Keysight Technologiesミリ波・サブミリ波周波数エクステンダー Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザ用
Technical Overview
図1. N9029AV03 周波数エクステンダーは、WR3.4バンド(220~ 330 GHz)をカバーしています。
図2. 標準モードで動作するN9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数拡張モジュール。
N9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数拡張モジュールは、マイクロ波シグナル・アナライザの測定範囲をミリ波周波数レンジまで拡張します。これらのモジュールは、低変換損失と優れた雑音指数を実現し、低レベル信号の測定に最適な感度を備えています。
N9029AVxx モジュールは、測定する信号のタイプに応じて、2種類の動作モードで使用できます。標準モードでは(図2を参照)、LO信号がシグナル・アナライザから送られ、より高い周波数に逓倍され、導波管入力からモジュールに入ってくるミリ波信号と混合されます。その結果の322.5 MHz
のIF信号がシグナル・アナライザに戻されます。内蔵のダイプレクサーにより、LO信号とIF信号の両方が同じケーブルを共有できるので、1本の同軸ケーブルで、シグナル・アナライザとN9029AVxx 周波数エクステンダーを接続できます。
このモードでは、Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザの信号識別機能やイメージ抑圧機能を使って、実際のRF周波数を正確に識別し、スプリアス信号を除去することができます。またシグナル・アナライザの振幅読み値は、変換損失テーブルを用いて補正することができます。変換損失テーブルは、各N9029AVxx モジュールに付属のUSBメモリに保存されているので、シグナル・アナライザのメモリに簡単にダウンロードできます。
標準モードは、一般的なスペクトラム解析に有用で、安定したCW信号や狭帯域信号で威力を発揮します。
x NLO
IF
N9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数拡張モジュール
導波管入力
ミリ波信号
LO/IF信号
Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザ
Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザは、ダイナミックレンジ、表示平均雑音レベル(DANL)、歪み性能、位相雑音、測定速度などで優れた性能が得られ、50 GHzまでの周波数に対応しています。新しいVirginia Diodes Inc.(VDI)の周波数エクステンダーと組み合わせれば、これらの機能の多くを1.1 THzまで使用でき、最先端のミリ波アプリケーションに対応できます。
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図3. ダウンコンバーターモードで動作するN9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数拡張モジュール。
N9029AVxxモジュールは、広帯域ダウンコンバーターとして使用することもできます(図3を参照)。このモードでは、固定LO信号の供給に別の信号発生器が使用され、RF信号ブロック(上側波帯と下側波帯の両方)はIFにダウンコンバートされ、シグナル・アナライザまたはオシロスコープのRF入力に入力されます。この構成では、最大20 GHzのIF帯域幅が得られます。
スペクトラム情報が維持されるブロックダウンコンバートは、ドリフトする信号や広帯域通信信号に非常に有効です。標準モードと同様に、RFパワーの測定に変換損失を適用することができます。スプリアス変調成分は、信号発生器の周波数を少し変化させてミキシングの次数を求めることによって識別できます。
N9029AVxxシグナル・アナライザ用周波数拡張モジュール
x N導波管入力
ミリ波信号Keysight Xシリーズ シグナル・アナライザまたはInfiniiumオシロスコープ
ダウンコンバーター出力
LO
IF
Keysight E8257D PSG標準信号発生器
または
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図4. アップコンバーターのブロック図
表1. N9029AVxx-UDCの構成表
構成 LO接続 IF接続 モードA 標準 標準(出力) スペクトラム・アナライザ拡張B 標準 ハイ(出力) ブロックダウンコンバートC ハイ ハイ(出力) ブロックダウンコンバートD ハイ IF(入力) ブロックアップコンバート
一部のN9029AVxx 周波数エクステンダーでは、オプションUDCと呼ばれるオプション機能を使用できます。このオプションを使用すれば、広帯域ダウンコンバーターとして使用することも(図3
を参照)、アップコンバーターとして使用することも(図4を参照)できます。変換モードは、N9029AVxx-UDCのリアパネルのセミリジッド・ジャンパー・ケーブルの配置で決まります(図5
~ 8を参照)。
アップコンバーターモードでは、Keysight M8190A 任意波形発生器などのベースバンドジェネレーターとE8267D PSGベクトル標準信号発生器を組み合わせて使用することにより、IF搬送波に広帯域ベースバンド信号を乗せることができます。IF入力とLO入力が周波数エクステンダーによりアップコンバートされ、ミキシングによるイメージ応答が(FLO×N-FIF)および(FLO×N+FIF)周波数に生じます。最大100 dBの帯域外ノイズ除去性能のある導波管バンドパスフィルターを外部に取り付けることにより、アップコンバーターの出力でイメージ応答を除去することができます。また、RF出力パワーの測定に変換損失データを適用することができます。スプリアス変調成分は、信号発生器の周波数を少し変化させてミキシングの次数を求めることによって識別できます。
N9029AVxx-UDCシグナル・アナライザ用周波数拡張モジュール(アップコンバーターモードで動作)
x N導波管入力
ミリ波信号
Keysight E8267D PSGベクトル標準信号発生器とM8190A AWG
広帯域ベースバンド信号
LO
IF
Keysight E8257D PSG標準信号発生器
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図9. 電源を周波数拡張モジュールに接続します。
図5. N9028AVxx-UDC構成A 図6. N9028AVxx-UDC構成B
図7. N9028AVxx-UDC構成C 図8. N9028AVxx-UDC構成D
電源要件
各N9029AVxx 周波数拡張モジュールには、9 Vの外部DC電源が標準で付属しています。
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図10. VDI社のミリ波周波数エクステンダーの外形図
