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Japanese andAssooiation of Behavioral Cognitive Therapies

Date post: 09-Nov-2021
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10
Japanese Association of Behavioral and Cognitive Therapies NII-Electronic Library Service Japanese Assooiation of Behavioral and Cognitive Therapies Jap J Behav Ther IZ 173 82 1986 行動療 研究 12 1 73 82 昭和 61 論文 坂野 東條 光彦 ** 本研究 目的 さまざ 状況 にお 般性 セル 強さ 測定す 作成 信頼性 妥当性 いて 知覚 強さを表わ てい るとわれる 選択 それら 結果 もと 16 目か ら成 般性 セル GSES され た再検査折半行検査法等に よる検討 結果GSES 内的整合性 も高 く 信頼性 妥当 十分とが示 され 抑う 状態 患者 中程度な しは 高程度 健常者 GSES 得点 比較を行 たと 抑う そ うで 得点 有意とい 結果 が示さ その 結果GSES 別力 でも 当性 臨床的応用 ある 応用十分 示唆 され 7 尺度 Bandura社会的学 では 結果 を生 出す ために必 度う く行 う るか う個 self eMcacy と呼 んで すな わち ある 行動 をお 個人が感じ己遂行可能 self eMcacy 分自 がや と思 てい 実現可知識 いは 自分 ここ までで う考 え self e cacy 呼ば ある 重久訳 1985 この よう self ecacy 自然 くる ので 自分 実際 みる 遂行 達成 行為を観察す 的経験 自己 示や 他 者 説得的 な暗 示 語的説得 学教育学部 ** 大学院教育学研究科 61 4 25な反応 化を体みる 的喚起 1 va 通じ が 自ら作 ゆくも ので と考 え られ Bandura 1977 のよ うな 情 報 自ら self eMcacy がど 程度 付けるか を perceived self e ca cy 行動 変容を予反応を抑制す 要因 とな とが今ま でに 示 され たと Bandura 1982 恐怖において self eHicacy 上昇 恐怖対象 接近 起す とを1985 )も視線恐怖症患者 症状 改善 と self ethcacy 密接な関とを てい さま まな恐 怖反 消去 たとえBiran Wilson 1981 Bourque Ladouceur 1980 とえ Craske Craig 1984 Kendrick et a11982 な ど) 主張反応や社会 獲得 Gresham 1984 Lee 1983 な ど) 喫煙行動 73 N 工工 Eleotronio Library
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Page 1: Japanese andAssooiation of Behavioral Cognitive Therapies

Japanese Association of Behavioral and Cognitive Therapies 

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Japanese  Assooiation  of  Behavioral  and  Cognitive  Therapies

Jap. J. Behav . Ther., I Z   1,73〜82,1986.行動療法 研究,第 12巻,第 1号,73〜82, 昭和61年

〈 原著論文〉

一 般性 セ ル フ ・ エ フ ィ カ シ ー 尺度作成の 試み

坂野 雄二* 東條 光彦

**

要 約 :

 本研究の 目的は ,日 常生 活 の さ ま ざ まな状況に お け る 個人 の一

般性 セ ル フ ・エ フ ィ カ シ ーの 強 さ

を測定する 尺 度 を 作成 し,そ の 信頼性 と妥当性に つ い て 検 証 する こ とで ある 。 知覚 された セ ル フ ・

エ フ ィ カ シー

の 強さを表わ して い る と思 わ れ る項目の 選択と , そ れ ら の 因子分析 の 結果に も とつ い

て ,16項目か ら成 る 「一般性 セ ル フ ・エ フ ィ ヵ シー尺度 (GSES )」 が 作成 され た 。

 再検査法, 折半法 , 平行検査法等に よ る検討 の 結果,GSES は 内的整合性 も高 く,信頼性 , 妥当

性 も十分に 高 い こ とが 示 され た 。 また , 抑 うつ 状態 に あ る 患者 と , 中程度ない しは 高程 度 の セ ル

フ ・エ フ ィ カ シ ーを 示す健常者との 聞 で GSES 得点の 比較を行 っ た とこ ろ, 抑 うつ 状態に あ る者

は , そ うで ない 者に 比 べ て 得点 が 有意に低い とい う結果 が 示 さ れた。そ の結果,GSES は 弁別力と

い う点で も妥当性は 高 く, 臨床的応用 あ る い は 研究 へ の 応用に 十分に 耐 え うる こ とが 示唆 された 。

キー

ワード : セ ル フ ・エ フ ィ カ シ ー,セ ル 7 ・エ フ ィ カ シ ー尺度

問 題

 Banduraに よ っ て 提唱された 社会的学習理

論で は,ある結果 を生み 出すた めに必要な行動

を どの 程度 うま く行 うこ とが で きるか とい う個

人 の 確 信を“

self ・eMcacy ”

と呼 んで い る 。 すな

わち , ある行動をお こす前に 個人が感 じる 「自

己遂行可能感」 が“

self・eMcacy”

で あ り,自

分自身がや りた い と思 っ て い る こ との 実現可能

性に 関する知識,ある い は 自分に は こ の よ うな

こ とが こ こ までで きる の だ とい う考えが“

self・

e 缶 cacy”

