD (Sumitomo )
1. 船体抵抗の軽減・・・・3次元剥離防止
2. ダクトの推力発生
3. ビルジ渦の誘導による伴流利得
海上技術安全研究所
Scale effect on SILD Performance
-0.01
0.00
0.01
0.02
0.03
0.02 0.04 0.06
Δw
Δ(1-t)
Small Model
Large Model
SHIP
前方ダクト型省エネ装置の尺度影響
2mモデル
8mモデル
250m 6-7%改善(12隻平均)
4-5%改善
1-2%改善
推力減少率がスケールとともに改善されるのは、ダクトの翼断面抗力係数が尺度影響を受けているためと推測される
HOPE
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海のテンモードプロジェクト
・総額、1.5-2億の大型プロジェクト
・実海域性能の徹底的な解明
・建造前のテンモード指標の提案
・ユーザー支援ツールの開発
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ハイブリッド評価技術
① 実海域性能評価技術の開発
海の10モード性能評価指標の確立
③海の10モード性能評価指標の検証
各種水槽試験、シミュレーション計算、及びデータベースの組み合わせにより、風・波・流れの共存する実海域での船舶の総合的な運航性能の評価を可能とするハイブリッド評価技術を開発
波浪中試験 シミュレーション計算
省エネルギー装置評価試験 データベース
実海域性能評価(速力低下)船速
波高平水中の性能(従来の評価)
速力低下波高=0m A船
B船
② 海の10モード評価性能指標の開発
実海域性能の総合的な運航性能を定量的に示すことを可能とする10モード性能評価指標を開発-代表的な海象、運航状況を設定(10モード)
指標の信頼性、客観性及び公平性を担保するため、指標及び指標を得るプロセスの基準化、並びにその認証技術を開発-認証ガイドライン・評価プログラムの開発
実船による海の10モード性能評価指標の精度の検証-各種船型による検証ハイブリッド評価技術へのフィードバック
0
5
10mode 1
mode 2
mode 3
mode 4
mode 5
mode 6
mode 7
mode 8
mode 9
mode 10
海上技術安全研究所運航実態調査(守秘義務・契約ベース)
Vs
FOC
Trial
主機特性
プロペラ特性
軸馬力
自航要素
船体抵抗
改善策
改善策
改善策
改善策
支援ツールへ
船体・プロペラ汚損
燃料性状
ノイズ
HOPE
DATA BASE
• Date
• Position
• Wind
• Ave. Speed (Log,O.G.)
• RPM
• FOC
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HOPE
海技研が実施中の要素技術開発例
1.低振動・高効率プロペラの開発
2.当て舵抵抗の小さい舵形状の研究
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-1000
-500
0
500
1000
∆ P [k
gf /
m2 ]
360300240180120600
θ [deg]
Ship Model ( FL-II, PS-1. Case3, Sn = 1.878 )
図32 LDVによるプロペラ作動流場の計測
原型プロペラの変動圧力の再現
図8 圧力計配置図
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HOPE プロペラ変動圧力の改善
0.000
0.010
0.020
0.030
0.040
0.050
0.060
0.070
0.080
0.090
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
Sn
KP6 [-]
Kpexp_PS2
Kptrail_0.9R
kpno.627
●:実船計測(Sn0.9R)●:模型船計測(Fl-II, PS-2)●:模型船計測(5翼, Fl-II, PS-2)
海上技術安全研究所HOPE
⊿P4Kpa
ηo6%
低振動高効率プロペラ
プロペラ効率
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HOPEは毎年、大きく進化するプログラムです
線図CADとのリンク
H20
H19
実船省エネ装置
GUI強化
VOCの反映
ユーザー会議・ユーザー訪問
(年各1回)
海上技術安全研究所
ご清聴ありがとうございました。
海技研は「研究成果の実用化と普及」に重点的に取り組んでいます