資料1
LCAとタイプⅢ環境ラベル
物質・材料研究機構
材料基盤情報ステーション
八木晃一
2004年12月10日エコプロダクツ展
受け入れつつ、対応しなければならない環境問題の出現
・ 従来の公害の克服; 局所的被害、原因の特定は比較的容易
・ 最近の環境問題 ; 温暖化のような地球規模の環境問題、また
資源・エネルギーの問題
問題意識 : 地球規模での検討が必要
人間の社会経済活動に直結
持続可能な発展 Sustainable Development
資料1
スクラップフロー図 (1990年度 単位千トン)
Cu, Sn, As, Sb, Cd, Ni 鋼種によっては Cr, Ti, Co, Mo
現状技術で除去容易
Zn, Pb, H, Bi鋼種によっては N
真空下で除去容易
S, P, O鋼種によっては C, Al, Si, Mn
冶金反応で除去容易
製鋼工程での不純物元素の技術的な除去可能性
(西田礼次郎、徳田昌則 : 資源と素材、107(1991). p.103.)
資料1
21世紀の課題である地球環境、資源・エネルギー、安
全等をどのように克服すべきか?
地球環境問題
と立ち向かうには工学的視点が必要!
安全の問題
上記の課題に対しては
科学的課題(真理探究)であるとして対応するとともに、
工学的課題(最適化)として進めることが必要。
; 技術、コスト、環境、安全 ・・・ から考慮
社会経済活動の活発化
生活の豊かさ
生産・消費の増大
ストレス
・ 環境
・ 生態系
・ 人間
・ 機械・構造物
・ 社会インフラ
等
Trade-offの関係
資料1
持続可能な社会(リスク社会) としてのアプローチとは?
環境負荷と生存とのバランスから最適解を探す
分析手法およびデータの公開による透明化
材料の生まれ、製品製造から運用、廃棄、リサイクルまでを視野に入れた解析
全ライフサイクルを通じて環境負荷を最小とし、製品性能と調和を図り、その性能を最大限に引き出す技術の開発
環境に関して
・ 豊かな生活、社会インフラ整備
・ 環境への負荷の増大
・ 地球温暖化
調 和
環境負荷を最小とする技術の開発 ; リスク社会と
してのアプローチ
環境負荷と性能をバランスさせた製品の提案
ユーザーによる製品の選択
選択に必要な知識と情報の提供が求められる
環境負荷評価手法としてのLCAの確立
と
環境負荷情報としてのタイプⅢ環境ラベルの情報の整備
資料1
ライフサイクルの概念図
【資源の投入】
再生資源
【環境への排出】
枯渇性資源
更新性資源
大気への排出
水域への排出
固形廃棄物
土壌への排出
資源採取
原材料の製造
流通・消費
リサイクル・廃棄
製品への加工
LCAの手順
目的の明確化
環境負荷分析
インベントリー分析解
釈
資料1
環境ラベル
タイプⅢ環境ラベル
環境負荷を定量的に表示。
公開される定量的な情報は第三者の検証を受け、認証された信頼性の高いLCAデータ。
環境負荷を考慮して製品を選択するための情報であり、環境負荷、コスト、性能などの情報からユーザーは製品を選択する。
資料1
―2006年予定環境ラベル及び宣言タイプⅢ―環境宣言ISO14025
2000 08.201999.04.01環境ラベル及び宣言―タイプⅠ環境ラベル表示・原則及び手続
ISO14024
2000 08.201999.09.15環境ラベル及び宣言―自己宣言による環境主張(タイプⅡ環境ラベル表示)
ISO14021
1999 07.202000 09.15環境ラベル及び宣言―一般原則ISO14020
JIS制定ISO発行規格名称ISO
規格番号
ISO/TC207(環境マネジメント)/SC3(環境ラベル)規格進捗状況
エコリーフで公開されるシート(3種類)
・製品データシート:LCA計算に必要な入力データ・製品環境情報開示シート(PEIDS):LCA計算した結果・製品環境情報(PEAD):環境負荷情報のまとめ
資料1
製品データシート
製品のLCA計算に必要な入力データ・製品情報・製造サイト情報・物流ステージ情報・使用ステージ情報・廃棄・リサイクルステージ情報
製品環境情報開示シート
製品のLCAを計算した結果のデータ素材製造、製品製造、物流、使用、廃棄・リサイクルの各ステージおよびライフサイクル全体での「インベントリ分析」、「インパクト評価」、「消費エネルギー」
*インベントリ分析:資源消費と環境排出
LCA結果の信頼性と比較可能性を低下させる主たる原因
・データ収集と加工(配分等)に関する不統一と数値の信頼性
・LCA計算に用いるバックグランドデータの選定に関する方法と数値の不統一
・製品分類別基準制度・共通データベース制度・データ検証制度
資料1
トータルライフサイクルで製品の環境負荷を評価することが重要
たとえ、素材の環境負荷が高くても、良質な材料を使うことによって、製品のライフサイクルでの環境負荷を下げることが可能
208271重 量(kg)
5938振動数(Hz)
2040811902曲げ剛性(Nm/deg)
1902411531捻り剛性(Nm/deg)結 果比較車平均
ULSAB(超計量車開発プロジェクト) 国際鉄鋼協会 (IISI)
資料1
1973年と1990年を比較しての品種別の増エネルギー量
140.0
1,108.8
160.0860.0
22.0
30.0
54.0
28.4560.0
58.0
Mcal/t 製品
増エネルギー量増エネルギー要因
16,400213合 計
3704.8★オーステナイト・フェライトス テ ン レ ス
1,63021.2★電磁鋼板電 磁 鋼 板
740650
9.68.4
形状高精度化等
★継ぎ目無鋼管鋼 管