と呼ばれる もの で あ る (バ ン デ = ・・一

ラ,重 久訳 ,1985)。 そ して , こ の よ うな self ・

e伍cacy は,自然発生的に 生 じ て くるの で は な

く,

   自分で 実際に 行 っ て み る こ と一 遂行行動

   の達成

   他者 の 行為を観察す る こ と一代理的経験

   自 己教示や他者か らの 説得的な暗示一 言

  語的説得

*千葉大学教育学部

**干 葉大学大学院教育学研究科

(昭和61年 4月25日 受理 )

    生理 的’な反応の 変化を体験 して み る こ と一

  一情動的喚起

とい っ た]1青vaを通 じて,個人が 自ら作 り出し て

ゆ くもの で あ る と考えられ て い る (Bandura,

1977)。

  さて , 上記の よ うな情報を通 し て 自ら獲得 し

た self・eMcacy を , 個人 が どの 程度身に付けて

い るか を認知する こ と (perceived self・e缶 ca −

cy )が , その 個人 の 行動の 変容を予測し , 情動

反応を抑制する要因 とな っ て い る こ とが , 今 ま

で に 数多くの 研 究に よ っ て 示 され て い る。 た と

えば Banduraら (1982)は , 恐怖症の 治療過

程に お い て ,self −eHicacy の 上昇が恐怖対象 へ

の 接近行動 の 遂行に 先立 っ て 生起する こ とを認

め,前 田 ら (1985) も,視線恐怖症患者の 症状

改善 と self −ethcacy との 問に 密接な関係が ある

こ とを見出して い る 。こ の 他さま ざまな恐怖反

応 の 消去 (た とえぽ Biran & Wilson, 1981;

Bourque& Ladouceur,1980 など), 不安反

応の 制御 (た とえば Craske& Craig,1984;

Kendrick, et a1., 1982な ど), 主張反応や社会

的ス キ ル の 獲 得 (た とえば Gresham,1984;

Lee, 1983 な ど), 喫煙行動の セ ル フ コ ン トロ

一 73 一

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Japanese  Assooiation  of  Behavioral  and  Cognitive  Therapies

一ル (た とえば Chambliss& Murray,1979a;

Nicki, et  al.

,1984な ど), ウ ェ イ ト ・コ ン ト卩

一ル (た とえば Chambliss& Murray ,1979b

な ど), 職業 カ ウ ン セ リ ン グ (た とえば Betz &

Hackett, 1981;Hackett & Betz,1981な ど)

