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Û«)Ä)T °@ FW 0 FRP ©ÕǺbaL~I ö Z< s8j

Date post: 25-Nov-2021
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Effect of glass fiber bundle on torsional properties of FW FRP shafts Shin TOMITA, Kazuhiro SAKATA, Norio HIRAYAMA and Kazunori SANO ガラス繊維束が FW FRP シャフトのねじり特性に与える影響 日大生産工(院) 富田 日大生産工 坂田 憲泰 日大生産工 平山 紀夫 日東紡績(株) 佐野 一教 1. まえがき 近年,自動車メーカー各社は環境問題,エネ ルギー問題を背景に自動車の軽量化を進めて おり,従来の金属材料と比較して比強度と比弾 性率に優れる繊維強化プラスチック(FRP)へ の代替が検討されている. FRPの強化材に炭素 繊維を用いたCFRPは比強度と比弾性率に優れ ているが,量産車への適用に向けてはコストや 生産量が課題となる.一方,ガラス繊維を強化 材としたGFRPCFRPと比較して比強度と比 弾性率は低くなるが,低コストで生産量も多い. そのため,ガラス繊維は様々な産業分野で使用 されているため,ガラス繊維ロービングには複 数の繊維径,テックス(1,000mあたりのグラム 数)をしたものが製造されている.著者らは安 価でねじり特性に優れたFRPシャフトの開発 を目的にフィラメントワインディング(FW法で成形したFRPシャフトのねじり特性につ いて評価を行い, FRPシャフトのせん断強度は 樹脂と繊維の接着性が重要であることを明ら かにした 1) .また,高強度ガラス繊維と炭素繊 維を用いたハイブリッドFRPシャフトの評価 を行い,積層構成が比強度と比弾性率に及ぼす 影響について明らかにした 2ガラス繊維の繊維径が機械的性質に及ぼす 影響は古くから研究されており,ガラス繊維の 強度は表面の微細な傷に支配されており,繊維 径が細いほど引張強度が向上することが報告 されている 3.しかし,FW法では繊維束の状 態で樹脂を含浸させ,マンドレルに積層してい くため, FRPシャフトの力学特性は繊維径だけ ではなく,テックスの影響も受けると考えられ る.そこで本研究では,繊維径とテックスの異 なるEガラス繊維を用いたFWGFRPシャフ トを成形し,繊維径とテックスがねじり特性に 与える影響について調査した.さらに,最も高 いねじり強度を示したガラス繊維のテックス で炭素繊維とのハイブリッドFRPシャフトを 成形し,積層構成がねじり特性に与える影響に ついて調査した結果について報告する. 2. 成形方法および供試体 供試体の成形には表1のテックスと繊維径が 異なるEガラス繊維ロービング(日東紡績)と 炭素繊維ロービング(T700SC-24K-50C,東レ) を使用し,マトリックスにはエポキシ樹脂(ナ ガセケムテックス)を用いた.E280E800E1150E2300はテックスの影響を調査するた めに繊維径をそろえたロービングで,E2300E2220は繊維径の影響を調査するためにテッ クスをそろえたロービングとなっている.なお, ガラス繊維ロービングの表面処理は全て同一 である. FRPシャフトの成形にはFW法を用いた.成 形時にロービングに掛ける張力は15Nとし,マ ンドレルへの巻き角度はねじりモーメント負 荷時の主応力方向と一致するように軸方向に 対して±45°とした.マンドレルの外径は20mm で,成形後のGFRPシャフトとCFRPシャフトの 外径は24mm,ハイブリッドFRPシャフトの外 径は29mmとなっている.また,図1に示すよう に供試体の両端部には試験機のチャック部で の圧壊変形を防ぐために外径50mm ,長さ 150mmGFRP製タブを設けた.供試体の名称 は全ての層に2,220texEガラス繊維を用いた ものをE2220などとし,炭素繊維を用いたもの CFRPとした.また,ハイブリッドFRPシャ フトの名称は使用したEガラス繊維名に炭素 繊維の割合を付け加えたものとし,内層に 1 炭素繊維,ガラス繊維のロービング 1 GFRPシャフト Texg/1,000m繊維径(μm収束本数 E280 280 13 800 E800 800 14 2,000 E1150 1,150 17 2,000 E2300 2,300 17 4,000 E2220 2,220 23 2,000 CFRP 1,650 7 24,000 150mm 150mm 300mm −日本大学生産工学部第52回学術講演会講演概要(2019-12-7)− ISSN 2186-5647 ― 81 ― 1-26
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Page 1: Û«)Ä)T °@ FW 0 FRP ©ÕǺbaL~I ö Z< s8j

