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UDC 669.094.1 塩化第一鉄の高温加水分解反応を利用する H2Sの …

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UDC 669.094.1 塩化第一鉄の高温加水分解反応 を利用する H2Sの 熱化 学分解 につ いて* 二1中 夫2 行3田 昭4 1.緒 硫 化鉱 石 中 の硫 黄 を単体 硫 黄 と して固定 す る処理 法 は, 硫酸や石膏の供給過剰による硫化鉱製錬の操業率の低下に 対 す る有 効 な解 決 法 に な る と思 われ る。単 体 硫 黄 として の 固 定 法 には 石 油 の脱 硫 にみ られ る よ うに,硫 黄分を一旦 H2Sと して 鉱石 か ら分 離 して 後Claus法 で処 理す る方 法 が す で に工 業 化 され て い る。 しか し,こ の方 法 で は付 加 価値 の 高い 水 素 分 は水 とな るた め 回収 で きない.。 一・方 ,石 油の供給 ・消費の将来的見通 しか ら,代 替一次 エ ネ ル ギ ー とそ れ に 伴 う二 次 エ ネル ギ ーにつ い て各 国 で研 究が行なわれつつある。水素は将来の二次エネルギーとし て 有望 視 され,水 か らの 水 素製 造法 につ い て 多数 の 研 究が 公表 されてい.る。"Sulfur-based cycle"と よばれ る 硫 黄 化 合物 を利 用す る一 連 の熱 化学 分 解 サ イ クル 。)では, H2の 発 生反 応 にH2Sの 分解 を組 込ん だ もの が多 い.。H2S はH2Oに 比 べ る と分 解 が 容易 で あ るが,直 接熱 分解 に はか な りの 高温 を必 要 と し,ま た生 成 ガスがH2とH2Sの 混合ガ ス に な るた めそ の ま まで は利 用 範 囲が 限 定 され る こ とに問 題が残る。 本 研 究 では,H2SがFe3+イ オ ンを還 元 しFe2+イ オ ンと 単 体 硫 黄 にな るこ と,生 成FeCl2が 高温加水分解反応で H2とHCIお よびFe3O4に な る こ とに着 目 し,Fig.1の 図に示 す よ うな組 合 せ 反応 に よるH2Sの 分解 サイ クル を考 えた 。 この サ イ クルで はH2Sは 水 と塩 化 鉄 を媒 体 と して 多 段 分 解 され る こ とにな り,直 接分 解 と比 較 し,分 解 温 度 を 下 げ うる こ と,H2の 発生 反 応 に 水蒸 気 を用 い るため生 成 ガ スの 直接 利 用 の 可能 性 が大 きい な どの 特徴 を もつ。 そ して この プ ロセス を構 成 す る各 反 応 につ き実験 お よび検 討 を加 え,さ らにH2-HC1-H2O系 生 成 ガスの製 錬へ の利 用 や, またFi&1下 部 に示 す よ うに,H2Sの 代 りにFeSを 利用し, そ の資 源 的 活用 を計 る こ とに つい て も基 礎的 知 見 を得 る こ とを 目的 と して実 験 を行 なつ た。 2.実 2・1Fe3O4の 溶解反応 HC1溶 解 用のFe304試 料 は特 級 試薬 のFeCl2・nH2O (n=4)をFig.1に 従 い.,600℃ で水蒸気気流中で高温 加水 分 解 して調 製 した。 粒 径 は2~10μ 程度で滑 らかな結 晶面 か らな る単 結 晶状 粒 子 が得 られ た。Fig.2に 示す溶解 装置 を使 用 し,試 料量05g,液 量100mlと し,Ar雰 気 中で 温度50~80℃ お よびHCI濃 度1~5Nの 条件下で 溶解挙動を調べた。反応量は溶解鉄量あるいは未溶解残渣 中のFe304の 定 量分 析 よ り求 めた 。 さ らに,溶 解速度に及 ぼすFe2+,Fe3+イ オ ン添 加 の影 響 および 他 種塩 化 物 添加 の 効果等について も実験 し,反 応機 構の検討を試 みた、 2・2H2Sに よ るFe3+イ オ ンの還 元 この 反応 は 化学 分 析 法 と して よ く知 られ てい るた め,実 験 で は 主 と してFe3+イ オ ンの還 元 につ い て 調べ た 。す な わ ち,H2Sを 吹 込み なが らFe3O4の 溶 解 とFe3+の 還元を同 時 に進 行 させ る方法 と,Fe3O4溶 解後の所定濃度のFe3+ 溶 液 に 吹込 む 二通 りの 方法 につ い て比 較 を行 なつ た 。 2・3FeCI2の 高温加水分解 Fig.3に 装置の概略を示 した。塩化物粒子が均一に反応 す るよ うにFeC12・4H20(5×10-3mol)に 約1/2容 の シ リカガラス粉末を混合 し,試 料とした。石英反応管は 内 径20mmで,こ れ に外 径17mmの 内挿 管 を用 い空 容 積 を減少させた。この研究では,平 衡H2お よびHC1濃 度に つ い て の知 見 を得 るた め,H2O(9)(10ml/min)とAr (20ml/min)の 混合 ガスで大 部 分 の 実験 を行 な つ た。 こ の た め水 蒸 気 は所 定 流量 のH2を350℃ に加 熱 したCuOで 酸 化す る こ とに よ り調製 した 。 吸収 液 にKIO3とKIの 混 合液 を用 い.,こ れ に 予 め2%程 度 の反 応 量 に相 当す るNa2S2O3溶 液 を加 え,HC1の 吸収 に 伴い 生 成す る12の 当量点における変色までの時間測定 を繰 返 す こ とで,反 応 に よ り生 成 す るHClを 定量 した 。こ の際,吸 収液 を ポ ンプで 高 温部 か ら滴 下循 環 させ,低 温部 に生 ず る水滴 に よるHC1の 吸収誤差を防いだ。一方,H2は HCI吸 収 後のArとH2の 混合 ガスか ら自動 ガス サ ンプラ ー で ガ スの一 部 を採取 し,3分 毎 に ガス ク ロマ トグ ラフで分 析 した。 *1979年12月13日 受理 本研究の一部は昭和53年12月15日 日本鉱業会非鉄製錬における硫黄固定委員会で発表6 1.正 会員 北海道大学助手 工学部金属工学科 2(株)田 島産商生産技術蜜 3准 会員 北海道大学大学院修士課程 4正 会員 工博 北海道大学教授 工学部金属工学科 誌/97 1115('81-1) 41 <41>
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UDC 669.094.1

