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診療部の 業務概況
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診療部の業務概況

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1.診療スタッフ 和田晃 部長(内科科長兼務) (日本内科学会(専門医、指導医、近畿地方会評議員)、日本腎臓学会(専門医、指導医、学術評議員)、日本透析医学会(専門医、指導医、評議員)、日本高血圧学会(指導医)、日本プライマリケア連合学会(認定医、指導医)) 中島伸 副部長(脳神経外科科長兼務)(日本脳神経外科学会(専門医、近畿地方会学術評議員)、日本プライマリケア連合学会) 小笠原充幸 医員 (日本内科学会(認定医)) 綿島史子 専修医 (日本内科学会(認定医)) 和田万葉 専修医 (日本内科学会(認定医)) 河野匡子 非常勤医師 (日本麻酔科学会

(標榜医)) 松本謙太郎 招聘医師2.診療方針と特色 救急患者の初療や、複数疾患を有する患者の診療には、幅広い臨床知識と、各専門医への円滑な連携が行えるマネジメント力が必要である。また近年複雑多様化する医療において、関連疾患を有する他科疾患の患者に対し病院医として診療に携わる診療医が必要である。総合診療部はこのようなニーズにこたえるべく H22 年 4 月から診療科として本格的に稼働している。 具体的には、初診外来を中心とした一般外来診療、3 次救急を除く時間外救急患者の初療、救急患者の一部(総合診療を要する症例)の入院後の受け持ちを行っている。また時間外救急の初療は、当院研修医が指導医のもとで行うため、診療の指導や定期的な症例検討を行うことにより、診療の質の維持・向上を常に図っている。3.診療実績

肺炎(誤嚥性肺炎を含む) 84尿路感染症 28

 (急性副睾丸炎、急性前立腺炎各 1)腸炎 14蜂窩織炎 12扁桃炎、頚部リンパ節炎 5ウィルス感染症 15 (インフルエンザ 4)結核 3その他の感染症 3 (ニューモシスティス 2、真菌 1)敗血症 1膿胸 5肺膿瘍 2気胸 2気管支拡張症 1髄膜炎 2感染性心内膜炎 1脳膿瘍 1感染性肝嚢胞 2

(1 症例)急性胆嚢炎 2腸腰筋膿瘍 1腸腰筋血腫 1梨状筋膿瘍 1憩室炎 1急性虫垂炎 1脱水・電解質異常 9気管支喘息 3甲状腺疾患 1食道疾患、胃・十二腸潰瘍 3胆管炎・胆嚢炎 3卵巣腫瘍茎捻転 1癌 12 (肺がん 7、肝がん、乳がん、急性白血病、多発骨髄腫、骨髄異形成症候群)自己免疫疾患・血管炎など 6 (ウェジナー肉芽腫、ANCA 関連血管炎2、成人スチル病、リウマチ性多発筋痛症、

総合診療部診 療 業 務

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RS3PE3、再発性多発性軟骨炎、多発性関節炎 2)心不全 3狭心症 1骨折・その他の整形外科疾患 5てんかん 3めまい症 15頭痛 2薬物(アルコールを含む)中毒 5脳梗塞 1脊髄梗塞 1精神科疾患 3ウェルニッケ脳症 1ギランバレー症候群 1失神 2その他 8 (糖尿病性 2、高血圧、肋間神経痛、薬剤性血小板減少症、ダンピング症候群、腎梗塞、不明熱)計(のべ退院患者数) 277

手術のため転科症例 4 例(呼吸器外科、外科、脳神経外科、婦人科)時間外外来当直(研修医当直)の入院 126 例退院時逆紹介(紹介医療機関や専門病院への再紹介も含む) 66 例

4.臨床研究のテーマ 卒前卒後の医学教育について、他施設(大学、教育病院)の教育担当者とともに実践的な教材の開発を行っているほか、診療看護師の養成のための研修プログラムの開発にも取り組んでいる。中島伸(分担研究者):平成 23 年度~ 25 年度科研基盤研究(B) 「シリアスゲームを取り入れた卒前医療安全教育の教材開発」和田晃(分担研究者):平成 24 年度国立病院機構指定研究「診療看護師 (JNP) の卒後教育プログラムの開発」5.教育方針救急患者や他科患者の合併症などの広い範囲

の疾病・病態を経験することにより、総合診療医としての問題解決能力を身につけることを目標とする。また各診療科を広く研修することにより、より多くの疾病・症例に接することで、総合診療医、病院医としての知識、診断・治療能力を深めるとともに、ベースとなる内科、救命救急、総合診療の資格取得(内科学会認定医、プライマリケア認定医など)も目指す。 また、毎週 2 回、職員研修部と共催で院内職員全体を対象とした研修医症例検討会を行っている。H24 年度も近畿ブロック事務所医療課とともに、初期診療の技量を競う「初期診療トライアル」を開催し、全国の国立病院機構病院からの参加を得ている。これらの機会を通じて積極的な人材育成につとめている。 さらに当院では H24 年度より、診療看護師養成のための研修を、国立病院機構他病院とともに開始しており、H24 年度は 2 名の診療看護師が総合診療部で 3 か月の研修を行った。6.目標及び将来計画

①在院日数短縮の努力②地域医療機関との連携強化による外来新

患数の確保と逆紹介の推進③他科との連携による診療体制の充実 病院総合医の育成④初期臨床研修研修の充実

研修医のローテーション必修化に向けた取り組み外来症例検討会の充実外部の講師を迎えた症例検討会の実施

⑤人材育成、特に専修医の教育やスタッフ人員確保専修医・スタッフの認定医、専門医取得研修会や学会への積極参加診療看護師の研修をとおしての新たな職種の育成

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1.スタッフ紹介伊藤孝仁 科長 (日本内科学会(専門医、指導医、近畿地方会評議員)、日本腎臓学会(専門医、指導医、学術評議員)、日本透析医学会(専門医、指導医)、米国腎臓学会フェロー、日本抗加齢医学会(評議員))倭成史 医師 (日本内科学会(専門医、指導医)、日本腎臓学会(専門医)、日本透析医学会(専門医、指導医))中野知沙子 医師 (日本内科学会(認定医))荒田夕佳 専修医藤村龍太 専修医森影直子 専修医和田晃 総合診療部部長 (日本内科学会(専門医、指導医、近畿地方会評議員)、日本腎臓学会(専門医、指導医、学術評議員)、日本透析医学会(専門医、指導医、評議員))

2.診療方針と特色  慢 性 腎 臓 病(ChronicKidneyDisease,CKD)は、腎機能障害の進行による透析導入という医学的社会的問題のみならず、それ自体が脳血管・心血管病発生のリスク要因になる点から、治療目標を明確に定めた積極的介入が必要な疾患である。古典的には、学校検尿の普及と対応による若年者の慢性糸球体腎炎対策が中心であったが、近年は、定期健康診断からはずれた高齢者の腎疾患対策へと視点が移行しつつある。CKD 診療ガイドラインが 2012 年に新しく改訂されたが、当院は地域連携を通じて積極的に腎機能低下の抑制と CKD 合併症の予防・治療に尽力したいと考えている。一般的な CKD のみならず、高齢初発のネフローゼ症候群や癌治療に伴う腎合併症など、当院および当科が積極的に貢献する必要がある領域は幅広い。当院は HIV 診療の地

域拠点・ブロック拠点病院であり、広域から HIV 感染患者が来診している。HIV 感染症による腎障害、HIV 治療薬による腎障害、併存感染症または HIV 治療薬による脂質異常や糖尿病がもたらす腎障害、など多くの腎合併症患者ないしは予備軍を抱えている。当科は、当院感染症内科と協力し、このような症例の診断と治療にも積極的に関わっている。基幹病院として、独創的な知見を情報発信していくことは重要な使命であり、このような姿勢は、スタッフの診療能力や科学的思考能力を育てる上でも重要である。当院自身のデータを用いた後方視解析を積極的に行うとともに、後追いではない先駆的データの学会発表をめざした前向き研究を立案・実行中である。また、基幹病院として、新薬治験に積極参加することも重要と考えている。

