Renewable Energy Research Center
PL測定画像とライフタイム測定マッピングデータを比較し、次のような関連が認められた。(Fig.3)
単結晶セルについて、
欠陥と思われる位置が一致。
工程中にセルをハンドリングする際に汚染されたと思われる痕が一致。
多結晶セルについて、
結晶粒のパターンが一致。
同一箇所から取得したラインプロファイルの比較(Fig.4)、
および、散布図による相関(Fig.5)を確認し、高い相関が認められた。
以上より、PL測定画像の暗部がライフタイムの短い箇所と、明部がライフタイムの長い箇所と対応し、 PL測定画像の明暗がライフタイム測定結
果の長短と相関があることが確認できた。
結果
松下洋介2 ・高野和美2・白澤勝彦1・高遠秀尚1
1 産業技術総合研究所 再生可能エネルギー研究センター 太陽光チーム2 株式会社アイテス
実験研究の目的
結論 参考文献
まとめ
結晶シリコン系太陽電池セルのPL(Photo-Luminescence)測定
励起光源を太陽電池セル全域に照射する
大面積一括のPL測定法は、短時間・高解像
度でセルを評価する有効な手法だが、従来
の手法では電極形成前のセルに対しては励
起光の放射照度の偏りが測定結果に影響を
与えるため、セル製造プロセスのセル評価
方法として適用が困難であった。
本研究では、放射照度分布を均一にした
励起光源を開発し、大面積一括のPL測定法
がセル製造プロセスのセルの評価に適用可
能か検討する。
160 mm□の範囲の放射照度分布が±5%以下
の新たな励起光源を使用してPL測定を行う。
同じ試料について、セル評価の比較対象として
ライフタイムを測定し、相関を確認する。
[1] 株式会社アイテス (2015.03), 『太陽光発電素子のPL観察でわかること』
<http://www.ites.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/MM50325KT.pdf>
[2] PV-2000 manual, Semilab Semiconductor Physics Laboratory Co. Ltd.
Fig.1 従来手法でのPL測定画像
周囲と中央の輝度差が大きい
測定装置:
PL測定(Band to Band発光)
励起光源:中心波長830 nm、PL検出波長:990 nm以上
ライフタイム測定
Semilab社製PV-2000QSS-μPCD (Quasi Steady State-Microwave PhotoConductive Decay)、1 mmピッチで測定
測定対象:
製造プロセスの6 inch太陽電池セル
熱拡散、AR層形成、BSF形成の3工程後から、単結晶と多結晶を1枚ずつ 計6枚
冷却CCDカメラ
光学フィルター
新光源新光源新光源新光源
Fig.2 新光源を用いたPL測定装置イメージ
測定不可 測定不可
PL測定画像
ライフタイム測定
マッピング
熱拡散後 AR層形成後 BSF形成後 熱拡散後 AR層形成後 BSF形成後
単結晶 多結晶
※BSF形成後のライフタイム測定は、Al-BSF形成時にできるAl金属層の影響で測定できなかった。
y = 2E-05x + 1.1821
R² = 0.7672
1
1.5
2
2.5
10 20 30 40 50 60
ライ
フタ
イム
(μs)
PL強度 (a.u. x1000)
Fig.5 散布図(相関)多結晶 AR層形成後 at X=0
0.8
1.3
1.8
2.3
2.8
0
10
20
30
40
50
60
-75 -50 -25 0 25 50 75
ライ
フタ
イム
(μs)
PL強
度(a
.u. x1
000)
X座標(mm)
Fig.4 ラインプロファイル比較多結晶 AR層形成後 at Y=0
PL測定画像
ライフタイム測定マッピング
欠陥箇所が一致
欠陥箇所が一致
ハンドリング痕が一致
ハンドリング痕が一致
ハンドリング痕が一致
結晶粒パターンが一致
ハンドリング痕が一致
結晶粒パターンが一致
Y=0
Y=0
X=0
Fig.3 PL測定画像とライフタイム測定マッピングとの比較
PL測定法がセル評価として一般的なライフタイム測定との相関があり、
セル製造プロセスのセル評価方法として適用可能であることが判った。
このPL測定法により、短時間かつ簡便でありながら高精細なセル評価
が可能になることが期待できる。
μs()