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(肉用鶏農場~食鳥処理場) -...

Date post: 05-Feb-2021
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平成25628農林水産省食品安全セミナー(微生物編) 資料2-2 鶏肉のカンピロバクタ鶏肉のカンピロバクタ 肉用鶏農場 食鳥処理場肉用鶏農場食鳥処理場消費・安全政策課微生物チーム 貴正 貴正 1
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  • 平成25年6月28日 農林水産省食品安全セミナー(微生物編) 資料2-2

    鶏肉のカンピロバクター鶏肉のカンピロバクタ

    (肉用鶏農場 食鳥処理場)(肉用鶏農場~食鳥処理場)

    消費・安全政策課微生物チーム佐々木 貴正佐々木 貴正

    1

  • カンピロバクター(微好気性らせん状桿菌)

    食中毒ジェジュニ(C jejuni)とコリ(C coli)の2菌種が良く検出ジェジュニ(C. jejuni)とコリ(C. coli)の2菌種が良く検出

    食中毒の症状摂食後2 5日で下痢 腹痛 悪寒 発熱摂食後2~5日で下痢、腹痛、悪寒、発熱

    *ギラン・バレー症候群(急速に発症する四肢筋力低下と腱反射消失を主徴とする自己免疫性末梢神経疾患)との関連性あり消失を主徴とする自己免疫性末梢神経疾患)との関連性あり

    主な原因食品食肉製品(特に鶏肉)食肉製品(特に鶏肉)

    C. jejuniとC. coliの特徴C j j iは鶏と牛の糞便から C liは豚の糞便から良く検出C. jejuniは鶏と牛の糞便から、C. coliは豚の糞便から良く検出乾燥、冷凍に弱い。30℃以下では増殖できない30℃以下では増殖できない。42℃でも増殖できる。 2

  • 国産鶏肉製品 カ ピ バクタ 汚染率国産鶏肉製品のカンピロバクター汚染率

    Suzukiらが2007年に2002以降に雑誌掲載された論文を収集・分析Suzukiらが2007年に2002以降に雑誌掲載された論文を収集 分析

    部 位 検出率(%)

    ムネ肉 59 9ムネ肉

    モモ肉

    59.9

    56.8

    肝 臓

    心 臓

    60.9

    33.3

    砂 肝 60.6

    (Suzuki H. and Yamamoto S., Food Control 20 (2009) p531-537; 一部抜粋) 3

  • ブロイラー農場のカンピロバクター保有状況ブロイラ 農場のカンピロバクタ 保有状況

    2007年度及び2009年度に国内の大手ブロイラー生産者に調査協力依頼し 5 000羽以上飼養する農場で調査を実施調査協力依頼し、5,000羽以上飼養する農場で調査を実施

    調査方法調査方法○ 農場の1鶏舎(鶏群)について、食鳥処理場への出荷2週間以内

    に鶏舎の5カ所から、新鮮盲腸便を採取し、mCCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレストン培地))を用いてカンピロバクター分離検査

    ○ 1検体でも陽性であれば その鶏群を陽性と判断○ 1検体でも陽性であれば、その鶏群を陽性と判断○ 飼養管理状況に関するアンケート調査も実施 4

  • カンピロバクター鶏群検出率

    2007年11月 2008年2月 124鶏群

    カンピロバクタ 鶏群検出率

    90 : 2007年11月-2008年2月:124鶏群

    : 2009年 9月-2010年2月:144鶏群

    70

    率(%

    )

    50

    ー検

    出率

    30

    ロハ

    ゙クター

    10

    カンピ

    9月-10月 11月-12月 1月-2月5

  • ブロイラー農場の衛生対策実施状況(2007年度の調査農場の結果)(2007年度の調査農場の結果)

    農場入口での車両・器具等の消毒 99%農場入 での車両 器具等の消毒 99農場単位のオールインオールアウト 98%アウト後の鶏舎の洗浄・消毒 100%

    空舎期14日以上の空舎期間 94%作業着の毎日交換 96%鶏舎毎に作業靴の洗浄・消毒 99%鶏舎毎に作業靴の洗浄・消毒 99%死亡・病鶏の毎日除去 100%ネズミ等の定期的駆除(3ヶ月) 96%ネ 等 定期的駆除( ヶ月)カンピロバクター清浄確認後の入雛 6%飲水の消毒 46%