な どの さまざまな臨床場面 に お い て ,self −e 伍・

caCy が行動変容を予測す る要因 として 有効で

ある こ とが示 されて い る 。

  とこ ろで ,self −eMcacy が臨床場面にお い て

行動の 変容を予測する重 要な要因で ある とすれ

ば , 臨床場面に お ける self・eMcacy の 正確 な

測定が重要な問題 とな っ て くる 。 従来の 研究に

おい て は ,self ・eMcacy の 測定は,当該の 目標

行動に 対す る階層的な不安ある い は嫌悪度 , 行

動遂行の 難易度評定などと対応 して作成 された

評定法を用い て 行われ て きた 。 た とえば Table

1 は , 前田 ら (1985)にお い て使用された self・

e伍cacy 測定用の ス ケ ール であ る が ,ス ケ ール

の 各項 目は , 視線恐怖 を示すク ライ エ ン トの 不

安階層表に 対応する形 で 作成 され て い る 。こ の

よ うに , 従来の ほ とん どすべ て の 研究が前田 ら

(1985) の よ うな形式で self ・eMcacy を測定 し

て きた の は , 臨床場面では,当該の 目標行動の

遂行に 対する認知された self ・eMcacy こそが行

動遂行に 影響を及ぼす主要な要因 で あ り, よ り

現実的な場面で の 行動に 対する個人の 認知的な

評価を問題 として きた か らである と 考 え ら れ

る。

 とこ ろ が Bandura (1977) に よれ ば ,  self ・

e伍 cacy は 2 つ の 水準で 人間の行動に 影響を及

ぼ す と考えられて い る 。 すなわ ち,特定場面 に

おける self −eMcacy の 強さは ,個人が一定の 状

況を克服 しよ うとす るか否か に 影響を及ぼ して

い るが,これが self−e 缶cacy が行動に 影響を及

ぼす第 1 の 水準で あ る 。 つ ま り, self −ethcacy

は 当面の 行動選択に 直接影響 を及ぼ す の で あ

る 。 そ して 第 2 に ,self ・ethcacy が よ り長期的

に 個人 の 行動に 影響を及ぼす とい 5 こ とが考 え

Table l 前 田 ら (1985) に お い て 用 い ら れ た 視 綜恐怖症 患 者用 の setfetheacy ス ケー

 こ れ か ら一週 間に 、あ なた は 次の こ とを どれ く らい 不安を感 しない で

行 うこ とが で きると思い ますか。 その 見通しをたて て、O − 100 の 適 当

な とこ ろに ○印をつ けて下 さい 。

ユ  学 校 で そ う じをして い る

2  休 み 時 間、廊下 を歩 くこ とが で きる

34567891011デ パ ートな どの 人 ごみ の 中を歩 く こ とが で き る

体 育の 時 間 に、み ん なが 見て い る と こ ろ で 、実技をする

朝 礼 や集会 な ど で 、な ちん で 話を聞 くこ とが で きる

登下 校 の 途 中、通 学路 を歩 くこ とが で きる

授業中、指名 され 立 っ て 本を読 む こ とが で き る

家 族 4 人 で 食事 をする こ とが で きる

体育館で 剣道をや っ て い る

教室で 給食を食ぺ るこ とが で き る

授業中、黒板に 書い て ある こ と を ノートに 写す こ と が で き る

全く

ない

0    ユ0   20

案に

ると

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一 74 一

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られ る 。つ まり,

self ・e伍cacY は , 個人がい か

に 多 くの 努力を払お うとす るか,あるい は嫌悪

的な状況に い か に 長 く耐える こ とが で きるか を

決定する要因 とな っ て い る の で ある。こ の よ う

に 考える と, 従来の 研究に み られる self −ethca −

cy の 測定は , もっ ぱら self −eMcacy に よる影

響の 第 1 の 水準 の み を測定 し て お り, 第 2 の 水

準すなわち self・eMcacy の 行動に 対す る長期的

な影響を査定す る試みは ほ とん どなされ てい な

い の が現状で ある 。 東條 (1983)は ,self ・ethca ・

cy と locus of  control との 関連 をみ るなか で ,

一般的に 内的統制型の 者は self・e岱cacy を高 く

認知する傾 向に あ り, 外的統制型の 者にあ っ て

はそ の 逆の 傾向に ある こ とを指摘 して い るが ,

こ の 結果は , se艮 e伍cacy を高 くある い は 低 く

認知する傾向 は , い わば人 格特性 の よ うに 人 の

行動 を規定する もの で あ るか もしれない とい う

こ とを示唆 して い る。 臨床場面に お い て ク ラ イ

エ ン トの 行動を よ りよ く理 解 し , 正 し く査定す

るた め には ,こ うした self−e伍 cacy の 水準 も測

定する こ とが要請 される 。 また ,self ・ethcacy

の 上昇は,当該の 目標行動 の み ならず,治療場

面 とは 本質的に 異な っ た行動場面に 般 化 す る

(Bandura,  et. aL , 1977) とい うこ とを考え る

と, 特定の 行動 の 選択場 面ばか りで はな く, 般

化 した行動 レ ベ ル で の 変容を も把握 す る た め

に , 個人の 一般的な self −eMcacy レ ベ ル を測定

す る こ とは 有用で ある と思われ る 。

 そ こ で本研究で は ,self −eMcacy の 第 2の 水

準 , すなわ ち個人 の 一般的な self −e 笛 cacy の 強

さを測定すべ き尺度の 開発を目的 とし, その 信

頼性 と妥当性に つ い て検討を加 える 。

調 査   1

目  的

 個人が 日常生活 の 中で 示す一般的な self −eM −

cacy の 強さを測定する尺度 (一般性 self ・eM ・

cacy ス ヶ 一ル : 以下 GSES と略記す る)を作

成する 。

方 法

  1. 項 目の 準備

  Bandura (1977),バ ン デ ューラ (重 久 訳,

1985)に よれば,self ・ethcacy が高 く認知され

た時には ,

 社会的状況 の 中で の 克服努力が 大きい。

 積極的に 多大の 努力を払お うとする 。

 積極的に課題 に取 り組む 。

 最終的な成功を期待する度合い が大 きい。

 葛藤状況で 長期的に 耐える こ とがで きる 。

  自己防衛的な行動が減少する 。

 予期的な情動喚起の 程度が緩和され る。

な どの 行動特徴が認め られる とい う。 そ こ で ,

MMPI お よび Y −G 性格検査に含 まれる行動遂

行場面を 参考 としながら,上 記 の よ うな行動特

徴が含まれ る行動遂行場面を記述 した項 目が準

備 され た 。また ,個人 の 特定の先行経験 の相違

が判断に 影響を及ぼ さない よ うに するた め ,項

目 の 中で 表現されて い る場面 は , ほ とん どの 個

人 に 特定 の 場 面を 想起させ る こ とがない よ うな

一般的な行動遂行場面 とな る よ う配慮 された。

  こ の よ うに して合計 38の 行動遂行場面が リ ス

トア ッ プ され , さらに , self・ethcacy の 概念に

よ り適合すると判断で きる項 目を優先させ なが

ら, 類似する場面や特殊な場面を削除する こ と

に よ っ て合計31の 項目が準備され ,GSES 作成

の た め の 予備項 目とし た 。 なお ,各項目へ の 回

答は 2件法 (Yes,又 は No)で 行わ れた 。

  2.  被検査者

 心 身と もに 健康な男女大学生 278名 (男子 84

名,女子 194名)。 年齢範囲 :18歳〜21歳 。

  3.  実施年月 日

  昭和60年 1 月中旬

  4. 教 示

 調査に あた り被検査者 に 対して 与え られた教

示は 以下の 通 りで ある 。

  「私達は 日常 , ある行動をする場合に さま ざ

まな過去の 経験 と照ら しあわせ て,その 行動 を

や りとげる 自信があるか ど うか を判断 して い ま

す 。 以下に 31の項目があ ります 。 各項 目を読ん

で , 今の あなた に あて は まる場合に は rYes 』,

一 75 一

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Japanese  Assooiation  of  Behavioral  and  Cognitive  Therapies