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
750 775 800 825 850 875 900 925 950 975 1000 1025 1050 1075 1100
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR1.0変換損失(SSB)
代表値
0
5
10
15
20
25
30
500 525 550 575 600 625 650 675 700 725 750
代表値
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR1.5変換損失(SSB)
図11. N9029AV01(750 GHz~ 1.1 THz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図12. N9029AV1B(500~ 750 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
正面図0.56(最小)1.20(最大)
1.0(代表値)
注記:1. 筐体は黒紛体塗装アルミニウムです2. 仕様および特性は代表値で、変更される場合があります
1/4-20 - 2B 4か所
レベリングマウント4か所
(取り外し可能)
1.0(代表値)
背面図
上面図 底面図
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図13. N9029AV02(325~ 500 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図14. N902AV2B(260~ 400 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図15. N9029AV03(220~ 330 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR2.2変換損失(SSB)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
325 350 375 400 425 450 475 500
代表値
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
260 270 280 290 300 310 320 330 340 350 360 370 380 390 400
代表値
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR2.8変換損失(SSB)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
220 230 240 250 260 270 280 290 300 310 320 330
代表値
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR3.4変換損失(SSB)
07 | Keysight | ミリ波・サブミリ波周波数エクステンダー – Technical Overview
図16. N9029AV05(140~ 220 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図17. N9029AV06(110~ 170 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図18. N9029AV08(90~ 140 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
140 150 160 170 180 190 200 210 220
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR5.1変換損失(SSB)
代表値
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
110 120 130 140 150 160 170
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR6.5変換損失(SSB)
代表値
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
90 95 100 105 110 115 120 125 130 135 140
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR8.0変換損失(SSB)
代表値
08 | Keysight | ミリ波・サブミリ波周波数エクステンダー – Technical Overview
図19. N9029AV10(75~ 110 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図20. N9029AV12(60~ 90 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
図21. N9029AV15(50~ 75 GHz)周波数拡張モジュールのミキサー変換損失(実測値)。
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
75 80 85 90 95 100 105 110
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR10変換損失(SSB)
代表値
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
60 65 70 75 80 85 90
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR12変換損失(SSB)
代表値
SS
B変換損失
(dB
)
周波数(GHz)
WR15変換損失(SSB)
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
50 55 60 65 70 75
代表値
09 | Keysight | ミリ波・サブミリ波周波数エクステンダー – Technical Overview
表2. 特性
導波管 バンド
周波数 レンジ(GHz)
LO入力 モード
逓倍係数 LO入力周波数 (GHz)
内部ミキサー変換損失(dB) (IF増幅器を除く)
RFパワーリミット値: 圧縮/損傷(dBm)
表示平均雑音レベル (dBm/Hz)
WR1.0 750 – 1,100標準 108 6.9 – 10.2
30 -20/-10 -135ハイ 36 20.8 – 30.6
WR1.5 500 – 750標準 54 9.3 – 13.9
20 -20/-10 -150ハイ 18 27.8 – 41.7
WR2.2 325 – 500標準 36 9.0 – 13.9
17 -20/-10 -150ハイ 12 27.1 – 41.7
WR2.8 260- 400標準 36 7.2 - 11.1
