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Schrodinger - 愛媛大学akitsu.ee.ehime-u.ac.jp/lect/m/optlect14_02.pdf ·...

Date post: 20-Sep-2020
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2.光と電子の相互作用輻射と電子の相互作用(電磁場中での電子) 本章では光と物質中の電子との相互作用を取り扱う。本章の主な目的は、半導体を中心 とする固体における光吸収と光放出(発光現象)を量子力学的に取り扱うことである。通 常の構成は次のようにあらわされる。本章の構成を以下に示す。 本章の構成を以下に示す。 2.1 輻射による電子遷移確率 2.1.1 輻射と電子の相互作用 2.1.2 遷移確率 2.1.3 ベクトルポテンシャル A による光の電磁場の記述 2.1.4 非定常状態の摂動論による遷移確率の導出 2.2 許容遷移と禁止遷移 2.3 選択則 2.4 振動子強度 但し、光と電子の相互作用の理解には、基礎的な電磁気学と量子力学の知識を必要とする。 電磁気学で必要な知識は 電磁波 ベクトルポテンシャルを用いた電界および磁界の表現 電磁場の波動方程式と解法 電磁場と荷電粒子の相互作用のエネルギー 電磁場エネルギーの解析力学的取り扱い である。特に電磁界のベクトルポテンシャルを用いた取り扱いには習熟が必要である。 量子力学に関しては非常に多くの知識を必要とする。 波動関数および量子力学演算子の行列表現(ブラベクトル、ケットベクトル) 行列を用いた Schrodinger 方程式とその解法 行列要素(ブラケット) 固有状態 定常状態の摂動論 時間を含む摂動論と遷移確率 光子の表現 数表現 生成・消滅演算子
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2.光と電子の相互作用輻射と電子の相互作用(電磁場中での電子) 本章では光と物質中の電子との相互作用を取り扱う。本章の主な目的は、半導体を中心

とする固体における光吸収と光放出(発光現象)を量子力学的に取り扱うことである。通

常の構成は次のようにあらわされる。本章の構成を以下に示す。 本章の構成を以下に示す。 2.1 輻射による電子遷移確率

2.1.1 輻射と電子の相互作用 2.1.2 遷移確率 2.1.3 ベクトルポテンシャル A による光の電磁場の記述 2.1.4 非定常状態の摂動論による遷移確率の導出

2.2 許容遷移と禁止遷移 2.3 選択則 2.4 振動子強度 但し、光と電子の相互作用の理解には、基礎的な電磁気学と量子力学の知識を必要とする。

電磁気学で必要な知識は ① 電磁波 ② ベクトルポテンシャルを用いた電界および磁界の表現 ③ 電磁場の波動方程式と解法 ④ 電磁場と荷電粒子の相互作用のエネルギー ⑤ 電磁場エネルギーの解析力学的取り扱い である。特に電磁界のベクトルポテンシャルを用いた取り扱いには習熟が必要である。 量子力学に関しては非常に多くの知識を必要とする。

① 波動関数および量子力学演算子の行列表現(ブラベクトル、ケットベクトル) ② 行列を用いた Schrodinger 方程式とその解法 ③ 行列要素(ブラケット) ④ 固有状態 ⑤ 定常状態の摂動論 ⑥ 時間を含む摂動論と遷移確率 ⑦ 光子の表現 ⑧ 数表現 ⑨ 生成・消滅演算子

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これら量子力学では③~⑤に関しては、電気系学部の教育課程で履修済みであることが必

須である。最近の教育課程では特に摂動論の講義を行わない大学が見受けられるが、これ

は教育上非常に深刻な問題である。電子系を扱うにおいて Schrodinger 方程式をもとに数

学的解析解が得られるのは水素原子のみであり、それ以上の原子番号の原子およびそれら

の集合体である固体・液体・気体において Schrodinger 方程式を解いて固有値と固有関数

を求めるためには、摂動論を用いて近似的に解を求めることが行われる。「近似的」という

表現を行ったが、これは用いる近似が、物理の本質を取り入れることを表す。従って物理

の本質的な摂動がいかに電子の波動関数やエネルギー固有値に影響を与えるかを考察する

ことは、物理現象の理解に不可欠であり、結晶に光、電界、磁界、歪といった摂動を与え

たときの電子状態の変化を直感的に予想する洞察力を養うには非常に大切な訓練である。

同様の考え方は理学および工学の各分野、特にエレクトロニクスの応用分野として共通な

財産となるので、未履修の学生にはしっかり時間をかけて理解修得することが必須である。 摂動論とは、天文学において天体の軌道を求めるために考案された方法であり、万有引力