あては まらない 場合には 『No 』 を丸で 囲ん で 下

さ い 。Yes

, No の どち らに もあて は ま りに くい

場合で も, よ り自分に 近い と思われ る ほ うに 必

ず丸をつ けて下 さい。 どち らが正 しい答え とい

うこ とは ありませんか ら,あま り深 く考えずに

あなた の あ り¢)ままの 姿を答えて下 さい 。 」

  こ の 後記入 例が示 され, 前述 の 31の 質問項 目

が提示された 。

結  果

 まず初め に , 2 件法に よる回答の うち , self・

e缶cacy が高 く認知された 状態 を示す方の 回 答

を 1点と して得点化を行い , 個人 の 31項目に対

す る合計得点を算出した 。 そ の 結果,得点の 分

布 (得点可能範囲は 0〜31点)は , 平 均 値 が

12,830, 標準偏差bK5, 581で あ り, 最大値は29,

最小値は 1で あ つ た 。

 次t!c  278名の デ ータを対象として 31× 31 の

相関 マ トリ ッ ク ス を作成 し, 主因子 解 を も と

め , Varimax 回転を行い 10因子 を抽 出した 。

そ して こ れ らの 中か ら, 固有値が 1, OOO LI上 の

値を示 した 3因子 を取 り上げ , それ らの 因子を

特徴づける項 目と して , 因子負荷量が .300以

上の 項 目を抽出した 。

  そ の 結果,それぞれの 因子 を特徴づ ける と判

断された 項目は合計 16項目で あ っ た 。 Table 2

は ,こ の よ うに して 選択された 16の 項目を各因

子別に まとめた もの で あるが , 第 1因子 に 負荷

の 高い 項 目は 「行動の 積極性 」 に 関する項 目群

である 。 そ して第 2 因子 に 負荷 の 高 い 項 目 は

「失敗に対す る不 安」 に , 第 3 因子 に 負荷 の 高

い項目は 「能力の 社会的位置づ け」 に それぞれ

関する項 目群で ある 。

 以上 の よ うな手続 きに よ っ て選択 された 16の

項 目を最終的な項 目として GSES が作成 された

(ApPendix 参照)。 278名 の 被検査者の GSES

に 対す る回答の 得点分布は ,Fig・1 に 示す通

りであるが , その 平均値は 6.580, 標 準偏差は

3. 369, そ して 最大値 15, 最小 値 0で あ っ た 。

Table 2 各 因 子 を特 徴づける項 目群

因  子  項目 Ne. 項 目 内 容 因 子 負荷量

                1

                5

                6

                8行動 の積極性             

』10

3511

何か仕事をする と きは , 自信 を持 っ て や る ほ うで あ る 。

人 と比 べ て 心 配性 な ほ うで ある。

何か を決 め る と き,迷 わ ず に 決定す る ほ うで あ る。

ひ っ こ み じあ ん な ほ うだ と 思 う。

結果の 見通 しが つ か な い 仕事でも, 積極的に と り くん で ゆ くほ うだ

と思 う。

どん な こ とで も積極的に.こ な す ほ うで あ る 。

積極的に 活動 するの は ,苦手な ほ うで あ る 。

 .3029− .3217

 ,3386− ,7079

 .3357

 .5126− .5979

失敗に 対する

不 安

2

47

11

14

過去に 犯 した 失敗 や 嫌 な経験 を 思 い だ し て , 暗い 気持ち に な る こ と

が よ くある 。

仕事を 終 え た 後,失 敗 した と感 じる こ との ほ うが 多い 。

何 か をする と き,うま くゆ か な い の で は な い か と不安に な る こ と が

多 い 。

ど うや っ た らよ い か 決 心 が つ か ずに 仕 事に と りか か れ ない こ と が よ

くあ る 。

小 さな失敗 で も人 よりず っ と気に す る ほ うで あ る 。

.4819

.5962

.5615

.5776

,3673

                3

能力の社会的   9

位 置づ け     12

              16

友人 よ り優れ た能力 が あ る。

人 よ り記憶力が よい ほ うで あ る。

友人 よ りも特 に 優れ た知識を持 っ て い る 分野 が あ る 。

世 の 中に 貢献 で き る 力が あ る と思 う。

,6450

.3979

.6339

.3297

一 76 一

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Japanese  Assoolatlon  of  Behavloral  and  Cognltlve  Theraples

  

 

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F置9,1GSES 得点分 布 (N = 278)

