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No.308 January 2008 - Fujitsu

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ISSN 1346-9029 研究レポート No.308 January 2008 グローバル市場における日本企業の CSR サプライチェーン 主任研究員 生田 孝史
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ISSN 1346-9029

研究レポート

No.308 January 2008

グローバル市場における日本企業の

CSR サプライチェーン

主任研究員 生田 孝史

グローバル市場における日本企業のCSRサプライチェーン

主任研究員 生田孝史

【要旨】 これまで国際的な CSR 推進の動きは、欧米主導で展開され、途上国においては欧米多国

籍企業がサプライチェーンのリスクマネジメントの観点から積極関与してきた。しかし、最

近では中国や東南アジアにおいて、自国企業の育成、独自基準の策定、国内貧困対策への大

企業の活用などの思惑から、現地主体の政策主導型の CSR 普及の動きが現れ、国際的な構

図が急速に変化している。業界主導型で CSR 普及を図ってきた日本の企業においても、国

際的な潮流の変化を把握しながら、CSR 推進戦略を検討・実施することが求められている。 日本企業のサプライチェーンの CSR の取り組みについて、2006 年調査と今回(2007 年)

調査を比較すると、主要企業の対応率は 33%から 47%に上昇していた。電機業界や化学・医

薬業界に続いて、食料品、加工組立業、電気・ガス業界の対応も進展し、概ね全業種におい

て取り組みが浸透していた。業種による対応の違いは、最終消費者との距離、環境・安全面

でのリスク、取引先との関係に起因すると考えられる。すなわち、国内の取引先対応から実

施する傾向があり、リスクが高い海外対応に時間を要している。 サプライチェーンの CSR に取り組むにあたって、日本企業の強みは長期継続的かつ親密

な取引関係とグリーン調達で培った品質管理ノウハウである。一方、欧米先行企業に対する

取り組みの出遅れや、多様なステイクホルダーとのコミュニケーション能力が弱みである。

日本企業がグローバル市場における企業競争力を高めるためには、CSR の国際的な議論の潮

流や先行取り組みを勘案しながら、サプライチェーンのリスクアセスメントの実施、継続的

な改善を担保するマネジメントシステムの構築、コミュニケーション能力の強化を考慮した

サプライチェーンの CSR 戦略の構築を検討すべきである。 キーワード:CSR、サプライチェーンマネジメント、グローバル市場、SWOT 分析

【目次】 1 はじめに ................................................................................................................................ 1 2 アジアにおけるCSRを巡る潮流 ........................................................................................... 2

2.1 CSR普及を巡る国際的な構図........................................................................................... 2 2.2 アジアにおける潮流の変化............................................................................................... 4

3 日本企業の取り組みの進展................................................................................................. 11 3.1 国内主要企業の取り組み調査 ......................................................................................... 11 3.2 日本企業の取り組みの傾向............................................................................................. 15

4 サプライチェーンのCSR戦略構築に向けて....................................................................... 17 4.1 日本企業のSWOT........................................................................................................... 17 4.2 戦略的な検討のポイント ................................................................................................ 19

参考文献 ...................................................................................................................................... 24

1 はじめに

グローバル化の進展に伴って、CSR(企業の社会的責任)に対する関心は、企業内部の

取り組みだけでなく、企業が関与するサプライチェーン全体に広がってきている1。最近

では、CSR調達という用語も聞かれるようになってきた。サプライチェーンのCSRに対応

していくためには、従来のサプライチェーンマネジメントが対象としてきた品質、コスト、

納期に加えて、国内外のサプライチェーンの各段階において、コンプライアンス、人権、

労働、安全衛生、環境等の面からリスクの把握を行い、サプライチェーンを最適に管理す

ることが企業に求められている2。 本研究の先行研究3では、まず、サプライチェーンのCSRに関して、日本より厳しい要

請を受けてきた欧米の多国籍企業による先行取り組みの現状と課題を概観した。先行企業

といえども現状は試行錯誤の域にあり、特に途上国での取り組みが進むにつれて、サプラ

イチェーン管理のコスト増大と実効性の確保に関する課題が表面化しており、単なる規制

型の監査だけではなく、取引先のCSR経営管理行動の改善につながる支援・協同型の取り

組みの重要性が認識されてきている。一方、日本においては、一部の企業がCSR調達に着

手した段階であった。日本企業にとっての課題は、ステイクホルダーの理解を得る取り組

み、自社企業の強みの確認、企業の取り組みを円滑に促すための包括的な枠組みの形成で

あり、競争力強化のためには、国際的な潮流を勘案しながら戦略的な検討を行うことが必

要であるという結論を得た。 以上の検討を踏まえ、継続研究である本研究では、日本企業のサプライチェーンにとっ

て最も重要なアジア市場を中心に、日本企業のサプライチェーンの CSR 戦略のあり方を

より詳細に検討する。CSR に関する議論及び具体的取り組みは急速に進行していることか

ら、次章以下では、まず、アジアにおける CSR を巡る潮流の変化について中国及び東南

アジア市場を中心に把握し(2 章)、日本企業の取り組みの進展を再整理・分析した上で(3章)、日本企業のサプライチェーンの CSR 戦略構築のポイントについて述べることとする

(4 章)。

1 厳密には、製品・サービスの使用時・使用後(廃棄)まで含むバリューチェーン全体が対象となる。 2 藤井・海野(2006)では、CSR調達を行わないことによるリスクとして、ブランドリスク、IR(投資

家)リスク、調達リスク、販売リスクを挙げている。 3 生田(2007)

1

2 アジアにおける CSR を巡る潮流

2.1 CSR 普及を巡る国際的な構図

1990年代後半から日本でCSRに対する関心が急速に拡大した2004年頃4までの間、CSR普及を巡る国際的な構図は、図表 1 のように形成されてきた。

これまで、国際的な CSR 推進の動きは、欧米主導で展開されてきた。今や、欧米では、

機関投資家による社会的責任投資(SRI)は一般的なものとなっており、格付け機関など

の CSR 評価も活発である。CSR の規格化・標準化も進行し、国際的な CSR 規格(ガイダ

ンス文書)となる ISO26000 は 2009 年の発行予定である。欧米主導と言っても、その背

景とアプローチは異なっている。一般的に欧州では、欧州委員会を中心に、企業競争力と

社会発展の調和という観点から、政策的に CSR が推進されている。公共調達方針への反

映や上場企業等への情報開示を求めているだけでなく、企業の取り組みを支援するために、

様々な CSR 経営ツールが開発されている。CSR 推進方策などの検討にあたっては、政府、

産業界、NPO などのマルチステイクホルダーによる枠組みが構成されるケースが多い。 このように「政策主導型」の色彩が濃い欧州に対して、米国は政府の関与が小さく、「市