3.診療実績1.平成 24 年退院患者内訳(最も医療資

源を投入した DPC 病名による整理)計 344 例

腎 臓 内 科診 療 業 務

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入院契機となった病名の分類 患者数 DPC I DPC II 特定入院期間 超過 告示番号なし慢性腎不全(急性増悪含む) 100 2 43 50 4 1末期腎不全 34 4 15 14 1 0IgA腎症 29 23 6 0 0 0ネフローゼ症候群(疑含む) 26 3 13 8 1 1心不全 11 1 5 5 0 0慢性糸球体腎炎 10 2 6 1 0 1腎機能低下 9 0 6 2 1 0高Na/K/Ca血症 9 0 1 7 0 1急性腎不全 8 0 1 6 1 0糖尿病あるいはDM腎症 8 1 3 4 0 0SLE・膠原病 7 1 3 3 0 0肺炎 7 1 4 1 1 0ANCA関連血管炎(疑含む) 6 1 3 1 1 0高血圧症・高血圧脳症・高レニン血症 6 1 2 3 0 0本態性クリオグロブリン血症 5 1 3 0 0 1低アルブミン血症・浮腫 5 0 0 4 1 0尿細管性アシドーシス・ファンコニ症候群 4 0 2 2 0 0発熱 4 0 0 3 0 1消化管出血(疑含む) 4 0 1 2 1 0CAPD関連感染症 3 0 0 1 0 2横紋筋融解症または悪性症候群 3 0 0 2 1 0低Na/K/Cl血症 3 0 1 1 1 0急性腎炎(疑含む) 2 0 1 1 0 0多発性のう胞腎 2 0 0 1 0 1甲状腺疾患 2 0 1 1 0 0腎血管性高血圧症 2 0 0 2 0 0クッシング症候群(疑含む)・副腎腫瘍 2 0 1 1 0 0肺出血・血胸 2 0 0 1 1 0イレウス(疑含む) 2 0 0 2 0 0真菌血症(疑含む) 2 0 1 0 0 1腎硬化症 1 0 1 0 0 0紫斑病腎炎 1 0 0 1 0 0混合性脱水 1 0 1 0 0 0原発性アルドステロン症(疑含む) 1 0 0 1 0 0副甲状腺機能亢進症(疑含む) 1 0 0 0 0 1腎動脈狭窄症 1 0 0 1 0 0透析シャント閉塞 1 0 1 0 0 0尿路感染症 1 0 1 0 0 0膀胱尿路上皮癌の疑い 1 0 0 0 0 1洞不全症候群 1 0 1 0 0 0心停止 1 1 0 0 0 0腹部大動脈瘤 1 0 0 1 0 0肺線維症 1 0 0 1 0 0全身倦怠感 1 0 0 0 1 0脳皮質下出血 1 0 0 1 0 0構音障害 1 0 0 1 0 0虚血性腸炎(疑含む) 1 0 0 0 1 0感染性腸炎 1 0 1 0 0 0急性腹膜炎 1 0 1 0 0 0異物誤嚥 1 0 0 1 0 0皮膚潰瘍 1 0 0 0 1 0末梢性めまい症 1 0 1 0 0 0めまい症 1 0 0 1 0 0急性鼻副鼻腔炎の疑い 1 1 0 0 0 0水痘症 1 0 0 1 0 0右足蜂巣炎 1 0 0 1 0 0坐骨骨折 1 0 0 0 0 1合計 344 43 130 140 18 13全体に対する割合(%) 12.5 37.8 40.7 5.2 3.8

DPC I

DPC II

特定入院期間

超過

告示番号なし

(他科入院患者の共観やコンサルテーションは除く)

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2.血液浄化治療血液透析治療および特殊体外循環治療については透析室の項に記載腹膜透析については新規導入が 1 例、腹膜機能障害あるいは感染症で腹膜透析離脱例が 3 例、血液透析との併用療法に移行したものが 1 例で、平成 24 年 12 月時点での通院腹膜透析患者は 5 例であった。

3.平成 24 年特殊検査件数腎生検 28件腎エコー ドプラ 239 件

4.臨床研究のテーマ① 慢性腎臓病の進展予防に対する栄養学的

介入に関する検討② 微小変化型ネフローゼ症候群の治療反応

性および予後予測方法に関する検討③ リン代謝コントロールにおける日内リズ

ムの関与に関する検討④ 急性期血液浄化における予後予測因子に

関する検討⑤ HIV 感染患者における腎合併症の診断

と治療戦略に関する検討⑥ IgA 腎症に対するステロイド・免疫抑制

剤併用療法多施設共同研究 IgA 腎症に対する扁桃摘除・ステロイド併用療法の効果に関する多施設共同研究

5.教育方針日常診療に加え、症例検討会・病理組織検討会・抄読会・学会発表・学会聴講参加などを通じて、すぐれた医師およびスタッフの育成をめざしている。

定例カンファレンス① 新入院患者症例検討および退院報告

毎週月曜日午後 5 時 30 分から② 腎生検病理評価 毎週火曜日午後 5 時か

ら③ 抄読会 毎週火曜日午後 6 時から

④ 入院患者検討会および回診 毎 週木曜日午前 8 時 15 分から

⑤ 透析症例検討会 毎週金曜日午後 4 時30 分から

6.目標および将来計画① 高齢者における慢性腎疾患の早期発見,

診断,治療方針の決定、円滑な地域連携、を遂行すること

② HIV 感染患者における腎合併症の早期発見,診断,治療方針の決定、円滑な地域連携、を遂行すること

③ 外科処置を要する維持透析患者に対する内科的サポート能力の拡大

④ 地域透析患者あるいは保存期腎不全患者の急性期病変に対する対応能力の拡大

⑤ スタッフに対する研究推奨とキャリア発達支援

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1.診療スタッフ瀧秀樹 科長(日本内科学会認定医、指導

医、近畿地方会評議員)、(日本糖尿病学会専門医、指導医、学術評議員)

加藤研 医師(日本内科学会認定医、指導医)、(日本糖尿病学会専門医、指導医)

森本竹紗 専修医(日本内科学会認定医)豊田久子 専修医

2.診療方針と特色政策医療の内分泌・代謝性疾患に含まれる糖尿病やメタボリック症候群、脂質異常症ならびに内分泌疾患を対象に、それぞれの病態把握と診断・治療にあたっている。1.特に大多数を占める糖尿病に関して、検

査・治療・教育の 3 本立てのプログラムで対応している。糖尿病関連の検査では、インスリン抵抗性の評価、頚動脈エコーによる動脈硬化の評価、血圧脈波による下肢血行動態の評価などを併用して、糖尿病の代謝動態および合併症進展の総合的把握にあたっている。糖尿病の治療では、新しい治療薬であるインクレチン製剤を積極的に導入し、病態を考慮した最新の糖尿病治療を行っている。その効果判定のため持続血糖測定器(CGM)を使用し、効果判定を行っている。腎症合併例には低蛋白糖尿病食の指導と血圧の管理を行っている。また今年度は栄養管理室、看護部と共同で透析予防外来を開設(週 1 回)し、将来の透析患者の削減に取り組んでいる。壊疽や閉塞性動脈硬化症の合併例には、 皮膚科 ・ 形成外科、循環器科、心血管外科と連携して治療に当たっている。またフットケア外来(毎週水曜日)を糖尿病認定看護師が行い、糖尿病足病変の予防に取り組んでいる。糖尿病教育では、外来糖尿病教室(毎月 1 回、外来およびホームページ上に年間の日程を

掲示)と教育入院(基本は 2 週間、都合により日程短縮は可能)を実施している。入院はクリティカル・パスで行っている。1型糖尿病患者の治療にも積極的に取り組んで、専門外来を実施中である。1 型糖尿病で適応のある患者には持続皮下インスリン注入療法(CSII)の導入を行っている。一般の方に向けての取り組みとして、毎年11 月に糖尿病デーの催しを開催し、糖尿病への関心を持っていただくようにしている。

