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Illumina TruSeq Stranded mRNAサンプル調製キットを用いた ......Abstract...

Date post: 31-Jan-2021
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Abstract ベックマン・コールター、インディアナ大学の Center for Genomics and Bioinformatics、および Illumina 社による共同研究の末、Biomek FX P を用いた Illumina 社製の TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットのオートメーション化に成功しました。このオートメーションメソッド を用いれば、Illumina 社製のシークエンサーで解析可能な高品質の stranded mRNA シークエンシングライブラリーを構築することができま す。Illumina HiSeq 2500 および MiSeq プラットフォームを用いてこのオートメーションメソッドで構築したライブラリーを解析したところ、 ヒューマンエラーのリスクを低減すると同時に、標的特異性、均一性、およびストランド特異性に優れたシークエンシングデータが得られ、 テンプレートサンプルのクロスコンタミネーションは検出されないことが確認されました。 Introduction 次世代シークエンシング(NGS)プラットフォームは進歩し続けており、今日では、比較的低いコストで比類ない水準の処理能力を発揮するこ とができます。このような進歩により、発生、挙動および疾患を含めた幅広い範囲の生物学的なプロセスの遺伝的およびエピジェネティック な要因を理解するためのより大規模なゲノム研究が可能となりました。 大量のシークエンシングライブラリーを手作業によって調製するためには多くの労力と時間を必要とし、このようなマニュアル調製は、 Illumina 社のシークエンシングシステムの高い処理能力を十分に活用するためのボトルネックとなっています。また、このようなマニュアル 操作には、ヒューマンエラーの高いリスクが伴います。 Biomek FX P ラボラトリーオートメーションシステムは、有害と考えられる化学物質の実験者への暴露の低減と同時に、NGS サンプル調製の 自動化に必要とされるすべての操作(貴重なサンプルや高価な試薬を少ないデッドボリュームで利用するピペッティング、加熱、冷却、振盪、 プロトコールに規定された反応温度を厳密に維持するためのサーマルサイクラーの実行を含む)を一つのオートメーションシステムで実施す ることが可能です。Biomek FX P は、NGS プラットフォームを有効に活用するために必要な高いスループットを持ち、かつリーズナブルなコ ストで、高品質のテンプレートライブラリーを安定して作製することができるパワー、柔軟性、そして効率性を兼ね備えています。 TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットは、ストランドの方向の正確な同定、均一なカバレッジ、選択的スプライシングおよび融合遺伝 子の信頼性の高いマッピング、および対立遺伝子特異的な発現の検出により、mRNA トランスクリプトームの全体像を解析することが可能で す。キット化されていることにより、簡単にこのような様々な特徴を解明できることに加え、96 種類のデュアルインデックスを用いることに より、非常に正確でコスト効率の高い遺伝子発現量のマルチプレックス定量が可能です。 Biomek FX P 自動分注システムによる Illumina TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いた ハイスループットなライブラリー構築 Author Zach Smith and Scott D. Michaels The Center for Genomics and Bioinformatics Indiana University Bloomington, IN USA Mary Blair Life Science Division Beckman Coulter, Inc. Indianapolis, IN USA
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  • Abstractベックマン・コールター、インディアナ大学の Center for Genomics and Bioinformatics、および Illumina 社による共同研究の末、Biomek FXP

    を用いた Illumina 社製の TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットのオートメーション化に成功しました。このオートメーションメソッドを用いれば、Illumina 社製のシークエンサーで解析可能な高品質の stranded mRNA シークエンシングライブラリーを構築することができます。Illumina HiSeq 2500 およびMiSeq プラットフォームを用いてこのオートメーションメソッドで構築したライブラリーを解析したところ、ヒューマンエラーのリスクを低減すると同時に、標的特異性、均一性、およびストランド特異性に優れたシークエンシングデータが得られ、テンプレートサンプルのクロスコンタミネーションは検出されないことが確認されました。

    Introduction次世代シークエンシング(NGS)プラットフォームは進歩し続けており、今日では、比較的低いコストで比類ない水準の処理能力を発揮することができます。このような進歩により、発生、挙動および疾患を含めた幅広い範囲の生物学的なプロセスの遺伝的およびエピジェネティックな要因を理解するためのより大規模なゲノム研究が可能となりました。

    大量のシークエンシングライブラリーを手作業によって調製するためには多くの労力と時間を必要とし、このようなマニュアル調製は、Illumina 社のシークエンシングシステムの高い処理能力を十分に活用するためのボトルネックとなっています。また、このようなマニュアル操作には、ヒューマンエラーの高いリスクが伴います。