調 査  皿

目  的

 GSES の 信頼性 と妥当性を検証す る 。

方 法

 1. 平行検査の 実施

(1) 被検査者

 心 身と もに 健康な男女大学生 278名で , 調査

1 の 被験者と同一で ある 。

(2) 実施年月

 昭和60年 1月中旬

  平行検査

 平行検査 と して , 東條 (1983)に よ っ て 作成

された 「自己効力感テ ス ト」 を使用 した 。 自己

効力感テ ス トは ,

「知覚的判断 」,

「一般的知識」,

「技能」 の 3領域に おける 20 の 具体的な行動場

面に 対する self −eMcacy をそれぞれ10点満点で

評定させ るもの で あ り, その妥当性 も既に検討

されてい る 。

  2.  再検査の 実施

Cl) 被検査者

 調査 1の 被検査者の うちか ら任意に 抽出され

た 男女大学生121名 (男子26名, 女子 95名)。 年

齢範囲 :19〜22歳。

   実施年月

 昭和 60年 6 月下旬

   教 示

 教示 お よび回答方法は , 調査 1の 教示文 の う

ち , 項目数が 16に 変更された 以外は 調査 1 と同

様であ る 。

  3.  臨床的妥当性 の 検討

{1) 被検査者

 以下の 3群が設定された 。

   病理群 :東京都 お よ び 千葉県内 の 3病 院

(精神神経科)に 通院もし くは 入院中の 患者 17

名 (男子 11名 , 女子 6名 , 年齢範囲 :25歳 4 ケ

月〜58歳 6 ケ 月 , 平均年齢 :34歳 7 ケ月)。 診

断名は , うつ 病ない しは躁 うつ 病の うつ 状態に

ある者 4 名 , 抑 うつ 神経症 13名で ある 。

   標準群 : 調査 1の 被検査者 の 中か ら任意に

抽出された 男女大学生 17名 (男子 8名,女 子 9

名)。

   高自己効力群 :心 身 ともに 健康な男女大学

生 17名 (男子 9 名 , 女 子 8名,年齢範囲 : 20歳

10ケ月〜23St 8ケ 月, 平均年齢 :22歳 1 ケ 月)

で ,い ずれ も,所属する研究室の 指導教官 (6

名)に GSES を提示 し ,  self・ethcacy の 概念

の 説明を行 っ た 後 , 高い self −e価cacy を備 え て

い る と評定された大学生で ある 。

   調査年月

 病理群お よ び高 自己効力群に つ い て は昭和60

年 11月〜12月 , 標準群に つ い て は調査 1に 同 じ

で ある 。

結 果

  L  信頼性の 検討

〔1) 再検査法に よる信頼性の 検討

  再検査に 回答 した 121名の うち , データに 欠

損 の 見 られた 5名の 回答を除外し , 116名の 回

答が有効デ ータ として 分析の 対象 とされた 。

  検査 ・再検査聞の 相関分析の 結果を Table 3に 示す 。

Table  3 か ら明らか な よ うに , 両検査

問の 相関係数は非常に 高い もの で あっ た 。 (r=

.83, p く.01)。 また , 各因子別の 得点の 検査 ・

再検査問の 相関関係 も, い ずれ も高い 値が得ら

れた e こ の 結果は ,GSES が 高い 信頼性を持 っ

一 77 一

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Japanese  Assoolatlon  of  Behavloral  and  Cognltlve  Theraples

Table 3 検 査 ・再 検査 聞の 相 関 分 析 結 果 Table 5 GSES と平 行検 査 間 の 相関分析結果

相 関係数 (r) 自己効 力 感 テ ス ト GSES

Factor  l

Factor  2

Factor  3

.76.65.80

知覚的判断

一般的知識

技   能

.77

.68.66

TotaI .83 Tota1 .64

Table 4 検 査 ・再 検 査問の 項 目内 回 答一致率

  Factor  l      Factor 2      Factor  3

項 目 No .一致率 項 目 No .一致率  項 目 No .一致率

1568035 

 

 

 

111

.73.80.82.77

.74

.82

.85

24凸

714

 

 

 