15 -20/-10 -150ハイ 12 21.7 - 33.3
WR3.4 220 – 330標準 24 9.2 – 13.8
14 -20/-10 -150ハイ 12 18.3 – 27.5
WR5.1 140 – 220標準 18 7.8 – 12.2
12 -10/0 -150ハイ 6 23.3 – 36.7
WR6.5 110 – 170標準 24 4.6 – 7.1
12 -10/0 -150ハイ 6 18.3 – 28.3
WR8.0 90 – 140標準 12 7.5 – 11.7
12 -10/0 -150ハイ 4 22.5 – 35.0
WR10 75 – 110標準 12 6.3 – 9.2
11 -10/0 -150ハイ 6 12.5 – 18.3
WR12 60 – 90標準 12 5.0 – 7.5
11 -10/0 -150ハイ 6 10.0 – 15.0
WR15 50 – 75 標準 6 8.3 – 12.5 9 -10/0 -150
表3. 仕様
概要 仕様 コネクタ
LO入力レベル標準周波数(代表値/損傷) 10 dBm/16 dBm 2.92 mm(メス)
高周波(代表値/損傷) 0 dBm/6 dBm 2.92 mm(メス)
IF出力周波数標準周波数 16 kHz~ 2.5 GHz 2.92 mm(メス)
高周波 16 kHz~<20 GHz 2.92 mm(メス)
RF入力タイプ VDI精密フランジ UG-387/UM
電源用ACライン電源入力 100~ 240 Vac、1.5 A50~ 60 Hz
NEMA 5-15P(米国およびカナダ)
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表5. オーダー情報
キーサイトのモデル番号 VDIパーツ番号 周波数レンジ(GHz) 概要
N9029AV01 WR1.0MixAMC 750 – 1,100 WR1.0シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV1B WR1.5MixAMC 500 – 750 WR1.5シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV02 WR2.2MixAMC 325 – 500 WR2.2シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV2B WR2.8MixAMC 260 – 400 WR2.8シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV03 WR3.4MixAMC 220 – 330 WR3.4シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV05 WR5.1MixAMC 140 – 220 WR5.1シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV06 WR6.5MixAMC 110 – 170 WR6.5シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV08 WR8.0MixAMC 90 – 140 WR8.0シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV10 WR10MixAMC 75 – 110 WR10シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV12 WR12MixAMC 60 – 90 WR12シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
N9029AV15 WR15MixAMC 50 – 75 WR15シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー
オプションATNは、シグナル・アナライザ用周波数エクステンダー入力に取り付け可能な導波管固定アッテネータです。これらのアッテネータを追加することにより、過負荷やミキサーの損傷を引き起こす可能性がある高レベル信号から入力を保護することができます。E8257DVxx 信号発生器用周波数エクステンダーをN9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数エクステンダーに取り付ける場合は、オプションATNアッテネータを常に使用することをお勧めします。
表4. オプションATNおよびUDC
キーサイトのモデル番号 オプションATNの減衰値 オプションUDCの利用N9029AV01 お問い合わせください お問い合わせくださいN9029AV1B 10 dB お問い合わせくださいN9029AV02 20 dB お問い合わせくださいN9029AV2B 20 dB お問い合わせくださいN9029AV03 30 dB ○N9029AV05 20 dB お問い合わせくださいN9029AV06 20 dB お問い合わせくださいN9029AV08 30 dB お問い合わせくださいN9029AV10 30 dB ○N9029AV12 30 dB ○N9029AV15 40 dB ○
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N9029AVxx シグナル・アナライザ用周波数エクステンダーに 付属のアクセサリ:
2.92 mm(オス)-2.92 mm(オス)同軸ケーブル、長さ1.2 m
USBメモリ(ドキュメントと校正データを含む)9 VのDC電源
ウェブリソース
詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。www.keysight.co.jp/find/SA_mmwave www.keysight.co.jp/find/PXA www.keysight.co.jp/find/EXA www.keysight.co.jp/find/SG_mmwave www.keysight.co.jp/find/MXA
VDIのシグナル・アナライザ用周波数エクステンダーの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。www.vadiodes.com
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myKeysight
www.keysight.co.jp/find/mykeysightご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。
www.keysight.com/go/quality
Keysight Technologies, Inc.DEKRA Certified ISO 9001:2008 Quality Management System
契約販売店
www.keysight.co.jp/find/channelpartnersキーサイト契約販売店からもご購入頂けます。お気軽にお問い合わせください。
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