    Biomek FXP ラボラトリーオートメーションシステムは、有害と考えられる化学物質の実験者への暴露の低減と同時に、NGS サンプル調製の自動化に必要とされるすべての操作(貴重なサンプルや高価な試薬を少ないデッドボリュームで利用するピペッティング、加熱、冷却、振盪、プロトコールに規定された反応温度を厳密に維持するためのサーマルサイクラーの実行を含む)を一つのオートメーションシステムで実施することが可能です。Biomek FXP は、NGS プラットフォームを有効に活用するために必要な高いスループットを持ち、かつリーズナブルなコストで、高品質のテンプレートライブラリーを安定して作製することができるパワー、柔軟性、そして効率性を兼ね備えています。

    TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットは、ストランドの方向の正確な同定、均一なカバレッジ、選択的スプライシングおよび融合遺伝子の信頼性の高いマッピング、および対立遺伝子特異的な発現の検出により、mRNAトランスクリプトームの全体像を解析することが可能です。キット化されていることにより、簡単にこのような様々な特徴を解明できることに加え、96 種類のデュアルインデックスを用いることにより、非常に正確でコスト効率の高い遺伝子発現量のマルチプレックス定量が可能です。

    Biomek FXP 自動分注システムによるIllumina TruSeq Stranded mRNAサンプル調製キットを用いた ハイスループットなライブラリー構築

    AuthorZach Smith and Scott D. MichaelsThe Center for Genomics and Bioinformatics Indiana UniversityBloomington, IN USA

    Mary Blair Life Science Division Beckman Coulter, Inc. Indianapolis, IN USA

  • Table 1. Illumina PCR-Free オートメーションメソッドの実施時間

    24 サンプル 48 サンプル 96 サンプル

    cDNA Synthesis: Day 1

    試薬の準備 25 min 27 min 30 min

    オートメーションメソッド 4 hrs 4 hrs 10 min 4 hrs 50 min

    Total 4 hrs 25 min 4 hrs 37 min 5 hrs 10 min

    Library Construction: Day 2

    試薬の準備 25 min 27 min 30 min

    オートメーションメソッド 2 hrs 30 min 2 hrs 40 min 3 hrs 5 min

    Total 2 hrs 55 min 3 hrs 7 min 3 hrs 35 min

    Total 7 hrs 20 min 7 hrs 54 min 8 hrs 55 min

    本アプリケーションノートでは、Biomek FXP で Illumina TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いるトランスクリプトームライブラリー構築のオートメーション化について記述します。1~ 96 のサンプルを同時に調製することができ、マウスを数回クリックして、必要なキットの試薬をリザーバに注ぐだけでセットアップが完了します。 Biomek FXP の高い柔軟性により、反応のセットアップの簡便性を高めスピードを向上させています。セットアップ後は、total RNA からのmRNA の精製および、断片化、一本鎖 cDNA 合成、二本鎖 cDNA 合成、AMPure XP による精製、3′末端の A-tailing およびアダプターライゲーション、AMPure XP による 2回の精製、および PCR による増幅処理が自動的に行われます。最終的に、わずか 2日間で、50 ng*1 という微量のmRNAから、そのまま直接シークエンシングすることが可能な 96サンプルのライブラリーが構築されます。これらオートメーション化されたシステムにより、均一なインサート長で、アダプターダイマーが最小限に抑えられ、リボソーム RNAの配列が少なく、参照ゲノムとの相同性が高い高品質のライブラリーを得ることが可能で、トランスクリプトームを詳細に解析することが可能です。これらの工程は非常に短いハンズオンタイムで実施することができ(Table 1)、サンプルのクロスコンタミネーションは検出されません。