11

.70     3.70     9

.75    12

.63    ユ6

.79

.83.83.78

.75

Tota1  .79 .72 .80

て い る こ とを示 して い る 。

  また , 各被検査者の 検査一再検査問で の各項

目に対する 回答の 一致 率 を 求 め た と こ ろ ,

Table 4に示す よ うな結果が得 られた 。 Table 4

に示 された一致率は , い ずれの 項 目に おい て も

母比 率 P の 信頼水準 95%の 信頼限界内に あ っ

た 。 これ らの 数値をみ ると, 各項 目ともに か な

り高い 一致率を示 し , 被検査者の 回答はか な り

一貫し て い る こ とがわか る 。

   折半法に よる信頼性の 検討

 再検査で の 有効回答で ある 116名の 回答に 対

して ,GSES を各 8 項 目か らなる部分 テ ス トに

分割 し, ス ピ ア マ ン ・ブ ラ ウ ン の 公式に 従 っ て

信頼度係数を算出した 。 なお , 項 目の 分割に あ

た っ ては , 各因子 内で の 項 目番号が奇数項 目と

偶数項目にな る よ うに配慮され た 。 また , 部 分

テ ス ト間で対応する各項 目対間 の,

self ・e伍 ca −

cy が高い とされ る 選択肢へ の 回答率に は 有意

な差は認 められ なか っ た 。 (xa = o. 08,  n .  s.)。

 その 結果 , 信頼度係数は r = .84 とい う値が

得られ,GSES は高 い 信頼性を もっ て い る こ と

が明らかに された 。

(3} 内部一致性に よる信頼性の 検討

 再検査 に よる有効回答を対象として ,クーダ

ー ・リチ ャー ド ソ ン の 第 21公 式に 信頼度係数を

求め た とこ ろ ,r = .74 とい う値が 得られた 。

こ の 結果か らも,GSES が高い 信頼性 を持つ こ

とは明らか で ある 。

  2. 妥 当性の 検討

に} 内容的妥当性

  GSES の 目的は , 個人 の 一般的な self・e伍 ・

cacy レ ベ ル を測定する こ とである 。 先に 述 べ

た よ うに , 項 目の選択に あた っ ては , 認 知 され

た self −e爺cacy の レ ベ ル が高 い 場合 の 行動特徴

が含 まれ る行動遂行場面 を記述 した項 目が 準備

された 。 そ して それ らの 中か ら, 調査 1の 結果

に もとつ い て合計 16の項 目が GSES を構成す

る項 目として抽出された 。 こ うした こ とか ら,

GSES は 高い 内容的妥当性を持 っ て い る と考え

る こ とがで きる 。

   併存的妥当性の 検討

 本検査 と平行 して実施 された 自己効力感 テ ス

トとの 間に 見 られた相関関係 を まとめた もの が

Table 5 で ある 。  Table 5 か らわか るよ うに

一般的な self −e 伍 cacy レ ベ ル を測定 した GSES

と, 具体的な行動場面 で の self ・e伍 cacy レ ベ ル

を測定した 自己効力感テ ス トとの 間に は高い相

関関係が認 め られた 。 さらに ,GSES を構成す

る 3 つ の 因子 と自己効力感テ ス トにお ける 3 つ

の 領域別の 得点 との 間で の 相関関係をみ る と ,

い ずれの 間に お い て も高 い 相関関係がみ られ た

が , 以下 の 因子領域間では,と りわけきわだ っ

た 関係が認 め られた 。 すなわ ち ,GSES に お け

る 「能力の 社会的位置づ け」 因子 と自己効力感

テ ス トにお ける 「知覚的判断」 お よび 「一般的

知識」 の 領域 との 間に は , それぞれ .77, .68

一 78 一

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(い ずれ も p<.01)の 高い 相関がみ られた 。 ま

た GSES に お ける 「行動の 積極性 」 因子 と ,

自己効力感テ ス トに おける 「技能」 領域で の 得

点間に .64 (p<.01)とい う相関が認め られた 。

こ れ らの 結果は,GSES の 妥当性を裏づける も

の で ある 。

C3) 病理 群との比較に よる妥 当性の 検討

 一般的に , 人が抑 うつ 状態に 陥 っ た と きに

は ,自己を過小評価 し, 自分に は能力がない と

感 じ, 自分 の置かれた状態を悲観的に 考え る傾

向が 強い とい っ た反応特徴が 認め られる とい う

(後藤 , 1985)。

一方 ,バ ン デ ュ

ーラ (重久訳,

1985)に よれば , self・e缶 cacy が低 く認知され

てい る時に は,人 は 無気 力, 無感動 , 無関心 に

な り, あ きらめが早 く, 失望 し落胆する,自己

卑下する , 劣等感に陥 りやすい , 抑 うつ 状態に

陥るな どとい っ た行動の 特徴を示 すとい う。 ま

た , Kanferと Zeiss(1983) は, 抑 うつ 状態

に ある者は そ 5で な い 者に 比 べ, 自己の self −

e伍cacy を低 く認知する傾向に ある こ とを報告

してい る 。 これ らの こ とか ら , 抑 う つ 状 態 は

self −e 缶 cacy が低 く認知 され た状態に対応 して

い る こ とが示唆される 。

 さて 今回 , 上 に 述べ た よ うに self・eMcacy を

低 く認知 してい る と考え られ る うつ 病ない しは

抑 うつ 性神経症 と診断 された患者 17名に GSES

を実施 した ところ,その 平均得点は 4.00 (SD

= 2. 30) とい 5結果で あ っ た 。 また , 標準群 ,

高自己効力群の GSES 平均得点は それ ぞ2x6. 59(SD = 3.42), 8.88 (SD ニ 3.53)で あっ た 。 な

お標準群 の 平均得点お よび分散は , 分散比 の 検

定お よび t 検定の 結果 , 調査 1 の 標準データと

の間に 差は 認め られ てい ない 。 そ こ で 3群の 平

均得点に つ い て , 群を要因とす る 1要因の分散

分析を行 っ た とこ ろ,群の 主効果が有意で あっ

た (F ニ 9.720,df= 2/48,

  p<.01)。 そ こ で 3

群間 の 平均得点を ラ イ ア ン の 法に よ っ て多重 比

較 した ところ , 3群間の 差は い ずれ も有意で あ

っ た  (病理群 vs.標準群 :t= 2.338, p〈.05;

病理群 vs.高自己効力群 : t= 4. 404,  p<.01;

標準群 vs ・高 自己効力群 :t= 2・932, P く.01)。

 以上 の 結果は , うつ 病な い しは 抑 うっ 性神経

症 である と診断 された患者の GSES得点は ,健

常者に比 べ る と有意に 低い とい うこ とを示 して

い る 。 言い か え るな らば,GSES に は self .ef五.

cacy を低 く認知 して い る と考えられる 抑 うっ

状態に ある者を十分に弁別する力がある こ とを

示 して い る 。

(41 因子的妥当性

  GSES の 因子構造は Table 2 に示 した通 り

で あるが , こ れ らの 因子は い ずれ も,「行動 ・

能力に対する 判断 」 とい う点で 共通 した もの で

ある 。 こ の こ とは , self−eMcacy は個人の コ ン

tfテ ン ス に 対する認知的な評価 で あ る (Ban ・

dura, 1977)とす る見解を裏付ける もの で ある 。

  さて , 第 1因子 (「行動の 積極性」)に おい て

は ,こ の 因子に 負荷量の 高い 項 目に対する得点

が 高い ほ ど, 認知された self ・eMcacy の レ ベ ル

は 高い 。 こ の こ とは,認知 され た self −efHcacy

が高い ほ ど行動遂行に 費す努力 (積極性)は 増

すとい う従来 の 見解 (バ ン デ ューラ,重久訳 ,

1985)と一致 して い る 。 次に 第 2 因子 (「失敗に

対する不 安」)を特徴づ ける項目群に お い て は ,

“No”