2.脂質異常症、メタボリック症候群などの糖尿病以外の代謝関連疾患に関して、それぞれの病態把握と診断・治療にあたっている。

3.日本栄養療法推進協議会(JCNT)認定 NST 施設および日本静脈栄養学会認定NST 稼働施設、日本病態栄養学会認定栄養管理・NST 実施施設であり、全科・全病棟における NST 活動を積極的に支援している。

4.内分泌関連疾患:下垂体疾患、甲状腺・副甲状腺疾患、副腎疾患などは、脳外科や泌尿器科、耳鼻科などと連携しながら、それぞれの疾患の病態生理の把握や検査・診断・治療を行っている。

5.臨床研究や臨床治験には多数の参加を行っている。詳細は4臨床研究のテーマに記す。

6.地域医療連携を積極的に推進している。大阪市中央区の東・南医師会および大手前病院と連携して中央区糖尿病対策推進会議を構成し、活動している。

3.診療実績1.平成 24 年度1年間の退院患者数

退院患者合計* 300 名(*他科入院患者の共観は除く)

糖尿病内科診 療 業 務

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2.平成 24 年度1年間の患者教育・栄養食事指導の件数1)患者教育

外来糖尿病教室 95 名教育入院(他科入院中の参加を含む)

202 名2)栄養食事指導

糖尿病食 入院 654 件外来 326 件糖腎食(低蛋白糖尿病食)入院 71 件外来 71 件

4.臨床研究のテーマ1.厚生労働省科学研究

1)糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究(JDCS)

2.国立病院機構政策医療ネットワーク共同研究(内分泌・代謝性疾患)

1)1型糖尿病治療の標準化と効果的な治療法の確立に関する研究3.国立病院機構 EBM 推進のための大規模

臨床研究1)糖尿病性腎症発症進展阻止のための家

庭血圧管理指針の確立(HBP-DN)2)糖尿病腎症進展阻止のための抗血小板

薬(シロスタゾール)の有用性に関する多施設共同プラセボ対照二重盲検用量比較試験(ATP-DN)

3)2 型糖尿病を併せ持つ高血圧患者におけるメトホルミンの心肥大・心機能に対する効果の検討 (ABLE-MET)

4.国立病院機構主導の臨床研究1)糖尿病網膜症合併-コレステロール血

症患者を対象とした LDL-C 低下療法(通常治療/強化療法)の比較研究

2)DPP-4 阻害薬による膵β細胞保護効果の検討

5.大阪大学医学部内分泌・代謝内科の多施設共同臨床研究調査

1)副腎腫瘍の頻度、病因、臨床経過に関

する研究調査5.教育方針

頻度の高い糖尿病に関しては、日本糖尿病学会認定教育施設として、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、内分泌疾患合併例などの多岐にわたる糖尿病患者ならびに IGT 患者を受け持つことで、各々の診断、治療、患者教育を研修し、また学会発表にも積極的に取り組み日本糖尿病学会専門医の資格の基本的要件を修得する。6.目標および長期展望

大多数を占める糖尿病症例に対し、国立病院機構や厚生労働省科学研究の関連施設、大阪大学内分泌代謝内科と連携して大規模な調査・介入試験を行い、得られた詳細な個人情報をもとに糖尿病の多様性の解明、治療への応用を目指している。また、個人の体質に合わせたオーダーメイド医療(個人情報に基づいたきめ細やかな医療)が要求されている。そのために、個人レベルの疾病の予防、治療に還元することを目指している。

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1.診療スタッフ井上信正輸血療法部長

日本内科学会(認定内科医)日本血液学会(専門医、指導医、代議員)日本感染症学会(専門医)日本輸血・細胞治療学会(認定医)近畿血液学地方会(評議員)

池田弘和 科長日本内科学会(総合内科専門医、近畿地方会評議員)日本血液学会(専門医、指導医)

野村香織 医師日本内科学会(認定医)日本血液学会(専門医)

専修医 欠員2.診療方針と特徴

血液疾患(造血器悪性腫瘍、貧血および出血性疾患等)の治療をエビデンスに基づいて行っている。

血液疾患、特に造血器悪性腫瘍の治療は造血幹細胞移植の出現以後、単クローン抗体による治療、分子標的治療と進歩が著しい。また、従来より行われている化学療法の成績も良好で一部の疾患では化学療法単独での治癒も稀ではない。しかし、高齢者や合併症を有する症例および化学療法に対する感受性が良好でない症例の治療法が今後の問題として残されている。我々の治療方針は造血器悪性疾患では同種末梢血幹細胞移植等、治癒を目指す最新の治療法を積極的に行うと共に、後者のような症例については QOL を重視した治療法の選択も考慮している。 総合内科血液グループでは大学病院や血液内科を標榜する専門病院と同等のレベルの治療を行い、一方、個々の患者様とのコミュニケーションはそれ以上のものを保つように常に心がけている。

3. 診療実績1.急性白血病

主な治療方針は日本成人白血病治療グループ(JALSG)の治療方針に準じる。高齢者や合併症を有する急性白血病は個々の患者の状態を考慮し、治療方針を決定している。

2.慢性白血病慢性骨髄性白血病は初診時よりチロシンキナーゼ阻害剤(グリベック等)を用い分子生物学的寛解を目指す。

3.悪性リンパ腫化学療法は CHOP 療法を中心に行っている。適応のある症例(CD20 陽性)は単クローン抗体(抗 CD20 モノクローナル抗体、リツキサン)を併用している。

4.多発性骨髄腫従来からのアルキル化剤を中心としたマイルドな化学療法に加え、サリドマイド、ベルケイド、レナリドマイド等の新薬を用いた治療を行っている。

5.造血幹細胞移植適応のある患者には自家移植、同種移植ともに行っている。

4.臨床研究のテーマ臨床血液学(化学療法の改善、不治患者の

ケアー)5.教育方針1.臨床血液学を志す若手医師を独自に掘り

起こし、臨床に対する広い知識と優しい心を持つ医師に育てる。

2.研究を希望する者は大学等の研究施設に紹介する。

6.目標と長期展望 今後とも、赤血球、白血球および血小板の3 系統の疾患を広く受け入れたい。長期的には当科で育てた医師が研鑽後、血液

血 液 内 科診 療 業 務

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専門医として当科に復帰、本院の中心的な存在になる事を希望する。

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1.診療スタッフスタッフ

小河原光正 科長 (日本内科学会(認定医、指導医、近畿地方会評議員)、日本呼吸器学会(専門医、指導医)、日本呼吸器内視鏡学会(専門医、指導医、評議員)、日本臨床腫瘍学会(暫定指導医)、日本がん治療認定医機構(がん治療認定医、暫定教育医)、ICD 制度協議会(インフェクションコントロールドクター (ICD)),米国臨床腫瘍学会(ASCO) 会員,世界肺癌学会 (IASLC) 会員)

宮本 智 医師(日本内科学会(認定医)、日本消化器病学会(専門医)、日本肝臓学会(専門医)、日本医師会(産業医))

木村 剛 医師(日本内科学会(認定医)、日本呼吸器学会(専門医)、日本呼吸器内視鏡学会(専門医)、ICD 制度協議会(インフェクションコントロールドクター (ICD))

安藤性實 医師(日本内科学会(認定医)、日本呼吸器学会(専門医)、日本呼吸器内視鏡学会(専門医)日本臨床腫瘍学会(がん薬物療法専門医)日本医師会(産業医))

専修医 欠員2.診療方針と特色1.肺癌を専門とし、肺癌の診断および

治療に特化して診療を行っている。組織型(小細胞癌、非小細胞癌)、病期、PS(PerformanceStatus)、 年 齢、 合 併症,EGFR 遺伝子変異等に基づき、日本 肺 癌 学 会 肺 癌 診 療 ガ イ ド ラ イ ン、ASCO(AmericanSocietyofClinicalOncol-ogy、米国臨床腫瘍学会 ) ガイドライン、NCCN(NationalComprehensiveCancerNetwork) ガイドライン等を参考として肺癌カンファレンス、呼吸器カンファレンスで検討を行い、治療方針を決定している。