400.5★熱処理比率材線 材
180.2★外形一定H形鋼形 鋼
5106.6★高張力化鋼厚 板
7207230
9.493.9
軽量化
★表面処理鋼板冷延・表面処理
4,47058.0高純度化製 鋼
×109Kcal/年Mcal/t 粗鋼
注 : ★品種構成の変化 鉄鋼界、1995年、9月号、pp.40-46
1990年における製品毎の使用段階での省エネルギー貢献量
25,450粗鋼トン当たり
330Mcal/t合 計
50外形一定寸法H形鋼の適用→溶接作業の不要橋梁・鉄骨鋼材
1,080高張力化鋼の適用→軽量化→燃費向上造船用厚板鋼材
8,400高温耐食性向上→蒸気条件の高温高圧化→発電効率の向上発電ボイラー・
タービン用鋼材
10,000320
5,600
高張力化鋼の適用→軽量化 燃費向上
鋼材節減
表面処理鋼板の適用比率の増大→長寿命化→鋼材節減
自動車用鋼板
省エネ貢献量
×109Kcal/年社会での省エネ貢献内容製 品
鉄鋼製品の高付加価値化による増エネルギー量 ; 16,400×109kcal/年すなわち、213×103kcal/粗鋼1トン
鉄鋼製品の省エネルギー貢献量 ; 25,450×109kcal/年すなわち、330×103kcal/粗鋼1トン
省エネルギー貢献量-増エネルギー貢献量=117×103kcal/粗鋼1トン
省エネルギー効果 鉄鋼界、1995年、9月号、pp.40-46
資料1
鉄くずの輸出量と輸出先
出所:経済産業省産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会
企画ワーキンググループ『循環型社会システムの高度化に向けて』2002年2月
日本からの廃棄物輸出と中国でのリサイクル
出所:小島道一他 「日本からの廃棄物輸出と中国でのリサイクル」(消費生活研究所『持続可能な社会と地球環境のための研究助成(2002年度)』 2003年)
資料1
ラベル数 企業数
1 AA 乾式間接静電式複写機 34 8 4
2 AB発泡ポリスチレン系バラ状緩衝材
3 2 0
3 AC レンズ付きフィルム 19 2 0
4 AD EPおよびIJプリンタ 47 6 4
5 AE カメラ (銀塩フィルム用) 4 2 1
6 AF デジタル印刷機 11 5 0
7 AG データプロジェクタ 11 1 1
8 AH ファクシミリ 11 5 2
9 AJ 熱転写方式カードプリンタ 2 1 0
10 AK 水道用メータボックス 4 1 0
11 AL 通信コード 0 0 0
12 AM 温水洗浄便座 0 0 0
13 AN 構造用骨材 1 1 0
14 AP デジタルカメラ 22 5 2
15 AQ 陶磁器製品 0 0 0
16 AR 事務用机 0 0 0
17 ASノート型パーソナルコンピュータ
25 2 2
No. PSC番号とPSC名称ラベル公開 システム認定
(企業数)
エコリーフ環境ラベルの公開状況 (平成16年11月末現在)
ラベル数 企業数
18 AT 系統電力 2 2 0
19 AU 排水ます蓋 1 1 1
20 AV フォトプリントスキャナ 1 1 0
21 AWファクシミリ用外付け 節電装置
1 1 0
22 AX インターホン 2 1 1
23 AY 固定電話機 1 1 1
24 AZ 電子黒板 0 0 0
25 BA インスタント写真方式プリンタ 2 1 0
26 BB 光ディスクドライブ 3 2 1
27 BC 飲料および食品用金属缶 0 0 0
28 BD 紙製飲料容器 4 1 0
29 BE フリーアクセスフロア 0 0 0
30 BF 卸電力 1 1 0
31 BG 低圧モータコントロールセンタ 1 1 0
32 BH ネットワークカメラ 2 2 0
33 BJパソコン及びパソコン専用ディスプレイ
0 0 0
215 30 20合計(重複除く)
No. PSC番号とPSC名称ラベル公開 システム認定
(企業数)
海外の代表的プログラムの認証状況(平成15年12月末現在)
セメント,建築資材他
冷蔵庫,洗濯機,プラズマテレビ他
冷蔵庫,洗濯機,
電力,変圧器他主な製品事例
2002711866タイプⅢ宣言数※
3014434参加企業数
32-1637PSC制定数
日本[4]ノルウェー[3]韓国EDP[2]スウェーデンEPD[1]
※宣言数の数は各国の計上方法によるため,比較はできない。(例:型式の違いもカウントする場合がある)
[1] 2003年12月25日現在(準備中除く) http://www.environdec.com/[2] Korean Type III Environmental Labelling Program “EDP” June 2003 pp.13[3] 2003年12月25日現在 http://www.nho.no/miljo[4] 2004年11月2日現在、システム認定企業数:9社、システム認定製品事業体;20件
資料1
タイプⅢ環境ラベルの今後の展開
これまでの展開の背景・ISO 14020シリーズ(環境ラベル)の規格化・LCAの必要性の認識とLCA研究成果(手法・データベース)・環境配慮型製品の開発・商品化
今後の展開・2006年にタイプⅢ環境ラベルが規格化される・タイプⅢ環境ラベルの普及を加速し、また促進していかなければならない
製品の環境配慮性の主張と社会からの評価
グリーン購入
環境配慮型製品のみ生き残る
21世紀の社会での環境ラベルー持続可能な社会の構築ー
・国の規制緩和
・ニーズの多様化
・IT活用の増大
・情報の公開
・消費者による選択
・リスクの分担
製品の価値を高めるとともに、企業組織の社会的信用を高める