塩化第一鉄の高温加水分解反応 を利用する

H2Sの 熱化学分解 について*

芝 山 良 二1中 島 和 夫2

土 田 直 行3田 中 時 昭4

1.緒 言

硫化鉱石中の硫黄を単体硫黄として固定する処理法は,

硫酸や石膏の供給過剰による硫化鉱製錬の操業率の低下に

対する有効な解決法になると思われる。単体硫黄としての

固定法には石油の脱硫にみ られるように,硫 黄分を一旦

H2Sと して鉱石から分離して後Claus法 で処理する方法が

すでに工業化されている。しかし,こ の方法では付加価値

の高い水素分は水となるため回収できない.。

一・方 ,石 油の供給 ・消費の将来的見通 しから,代 替一次

エネルギーとそれに伴う二次エネルギーについて各国で研

究が行なわれつつある。水素は将来の二次エネルギーとし

て有望視され,水 からの水素製造法について多数の研究が

公表されてい.る。"Sulfur-based cycle"と よばれる

硫黄化合物を利用する一連の熱化学分解サイクル。)では,

H2の 発生反応にH2Sの 分解を組込んだものが多い.。H2S

はH2Oに 比べると分解が容易であるが,直 接熱分解 にはか

なりの高温を必要とし,ま た生成ガスがH2とH2Sの 混合ガ

スになるためそのままでは利用範囲が限定されることに問

題が残る。

本研究では,H2SがFe3+イ オンを還元しFe2+イ オンと

単体硫黄になること,生 成FeCl2が 高温加水分解反応で

H2とHCIお よびFe3O4に なることに着目し,Fig.1の 上

図に示すような組合せ反応によるH2Sの 分解サイクルを考

えた。このサイクルではH2Sは 水と塩化鉄を媒体として多

段分解されることにな り,直 接分解と比較し,分 解温度を

下げ うること,H2の 発生反応に水蒸気を用いるため生成ガ

スの直接利用の可能性が大きいなどの特徴をもつ。そ して

このプロセスを構成する各反応につき実験および検討を加

え,さ らにH2-HC1-H2O系 生成ガスの製錬への利用や,

またFi&1下 部に示すように,H2Sの 代りにFeSを 利用し,

その資源的活用を計ることについても基礎的知見を得るこ

とを目的として実験を行なつた。

2.実 験

2・1Fe3O4の 溶解反応

HC1溶 解用のFe304試 料は特級試薬のFeCl2・nH2O

(n=4)をFig.1に 従い.,600℃ で水蒸気気流中で高温

加水分解して調製した。粒径は2~10μ 程度で滑らかな結

晶面か らなる単結晶状粒子が得 られた。Fig.2に 示す溶解

装置を使用し,試 料量05g,液 量100mlと し,Ar雰 囲

気中で温度50~80℃ およびHCI濃 度1~5Nの 条件下で

溶解挙動を調べた。反応量は溶解鉄量あるいは未溶解残渣

中のFe304の 定量分析より求めた。さらに,溶 解速度に及

ぼすFe2+,Fe3+イ オン添加の影響および他種塩化物添加の

効果等についても実験 し,反 応機 構の検討を試みた、

2・2H2Sに よるFe3+イ オンの還元

この反応は化学分析法としてよく知られているため,実

験では主としてFe3+イ オンの還元について調べた。すなわ

ち,H2Sを 吹込みながらFe3O4の 溶解とFe3+の 還元を同

時に進行させる方法と,Fe3O4溶 解後の所定濃度のFe3+

溶液に吹込む二通 りの方法について比較を行なつた。

2・3FeCI2の 高温加水分解

Fig.3に 装置の概略を示 した。塩化物粒子が均一に反応

するようにFeC12・4H20(5×10-3mol)に 約1/2容 量

のシリカガラス粉末を混合 し,試 料とした。石英反応管は

内径20mmで,こ れに外径17mmの 内挿管を用い空容積

を減少させた。この研究では,平 衡H2お よびHC1濃 度に

ついての知見を得るため,H2O(9)(10ml/min)とAr

(20ml/min)の 混合 ガスで大部分の実験を行なつた。こ

のため水蒸気は所定流量のH2を350℃ に加熱したCuOで

酸化することにより調製 した。

吸収液にKIO3とKIの 混合液を用い.,これに予め2%程

度の反応量に相当するNa2S2O3溶 液を加 え,HC1の 吸収

に伴い生成する12の 当量点における変色までの時間測定

を繰返すことで,反 応により生成するHClを 定量 した。こ

の際,吸 収液をポンプで高温部から滴下循環させ,低 温部

に生ずる水滴によるHC1の 吸収誤差を防いだ。一方,H2は

