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愛知県野菜生産振興方針 - Aichi Prefecture...Ⅰ はじめに 1 策定の趣旨...

Date post: 04-Feb-2021
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愛知県野菜生産振興方針 平成23年3月
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  • 愛知県野菜生産振興方針

    平成23年3月

  • 目 次

    Ⅰ はじめに

    1 策定の趣旨 1

    2 振興方針の位置づけ 1

    3 振興方針の期間 1

    Ⅱ 野菜の生産出荷に関する現状と課題

    1 野菜の生産 2

    (1) 生産の状況 2

    (2) 担い手の状況 11

    (3) 消費の動向 18

    (4) 安全・安心への取組状況 20

    (5) 新品種・技術の研究開発と普及状況 23

    (6) 園芸優良種苗の供給状況 25

    2 野菜の県内外への供給 26

    (1) 県内外への安定供給 26

    (2) 量販店や加工業者への流通 30

    (3) 直売所の状況 31

    (4) 野菜消費量とその拡大への取組 32

    3 安全で環境に配慮した野菜生産 35

    (1) 施設園芸におけるCO2削減の取組状況 335

    (2) 環境に配慮した生産の状況 36

    (3) 多様なバイオマスの利活用状況 37

    (4) 農業用使用済プラスチックの適正処理状況 38

    Ⅲ 2015年の姿 339

    Ⅳ 2015年を目指した取り組み 440

    1 意欲ある生産者による安全・安心で良質な野菜の安定生産 40

    (1) 多様な担い手の育成・確保 40

    (2) 安全・安心への取組 42

    (3) 生産基盤の整備 42

    (4) 優良種苗の育成・普及 43

    (5) 新技術の研究開発・普及 43

    (6) 消費者ニーズを喚起する取組の推進 44

  • 2 消費者に満足を与える野菜の安定供給と情報発信 45

    (1) 卸売市場を通じた県内外への安定供給 45

    (2) 量販店や加工業者のニーズに即した流通の推進 45

    (3) 直売所等による地産地消の推進 45

    (4) 生産者と消費者の思いを伝えあう取組の推進 46

    (5) 産地等の取組による輸出の推進 47

    3 環境に配慮した野菜生産 48

    (1) 地球温暖化防止対策(施設園芸におけるCO2削減)の推進 448

    (2) 環境への負荷を軽減する栽培の取組 49

    (3) 多様なバイオマスの利活用の推進 50

    (4) 農業用使用済プラスチックの適正処理の推進 50

    Ⅴ 品目別の方策 551

    <参考資料> 経営モデル 778

  • Ⅰ はじめに

    1 策定の趣旨

    本県の野菜生産は、恵まれた自然条件や立地条件に加えて、農業用水、

    ほ場、集出荷場等の基盤整備や先進的技術の開発及び導入により発展し、

    農業産出額の約3分の1を占める基幹部門です。

    「愛知県野菜生産振興方針(以下、「振興方針」という。)」は本県の野菜

    生産のあるべき姿の実現を目指す基本的な方向づけとして策定されてきま

    した。

    前振興方針は、「食と緑の基本計画~食と緑が支える豊かな「あいち」を

    めざして~」に盛り込まれている施策等を推進する方針として、平成17

    年12月に平成22年度を目標年度とした5か年計画として策定しました。

    この5年間の景気の低迷など社会情勢が変化するとともに、生産者の高

    齢化の進展など野菜生産を取り巻く状況の変化を受け、野菜産地も変化へ

    の対応が求められています。

    県では、「食と緑が支える豊かな暮らしづくり条例」(平成16年愛知県

    条例第3号)の第7条に基づく基本計画の実現に向けて、新たにこの振興

    方針を策定するものです。

    2 振興方針の位置づけ

    この振興方針は、基本計画の実現に向けて、本県野菜の生産振興を図る

    ための部門別計画として位置づけます。

    3 振興方針の期間

    振興方針の期間は2011年度(平成23年)から2015年度(平成

    27年度)までの5年間とします。

    -1-

  • Ⅱ 野菜の生産出荷に関する現状と課題

    1 野菜の生産

    景気の低迷や安価な輸入農産物の浸透等による販売価格は伸び悩み、そ