の法則を基礎としている。太陽系において地球の軌道を決める為には、まず太陽と地球の

みが存在すると仮定して地球の軌道を求める。実際には他の惑星とのあるいは惑星間の万

有引力を考慮する必要がある。たとえば、火星をこれに加え、それによる地球の軌道の修

正を近似的に行う。同様のことが電子系にあてはまる。必要な知識は独学で修得していた

だきたい。 2.1 輻射による電子遷移確率 2.1.1 輻射と電子の相互作用 電子と輻射の相互作用を記述するハミルトニアン Herを求めるには、電磁場中での電子の

ハミルトニアン(p+eA)2/2m が必要となる。ここでAは電磁場のベクトルポテンシャルを示

す。なお、電磁場中での電子のハミルトニアンの導出法は付録1に示されている。 Her = [電磁場中での電子のハミルトニアン]- [電磁場が無いときの電子のハミルトニアン]は

で与えられることが導かれている。導出は付録2に示されている。ここでAは電磁場のベ

クトルポテンシャルであり、Pは荷電粒子(ここでは電子)の運動量である。この Herを電

子と輻射の相互作用のハミルトニアンと呼び、これを摂動として扱う。 2.1.2 遷移確率 光吸収や発光(光放出)は基底準位と励起準位の間の電子の遷移確率を用いて表すこと

ができる。これらの強度は物理量と対応させるために遷移確率行列要素の2乗を用いて表

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す。遷移確率行列要素は始状態 |i> と 終状態 |f> および 輻射と電子の相

互作用の摂動ハミルトニアンHerを用いて、<i|Her|f> と表される。ここで<i

|は横ベクトル|f>はタテベクトルでありHerはハミルトニアンを表す行列を示してい

る。 遷移確率を求める為には摂動ハミルトニアン

を記述することが必要である。

2.1.3 ベクトルポテンシャル A による光の電磁場の記述 光の電磁界を、ベクトルポテンシャルAを用いて表ことにする。光の電磁界のベクトルポ

テンシャルはマックスウエルの方程式より導かれる波動方程式に量子化を行うことにより

次式で表される。この導出過程は付録0に示されている。

遷移確率

(時間を含む摂動論)

2遷移確率

(時間を含む摂動論)

2

電気双極子遷移 電気四重極子遷移 磁気双極子遷移

選択則振動子強度選択則振動子強度

図2.2 遷移確率による発光強度と吸収強度

| i>

| f>

hν hν相互作用 Her

| f>

| i>

相互作用 Her

光吸収誘導放出

| i>

| f>

hν hν相互作用 Her

| f>

| i>

相互作用 Her

光吸収誘導放出

図2.1 Her:電子と輻射の相互作用を記述するハミルトニアン

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ここで光の電磁界は B = rot A、E = ∂A/∂t の関係からベクトルポテンシャルAよりすぐ

導かれることに注意されたい。 ここでaは量子力学における消滅演算子で光の吸収を表す。またa*は生成演算子と呼ばれ

光の放出を表す。これは調和振動子において振動子数を1減らしたり増やしたりする昇降

演算子に対応しているので、量子力学の基礎を復習してほしい。また、Aは光の波動を示

していることがわかる。ここでベクトルek,γは波数k、偏光γの光の電界の振動方向を示

す単位ベクトルである。 したがって、光と電子の相互作用ハミルトニアン

は次式で示す最終形となる。導出過程の詳細は付録3に示されている。

これで、遷移確率を求める為の準備が整った。 2.1.4 非定常状態の摂動論による遷移確率の導出 遷移確率は非定常状態の摂動論(時間を含む摂動論)で求められる。 無摂動系の時間を含む Schrodinger 方程式は

であり、波動関数は

である。ここで無摂動系定常状態の Schrodinger 方程式

の波動関数を用いて展開されている。 Cn ⇒ Cn(t) 置き換えると

となり、時間依存して係数Cに変化が生じることを示している。 例えば、幾つかの電子準位|n>を有する電子系において、始状態|i>の係数Ciと終状

態|f>の係数Cfが次のように変化したとする。

er

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Ci(t) 1→0 Cf(t) 0→1 Cn(t)=0 (n≠i、f)

これは電子系において時間の経過に伴い、始状態|i>から終状態|f>へと状態が変化

していくことを示している。この変化は電子遷移と呼ばれる。係数C(t)において|C

(t)|2は時間とともに系の状態が変化する確率、すなわち遷移確率を示す。 詳細は付録に示されているが、最終的に遷移確率は次式で得られる。

ここで<f|Her|i>は光学遷移における遷移行列要素と呼ばれ、その絶対値の2乗

|<f|Her|i>|2 は遷移確率の大きさを決める為重要である。 光の吸収と放出 電子系による光の吸収と放出を考える。摂動としての電子輻射相互作用ハミルトニアンは、 である。ここで、光子を量子論的に表現する。電磁場は光子の集合体であると考えると、

