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はじめに14 Destiny Game(ディスティニー・ゲーム) 52 15 英語を聞き分ける!...

Date post: 17-Aug-2020
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2 はじめに 小学校教師の皆さんは、どのような授業をしたいと思っていますか。 私が小・中学校に勤務していたとき(中学校に 23年間、小学校に 6年間)に、いつも心に留めていたことは、「楽しい授業がしたい!」 でした。 児童生徒が楽しそうに学ぶ姿を、常に追い求めていました。当然大 事にしたのは、目の前の児童生徒の“姿”でした。きれいな言葉より も、目の前の子どもたちの反応や様子を大切にしてきました。 現在、日本の英語教育は大きく変わり、小学校からの英語教育の教 科化がいよいよ始まります。 新学習指導要領では、「コミュニケーションを行う目的や場面、状況」 を意識した言語活動、「相手意識」をもった「意味ある言語活動」の 充実、さらに、Small Talk による即興的な会話をはじめとした、今後 の日本の英語教育のよい方向性を示していると考えられます。 その一方で、今まで外国語活動で行われてきた英語ゲームが減った ことで、授業中の児童の笑顔が減ったような気がしているのは私だけ でしょうか。 教員はとても真面目(honest)に物事を考えますので、「意味ある 言語活動を」と言われると、それだけ 4 4 を追い求めようとします。 そうではなく、「意味ある言語活動も 4 」なのです。or ではなく、 and で考えたいのです。 冒頭に述べたように、私がなにより大切にしたいのは、あくまでも 目の前の児童なのです。どんなに意味ある言語活動を促したとしても、 子どもたちが楽しく学習していなければ、子どもたちの英語学習への 興味は薄れていくでしょう。 意味ある言語活動とともに、子どもが「ガハハ」と笑えるような楽 しいゲームを行ってもいいと思います。
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はじめに

 小学校教師の皆さんは、どのような授業をしたいと思っていますか。 私が小・中学校に勤務していたとき(中学校に23年間、小学校に6年間)に、いつも心に留めていたことは、「楽しい授業がしたい!」でした。 児童生徒が楽しそうに学ぶ姿を、常に追い求めていました。当然大事にしたのは、目の前の児童生徒の“姿”でした。きれいな言葉よりも、目の前の子どもたちの反応や様子を大切にしてきました。 現在、日本の英語教育は大きく変わり、小学校からの英語教育の教科化がいよいよ始まります。 新学習指導要領では、「コミュニケーションを行う目的や場面、状況」を意識した言語活動、「相手意識」をもった「意味ある言語活動」の充実、さらに、Small Talkによる即興的な会話をはじめとした、今後の日本の英語教育のよい方向性を示していると考えられます。 その一方で、今まで外国語活動で行われてきた英語ゲームが減ったことで、授業中の児童の笑顔が減ったような気がしているのは私だけでしょうか。 教員はとても真面目(honest)に物事を考えますので、「意味ある言語活動を」と言われると、それだけ

4 4

を追い求めようとします。 そうではなく、「意味ある言語活動も

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」なのです。orではなく、andで考えたいのです。 冒頭に述べたように、私がなにより大切にしたいのは、あくまでも目の前の児童なのです。どんなに意味ある言語活動を促したとしても、子どもたちが楽しく学習していなければ、子どもたちの英語学習への興味は薄れていくでしょう。 意味ある言語活動とともに、子どもが「ガハハ」と笑えるような楽しいゲームを行ってもいいと思います。

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 文部科学省教材である『Let’s Try!』や『We Can!』は、意味ある言語活動の充実が図られた結果、以前の教材(『Hi, friends!』)に比べ、あまりコミュニケーションとしての意味のないゲーム活動が減っていると言われます。 でも、実は、文科省が例示している学習指導案の中には、ゲームもたくさん残っているのです。ぜひ、楽しい授業を行い、小学生を楽しませたいものです。

 本書は、小学校で英語を教える先生のための『英語ゲーム集』です。 第1章では、「英語ギライをつくらない! ゲームの始め方・盛り上げ方」と題し、カードゲームを例に、英語ゲームを楽しくするコツを6つ紹介しました。 第2~5章では、語彙や表現に慣れ親しむための「聞く・話す」ゲーム、教科書を用いた英語ゲーム、児童の思考を促す英語クイズなどを合計50個紹介しています。 目の前の子どもたちに合わせて適宜やり方などを変えながら、実践していただけたらと思います。 子どもたちの笑みが絶えない、楽しい授業が増えることを願っています。