    の一方で、原油価格の上昇等による生産資材費の高止まりなど農業経営を

    圧迫しています。また、担い手の不足、施設や設備の老朽化や都市化等に

    より産地の活力が低下しています。

    このような中で、野菜農家や産地は、コスト低減や消費志向の多様化へ

    の対応等に努め、産出額を維持し、県内外への安定供給を行っています。

    (1) 生産の状況

    ア 作付面積

    21年の作付面積は18,300ha であり、18年以降ほぼ横ばい

    です。主要野菜で面積が増加しているのはキャベツとブロッコリーの

    みであり、その他品目は減少傾向となっています。

    イ 生産量及び出荷量

    20年の生産量は585.492t、出荷量は528,726tで

    あり、いずれも減少傾向にあります。

    品目別では、年による作況変動があるため一概に比較できませんが、

    減少傾向の品目が多く、特にはくさい、レタス、メロンの減少が目立

    ちます。

    ウ 産出額

    本県野菜の産出額は、1,000億円程度で推移しています。

    県別の産出額は全国4位であり、全国シェアは約5%を占め「園芸

    王国あいち」を支えています。

    作付面積や出荷量の減少にかかわらず高い産出額を維持しているの

    は、高品質化などによる単価の上昇や、単価が比較的高い作目へ移行

    したためと思われます。

    品目別では、キャベツが18年を除き最も多く、県産出額の約17%

    を占め、全国でも産出額は 1 位です。これに施設栽培が主体であるト

    マト、いちご、しそ(ほとんどがおおば)が続きます。この上位4品

    目は不動ですが、近年、ブロッコリーの産出額が増加し、メロンが減

    少しています。

    21年では、4位のしそまでで県の野菜産出額の5割を占めます。

    -2-

  • 主要野菜の出荷量の推移

    資料:野菜生産出荷統計 資料:野菜生産出荷統計

    野菜生産の推移

    野菜生産出荷統計、生産農業所得統計

    平成20年以降の生産量、出荷量は国が公表している39品目

    資料:

    注)

    (5) (5) (4) (4)(全国順位) (4)

    全国産出額 20,218 20,400 20,925 21,105 20,876 103.3%

    (4.6%) (4.8%) (5.2%) (5.0%)(全国シェア) (5.2%)

    91.5%

    産出額 1,044 934 1,004 1,092 1,039 99.5%

    567,315 537,407 528,726 -出荷量 577,782

    93.3%

    生産量 646,611 639,069 602,709 585,492 - 90.5%

    18,363 18,220 18,609 18,300作付面積 19,621

    単位:ha、t、億円

    区 分 17年 18年 19年 20年 21年 21年/17年

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    1,400

    1,600

    1,800

    2,000

    17 18 19 20 21年

    作付面積

    キャベツ

    ブロッコリー

    たまねぎ

    だいこん

    はくさい

    にんじん

    トマト

    メロン

    レタス

    れんこん

    いちご

    なす

    きゅうり

    カリフラワー

    ふき

    セルリー

    おおば

    ha

    5,000

    5,200

    5,400

    4,800

    0

    5,000

    10,000

    15,000

    20,000

    25,000

    30,000

    35,000

    40,000

    45,000

    50,000

    55,000

    60,000

    17 18 19 20 21年

    出荷量

    キャベツ

    ブロッコリー

    たまねぎ

    だいこん

    はくさい

    にんじん

    トマト

    メロン

    レタス

    れんこん

    いちご

    なす

    きゅうり

    カリフラワー

    ふき

    セルリー

    おおば

    トン

    220,000

    230,000

    225,000

    産出額の品目別順位(21年)