場主導型」と位置づけることができる。米国では、企業のフィランソロピーの概念が浸透

していたが、2000 年代初頭におけるエンロンやワールドコムの不正経理・不正取引による

経営破綻事件を経て、コンプライアンス、企業倫理の視点で CSR が語られる傾向が強ま

った。企業不祥事等に対する消費者や投資家からの圧力が、企業の CSR 活動を促すもの

となっている。 日本においては、このような CSR への関心が強まる海外市場への対応という側面から、

グローバルな事業活動を行う企業を中心に取り組みが進んできた。最近では、企業不祥事

に対する国民の関心も高く、SRI も成長してきたとはいえ、欧米と比べれば、企業に対す

るステイクホルダーの圧力は弱い。政府も欧州ほどの戦略性を持って、企業の CSR 活動

を促してきたとは言い難い。国内企業の CSR 活動の推進にあたって、ガイドラインや評

価規準の作成など、日本経団連や経済同友会などの産業界が果たした役割は大きく、「業界

主導型」と考えることができる。日本企業の場合、CSR に該当する個々の企業活動につい

ては、既に実施しているものが多いが、欧米主導で進行している CSR の概念・枠組みに

対応して企業活動を説明するための社内体制の整備と活動の再定義などが必要となってい

るといえる。 途上国においても、欧米主導の国際動向が CSR の取り組みのドライバーとして働いて

いる。欧米多国籍企業にとっては、自社のサプライチェーンにおけるリスクマネジメント

の観点から、途上国における活動・生産拠点及び取引先での CSR の推進が不可欠である。

4 生田・峰滝(2005)において、日経四紙に掲載されたCSR関連記事数が 2003 年から 2004 年からにか

けて4倍以上に急増していることを述べた。

2

また、国際的な NGO も、途上国の労働環境に代表される CSR への関心が高く、独自の調

査活動を活発に行っている。このように、欧米発の CSR の要請が途上国に波及している

状況であり、現地の政府・産業界・市場などのアクションに先駆けて、欧米多国籍企業が

主導する形で、サプライチェーン上にある企業の CSR 活動が着手されてきた。現地企業

からすれば、多国籍企業からの取引上の要請に基づいて、監査や、改善活動を行うという

受動的な対応となっていることが多い。 最近では、このような CSR 普及を巡る国際的な構図に少し変化が見られているようだ。

日本企業の中にも、CSR 調達を実施するために、グローバルなサプライチェーンにおいて

取引先等への CSR の要請を行う企業が増え始めている。また、多国籍企業主導型と考え

られてきた途上国においても、現地主体の独自の動きが見え始めている。次節では、CSR普及を巡るアジアの変化について述べることとする。

図表 1 CSR 普及を巡る国際的な構図

欧州

<政策主導型>

企業競争力と社会発展の調和の観点から政策的に積極推進

多様なCSR経営ツールの開発

マルチステイクホルダーアプローチ

欧州

<政策主導型>

企業競争力と社会発展の調和の観点から政策的に積極推進

多様なCSR経営ツールの開発

マルチステイクホルダーアプローチ

米国

<市場主導型>

企業不祥事に対する消費者・投資家からの圧力

コンプライアンス、企業倫理、フィランソロピーの視点が中心

米国

<市場主導型>

企業不祥事に対する消費者・投資家からの圧力

コンプライアンス、企業倫理、フィランソロピーの視点が中心

日本

<業界主導型>

経済団体(経団連、経済同友会)が主導的役割

政府の戦略的関与は乏しい

国内ステイクホルダーの圧力が弱い

日本

<業界主導型>

経済団体(経団連、経済同友会)が主導的役割

政府の戦略的関与は乏しい

国内ステイクホルダーの圧力が弱い

途上国など

<多国籍企業主導型>

欧米多国籍企業がリスクマネジメントの観点から積極関与

国際NGO等による活発な調査

労働環境の問題が主要関心事

途上国など

<多国籍企業主導型>

欧米多国籍企業がリスクマネジメントの観点から積極関与

国際NGO等による活発な調査

労働環境の問題が主要関心事

多国籍企業主導型

市場主導型政策主導型

業界主導型

(出所)富士通総研作成

3

2.2 アジアにおける潮流の変化

図表 2 は、アジア域内で事業活動を行うCEOの団体であるAsia Business Council が、

2006 年 10 月に、会員企業のCEOに対して自社の事業活動に影響を及ぼす項目に関するア

ンケートを行った結果を示したものである5。この中で、CSRが及ぼす影響については、「大

変重要」あるいは「重要」と認識している企業の合計が 77%となっており、「質の高い人

材へのアクセス」や「企業家精神とイノベーション」、「コーポレートガバナンス」などの

項目に比べれば劣るものの、アジアにおいてCSRが重要な経営課題として認識されつつあ

ることを示すものである。 CSRが対象とする分野は広範であり、業種によって関心の高い事柄は異なる。図表 3 は、

アジア太平洋地域における主要9業種に関して優先するCSR項目を調べた結果である

(Welford 2007a)6。6 業種が「健康・安全」を最重視しているが、金融では「汚職」、不

動産では「環境」、玩具では「人材管理」が最重視されているなど、業種による違いが現れ

ている。また、食品と衣料においては「サプライチェーン」が、同じく食品と玩具におい

て「製品責任」が 3 位以内にランクされており、ステイクホルダーからの強い関心を受け

ていることがうかがわれる。

図表 2 アジア主要 CEO が重視する事業活動に影響する事柄

38% 40% 23%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

質の高い人材へのアクセス

起業家精神とイノベーション

コーポレートガバナンス

資本市場へのアクセス

CSR

株主権利

保護主義

研究開発資金

国際環境基準

国際労働基準

大変重要 重要 やや重要 重要でない

(出所)Asia Business Council (2006)

5 当時の会員企業 64 社(83%がアジア域内企業)のうち 48 社が回答。詳細は

http://www.asiabusinesscouncil.org/docs/ChiefExecutivePerspectives.pdf 6 本調査は、15 のCSR項目の中から優先順位の高い上位3つを示している。

4

図表 3 アジア太平洋地域の主要9業種が重視する CSR 項目 優先順位

業種 1位 2位 3位

金融 汚職 ガバナンス 環境

不動産 環境 健康・安全 ガバナンス

ホテル 健康・安全 人材管理 環境

食品 健康・安全 サプライチェーン 製品責任

航空 健康・安全 環境 汚職

電機 健康・安全 環境 人材管理

運輸・流通 健康・安全 ガバナンス 環境

衣料 健康・安全 環境 サプライチェーン

玩具 人材管理 健康・安全 製品責任

(出所)Welford (2007a)を基に富士通総研作成 国際的な CSR の関心の高まりを受けて、アジアでは、サプライチェーン管理の観点か

ら、途上国を中心に欧米の多国籍企業が CSR の普及啓発を主導してきた。しかし、最近

では、多国籍企業主導ではない、現地主体の CSR 普及の動きが現れてきている。以下、

中国及び東南アジア地域の動向を例として、アジアにおける CSR 普及を巡る潮流の変化

について述べる。 2.2.1 中国

中国においてCSRに熱心な企業といえば、外資系企業のイメージが強い。図表 4は、2006年 12 月に公開された中国国内の第 3 回企業公民賞を受賞した 20 社を示したものである7。

20 社のうち外資系企業が 14 社を占め、そのうち日系企業はトヨタ、エプソン、広州ホン

ダの 3 社である。中国企業 6 社のうち 4 社が、不動産や金融・保険といった非製造業であ

るのに対して、外資系企業は日系企業を含めほぼ製造業であり、サプライチェーン管理あ

るいはグローバルなブランド管理という観点から、中国現地法人におけるCSRの普及に取

り組んでいると言える。 最近、中国では、CSRに関する国際的な動向に対応するために、業界、地方、国レベル

で、独自の規準を策定する動きが注目されている。繊維業界では、2005 年に中国紡績工業

協会が業界独自のCSRマネジメントシステム「CSC9000T」を策定し、国内の繊維・アパ

レル産業のCSR普及活動を支援するためのパイロットプロジェクトを実施している8。

7 新浪财经(http://finance.sina.com.cn/focus/bestcorp2006/index.shtml) 8 http://www.csc9000.org.cn

5

図表 4 中国の企業公民トップ20社(2006)

外資系企業(14 社) 中国企業(6 社)

日系企業(3 社) 非日系企業(11 社)

万科企業 (不動産)

招商銀行 (金融)

内蒙古伊里産業集団 (食品)

TCL集団 (電機)

招商局地産 (不動産)

中国平安保険 (保険)

トヨタ (自動車)

エプソン (電機)

広州ホンダ (自動車)

BASF (化学)

GE (電機)

フォード (自動車)

モトローラ (電機)

シーメンス (電機)

インテル (電機)

マイクロソフト (情報・通信)

BP (石油)

ロレアル (化粧品)

サムソン (電機)

上海GE (電機)