  2019年4月

 岐阜大学教育学部准教授 瀧沢広人  

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CONTENTS

01 小学校の英語授業はゲームで始めよう 1002 ゲームの盛り上げ方①「競争相手」を入れる 1203 ゲームの盛り上げ方②「意外性」をもたせる 1404 ゲームの盛り上げ方③「ジャンケン」を入れる 1605 ゲームの盛り上げ方④「カードの奪い合い」をさせる 1806 ゲームの盛り上げ方⑤「得点」を入れる 2007 ゲームの盛り上げ方⑥「グループ対抗」にする 22

おまけゲーム 文字パズル① 24

英語ギライをつくらない!ゲームの始め方・盛り上げ方第1章

01 20を言ったら負けゲーム 2602 ClapGame(クラップ・ゲーム) 2803 NumberBuzzGame(数字バズ・ゲーム) 3004 英語でおはじきゲーム 3205 MissingGame(ミッシング・ゲーム) 3406 ShuffleGame(シャッフル・ゲーム) 36

中学年におすすめ!英語ゲーム15第2章

はじめに 2

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07 NumberBingoGame(数字ビンゴ・ゲーム) 3808 KeywordGame(キーワード・ゲーム) 4009 MatchingGame(マッチング・ゲーム) 4210 KarutaGame(カルタ・ゲーム) 4411 CardBingo(カード・ビンゴ) 4612 アルファベットで発音ピラミッド 4813 WordMemoryGame(ワードメモリー・ゲーム) 5014 DestinyGame(ディスティニー・ゲーム) 5215 英語を聞き分ける! Let’sゲーム 54

おまけゲーム 文字パズル② 56

01 アルファベットで7並べ ANZゲーム 5802 仲間はずれはどれ? OddOneOutゲーム 6003 ColorMasterMind(色でマスター・マインド) 6204 AlphabetSpeed(アルファベット・スピード) 6405 3単現ステレオ・ゲーム 6606 SentenceMemory(センテンス・メモリー) 6807 CardTalk(カード・トーク) 7008 SoundTennis(サウンド・テニス) 7209 PointGame(ポイント・ゲーム) 7410 InterviewActivity(インタビュー活動) 7611 英語でバースデー・チェーン 7812 文房具ポーカーゲーム 8013 アルファベットで神経衰弱 82

高学年におすすめ!英語ゲーム15第3章

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01 3ヒント・クイズ 11202 シルエット・クイズ 11403 国旗の塗り絵でクイズ 11604 ジェスチャー・クイズ 118

児童の主体性が身に付く英語クイズ10第5章

01 ResearchActivity(リサーチ・アクティビティ) 9002 NameSomethingBlueゲーム 9203 イラストで探しものゲーム 9404 友だちと仲よくなる! 共通点探しゲーム 9605 まずは地図なしで! 道案内ゲーム 9806 夏休みの思い出ふりかえりゲーム 10007 世界の国や文化を知る! 国名当てクイズ 10208 GuessHowMuchゲーム 10409 当てたら勝ちよ! ジャン・ケン・ポン 10610 ヒントから当てる! 職業当てクイズ 108

▲おまけゲーム 文字パズル④ 110

教科書を活用した英語ゲーム10第4章

14 カードがなくなったら勝ち! GoFishゲーム 8415 英語で道案内ゲーム 86

おまけゲーム 文字パズル③ 88

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05 動物の鳴き声クイズ 12006 イニシャルWhoamIクイズ 12207 誕生日クイズ 12408 動物クイズ 12609 宝物探しクイズ 12810 食べ物クイズ 130

おわりに 132

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STEP 01

小学校の英語授業はゲームで始めよう

▶いよいよ小学校でも英語授業がスタート! いよいよ2020年から小学校でも英語授業が始まりますが、「今までALTに任せきりで英語を教えたことがない」「教材の使い方がわからない」と不安を抱える先生方は大変多いことでしょう。 でも心配はいりません。英語の授業を実際にやってみると、とてもおもしろい教科であるとわかるでしょう。 その中でも私が特におすすめするのは、まずは定番の英語ゲームを3個覚え、授業でやってみることです。

▶定番英語ゲームを身に付けよう! 本書でも紹介しているゲームの中から、できそうなゲームをやってみるとよいでしょう。 まずはカルタ、クイズ、ビンゴの3つを定番ゲームとしてやってみてください。これらを応用すれば、様々な新しいゲームが生まれます。そうすることで、1学期末には10個、年度末には50個ぐらいにまで英語ゲームのバリエーションが増えていくことでしょう。

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11第1章 英語ギライをつくらない! ゲームの始め方・盛り上げ方