    水の消毒以外の衛生対策は、9割以上の農場で実施している。水の消毒を行わない理由

    公営水道が整備され な公営水道が整備されていない。人も同じ水を飲んでいる(水道法上は飲用適) 6

  • カンピロバクター検出のリスク要因カンピロバクター検出のリスク要因アンケートとカンピロバクター検査結果を用いた多変量解析を実施

    ☆ 飲用水を消毒せずに使用がリスク要因☆ 飲用水を消毒せずに使用がリスク要因

    ただし、調査農場の9割以上は、、調査農場 割以 、1 農場入口で車両・器具等の消毒2 農場単位のオールインオールアウト3 アウト後の鶏舎の洗浄・消毒3 アウト後の鶏舎の洗浄 消毒4 14日以上の空舎期間5 作業着の毎日交換6 鶏舎毎に作業靴の洗浄・消毒6 鶏舎毎に作業靴の洗浄・消毒7 死亡・病鶏の毎日除去8 ネズミ等の定期的駆除(3ヶ月)を実施しており 飲水消毒だけ低い(半分以下)ことから 上記対策を行 たを実施しており、飲水消毒だけ低い(半分以下)ことから、上記対策を行った上で水を消毒すると効果が現れると考えられる。 7

  • ブロイラー農場で使用している水の調査ブロイラ 農場で使用している水の調査

    2008年度に8農場において、ヒナ導入時、導入後20日及び食鳥処理場への出荷直前時に農場で水を採取し カンピロバクター処理場への出荷直前時に農場で水を採取し、カンピロバクター検査を実施

    調査方法鶏舎外の蛇口から水1Lを採取し メンブランフィルタ で濾過鶏舎外の蛇口から水1Lを採取し、メンブランフィルターで濾過

    後、そのフィルターを10mLのプレストン液体培地で1日間培養し、培養液0.1mLをmCCDA培地で2日間培養する。し、培養液0.1mLをmCCDA培地で2日間培養する。

    8

  • 調査結果調査結果

    ○ 1農場の出荷直前時に採取された水から、C. jejuniを検出○ ただし この鶏群の糞便からは カンピロバクタ は未検出○ ただし、この鶏群の糞便からは、カンピロバクターは未検出

    少なくとも農場で使用している水にカンピロバクターがいる。

    未消毒水をしている農場に消毒装置を導入することでカンピロバクター汚染を低減できるか、研究事業・交付金で検証クタ 汚染を低減できるか、研究事業 交付金で検証

    9

  • 地鶏農場のカンピロバクター汚染状況地鶏農場のカンピロバクタ 汚染状況

    年 月 月に 地鶏農場 実施2011年1月~3月に21地鶏農場で実施

    地鶏肉の生産方法(JAS規格)①在来種由来血液百分率が50%以上であること②ふ化日から80日間以上飼育していること③28日齢以降平飼いで飼育していること④28日齢以降1 2当たり10羽以下で飼育していること④28日齢以降1m2当たり10羽以下で飼育していること

    調査方法ブロイラー農場の調査と同じイラ 農場 調査 同じ

    10

  • 調査結果調査結果

    ○ 21農場のうち 8農場(38%)からカンピ バクタ を検出○ 21農場のうち、8農場(38%)からカンピロバクターを検出○ 菌種は、ジェジュニが8株、コリが1株○ 8鶏群中6鶏群では 5検体のすべてが陽性○ 8鶏群中6鶏群では、5検体のすべてが陽性○ 薬剤感受性試験の結果、ブロイラー農場から検出される株と

    同じようにOTC耐性率が高かった。

    ○ 飼育期間がブロイラーよりも3週間以上長いが、カンピロバク○ 飼育期間がブロイラ よりも3週間以上長いが、カンピロバクター検出率は変わらない。

    ○ ブロイラーと同じ株が感染していた。

    11

  • 地鶏農場の衛生対策実施状況

    農場入口での車両・器具等の消毒 67%農場単位のオ ルインオ ルアウト 95%農場単位のオールインオールアウト 95%アウト後の鶏舎の洗浄・消毒 95%14日以上の空舎期間 100%14日以上の空舎期間 100%農場入口での更衣 62%鶏舎毎に作業靴の洗浄・消毒 67%死亡・病鶏の毎日除去 81%ネズミ等の定期的駆除(3ヶ月) 10%鶏舎周辺 の生石灰又は消石灰の散布 67%鶏舎周辺への生石灰又は消石灰の散布 67%飲水の消毒 76%