波数kおよび偏光を指定するγ(=1,2)に対応する光子数 nk,γ を並べて光子状態を記述する。

生成・消滅演算子 a*, a は

である。また、

である。ここで演算子 a*a では固有値としてフォトン数がえられることから数演算子と呼

ばれる。 ここで電子系と光子系をあわせた波動関数を定義する。これは両波動関数の積であり、始

状態を

と表す。

er

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消滅演算子 a による光の吸収では、終状態のフォトン数が1減少することから、終状態の

波動関数は、

と表される。電子輻射相互作用ハミルトニアン Her による摂動により、状態は|i>から|f>へ変化する。このときの電子系の状態は|a>から|b>へ変化し電子レベルが Eaから Ebへ変

化する。 従って消滅演算子 a による遷移では行列要素は、

となる。

<n-1|a|n> = <n-1|√n|n-1> = √n<n-1 |n-1> = √n |<n-1|a|n>|2 = n

となり、遷移確率は光子数 n に比例する。これは光吸収が光子数 n に比例するという当然

の結果である。 従って消滅演算子 a*による遷移では行列要素は、

となる。ここで

<n+1|a*|n> = <n+1|√n+1|n+1> = √n+1<n+1 |n+1> = n+1 |<n+1|a*|n>|2 = n+1

となり、遷移確率は光子数 n+1 に比例する。これは光の放出が光子数 n+1 に比例するとい

う結果である。ここで光子数 n に比例する放出を誘導放出と呼び、+1 からでてくる放出を

自然放出とよぶ。 自然放出は光が存在しない状態で生じる現象であり、自然界の発光は自然放出である。

これに対して誘導放出は人工的に反転分布状態からつくることができ、入射光子の輻射場

により励起状態の電子が基底状態に遷移する。このときに準位間のエネルギー差に対応す

る光子を放出するが、光子の位相は入射光子と同位相である。従って誘導放出光のフォト

ン間の位相はそろっており可干渉光である。このような光をコヒーレント光とよぶ。誘導

放出により光の増幅が可能となる。これを LASER(誘導放出による光の増幅)とよぶ。 一般にみかける LASER 装置は発振器であり、光共振器を用いて光を往復させることによ

る正帰還により誘導放出光の発振をおこさせるものである。このとき最初の入射光は、自

然放出光である。大型のレーザ装置は発振器と電力増幅器から構成されている。また、光

通信で用いられている光増幅器(エルビウムドープファイバーアンプ:EDFA)は石英ファ

イバーにドーピングされた Er イオンのエネルギー準位差が、光通信波長の 1.55μm と一

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致することを利用したものであり、光がエルビウムドープ石英ファイバー中を進むにつれ

て誘導放出により光信号が増幅される(進行波形増幅)。EDFA により、光中継器が非常に

簡単になったことは特記すべきであろう。 2.2 許容遷移と禁止遷移 電子輻射相互作用 Her により電子系は光子を放出したり吸収したりする場合の遷移確率は、

(1)

の絶対値の2乗に比例する。但し|a>, |b>はこの過程の前後における電子状態である。 原子と小さな分子が可視光を放出したり吸収したりする場合、光の波長は原子や分子に

おける電子の波動関数の広がりよりはるかに大きい。 |a>, |b>がゼロでないような rj (電子の波動関数の広がり)の範囲では k・ rj は1より

はるかに小さい (k=2π/λ, k・ rj = 2πrj /λ, ここで rj /λ<<1)。 k・ rj << 1

したがって、(1)式中の exp (i k・ rj) を次のように展開することができる。これを多重

極展開という。

(2)

k・ rj << 1 であるので、第1項のみを考えれば、exp (i k・ rj) =1 となり、(1)式は、

(3) となる。

いま電子系のハミルトニアン

(4) と rj の交換関係を調べると、x 成分は

となる。3次元では、

となる。従って、

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(5) と書き直せる。ここで

の関係を用いた。 式(5)を用いれば、(3)式は、

(6) となる。ベクトル ek,γ は光の電界の振動方向を示す単位ベクトルである。 ところで、電気双極子モーメント (electric dipole moment) は

(7)

と示される。このPを使って(6)式を表せば、

(8) となる。2つの状態|a>, |b>間に (ek,γ・P ) の行列要素が存在する場合は、これにより遷

移がおこる。これは電気双極子遷移(electric dipole transition と呼ばれる。 2つの状態|a>, |b>間に電気双極子遷移が可能な場合、状態間の遷移が許容 (allowed) と言う。(ek,γ・P ) の行列要素がゼロの場合、この遷移は禁止 (forbidden) である。電気双