Effect of glass fiber bundle on torsional properties of FW FRP shafts

Shin TOMITA, Kazuhiro SAKATA, Norio HIRAYAMA and Kazunori SANO

ガラス繊維束が FW 製 FRP シャフトのねじり特性に与える影響

日大生産工(院) ○富田 晋 日大生産工 坂田 憲泰 日大生産工 平山 紀夫 日東紡績(株) 佐野 一教

1. まえがき 近年,自動車メーカー各社は環境問題,エネ

ルギー問題を背景に自動車の軽量化を進めて

おり,従来の金属材料と比較して比強度と比弾

性率に優れる繊維強化プラスチック(FRP)へ

の代替が検討されている.FRPの強化材に炭素

繊維を用いたCFRPは比強度と比弾性率に優れ

ているが,量産車への適用に向けてはコストや

生産量が課題となる.一方,ガラス繊維を強化

材としたGFRPはCFRPと比較して比強度と比

弾性率は低くなるが,低コストで生産量も多い.

そのため,ガラス繊維は様々な産業分野で使用

されているため,ガラス繊維ロービングには複

数の繊維径,テックス(1,000mあたりのグラム

数)をしたものが製造されている.著者らは安

価でねじり特性に優れたFRPシャフトの開発

を目的にフィラメントワインディング(FW)

法で成形したFRPシャフトのねじり特性につ

いて評価を行い,FRPシャフトのせん断強度は

樹脂と繊維の接着性が重要であることを明ら

かにした1).また,高強度ガラス繊維と炭素繊

維を用いたハイブリッドFRPシャフトの評価

を行い,積層構成が比強度と比弾性率に及ぼす

影響について明らかにした2). ガラス繊維の繊維径が機械的性質に及ぼす

影響は古くから研究されており,ガラス繊維の

強度は表面の微細な傷に支配されており,繊維

径が細いほど引張強度が向上することが報告

されている3).しかし,FW法では繊維束の状

態で樹脂を含浸させ,マンドレルに積層してい

くため,FRPシャフトの力学特性は繊維径だけ

ではなく,テックスの影響も受けると考えられ

る.そこで本研究では,繊維径とテックスの異

なるEガラス繊維を用いたFW製GFRPシャフ

トを成形し,繊維径とテックスがねじり特性に

与える影響について調査した.さらに,最も高

いねじり強度を示したガラス繊維のテックス

で炭素繊維とのハイブリッドFRPシャフトを

成形し,積層構成がねじり特性に与える影響に

ついて調査した結果について報告する.

2. 成形方法および供試体 供試体の成形には表1のテックスと繊維径が

異なるEガラス繊維ロービング(日東紡績)と

炭素繊維ロービング(T700SC-24K-50C,東レ)