2.気管支鏡は平成 17 年度に C アーム透視

台を導入し、平成 21 年度にオリンパス社製気管支ビデオスコープシステムを更新しており、高解像度の観察、特殊光(NBI:NarrowBandImaging、 狭 帯 域 光 ) 観察、蛍光内視鏡(AFI:AutoFluorescenceImaging),異物除去、TBNA(Trans-bron-chialNeedleBiopsy、 経気管支針生検 )、極細径ファイバースコープによる末梢気道の観察と生検などが可能。

3.化学療法のプロトコールについては 27レジメンをがん薬物療法委員会に登録し、使用している。悪性胸膜中皮腫に対するペメトレキセド ( アリムタ ) についても発売時より登録施設となり、ペメトレキセド・シスプラチン併用化学療法またはペメトレキセド・カルボプラチン併用化学療法を実施している。

4.上皮増殖因子受容体(EGFR;Epider-malGrowthFactorReceptor) チロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ(イレッサ),エルロチニブ ( タルセバ ))については生検材料の EGFR 遺伝子変異の測定を実施したうえで、投与の検討を行っている。

5.未分化リンパ腫キナーゼ(ALK;Ana-plasticLymphomaKinase)遺伝子陽性肺癌に対するクリゾチニブ(ザーコリ)が使用承認されたため,適応症例のスクリーニング目的で生検材料の ALK 遺伝子検査として IHC(immunohistochemistry;免疫組織染色)法および FISH(Fluorescent insituHybridization) 法を開始した.

6.がんサポートチーム,緩和ケア科の協力のもとで肺癌診断後の早い時期から緩和ケアの導入を開始している.

7.地域医療連携室、MSW を通して、退院後の訪問診療・訪問看護等を依頼している。また、大阪府立成人病センター呼吸器内科、

呼吸器内科診 療 業 務

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国立病院機構近畿中央胸部疾患センター等の呼吸器・がん専門施設とも連携し診療を行っている。

8.平成 19 年 1 月より日本呼吸器内視鏡学会認定施設となり、平成 19 年 11 月 17 日より日本呼吸器学会認定施設となっている。

3.診療実績1.延べ退院患者総数 355例の 93.2% が肺

癌を中心とした胸部の悪性腫瘍であった。うち、胸膜中皮腫は延べ 7 例,縦隔腫瘍は延べ 14 例あった。退院患者総数 355例 (症例数はすべて延べ例数)

肺癌 309 例胸膜中皮腫 7 例胸腺癌 8 例胸腺腫 5 例原発不明癌 1 例胚細胞腫瘍 1 例その他肺癌疑いなどの検査入院 19 例気管支拡張症 2 例IgG4 関連肺疾患 2 例肺気腫 1 例

  延べ退院数の 5.9%(21 例 ) が死亡退院であった。死亡退院の 95.2% が肺癌の進行によるものであった。肺癌の1例に剖検が実施された.

2.EGFR 遺伝子変異の測定によりゲフィチニブ / エルロチニブの有効性が高い症例のスクリーニングが可能となり、ゲフィチニブ,エルロチニブの投与症例が増加し、大部分の症例で有効 (PR) が得られた。

3.ALK 遺伝子検査を積極的に実施したが,本年度はALK陽性肺癌症例を経験しなかった.

4.ゲフィチニブ投与症例以外でも、いわゆる第 3 世代の抗癌剤を用いてレジメンを変更しながら反復投与することにより、長期に生存する症例が増えてきた。

5.肺癌では、高齢者が多いこと、副作用が強いことなどのために化学療法は入院して実施することが多い。シスプラチンを含まない化学療法のレジメンで、先に入院で化学療法を行った結果、副作用が少なく、本人から希望のあった症例について毎週数例程度の外来化学療法を実施した。

6.気管支鏡検査数(内視鏡透視室使用分)は 127 件であった。

4.臨床研究のテーマ 気管支鏡診断 肺癌化学療法および分子標的薬治療 化学療法時の支持療法5.教育方針1.肺癌を中心に胸部レントゲン・CT 等の

画像の読影、気管支鏡検査、呼吸器疾患の診断、治療、がん化学療法とその支持療法、緩和治療などについて指導し、研修を行う。呼吸器専門医 ( 日本呼吸器学会 )、気管支鏡専門医(日本呼吸器内視鏡学会)、がん治療認定医(日本がん治療認定医機構)、がん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会)等の資格の基本的要件を習得する。

2.肺癌取扱い規約第 7 版、日本呼吸器学会の各種診療ガイドライン、ASCO ガイドライン、NCCN ガイドライン,日本緩和ケア学会ガイドライン,抗がん剤の副作用重症度基準 ( 日本語版 NCI-CTC-AE4.0)、抗がん剤効果判定基準 (RECISTv1.1)、気管支喘息診療ガイドライン (GINA)、慢性閉塞性肺疾患ガイドライン (GOLD)、日本呼吸器内視鏡学会手引き書-気管支鏡検査を安全に行うために-第2版、その他呼吸器・がん・結核関連のガイドライン・マニュアル・資料をファイル化して教育用に西 7階病棟に設置してある。また、当院院内用に「肺癌診療マニュアル」を作成してある。このマニュアルおよび院内登録化学療法プロトコールに基づいて実地診療を行えるようにしてある。

3.カンファレンス:(1)肺癌カンファレ

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ンス。毎週金曜日.呼吸器内科、呼吸器外科、放射線診断科、放射線治療科、臨床検査科(病理)の合同。術前・術後を含む肺癌及び疑い症例等の症例検討会。(2)呼吸器内科カンファレンス。毎週木曜日.入院症例、気管支鏡予定症例等の症例検討会。文献抄読会、資料配布。呼吸器内科、総合内科研修医、病棟看護師、薬剤科など参加。

6.平成24年度目標の達成状況  少人数のスタッフで多数の肺癌患者の入院治療を行った。肺小細胞癌については特に迅速に入院・診断・治療開始を行った。平成23 年度に引き続き平成 24 年度も新入院数が目標を大きく上回った。7.平成25年度目標および長期展望

化学療法、分子標的治療についてエビデンスとなるような臨床試験を呼吸器外科との共同、国立病院機構 EBM 推進のための大規模臨床研究、多施設共同臨床試験グループ (JMTO、TheJapan-MultinationalTrialOrganization、日本・多国間臨床試験機構 )、他大学の研究グループなどへの参加により実施予定している。

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1.診療スタッフスタッフ

恵谷秀紀副院長;日本内科学会(専門医、指導医、近畿地方会評議員)、日本脳卒中学会(専門医、評議員)、日本循環器学会(専門医)、日本核医学会(専門医、近畿地方会評議員)、日本老年医学会(専門医、指導医、評議員)、日本脳神経超音波学会(評議員)、日本栓子検出と治療学会(評議員)

多賀谷昌史科長;日本内科学会(認定医、指導医、近畿地方会評議員)、日本脳卒中学会(専門医、評議員)

永野恵子;日本内科学会(認定医、指導医)、日本脳卒中学会(専門医)、日本脳神経超音波学会(評議員、認定脳神経超音波検査士)

玄富翰;日本内科学会(認定医、指導医)、日本神経学会(専門医)、

日本核医学会(専門医)、日本脳神経超音波学会(認定脳神経超音波検査士)

非常勤スタッフ小村江美;日本内科学会(専門医)、日

本神経学会(専門医)、日本脳卒中学会(専門医)

専修医木村陽子;日本内科学会、日本脳卒中学会

2.診療方針脳卒中(主に脳梗塞)ついては、Stroke

CareUnit(脳卒中ケアユニット)に 24 時間体制で急性期脳卒中を受け入れ、急性期治療とともに再発予防とリハビリテーション導入を行った後、脳卒中地域連携ネットワークを利用し在宅あるいは回復期リハビリテーション病院への転院など一貫した連携システムで診療を行っている。脳梗塞には種々の病型があり、その病型に応じた治療が必要であるため、頚動脈超音波断層法、経頭蓋超音波ドプラ法、脳血流 SPECT、X線 CT、MRI/