(出所)新浪财经 2006 年 12 月 6 日付を基に富士通総研作成

2007 年 4 月には、中国銀行業監督管理委員会の上海支部が、上海地域内の金融業を対

象としたCSRのガイドラインを公開している9。地方レベルでは、2004 年に江蘇省常州市

が、市内の企業を対象とした独自のCSR規準「CSA8000」を導入しており、46 社が規準

を達成している10。そのほか、広東省深セン市も、独自のCSR規準の導入を検討中である。

構想では、規準未達成企業を市政府の調達リストから除外する方針とされている11。 また、国レベルでも、中国生産力学会12を中心に、国家レベル・全産業対象のCSR管理

規準「CCSC」の準備が進められている13。2006 年 2 月に中国商務部研究院多国籍企業研

究センターが「企業責任報告書ガイドライン」を作成するなど、CSR報告書の普及を進め

ている14。そのほか、環境分野における 2007 年 3 月発行の中国版RoHS(電子情報産品汚

染規制管理法)、労働分野における 2008 年 1 月施行予定の新労働契約法など、CSRに関す

る法整備も進んできていると言える。 中国企業の CSR への取り組みについては、国内の関心も高いようだ。2006 年 4 月に実

施された市民インターネット調査では、中国企業の CSR 報告書発行の促進を支持すると

回答したのが 62%、中国政府による CSR 規準の早期完成と企業への適用を望むと回答し

たのが 59%であった。 9 China CSR 2007 年 4 月 16 日付

(http://www.chinacsr.com/2007/04/16/1230-chinese-banking-institutions-should-be-socially-responsible/) 10 CSR Asia Weekly 2007年1月10日号(http://www.csr-asia.com/upload/csrasiaweeklyvol3week2.pdf) 11 http://www.newsgd.com/citiesandtowns/shenzhen/news/200611200045.htm12 http://www.cpdc.org.cn/13 Shi (2007) によれば、2006 年中に完成したドラフトでは、労働者保護、信用、環境保護、社会貢献、

製品品質の 5 分野からなるとのこと。 14 脚注 8 と同じ。

6

CSR報告に取り組む中国企業も徐々に増加している。中国国内において 2005 年末時点

でCSR報告書を公開した企業はわずか 6 社であったが、2006 年末に 18 社、2007 年 6 月

時点で既に 34 社となっており、今後さらに増加することが予想されている15。報告企業の

うち 80%が国有企業とされており、CSRの考え方が外資系だけではなく国有企業に普及し

始めていることを示唆している。さらに、07 年 7 月には、中国国内のコンサル会社からも、

中国企業向けのCSRマネジメントシステム規準案が発表16されるなど、CSRに関する中国

国内発の提案が活発になされているようだ。 2.2.2 東南アジア

シンガポールでは、以前から外資系企業によるCSRの取り組みが活発であった。例えば、

ABNアムロのシンガポール支社では、CSR活動の一環として包括的な従業員施策に力を入

れている17。具体的には、従業員のキャリア開発に加えて、ワークライフバランス、健康、

地域コミュニティへの関与という観点から様々な施策を行っており、その取り組みの成果

を数値で示す努力も行っている18。一方、現地企業のCSRに対する認識が低いことから、

CSRの推進を図る組織としてシンガポールコンパクト19が官民共同で 2005 年 1 月に設立

された。シンガポールコンパクトは、マルチステイクホルダーのプラットホームとして、

CSRに関する会員同士の情報交換や普及啓発・トレーニングプログラムなどを実施してい

る20。2007 年 6 月現在、約 160 の企業・団体が参加しており、そのうち半数は現地企業

である。 マレーシアでも、CSRに対する関心が高まっており、政府が主体的な動きを示している。

2007 年 9 月に発表された 2008 年予算案21, 22には、2008 年度から証券取引所に上場して

いる全企業に対して年次報告書におけるCSR活動の情報開示の義務付けが盛り込まれた23。

15 CSR Asia Weekly 2007 年 7 月 18 日号

(http://www.csr-asia.com/upload/csrasiaweeklyvol3week29.pdf) 16 浙江华盟文化传播有限公司が「HM3000 中国企業社会責任標準体系」を提案していると言われる

http://www.standardcn.com/article/show.asp?id=11469 http://www.csr-asia.com/index.php?p=1036417 ABNアムロは、世界的にもCSRの先行企業の一つである。離職率の高いシンガポールにおいては、優

秀な人材の確保が重要課題であり、選ばれる企業であるためのCSRという要素が強い。 18 同社によれば、医療費予算の利用率の低下、病欠日数の低下、従業員満足度の増加、全国平均より低

い離職率の維持などの成果につながっているとのこと。 19 Singapore Compact for CSR (http://www.csrsingapore.org/) 20 国連グローバルコンパクト(労働、人権、環境分野の企業の自主行動原則)のシンガポール拠点でも

あり、会員企業へのグローバルコンパクトへの署名も促している(署名企業は設立当初の 10 社から 07年 4 月現在 43 社に増加)。 21 The Star Online 2007 年 9 月 7 日付(http://thestar.com.my/budget/default.asp?pdate=/2007/9/7) 22 全文書 132 段落中、CSR関連が 5 段落、環境保全が 4 段落、コーポレートガバナンスが 3 段落を占め

た。 23 さらに、2007 年 10 月 1 日から上場企業に対するコーポレートガバナンス規準が改正され、監査の独

立性が高められた。

7

具体的には、従業員の人種別・性別構成比や、国内マレー系販売元の開発プログラムの情

報開示などが求められている。一方、5,000 万マレーシアリンギット(約 17 億円)のCSRファンドが創設され、貧困層の住居修繕プロジェクトや就業機会創出プロジェクトなど、

民間企業によるCSRプロジェクトが支援されることとなった。 さらに、インドネシアでは、2007 年 7 月の会社法改正に際して、有限責任会社に対す

るCSRの要請が法制化された。具体的には、資源関連産業の有限責任会社が社会面・環境

面での企業責任を負い、収益の一定部分をCSR活動に配分(予算化と費用計上)すること

が義務化されるというものであり、義務を果たさなかった場合の罰則規定も設けられる。

細則は 2007 年末までに策定されることとなっており、その内容については国内で議論に

なっているとのことである24, 25。 マレーシアやインドネシアの例に見られるように、東南アジアにおける政策主導の CSR普及の動向は、グローバルなサプライチェーンにおける CSR の要請に対応した自国企業

の育成あるいは独自規準の策定という理由からだけではない。これらの国々では、むしろ、

大手企業の収益を国内の貧困対策等に振り向けるために、国際的な CSR の関心を利用し

ている側面があるようだ。アジア地域においても、CSR 推進の背景には地域特性による違

いが存在することについては留意する必要があろう。 2.2.3 国際的な構図の変化

アジア域内でのCSRに関する議論も活発になっている。例えば、2007 年 11 月に香港で

開催された「CSRアジアサミット 2007」では、アジアのCSRに関して投資家が注目する

トップ 20 のテーマが議論されている26。具体的なテーマは、①ステイクホルダーダイアロ

グ、②製品責任と食品の安全性、③ボランタリースタンダード、④温室効果ガス把握、⑤

株主行動、⑥運輸・流通によるダメージ、⑦インターネットによる機会と挑戦、⑧偽造・

不正による金融リスク、⑨再生可能エネルギー、⑩倫理的な調達、⑪サプライチェーン上

の強制労働リスク、⑫CSR報告の透明性、⑬社会責任投資、⑭中国の公衆衛生とB型肝炎、

⑮アジアの水不足リスク、⑯従業員の差別・多様性問題、⑰生物多様性、⑱サービス分野

の労働搾取、⑲汚職問題、⑳コミュニティ投資、であった。グローバル化と地域経済成長

に伴う様々な社会問題の解決に対して、企業の役割が問われているということであり、ア

ジアの地域特性を反映したそれらの課題は、極めて多様かつ広範である。 中国・アジア市場において、実際にCSR活動を進める際には、法令と実施面のギャ

ップ、零細な二次・三次取引先への働きかけや、離職率の高い取引先でのCSR普及活

動など、現場レベルでは様々な難題に直面することであろう。特に、アジア地域で課

24 CSR Asia Weekly 2007 年 7 月 25 日号

(http://www.csr-asia.com/upload/csrasiaweeklyvol3week30.pdf) 25 Darwin (2007) 26 http://www.csr-asia.com/summit07/