とす る回答が多い ほ ど, 認知された self・

eMcacy は 高い と判断される 。 すなわ ち ,  self −

eMcacy の レ ベ ル が低い 時には , 失敗に 対する

不 安が高 ま り, 過去に 行 っ た 自己 の 失敗経験に

こだわ り,「暗い 気持ち」 に な る (Bandura,

1977)状態 と対応 して い る 。 また,東條 (1983)

は , MAS に ょ っ て測定 される不安の高 さと認

知された self −efHcacy との 間に は高い 負の 相関

関係に ある こ とを示 して い るが , 第 2 因子 の 得

点結果は こ の所見 と一致す る もの で ある 。

 さらに , 第 3 因子 (「能力の 社会的位置づけ」)

を特徴づ ける項 目群で は , その 得点が高 い ほ ど

認知 された self−e伍 cacy の レ ベ ル は高い と考え

られ る 。 認知 され た self・e缶 cacy が高い 場合に

は,個人 は一般的で社会的な場面に お い て 自己

の 遂行を高 く評価する傾向 に あ る (Bandura,

1977)が , 今回 の 結果は それを裏付ける もの で

一 79 一

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ある 。

討 論

 本研究の 目的は , 個人の 行動に 長期的に 影響

を及 ぼす認知 された self ・e伍 cacy の 強 さを査 定

するた め の ス ケ ール を作成する こ とであ っ た 。

 調査 1 の 結果に もとつ い て作成 された 16項 目

か ら成 る 「一般性 self −ethcacy ス ケ ール (GSE

S)」 は,調査 llの 結果か ら , 高い 信頼性と妥当

性 をもつ こ とが 明らかに された 。 すなわち , 信

頼性に 関して は , 再検査 法に よ る信頼度係数,

ス ピ ア マ ン・ブ ラ ウ ン の 公式に よる 信 頼 度 係

数 , クーダー ・リチ ャー

ドソ ン の 第21公式に よ

る信頼度係数の い ずれ もが 高い 値を示 し , 被検

査者の 約 5ケ 月の 期間をお い た 反応 の一貫性 も

高い もの で あ っ た 。こ れ ら の 結果は ,

GSES が

高 い 信頼性を持つ もの で ある こ とを 示 し て い

る 。 また , 妥当性に関 しては , GSES と, 具体

的な行動場面で の 認知された self −eMcacy の レ

ベ ル を測定 した 「自己効力感テ ス ト」 (東條,

1983) との 間に 高い 相関関係が 認められ , 同時

に GSES は内容的妥当性 , 因子的妥当性 も有 し

て い る と判断された 。 さらに, 認知された self ・

e伍cacy の レ ベ ル が低い と考え られる抑 うつ 状

態を示す患者 (病理群) と,抑 うつ 状態 の 認め

られない 健常者群の 比較に お い て も, 病理群の

GSES 得点は健常者群の それに比 べ て有意に 低

い とい う結果が 得られた 。こ れ ら の 結 果 は ,

GSES の 妥当性 の高 さを裏付ける もの である 。

  さて , 本研究に お い て注 目した一般的な self ・

eMcacy の 高 さとは , 個人が さまざまな場面 に

お い て,自己 の 行動の 遂行可能性に つ い て どの

ような見通 しをもっ て行動を生 起させ てい るか

の 目安となる変数で ある 。 すで に 述 べ た よ うに,

self−eMcacy は , ある 特定の 場面に お ける行動

遂行に 影響を及ぼ すと同時に , 個人 の 行動に 対

して も長期的に 影響を及ぼ して い る 。 前者 の 場

合 , 認知された self−e伍 cacy は , いわば task・

specific なもの で あり, 後者の 場合の それは ,

よ り一般化 された もの となる 。 通常人 は ,何ら

か の 特別な訓練や経験を積んだ行動遂行場面以

外で は , 行動の 遂行可能性に 対する見通 し の 明

るさが,その 個人 の 中で は 比較的安定 した もの

である と考 える こ とが で きる 。 ある特定の 行動

遂行場面では , 当該 の 行動に 対する task・spe −

cific な self ・eMcacy の 高 さが重要な要因 とな

っ て い る こ とは明らがで あるが , それに は , そ

の 個人 の よ り一般的な self ・eMcacy の レ ベ ル が

大 きな影響を もた らし て い る と思われる 。 こ の

task.speci 丘c な self ・eMcacy と, よ り一

般的な

self −eMcacy の 関係は , い わば ,  Spielberger

(1966)に よ っ て示 された 状態不 安 (state   an ・

Xiety)と特性不 安 (trait anxiety )の 関係に 相

当する もの で あるとも言えるだ ろ う。

 臨床場面に お い て 適切な行動 を ク ラ イエ ン ト

に獲得 させ る 場合,そ の 行動の 遂行 レ ベ ル が低

い ときに は , その 行動に 対 す る task−speci 丘c

な self−eMcacy の レ ベ ル の み が低い の か ,それ

ともクラ イエ ン トの 一般的な self −eMcacy の レ

ベ ルが低い の か に つ い て の 明確な区別が 必要で

あ り, また ,それ に よ っ て介入 の 方策も当然異

な っ て くる 。 さらに,当該の 問題行動の 改善の

み な らず , 日常的に 般化 した 行動の 改善が要求

され るが , 治療の 効果を 適切に 判定するた め に

は , ク ラ イ エ ン トの一般的な self ・e 伍cacy レ ベ

ル の 変容がその 軍要な指標 とな らね ば な ら な

い。 今回作成 された 「一般性 self −ethcacy ス ケ

ール 」 は ,こ うした個人の 一般的な認知 された

self −ethcacy の 強 さ を査定するた め に 開発 され

た もの で あるが , 今後 の 活用が大い に 期待 され

る もの で ある 。

  なお,今 回 の妥 当性の 検討に お い ては , 抑 う

つ 状態を示す ク ラ イ エ ン トは , 健常者に 比 べ て

GSES 得点が有意 に 低い とい うこ とが示 されて

い るが , 症状の 改善に ともな っ て GSES 得点が

どの よ うに 変容する か 等に つ い て , 実際の 臨床

事例の 治療過程の 中で ,GSES の 妥当性に つ い

