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Date post: 20-May-2020
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27 (27) Frontiers in Haemophilia Vol.6 No.1 2019-31 血栓症とDOAC (直接経口抗凝固薬) について教えてください 小板橋紀通 群馬大学医学部附属病院循環器内科病院講師 はじめに 過去 50 年の間,経口抗凝固薬はビタミン K 拮抗薬であ るワルファリンであったが,その効果は多くの食物や併用 薬剤に影響を受けることから採血による頻回のモニタリン グのうえでの用量設定が必要であり,その煩雑性,即効 性がないこと,個人差が大きいことなどの点から,新規非 ビタミン K 阻 害 経 口 抗 凝 固 薬(NOAC)が 開 発 さ れ た. 2011 年にトロンビン阻害薬であるダビガトランが使用でき るようになってから 7 年が経過し,新しいとはいえないた め,最近では直接(作用型)経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants;DOAC)と呼ばれることが多くなった. トロンビン阻害薬であるダビガトラン,第 Xa 因子阻害薬 であるリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが, 心房細動に対して保険適用となり,2015 年には静脈血栓 塞栓症(venous thromboembolism;VTE)に対しても, DOAC3剤(リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン) が保険適用された.ワルファリンの煩雑さが解消され,一 般内科医でも心房細動の血栓リスク管理や VTE の治療が, DOAC を使用することで簡便で容易になった.4 種類の DOAC は現時点で臨床試験結果に薬剤間の大きな差はな いが,細かい用量設定や注意すべき併用薬剤などに違い がある (表 1) . 血栓症の予防と DOAC 1.心房細動における脳梗塞予防 ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキ サバンが使用可能である.心房細動と診断した場合,弁 膜症性心房細動(この場合,リウマチ性弁膜症:おもに僧 房弁狭窄症もしくは人工弁置換術後)が否定されれば, 非弁膜症性心房細動として,CHADS 2 スコア 1) にしたがっ て脳梗塞リスクを評価し,1 点以上であれば抗凝固の開始 を考慮する.2 点以上であれば積極的に抗凝固薬の内服 (DOAC もしくはワルファリン)が推奨される.内服を開始 すると,永続的な内服になるため,患者ごとに出血リスク を評価したうえで,抗凝固薬内服の必要性を十分に説明 することが重要である 1) 2.VTE の予防 DOAC で VTE の一次予防に対して保険適用となってい SAMPLE Copyright(c) Medical Review Co.,Ltd.
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27 (27)Frontiers in Haemophilia Vol.6 No.1(2019-3)

1血栓症とDOAC(直接経口抗凝固薬)について教えてください

小板橋紀通群馬大学医学部附属病院循環器内科病院講師

はじめに過去 50 年の間,経口抗凝固薬はビタミン K 拮抗薬であ

るワルファリンであったが,その効果は多くの食物や併用薬剤に影響を受けることから採血による頻回のモニタリングのうえでの用量設定が必要であり,その煩雑性,即効性がないこと,個人差が大きいことなどの点から,新規非ビタミン K 阻害 経口 抗 凝 固 薬(NOAC)が開 発された.2011 年にトロンビン阻害薬であるダビガトランが使用できるようになってから 7 年が経過し,新しいとはいえないため,最近では直接(作用型)経口抗 凝固薬(direct oral anticoagulants;DOAC)と呼ばれることが多くなった.

トロンビン阻害薬であるダビガトラン,第 Xa 因子阻害薬であるリバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが,心房細動に対して保険適用となり,2015 年には静脈血栓塞 栓 症(venous thromboembolism;VTE)に対しても,DOAC3 剤(リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン)が保険適用された.ワルファリンの煩雑さが解消され,一般内科医でも心房細動の血栓リスク管理や VTE の治療が,DOAC を使用することで簡便で容易になった.4 種類のDOAC は現時点で臨床試験結果に薬剤間の大きな差はないが,細かい用量設定や注意すべき併用薬剤などに違いがある(表1).

血栓症の予防とDOAC1.心房細動における脳梗塞予防

ダビガトラン,リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバンが使用可能である.心房細動と診断した場合,弁膜症性心房細動(この場合,リウマチ性弁膜症:おもに僧房弁狭窄症もしくは人工弁置換術後)が否定されれば, 非弁膜症性心房細動として,CHADS2 スコア 1) にしたがって脳梗塞リスクを評価し,1 点以上であれば抗凝固の開始を考慮する.2 点以上であれば積極的に抗凝固薬の内服

(DOAC もしくはワルファリン)が推奨される.内服を開始すると,永続的な内服になるため,患者ごとに出血リスクを評価したうえで,抗凝固薬内服の必要性を十分に説明することが重要である 1).2.VTEの予防

DOAC で VTE の一次予防に対して保険適用となってい

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