HCI吸 収後のArとH2の 混合ガスから自動 ガスサンプラー

でガスの一部を採取 し,3分 毎にガスクロマ トグラフで分

析 した。

*1979年12月13日 受理 本研究の一部は昭和53年12月15日

日本鉱業会非鉄製錬における硫黄固定委員会で発表61.正 会員 北海道大学助手 工学部金属工学科

2(株)田 島産商生産技術蜜3准 会員 北海道大学大学院修士課程4正 会員 工博 北海道大学教授 工学部金属工学科

日 本 鉱 業 会 誌/97 1115('81-1) 41 <41>

□ 芝山良二 ・中島和夫 ・土田直行 ・田中時昭

Fig. 1 Process scheme for recovering ofhydrogen and elemental sulfurfrom H2S.

Fig. 4 Effect of HC1 concentration ondissolution of magnetite.

1。Reflux Condenser

2,Thermometer

3,ReGctor

4,Ar gOS inlet

5,ImmerSiOn heGter

6,Mognetic stirrer

Fig. 2 Experimental apparatus forleaching of Fe3O4 with HC1.

Fig. 5 Arrhenius plot showing the

temperature dependence of thereaction constant in various HC1concentrations.

1,CuO tablet

2,Ribbon heoter

3,QUGrtzreGction tube

4.Somple

5,Furnoce

6,QuortZ WOO1

7,IhermOCOUple

8,Na2S2O3 SO1ution

9,Auto-buret

10、Microtube pump

11.Auto-SOmPler

12.GGS ChromGtogrGph

13,KI+K103solutiOn

Fig. 3 Experimental apparatus for

pyrohydrolysis of FeC12.

Fig. 6 Effect of acid concentration onthe dissolution of magnetite.

3.実 験結果および考察

3・1Fe3O4の 溶解反応

(a)溶 解曲線および温度依存性Fig.4に 各種条件下

での代表的な溶解曲線を示した。溶解率Bと 溶解時間 診の

間に

1-(1-R})1/3=ht

の関係が成立することか ら,溶 解速度hはFe3O4粒 子の表

面積に比例するとみなしうる。

Fig。5に示 したアーレニウスプロットか ら明らかなよう

に,溶 解速度の温度依存性は溶液側の因子(酸 濃度,Fe2+

の添加,H2Sの 吹込み)に よつてもほとんど影響されず ほ

ぼ84kJ/molの 一定値を示した。

(b)溶 解速度に及ぼすHCl濃 度およびFe2+とFe3+イ

オン添加の影響Fe3O4の 溶解速度へのHOl濃 度の影

響は溶解速度が酸濃度に対 し指数的に増大する結果を示し

た(Fig.6参 照)。

Fig.7にFe2+お よびFe3+イ オンの添加効果の例を示し

た。Fe2+の みの増加は溶解速度を著 しく高めるが,Fe3+

を増加させた場合にはその影響が小さい.。Engel12)の イ

オン結晶の溶解機構によれば,溶 液中の酸化剤と還元剤の

Fig. 7The rate of dissolu-tion of magnetitewith change inadditional ferrouschloride.

濃度比によつて結晶の電位が決まり,電 位の低下とともに

溶解速度は増大することになる。このために溶液側の酸化

還元ポテンシャルの変化の効果を除 くため,Fe3+/Fe2+の

濃度比を約2に 保ちながら,鉄 イオン濃度を増す実験を行

なつたが,Fe2+の みの添加時とほぼ一致 する結果が得 ら

れた。

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塩化第一鉄の高温加水分解反応 を利用す るH2Sの 熱化学分解について□

Table 1 Effect of additives on dissolution (90-95%)

of Fe3O4 in 3N HCl at 80•Ž.