8

題になっている「児童労働」や「債務労働」27、「搾取工場」の実態を完全に把握する

ことは難しい。企業側が厳重な監視体制を敷いていても、実態が伴っていない虚偽報

告が行われるケースがあり、現地工場の管理者に対して定期的な監査を行っていても

安心はできない28, 29。こうした虚偽報告は、企業が依頼している監査機関と工場側が

協力して行われている場合もあるため、監視を強化するだけでは完全には防ぐことは

できない。また、雇用される側も経済情勢等を背景とした「貧困」という根本的な問

題を抱えている。 以上紹介したように、CSR 普及に関して多国籍企業主導型とみなされてきたアジア

において、大手企業経営者を中心に CSR の重要性が認識されつつあり、現地主体の独

自の政策主導型の動きが現れてきた。図表 5 に示すように、中国・東南アジアなどに

おいて、地域ごとに様々な思惑がありながらも、CSR に関して受動的対応から能動的

対応へと移行しつつあり、CSR 普及を巡る構図は急速に変化しつつある。

図表 5 CSR 普及に関する国際的な構図の変化

米国米国

市場主導型

米国米国

市場主導型

欧州欧州

政策主導型

欧州欧州

政策主導型

日本日本

業界主導型

日本日本

業界主導型

??

中国・一部途上国中国・一部途上国

(出所)富士通総研作成

27 人身売買による労働(奴隷労働)がいまだに存在し、児童労働者が債務労働者である場合も少なくな

い。 28 管理者は監査が入るときだけ、職場環境を整備している可能性がある。従業員には、監査員から労働

時間などを聞かれた場合、どのように答えるかを事前に指導しておき、規定に合った監査結果ができる

ように繕う。 29 国内でも消費期限や製品品質の偽装問題や偽装請負問題等がマスコミを賑わしており、国外のサプラ

イチェーンに特有の問題とは言えない。

政策主導指向

中国・一部途上国中国・一部途上国

政策主導指向

移行

途上国など途上国など

多国籍企業主導型

途上国など途上国など

多国籍企業主導型

9

グローバル市場において取引先等へのCSRの要請を行う日本企業が増え始めている

が、欧米企業の取り組みに比べ、アジアでのCSR普及啓発の分野において、これまで

のところ日本企業の存在感は低い30。日本企業も、現地で社会貢献活動などを行って

いる例は少なくないが31、CSRの文脈で体系立てて説明されているとは言いがたい。

グローバルなサプライチェーンに組み込まれた多くの日本企業にとって、現地での個

別対応とともに、国際的な潮流の変化を把握しながら、国際的な協力体制の構築や人

材育成を含めた、中長期的な視点によるCSR推進戦略を検討・実施する能力が求めら

れている。また、我が国全体としても、CSRを巡る構図の急速な変化に対する認識を

行ったうえで、国内企業の競争力の確保という観点から、政府あるいは産業界がどの

ように関与すべきかの議論を行う必要がある。

30 例えば、ナイキ、マイクロソフト等は、児童労働者の撲滅に向けて、難民や貧困をなくすための国連

プロジェクト「ナインミリオン」の慈善団体創立時(2005 年 8 月)のメンバーである

(http://www.ninemillion.org/partners/partners.cfm)。 31 例えば、味の素では、途上国での栄養改善活動である『味の素「食と健康」国際協力ネットワーク』

を展開している(http://www.ajinomoto.co.jp/company/kouken/activity/nutrition/index.html)。

10

3 日本企業の取り組みの進展

3.1 国内主要企業の取り組み調査

3.1.1 2006 年調査の概要

本研究の先行研究では、2006 年版ニューズウィーク世界企業 500 社ランキングに選ば

れた日本企業 118 社を対象に、公開情報をもとに、サプライチェーンのCSRに関する取り

組み状況を評価した。具体的な評価項目は、まず「自社方針の有無」と「取引先への要請

の厳しさ」に大別したうえで、「取引先への要請の厳しさ」については、さらに「取引先へ

の依頼状況」、「取引条件への反映」、「監査・モニタリングの状況」の3つに細別した32。

その結果、これら 118 社のうち、サプライチェーンのCSRに関して何らかの取り組みを行

っている企業は 39 社と、対応率は全体の 33%であった。しかも、取り組みの内容・レベ

ルは様々であり、CSR調達方針を策定したばかりで取引先への具体的な要請に着手してい

ない企業もあった。全体として、日本企業のサプライチェーンのCSRの取り組みは、まだ

緒についたばかりであることをうかがわせた。また、業種によっても対応の違いが見られ、

電機業界や化学・医薬業界が積極的であったのに対して、素材関連業界や自動車業界の対

応が遅れているという結果があらわれた。 3.1.2 2007 年調査

今回は、2007 年 6 月末時点での国内主要企業のサプライチェーンのCSRの取り組みを

評価し、前回調査と比較した取り組みの進展を見ることとした。今回の調査対象は、2007年版ニューズウィーク世界企業 500 社ランキングに選ばれた日本企業 117 社とした33。評

価基準は前回と同様とした。 今回の調査では、評価項目の一つにでも該当した取り組みを行っている企業(対応企業)

は、55 社(対応率:全体の 47%)であった。前回調査と比較しても対応が進んできたと

いうことがいえる。図表 6 は、評価項目ごとの CSR の取り組みの状況を前回調査結果と

ともに示したものである。前回調査と比較すると、CSR 調達方針、取引先への依頼、取引

条件への反映は、取り組みが進んでいるが、監査・モニタリングについては、進展がみら

れなかった。これには、監査・モニタリングが他の項目と比べて、取り組みが容易でない

ことや、実効性について議論があること、必要性を感じない企業があることなどが予想さ

れる。

32 評点は、「自社方針」が 0 点~2 点、「取引先への要請の厳しさ」が 0 点~6 点である(3つに細別した

項目が各々0 点~2 点であるため)。環境分野(グリーン調達)のみについて言及したものは、サプライ

チェーンのCSRの取り組みとは扱っていない。詳細は生田(2007)参照。 33 その時点での優良日本企業のパフォーマンスを見るという目的から、前回対象企業の追跡調査という

形式をとらなかった。今回の対象企業 117 社の内訳は、前回から継続採用されている企業が 102 社、今

回、新規採用された企業が 15 社であった。

11

図表 6 国内主要企業のサプライチェーンにおける CSR の取り組み状況

①2006 年調査(N=118)

28 5 85

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

CSR調達方針設定、購買方針内で明言 購買方針内で一部言及 不明

26 3 89

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

ガイドライン等具体的に要請 選定方針のみ提示 不明

8 18 92

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

取引の前提条件 選定の参考・総合評価 不明

10 8 100

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

実施 検討中 不明

28 5 85

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

CSR調達方針設定、購買方針内で明言 購買方針内で一部言及 不明

26 3 89

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

ガイドライン等具体的に要請 選定方針のみ提示 不明

8 18 92

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

取引の前提条件 選定の参考・総合評価 不明

10 8 100

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

実施 検討中 不明

監査・モニタリング監査・モニタリング

取引条件への反映取引条件への反映

取引先への依頼取引先への依頼

CSR調達方針CSR調達方針 24% 28%24% 28%

22% 25%22% 25%

7% 22%7% 22%

8% 15%8% 15%

②2007 年調査(N=117)

