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UR 都市機構 山田町復興市街地整備事業 山田地区に...

Date post: 20-Jun-2020
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2011 年 3 月に発生した東日本大震災において、地震、津波、さらに、その後発生した火災により甚大 な影響を受けた岩手県山田町。復興に向けた安全祈願祭が織笠地区 2013 年 5 月 29 日、山田地区で 2013 年 10 月 2 日に開催された。 復興計画から合意形成まで、CIM を最大限に活用し、復興に向けて確実に前進する山田町で、復興計 画を推進する UR 都市機構 山田復興支援事務所 國澤正明工事統括役と山田町震災復興事業共同企業 体の 1 社である大林組を訪問した。 山田町震災復興事業共同企業体 山田町 CMJV 工事事務所 西彰一所長(写真右)より山田地区の復 興計画についてご説明頂いた。 山田町では、高台移転だけでなく、今後の安全性を確保するために 4m もの盛土を行う地域もある。 そのため、円滑な工事着工に向けては町の人々との合意形成や権利調整が不可欠であるとのことだ。 國澤正明工事統括役(写真左)は、受託者として復興計画を遅らせることなく確実に進めるために事業 主体である山田町と施工者である CM(コンストラクション・マネジメント) 注1 を担当する山田町 CMJV と連携を図りながら CIM の活用を進めてきた。 注 1):CM とは、「建設生産・管理システム」の一つであり、発注者の補助者・代行者である CMR(コンストラクション・ マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コス ト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。(国土交通省「CM方式活用ガイドラインについて」より) UR 都市機構 山田町復興市街地整備事業 山田地区における CIM への取り組み (取材日:H25 年 11 月 7 日)
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Page 1: UR 都市機構 山田町復興市街地整備事業 山田地区に …2011年3月に発生した東日本大震災において、地震、津波、さらに、その後発生した火災により甚大

2011 年 3月に発生した東日本大震災において、地震、津波、さらに、その後発生した火災により甚大

な影響を受けた岩手県山田町。復興に向けた安全祈願祭が織笠地区 2013年 5月 29日、山田地区で 2013

年 10月 2日に開催された。

復興計画から合意形成まで、CIM を最大限に活用し、復興に向けて確実に前進する山田町で、復興計

画を推進する UR 都市機構 山田復興支援事務所 國澤正明工事統括役と山田町震災復興事業共同企業

体の 1 社である大林組を訪問した。

山田町震災復興事業共同企業体 山田町 CMJV 工事事務所 西彰一所長(写真右)より山田地区の復

興計画についてご説明頂いた。

山田町では、高台移転だけでなく、今後の安全性を確保するために 4m もの盛土を行う地域もある。

そのため、円滑な工事着工に向けては町の人々との合意形成や権利調整が不可欠であるとのことだ。

國澤正明工事統括役(写真左)は、受託者として復興計画を遅らせることなく確実に進めるために事業

主体である山田町と施工者である CM(コンストラクション・マネジメント)注 1を担当する山田町 CMJV

と連携を図りながら CIMの活用を進めてきた。

注 1):CMとは、「建設生産・管理システム」の一つであり、発注者の補助者・代行者である CMR(コンストラクション・

マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、コス

ト管理などの各種マネジメント業務の全部又は一部を行うもの。(国土交通省「CM方式活用ガイドラインについて」より)

UR都市機構 山田町復興市街地整備事業 山田地区における CIMへの取り組み

(取材日:H25年 11月 7日)

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津波による大規模火災で焼失した JR陸中山田駅跡地で 10月 2日に復興に向けた安全祈願祭が開催さ

れた。前出の様に表看板には復興計画が示されていたが、実は裏面には、盛土の高さが表示されており、

その高さに驚かされた。安全なまち造りへの思いが伝わってくる。

復興計画の概要を CIMモデルにより、説明を頂いた。高台移転には土地の確保は元より地権者の承諾

を得る必要がある。しかしながら、被災後、全国各地に避難している方々が居るなど、その調整は容易で

はない。

その影響もあり、復興計画の変更を余儀なくされたり、変更に伴い、再度、合意を得たりする必要があ

る。また、復興計画は山田町の山田地区と織笠地区の 2 地区と広域にわたるため、広域の空間の再現と

将来計画に至るプロセスを効果的に再現するために CIM モデルが活用されている。

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CIM モデルの活用効果については、地元住民との合意形成だけでなく、発注者である山田町、電気・

ガス・水道・通信等のインフラ企業、地元警察との協議等でも発揮している。

土工エリアも広域に渡るので、地元説明会では CIMモデルを実際に動かして、参加者の要望に応えな

がら対応しているとのことだ。

土砂運搬についても多くのダンプトラックが走行することから、地元の要望が多く上がった。そこで運

行ルートの検討やその方法について CIMモデルを活用し、工事用道路の取り回し、土砂の運搬方法につ

いて、社内で検討し、地元のステークホルダーに説明、結果、合意を得たとのことである。

これらの取り組みは、発注者の山田町でも高く評価され、山田町でも CIMモデルを導入し、インフォ

メーションセンターに設置し、住民がいつでも CIMモデルを閲覧できるようにサービスを充実していく

意向とのことだ。

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山田町での取り組みでは、プロジェクト全体の「見える化」だけでなく、時間変化と共に変わっていく

現場の様子を可視化する「4D」について、CIMモデルが積極的に活用されていた。

特に今回の様に多くのステークホルダーが存在し、かつ業務計画も進捗と共に変化を伴うため、CIMモ

デルの効果は絶大であるように感じた。

現在作成している CIMモデルをベースに情報化施工へのデータ連携や維持管理に向けたデータ構築を

検討していきたいそうだ。


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