Fig. 8 Fe3+/Fe2+ratio in the solution obtained fromleaching of magnetite with HCl as a functionof dissolution percentage.

Photo. 1 Scanning electron micrograph of Fe3O4particles before leaching with HC1.

(c)濃 厚 塩化 物 溶 液 中 にお け る溶 解Fig.6お よび7

の結 果 は塩 化 物 の 濃厚 溶 液 中で はHC1の 活 量 係数 が 増大 す

る ため に よ る と も解釈 で き る:)塩 化物 が 活 量 係数 に及ぼす

効 果 はNaClO4<NaCl<FeCI2<MgCI2の 順 で大 き くな

る と報 告 され て い る。3)この点 を確 認す るた め,試 料 量

0.26g,液 量50mlお よび 温度80℃ と し,各 塩 化 物 につ

い て実 験 しTable1を 得 た 。表 か ら 明 らか な よ うにFeC12

の効 果 が格 段 に 大 きい こ とが確 め られ た。 この 結果 か ら

Fe2+イ オ ンの 効 果 はHClの 活 量 の増 大 効 果 の ほか,Fe304

粒 子 表 面 の 溶解 反 応機 構 に も直接 関 与 してい るこ とが推 定

され た 。

(d)Fe3O4溶 解 時 のFe3+/Fe2+比 の 変化 溶 解過 程

に おけ る溶液 中 のFe3+/Fe2+濃 度 比 の変 化 をFig.8に 示

した。 溶解 初 期 で はFe3O4か らのFe3+とFe2+の 溶解 量 の

Photo. 2 Scanning electron micrograph of Fe3O4

after about 80% dissolution at 80•Ž

with 3N HCI.

Photo. 3 Scanning electron micrograph of Fe3O4

after about 80% dissolution at 80•Ž

with 3N HC1 containing 2 mol/Qeof FeC12.