10 7 100

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

実施 検討中 不明

14 19 84

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

取引の前提条件 選定の参考・総合評価 不明

35 8 74

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

ガイドライン等具体的に要請 選定方針のみ提示 不明

36 13 68

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

CSR調達方針設定、購買方針内で明言 購買方針内で一部言及 不明

監査・モニタリング監査・モニタリング

取引条件への反映取引条件への反映

取引先への依頼取引先への依頼

CSR調達方針CSR調達方針 31% 42%31% 42%

30% 37%30% 37%

12% 28%12% 28%

9% 15%9% 15%

(出所)富士通総研作成

12

3.1.3 業種特性とスコア分布

図表 7 は、業種別にサプライチェーンのCSRの対応状況を整理したものを前回調査結果

と並べて示したものである34。対応企業が見当たらなかった建設業を除いて、全ての業種

において前回調査と比較して今回調査では、対応率が上昇している。前回調査では、電機

と化学・医薬の対応が先行していたが、今回調査では、食料品、その他製造(加工組立)、

電気・ガスにおいても、対象企業数が多くないとは言え、6割以上の対応率であった。一

方、その他製造(素材)、輸送用機器、その他非製造業は、いずれも対応率が3割以下と低

かったが、前回に比べれば増加している。これらのことから、業種によって取り組みのス

ピードは異なるものの、概ね全業種において、サプライチェーンのCSRの取り組みが浸透

しつつあるといえよう。 このように、サプライチェーンの CSR への対応がこれまで関心が低かった業種におい

ても広がってきているが、現在の業種間の取り組みの違いの要因は、図表 8 のように考え

ることができよう。

図表 7 国内主要企業のサプライチェーンの CSR の業種別対応状況

0 5 10 15 20 25

建設

食料品

化学・医薬品

その他製造(素材)

電気機器

輸送用機器

その他製造(加工組立)

電気・ガス

その他非製造

対応企業 未対応企業

0%

75%

60%

21%

74%

27%

63%

75%

28%

2007年

0 5 10 15 20 25

建設

食料品

化学・医薬品

その他製造(素材)

電気機器

輸送用機器

その他製造(加工組立)

電気・ガス

その他非製造

対応企業 未対応企業

0%

75%

60%

21%

74%

27%

63%

75%

28%

2007年

0%

75%

60%

21%

74%

27%

63%

75%

28%

2007年

0 5 10 15 20 25

建設

食料品

化学・医薬品

その他製造(素材)

電気機器

輸送用機器

その他製造(加工組立)

電気・ガス

その他非製造

対応企業 未対応企業

0%

40%

8%

47%

63%

8%

22%

50%

15%

2006年企業数企業数

(出所)富士通総研作成

34 前回調査の業種分類で対象企業が少なかった業種は今回調査では統合して示した。具体的には、前回

の「紙・パルプ」、「石油・ゴム製品」、「ガラス・土石・鉄鋼・非鉄金属」は、今回は「その他製造(素

材)」に、前回の「機械」と「その他製造業」を「その他製造(加工組立)」とした。

13

図表 8 サプライチェーンの CSR 対応の違いの要因

対応率 高 対応率 低

最終消費者との距離 近い 遠い

環境・安全面でのリスク 高い 低い

取引先との関係 流動的 緊密

(出所)富士通総研作成 例えば、CSRに関心を持つ最終消費者との距離が近い業種の方が、遠い業種に比べて対

応率が高い傾向にあるようである。製造業で言えば、中間財を生産する素材産業より最終

消費財を供給する加工組立産業の方が、消費者の要請に敏感である。電気・ガス等も、事

業の公益性という面から対応が積極的である。食の安全性や、製品の含有物質についての

関心は近年著しく高く、環境・安全面でのリスクが高い業種も当然のことながら、サプラ

イチェーンのCSR対応に積極的である。取引先の関係が流動的な業種の方がサプライチェ

ーンリスクに敏感である。一方、自動車のように取引先との関係が緊密な業界では、サプ

ライチェーンの管理をCSRの文脈で説明する必要性が希薄な企業が多いようである35。 図表 9 は、サプライチェーンのCSRに対応した企業のスコア分布(縦軸を「自社方針の

有無」、横軸を「取引先への要請の厳しさ」)を前回調査と比較して示したものである。こ

こでは、対応企業をCSR調達方針の制定などを行っているものの取引先への要請がそれほ

ど厳しくない「調達方針先行型」、CSR調達方針などを明示していないものの、取引先に

対するCSRの要請が厳しい「実務先行型」、CSR調達方針を持ち、取引先に対する要請も

厳しい「総合対応型」の3タイプに類型化している36。「総合対応型」及び「調達方針先行

型」は前回調査と比べて増加している。特に、「調達方針先行型」は前回の 13 社から 22社へと急増している。最も高い評価(8 点:「総合対応型」)となった企業数は前回の 3 社

から今回は 5 社に増加した。一方で「実務先行型」に該当する企業数には変化がなかった。

CSR調達方針を持つかどうかは企業姿勢を反映するものであるが、「実務先行型」の企業

数に変化がないということは、サプライチェーンのCSRに着手しようという企業が、調達

方針などを策定する動きになっているということが示唆される。個々の企業について、前

回調査と今回調査でタイプに変更があったのは 3 社(「調達方針先行型」→「総合対応型」

が 2 社、「実務先行型」→「総合対応型」が 1 社)に過ぎず、各タイプの企業数の変化は、

今回新規に取り組みが認められた企業による部分が大きい。また、業種の傾向について見

ると、対応企業数の多い電機業界 17 社のうち 12 社が「総合対応型」であるのに対し、同

じく対応企業数の多い化学・医薬品業界 12 社のうち「総合対応型」は 4 社に過ぎず、全

体的な対応のレベルでは電機業界が最も進んでいる。 35 前回調査でも言及したように公開情報を元にしているため、非公開=非実施とは限らない。 36 前回調査では、それぞれ「方針型」、「実務型」、「総合型」としていた。