MRA、脳血管造影などの方法を用いて、その病態や病型を把握し治療を行っている。

検査法については超音波診断、放射線診断、核医学診断などの画像診断法を用いて、患者さんの高齢化を考慮し、危険性が少なく、身体的負担のかからない非侵襲的検査を中心に行い、そのうえで必要に応じて侵襲的検査を施行している。3.診療実績1) 退院患者総数 235 例

急性期脳梗塞 158 例アテローム血栓性梗塞 60 例心原性梗塞 36 例ラクナ梗塞 31 例その他 22 例一過性脳虚血発作 9 例

脳梗塞急性期入院症例数(平成 19 年度よりの推移)

平成 24 年度 脳卒中入院での死亡症例数:8 例

2)外来患者数 平均 約 20 人(1日あたり) 新患率 約 4.5%(院内紹介を除く)

3)検査件数超音波検査(頚動脈エコー、経頭蓋超音波ドプラなど) 710 件脳血流SPECT 105 件経食道心エコー 13 件

4.臨床研究のテーマ1.脳血管疾患の再発に対する高脂血症治療薬

の予防効果に関する研究

19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 脳梗塞 129 147 146 161 156 158 アテロ-ム血栓性梗塞 35 52 51 54 57 60 心原性脳梗塞 34 41 32 52 43 36 ラクナ梗塞 35 28 39 33 34 31 脳梗塞(その他) 25 26 24 22 22 22 TIAs 20 20 15 14 12 9

脳卒中内科診 療 業 務

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2.動脈硬化の多角的評価による脳卒中個別化治療開発に関する研究

3.遺伝学的クロピドグレル抵抗性の臨床的意義に関する研究

4.脳卒中既往患者を対象とした厳格降圧療法の二次予防効果を検討する大規模臨床研究

5.教育方針 研修医・専修医には脳卒中治療ガイドラインをはじめとした EBM に基づく診療を行うことができるように指導する。

脳卒中は救急疾患の一つであり、チーム医療がきわめて重要であるため、専修医はスタッフなどメンバー間の連絡を密に行い患者さんの診療を担当する。また、脳卒中地域連携パスを活用し、脳梗塞急性期診療から自宅退院あるいは回復期リハビリテーション病院や療養型病院への転院の調整を、脳卒中診療チームの一員としてスムースに行えるように指導する。6.目標と展望

急性期脳卒中の診断・治療、慢性期再発予防とリハビリテーション、そして在宅あるいは回復期リハビリテーション病院・療養型病院への転院へと繋がる一貫した連携システムを充実させる。

STROKECAREUNITをさらに整備し、脳卒中診療に関与する内科医、脳外科医、リハビリテーションスタッフ、看護婦、薬剤師などによるチーム医療を確立する。

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【診療方針】当科は、当院が平成 9 年 4 月にエイズ治療

における近畿ブロック拠点病院に選定されたのを受け、総合内科内に診療グループとして新設されたのに始まる。当グループでは、それ以来、HIV 感染症のみならず、膠原病、免疫性呼吸器疾患、肺炎、髓膜炎、不明熱等の免疫疾患や感染症の診療に従事してきた。平成13年4月には免疫感染症科(院内標榜科)として発足する運びとなった。平成 16 年 12月からは、免疫感染症科として独立した専門外来で診療を行っており、平成21年7月には、感染症内科となった。当院は平エイズ治療の近畿地方ブロック拠点病院に選定され、診療、研究、情報発信、教育研修の 4 つの機能を求められている。当院の HIV 患者数は、毎年1 年間で 200 名以上の新規患者が受診し、平成 25 年 3 月末現在、当院の HIV 感染症累計患者数は約 2400 名を超えている。入院累積患者数は 3000 名以上となり外来・入院ともに診療患者数は年々増加している。当科では、HIV 感染症に関する多様なニーズに対して、医師、看護師、薬剤師、カウンセラー、情報担当官、ソーシャルワーカーらでチーム医療を実践している。現在の診療内容は、HIV感染症が全体の 9 割近くを占めており、その他は免疫疾患、一般感染症(一類、二類を除く)などである。

主な対象疾患は HIV 感染症、免疫性疾患、感染症であるが、HIV 感染症患者数の増加に伴い、最近では外来の約9割が HIV 感染症患者となった。HIV 感染症は全身疾患であり当院では全科対応を原則とする。HIV感染者/エイズ発症患者には多剤を組み合わせた抗ウイルス療法や日和見疾患(日和見感染症と日和見悪性腫瘍)に対する診断・治療を行っている。医師に加えHIV看護コーディ

ネーター、薬剤師、臨床心理士、MSW、情報担当職等と連携をとり、チーム医療の実践を行っている。一般感染症診療については、院内感染管理として ICT 業務の他、主に他科からのコンサルテーションを引き受けている。

【科案内】1.診療スタッフ平成 25 年 3 月 1 日時点スタッフ

白阪琢磨 臨床研究センターエイズ先端医療研究部長 HIV/AIDS 先端医療開発センター長 (日本内科学会(認定医)、日本エイズ学会認定医、厚生労働省厚生科学審議会臨時委員(感染症部会)、エイズ動向委員会委員、日本エイズ学会理事、公益法人エイズ予防財団理事、財団法人友愛福祉財団理事、大阪府エイズ対策審議会委員、奈良県立医科大学臨床教授、日本内科学会近畿支部評議員、大阪府医師会感染症対策委員会委員

上平朝子  科長 (日本内科学会(認定医・専門医・指導医)、日本感染症学会(専門医・指導医)、大阪市感染症診査協議会委員、日本内科学会近畿支部評議員)

西田恭治  医長 (日本内科学会(認定医)、日本血液学会(血液専門医・血液指導医))

渡邊 大 臨床研究センターエイズ先端医療研究部 HIV 感染制御研究室長 (日本内科学会(認定医・専門医・指導医)、日本リウマチ学会(専門医)、日本アレルギー学会(専門医))

大寺 博 医師(日本内科学会(認定医)、日本呼吸器学会(専門医))

矢嶋敬史郎 医師(日本内科学会(認定医))

小川吉彦 医師(日本内科学会(認定医))

感染症内科診 療 業 務

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非常勤医師伊熊素子 医師(日本救急医学会(専門医))

専修医米本仁史 医師廣田和之 医師

【診療実績】1.外来(HIV 感染症患者のみ)

2.入院患者内訳

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【成 果】 当院における HIV 感染症の新規外来累積患者数は二次関数的に増加し 2489 名となった。また、内訳では男性が 9 割、年齢別では30 歳台、20 歳台、40 歳台の順に多く、これらで 85%を占めた。感染経路では性的接触が大半であった。今年度の 1 日平均外来患者数は 42.8 名となっており、外来患者数は増加している。

平成 9 年以来、我々は受診患者にチーム医療の実践と先端医療を提供してきた。平成15 年には、HIV / AIDS 先端医療開発センターが組織され、当センター長の下、「診療」

「看護」「薬剤」「臨床検査」「研究」「事務」の各部門が診療や研究、教育・研修、情報発信の 4 つの柱に基づく業務を体系的に実施している。感染症内科は当センターの要として機能し、近畿での HIV 感染症患者の増加に加えて、質の高い医療の提供が結果的に当科患者数の増加に繋がっていると考える。

AIDS 発症で入院した患者での死亡率は 5/55 (9.1%) であり昨年度 2/60 (3.3%) と比して増加した。これは、診断の遅れによる予後不良例が減っていないことや悪性腫瘍の増加などが要因であると考えられる。引き続き早期発見と早期診断・治療が重要であり、今後も医療従事者あるいは市民への啓発等による病気の理解と早期受検を勧めていく必要がある。当院に HIV/HCV 重複感染で通院している血友病患者で、慢性肝炎で治療が必要もしくは再燃・難治例と評価された患者は15/33(45.0%)である。AIDS 指標疾患以外の死亡例の 30%が肝疾患による死亡で、その全例が血液製剤による重複感染例であり対策が重要である。HIV 患者の悪性腫瘍は、昨年度までに AIDS指標疾患の悪性腫瘍が84 例で(悪性リンパ腫 37 例、カポジ肉腫 37例、原発性脳リンパ腫 7 例、浸潤性子宮頸がん 3 例)と悪性リンパ腫を中心に増加しており、バーキットリンパ腫や CD20 陰性のリンパ腫な多彩な組織型もみられる。また、胃癌、

