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Date post: 06-Oct-2020
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* えがみ としのり(国際日本文化研究センター資料課資料利用係長) : J A L 江上 敏哲 * 受講者のみなさまからの「提言」を受けて、そ して JAL プロジェクトとこの研修全体を踏まえ て、自分なりに考えたことをコメントさせていた だきます。 まず 3 グループの提言を受けてのコメントで すが、提言にはお互いに重なるところ、似たよう なことをおっしゃっているところもあったかと 思いますので、全体をまとめるかたちでコメント いたします。 ひとつには「英語/ローマ字が必要」。日本資料 を必要とするのは日本専門家だけではない。他分 野他地域の研究者や一般のユーザにも使っても らえるようにするためには、すべては無理でもア ブストラクトやメタデータだけでもいいから英 語化・ローマ字化して、日本資料の可視性を高め ることが必要である、ということです。グッドさ んからは実際に英語・ローマ字が整備されている (されつつある)事例の紹介もありました。また 言語の壁を越えるという意味では、サムネイル画 像も有用である、というカネパーリさんのお話も ありました。 また「オープンなアクセスが必要」ということ も共通して言われていたと思います。デジタルア ーカイブの紹介をされても、それが館内のみ・内 部者のみ・日本のみという限定付きであったこと が何度か言及されていました。この問題は日本だ けに限らないとは思いますが、とはいえ、国内の ユーザにとってもオープンであってほしいとい うことには変わりないでしょう。 そして「ポータルが必要」。それに近いサイト やシステムはいくつか言及がありましたが、集約 しきれていないのが現状です。個別に、大量に、 散在している日本のデジタルアーカイブを、包括 的・効率的に検索・アクセスできるようなポータ ルサイトがないと、日本語が不得手な海外ユーザ にはハードルが高いでしょう。そしてこれもまた、 日本のユーザにとっても困ることだと思います。 さらに、日本のユーザが海外にある日本資料を探 すためにも、そのようなポータルが必要ではない か、というウィリアムズさんの指摘もありました。 このようなポータル機能を持つサイトの構築に ついては、現在内閣府知的財産戦略本部による 「デジタル・アーカイブの連携に関する実務協議 会」が検討中であり、その実現が待たれるところ です。 以上のような英語/ローマ字化、オープンアク セス、ポータルへの要望は、言い換えればどれも 「ユーザ・ファースト」であってほしいというこ とだと思います。フォルミサノさんがおっしゃる ように、複雑なインタフェースによってユーザを あきらめさせないように。「Google でヒットする ようにしてほしい」という意見もありましたが、 これは何も一国の一企業のサービスに依存する という意味ではなく、現状でユーザがもっとも利 用しているサービスは何か、ユーザがとる行動は どういうものかを理解する、ということだと思い ます。同様に、スマホ対応・アプリ対応といった 若い世代へのアプローチについても言及があり ましたが、これも、ただ流行りのツールにのれば いいという問題ではなく、どのようなユーザ層が どのように活用してくれると期待するのか、その ニーズはどこにあるか、ということに真摯に目を 向ける必要があるということでしょう。 この「ユーザ・ファースト」と「英語化/ロー マ字化」の問題を合わせて考えた時に、気になっ たのが、「海外ユーザは日本美術資料を探すのに、 たとえ収録数は少なくても、英語で探せるメトロ ポリタン美術館や大英博物館のデジタルアーカ イブのほうをよく使う」というグッドさんの指摘 です。例えば、Ukiyo-e.org という浮世絵が探せ る海外のサイトには、日本からも複数機関が参加 していますが、日本人にとってもこちらのほうが 使い勝手がいいように思います。 さて、このように海外のユーザに配慮すること がなぜ必要なのかといえば、みなさんが力説して 131
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*えがみ としのり(国際日本文化研究センター資料課資料利用係長)

コメンテート :