14

図表 9 国内主要企業のサプライチェーンの CSR の業種別対応状況

2006年 2007年

(出所)富士通総研作成 (注)□食料品、■化学・医薬品、◇その他製造(素材)、◆電気機器、◎輸送用機器、

●その他製造(加工組立)、○電気・ガス、★その他非製造

3.2 日本企業の取り組みの傾向

前節で述べたように、前回調査に比べてサプライチェーンの CSR に着手する日本企業

が増加しているが、その多くはまだ試行錯誤の段階であり、業種によっても取り組み

状況に大きな差がある。 日本企業の取り組みのきっかけを見ると、株主・取引先・NGO等から具体的な要請

を受けたケースもあれば、直接の要請がない場合でも、同業他社の取り組み動向を受

けて追随した取り組みを行うケース、自社の将来のリスク管理の一環として先行的な

取り組みを行うケースなど、様々である。例えば、電機業界等と比べると全般に対応

が遅れている自動車業界においても、個別企業について見ると、日産やマツダの取り

組みは先行している。グローバル市場でのCSRの意識が高い外資の影響を受けやすい

両社は、サプライチェーンの管理をCSRの文脈で説明することが求められているため

と考えられる。また、流通業の中では率先して国外サプライヤーのCSRに取り組んで

きたイオン37は、プライベートブランドの売上構成が約 1 割を占めており、リスク管

37 イオンは、2003 年よりプライベートブランド「トップバリュ(安全・安心をテーマ)」の製造委託先・

工場に対して、人権、労働環境、企業倫理、環境保全に関した「イオンサプライヤーCoC(行動規範)」

の遵守を要請している。海外では、二者監査・三者(外部)監査のいずれかを年1回実施している

(http://www.aeon.info/environment/report/2007pdf/04.pdf)。

取引先への要請の厳しさ

6543210

自社方針

★★◆◆ ■■

62社

◎◎●○

○■◇■◇◎●●★

◇●

□■■□■■

□■■★

■■○★

◆◆

◆◆◆◆◆

◆◎◆

◆◆◆○

◆◆○

◆◆

取引先への要請の厳しさ

6543210

自社方針

★★■■ ◆◆

62社

◎◎●○

○■◇■◇◎●●★

◇●

□■■□■■

□■■★

■■○★

◆◆

◆◆◆◆◆

◆◎◆

◆◆◆○

◆◆○

◆◆

取引先への要請の厳しさ

6543210

自社方針

★■■ ◆★◆

79社

●□■□■

■■

■○■■◇○★

◆◎◆◆

◆●◆◆◆

◆◆◆

◆◆◆◆

取引先への要請の厳しさ

6543210

自社方針

★■■ ◆★◆

79社

●□■□■

■■

■○■■◇○★

◆◎◆◆

◆●◆◆◆

◆◆◆

◆◆◆◆

調達方針先行型 総合対応型

実務先行型

13社

20社

6社

13社

20社

6社

調達方針先行型 総合対応型

実務先行型

22社

27社

6社

22社

27社

6社

15

理・ブランド管理の観点からも積極的な対応をしていると考えられる。さらに、衛生

陶器大手のTOTOでは、業界全体の関心が低い中で、中国・東南アジアでのブランド

力維持を目的に、2005 年度から海外取引先の実態調査・評価に着手している38。グロ

ーバル市場、特にアジアにおいてサプライチェーンのCSRに着手している企業につい

て見ると、その取引規模とリスクの大きさから、中国市場での取り組みを優先するこ

とが多いようだ。 実際に国内企業が取り組みに着手する場合、まずは国内取引先向けのCSR調達から

実施する傾向があるようである39。財団法人機械振興協会経済研究所の調査によれば、

2006 年 11 月~12 月時点で、機械関連の中堅中小製造業の 36%が、発注元から、CSRを含む調達方針・基準の説明あるいは自己診断の要請を受けていると回答している40。

その一方で、同調査では、「CSR調達」という言葉の認知度が 42%にとどまっており、

取引先からの依頼・要請を受けていない企業の多くが、サプライチェーンのCSR問題

に対する認識を持っていなかったということになる。意思疎通などの容易さから、国

内取引先への対応を先行することとなっているが、国内のサプライチェーンに比べて

CSRリスクが高いと考えられる海外のサプライチェーンへの対応を整備するのに時間

を要してしまうことが懸念される。

38 TOTOは、中国においてサプライヤーの生産・品質状況や環境保全、労働環境などの事前調査を行った

上で、2006 年度は、北京の現地拠点における主要サプライヤー約 170 社の経営トップに対し説明を行い、

CSR活動への理解と取り組みの約束(誓約のサイン)を交わしている。同業他社より先行していたため、

CSRの意識が低い現地サプライヤーの理解を求める段階から、手探りで取り組みを進めてきている

(http://www.toto.co.jp/company/kankyo/partner/index.htm)。 39 オムロンは、国内市場に先駆けて、中国市場において取引契約書の遵守事項にCSR項目と追加してサ

プライヤーとの再契約を締結した(2007 年 2 月末の締結率は 75%)。これは、現地の工場再編に伴って、

各サプライヤーと再契約を結ぶ必要があった機会を生かしてCSR項目を織り込んだものであり、例外的

である(http://www.omron.co.jp/corporate/csr/society/03_csr_proc.html)。 40 財団法人機械振興協会経済研究所(2007)

16

4 サプライチェーンの CSR 戦略構築に向けて

4.1 日本企業の SWOT

日本企業がサプライチェーンのCSRに取り組むにあたって、欧米企業などの取り組み41

を参照しながらSWOT分析42を行った結果を示したものが、図表 10 である。 日本企業にとっての強み(Strength)として、まず、日本企業の取引構造の特徴とされ

るサプライヤーとの長期継続的かつ親密な取引関係43を挙げることができる。昨今、サプ

ライチェーンのCSRを効果的に推進するためには、サプライヤーに対するCSRの普及・啓

発が重要であるという認識が国際的に深まっている。したがって、取引先との親密な関係

は、サプライヤーに対するCSRの要請、及び協同的な普及・啓発活動の実施に有利である

と考えられる。さらに、有害物質規制を背景として、大手製造業を中心に取り組みが進め

られた国際的なグリーン調達において培ってきたノウハウも、日本企業の強みとして考え

られよう。グリーン調達の取り組みは、サプライチェーンの品質管理活動の延長で実施さ

れるケースが多く、サプライヤーへの普及・啓発を通じた取り組みは、国際的にも高いレ

ベルにある。

図表 10 サプライチェーンの CSR に関する日本企業の SWOT

Strength (強み) Weakness (弱み)

長期継続的かつ親密な取引関係

グリーン調達で培った品質管理ノウハウ

取り組みの出遅れ

多様なステイクホルダーとのコミュニケー

ション能力

Opportunity (機会) Threat (脅威)

途上国経営者の CSR 意識の高まり

CSR 購入・調達の普及

海外の CSR 関連規制環境や枠組みの急

速な変化

取引先工場の人材流動性

(出所)富士通総研作成 41 生田(2007)に前述。 42 企業(あるいは組織、個人、プロジェクト等)の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の全体的な評価を行う手法。強み/弱みは評価主体の内部環境、機会/脅威は評価主体

を取り巻く外部環境を分析するもの。 43 長期継続的な取引関係以外に、サプライヤーとカスタマー間の情報共有やサプライヤーの人材教育、

海外系列企業等における長期雇用契約等が、サプライヤーとの親密な関係構築に寄与していると言われ

る。サプライヤーとの関係の親密度は、業種によって異なる。また、企業によっては、急速なグローバ

ル化の進展や、コスト重視のサプライチェーンマネジメントによって、(特に新規)取引先との関係が希

薄化しているケースもある。

17

これらの経験・ノウハウは、環境対応から CSR 対応へとサプライチェーン管理を拡張

していく際に有効に活用できることが期待される。具体的には、従来のサプライチェーン

の品質管理活動(品質・コスト・納期の要素)に環境要素を付加してきた経験を生か

し、さらに社会面(人権、労働、健康安全等)の要素を付加することで、サプライチ

ェーンの CSR を図るということである。 一方、日本企業の弱み(Weakness)としては、欧米先行企業に比べてサプライチェー

ンのCSRに関する取り組みが出遅れたことから、経験の蓄積という点で遅れをとっている

ことが挙げられる。日本と比べて、欧米の多国籍企業は、グローバルなサプライチェーン

における人権・労働・環境問題等に関して、いち早くステイクホルダーからプレッシャー

を受けていたことから44、サプライチェーン管理手法や、ステイクホルダーとのコミュニ

ケーションなどについて、試行錯誤をしてきた。この結果、個々の企業の経験蓄積に加え

て、例えば電機業界のEICCのような業界標準策定等において主導権を握っており、日本

企業の対応が後手に回るという傾向がある。 日本企業は、欧米企業と比べて、自社の取り組みを多様なステイクホルダーに対して明

確に伝えることを苦手とする傾向がある。そもそも CSR の取り組み自体が、ステイクホ

ルダーからの要請と企業の対応・提案とをマッチングさせるということであり、ステイク

ホルダーとのコミュニケーションはその根本にあると言ってよい。さらに、サプライチェ

ーン対応ということになれば、サプライヤーとの相互理解を深めるためのコミュニケーシ

ョン能力の強化は当然のことながら、これらの取り組みをいかに戦略的に情報発信しなが

ら、有機的なコミュニケーションにつなげていけるかが問われることとなろう。 日本企業がサプライチェーンの CSR に取り組む上での機会(Opportunity)としては、

