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Ⅰ 計画策定の趣旨 - Kamakura€¦ · (分流式*下水道で単独2処理区...

Date post: 03-Aug-2020
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1 Ⅰ 計画策定の趣旨 1.背景と目的 鎌倉市は昭和 33 年に下水道による水環境の整備をスタートさせてから、約 54 年が経過しま した。既に初期に整備した施設の老朽化 * が始まっており、更に進行することから、今後は、維持 管理 * 、改築 * ・更新 * が主体となる見通しです。 また、取り組むべき新たな課題や多様化する市民ニーズに応えていくことが市にとっての責務 と考えます。 下水道中期ビジョン * は、長期的な視野にたった基本方針や施策の方向性について示し、概ね 10 年間の計画を策定します。維持管理、整備、環境、経営の4つの主要な課題を整理し、「鎌倉 市下水道中期ビジョン~下水道がつくる未来のくらしと環境~」として機能の安定・向上、安全・ 安心の確保、環境創出のための具体的な施策を検討し、今後の下水道のあり方をまとめたもので す。 単独公共下水道事業 * スタート 従来の使命と役割 とりまく環境の変化 新たな使命と役割 図-1 使命と役割の移り変わり 普及促進 維持管理 改築・更新 下水道普及促進事業として 単独公共下水道事業を 昭和 33 年にスタート 水質汚濁問題の解消を優先する主要な使命と役割 公衆衛生 水洗化促進 公共用水域 * の水質保全 浸水・地震対策 不衛生 浸水被害 水質悪化 水質汚濁 * 問題の クローズアップ 水質保全 水洗化促進 公衆衛生 浸水・地震 対策 普及促進
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Ⅰ 計画策定の趣旨

1.背景と目的

鎌倉市は昭和 33 年に下水道による水環境の整備をスタートさせてから、約 54 年が経過しま

した。既に初期に整備した施設の老朽化*が始まっており、更に進行することから、今後は、維持

管理*、改築*・更新*が主体となる見通しです。

また、取り組むべき新たな課題や多様化する市民ニーズに応えていくことが市にとっての責務

と考えます。

下水道中期ビジョン*は、長期的な視野にたった基本方針や施策の方向性について示し、概ね

10 年間の計画を策定します。維持管理、整備、環境、経営の4つの主要な課題を整理し、「鎌倉

市下水道中期ビジョン~下水道がつくる未来のくらしと環境~」として機能の安定・向上、安全・

安心の確保、環境創出のための具体的な施策を検討し、今後の下水道のあり方をまとめたもので

す。

単独公共下水道事業*スタート

従来の使命と役割

とりまく環境の変化

新たな使命と役割

図-1 使命と役割の移り変わり

整 備

普及促進

維持管理

改築・更新

下水道普及促進事業として

単独公共下水道事業を

昭和 33 年にスタート

水質汚濁問題の解消を優先する主要な使命と役割

公衆衛生 水洗化促進

公共用水域*の水質保全 浸水・地震対策

不衛生

浸水被害

水質悪化

水質汚濁*問題の

クローズアップ

水質保全

水洗化促進

公衆衛生

浸水・地震

対策

整 備

普及促進

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自然現象への対応

図-2 とりまく環境の変化と新たな使命と役割

地球温暖化資源・

エネルギー

問題

施設老朽化 少子高齢化

人口減少

経済低迷

とりまく環境の変化

施設老朽化*への対応

社会現象への対応

新たな使命と役割

維持管理

改築・更新

持続型下水道への発展

効率的な

整 備

老朽化した施設を

延命化

未整備地区を解消

市民を

災害から守る

効率的な

維持管理

財政の健全化

各戸貯留

修景用水に

固形燃料

小水力発電 太陽光発電

処理施設

上部利用

資源・資産の

有効活用

健全な

水循環の

構築

水環境の

創出

災害対策

公衆衛生

公共用水域の

水質保全

トイレの洗浄水や

修景池の水に

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2.事業期間

計画の期間は、長期的な視点を踏まえることを基本とします。目標年は、2013 年度(平成 25

年度)を初年度として、短期計画は 5 年間、中期計画は概ね 10 年間、長期計画は概ね 30 年間と

します。

図-3 計画の期間

Ⅱ 下水道の歩み

図-4 鎌倉市下水道の歩み

短期計画:5 年間の各年度に取り組む事業について

具体的に示したアクションプログラム。

中期計画:長期計画を見据えた概ね 10 年間の計画

となり、施策・事業の基本的な考え方(方

針・方向性等)を下水道中期ビジョン*とし

て示す。

長期計画:概ね 30 年間の施策・事業の基本的な考

え方(方針・方向性等)の枠組みを明らか

にする。

長期計画

下水道マスタープラン *

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Ⅲ 施設概要

これまで整備してきた下水道施設には、汚水管渠、汚水中継ポンプ場*、終末処理場*、雨水管

渠、雨水調整池*、雨水低地排水ポンプ場があります。

表-1 施設の整備状況

図-5 鎌倉市の下水道施設(概略図)

北鎌倉駅

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Ⅳ 主要な課題

今後、対応していくべき下水道に係る主要な課題は、大別すると維持管理、整備、環境、経営

の4つの課題として整理することができます。。

図-6 鎌倉市下水道事業 課題の木

※問題は一部の例として取りあげています

同一条件自治体との順位比較

(分流式*下水道で単独2処理区 62 自治体)

有収率* 46 位(有収率が高い順位)

使用料単価* 43 位(使用料が高い順位)

経営の問題

維持管理に影響!