    ○ 一般的な衛生対策実施率は、ブロイラー農場よりも低い。○ 日令が高いこと、飼育密度が低い(2/3以下)こと、品種が

    異なることが影響している?異なることが影響している?12

  • 鶏肉のカンピロバクター鶏肉のカンピロバクタ

    食品安全委員会食品安全委員会2009年6月に微生物・ウイルス評価書(鶏肉中のカンピロバクター・ジェジュニ/コリ)を公表ロバクタ ジェジュニ/コリ)を公表

    (年間延べ1億5千万人がカンピロバクターに感染していると推定)

    ○ 食鳥処理場での汚染・非汚染鶏群の区分処理で44.0%○ 食鳥処理場での塩素濃度管理の徹底で21.4%○ 生食を80%減少させると69.6%○ 食鳥処理場での汚染 非汚染鶏群の区分処理を行 た○ 食鳥処理場での汚染・非汚染鶏群の区分処理を行った

    上で農場汚染率を低下させると最大の感染者数減少となる可能性の感染者数減少となる可能性

    13

  • 区分処理の実現可能性を考える上での考慮点

    1 鶏肉生産の観点1 鶏肉生産の観点

    (1)ヒナの導入から食鳥処理場出荷は年間スケジュールで管理(2)出荷時体重のばらつきは商品価値に大きく影響(2)出荷時体重のばらつきは商品価値に大きく影響(3)ブロイラーと銘柄鶏(商品価値が高い)を同一食鳥処理場で処理(4)食鳥処理当日に店頭販売( )食鳥処理当日 店頭販売(5)区分処理製品の差別化

    2 判断基準に関する問題

    (1)農場内に複数鶏舎がある場合には、鶏舎毎に検査が必要?(2)食鳥処理場でどの程度交叉汚染が起きているのか?(3)どういう検査をしたら、陰性と言えるのか?

    ・ サンプル、検体数、検査法、検査日等

    14

  • 農場内に複数鶏舎がある場合には、鶏舎毎に検査が必要?農場内に複数鶏舎がある場合には、鶏舎毎に検査が必要?

    食鳥処理場への出荷2週間前及び出荷1週間前に、農場内全鶏群の盲腸便(新鮮盲腸便5検体)を採取してカンピロバクター検査を実施

    調査方法調査方法○ 各検体について、mCCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレ

    ストン培地))を用いてカンピロバクター分離検査を実施ストン培地))を用いてカンピ クタ 分離検査を実施○ 1検体でも陽性であれば、陽性と判断

    15

  • 農場 鶏舎数出荷2週間前 出荷1週間前

    農場内に複数鶏舎がある場合には、鶏舎毎に検査が必要?

    農場 鶏舎数出荷 週間前 出荷 週間前

    陽性鶏舎数 菌種 陽性鶏舎数 菌種

    A 5 0 0B 2 2 C jejuni 2 C jejuniB 2 2 C. jejuni 2 C. jejuniC 3 0 0D 3 0 0E 3 0 2 C coliE 3 0 2 C. coliF 5 0 0G 4 0 0H 3 0 0H 3 0 0I 4 0 0J 3 1 C. jejuni 1 C. jejuniK 4 0 0K 4 0 0

    L 2 1 C. coli 2 C. jejuni, C. coli

    M 3 1 C. jejuni 3 C. jejuniN 3 0 1 C jejuniN 3 0 1 C. jejuniO 5 4 C. jejuni 5 C. jejuniP 6 3 C. jejuni 6 C. jejuniQ 3 2 C jejuni 3 C jejuniQ 3 2 C. jejuni 3 C. jejuniR 2 2 C. coli 2 C. coliS 4 4 C. jejuni 3 C. jejuni

    16

  • 調査結果

    ○ 出荷間際でもカンピロバクターは農場内に侵入する。○ 農場に一旦カンピロバクターが侵入すると農場内の鶏舎に伝

    播する播する。

    ○ 農場内の1鶏舎でもカンピロバクターが検出されたら、その農場の全鶏舎を陽性鶏舎と扱う必要があるのではないか?