途上国の経営者においても CSR に関する意識が高まってきていることであり、途上国の

サプライヤーに対して CSR 普及啓発を円滑に行う素地ができつつあると言える。また、

消費者における CSR を配慮した購入活動の広がりや、昨今の多国籍企業による CSR 調達

の普及、一部の国・自治体における公共調達でのサプライチェーンの CSR 配慮なども、

サプライチェーンの CSR の取り組みを促すものとして考えられる。 逆に、日本企業の取り組みにとって脅威(Threat)と考えられるのは、中国・アジアの

例を示したように、海外における CSR 関連の規制環境や枠組みが急速に変化しつつある

ことであり、これらの変化に適切に対応するためには、海外市場の状況に絶えず留意して

おく必要がある。さらに、途上国の工場では、労働者の人材流動性(離職率)が高く、サ

プライチェーンの CSR 活動のカギを握る普及啓発活動の効果を損なうばかりか、新規雇

用者に対する教育研修コストの増大につながることが懸念される。

44 日本より欧米でステイクホルダーからのプレッシャーが先行した理由としては、そもそもCSRに関す

る意識が高い土壌に加えて、グローバル化によって生産拠点の国外移転が進行していたことから、サプ

ライチェーンのCSRに対する関心まで拡大したこと、さらにはNGO等の情報発信力が強いことなどが挙

げられる。

18

4.2 戦略的な検討のポイント

サプライチェーンの CSR の取り組みを企業の国際競争力を高めるチャンスにつなげて

いくためには、サプライチェーンのグローバル化にともなう国際的な CSR の議論の潮流

や先行取り組みを勘案しながら、自社の強みや弱みを把握したうえで、戦略的な検討を行

うことが望まれる。企業を取り巻く環境及び自社の強み・弱みは個々に異なるが、前節の

分析を踏まえて、日本企業が戦略的な検討を行う際に考慮すべき基本的なポイントとして、

①サプライチェーンのリスクアセスメントの実施、②継続的な改善を担保するマネジメン

トシステムの構築、③多様なステイクホルダーに対するコミュニケーション能力の強化、

を挙げることができる。 4.2.1 サプライチェーンのリスクアセスメント

サプライチェーンの CSR に取り組むためには、まず、図表 11 に例示したように、CSRの観点からサプライチェーンのリスクアセスメントを行うことが望まれる。

図表 11 サプライチェーンのリスクアセスメントの例

取引先に対する働きかけの優先順位と手法の決定

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先 小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先 小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先 小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理

顧客の期待

ブランド・企業評判

政府調達の要請

従業員の協力

地域社会

投資家へのアピール

長期的な原料供給

化学物質・有害物質使用

供給元へのアクセス

廃棄物・包装利用

労働基準・時間外労働

現地調達

水質・大気・土壌汚染

エネルギーコスト

輸送コスト

管理コスト

法令順守

製造加工資源採取

ステイクホルダー

一般項目

リスク項目取引先 小売 消費者・利用者

輸送製品設計・

開発販売・

市場開発使用時 使用後在庫管理

国・地域ごとに作成

リスクの所在の把握

取引状況 (金額、シェア、期間、継続性・・・)

(出所)富士通総研作成

19

リスクアセスメントを行う際には、サプライチェーンの各段階(さらには小売から消費

者・利用者の使用時・使用後に至る段階)において、CSRの観点によるステイクホルダー

ごとの個別の関心・要請事項や、共通のリスク項目を整理したリスク評価マップ45を作成

することが理想的である。当然のことながら、CSRの各項目に関する関心・要請には地域

特性があるため、取引先が所在する国・地域ごとに、リスク評価マップを整備していくべ

きである。しかし、実際には、取引量が多い、あるいは労働・人権問題や法令順守、環境

問題などのCSRリスクが高そうな国・地域から順に整備していくこととなろう。 このように、CSR の観点からサプライチェーンの各段階におけるリスクの所在を把握し

た上で、具体的には、取引状況を勘案しながら、取引先に対する働きかけの優先順位とそ

の手法を決定していくことになる。対応すべき取引先の優先順位付けの判断基準としては、

取引金額、取引シェア、取引期間、今後の取引継続性などが挙げられる。取引金額の大小

に関わらず、取引先にとって自社との取引シェアが 1 位となっている場合は、働きかけの

優先順位が高い。なぜなら、その取引先に問題が生じた際には、最大の取引相手として責

任を求められるリスクが高くなるからである。 4.2.2 継続的なマネジメントシステム

4.1 に前述したように、グローバル市場におけるグリーン調達の経験や取引先との親密

な関係は、サプライチェーンの CSR に取り組む上で日本企業の強みである。日本企業が、

CSR に配慮した継続的なサプライチェーンのマネジメントシステムを構築する潜在能力

は高いと考えられる。サプライチェーンの CSR に関するマネジメントシステムの基本的

な流れは、①CSR 調達方針等に基づく計画作成→②取引先への説明・普及啓発→③監査・

モニタリング→④取引先への説明・指導(取引条件への反映)であり、④→①の流れを明

確にすることで継続的なマネジメントシステムを構築することが望まれる。 特に欧米では、取り組みの継続的な改善を担保するマネジメントシステムの有無が重視

される。これらのステイクホルダーに対して十分な説明を行う(欧米企業に比べて不十分

な説明とみなされない)ためにも、このようなマネジメントシステムの継続性を明確に示

すことは重要である46。 サプライチェーンのCSRマネジメントシステムの流れの中で、昨今、監査・モニタリン

グへの過度な依存から、取引先への普及啓発・人材育成(能力開発)が重視されているこ

45 図表 11 中のリスク評価マップは、ニュージーランド・持続可能な開発のための経済人会議(NZBCSD)が 2003 年に開発したサプライチェーンリスク評価マップの構成を参照し、リスク項目の内容を一部改変

したもの。この評価マップは、あくまで考え方を例示したものであり、各企業の業態やCSRの関心項目

に応じて、カスタマイズすることが望ましい。 46 生田(2007)に述べたとおり、JEITA資材委員会が 2006 年に制作した電機業界の「サプライチェー

ンCSR推進ガイドブック」には、マネジメントシステム項目が欠如している(米国電機業界主導のEICCには含まれている)ために、状況改善を担保するには不十分と考える海外のNGO・有識者等の意見があ

る。

20

とは既に述べてきたとおりである。アジアにおける能力開発重視型のサプライヤーに対す

るCSRマネジメントシステムの例として、CSR Asia とTÜV Rheinlandが開発したFIT 5 プログラムを紹介する47(図表 12 参照)。

FIT 5 プログラムとは、複数のサプライヤーに対する工場レベルのトレーニングプログ

ラムであり、工場訪問による現況アセスメントに始まり、従業員教育、現場のコンサルテ

ィング・修正、アセスメント・監査、進捗報告・認証が行われる。通常のCSRの普及活動

が、顧客側の調達基準やサプライヤー行動規範の遵守強化を主体とするものに対して、こ

のプログラムでは、サプライヤー(工場)の立場から、相互関連する 5 つのモジュール(コ

ミュニケーション、人的資源マネジメント、ムダのない生産方式、CSR、職場の健康安全)

について労働者の行動変化を促し、工場の生産性とCSRを同時に改善することを目指して

いる48。

図表 12 FIT5 プログラム

工場訪問:現況アセスメント

トレーニング・従業員教育

進捗報告・認証

工場訪問:アセスメント・監査

工場訪問:コンサルティング・修正

モジュール 1

コミュニケーション

モジュール 2

人的資源マネジメント

モジュール 3

ムダのない生産方式

モジュール 4

CSR

モジュール 5

職場の健康安全

継続的なアセスメント

(出所)Welford (2007b)を基に富士通総研作成

47 FIT 5 はFactory Improvement Training based on 5 integrated modules の略。http://www.fit5.netあるいはhttp://www.chn.tuv.com/eng/news/news_list.jsp?catid=3 を参照。 48 Welford氏によれば、アジアにおいて、人材育成型のCSRに力を入れた結果、工場の生産性が向上して