    Materials

    Reagents Supplier

    TruSeq Stranded mRNA Sample Preparation Kits Illumina, San Diego, CA

    AMPure XP Beckman Coulter, Brea, CA

    RiboGreen Life Technologies, Carlsbad, CA

    PicoGreen Life Technologies, Carlsbad, CA

    R6K ScreenTape Agilent Technologies, Santa Clara, CA

    MiSeq Rapid SBS 200 Cycle Kit Illumina

    Tomato RNA

    Drosophila RNA

    Daphnia pulex RNA

    Tribolium RNA

    Enchenopa binotata RNA

    Umbonia crassicornis RNA

    RNA samples provided by various researchers in the department of

    Biology at Indiana University

    Universal Human Reference RNA Agilent Technologies

    TapeStation 2200 DIK High Sensitivity Screentape with the associated

    reagents and consumables

    Agilent Technologies

  • Results and Discussion Setting up Library Construction

    Biomek FXP のユーザーインターフェースで、オートメーションによるライブラリー構築(サンプル数 96)をセットアップしました(Figure 1および 2)。使用するメソッドは TruSeq Stranded mRNA または TruSeq RNA v2 のいずれかを選択することができますが、本アプリケーションノートでは TruSeq Stranded mRNA を用いるメソッドについてのみ記述します。このオートメーションメソッドは柔軟性が高く、実行する処理工程をユーザーが選択することができます。また、ユーザーが作成した分注ファイルを選択することにより、アダプターに使用するラブウェアに独自のカスタムプレートを使用したり、どのサンプルにどのアダプターを使用するかを選択したりすることもできます。さらに、ライブラリーを増幅するための PCR 反応のセットアップも自動的に実施することが可能です(Figure 1)。

    すべてのパラメータが入力されると、Biomek FXP ソフトウェアの試薬計算ツールが表示されます。このツールには各試薬の必要量が示され、必要な試薬の調製方法に関して確認することが可能です(Figure 2)。

    Figure 1. メソッド実行時の主要パラメータを迅速かつ柔軟に設定できる直感的なユーザーインターフェース。

    Figure 2. ミスを回避するため、試薬の必要量を自動的に計算して表示します。

    Sample Layout

    ウェル間のクロスコンタミネーションを評価するため、シークエンシング用の RNAサンプルを 96 ウェルプレートに Table 2のように配置しました。さまざまな動植物種から得たライブラリーは、ライブラリー調製のアダプターライゲーションの段階で付加した個別のインデックス配列をシークエンシングすることによって識別することができます。クロスコンタミネーションが発生した場合も、特定のライブラリーからシーケンスされたリードを隣接するウェルで調製した参照ゲノムにマッピングすることにより、これを検出することができます。total RNAのインプット量は、ライブラリー構築用プレートの 11 列および 12 列のトマトのライブラリーを除く他のすべてのライブラリーで 1 µg としました。11 列および 12 列のトマトのライブラリーについては、3 µg の total RNA からライブラリー構築を開始しました。

  • Consistent Library Results

    本メソッドの開始前に、Table 2に示した各サンプルの total RNAを容量 50 µL となるよう調製しました。RNAの断片化は 94°Cで 7分間行い、ライブラリー構築には Illumina RAP プレートのアダプターを使用しました。増幅前のライブラリーを最終容量 20 µL となるよう溶出し、うち 10 µL を 15 サイクルの PCR 増幅に用いました。増幅後のライブラリーは、精製後 25 µL の 10 mM Tris(pH 8.5)中に溶出しました。

    アダプターを付加したライブラリーは、Agilent 2200 TapeStationを用いて分析しサイズの均一性を確認しました。Figure 3に示した結果は、96 サンプルのすべてにわたってサイズ分布が非常に一致していることを表しています。

    High Quality, Consistent Sequencing Reads

    TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いて 96 のライブラリーを構築した後、このうち 24 サンプルを Illumina 社製HiSeq 2500 の 2 レ ー ン(Read1, 2) で TruSeq Rapid SBS Kit-HS(200 Cycle)を用いてシークエンシングしました。データの解析は、Illumina 社および Center for Genomics and Bioinformatics の研究員らが行いました。HiSeq 2500 による解析結果は良好であり、トリム後に得られたリード数は 572,468,106 でした。

    続いて、各サンプルごとのリード総数、塩基総数、および Q30以上の塩基数をカウントしました。Figure 4に示したとおり、Biomek FXP を用いて構築した 24 のライブラリーのシークエンシングにおけるリード数は非常に一貫していました。また、 Figure 5に示すとおり、大部分のリードはQスコアが 30 を超える塩基で構成されており、本メソッドで構築したライブラリーは塩基数においても高い再現性を有することが示されました。 Figure 6に、シークエンシングによるライブラリーごとの総塩基数の合計を示しています。 Figure 4. Illumina HiSeq 2500 による Read1 および Read2 のパス

    フィルターリード。

    Table 2. 96 ウェルプレート上での RNAテンプレートサンプルのセットアップSPECIES TYPE

    Row /column 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    A Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato Human UHR D. melanogaster D. melanogaster D. pulex Tribolium Tribolium Tomato

    B Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster Human UHR D. pulex Tribolium Human UHR Tomato