    順 位 1位 2位 3位 4位 5位

    作目 キャベツ トマト いちご しそ ブロッコリー

    産出額 176 154 104 89 40

    (県シェア) (16.9%) (14.8%) (10.0%) (8.6%) (3.8%)

    資料:生産農業所得統計、地域特産野菜生産状況調査

    注1)県シェアは県の野菜産出額(1,039億円)に占める割合

    注2)しその産出額は、地域特産野菜状況調査による。他は生産農業所得統計による

    主要野菜の作付面積の推移

    -3-

  • 本県の野菜部門産出額上位10品目の推移

    生産農業所得統計

    9

    10 すいか

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    8

    にんじん

    ねぎ

    たまねぎ たまねぎ ブロッコリー ほうれんそう

    にんじん ブロッコリー

    ほうれんそう ねぎ

    ねぎ

    なす

    きゅうり メロン メロン きゅうり

    なす きゅうり

    トマト キャベツ

    なす

    しそ

    メロン なす きゅうり ブロッコリー

    しそ しそ

    資料:

    20年

    キャベツ トマト キャベツ キャベツ

    17年

    しそ

    トマト

    いちご

    なす

    21年

    キャベツ

    トマト

    いちご

    順 位

    しそ

    ブロッコリー

    ほうれんそう

    18年 19年

    トマト

    いちご いちご いちご

    きゅうり

    ねぎ

    メロン

    エ 露地野菜の動向

    キャベツは、他産地とのリレーや県内出荷量の調整により、最近は

    他の露地野菜に比べ販売価格が比較的安定しており、また生食用に加

    え、加工・業務用の需要も高くなっています。このため、東三河地域

    では、他の品目からの転換や休耕地への作付が進み、面積が増え産出

    額の増加につながっています。また、ブロッコリーも作付面積が増加

    し、本県を代表する露地野菜の地位を獲得しています。これら品目は、

    産地競争力を一層強化するとともに需要の拡大を図るために、生産コ

    ストの低減やブランドの強化等をさらに推進する必要があります。

    一方、はくさい、レタスは、面積及び出荷量が5年間で2割以上減

    少しています。はくさいは需要の減少とともに、出荷が15kg 単位で

    あるため重労働であることも減少の一因です。また、レタスは気温の

    変化によって作柄の変動が激しいことなどが減少の理由です。

    また、だいこん、ねぎ、ほうれんそうも1割程度減少しています。

    はくさい、だいこんなどでは、需要の多いキャベツに転換する事例

    もありますが、多くの露地野菜は、担い手の減少や都市化による農地

    の減少など産地自体の問題が大きく、担い手の確保や農地の担い手へ

    の集積等、産地の活性化が早急に必要です。また、地産地消や6次産

    業化、多様な流通経路への対応など、生産場面から新たな需要を喚起

    する取組も必要です。

    -4-

  • オ 施設野菜の動向

    21年の施設野菜の面積は1,727ha であり、17年に比べほぼ

    横ばいです。これは全国第4位であり、全国有数の施設野菜の産地と

    なっています。

    主な品目には、トマト、いちご、おおば(青しそ)、なす、きゅうり、

    メロン等があり、いずれも高度な栽培技術とこれを支える加温や養液

    栽培設備等を用いて、集約的な栽培を行っていることが特徴です。し

    かし、近年の原油価格の高騰など、生産資材費の上昇が経営を厳しく

    しています。

    品目別にみると、トマトは出荷量や面積がわずかに減少している程

    度ですが、なす、きゅうりは出荷量、面積ともに 1 割から2割減少し

    ています。おおば、メロンも減少傾向にあります。