    海外ではブロイラーは40日令前後で出荷されるので陽性農場内に陰性鶏舎と

    陽性鶏舎が混在していると報告。 しかし、日本では約10日遅く50日令で出荷されるので、陽性農場の鶏舎はほぼ全部陽性となる。

    17

  • 食鳥処理場でどの程度交叉汚染が起きているのか?

    9食鳥処理作業日の処理第1鶏群、第2鶏群、第3鶏群について、盲腸内容物(10羽)及び部分肉(モモ肉、ムネ肉、ささみ、肝臓及び筋胃について各5パック)のカンピロバクター検査を実施

    調査方法各検体について mCCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレ各検体について、mCCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレ

    ストン培地))を用いてカンピロバクター分離検査

    薬剤感受性試験薬剤感受性試験APBC、DSM、GM、OTC、CP、EM、NA及びERFXを使用

    遺伝子型別試験遺伝子型別試験

    フラジェリン遺伝子(flaA)による型別試験を実施した。

    ( 1993 C 31 1 31 1 36)(Nachamkin et al., 1993. J. Clin. Microbiol. 31, 1531-1536)18

  • 処理日

    農場 食鳥処理場

    農鶏舎

    糞便 盲腸内容 モモ ムネ ササミ 砂肝 肝

    Isolate場 数 Isolate Nb Isolate N Isolate N Isolate N Isolate N Isolate N Isolate

    9月1日

    I 2 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —L 2 J(6:O),C(2:DNR) 1 J(6:O),C(2:DNR) 3 J(6:O), C(2:DNR) 5 J(6:O),C(2:DNR) 1 J(6:O) 1 J(6:O) 0 —

    9月15日

    T 3 J(1:S)c 0 — 0 — 1 J(14:NR) 0 — 0 — 0 —A 5 — 4 J(1:S) 2 J(1:S) 4 J(1:S),J(14:NR) 0 — 0 — 1 J(14:NR)

    ( ) ( ) ( )M 3 J(7:A) 0 — 0 — 1 J(7:A) 0 — 1 J(7:A) 0 —

    9月2日

    W 3 NTd 8 J(1:NR),C(2:DOENR) 0 — 3J(1:NR),J(15:NR),

    C(2:DOENR) 4J(1:NR),

    C(2:DOENR) 2J(1:ONR),

    J(1:O) 0 —

    N 3 J(4:O) 1 C(2:DOENR) 4 J(1:O), J(1:NR),J(1:ONR) 3J(1:O),J(1:NR),

    J(1:ONR),J(15,NR) 2J(1:ONR),J(15:NR) 2

    J(1:O),J(15:O) 0 —

    10月13日

    J 2 J(5:S) 5 J(5:S) 5 J(5:S) 3 J(5:S) 1 J(5:S) 5 J(5:S) 2 J(5:S)K 3 — 0 — 2 J(5:S) 4 J(5:S) 2 J(5:S) 5 J(5:S) 1 J(5:S)O 5 J(4:S),J(4:O),J(8:S) 3 J(4:O) 1 J(5:S) 0 — 1 J(4:O) 2 J(4:O) 1 J(4:O)

    10月

    J 2 J(5:S) 9 J(5:S) 3 J(5:S) 4 J(5:S) 4 J(5:S) 5 J(5:S) 0 —

    B 2 J(2:AO),J(3:S),J(2:S) 10 J(2:AO),J(3:S) 5 J(3:S),J(5:S) 3 J(3:S),J(5:S) 2 J(3:S) 5 J(2:AO),J(2:O),J(3 S) J(5 S) 3 J(3:S)10月20日

    B 2 J(2 AO),J(3 S),J(2 S) 10 J(2 AO),J(3 S) 5 J(3 S),J(5 S) 3 J(3 S),J(5 S) 2 J(3 S) 5 J(3:S),J(5:S) 3 J(3 S)

    O 5 J(4:O),J(4:S),J(8:S) 10 J(4:O) 4 J(3:S),J(10:S) 5 J(4:O) 2 J(3:S),J(4:O) 5 J(4:O),J(5:S),J(10:S) 1 J(4:O)

    10月27日

    C 3 — 1 J(4:S) 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —D 3 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —

    J(4:S),J(10:S),J(11:O),27日 P 6 J(9:S),J(12:S) 7 J(4:S) 4 J(4:S) 4 J(4:S) 5 J(4:S) 5 J(4:O) 2 J(4:S)

    11月12日

    X 3 NT 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —Q 3 J(4:O),J(3:S),J(13:S) 1 J(4:O) 1 J(13:S) 3 J(13:S) 3 J(13:S) 2 J(4:O),J(13:S) 2 J(13:S)E 3 C(1:S) 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —F 5 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —

    11月26日 R 2

    C(2:DGE),C(2:DGOEN),C(2:DGOE),C(2:DONR),

    9 C(2:DGOEN),C(2:ADGOEN) 5C(2:ADON),

    C(2:DGOEN),C(2:ADGOEN)

    5 C(2:DGOEN),C(2:ADGOEN) 5C(2:ADO),

    C(2:ADGOEN) 5C(2:ADO),C(2:DOE),

    C(2:ADGOEN)4 C(2:ADO),C(2:ADGOEN)

    12月 G 4 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 — 0 —12月7日 H 3 — 0 — 0 — 0 — 0 — 1 J(7:S) 0 —S 4 J(7:S) 5 J(7:S) 5 J(7:S) 4 J(7:S) 2 J(7:S) 2 J(7:S) 3 J(7:S)

    a J: C. jejuni, C: C. coli, A: ampicillin, D: dihydrostreptomycin, G: gentamycin, O: oxytetracycline, E: erythromycin. N: nalidixic acid, R: enrofloxacin, S: susceptible. b The number of positive samples.c The underlined isolates were not obtained from flocks subjected to testing at the abattoir, but only from other flocks in each farm. d NT: not tested

    19

  • 調査結果

    ○ 陽性鶏群を処理すると部分肉は汚染され、最初に陰性鶏群を処理すると部分肉は陰性となる。

    ○ 陽性鶏群処理後に陰性鶏群を処理すると交叉汚染が生じる。○ だた、陽性鶏群の処理後に陰性鶏群が処理されるケースは

    そんなにないようだそんなにないようだ。

    ○ 今回は、定性試験しか実施していないが、海外報告では交叉汚染による汚染菌量は低い汚染による汚染菌量は低い。

    ○ 国内でも海外と同様であるのか定量試験を実施し、確認する。

    20

  • 食鳥処理場における交叉汚染の定量的調査食 場 汚染 定 調

    サンプリング1 2010年9月~2011年2月の間で10食鳥処理日を選定し、各食鳥

    処理日の第1鶏群、第2鶏群を調査鶏群とした。2 各鶏群の食鳥処理時に 盲腸内容物(10羽) チラ 水(開始2 各鶏群の食鳥処理時に、盲腸内容物(10羽)、チラー水(開始、

    中、最後)、と体(5羽)及び鶏肉(ムネ、ササミ及び肝臓:各5パック)を採取した。ク)を採取した。

    分離検査

    1 各検体について CCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレ1 各検体について、mCCDA培地(直接培養及び増菌培養(プレストン培地))を用いてカンピロバクター分離検査

    2 各検体を10倍段階希釈して mCCDA培地で培養した2 各検体を10倍段階希釈して、mCCDA培地で培養した。

    遺伝子型別試験

    フラジェリン遺伝子(flaA)による型別試験を実施した。

    (Nachamkin et al., 1993. J. Clin. Microbiol. 31, 1531-1536)21

  • 調査を実施した食鳥処理場の食鳥工程

    懸鳥

    電殺

    放血

    湯付

    脱羽

    弱酸

    ( 首切

    中抜

    洗浄

    調査を実施した食鳥処理場の食鳥工程

    鳥殺血付け

    羽 酸性塩素

    (

    スプレー)

    切除

    抜き

    )

    素肝素嚢切除

    肝臓切除

    予弱

    (ムネ、 手

    羽切除

    再懸鳥

    本チラー

    予備チラ

    弱酸性塩素

    (

    スプレー

    洗浄

    と体切断

    部分肉

    、モモ、サ 除鳥ーー 素

    水ー)断肉サ

    サミ等)

    22

  • 盲腸内容物、と体及び鶏肉(ムネ、ササミ及び肝臓)中のカンピロバクター菌量(対数)カンピ バクタ 菌量(対数)