    C Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster Enchenopa binotata D. pulex Tribolium D. melanogaster Tomato

    D Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster Umbonia crassicornisHuman UHR Tribolium D. melanogaster Tomato

    E Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster Human UHR D. pulex Tribolium Tomato Tomato

    F Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster D. pulex Tribolium Human UHR Tomato Tomato

    G Tomato Tomato Tomato Tomato Tomato D. melanogaster D. melanogaster D. pulex Tribolium Human UHR Tomato Tomato

    H Tomato Tomato Tomato Tomato Human UHR D. melanogaster Human UHR D. pulex Tribolium Tribolium Tomato Tomato

    Figure 3. Biomek FXP で TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いて構築した 96 のライブラリーの Agilent 2200 TapeStation による分析結果。

  • Figure 5. Illumina HiSeq 2500 に よ る Read1 お よ び Read2 における高品質リードの割合。

    Figure 6. ライブラリーごとの総塩基数(Read1 と Read2 の合計)。

    Highly Effi cient Interrogation of the Transcriptome

    いかなるトランスクリプトームのシークエンシングプロジェクトにおいても、無関係のシーケンスリードを最小限に抑え、RNA転写産物に関する情報を最大化することが重要です。Biomek FXP および TruSeq Stranded mRNA キットを用いて構築したヒト RNAのライブラリーでは、ほぼ完全に polyA RNA が解析対象とされ、アダプターダイマー、polyA RNA に一致しない配列、およびリボソーム RNA(5s RNA)またはミトコンドリア RNAに一致する配列の割合が非常に低いという結果が得られました(Table 3)。

    Table 3. PF リードの主な結果UHR LIBRARY READ % ALIGNED % UNALIGNED % HUMRIBOSOMAL % ADAPTER DIMER

    UHR2-1 ssRNA TruSeq Library 1 95.6% 4.4% 0.9% 0.2%

    UHR2-2 ssRNA TruSeq Library 1 95.5% 4.5% 1.2% 0.3%

    UHR2-3 ssRNA TruSeq Library 1 95.9% 4.1% 0.9% 0.1%

    UHR2-4 ssRNA TruSeq Library 1 95.1% 4.9% 0.9% 0.3%

    UHR2-5 ssRNA TruSeq Library 1 95.2% 4.8% 1.1% 0.2%

    UHR2-7 ssRNA TruSeq Library 1 95.5% 4.5% 13.0% 0.2%

    UHR2-8 ssRNA TruSeq Library 1 95.5% 4.5% 2.4% 0.2%

    UHR2-9 ssRNA TruSeq Library 1 94.4% 5.6% 1.1% 0.5%

    UHR2-1 ssRNA TruSeq Library 2 93.3% 6.7% 0.9% 0.2%

    UHR2-2 ssRNA TruSeq Library 2 93.4% 6.6% 1.2% 0.3%

    UHR2-3 ssRNA TruSeq Library 2 94.0% 6.0% 0.9% 0.1%

    UHR2-4 ssRNA TruSeq Library 2 92.8% 7.2% 0.9% 0.3%

    UHR2-5 ssRNA TruSeq Library 2 92.7% 7.3% 1.1% 0.2%

    UHR2-7 ssRNA TruSeq Library 2 93.5% 6.6% 13.0% 0.2%

    UHR2-8 ssRNA TruSeq Library 2 93.2% 6.9% 2.4% 0.2%

    UHR2-9 ssRNA TruSeq Library 2 92.1% 7.9% 1.1% 0.6%

  • Table 4. シーケンス結果

    UHR LIBRARY READPOLYA(% OF PF READS)

    DUPLICATES(%)

    MEDIAN CV COVERAGE

    CORRECT STRAND (% OF ALIGNED READS)

    PF READ COUNT

    PF BASES(GB)

    PF BASES > Q30 (% OF PF BASES)