▶ゲームでこんなに盛り上がるとは思わなかった! 教育実習で小学校6年生を教えた私のゼミ生が、実習後「児童がこんなにゲームで盛り上がるとは思っていませんでした」と、喜びの笑みを浮かべて報告をしてくれました。 私としては、小学校における英語ゲームは有効であると思っていたので大学の私の授業でゲームを実演し、ゼミ生の彼にも体験してもらっていたのですが、そのときには、彼は小学生がゲームでそんなに盛り上がるとは思っていなかったそうです。 しかし、教育実習が終わって、彼の口から真っ先に出た言葉が「児童がこんなにゲームで盛り上がるとは思っていませんでした」だったのです。 だからこそ、実際にやってみると、子どもがどれだけゲームを楽しむかわかってもらえるのではないかと思います。

ポイント まずは、定番の英語ゲームを授業でやってみましょう! そこから、次が見えてくるかも知れません。

子どもたちはゲームが大好き! ゲームで必ず盛り上がる!

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ゲームの盛り上げ方①「競争相手」を入れる

STEP 02

▶ゲームとは何か? そもそもゲームの要素とは何でしょうか。 私は、次のように考えます。

  ① 楽しい  ② 競争相手がいる  ③ 得点がある  (参考:『英語授業面白ゲーム集』明治図書、1993)

 ゲームをスポーツに置き換えてみると、やはりスポーツが好きな人はそのスポーツを「楽しんで」います。 また、スポーツには「競争相手」がいます。 さらに、スポーツには「得点」があります。 ゲームも同様だと思うのです。 まず楽しくなくてはゲームと言えません。楽しくするためには、競争相手をつくるとよいです。また、得点をゲームに盛り込むとさらに楽しくなります。 このような3つの要素を取り入れると、既存の活動がゲームとなり、児童が楽しめるものになっていきます。

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13第1章 英語ギライをつくらない! ゲームの始め方・盛り上げ方

▶既存の活動に「競争相手」を入れてみよう! 例えば、先生から言われた英文を伝えていく伝達活動に、②の「競争相手」を入れてみましょう。この活動のねらいは、「聞いた英語を他者に正しく伝えることができるようになること」です。 やり方は色々ありますが、例えば先頭の児童に教師がWhere do you want to go? という英文を伝えたとします。その児童は列に戻って、それを次の人に伝えます。それを伝えられた人は、次の人(後ろの人)に伝えます。このようにして、どの列が一番早く後ろまで伝えられるかを競うゲームです。 ここに明確な競争相手を設定してみましょう。 全員でいっぺんにやるのではなく、2列ずつやってみるのです。すると、それを見ている子どもたちから自然と、「頑張れ!」「はやく!」という声が聞こえてきます。

ポイント 競争相手がいると盛り上がるので、どんどん競争させましょう!

競争させると、子どもはますますやる気になる!

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STEP 03

ゲームの盛り上げ方②「意外性」をもたせる

▶ゲームに意外性をもたせよ! 「できることなら、楽しく英語を学ばせたい!」 そう思って、私は英語のゲームを行ってきました。 そして、英語ゲームを考えていくうちに、楽しくさせるコツがあることに気付きました。 それは、「意外性」をもたせることです。 通常ではありえない状況をつくるのです。そのような意外性をもったゲームが、授業を楽しくさせます。

▶ゲームの導入で興味をもたせる! 例えば、動物のイラストが描かれたカードを1人5枚ずつ配ります。 そして、「それは、みんなが家で飼っている動物です」と言うと、「え~~~!」という声が教室中に響き渡るでしょう。なぜなら、配ったカードには、「ヘビ」「ゴキブリ」「ハエ」「象」「キリン」「牛」「サル」などペットとしては考えられない動物のカードが混ざっているからです。 これで教室は盛り上がり、ゲームの導入としては大成功です。その後、Do you have~?という英語を使って、相手の持っている動物カードを当てる「動物カードゲーム」に移ります。

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15第1章 英語ギライをつくらない! ゲームの始め方・盛り上げ方

▶予想外の展開で、子どもを引きつける! Fox Huntingというゲームがあります。クラス全員に目を閉じさせ、例えば、「犬を飼ってる人?」と尋ねます。犬を飼っている児童は手を挙げ、教師は人数を数えます。 数え終わったらと、児童に目を開けさせ、「このクラスに犬を飼っている人が12人いました。今から、英語を使って、犬を飼っている人を見つけ出してください」と言います。すると児童は、「え~~! 誰だ?」となるでしょう。 なぜなら、児童は目をつぶっていたので、誰が手を挙げたかわからないからです。これも、意外性をもたせるために有効な手法であると言えます。

ポイント いつも同じ授業やゲームばかり行っている、という状況から脱出し、意外性を常に意識しましょう!

予想外の展開が子どもの興味を引きつける!


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