環境の問題

下水道46%

廃棄物22%

その他32%

下水道

46%

その他

32%

廃棄物

22%

整備の問題

超過降雨* H16.10.9(台風)

1時間あたり

78.5mmを観測

床上浸水 93 件

床下浸水 229 件 浸水被害発生!

施設老朽化

維持管理の問題

道路陥没

マンホール*

浮上 施設老朽化の進行!

汚水管渠延長

98,000m

約 20%が布設後 40 年以上経過

下水道の CO2発生量

(t- CO2)

年間 6,880

491,430 本 地球温暖化に影響!

課題の実を収穫 施策へと展開

財源の

確保 施設管理

の適正化

未整備地区

の解消

地震・津波

対策

施設の

老朽化*対策

未接続の

解消

集中豪雨*

対策

下水道

使用料の

適正化

経営診断

健全な

水循環の構築・

水環境の創出

地球温暖化防止、

資源循環、

未利用資源*の利活用

全体計画

の見直し

公共用水域の

水質保全、

環境整備

課題(3 つの経営の実)

課題(3 つの環境の実)

課題(4 つの整備の実)

課題(3 つの維持管理の実)

この発生した CO2を

吸収するために必要なスギの木

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Ⅴ 基本理念及び基本方針

1.基本理念

施設の老朽化*、災害対応、省資源・省エネルギー化、より合理的な経営等、多様化していく要

求に応えるために、持続型下水道として発展するための基本理念を定めました。

図-7 基本理念

2.基本方針

基本理念に基づいて、豊かな水環境を再生・創造していくために、課題の特性を把握し、持続

可能な下水道事業を展開するための基本方針を定めました。

図-8 基本方針のイメージ

安全・安心の確保

環境の創出

機能の安定・向上 安定経営

整備 災害に強い

まちづくりによる

市民の安全と

財産の保全

維持管理* 下水道施設の

継続的な機能確保と

災害に強い

施設への再生

環境 自然の共生

環境創出への

積極的な

取り組み

経 営 中長期的財政見通しによる

経営の基盤強化とともに

持続可能な

事業経営を推進

持 続 型 下 水 道 事 業

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Ⅵ 施 策

具体の施策は、理念を受けて整理した基本方針の実行に向けて、持続可能な経営のもと課題解決のた

めに、部局間の連携、市と市民の協働により、長期計画を見据えた概ね10年間の取り組みを示します。

図-9 施策のメニュー

・管理方法の 適化

・管理システムの導入(台帳*の電子化等)

・未利用資源*の利活用を検討

・サービスの拡大

・不明水*対策

・施設の改築・修繕*

・定期点検,調査

・予防保全型維持管理*計画の策定と実施

・施設計画の見直しと効率化

・耐震*レベルの再検証

・施設の耐震化

・津波対策

・老朽化*対策、地震・津波対策との相互連携

・事故等の原因特定と追跡調査

・BCP*(業務継続計画)の作成

・集合処理*の効率性再検討

・計画降雨*水準の整備

・超過降雨*への対応(ハード対策とソフト対策)

・法制度の活用

・既存コミュニティ・プラント*の転用

・整備済み区域の浸水原因検証

・全体計画の見直し

・持続可能な事業運営へ向けて

・啓発活動の強化

・洪水・内水ハザードマップ*の活用(ソフト対

策の活用)

・更なる下水道整備の促進

・高度処理*

・水環境の創造

・処理水の再利用

・未利用資源利活用施設の導入

・省エネ機器の導入

・住民参加型下水道

・雨水流出抑制の推進

・啓発活動の強化

・事業の明確化

・資源,資産の利活用

・企業会計の導入に向けて

・事業先送り及び前倒し

・適正な需要の予測

・維持管理*費等のコスト削減

・資本費の抑制

・滞納者の削減

・段階的な下水道使用料の見直し

・未接続家屋の解消

・住民理解の向上

・誤接続、無断接続の解消

維持管理(機能の安定・向上) 整 備(安全・安心の確保)

環 境(環境の創出) 経 営(安定経営)