    UHR2-1 ssRNA TruSeq Library

    1 0.15% 1.53% 0.5242 99.28% 9,108,330 0.6831 93.06%

    UHR2-2 ssRNA TruSeq Library

    1 0.14% 1.35% 0.5105 99.43% 11,269,877 0.8452 93.60%

    UHR2-3 ssRNA TruSeq Library

    1 0.16% 1.46% 0.5347 99.39% 4,570,360 0.3428 93.32%

    UHR2-4 ssRNA TruSeq Library

    1 0.15% 1.45% 0.5195 99.36% 9,870,498 0.7403 92.95%

    UHR2-5 ssRNA TruSeq Library

    1 0.14% 1.62% 0.5217 99.38% 11,788,148 0.8841 92.72%

    UHR2-7 ssRNA TruSeq Library

    1 0.14% 1.79% 0.5364 99.52% 14,299,293 1.0724 92.51%

    UHR2-8 ssRNA TruSeq Library

    1 0.14% 1.56% 0.5174 99.45% 14,186,244 1.064 92.89%

    UHR2-9 ssRNA TruSeq Library

    1 0.14% 1.53% 0.5197 99.39% 12,493,267 0.937 92.80%

    UHR2-1 ssRNA TruSeq Library

    2 0.27% 1.53% 0.5242 99.28% 9,108,330 0.6831 88.38%

    UHR2-2 ssRNA TruSeq Library

    2 0.27% 1.35% 0.5105 99.43% 11,269,877 0.8452 89.71%

    UHR2-3 ssRNA TruSeq Library

    2 0.27% 1.46% 0.5347 99.39% 4,570,360 0.3428 89.44%

    UHR2-4 ssRNA TruSeq Library

    2 0.28% 1.45% 0.5195 99.36% 9,870,498 0.7403 88.75%

    UHR2-5 ssRNA TruSeq Library

    2 0.29% 1.62% 0.5217 99.38% 11,788,148 0.8841 88.09%

    UHR2-7 ssRNA TruSeq Library

    2 0.28% 1.79% 0.5364 99.52% 14,299,293 1.0724 87.62%

    UHR2-8 ssRNA TruSeq Library

    2 0.25% 1.56% 0.5174 99.45% 14,186,244 1.064 87.65%

    UHR2-9 ssRNA TruSeq Library

    2 0.30% 1.53% 0.5197 99.39% 12,493,267 0.937 88.30%

    High Coverage Uniformity

    精確なシークエンシングには、効率性とトランスクリプトーム全体にわたる均一なカバレッジを兼ね備えている必要があり、重複断片および polyA のみの断片が少なく、正しいストランドのリードが高い割合を占めていなければなりません。カバレッジの均一性は、1000 遺伝子(5′から3′)のカバレッジを解析し、塩基ごとのリード回数を平均することによって評価しました。1000遺伝子それぞれに関して、各塩基のリード回数の CVを算出し、続いて、これら 1000 遺伝子のすべてを一つのグラフにプロットして、CVの中央値(Table 4のMedian CV)を算出します。CVの中央値が小さいほど、カバレッジの均一性は高く、5'/3' バイアスが生じる可能性は低くなります。

    Table 4は、ヒト RNAのライブラリーにおけるシークエンシング結果のカバレッジ均一性が高いこと、ならびに polyA のみの断片および重複断片の割合が低いことを示しています。mRNAシークエンシングおける重複断片は、PCR 時に生成される場合と、転写産物レベルに起因する場合があるため、解釈に注意が必要です。また、このメソッドにより構築したmRNAライブラリーでは、正しいストランドが非常に高い割合を占めています。

  • Table 5. 参照ゲノムへのマッピング

    LIBRARY PLATEWELL

    SPECIESTOTAL READS (ALL LANES, ALL READS)