肺癌、ホジキン病、肝細胞癌、泌尿器科系腫瘍、消化器系腫瘍など非 AIDS 指標疾患の悪性腫瘍は、昨年の 42 例から 49 例と年々増加している。

他科での入院も 116 件(昨年度 102 件)と全科で診療連携を実践している。また、様々な難治性病態については、多施設共同研究や自主研究を実施しており、診断や治療法の確立を目指している。一般感染症診療については、主に術後感染症や重症感染症などの他科からのコンサルテーション(昨年度は 62 件)に対応している。

【教育方針】厚生労働省のエイズ動向委員会の報告によ

ればわが国でも HIV 感染者/ AIDS 患者数の増加が続いている。HIV 感染症は少なくとも首都圏では稀な疾患では無くなっており、わが国においても HIV 感染症は大学での医学教育あるいは卒後教育で軽視できない対象疾患になりつつあると考えられる。当院はエイズ治療における近畿ブロック拠点でありエイズ診療に加え教育の役割も担っている。初期研修は今後、当科のカリキュラムに則った研修を行う。当院の研修医やレジデントの卒後教育や大阪大学、神戸大学、奈良県立医科大学、大阪府立大学、関西医科大学のHIV 感染症等の講義を担当し、当科は附属看護学校、関連大学の医学部、看護学部の学生教育の一端も担っている。また、専門医師養成実地研修、各種専門職研修、一般研修など多数の研修を実施する。

【将来計画】HIV 感染症/エイズについては政策医療の一環として今後も最先端の診療を行っていく。他の診療科や看護部、薬剤科、臨床検査科、企画課経営企画室、臨床心理士、臨床研究センター免疫感染研究室等と密な連携をとりながら、HIV 感染症の総合的診療体制の構築を目指す。多岐にわたる HIV 関連疾患の診

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療はもちろんであるが、高齢化による生活習慣病や脳・心血管疾患、非エイズ関連悪性腫瘍など HIV 患者の一般診療の需要も増えている。今後、一般医療機関にも HIV 診療の裾野を広げる診療体制の整備を目指す。HIVは性感染症でもあり今後は感染の予防を念頭においた HIV 感染予防について一般市民向け教育啓発の情報発信も行っていく。将来は診療、研究、教育、情報発信のできる HIV/ AIDS 先端医療開発センターの確立を目指す。 

文責:上平朝子

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消化器内科は、(1)肝炎・肝癌診療、(2)内視鏡治療、(3)消化管癌・胆膵系癌の化学療法、を診療の3つの柱にしている。難治性のC型肝炎・B型肝炎の治療、その先の肝細胞癌への対処、消化管癌の早期診断と早期治療、消化器癌の集学的治療に重点を置いている。加えて、入院患者には緊急症例、重症例が多く、急性期治療から緩和医療まで幅広い診療を行っている。

【科案内】1.診療スタッフ ( )内は専門医、指導医、評議員 スタッフは日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会などの専門医あるいは認定医の資格を有し、これらの学会の指導施設に認定されている。・スタッフ 10 名 三田英治 科長兼内視鏡室長(平成 25 年

からは地域医療連携推進部長兼任)日本内科学会(認定医、指導医、近畿地方会評議員)、日本消化器病学会(専門医、指導医、学会評議員、近畿支部評議員)、日本肝臓学会(専門医、指導医、学会評議員、西部会評議員)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)など。

 結城暢一 医長日本内科学会(認定医、指導医、近畿地方会評議員)、日本消化器病学会(専門医、指導医、学会評議員、近畿支部評議員)、日本肝臓学会(専門医、指導医、学会評議員、西部会評議員)、日本消化器内視鏡学会(専門医)など。

 石田 永 医員日本内科学会(認定医、指導医)、日本消化器病学会(専門医、指導医、近畿支部評議員)、日本肝臓学会(専門医、西

部会評議員)など。 中水流正一 医員  日本内科学会(認定医、指導医)、日本

消化器病学会(専門医、指導医、近畿支部評議員)、日本肝臓学会(専門医、指導医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)など。

 外山 隆 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会、日本肝臓学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会など。

 里見絵理子 医員  日本内科学会(総合内科専門医、認定医)、

日本消化器病学会(専門医)、日本肝臓学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医)など。

由雄敏之 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会(専門医、近畿支部評議員)、日本肝臓学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)など。

 榊原祐子 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会(専門医)、日本肝臓学会(専門医)、日本消化器内視鏡学会(専門医、指導医)など。

 長谷川裕子 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会(専門医)、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会など。

 岩﨑哲也 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会など。

 岩﨑竜一朗 医員  日本内科学会(認定医)、日本消化器病

学会(専門医)、日本肝臓学会、日本消

消化器内科診 療 業 務

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化器内視鏡学会など。・専修医

田中絵里(3年目)、坂根貞嗣(2年目)、田村 猛(2年目)、木村圭一(1年目)、杉本 彩(1年目)、日比野賢嗣(1年目)

2.診療方針と特色 エビデンスに基づいた治療を基本としている。原則、ガイドラインに沿った診療を行うが、さらに先進医療を模索し、個々の症例に最も適切な治療法をカンファレンスで検討する。1.C型肝炎に対するインターフェロン治療

ではガイドラインにのっとった抗ウイルス療法を行うが、血小板低値例など難治症例に対しては摘脾術や部分的脾動脈塞栓術を併用し治療を導入している。また新規プロテアーゼ阻害剤テラプレビルを用いた治療にも積極的に取り組み、エリスロポエチンを用いた介入試験や腎障害機序の解析を報告した。

2.B型肝炎に対してはインターフェロンや核酸アナログを用いた抗ウイルス療法を積極的に行っている。特に核酸アナログ製剤が耐性化した症例の対策として保険適応外の薬剤も倫理委員会の承認のもとに投薬加療している。

3.肝細胞癌の治療は胆膵領域の疾患とともに、外科・放射線科との合同カンファレンスで治療方針を決定している。

4.NBI システムを用いた詳細な観察を基本とし、早期消化管癌の発見に努めている。そして ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による早期癌の内視鏡治療を実施している。

5.消化管癌・胆膵領域の癌に対する化学療法にも重点をおいている。特に日本臨床腫瘍グループ(JCOG)、大阪消化管がん化学療法研究会(OGSG)にも参加し、先進医療の実践につとめている。

6.臨床治験も積極的に推進している。特にC型肝炎に対する様々なインターフェロン

治療、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤など、肝炎領域の治験が大半をしめている。

7.地域医療連携も当科の診療実績を紹介する機会を数多く設けたため、順調に紹介・逆紹介がすすんでいる。

3.診療実績1.C型肝炎に対するペグインターフェロン・

リバビリン併用療法の症例数は 800 例を超え、国内トップレベルである。治療成績、治療効果を予測できる因子の検討で、数多くの学会発表を行い、国内外に情報発信している。

2.B型肝炎に対する核酸アナログ治療の症例数も国内トップレベルで、特に耐性化症例に対する対応などではオピニオンリーダーとして中心的な役割をになっている。

3.肝細胞癌に対する局所治療であるラジオ波焼灼術の件数も年間 100 件を超え、また従来局所治療困難とされた病変に対しても人工胸水や人工腹水下に処置を行っている。

4.NBI システムの導入以降、早期消化管癌が発見される機会が増えた。それに伴い早期癌に対する ESD の件数も年間 100 例前後がコンスタントに行われており、今後さらなるデバイスの進歩とともに発展していく診療と考える。

5.消化管および胆膵系の悪性腫瘍に対する化学療法は抗癌剤の進歩とともに治療効果の向上が認められている。患者数も増加し、当科の診療の重要な部門となった。

6.当科が主体となっている検査は、主に上部・下部消化管内視鏡(含、内視鏡治療、胆膵系内視鏡)と腹部超音波検査である。また腹部超音波検査をガイドとした肝生検や腫瘍生検も行っている。