    処理日盲腸内容物 と体 ムネ ササミ 肝臓

    農場 陽性 cfu/g± SD 陽性 cfu/と体± SD 陽性 cfu/g± SD 陽性 cfu/g± SD 陽性 cfu/g± SD

    9月7日FA 10 5.1 ± 0.8 5 3.0 ± 0.3 5 2.0 4 2.0 5 2.2 ± 0.2FB 10 6 4 ± 0 7 5 5 9 ± 0 6 5 2 1 ± 0 1 5 2 0 5 3 3 ± 0 6

    月FB 10 6.4 ± 0.7 5 5.9 ± 0.6 5 2.1 ± 0.1 5 2.0 5 3.3 ± 0.6

    9月27日FC 10 5.6 ± 1.0 5 2.4 ± 0.4 5 2.0 1 2.0 5 3.3 ± 1.2FA 10 6.3 ± 0.6 5 4.0 ± 0.7 5 2.0 5 2.0 5 2.4 ± 0.1

    10月19日FA 10 6.5 ± 0.8 5 4.7 ± 0.9 5 2.1 ± 0.1 4 2.0 5 2.7 ± 0.5

    10月19日FA 0 6.5 0.8 5 4.7 0.9 5 2. 0. 4 2.0 5 2.7 0.5FD 10 7.2 ± 0.4 5 4.4 ± 1.0 5 2.2 ± 0.2 5 2.1 ± 0.1 5 2.8 ± 0.3

    10月26日FA 10 6.9 ± 0.6 5 4.2 ± 0.8 5 2.0 3 2.0 5 2.5 ± 0.3FE 10 6.2 ± 1.0 5 3.5 ± 0.2 5 2.2 ± 0.1 5 2.0 5 2.8 ± 0.2

    11月16日FA 10 5.4 ± 1.3 5 4.2 ± 0.5 5 2.0 1 2.0 5 2.4 ± 0.6FF 0 5 2.0 ± 0.2 1 2.0 2 2.0 5 2.0

    11月30日FG 10 5.0 ± 1.2 5 4.2 ± 0.7 5 2.0 4 2.0 5 2.2 ± 0.2FH 10 5 8 ± 1 3 5 4 1 ± 0 3 5 2 0 4 2 0 5 2 7 ± 0 3FH 10 5.8 ± 1.3 5 4.1 ± 0.3 5 2.0 4 2.0 5 2.7 ± 0.3

    12月7日FA 10 4.9 ± 0.8 5 4.9 ± 1.0 5 2.0 5 2.0 5 3.5 ± 1.1FI 10 4.5 ± 1.2 5 3.7 ± 0.5 5 2.0 2 2.0 5 2.1 ± 0.2

    1月18日FA 6 4.3 ± 0.2 5 2.2 ± 0.5 5 2.0 0 5 2.4 ± 0.5

    1月18日FD 10 5.0 ± 0.6 5 3.6 ± 0.8 4 2.0 4 2.0 5 2.5 ± 0.4

    2月15日FG 0 5 1.7 0 0 0FJ 10 5.8 ± 1.0 5 3.3 ± 0.8 5 2.2 ± 0.2 5 2.0 ± 0.1 5 2.5 ± 0.2FA 10 5 8 ± 0 6 5 3 4 ± 0 5 5 2 0 5 2 0 5 2 8 ± 0 6

    2月22日FA 10 5.8 ± 0.6 5 3.4 ± 0.5 5 2.0 5 2.0 5 2.8 ± 0.6FK 10 5.9 ± 0.9 5 3.4 ± 0.7 5 2.0 5 2.0 5 2.6 ± 0.4