資本費の抑制

維持管理費等のコスト削減

事業先送り及び前倒し

事業の明確化

未利用資源利活用施設の導入

処理水の再利用

洪水・内水ハザードマップの活用

既存コミュニティ・プラントの転用

超過降雨への対応

施設計画の見直しと効率化

施設の耐震化

津波対策

老朽化対策、地震・津波との相互連携

計画降雨水準の整備

環 境 経 営 整 備 維持管理

重 点 施 策 に 係 る 項 目

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Ⅶ 重点施策

重点施策の基本的考えは、下水道事業の根幹に係わる影響力の大きい課題解決へ向け、短・中・長

期のそれぞれで段階的に準備・対策を推進していく必要のある施策を示したものです。

1.財政の健全化

今後、施設の老朽化により、更新事業に係る費用は、急激に増加していく見通しです。持続可能な

経営基盤を確立していくために、財政の健全化を段階的に進めます。

◆維持管理費の削減

◆事業の平準化

◆事業の明確化

短・中・長期的な事業の位置付けと区分けを行い、対策による効果を示したうえで優先度を

判定し、必要性を明確化していきます。

◆資本費の抑制

財政の健全化を進める施策の1つとして、ビジョン策定後、5年間は、将来の市債の償還額

を抑制するため、市民にとって安全・安心度の高い事業を優先して行います。

更新事業の先送りを可能とする

*

事業の平準化を

推進していきます

図-11 管渠施設の長寿命化導入による効率的な平準化イメージ

図-10 維持管理費の削減

計画的に

継続的に

費用

耐用年数 50 年

建設期間

準備

期間

標準耐用年数 50 年に基づいた

改築期間

長寿命化*対策による施設の延命化を図り、

事業平準化を考慮した改築期間

経過年

↓標準耐用年数 50 年に基づいた平準化

施設の延命化を実施した平準化

圧縮される年間費用

推進します!

検討します!

維持管理体制の見直し

民間委託の拡大 市職員数の適正化

処理施設での高効率機器導入によるエネルギーの自立化*向上

代替エネルギー

未利用資源*利活用

高効率機器

導入

処理施設

エネルギー

台帳の電子化

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2.処理区再編

施設の老朽化*対策、地震・津波対策を強化するために、今後の汚水処理区のあり方について、総合

的な観点から見直しを図ります。

◆持続型下水道幹線再整備計画等(汚水施設)

老朽化する幹線及び中継ポンプ場の再整備を図り、耐震*性能の高い自然流下管とし、七

里ガ浜を除く5つの中継ポンプ場を段階的に廃止していきます。幹線の再整備と中継ポン

プ場の廃止により、老朽化対策と地震・津波対策を併行して強化します。

図-12 持続型下水道幹線再整備計画の概要

00

図-13 処理区再編案

表-2 段階的整備計画

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 H41 H42 H43 H44 H45 H46 H47 H48 H49 H50 H51 H52 H53 H54 H55 H56 H57 H58 H59 H60 H61 H62 H63 H64 H65 H66 H67 H68 H69 H70 H71 H72 H73

幹線再整備

ポンプ場廃止可能期間(七里ガ浜除く)

七里ガ浜ポンプ場廃止可能期間

処理場の将来像

10年間 20年間 30年間 40年間 50年間

実施期間

処理区再編案

現行改良案 (2処理区)

統合案 (1処理区)

分散案 (3処理区)

長期的な対策として

継続検討していきます

耐震化困難

用地狭小

七里ガ浜

浄化センター 津波対策

七里ガ浜

ポンプ場

今後の

検討事項

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◆国の提言(第 4 次提言)

七里ガ浜ポンプ場については、当面の間、下水道地震・津波対策技術検討委員会で示され

た第4次提言に基づき、定められた機能の確保に努めます。

図-14 下水道施設における対策の考え方(第4次提言)

出典:国土交通省 HP 報道発表資料 H24.3.8

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3.集中豪雨対策

集中豪雨*対策を図ることは、安全・安心なまちづくりを推進するうえでの重要な取り組みです。当

面の対応として、現計画の1時間あたり 57.1mm での整備水準を基本とし、超過降雨*も視野に入れ

た整備を図ります。

◆現計画の整備完了

図-15 整備目標

◆超過降雨への対応

鎌倉市下水道総合浸水対策計画*で定められた重点対策地区等を対象とした雨水貯留*・浸透

施設*等のハード対策*、ハザードマップ*や広報及び自主防災組織等を利用したソフト対策*を

推進します。

また、公共下水道の普及により未利用となったコミュニティ・プラント*を転用した貯留施

設や貯留施設を補完する透水性*・排水性舗装*等を導入し、雨水流出抑制*施設の整備を推進し

ます。

出典:鎌倉市 総合防災課

図-16 内水ハザードマップ(ソフト対策)

②腰 越

①鎌倉駅周辺

③深沢・手広

④大船駅周辺

10 年確率規模の

降雨において

浸水*のない

下水道整備を

目指します

1時間あたり 57.1mmに対応

あと

23%(H24.3 現在)

目標 100%

整備率 現在 約 77%

※詳細はハザードマップ

をご確認ください

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4.未利用資源の利活用

市では、近年、大きく取り上げられている地球温暖化対策、緊急時に電力供給を確保するエネルギー

自立化の必要性等を背景に、下水道が有する資源をこれまで以上に有効的に利活用していく方針です。

◆再生可能資源の積極的な利活用

図-17 下水道が有する資源と利用用途


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