    この理由の一つとして、施設の老朽化の問題があります。本県の施

    設の特徴としてガラス室が多数あります。しかし、これらは年数を経

    た施設が多く、建て替え時期に差し掛かっていますが、担い手不足や

    生産コストの上昇等による所得の減少から、施設の更新などが進んで

    いないのが現状です。

    しかし、トマトでは新しい養液栽培技術を活用した収穫量を高める

    施設へ整備している事例があります。また、ヒートポンプ、循環扇、

    多層被覆などの省エネ技術の導入も始まっています。施設の整備にあ

    わせて、これら新技術の導入を支援することが必要です。

    また、消費者の要望に応える高品質化や低コスト生産が可能となる

    品種が、本県で開発され普及しています((5) 新品種・技術の研究開

    発と普及状況を参照)。さらに、トマトやおおばなどでは、新たな加工

    食品の開発が進んでいます。今後も一層の高品質化を図るとともに、

    露地野菜と同様に新たな需要を喚起する取組が必要です。

    野菜施設設置面積の推移              単位:千㎡

    園芸農産課調べ

    99.4%

    資料:

    17,771 352,369 (5.0%) 17,270計 17,374 361,883 (4.8%)

    102.8%

    ハウス 14,997 353,292 (4.2%) 15,238 343,636 (4.4%) 14,826 98.9%

    2,533 8,733 (29.0%) 2,444ガラス室 2,377 8,591 (27.7%)

    全国 県シェア 愛知県 愛知県区 分

    17年 19年 21年 21年/17年

    愛知県 全国 県シェア 愛知県

    -5-

  • 本県の野菜施設設置面積の推移

    0

    2,000

    4,000

    6,000

    8,000

    10,000

    12,000

    14,000

    16,000

    18,000

    20,000

    17年 19年 21年

    千㎡

    ハウス

    ガラス室

    カ 産地の状況

    23年2月現在、主要な野菜の生産・出荷の拠点である野菜産地の

    うち、野菜指定産地は37産地、これに準ずる特定野菜等供給産地育

    成価格差補給事業の対象産地も37産地あります。県内57市町村の

    うち、指定産地は実32市町村、延べ79市町村、特定野菜等供給産

    地育成価格差補給事業の対象産地は実29市町村、延べ54市町村に

    及んでいます。

    本県の野菜生産のうち野菜指定産地は、面積で43%(15年は3

    6%)、出荷量で63%(同59%)を占め、本県野菜生産の主体とな

    っているだけでなく、そのウエイトは年々高まっています。

    しかし、野菜指定産地数は17年以降4産地が減少し、今後も都市

    近郊の産地ではさらに減少する可能性があり、本県野菜の振興には、

    その基盤となる産地の活性化を促すことが極めて重要です。

    【野菜指定産地】

    1 野菜指定産地とは

    野菜生産出荷安定法(昭和41年法律第103号)に基づき、指定野菜を生産し

    ている産地のうち、一定の要件(面積、共販等率)を満たした産地を農林水産大臣

    が指定します。

    2 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の対象産地

    実施要領に基づき、指定野菜、特定野菜を生産している産地のうち、一定の要件

    (面積、共販等率)を満たした産地を県知事が選定します。

    3 対象となる品目(22年)

    ① 指定野菜:消費量が多く国民生活に重要な品目として国が定めているもので、

    キャベツ、トマト、だいこんなど14品目です。

    ② 特定野菜:指定野菜に準じ、地域振興上重要な野菜として国が定めているもの

    で、ブロッコリー、ふき、セルリー、ちんげんさい等29品目です。

    (詳細は、(2)担い手の状況 ク 価格安定制度への加入状況を参照)