①グループによる「提言」を受けて ②JAL・研修全体を受けて

江上 敏哲*

受講者のみなさまからの「提言」を受けて、そ

して JAL プロジェクトとこの研修全体を踏まえ

て、自分なりに考えたことをコメントさせていた

だきます。

まず 3 グループの提言を受けてのコメントで

すが、提言にはお互いに重なるところ、似たよう

なことをおっしゃっているところもあったかと

思いますので、全体をまとめるかたちでコメント

いたします。

ひとつには「英語/ローマ字が必要」。日本資料

を必要とするのは日本専門家だけではない。他分

野他地域の研究者や一般のユーザにも使っても

らえるようにするためには、すべては無理でもア

ブストラクトやメタデータだけでもいいから英

語化・ローマ字化して、日本資料の可視性を高め

ることが必要である、ということです。グッドさ

んからは実際に英語・ローマ字が整備されている

(されつつある)事例の紹介もありました。また

言語の壁を越えるという意味では、サムネイル画

像も有用である、というカネパーリさんのお話も

ありました。

また「オープンなアクセスが必要」ということ

も共通して言われていたと思います。デジタルア

ーカイブの紹介をされても、それが館内のみ・内

部者のみ・日本のみという限定付きであったこと

が何度か言及されていました。この問題は日本だ

けに限らないとは思いますが、とはいえ、国内の

ユーザにとってもオープンであってほしいとい

うことには変わりないでしょう。

そして「ポータルが必要」。それに近いサイト

やシステムはいくつか言及がありましたが、集約

しきれていないのが現状です。個別に、大量に、

散在している日本のデジタルアーカイブを、包括

的・効率的に検索・アクセスできるようなポータ

ルサイトがないと、日本語が不得手な海外ユーザ

にはハードルが高いでしょう。そしてこれもまた、

日本のユーザにとっても困ることだと思います。

さらに、日本のユーザが海外にある日本資料を探

すためにも、そのようなポータルが必要ではない

か、というウィリアムズさんの指摘もありました。

このようなポータル機能を持つサイトの構築に

ついては、現在内閣府知的財産戦略本部による

「デジタル・アーカイブの連携に関する実務協議

会」が検討中であり、その実現が待たれるところ

です。

以上のような英語/ローマ字化、オープンアク

セス、ポータルへの要望は、言い換えればどれも

「ユーザ・ファースト」であってほしいというこ

とだと思います。フォルミサノさんがおっしゃる

ように、複雑なインタフェースによってユーザを

あきらめさせないように。「Google でヒットする

ようにしてほしい」という意見もありましたが、

これは何も一国の一企業のサービスに依存する

という意味ではなく、現状でユーザがもっとも利

用しているサービスは何か、ユーザがとる行動は

どういうものかを理解する、ということだと思い

ます。同様に、スマホ対応・アプリ対応といった

若い世代へのアプローチについても言及があり

ましたが、これも、ただ流行りのツールにのれば

いいという問題ではなく、どのようなユーザ層が

どのように活用してくれると期待するのか、その

ニーズはどこにあるか、ということに真摯に目を

向ける必要があるということでしょう。

この「ユーザ・ファースト」と「英語化/ロー

マ字化」の問題を合わせて考えた時に、気になっ

たのが、「海外ユーザは日本美術資料を探すのに、

たとえ収録数は少なくても、英語で探せるメトロ

ポリタン美術館や大英博物館のデジタルアーカ

イブのほうをよく使う」というグッドさんの指摘

です。例えば、Ukiyo-e.org という浮世絵が探せ

る海外のサイトには、日本からも複数機関が参加

していますが、日本人にとってもこちらのほうが

使い勝手がいいように思います。

さて、このように海外のユーザに配慮すること

がなぜ必要なのかといえば、みなさんが力説して

131

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くださったように、日本に興味を持ってくれる海

外のユーザが「日本を世界に伝える架け橋」にな

ってくれるからです。逆に、若い世代のユーザが

日常使っているデジタル・ツールから日本資料に

アクセスできないと、日本研究から離れてしまう

おそれがあります。その危機感も、多くの方が持

っていたようです。

それを補う意味で期待されていたのが「国際的

な交流・ネットワーク作り」と「コラボレーショ

ン」でした。AAS(アジア学会)、CEAL(東ア

ジア図書館協会)、EAJRS(日本資料専門家欧州

協会)等に積極的に参加し、ワークショップやパ

ネルを開いて PR することや、研修プログラムを

日本から海外に出向き学生などを対象に実施し

てみることも、有用だと思われます。このような

活動は、海外の専門家たちとのコラボレーション

によってよりよいものになるでしょう。

サロマさんは「もっと日本人研究者と接する機

会やネットワークがほしい」とおっしゃっていま