て今後 とも検討する必要性が残され てい る 。 ま

た今回 の検討で は , 標準データ収集の た め の 調

査対象, お よび病理群 との 比較の た め の 被検査

一 80 一

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者として , 心 身ともに健康な男女大学生が用 い

られた が , 被検査者を成人一

般に まで 拡大する

こ とに よ っ ℃ GSES に よ り大 きな普遍性を持

た せ る必要性 も残 されて い る 。こ れ らの 点は ,

今後さらに 検討が加えられなければならない 課

題で ある 。

文 献

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Japanese  Assooiation  of  Behavioral  and  Cognitive  Therapies

Appendix

General Self−EMcacy  Scale (GSES )

 以下PC 16個 の 項 目が あ りま す 。 各項目 を読 ん で ,今 の あ な た に あ て は ま るか ど うか を判断 して 下 さい 。 そ し

て右 の 応答欄の中か ら,あ て は まる場合に は 『Yes』,あ て は ま らな い 場合に は 『No 』 を○で 囲 ん で 卞 さ い 。

Yes・ No どち らに もあて は ま らない と思 わ れ る場合 で も,よ り 自分に 近 い と思 う方 に 必ずO をつ げて 下 さい 。

ど ち らが 正 しい 答え と い うこ と は あ りませ ん か ら , あ ま り深 く考 え ず に あ りの ま まの 姿を答え て 下 さい 。

1234567890123456 

 

 

 

 

 

 

 

1111111

氏 名

生 年 月 日

回答記 入 日

性 別 :  男

年 齢 :

, 女

歳  ケ 月

何 か 仕事 を す る ときは ,自信 を持 っ て や るほ うで あ る 。

過郵 こ犯 した失敗 や嫌な経験を思 い だ して,暗い 気持 ちに な る こ とが よ くあ る。

友人 よ り優 れ た能力 が あ る 。

仕事を終えた後,失敗 した と感 じる こ との ほ うが 多い 。

人 と 比 べ て 心配性 な ほ うで あ る。

何 か を決める と き,迷わ ずに 決定す る ほ うで ある 。

何か をする と き,うま くゆか ない の で は な い か と不 安 に な る こ とが多い 。

ひ っ こ み じあ ん な ほ うだ と 思 う。

人 よ り記憶力が よい ほ うで あ る。

結果の 見通しが つ か ない 仕事で も, 積極的に 取 り組ん で ゆ くほ うだ と思 う。

ど うや っ た ら よ い か 決心 が つ か ずに 仕事に と りか か れ な い こ と が よ くある 。

友人 よ りも特に優れ た知識を持っ て い る分野が あ る 。

どんな こ とで も積極的に こ な す ほ うで あ る 。

小 さな失敗 で も』人 よ りずっ と気に する ほ うで あ る 。

積極的 に 活動する の は ,苦手なほ うで あ る 。

世の 中に 貢献で きる力が ある と思 う。

Yes     No

Yes   No

Yes    NoYes    No

Yes     No

Yes   No.

Yes   No

Yes   No

Yes     No

Yes     No

Yes   No

Yes    No

Yes   No

Yes    No

Yes    No.Yes     No

THE  GENERAL  SELF ・EFFICACY  SCALE (GSES):

  SCALE  DEVELOPMENT  AND  VALIDATION

  YUJI SAKANO (Chiba University)MITSUHIKO  TOHJOH (Chiba University)

 The purpose of this study  was  to develop and  validate  an  instrumen 亡 to  measure  the individual,s

st「 ength  of gene 「a! self°e 缶 cacy   across   a   variety  of   set 口ngs  in  everyday  life. After the  selection  of

items  which  state   the high level of perceived  self ・e飯 cacy  and  their factor analysis   with   sublects   of

278ma 且e a翼d female co11ege  students , scale  developπ1eut :esulted  in a  16−iteln  General  Self・EMcacy

Scale (GSES ).

  Psychometric  evaluatio 且 by test・retest   method,  odd ・even   method

, parallel test  method ,  and  so  forth

suggested  that  the  GSES  is internally consistent   and   has  well   enough   high  re王iability  and   validity .

The comparative  study  between depressive patieロts and  normal  subjects  who  showed  high and  mode ・

rate  level of perceived  self膊eficacy  revealed  that the depressive patients  yielded significantly  low

GSES  score  than the normal  subjects .  It was  suggested  that the  GSES   has collsiderably  high  dis・

criminant  validity  and  enough  potential for the clinical and  research  application .

Key  words : Self−eMcacy , Self・e田cacy  Scale,

一 82 一

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