4.臨床研究のテーマ平成 22 年度から 3 年間、三田が厚生労働

科学研究費補助金肝炎等克服緊急対策研究事業「B型慢性肝炎に対する新規逆転写酵素阻害剤テノホビルの有効性・安全性に関する

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検討」の研究代表者となり、新たな臨床研究に取り組んでいる。また、1.C型肝炎に対するペグインターフェロン・

リバビリン併用療法の治療効果を規定する因子の研究

2.病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究(厚労科研 “ 八橋班 ”)

3.C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法時の樹状細胞機能の検討(大阪大学との共同研究)

4.C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法の精神症状に対する介入試験(大阪大学との共同研究)

5.B型慢性肝疾患に対するエンテカビル治療およびラミブジン・アデホビル併用療法の薬剤耐性変異に関する検討

6.急性肝炎に対する疫学調査(国立病院機構共同研究)をはじめ、自己免疫性肝炎、PBC、非 B 非 C 型肝細胞癌など国立病院機構共同研究など多数の臨床研究をおこなっている。

5.教育方針 後期研修の1年目は実地臨床、内視鏡診断に重きをおいた教育をこころがけている。患者との接し方、内視鏡システムに対する習熟ができあがった時点で、次のステップにすすみ、実際に内視鏡操作の教育をうけることになる。肝胆膵領域はまず疾患の概念と腹部超音波診断の基本を教育する。 2年目にはいると、内視鏡診断から内視鏡治療へと教育はさらにステップアップする。側視鏡を駆使した胆膵内視鏡診療もつみかさねてもらう。また肝胆膵疾患ではエコーガイド肝生検や局所治療の指導をうける。 3年目は1~2年目に学んだことの集大成であり、1年目の専修医を教育できるまで成長してもらう。 全体を通して、学会発表も積極的に行い、毎年全国レベルの学会発表を2回、その他の

地方会・研究会発表も中心は専修医となる。6.平成 24 年度目標の達成状況 入院患者数、外来患者数ともにほぼ目標を達成することができた。また消化器内科が担当する内視鏡部門、腹部超音波検査部門の症例数も安定した。処置の件数はやや増加し、これは消化器内科に求められるニーズが年々増加しているためと考える。7.平成 25 年度目標および長期展望 肝炎治療では治験・自主研究をもりこんだ先進医療の実践に今後も努めたい。前年度以上に臨床研究を発展させたいと考える。内視鏡治療では、若手スタッフの成長とともに症例数の増加が見込まれ、臨床研究を始める素地は整った。化学療法は他部門との共同研究を通して、先進医療の実践に貢献できていくであろう。 また教育には特に力を注ぎ、若手消化器内科医の育成につとめ、将来関西地区の消化器内科を担う人材を輩出したいと考える。

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【診療方針】 エビデンスに基づいた治療を行うことを基本とするが、同時に個々の症例の病態を十分に解析し、病態に則した治療を選択する。

1.虚血性心疾患は循環器領域では最も多い疾患であり、過去および将来的にも、この診療は循環器内科の基本である。虚血性心疾患の治療においては、最適の治療法を選択するのみならず、冠動脈形成の高い技術が要求される。これらの要求に沿った高度の医療を提供する。重症例においては心臓血管外科の協力のもと最適な治療を提供する。また、虚血性心疾患の一次予防、二次予防を重視し、特に、高血圧、糖尿病、高脂血症やメタボリック・シンドロームなど冠危険因子に対する適切な治療を提供する。

2.予後の改善をめざした急性心不全治療をめざす。特に高齢者心不全においては再入院が多く、予後の改善のみならず、ADLの維持をめざした治療を行う。このためには急性心不全の最適な治療法の開発のみならず、退院後においては地域医療連携を含め、包括的な患者管理の確立が不可欠と考える。慢性心不全治療においては我が国における最高水準の心不全治療を提供する。

3.不整脈診療においては、頻脈性不整脈に対する基本的なカテーテルアブレーション治療を提供する。また、高齢者心房細動に対して積極的に抗凝固薬を導入し、心原性脳梗塞の予防をはかっている。

4.3次救急患者の受け入れ病院であるため、心原性の突然死の病態解明・治療に力をいれている。致死的重症不整脈に対しては

ICD の植え込みを施行する。5.臨床治験に積極的に参加する姿勢をとっ

ている。6.地域医療連携を積極的に進めている。特

に急性期医療提供を中心とし、地域医療機関との連携を密としている。

【循環器科案内】1.循環器科スタッフ紹介 H24 年 4 月 1日時点

循環器内科科長: 安村良男院長: 楠岡英雄臨床研究センター長: 是恒之宏医師:廣岡慶治、安部晴彦、小出雅雄、濱野 剛レジデント(後期研修):宮崎宏一、三浦弘之、坂口大起、篠内和也、古川哲生

2.外来紹介 H24 年 4 月 1 日時点月曜日:楠岡英雄、廣岡慶治、小出雅雄、 坂口大起、安村良男火曜日:安村良男、安部晴彦、篠内和也水曜日:廣岡慶治、安部晴彦、濱野 剛木曜日:是恒之宏、小出雅雄、北田博一、 宮崎宏一、安村良男金曜日:安村良男、濱野 剛、三浦弘之、 古川哲生

【主な診療実績】1.入院患者数 974 人

退院患者数 962 人2.疾患分類(1)虚血性心疾患 397 人

急性心筋梗塞 ( 一ヶ月以内の発症 )25例不安定狭心症 36 例狭心症およびその疑い 336 例

(2)急性心不全 165 例(3)慢性心不全 ( 含む心筋症 )29 例

循環器内科診 療 業 務

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(4)不整脈 79 例(5)失神 10 例(4)血管疾患 70 例

閉塞性動脈硬化症 42 例解離性大動脈瘤 6 例大動脈瘤 12 例急性動脈閉塞 2 例深部静脈血栓症 2 例

(6)肺血栓塞栓症 6 例(7)心臓弁膜症 19 例(8)細菌性心内膜炎 1 例(9)睡眠呼吸障害 7 例(10)その他

3.死亡数 23 例4.検査および治療(1)機械的補助

IABP 13 例PCPS 8 例CHDF/HD 20 例

(2)心臓カテーテルa.診断カテーテル *(含む下肢動脈造影)501 例* SG のみの場合は含まない、stanbyPTCA も含むb.PCI 249 例緊急、準緊急 32 例 待機的 217 例POBA19 例、ステント (BMS 5 例、DES 216 例、BMS+DES 1 例 )、ROTA 8 例、血栓吸引 11 例 PCI 再狭窄率POBA14DES2%c.心筋生検 24 例d.電気生理学的検査 21 例e.カテーテルアブレーション 14 例f.ICD 植え込み 17 例 g.CRT 植え込み 4 例h.PTSMA 0 例i.PTMC/PTPV 0 例j.PTA 18 例k.ペースメーカ新規植え込み 32 例

電池交換 71 例(3)心エコー 3482 例、経食道エコー 

28 例、下肢血管エコー 95 例(4)トレッドミル 558 例(5)CPX 0 例(6)ホルター ECG 487 例(7)12 誘導 ECG 14450 例(8)心筋シンチ 271 例

【臨床研究テーマ】 急性心不全の病態解析と最適治療法の選択重症慢性心不全患者の病態の解析と治療法の選択

心不全治療としての陽圧呼吸療法の有効性の機序とその効果の検討

高齢者心不全の治療戦略高齢者心房細動患者における安全な抗凝固

法の確立 全国国立病院における急性心筋梗塞の疫学調査 癌患者における循環器疾患の病態と治療

【教育方針】患者・家族へのインフォームドコンセント

を徹底し、患者に対して常に真摯な態度で接し、医師としての人間性、知識が信頼されるよう心がけている。

病態の解析能力を備えた臨床医になること基本とする。PCI の技術の習得のみならず虚血性心疾患の知識の上になりたつ技術をめざす。心エコーは治療につながる心エコーがとれるようになることを目標とする。心不全診療はエビデンスとエクスペリエンスの両立をめざす。臨床研究の計画、実行、まとめの過程を体験する。