を使用し,マトリックスにはエポキシ樹脂(ナ

ガセケムテックス)を用いた.E280とE800,E1150とE2300はテックスの影響を調査するた

めに繊維径をそろえたロービングで,E2300とE2220は繊維径の影響を調査するためにテッ

クスをそろえたロービングとなっている.なお,

ガラス繊維ロービングの表面処理は全て同一

である. FRPシャフトの成形にはFW法を用いた.成

形時にロービングに掛ける張力は15Nとし,マ

ンドレルへの巻き角度はねじりモーメント負

荷時の主応力方向と一致するように軸方向に

対して±45°とした.マンドレルの外径は20mmで,成形後のGFRPシャフトとCFRPシャフトの

外径は24mm,ハイブリッドFRPシャフトの外

径は29mmとなっている.また,図1に示すよう

に供試体の両端部には試験機のチャック部で

の圧壊変形を防ぐために外径50mm,長さ

150mmのGFRP製タブを設けた.供試体の名称

は全ての層に2,220texのEガラス繊維を用いた

ものをE2220などとし,炭素繊維を用いたもの

をCFRPとした.また,ハイブリッドFRPシャ

フトの名称は使用したEガラス繊維名に炭素

繊維の割合を付け加えたものとし,内層に 表1 炭素繊維,ガラス繊維のロービング

図1 GFRPシャフト

Tex(g/1,000m) 繊維径(μm) 収束本数

E280 280 13 800E800 800 14 2,000

E1150 1,150 17 2,000E2300 2,300 17 4,000E2220 2,220 23 2,000CFRP 1,650 7 24,000

150mm 150mm300mm

−日本大学生産工学部第52回学術講演会講演概要(2019-12-7)−

ISSN 2186-5647

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2,220texのEガラス繊維を70%,外層に炭素繊維

を30%用いたものをE2220_HB30などとした. E280とE2220の外表面の写真を図2に示す.

成型条件は同一にも関わらず,テックスの小さ

いガラス繊維を用いたGFRPシャフトほど表面

は美麗となり,図3に示すように繊維体積含有

率(Vf)も高くなった.最もVfが高くなったの

は280texの67.6%で,2,220tex(54.5%)との差

は24%となった.テックスの小さいガラス繊維

を用いたGFRPシャフトのVfが高くなった要因

としては繊維束の含侵距離とロービングに付

与される張力の影響が考えられる.本研究で用

いたFW装置では,レジンバスが図4に示すタッ

チローラ方式となっており,レジンバスに設置

されたローラー上部で繊維束内部に樹脂が含

浸するようになっている.そのため,図5に示

すようにテックスの小さいガラス繊維束ほど

中心までの距離が短くなるため,ボイドも少な

くなると考えられる.また,テックスの小さい

ガラス繊維束では繊維1本に付与される張力が

大きくなるため,繊維束内部の樹脂を押し出す

量も増加したと考えられる.図6にE280とE2220の成形後の断面様相を示すが,繊維束内

のボイドはE280の方が少なくなっていた.

E280とE2220の繊維の配置を観察した結果を

図7に示す.E2220では繊維の配置が不均一で,

偏りが見られるが,E280では繊維が均一に配

置されており,Vfが高い状況を確認することが

できる.

(a) E280

(b) E2220

図2 供試体の表面外観

図3 繊維体積含有率の比較

図4 樹脂の含浸工程

(a)E280 (b)E2220

図5 繊維束内の含浸模式図

(a) E280

(b)E2220

図6 ボイドの観察結果

10mm

10mm

67.661.3

58.1 55.5 54.551.0

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

E280 E800 E1150 E2300 E2220 CFRP

繊維

体積

含有

率[%

]

ローラー

樹脂

繊維束

張力

200μm

200μm

ボイド

― 82 ―

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(a) E280

(b)E2220

図7 断面様相 3. 実験方法 実験は千葉県産業支援技術研究所のねじり

試験装置(最大トルク:2000Nm)を用い,試

験速度は最も低速な3deg/secとした.供試体の

本数は各3本とし,ねじれ角は試験速度と試験

時間から求めた.せん断ひずみは供試体最外層

に軸方向に対して±45°傾けて貼り付けたひず

みゲージから測定し,せん断応力はねじりトル

クから算出した.また,せん断弾性率は初期の

線形領域から導出した.

4. 実験結果および考察 4.1 繊維束がねじり特性に与える影響 各供試体のせん断弾性率,せん断強度を図8

と図9に示す.繊維径の影響を調査したE2220とE2300ではせん断強度,せん断弾性率のどち

らも大きな差は確認できず,繊維径がねじり特

性に与える影響は小さいと考えられる.一方,

テックスの影響を調査したE280とE800,E1150とE2300では,テックスが小さい方がせん断弾

性率は高くなったが,これは図3のVfの影響と

考えられる.代表的な供試体の破壊様相を図10に示す.供試体の破壊は圧縮の主応力方向で繊

維束の局部座屈を伴った破壊となった.そのた

め,E1150とE2300の比較ではテックスが小さ

い,すなわち繊維配置の均一性が高くなる

E1150の方がせん断強度は高くなったと考え

られる.一方,E280とE800の比較ではE280の方がせん断強度は低くなったが,これはE280のVfが67.6%と非常に高いため,隣接した繊維

の接触,繊維間の樹脂部で応力集中が生じたた

めだと考えられる4).