原子比は化学量論組成比の2と はならず,Fe2+の 優先的

溶解が起こつていることを示 している。 この現象は硫酸溶解

時4)に もみられることか ら,Fe3O4の 溶解機構と関連した

ものと考えられる。

(e)溶 解過程の観察Fe304の 溶解過程における表面

状態の変化を走査電顕で観察した。Photo.1に 溶解 前の

Fe3O4粒 子を示したが,2~10μ の大きさの単結晶粒子

の樹枝状連結体からなつている。個々の粒子の形状はピラ

ミッド形のものが比較的よくみられた。Photo,2に3N

HCi溶 液にて80%程 度溶解後の試料状態を示 した。これ

によれば,Fe304粒 子の外形を構成する面の数は溶解前よ

りふえ,よ り球体に近い多面体で構成されている。このよ

うな晶相の変化はFe304粒 子の結晶成長過程で最 も成長速

度の遅い面と,溶 解反応における溶解速度の最も遅い結晶

面が異なるためと考えられる。

また粒子の一部には大きなビットの形成も認められるが,

前述のように溶解量は表面積に比例することから,ビ ット

溶解の全溶解への寄与は大きくないものとみられる。なお,

ピットが一旦生成すると,溶 解速度のFe2+イ オン濃度への

強い依存性から,巨 大 ピットに発展し易いものと考 えられ

日 本 鉱 業 会 誌/97 1115('81-1) 43 <43>

□ 芝山良二 ・中島和夫 ・土 田直行 ・田中時 昭

る。また,Photo.3に3NHOIにFeCl2を2mol/l添

加し,80%程 度溶解後のFe304の 粒子形状を示 した。単

結晶連結体の一部が急速な溶解で脱落した部分や,粒 子内

部に深 く進入した ピットがHC1の みの溶解の場合より顕著

に認められた。

(f)Fe3O4の 溶解機構 前述の実験からFe304のHCl

による溶解反応に関し,下 記の事実が明らかとなつた。

1)Fe3O4の 溶解反応は表面反応律速となる。

2)溶 解の初期ではFe2+の 優先溶解が起こる。

3)Fe2+イ オンの添加により溶解が促進されるが,Fe3+

イオンの添加の影響は小さい。また溶液の酸化還元電位の

影響は小さく,も つぱらFe2+の 添加量のみに依存する。

4)Fe2+イ オンの添加はHClの 活量増大効果を上回る

結果をもたらす。

これらの結果を説明するため次の溶解モデルを考えた。

Fe2+の 優先溶解の事実から,Fe304か らのFe3+の 溶解速

度はFe2+に 比べて非常に遅く,溶解の極めて初期では液中

の鉄イオンはほとんど全部Fe2+イ オンとみられる。したがつ

て,Fe3+(insolid)の 溶解のためには次のようなFe3斗

(in soIid)のFe2+(insolid)へ の還元が必要となる。

この反応はFe3O4が 半導体的性質をもつことから,表 面

へのFe2+イ オンの吸着による電子の交換反応で進むとも考

えられる。また,Lieserら5)は 無水Fe2(SO4)3のFe2+

を含む希薄硫酸溶液中への溶解につき,次 のような機構を

提出している。

すなわち,水 和Fe2+イ オンの結晶面への吸着によるプロ

トンの生成と,結 晶中のFe3+のFe2+へ の還元である。こ

の機構に従 うと溶解速度が液中の 〔Fe2+〕%に 比例する事

Fig.9

Effect of flow rate

of H2S on the

Ieduotion of ferlic

ko11.

実を説明できるとしている。Fig,7に つい.てこの関係を調

べたが,Fe2+濃 度の大きいところでは1/2次 に近い.関係

が認められることから,こ の機構に従つているともみられ

る。

いずれのモデルをとるにしても液中のFe3+が 溶解反応

に直接関与 してい.ないことがわかる。また1N以 上のHC1

溶液中ではFe3+イ オンは 〔FeO14rの ような錯イオンを

形成することからも,見 かけ上Fe3+の 影響が抑制されて

いることも考えられる。

3・2H2Sに よるFe3+イ オンの還元

Fe3+お よびHC1濃 度がそれぞれ,Z15g/l,3Nの 時

のH2S流 量と液攪拌効果をFig.9に 示した。H2S流 量10

~30ml/minで は流量の増加につれ還元速度は上昇し,

また攪拌の併用も還元速度を高めた。一方,soの 凝集状

態はFe3+の 同一還元率で比較すると,攪拌した場合および

還元温度の高い時ほど良好となつた。特に高濃度溶液(1

molFe3+/1)の 還元時には生成S0は 大きな粒子に凝集す

るため,還 元後の液には微粒状のsoに よる濁りはみられな

かつた。

soの 析出は次の三つの過程で進むと考えられる。

DH2S(g)→HS-十H+→S2-+2H+

ii)2Fe3++S2-→2Fe2++s0

m)so→ 凝集

前述の実験結果によれば,H2Sの 流量を増すことにより

還元速度の上昇がみられたこと,お よび還元率が高くなり

液中のFe3+濃 度が小さくなつても反応速度があまり低下

しないことを考え合わせると,lDの 反応は十分に速 く進行

し,還 元速度はH2Sあ るいはS2-の 補給速度で決まるとみ

られる。07159のFe3+の 還元に要するH2S量 は約156

ml(25℃)で あり,実験条件下でのH2Sガ スの利用率は

50~60%と 計算される。これより,S2-の 補給速度は

H2Sガ スの吸収あるいは溶解H2Sの 解離過程に影響される

とみ られる。H2Sの 溶解度に及ぼすHC1濃 度の影響はあ

まり大きくない6)こ とから,S2-の 濃度を高めるためには

〔H+〕を下げ解離平衡をずらすことが考えられる。 しかし,

最適条件は単にFe3+の 還元だけでなく,溶存H2Sの 脱ガス

およびsoの 凝集状態等,そ の後の操作とも関連するため本

実験からは決定できない.。

Fe3O4の 溶解時にH2Sを 吹込む方法では,Table2に 示

Table 2 Effect of H2S on dissolution of Fe3O4 in HC1solution.

*ReGCtion time /60 min.

44 <44>

塩化第一鉄の高温加水分解反応 を利用するH2Sの 熱化学分解について □

Fig. 10 Typical rate curves for the reactionbetween FeCl2 and H2O(g).

すようにFe304の 溶解は確かに促進されるがFe2+の 濃厚

液のような大きな効果は期待できにくい。むしろ,soが

Fe304粒 子に付着するため,両 者の分離に支障をきたす恐

れの方が大きい。したがつてFe304の 溶解とFe3+の 還元

は分離する方が有利といえる。

3・3塩 化第一鉄の高温加水分解反応

(a)反 応曲線および温度依存性FeCl2の 加水分解

反応は240℃ 付近から起こることが連続昇温実験(5℃/min)

で確かめられた。これはFeCl2の 水素還元開始温度425℃

に比べかなり低く,加 水分解反応がFe-0間 の大きい親和

力のため進みやすくなるものとみることができる。

F憾10に 定温反応曲線の一例を示 した。HCIの 発生曲

線はいずれの温度でもほぼ直線的に進行し,全 発生HCl量

はFeC12試 料量と一致することがわかつた。これに対 し,

H2発 生はHClよ りも遅れ,誘 導期をもちその後直線的な

推移を示 した。HC1お よびH2の 発生曲線の直線部分の勾

配より求めた両者の発生モル比nHC1/nH2は ほぼ6と な

り,下 記の(1)式の発生比率と一致する。

3FeCl2十4H2O→ Fe3O4+6HC1+H2 (1)