    計 176/200 100/100 90/100 69/100 95/10023

  • 分離されたカンピロバクターのフラジェリン遺伝子型

    処理日 農場 盲腸内容物 チラー水 と体 ムネ ササミ 肝臓

    9月7日FA J2, C1, C2 J2 J2 J2 J2 J2

    FB J10, C1 J10 J10 J2, J10 J2, J10 J10

    FC J8 J5 J8 J12 J8 J8 J89月28日

    FC J8 J5 J8, J12 J8 J8 J8

    FA J8, C1 J1, J12 J8 J8, C1 J8 J8

    10月19日FA J1 — J1 J1 J1 J1

    FD J10 C1 J10 J5 J10 J10 J1 J10 J10FD J10, C1 J10 J5, J10 J10 J1, J10 J10

    10月26日FA J1 J1 J1 J1 J1 J1

    FE J8 J8 J1, J8, C1 J1, C1 J8 J1, J8, C1

    FA J5 J8 C1 — J2 C1 J5 C1 C3 J8 J2 J8 C1 C211月16日

    FA J5, J8, C1 J2, C1 J5, C1, C3 J8 J2, J8, C1, C2

    FF — — J2, J8 J5 J5, J8 J2, J8, C1

    11月30日FG J6, J11 J6 J6, J11 J6, J11 J6, J11 J7, J11

    FH J1 — J1 J11 J1 J6 J1FH J1 J1 J11 J1, J6 J1

    12月7日FA J8 J8 J5 J5, J8 J5, J8 J2, J8, C4

    FI J1 — J1 J1 J2, J8 J1, J8

    FA J8 J9 — J8 J8 — J81月18日

    FA J8, J9 J8 J8 J8

    FD J8 — J8 J8 J8 J8

    2月15日FG — — J4, J12 — — —

    FJ J4 J4 J4 J4 J4 J4FJ J4 J4 J4 J4 J4 J4

    2月22日FA J8 J8 J8 J8 J8 J8

    FK J4, J8 J8 J8 J8 J4, J8 J824

  • 調査結果

    ○ カンピロバクター陽性鶏群では、鶏群内感染率が高かった。

    ○ 感染鶏の盲腸内容物中には、多くのカンピロバクターが存在した。(平均5.7log10 cfu/g で、4.0log10 cfu/g以上が95.5%を占めた。)

    ○ 陰性鶏群が陽性鶏群の後に食鳥処理されたのは、1日(11月16日のFF)のみであった。

    ○ この陰性鶏群に由来すると体及び鶏肉製品からカンピロバクターが検出されたが検出された。ただし、その汚染菌量は、と体では陽性鶏群が3.8log10 cfu/と体であるのに対し、陰性鶏群は2.0log10 cfu/と体と1.8log10 cfu/と体、であるのに対し、陰性鶏群は2.0log10 cfu/と体と1.8log10 cfu/と体、また、肝臓では、陽性鶏群が2.6log10 cfu/gであるのに対し、陰性鶏群は2.0log10 cfu/gと0.6log10 cfu/gも少なかった。

    25

  • チラー水中のカンピロバクター(log10 cfu/200ml)及び一般細菌 (TAB)(log10 cfu/ml)の菌数及び遊離残留塩素濃度 (FAC) (mg/l)

    処理 農場 採取時期 C l b TAB FAC 処理 農場 採取時期 C l b TAB FAC処理日 農場 採取時期 Campylobacter TAB FAC 処理日 農場 採取時期 Campylobacter TAB FAC