品質もアップし、業績が伸びた、といった実施結果が数多く報告されているという。

21

4.2.3 コミュニケーション能力の強化

CSR の取り組みが多様なステイクホルダーとのコミュニケーションを基盤とする以上、

日本企業が弱みとするコミュニケーション能力の強化は、最重要課題と言ってよい。コミ

ュニケーション能力は、特にグローバル市場において問われる。国内市場と同様の手法で

は十分に意思を伝達できない可能性があり、グローバルなサプライチェーンでの CSR を

考慮する以上、国・地域特性に応じたコミュニケーション戦略を策定する必要がある。サ

プライヤーへの要請事項を例に取ると、日本語特有のあいまいな表現(化学物質の情報を

「管理」する。○○とすることを「推奨」する等)では、海外のサプライヤーにとっては、

どの程度の作業が求められているのかが理解できない。国内サプライヤーに対しては、明

確に要求・説明しなくても「わかってくれる(=最大限の努力を行う)」ことを期待してい

る日本企業が少なくないようだが、グローバル市場においては、コミュニケーション上の

「奥ゆかしさ」「不明瞭」からの脱却が求められる。 サプライチェーンの取り組みに関するコミュニケーションは、第一に、サプライヤーと

の間の相互理解を深めることであるが、サプライチェーンにおける取り組みを適切に他の

ステイクホルダーに伝えていくこともまた重要である。図表 13 は、グローバルなコミュ

ニケーション戦略策定の考え方を示したものである。まず、国・地域別にステイクホルダ

ーの要望・期待を把握したうえで、ステイクホルダーごとに適切なコミュニケーションツ

ールを選択していくことが求められる。CSR を巡るステイクホルダーとのコミュニケーシ

ョンは、企業からステイクホルダーに対する一方向的な情報開示から、双方向型の対話(ダ

イアログ)へ、そして最近では、ステイクホルダーの参画(エンゲージメント)による協

同作業への移行が課題となっている。

図表 13 グローバルなコミュニケーション戦略策定の考え方

コミュニケーション戦略の策定

ステイクホルダーの要望・期待

ステイクホルダーの要望・期待

ステイクホルダーの要望・期待

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

CSR実践

質問対応

住民説明

報告義務

調達方針

営業報告

営業報告

製品情報

社内報

パートナーシップ・プログラム等

マルチ・ダイアログ

個別対話・集会

ダイアログ

方針策定への参画

内部監査等への関与

エンゲージメント情報開示

競争相手

NPO他

地域コミュニティ

行政当局

取引先

金融機関

株主・投資家

顧客 CSR報告書、HP等での公開

従業員

主なコミュニケーションツールステイクホルダー

国際的潮流国・地域別

ステ

サプライチェーンへの注目イ

(出所)富士通総研作成

マネジメントシステムの重視

国際標準化

自社の取り組み

CSRに対する考え

社会に提供する価値

クホルダーの要望・期待

22

コミュニケーションによる相互理解を通じて、ステイクホルダーを巻き込んだ戦略的

CSR 活動を実施することが、リスク回避・競争力向上という点からも重視されてきている。 ステイクホルダーに対するコミュニケーションツールを検討することに加えて、国際的

な潮流を勘案しながら、それぞれのステイクホルダーに伝達すべき自社の取り組みの内容

もまた検討しなければならない。昨今の国際的な潮流については、これまで述べてきたと

おり、サプライチェーンの CSR に対する注目が高まっていることや、継続的なマネジメ

ントシステムの存在が重視されていること、そして CSR に関する業界レベルや地域レベ

ルの標準化のほか、ISO26000 などの国際標準化についての動向も勘案して、各地域・ス

テイクホルダーの状況に応じた柔軟なコミュニケーション戦略を検討すべきである。また、

自社の取り組みについては、ステイクホルダーの要望・期待への対応に加えて、自社の CSRに対する考え方、特に社会に対してどのような価値を提供することができる企業であるか

を伝えていくということが、その社会の持続的な成長に不可欠である企業としての存在意

義を確立していくことにつながることが期待される。

23

参考文献

Asia Business Council 2006, “Asia’s Chief Executive Perspectives: Results from the

2006 Annual Member Survey”, http://www.asiabusinesscouncil.org/docs/ChiefExecutivePerspectives.pdf Darwin A. 2007, “Obey the law or adopt standards ‘Indonesia’s Dilemma’”, http://www.csr-asia.com/summit07/presentations/standards_ppt_AD.pdf 藤井敏彦・海野みづえ 2006 『グローバル CSR 調達-サプライチェーンマネジメントと

企業の社会的責任』日科技連 生田孝史 2007 「サプライチェーンの CSR 戦略」富士通総研『研究レポート』No.283 生田孝史・峰滝和典 2005 「わが国の持続的成長と企業の CSR 戦略」富士通総研『研究

レポート』No.238 財団法人機会振興協会経済研究所 2007「機械関連企業における「CSR 調達」の現状と今

後の展開」 NZBCSD (New Zealand Business Council for Sustainable Development) 2003,

“Business Guide to a Sustainable Supply Chain – A Practical Guide”, http://nzbcsd.org.nz/supplychain/SupplyChain.pdf

Shi J. 2007, “Corporate Social Responsibility for Developing Country Enterprises – Lost War in Pertaining Global Competitiveness”,

http://works.bepress.com/cgi/viewcontent.cgi?article=1009&context=yujunshi Welford R. 2007a, “Stakeholder Dialogue’”, http://www.csr-asia.com/summit07/presentations/stakeholder_ppt_RW.pdf Welford R. 2007b, “CSR and the Challenge of Asian Supply Chains” 富士通総研経済研

究所ワークショップ(2007 年 7 月 6 日)基調講演資料

24

研究レポート一覧

No.308 グローバル市場における日本企業の CSRサプライチェーン 生田 孝史 (2008年1月)

No.307 外貨準備の本格的運用を始めた中国 -中国投資設立の影響とビジネスチャンス- 朱 炎 (2008年1月)

No.306 企業の取引関係ネットワークと企業規模との関係 齊藤有希子 (2008年1月)

No.305 高齢化社会における家計の資産選択行動の変化と その含意 南波駿太郎(2007年11月)

No.304 サービス・コストに関する一考察 -利用者の視点から- 長島直樹(2007年11月)

No.303 企業の研究開発活動のオープン化 西尾好司・絹川真哉湯川 抗

(2007年11月)

No.302 Intergovernmental Relation from the Fiscal Aspect in China -Reform movements and Tasks Compared to Japanese Experience-

Jiro Naito(2007年11月)

No.301 「エネルギー分野の規制改革(第2段階)のあり方 -電力分野に関する検討」 武石 礼司(2007年10月)

No.300 「日本の医療産業イノベーション」 -科学技術戦略による統合医療推進-

田邉 敏憲(2007年10月)

No.299 定期借家制度の活用による賃貸住宅市場の活性化 米山 秀雄(2007年10月)

No.298 内部統制を形骸化させないために 浜屋 敏・瀧口樹良前川 徹

(2007年10月)

No.297 Web2.0企業の実態と成長に関する研究 湯川 抗 (2007年9月)

No.296 CGMと消費者の購買行動 浜屋 敏 (2007年8月)

No.295 中国市場における環境評価の動向と日本への影響 大隈慎吾・生田孝史濱崎 博

(2007年6月)

No.294 高齢化社会における家計貯蓄と資金循環構造の変容 ―安倍政権の中期方針とその含意― 南波駿太郎 (2007年6月)

No.293 アジア企業の対日投資戦略と日本の誘致策 朱 炎 (2007年6月)

No.292 自治体の情報セキュリティ・個人情報保護対策としての外部委託先への管理監督に関する対応策に向けて 瀧口 樹良 (2007年5月)

No.291 住民をたらい回しにしない市役所窓口の実現に向けて ―自治体アンケートの分析結果から― 木下敏之・瀧口樹良 (2007年5月)

No.290 テレビドラマ・クリエーターのネットワーク分析: なぜコラボレーションは失敗するのか? 絹川真哉・湯川 抗 (2007年5月)

No.289 中国における日系企業経営の問題点と改善策 朱 炎 (2007年5月)

No.288 International Investment Frameworks as a Tool for RegionalEconomic Integration Martin Schulz (2007年5月)

No.287 Carbon Leakage and a Post-Kyoto Framework Hiroshi hamasaki (2007年4月)

No.286 住宅セーフティネットの再構築 米山 秀隆 (2007年4月)

No.285 農林水産業イノベーションと国土修復 田邉 敏憲 (2007年4月)

No.284 中国における電子商取引企業のビジネスモデル 金 堅敏 (2007年2月)

No.283 サプライチェーンのCSR戦略 生田 孝史 (2007年1月)

http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/research/

研究レポートは上記URLからも検索できます


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