しか し,最 終H2発 生量についてみると,600℃ 以上では

(1)から求めた理論発生量より低い値で反応が停止する現

象が起こる。

FeC12の 高温加水分解では,反 応の経時変化は直線的に

推移すること,お よび試料充填層の上部から層状に反応帯

が降下する様子が観察されることから,反 応管出ロガス組

成はほぼ平衡に近い状態であると考えられる。したがつて

各温度における直線部の勾配より,導 入水蒸気の転換率

Rc(Rc=(0.5nHCI+nH2)/nH2O°),た だし,nH2O°

は導入水蒸気のモル数を表わす)を 求めた結果をFig.11に

示 した。転換率のアーレニウスプロットは450~620℃ で

は次式で表わされる。

Rc=1.478×103exp (-62011/RT)

(b)熱 力学 的 考察 加水 分 解 反応 が(1)に従 うもの と

して,1.Barinら7)の 熱 力 データを用い,各 生 成 ガ スの平

衡 濃 度 の 計算 結 果 をTable3上 段 に示 した 。Fig.11の 実

Calculated H2O 0.4mol+Ar 0.8mol

Observed H2O 10ml/mln+Ar20ml/min

Rc=0,5nHCl+nH2

/ nH2O°

Fig. 11 Effect of temperature onH2O(g) conversion ratioRc during pyrohydrolysisof FeC12.

Table 3 H2O (g) conversion for pyrohydrolysis of FeC12.

Rc=0.5nHCI+nH2

/nH2O°

測値とよく一致しているとはいえない。これに対し,(1)の

反応が下記の2段 からなる連続反応と考えると,

FeCl2+H20→ FeO(s)+2HCl (2)

3FeO(s)+H2O →Fe3O4+H2 (3)

(2)と(3)の平衡定数KはK2<属 となつている。このような

条件下では,反 応(2)は導入水蒸気に対しFeCl2過 剰である

ため,H2Oは 平衡値まで分解される。一方,反 応(3)につい

ては(2)で生成するFeO量 に対してH2O量 が過剰となるため,

H20の 分解平衡点に達する前にFeOが 消失することになる。

したがつて生成ガス組成は反応(2)の平衡値のみで決まるこ

とがわかる。この場合の計算結果をTable3の 下段に示 し

た。これが実測値とよく一致することはFig.11か ら明ら

かである。

(c)H2生 成量の低下 発生H2量 は600℃ 以上の温

度では(1)式からの計算値より著しく低下し,620℃ では

80%程 度にしかならないことについては先に述べた(Fig.

10参 照)。 この原因として反応(3)によるFeOの 酸化が完

全に進行しないためと考え,620℃ で水蒸気流量を5~20

ml/minと 増加させ発生H2量 に及ぼす影響を調べた。その

結果,水 蒸気流量に比例 して反応速度は高くなるが,H2生

成量はほとんど変化 しないことがわかった。また反応途中の

試料のX線 回折からもFeOの 存在は検出できなく,代 りに

Fe2SiO4の 生成が確認された。一方,FeCl2に シリカガ

ラス粉末を混合しないで加水分解を行な うと,600℃ で

100%のH2発 生量となることがわかつたoし か し,620

℃では石英反応管によりFe2Sio4を 生成す るため,僅 かな

日 本 鉱 業 会 誌/97 1115 ('81-1) 45<45>

□ 芝山良二 ・中島和夫 ・土田直行 ・田中時昭

←Photo.4

Scanning electron micro-

graph of Fe3O4 crystals

formed on the surface of

solid FeCl2 by pyrohydlol-

ysis of FeCl2 at 600℃ and

10ml/mln.H2O gas flow

rate.

上昇しかみ られなかつた。

Fe2SiO4はFe1-xOとSiO2の 混合物を620℃ に加熱

保持してもその生成は認められなかつたが,こ の混合物の

上層にFeCl2を 充填 し加水分解生成 ガスと反応させると,

下層のFe1-xOは あまり酸化されず,Fe2SiO4に 変化す

ることを確めた。これはFeC12を 各種担体に分散保持させ,

反応性を改善する研究においても同様な傾向がみられるこ

とから1)Fe2SiO、 の生成に対してHClガ スが促進作用を

持つていることが推定された。

(d)反 応機構 一般に気体 一固体間の不均一反応で

は,固 体表面にまず固体生成物ができ,時 間の経過ととも

にこれが求心的に成長し反応凄 面積が減少するため,反 応

速度は次第に減少すると考 えられている。しかし,Photo.