    REFERENCE GENOME MAPPING PERCENTAGES

    Daphnia Drosophila H. sapiens Tomato Tribolium unassigned

    E7 Drosophila 19,214,090 0.000% 86.811% 0.026% 0.030% 0.016% 13.117%

    F7 Drosophila 24,124,996 0.000% 84.878% 0.021% 0.022% 0.000% 15.078%

    G7 Drosophila 23,859,338 0.000% 84.326% 0.020% 0.015% 0.000% 15.639%

    A8 Drosophila 24,089,160 0.000% 83.621% 0.088% 0.002% 0.041% 16.248%

    C11 Drosophila 25,074,808 0.000% 84.404% 0.014% 0.003% 0.033% 15.546%

    D11 Drosophila 20,772,508 0.000% 84.682% 0.012% 0.003% 0.027% 15.276%

    C8 Enchenopa 22,757,524 0.015% 0.109% 0.030% 0.008% 0.043% 99.796%

    H5 Human 18,216,660 0.008% 0.001% 81.131% 0.005% 0.012% 18.844%

    A6 Human 22,539,754 0.011% 0.006% 81.103% 0.003% 0.003% 18.875%

    H7 Human 9,140,720 0.008% 0.005% 81.833% 0.002% 0.020% 18.132%

    B8 Human 19,740,996 0.007% 0.002% 81.000% 0.002% 0.000% 18.989%

    E8 Human 23,576,296 0.010% 0.022% 80.714% 0.049% 0.023% 19.183%

    F10 Human 28,598,586 0.148% 0.009% 75.432% 0.052% 0.008% 24.351%

    G10 Human 28,372,488 0.024% 0.008% 80.398% 0.015% 0.003% 19.553%

    B11 Human 24,986,534 0.008% 0.003% 80.068% 0.004% 0.001% 19.915%

    E5 Tomato 29,987,210 0.090% 0.006% 0.019% 73.578% 0.011% 26.296%

    F5 Tomato 24,065,104 0.071% 0.008% 0.024% 76.216% 0.000% 23.680%

    G5 Tomato 27,038,110 0.068% 0.007% 0.019% 76.141% 0.000% 23.764%

    E11 Tomato 27,386,464 0.003% 0.019% 0.043% 48.448% 0.025% 51.463%

    F11 Tomato 26,794,430 0.281% 0.019% 0.031% 60.697% 0.004% 38.968%

    E10 Tribolium 29,664,318 0.025% 0.006% 0.062% 0.035% 74.705% 25.166%

    H10 Tribolium 20,463,272 0.056% 0.002% 0.028% 0.011% 69.281% 30.622%

    A11 Tribolium 26,114,234 0.009% 0.036% 0.021% 0.008% 73.260% 26.666%

    D8 Umbonia 25,890,506 0.027% 0.156% 0.011% 0.006% 0.045% 99.756%

    Minimal Cross Contamination

    Center for Genomics and Bioinformatics の研究員らは Blastn により、ライブラリー構築時のウェル間のクロスコンタミネーションの有無を評価しました。検定の対象となるサンプルから得られたリードを用いて、ライブラリー構築を実施したウェルの左右のウェル(Table 2)のサンプルの参照ゲノムを含む 3種類のゲノム配列に対して相同性検索を行いました。 35 bp 以上マッチしたリードは全て、検定対象の参照ゲノムと最も相同性が高く、左右のウェルのサンプルの参照ゲノムとマッチするものは検出されませんでした。

    Biomek FXP は、プレートの 1列目から始まって左から右へと移動しながら最終サンプルまで試薬を添加します。ライブラリー構築時にサンプルのキャリーオーバーが生じた場合、例えばライブラリー構築プレートの H5 ウェルで調製したヒトゲノム UHR2-1 ライブラリー中には、左の列で調製したトマトの配列が観察されるものと考えられます。

    次に、編集距離を 3として BowTie を用い、得られたリードをヒト、トマト、Drosophila、Tribolium の 5 種類の参照ゲノムにマッピングしました。リードが単一の参照ゲノムのみにマッピングされた場合に限り、そのリードを特定のその生物種に割り当てました。

    Table 5 に示したとおり、ヒトゲノムUHRのいずれのライブラリーにおいても、ヒト由来ではない参照ゲノムにマッチングされるリード数は極めて低い値を示しています。また、Drosophila のライブラリーについても同様の結果が得られ、Drosophila 以外の参照ゲノムにマッチングするリードはほとんど検出されませんでした。トマト、Tribolium のライブラリーで参照ゲノムに一致しないリードの数が多かったことについては、現在用いられているこれらの種の参照ゲノムがヒトおよびDrosophila に比べると不完全であることによるものと考えられます。以上の結果を併せると、Biomek FXP に TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いるオートメーションメソッドによって得られたライブラリーには、ライブラリー構築時のクロスコンタミネーションを明確に示す結果は得られませんでした。

  • ConclusionIlluminaの強力な次世代シークエンシング技術を最大限に活用するためには、NGSライブラリー構築のための信頼性の高い効率的なオートメーションソリューションが不可欠です。Biomek のオートメーションシステムは、プロセスを標準化する結果としてヒューマンエラーを低減し、これにより、時間およびコストの節約に寄与するのみならず、安心してその場を離れることができ貴重な時間を研究者に提供します。TruSeq Stranded mRNA サンプル調製キットを用いたライブラリー構築においては、Biomek FXP による一連のオートメーションメソッドにより、非常に一貫性が高く、かつ高品質のシークエンシングデータが得られるライブラリーを構築することができ、テンプレートサンプルのクロスコンタミネーションが検出されることはありません。

    Notes

    *1 メソッド開発の一環として実施した実験では 50 ng のインプットで良好な結果が得られていますが、Illumina 社は 100 ng を最少インプット量としている点にご注意ください。

    BCKKLS-02 2015.06-500(BG)


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