    9月7日

    FA

    直後 ― ― 9.0

    11月30日

    FG

    直後 ― ― 12.0

    中間 + 1.9 1.0 中間 + ― 16.0

    最後 1.5 1.6 11.0 最後 ― ― 13.0

    直後 + 2.2 3.0 直後 ― ― 11.0

    FB

    直後 2.2 3.0

    FH

    直後 11.0

    中間 2.3 2.1 3.0 中間 ― ― 15.0

    最後 2.5 2.5 4.0 最後 ― ― 18.0

    FC直後 ― ― 0.4

    FA直後 ― ― 18.0

    中間 ― ― 2.2 中間 + ― 24.0最後 1 2 0 2 最後 23 0

    9月28日 12月7日最後 + 1.2 0.2 最後 ― ― 23.0

    FA

    直後 1.0 2.7 0.5

    FI

    直後 ― ― 21.0

    中間 1.6 2.8 0.3 中間 ― ― 15.0

    最後 1.0 2.7 0.2 最後 ― 0.3 17.0

    直後 ― 0.5 1.3 直後 ― ― 15.0

    10月19日

    FA

    直後

    1月18日

    FA

    直後

    中間 ― ― 1.0 中間 ― ― 11.0

    最後 ― 1.5 2.0 最後 ― ― 3.0

    FD

    直後 + 1.5 7.0

    FD

    直後 ― ― 1.0

    中間 1.3 1.9 2.2 中間 ― 0.8 1.0

    最後 1 5 2 5 1 0 最後 1 3 4 0最後 1.5 2.5 1.0 最後 ― 1.3 4.0

    10月26日

    FA

    直後 ― ― 2.0

    2月15日

    FG

    直後 ― ― 8.0

    中間 1.0 ― 4.0 中間 ― ― 1.0最後 ― 1.2 2.1 最後 ― 2.3 1.6直後 ― 2.7 0.5 直後 + 2.4 1.0

    FE

    直後

    FJ

    直後

    中間 1.0 2.8 2.6 中間 2.7 2.1 2.0

    最後 1.0 2.7 2.1 最後 2.5 2.4 1.0

    FA

    直後 ― ― 2.0

    FA

    直後 ― ― 4.0

    中間 ― ― 7.0 中間 1.0 ― 1.0

    最後 4 0 最後 1 0 1 6 0 811月16日 2月22日

    最後 ― ― 4.0 最後 1.0 1.6 0.8

    FF

    直後 ― 0.5 3.0

    FK

    直後 + 1.6 1.0

    中間 ― 2.3 3.0 中間 1.8 2.3 1.0

    最後 ― ― 5.0 最後 1.0 2.3 1.026

  • 調査結果調査結果

    ○ すべての検体から遊離残留塩素が検出された。○ すべての検体から遊離残留塩素が検出された。

    ○ カンピロバクター及び一般細菌ともに時間経過とともに汚染が増強される傾向であった。

    ○ 11月16日(交叉汚染の可能性がある )の検体からは カン○ 11月16日(交叉汚染の可能性がある。)の検体からは、カンピロバクターは検出されなかった。

    27

  • まとめまとめ

    ○ 陽性鶏群の後に陰性鶏群が食鳥処理されると と体及び○ 陽性鶏群の後に陰性鶏群が食鳥処理されると、と体及び鶏肉は陽性鶏群由来のカンピロバクターに交叉汚染された。

    ○ ただし、と体の汚染菌量は陽性鶏群の65分の1、肝臓は4分の1程度であった。

    ○ 交叉汚染された陰性鶏群由来鶏肉によるカンピロバクター食中毒のリスクは 陽性鶏群由来鶏肉よりも低いと考えられる毒のリスクは、陽性鶏群由来鶏肉よりも低いと考えられる。

    ○ 食鳥処理場に搬入される鶏群の陽性率が高率な場合は、鶏群○ 食鳥処理場 搬入される鶏群の陽性率 高率な場合は、鶏群陽性率を下げることを優先すべきと考えられる。

    28

  • 今後の取組方針

    ○ カンピロバクター食中毒は、5~9月間の発生件数が多いため、その期間の鶏群及び鶏肉のカンピロバクター保有状況を把握する。

    ○ 肉用鶏農場から検出されるカンピロバクターの由来(家畜、野生動物?)を特定する動物?)を特定する。

    ○ カンピロバクター陽性農場が飲用水を消毒することでカンピロバ○ カンピロバクタ 陽性農場が飲用水を消毒することでカンピロバクターを排除できるのか検証する。

    ○ 収集されたデータを基に、最適なカンピロバクター食中毒低減対策を検討する。

    29

  • 論文公表論文公表

    1 Risk factors for Campylobacter colonization in broiler flocks in Japan.py p(Sasaki et al., 2011. Zoonoses and Public Health 58: 350 – 356)

    2 Prevalence and antimicrobial susceptibility of Campylobacter in broiler2 Prevalence and antimicrobial susceptibility of Campylobacter in broiler flocks in Japan.

    (Haruna et al., 2012. Zoonoses and Public Health 59: 241 – 245)

    3 Campylobacter cross-contamination of chicken products at an abattoir.(Sasaki et al., 2013. Zoonoses and Public Health 60: 134 – 140)

    4 ブロイラー農場におけるカンピロバクター・ジェジュニ及びサルモネラ属菌の侵入経路調査

    (村上ら, 2013. 獣医畜産新報 66: 117 – 122)

    5 地鶏群におけるカンピロバクター、サルモネラ及びListeria monocytogenesy gの保有状況

    (佐々木ら, 2013.獣医畜産新報 採択) 30


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