4の 反応途中の走査電顕写真によれば,生 成Fe304は 非常

になめらかな表面をもつ単結晶状に成長し,ま た未反応塩

化鉄表面は酸化物層で覆われることなく,次 第に消失 して

い く等の様子がみられる。また先に述べた(2)と(8)式の連続

反応で生成FeOが 固相として反応に関与するならば,固 体

Fe1-x0のFe304へ の速やかな酸化は困難とな り,未反応

Fe1-x0が 検出される可能性が強い。しか し,Flg.10に

み られるように反応速度は反応後期に至るまで直線的に進

行し,さ らにFe1-x0相 も検出されない。

上述の事実は,加 水分解反応が次のような気一気相反応

で進行することを示唆 している。

FeCl2(s)⇔FeCl2(9) (5)

FeCl2(9)+H2O(9)→ FeO(9)十2HCI(g) (6)

3FeO(g)十H2O(g)→ Fe3O4(g)十H2(g) (7)

Fe3O4(g)→ Fe3O4(crystal) (8)

Knocheら9)は(7)式 以 下 の反 応 を 抑 えるた め,H2Oに

H2を 混 合 しFeCl2を 完 全 に 固体Fe1-xOに 転 換 した後,

H20に よ りFe1-x0の 酸 化 を進 め,生 成H2濃 度 をFe1-x0

-Fe304平 衡 値 に まで 高め る間接 加 水 分解 サ イ クル を報 告

してい る。Fig.12にFe1_。0の 水 蒸気 酸 化 とFeC12の 高

温加 水 分 解時 のH2発 生 濃 度 の経 時 変 化 についての実 験結 果

を示 した 。 前者 で は反 応 初 期 に 高いH2濃 度 を示 す が,定 常

濃度 が 得 られ ず,実 験 終 了 後 の反 応量 も80数%程 度 で あ

Fig.12→

Comparison of H2 con-

centration obtained

from pyrohydrolysis of

FeCl2 with that from

oxidation of Fe1-xO

with H2O(g).