    -6-

  • 野菜指定産地

    稲沢 稲沢市

    渥美 田原市

    豊橋 豊橋市

    渥美 田原市

    豊川宝飯 豊川市

    稲沢 稲沢市

    知多 常滑市、大府市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町

    西三河 岡崎市、碧南市、刈谷市、安城市、西尾市、一色町、吉良町

    江南 江南市

    愛西 愛西市

    海部 津島市、愛西市、弥富市、飛島村

    渥美

    豊橋

    豊川宝飯 豊川市

    岡崎額田 岡崎市、幸田町

    愛知西 一宮市、稲沢市

    西三河 岡崎市、碧南市、安城市、西尾市、幸田町

    豊橋 豊橋市

    弥富 弥富市

    碧南西尾 碧南市、西尾市

    愛西 愛西市

    一宮 一宮市

    愛知北 江南市、岩倉市

    愛知西 一宮市、稲沢市

    愛知西 一宮市、稲沢市

    豊橋 豊橋市

    豊川 豊川市(旧小坂井町を除く)

    三好豊田 豊田市、みよし市

    江南 江南市

    西知多 東海市、知多市

    田原 田原市

    弥富 弥富市

    西知多 東海市、知多市

    碧南西尾幡豆 碧南市、西尾市、一色町、吉良町

    知多

    豊橋 豊橋市

    尾張西部 一宮市、稲沢市、清須市、北名古屋市

    平成23年2月7日告示時点

    種 別 産地名

    春キャベツ

    冬キャベツ

    春はくさい

    冬春きゅうり

    春だいこん

    ほうれんそう

    常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町

    たまねぎ

    田原市

    豊橋市

    区       域

    秋冬はくさい

    春レタス

    冬レタス

    冬春なす

    冬にんじん

    秋冬ねぎ

    冬春トマト

    夏秋なす

    注)

    -7-

  • 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の対象産地

    春キャベツ 愛西 愛西市

    豊橋 豊橋市

    豊川宝飯 豊川市

    夏秋キャベツ 北設楽 設楽町

    秋冬だいこん 刈谷 刈谷市

    夏秋トマト 愛知東 新城市、設楽町、東栄町、豊根村

    夏秋なす 新城 新城市

    豊田 豊田市

    春夏にんじん 豊田 豊田市

    冬にんじん 天白 名古屋市天白区

    夏ねぎ 美和 あま市(旧美和町)

    愛西 愛西市

    秋冬ねぎ 美和 あま市(旧美和町)

    秋冬はくさい 尾張東部 豊明市、東郷町

    春レタス 田原 田原市

    冬レタス 豊橋 豊橋市

    たまねぎ 名古屋南部 名古屋市天白区、緑区

    天白 名古屋市天白区

    カリフラワー 愛知北 岩倉市

    田原 田原市

    西知多 東海市、知多市

    かんしょ 碧南 碧南市

    しゅんぎく 中川 名古屋市中川区

    知多南部 常滑市、南知多町、美浜町

    セルリー 田原 田原市

    ちんげんさい 安城碧南 安城市、碧南市

    ふき あいち知多 常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町

    ブロッコリー 愛知みなみ 田原市

    大高 名古屋市緑区

    稲沢 稲沢市

    東知多 大府市、東浦町

    豊橋 豊橋市

    三好 みよし市

    みつば 中川・港 名古屋市中川区、港区

    あいち海部 愛西市、弥富市、飛島村

    稲沢 稲沢市

    れんこん 愛西 愛西市

    平成23年1月時点

    種 別

    かぼちゃ

    産地名 区       域

    スイートコーン

    注)

    -8-

  • キ あいちの伝統野菜

    本県では、以下の定義を満たす21品目35品種を「あいちの伝統

    野菜」として選定しています。

    これらの中には、「愛知早生ふき」のような主要野菜の主力品種にな

    っているもの、「八名丸さといも」や「天狗なす」のような中山間地の

    特産品、「八事五寸にんじん」や「方領だいこん」など都市近郊で町お

    こしとして活用されているものなど、様々な取組に活用されています。

    また、伝統野菜の中には種子の管理や栽培が難しく、安定的な供給

    ができない品目もあるため、県では技術実証ほを設置し栽培マニュア

    ルを策定するなど、産地化を支援してきました。

    今後も、地域の特産品目として、産地の活性化に生かすことが期待

    されます。

    あいちの伝統野菜の定義

    ① 今から50年前には栽培されていたもの

    ② 地名、人名がついているなど愛知県に由来しているもの

    ③ 今でも種や苗があるもの

    ④ 種や生産物が手に入るもの

    -9-

  • あいちの伝統野菜

    だいこん 宮重 江戸 清須市(旧春日町)

