作業療法（ＯＴ：Occupational Therapy）とは…

病院、福祉施設などで活躍し、“こころ”と

“からだ”の状態や目的に応じて、作業活動を

用い、リハビリテーションを行う専門職です。

一般社団法人 兵庫県作業療法士会

からだのリハビリ

①

4 人家族の主婦、花子さん（51 歳）は脳出

血という病気でたおれて右の手足をうまく

動かせなくなりました。

③

また、日常生活で必要な食事の練習や、洗

濯を取り入れたり、掃除などの家事の練習

も行いました。

②

病院では、作業療法士と立ったり、座った

りするリハビリをしました。

④

手足も少しずつ動くようになり、自宅へ帰

ることになりました。作業療法士が、手す

りやベッドの設置をアドバイスすることで、

花子さんは主婦として自宅で生活すること

ができるようになりました。

＜身体障害の作業療法＞

身体障害分野では、病気や事故のために、体や脳に障がいを負った方々に対し身のまわりの動作

（トイレや着替えなど）、家事、仕事などができるようにリハビリを行います。

さらに退院後、障がいを負った方やその家族が生活しやすいように手すりをつけたり段差をなくす

アドバイスをしたり、自宅へ訪問しリハビリをすることもあります。

こころのリハビリ

①

会社員のマサオさん（30歳）は仕事のスト

レスでうつ病と診断され、入院となりまし

た。薬による治療を受け休養をとりました。

③

「そろそろ職場復帰したい」と語るように

なりました。そこで仕事に関するプログラ

ムを行ったり、ストレスに対処する方法を

一緒に考えました。

②

体力が回復してきた頃、作業療法士の関わ

りが始まりました。本人の関心ある革細工

などを用いて関わり、楽しめる体験を通し

て少しずつ自信が回復してきました。

④

無理のない範囲で仕事ができるよう、職場

の上司を交えて話し合いを行い、マサオさ

んは職場復帰を果たしました。

＜精神障害の作業療法＞

精神障害分野では、精神疾患によって生活がしづらくなった人に対し、趣味や日常生活で行う活動

を通して、生活リズムを整え、日常生活に必要な能力の獲得を目指します。また、人とコミュニケーシ

ョンをとることで対人交流技能を高めます。そうすることで、その人らしい生活が送れるように援助を

行います。

自分は

駄目だ

仕事に

行きたくない

╱

もう一度

╲

働きたいです

一緒に考えて

╲

行きましょう╱

こどものリハビリ

①

ひろくん（７歳）は、脳性マヒで手や足を

うまく動かすことができない状態のため、

近くの療育園で１歳のころから作業療法を

受け始めました。

③

また、作業療法士がひろくんの学校に行っ

て、授業中に手元を見やすくするための机

や椅子の調整を担任の先生と行うこともあ

ります。

②

小学２年生になったひろくんは、学校の帰

りに療育園に通い作業療法を続けています。

今は体育の時間の脱ぎ着の練習や、給食で

上手に食べ物をすくって口に運ぶ練習をし

ています。

④

次の夏休みにひろくんは、座ったり立った

り姿勢の保持の練習を兼ねて、作業療法士

に紹介してもらった障害者乗馬にチャレン

ジしたいと思っています。

＜発達障害の作業療法＞

発達障害分野では、障がいを持つ子どもさんに対して、遊びを中心とした作業活動を

利用して、座る、歩く、ボタンはめや字を書く練習など、心や身体の成長・発達に合わ

せた治療を行います。また障がいがあっても家庭や学校、社会で生き生きとよりよく生

活できることを目標に支援していきます。

おとしよりのリハビリ

①

高齢者のふねさん（82歳）は、外出先から

自宅に帰れなくなったり、何度も同じもの

を買ってきてしまったりすることがあり、

不安な気持ちで日常生活を送っていました。

③

作業療法士は、おうちの方にも認知症の

理解をしてもらい、ふねさんが混乱しない

ような声かけ援助を心がけてもらいました。

②

病院で認知症と診断され、自宅近くにある

デイケア施設に通い、作業療法を受ける

ことになりました。健康体操をしたり、

手芸や園芸活動などを行うことで笑顔や

会話も増えました。

④

今では不安な気持ちになることもなくなり、

自宅でも家族に助けてもらいながら、雑巾

を縫ったり、料理を作ったりと意欲的に

生活を送っています。

＜老年期障害の作業療法＞

老年期障害分野では、認知症など様々な病気や障がいを持つ老人の方に対して、より

主体的な生活が送ることができるように援助します。また、役割や生きがいとなることを

見つけ、自信回復や楽しみの時間を持ち、生活を再獲得することを援助します。

作業療法士になるためには？

① 養成校入学（高校卒業後）

養成校は専門学校、短大、大学などがあり、修業年数は３年か４年です。

② 学内勉強

養成校では作業療法士として必要な医学的知識や技術を

③ 臨床実習 講義・実習で学びます。

臨床実習では、病院・施設で実際に対象者に作業療法を行う

④ 養成校卒業 経験をします。

卒業すると、国家試験を受けることができます。

⑤ 国家試験

国家試験に合格すると、作業療法の免許が与えられます。

兵庫県内養成校一覧

・関西総合リハビリテーション専門学校 ・神戸医療福祉専門学校（三田校）

・神戸学院大学総合リハビリテーション学部 ・神戸総合医療専門学校

・神戸大学医学部保健学科 ・西はりま医療専門学校

・平成リハビリテーション専門学校 ・姫路獨協大学医療保健学部

・兵庫医療大学リハビリテーション学部

作業療法士が働く場って？ ・病院 ・リハビリテーションセンター

・介護老人保健施設 ・訪問看護ステーション

・療育園 ・作業所

・デイケア ・保健福祉センター など

★詳しくは兵庫県作業療法士会のホームページをご覧ください

http://home.kobe-u.com/ot-hyogo/

※パンフレット中の登場人物はすべて仮名です。 2010年 10月 1日初版

作成･･･兵庫県作業療法士会 作業療法啓発部 イラスト･･･戸井基茂（作業療法士）