り,ま たX線 回折で未反応Fe1-xOが 検出された。一方,

後者では反応終了点付近までのH2濃 度変化は小さく,100

%の 反応量が得 られる。この両者の明確な差異は上述の気

体一気体反応モデルの妥当性を示すものと考えられる。

(e)生 成ガスの製錬への利用Velzenら10)が 指摘

しているように,水 の熱化学分解としてのFe-Clサ イクル

には2つ の大きな問題がある。一つはFeCl3の 熱分解にお

ける低い分解率であり,ま た一つはFeC正2の 高温加水分解

時の水の転換率が小さいことである。しかし,H2Sの 分解

にFe-Clサ イクルを適用する場合には,少 なくとも前者

の問題点は解消される。後者の点については確かに水の転

換率は900Kで21%程 度にしかならず,系 内にリサイクル

される水の量は多 くなる。これは流出ガス中のH2濃 度の

低下につながるとともに熱効率を悪くする。

しか し,熱 回収技術が向上すれば製錬分野においてはこ

のようなH2-HCl-H2O混 合 ガスの利用の可能性は大きい

と考えられる。例えば,600℃ におけるFeCl2の 高温加

水分解で生成する流出ガスは,NiCl2を 金属Niま で還元

できることが実験的に確められた。また,最 近,新 しい鉱

石処理技術として酸化鉱や硫化鉱に対 してHydrochlori-

nation法 が研究されているが11),~13)FeCl2はCaCl2に

比べよいHCl源 となるとともに,生 成H2の 還元ガスとし

ての利用が期待できる。特に硫化鉱に対 してはsoと しての

固定の意味か らも興味ある問題といえる。

4.総 括

下記の組合せ反応によるH2Sか らのH2とs0の 回収につ

き各種実験を行ない次の結果を得た。

Fe3O4十6HCl+H2S→ 3FeCl2十4H2O十S0

3FeCl2+4H2O(g)→ Fe3O4+6HCi+H2

/ H2S→ H2+s0

1)Fe3O4のHC1溶 解 は界 面 反応 律 速 とな り,見 掛 け

の活 性 化 エ ネル ギ ーと して約84kJ/molの 値 を得 た 。 ま

46<46>

塩化第一鉄の高温加水分解反応 を利用す るH2Sの 熱化学分解について□

た,溶 解初期にFe2+の 優先溶解が起こり,かつ濃厚FeOl2

液中では著しく溶解が促進されることがわかつた。

これらの実験結果か ら溶解機構として,液 中のFe2+イ オ

ンによるFe304中 のFe3+のFe2+へ の還元と,そ れに続 く

Fe2+の 結晶格子から液中への離脱を考 えた。

2)H2Sに よるFe3+イ オンの還元については,Fe304

溶解時のH2Sの 同時吹込みでは溶解の促進は認められるが,

生成S0に よる反応妨害,あ るいはs0と 未溶解残渣 との分

離の点から,Fe304の 溶解 とFe3+イ オンの還元は切 り離

して行なつた方が有利との結論を得た。

さらに,Fe3+溶 液の還元速度は液中へのH2Sガ スの吸収

ないしはS2-イ オンへの解離過程によつて支配されている

と考えられた。

3)FeOl2の 水蒸気による高温加水分解は,水 蒸気の転

換率の実測値および平衡計算値との比較から,反 応は

FeCl2(s)とH2O(g)の 直接反応とみなすよりも,む しろ中

間生成物のFeOを 経由する下記2段 の連続反応と考 えるの

が妥当なことが明らかとなつた。

FeC12+H2O→ FeO+2HCl

3FeO+H2O→ Fe3O4+H2

さらに,Fe304の 成長状態の観察およびFe1-xO単 独の

水蒸気による酸化実験から,反 応はガス状FeCl2お よび

FeOで 進行すると結論された。

4)本 サイクルの問題点として,低 い水の転換率に伴う

熱効率の改善や,生 成ガスの製錬への利用が今後の課題と

なることが認識された。

なお,本 研究は財団法人 日本鉱業振興会の助成を受けて

行なつたものである。ここに記して深謝を表する。

参 考 文 献

1) Soliman, M. A., Carty, R. H., Conger, W. L. & Funk,

J. E.: Can. J. Chem. Eng., 53, 164, (1975)

2) Engell , H. J.: Z. phsik. Chem., N. F. 7, 158, (1956)

3) 高橋正雄: 防食技術, 23, 625, (1956)

4) 伊 藤公吉 ・斎藤勇: 日本鉱業会誌, 82, 669, (1966)

5) Lieser, K. H. & Schroeder, H.: Z. Elektrochem., 64,

252, (1960)

6) Seidell, A.: Solubilities of Inorganic and Metal

Organic Compounds, 596, (1940), D. von Nostrand

Company Inc. (New York)

7) Barin, I. & Knacke, O.: Thermochemical Properties

of Inorganic Substances, (1973), Springer-Verlag,

(Berlin)

8) Velzen, D. & Langenkamp, H.: 1st World Hydrogen

Conference Proceedings, 8A-83, (1976)

9) Knoche, K. F., Gremer, H., Ste inborn, G. & Schneider,

W.: ibid., 5A-37, (1976)

10) Velzen, D. & Langenkamp, H.: Int. J. Hydrogen

Energy, 3, 419, (1978)

11) Maude, C. R. & Sale, F. R.: Inst. Min. Metall., 86,

C82, (1977)

12) Tittle, K.: ibid., 83, C203, (1974)

13) Bear, I. J., Camier, R. J. & Caney, R. J.: ibid.,

83, C231, (1974)

Thermochernical Splitting of Hydrogen Sulfide Using Pyrohydrolysis of Ferrous Chloride

by Ryoji SHIBAYAMA1, Kazuo NAKAJIMA2, Naoyuki TSUCHIDA3 and Tokiaki TANAKA4

The two-stage thermochemical cycle was proposed as described below in this research and experimental studies weremade on this cycle.

Fe3O4+6HC1+H2S→ 3FeC12+4H2O+S°

3FeCl2+4H2O→ Fe3O4+6HCI+H2/

H2S→ H2+S°

The activation energy for the dissolution of Fe3 04 is found to be about 84 kJ/mol under different conditions and therate is controlled by the surface reaction. It is shown that the rate is dominantly affected by the concentration of ferrousion rather than by the Fe3+/Fe2+ ratio in the solution, and the addition of a large amount of ferrous chloride causes a markedacceleration of the dissolution rate.

It is also shown that the reduction of ferric ion with hydrogen sulfide proceeds easily and the rate is controlled by anabsorption rate of hydrogen sulfide into the acid solution.

Experimental results on pyrohydrolysis of solid ferrous chloride can be accounted for by considering gaseous FeO as atransient intermediate.

(1. Assist., Faculty of Engineering, Hokkaido Univ. 2. Tajima Sansho, Ltd.3. Graduate Student, Faculty of Engineering, Hokkaido Univ. 4. Prof., Dr., Faculty of Engineering, Hokkaido Univ.)

書籍紹介

有価金属のインプ レース ・

リーチング技術研 究委員会

研究成果報告書(昭 和55年3月)

本書 は昭和54年3月 に発行 された 「有価

金属の インプレース ・リーチ ング技術 に関

す る調査報告」 とは別の報告書で あって,

イ ンプレース ・リーチ ングに関す る最新の

報告書である。題名が昭和54年 のもの とよ

く似 てい るので混同 されてい る方 々が多い

らしいので,改 めて,こ れが最新 のもので

ある ことを御紹介 してお く。 内容は

(1)浸 出液 の リサイ クリングとブ リーデ

イング

(2)希 薄溶液か らの有価金属の回収

(3)鉱 床内にお ける浸出液の流動状況に

関す るシ ミュレーション

(4)昭 和52年 実験 に用いた鉱石 の保存 と

小型 カラムテス トによる浸出性の検討

の4項 目である。

(昭 和55年3月 発行,B5判88頁,頒

価2,000円,〒300円)

日 本 鉱 業 会 誌/97 1115('81-1) 47<47>


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