4.2 ハイブリッドFRPシャフト ねじり強度が最大となった800texのEガラス

繊維ロービングを内層に用いたハイブリッド

FRPシャフトの代表的なねじりトルクとねじ

れ角の関係を図11に示す.図11の傾きは炭素繊

維層の増加に伴い大きくなったが,ねじりトル

クが最大となったのはE800であった.ハイブリ

ッドFRPシャフトではねじれ角が20°近傍から

傾きが低下しているが,これは外層のCFRP層が破壊したためだと考えられる. 炭素繊維層の割合とせん断弾性率を供試体

の比重量で除した比弾性率の関係を図13に示

す.炭素繊維の割合と向上率の関係は比例関係

でなく炭素繊維の割合が50%を超えると向上

率は低下した.比弾性率はCFRPが最大となっ

たが,E800_HB80とE2220_HB80の比弾性率は

CFRPと比較しても13%程度の低下となった.

次に,炭素繊維の割合とせん断強度を供試体の

比重量で除した比強度の関係を図14に示す.

E800_HB80の比強度はE2220_HB80と比較して

13%の向上となり,CFRPと比較しても4%の低

下となった.

図8 せん断弾性率の比較

図9 せん断強度の比較

50μm

50μm

17.215.0 14.2

12.6 13.7

27.5

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

E280 E800 E1150 E2300 E2220 CFRP

せん

断弾

性率

[GPa

]

354 369

300

202 209

295

0

150

300

450

E280 E800 E1150 E2300 E2220 CFRP

せん

断強

度[M

Pa]

― 83 ―

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(a) E280

(b) E2220

図10 破壊様相

図11 ねじりトルクとねじれ角の関係

図12 比弾性率と炭素繊維割合の関係

図13 比強度と炭素繊維割合の関係

5. 結言 本研究では,繊維束がGFRPシャフトの成形

性とねじり特性に与える影響を調査した結果,

以下の結論を得た. (1) 同一のFW条件でGFRPシャフトを成形し

た場合,テックスの小さいガラス繊維ロー

ビングを用いることで,表面が美麗で高い

ねじり特性を有するGFRPシャフトを成形

することができる. (2) 800texのEガラス繊維ロービングを内層に

20%,外層に炭素繊維ロービングを80%用

いたハイブリッドFRPシャフトはコストと

比弾性率,比強度のバランスが取れた構成

となる. 参考文献 1) 坂田憲泰,柔軟性界面を有する FW 製

CFRP 円筒のねじり特性,強化プラスチ

ックス,Vol. 64,No. 6,pp. 269-273(2018) 2) 富田晋,坂田憲泰,平山紀夫,佐野一教,

高強度ガラス繊維を用いた FW 製ハイブ

リッド FRP シャフトの力学特性と数値

解析,日本機械学会 M&M2018 材料力学

カンファレンス,GS0502(2018) 3) C. Gurney, Sources of weakness in glass, Proc.

R. Soc. A, vol. 282, issue 1388 (1964) 4) 宮入裕夫,池上皓三,金原勲,複合材料入

門,培風館,pp. 147-150(2003) 謝 辞 本研究の遂行にご協力とご助言をいただい

たナガセケムテックス株式会社の高馬俊浩様

と若松洋輔様に深く感謝の意を表します.

0

400

800

1200

1600

2000

0 10 20 30 40 50 60

ねじ

りト

ルク

[Nm

]

ねじれ角[deg]

CFRP

E800_HB80E800_HB50

E800

E800_HB30

HB30

HB50HB80

0.50

1.00

1.50

2.00

0 20 40 60 80 100

比弾

性率

[×10

6 m]

炭素繊維割合[%]

E2220E800

HB30

HB50HB80

1.00

1.50

2.00

2.50

0 20 40 60 80 100

比強

度[×

104 m

]

炭素繊維割合[%]

E2220E800

HB30HB50

HB80

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