【将来計画】 循環器領域の基本的疾患である虚血性心疾患に対する治療(冠動脈形成術および二次予防)の充実をはかるとともに、高齢化社会に向けて増加するであろう血管疾患に対応すべ

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く診断及び治療技術の向上をはかる。 急性および慢性心不全の治療の標準化と個々の症例の病態ごとの治療との融合を図り最適治療をめざす。心不全治療は心機能に対する治療のみならず、特に腎不全、貧血、感染症、糖尿病、高血圧などの疾患やライフスタイルへの介入が必要とされる。近年、増加傾向にある超高齢者や腎不全合併例への対応は病院運営上困難を極めるが、一般的な心不全治療におけるパスやリハビリテーション設備の確立、地域医療との連携を含めた包括的心不全治療センターの設立を目標としている。

(文責 安村良男)

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1.診療スタッフスタッフ 多和昭雄 科長

(日本小児科学会(専門医)、日本血液学会(専門医、指導医、代議員)、日本小児血液学会(評議員)、日本小児がん学会(評議員)、日本がん治療認定医機構暫定教育医) 

 尾崎由和 医長(日本小児科学会(専門医))

 寺田志津子 医長(日本小児科学会(専門医))

 楠木重範 医師(日本小児科学会(専門医)、日本血液学会(専門医))

2.診療方針と特色地域における病院小児科の役割である、無

床診療所との連携を中心とする地域医療の核となること、特殊な疾患に対する高度専門医療を推進することの2点に重点をおき診療を行っている。また成人化した小児難病の治療にも他科との連携を密にしながら取り組んでいる。

小児科は、患者数に比べて扱う疾患の種類が多いという特徴があるが、当科では多和科長が血液腫瘍・免疫アレルギー、尾崎医長が新生児および消化器・内分泌、寺田医師が神経と、専門がそれぞれにわかれており、幅広い疾患に対応している。また、楠木医師が平成 21 年 8 月から新しく赴任し、血液・腫瘍疾患を中心に診療を行っている。

以下に重点的に取り組んでいる疾患をあげる。1.新生児医療:先天性脳神経疾患の新生児、

血液、内分泌・代謝疾患の母親から出生した新生児、ならびに病的新生児。

2.高度小児専門医療:先天異常、奇形、骨系統疾患、発育・発達障害、血液、がん、消化器、内分泌、膠原病、アレルギー、神経、感染症(HIV 感染症を含む)。

3.成人化した小児難病治療:小児難病患者の内科専門外来への円滑なバトンタッチ。

3.診療実績1.過去5年間の退院患者の推移

4.臨床研究のテーマ 厚生省の研究班に参加し以下の研究を行っている。白血病に関しては、全国規模の治療研究(小児白血病研究会:JACLS およびインタ-グル-プ組織である日本小児白血病リンパ腫研究グループ :JPLSG)に参加、治療に直結した実践的な医療、患者の QOL の改善に資するための研究を行っている。 特に、多和科長は JPLSGAML 委員会委員であり、「小児骨髄性白血病(AML)に対する多施設共同後期第Ⅱ相臨床試験-AML-05 -」の研究代表者として JPLSGの AML を対象とした治療研究を主導している。 主なテーマとしては1.厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策

研究事業)「HIV 感染妊婦とその出生児の調査・解析および診療・支援体制の整備に関する総合的研究」班

2.厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)「小児急性骨髄性白血病 (AML) に対する標準的治療法の確立」班

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度

退院患者総数 339 323 332 428 443

新生児 151 140 105 141 172

急性疾患 101 120 133 218 151

小児難病総数 87 63 94 69 73

血液・腫瘍 51 29 46 38 46

膠原病 6 10 20 8 1

小 児 科診 療 業 務

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3.ALCL-99(未分化大細胞性リンパ腫)治療研究(国際的多施設共同研究)

4.ALL-02(急性リンパ性白血病)治療研究(JACLS)

5.MLL-03(乳児急性リンパ性白血病)治療研究(JPLSG)

6.LLB/ALB-NHL03(リンパ芽球型リンパ腫)治療研究(JPLSG)

7.B-NHL03(成熟 B 細胞性腫瘍)治療研究(JPLSG)

8.Ph+ALL04(フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病)治療研究(JPLSG)

9.AML-P05(急性前骨髄球性白血病)治療研究(JPLSG)

10.HLH-2004(血球貪食性リンパ組織球症)治療研究(JPLSG)

11.AML-05(急性骨髄性白血病)治療研究(JPLSG)

12.AML-D05(ダウン症に発症した急性骨髄性白血病)治療研究(JPLSG)

13.限局性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍に対する集学的治療法の第Ⅱ相臨床試験

(JESS: 日本ユーイング肉腫研究グループ)14.ALL-R08(第一再発急性リンパ性白血病)

臨床研究(JPLSG)15.CML-08(慢性骨髄性白血病)観察研究(JPLSG)

16.MLL-10(乳児急性リンパ性白血病)治療研究(JPLSG)

17.TAM-10 ( 一過性骨髄異常増殖症 ) 観察研究(JPLSG)

18.ALL-T11(T 細胞性急性リンパ性白血病 )治療研究 (JPLSG)

5.教育方針平成 17 年 6 月から新臨床研修制度の研修

医を 1 か月間の研修期間で受け入れている。また初期研修後も専修医として 3 年間の研修プログラムにそって研修が可能である。この場合、小児科学会専門医取得に必要な 30 症例の症例要約を完成することが可能である。

研修に際しては日本小児科学会の「小児科医の到達目標」にそった教育を行っているが、医師としての社会的、職業的責任と医の倫理に立脚してその職務を遂行し、幼い患児の人格と人権を尊重するとともに、家族とも好ましい信頼関係を作り、説明と同意を基本的態度として接するよう指導している。また、受け身の研修ではなく、常に積極的に自己研修に努め、種々の医療、医学情報を取り入れて、新しい知識の吸収につとめる研修が行えるようスタッフ一同心掛けている。

6.平成 24 年度目標の達成状況1.質の高い医療を維持・発展するための方

策の検討・実施・外来新患率向上と紹介率・逆紹介率の

維持・退院時サマリの作成強化

2.経常収支黒字の維持と医業収支の黒字化・年度計画の着実な達成

新入院患者の確保・指導料の確実な算定

3.より働きやすい職場への改善・女性が継続的に働ける職場環境の確立

病児保育の支援4.人材育成の強化

・初期研修での指導・近畿ブロック HIV/AIDS 研修への協

力・大阪大学医学部 6 年次ポリクリ臨床実

習を担当おおむね達成できたと考えている。

7.平成 25 年度目標および長期展望1.診療

質の高い医療を維持・発展するための方策の検討・実施

・クリティカルパス(院内・院外)の利用促進

・多職種・診療科間連携によるチーム医療の推進

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小児がん、虐待、脳性麻痺、自閉症、新生児

地域医療支援病院としての機能強化・外来新患率向上と紹介率・逆紹介率の

維持診療情報の管理の強化

・退院時サマリの作成強化2.教育・職員研修

医師の初期・後期臨床研修体制の強化・初期研修医の指導・専修医研修の指導

近畿ブロック HIV/AIDS 研修への協力大阪大学医学部 6 年次ポリクリ臨床実習を担当

3.研究臨床研究・治験の推進

4.情報発信患者向けパンフレット ・ 説明書 ・ 広報誌などの見直し

 子育てサークルなどの支援継続・充実5.病院運営 ・ 労務管理

経常収支黒字の維持と医業収支の黒字維持・年度計画の着実な達成、新入院患者の

確保・指導料の確実な算定

より働きやすい職場への改善・女性が継続的に働ける職場環境の確

立、病児保育の支援・小児科医師のリクルート

上記目標をかかげるとともに、今後とも無床診療所との連携を中心とする地域医療の核となること、特殊な疾患に対する高度専門医療を推進することの2点に重点をおき診療を行っていく。また従来から行ってきた他科との連携に基づく成人化した小児難病の治療に加えて、被虐待児の医療にも積極的に取り組んでいく。

文責 寺田志津子


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