極子遷移が禁止の場合、遷移行列要素は、

(9) とあらわされ、2つの項に分けられる。ここで、

は電子系の全軌道角運動量である。 (9)式の第1項は、電気四重極子モーメント (electric quadrupole moment) である。

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テンソルの xy 成分の行列要素を含むので、これによりおこる遷移は電気四重極子遷移

(electric quadrupole transition) と呼ばれる。 遷移確率は電気双極子遷移の10-4程度

であり、非常に小さい。(9)式の第2項は軌道角運動量を含み、これによる磁気モーメン

トと電磁波の磁気ベクトルBの相互作用による。この遷移は磁気双極子遷移 (magnetic dipole transition) と呼ばれる。 2.3 選択則 電子系の2つの状態|a>, |b>間に遷移が可能か否かは行列要素

(1) がゼロかどうかで決まる。

電子系の状態が平面波でつくったスレーター行列式 (Slater matrix) あるいは数表示で

表されるときには、電子の1個のスピンがそのままで運動量が±ℏk 変化した状態が結ばれ

る。電子系の波動関数の広がりが光の波長に比べて非常に小さい範囲に局在しているとき、

光学遷移が、電気双極子遷移、磁気双極子遷移、電気4重極子遷移に分類されることは前

節で説明した。遷移が生じるかどうかに判定には、遷移モーメント(transition moment)の行列要素(P, L, Σxjyj)が 0 でないかどうかで判定される。 行列要素のとるべき演算子は一粒子演算子であるから、一方の状態|a>が Slater 行列式

で表される関数ならば、その相手|b>は|a>のうちの1つの列だけを他の関数(スピンはも

とのまま)に変えたもの、またはその1次結合でなければならない。たとえば、 |a> = |φa, φb, φc,…φμ…| |b> = |φa, φb, φc,…φν…|

であるとする。ej 偏光の光を放出吸収して|a> →|b> の電気双極子遷移が許されるために

は、 <b|(ei・P)|a> = <φν|(ei・r)| φμ> ≠ 0 (3)

でなくてはならない。(ei・P)はスピンを含まないから、φμとφνのスピン部分は同じでな

ければならない。軌道部分をψs(r),ψw(r)として、スピン座標での積分を行えば、(3)式は、 ʃʃʃψw* (r) (ei・r)ψs(r)dr ≠ 0 (4)

となる。 電子が球対象のポテンシャル中を運動している原子を考える。

ψs(r) = Rs(r) Ylm(θ,φ) ψw (r) = Rw (r) Yl’m’(θ,φ)

球面調和関数の性質より、 x = r sinθcosφ= √2π/3 r{- Y11(θ,φ) + Y-11(θ,φ)} y = r sinθsinφ= i√2π/3 r{ Y11(θ,φ) + Y-11(θ,φ)}

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z = r cosφ= √4π/3 rY01(θ,φ) である。 (ei・r) の行列要素は、eλ// z のとき、

ʃʃʃψw*(r) zψs(r)dr この式がゼロにならない条件は、 l’ = l ± 1, m’ = m (ei・r) の行列要素は、eλ// x または y のとき

ʃʃʃψw*(r) xψs(r)dr この式がゼロにならない条件は、 l’ = l ± 1, m’ = m ± 1 である。 2.4 振動子強度

二つの電子状態間の遷移確率は、電磁場と電子系の両方に関係する。電子系に関する部

分は、

である。特に電子系が電磁場の波長と比べて小さい範囲に局在しているとき、遷移の大き

さは電気双極子遷移の行列要素、

に比例する。 光学遷移に関して、電子と同じ質量と電荷を持ち、光の電界方向に振動する一次元調和

振動子の基底状態と第一励起状態間の遷移確率を基準として考えた遷移の強度を、振動子

強度とよぶ。 一次元調和振動子の基底状態と第一励起状態間の遷移確率は、

で与えられる。 これを用いれば、|a> → |b> の電気双極子遷移の振動子強度は、

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と計算される。 これがゼロのとき禁止遷移となる。その場合、 電気4重極子遷移の振動子強度は、

磁気双極子遷移の振動子強度は、

と求められる。 原子の電気双極子遷移の振動子強度は1の程度である。禁止遷移では1よりかなり小さ

い。

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付録0 1.電磁波の古典論

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2.電磁場のエネルギーとハミルトニアン

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3.生成消滅演算子

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4.電磁場の生成消滅演算子を用いた表記法

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付録1

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付録2 輻射と電子の相互作用ハミルトニアン Herの導出

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付録3 輻射と電子の相互作用ハミルトニアン Herの生成消滅演算子を用いた表記の導出

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付録4 非定常状態の摂動論

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