した。交流やコラボレーションのためには、資料

だけでなく、研究者情報・成果情報の人的情報や、

資金・助成金・プロジェクト等の情報も、オープ

ンに、英語で、ポータルサイト等の効率的な方法

で発信されるべきなのだということがわかりま

す。

以上、様々な提言・問題提起がありました。し

かしこれらのほとんどが、昨年(2015 年)の公

開ワークショップでもおおむね指摘されたこと

でありました。いえ、昨年のワークショップだけ

でなく、海外の日本研究者や日本研究司書と会っ

て話をすると、必ずこのようなこと、「英語/ロー

マ字化が必要」「オープンアクセスが必要」「ポー

タルが必要」「海外ユーザを知ることが必要」「交

流・ネットワーク作りが必要」「コラボレーショ

ンが必要」、が異口同音に話題にされるのです。

そのことを踏まえたうえで、次に、JAL プロ

ジェクトとこの研修、そして「提言」そのものに

ついて考えてみたいと思います。

この約 2 週間の日本滞在で、受講者のみなさん

は、国内各機関での見学、グループワークと公開

ワークショップでのプレゼンというハードな研

修をこなされました。この研修は、ふだん各国・

各機関で業務についておられるみなさんにとっ

て”非日常”であったと思います。この”非日常”、

日常業務から離れ、元の職場と関係ないところで、

思考も立場もフラットな状態でグループワーク

に没頭するというのは、とても良いリフレッシュ

になったのではないでしょうか。ですが、”非日

常”は”一過性”のものになりかねないというお

それもあります。研修を一過性のもので終わらせ

ず、成果を日常に活かす努力が必要です。

それと同じことが、「提言」を受けた我々日本

側にも言えます。すなわち、海外のみなさんから

受けた提言を我々日本側は活かすことができて

いるだろうか、いや、できていないのではないか、

ということです。いま我々はあたかも、提言を受

けては反省し、そしてまた同じ提言を受ける、と

いう無限ループに陥っているかのようにも見え

ます。

例えば、一昨年(2014 年)と昨年(2015 年)

の 2 度の公開ワークショップで、このような提言

がありました。Artstor という国際的な教育用美

術画像データベースがありますが、そこで閲覧で

きる日本美術作品は、大英博物館やメトロポリタ

ン美術館等の日本国外の所蔵作品ばかりである。

日本からもこのデータベースに参加してほしい、

と。しかし昨日、この提言をしたジヨン・ウッド

さん(2015 年の受講者で、2016 年のコーディネ

ータ)と一緒に確認してみましたが、いまもやは

り日本からの参加はされていないようです。一方

で提言が活用された例もありました。フォルミサ

ノさんの発表に言及がありましたが、2015 年研

修での受講生からのフィードバックをもとに、奈

良国立博物館仏教美術資料研究センターのイン

タフェースが改善されたそうです。

以上を踏まえ、私なりに考えた「「提言」のた

めの”提言”」をもってコメントのまとめとした

いと思います。

1 つめ。提言を受けて何かしらの活用につなげ

るためには、より多くの、多業種・多方面の人々

にこのような提言・問題提起があったのだという

ことを広く報せる必要があると思います。ごく限

られた一部の人・機関でこれらの問題は解決でき

るものではないからです。したがって、提言自体

の”情報発信力”を高める必要があるでしょう。

それはこの研修のこの提言に限った話ではなく、

海外で行われる日本研究司書の会議や催しでど

のようなことが問題視され、指摘され、議論され

ているのかといったことが、海外側から日本側へ

どのように発信されているのか、ということも問

題となるのではないかと思います。

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2 つめ。提言を受けた日本側の我々側から何か

しらの反応を示す必要があると思います。昨年

(2015 年)の報告書には、ワークショップでの

提言を受け「応答することの試み」という文書が

掲載されました。また、この提言を聞いた我々が

再度集まって、このワークショップに応えるため

の”アンサー・ワークショップ”を開く、という

のはどうでしょうか。今日示された問題について

自分もひとこと言いたいと思っている方が、この

会場内にも少なからずいらっしゃるのではない

かと思います。

3 つめ。受けた提言を活かすには、実働できる

ポータルな集団が必要になるのではないかと思

います。国内外で活動できるような、横断的でワ

ンストップな窓口を、専門性を持つ専門家集団に

よって構成することができればと思います。それ

は決して簡単なことではないと思いますが、昨年

(2015 年)のコメンテーターだった小出さんの

コメントにもあった「コラボレーションが開く可

能性」のひとつとして、再度示しておきたいと思

います。

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