    方領 江戸 あま市(旧甚目寺町)

    守口 昭和 扶桑町

    にんじん 八事五寸 大正 名古屋市

    碧南鮮紅五寸 大正 碧南市

    木之山五寸 大正 大府市

    さといも 八名丸 昭和 新城市

    なす 愛知本長 昭和 あま市(旧美和町)

    天狗 昭和 設楽町、東栄町、豊根村

    きゅうり 青大 昭和 尾張地域

    トマト ファースト 昭和 豊橋市、豊川市(旧宝飯郡)、田原市

    かぼちゃ 愛知縮緬 昭和 大治町、大府市

    メロン 渥美アールス 昭和 田原市

    まくわうり 落瓜 明治 江南市

    金俵 明治 江南市周辺、安城市

    かりもり かりもり(堅瓜) 明治 清須市、大口町

    早生かりもり 明治   尾張地域、刈谷市、碧南市

    とうがん 早生とうがん 明治 安城市ほか

    はくさい 野崎2号 大正 尾張地域

    キャベツ 野崎中生 大正 尾張地域、三河地域

    愛知大晩生 昭和 名古屋市

    菜類 餅菜(正月菜) 明治 尾張地域

    大高菜 江戸 名古屋市

    まつな 明治 あま市(旧甚目寺町)

    ほうれんそう 治郎丸 大正 稲沢市

    たまねぎ 愛知白早生 明治 東海市

    知多3号 昭和 大府市、南知多町

    養父早生(知多早生) 昭和 東海市、知多市

    ねぎ 越津 江戸 尾張地域

    法性寺 明治 岡崎市

    ふき 愛知早生 明治 知多地域、稲沢市、愛西市

    えんどう 渥美白花絹莢えんどう 明治 田原市

    ささげ 十六 大正 愛西市、稲沢市

    姫 明治 尾張地域

    千石豆(ふじまめ) 白花千石 明治 あま市(旧甚目寺町)

    産地(当時を含む)品目 品種 歴史

    担い手の育成、生産基盤の整備等による産地の活性化が急務です。

    また、地産地消などにより、都市近郊など小規模産地の育成も推進

    する必要があります。

    さらに、消費者ニーズに対応した優良品目・品種や生産技術の導入

    と、6次産業化や多様な流通経路への対応など生産場面から新たな需

    要を喚起する取組も必要です。

    課題と対応方向

    -10-

  • (2) 担い手の状況

    17年の農林業センサスでは、野菜販売農家数は延べ26,666戸

    (露地野菜は17,072戸、施設野菜は9,594戸)であり、5年

    前に比べ露地野菜で6.7%、施設野菜で12.6%減少しています。

    また、作付規模別では、3ha 以上の大規模農家は624戸で、5年前

    より5%増加しています。

    ア 基幹経営体の状況

    県内の基幹経営体(推定年間農業所得が1,400万円以上の企業

    的経営体及び800万円以上の家族経営体)の数は、近年4,000

    戸程度で推移しており、そのうち野菜は1,500戸程度です。17

    年度に比べ30.7%増加しています。

    野菜の基幹経営体1,500戸を維持するためには、35年で世代

    が交代するとすれば、毎年約40名の基幹経営体となる新たな担い手

    が必要です。

    さらに、基幹経営体の育成目標数1,794戸を実現するためには、

    県や市町村、農業団体等が積極的に支援により育成することが必要で

    す。

    基幹経営体の状況

    農業経営課調べ

    数字は調査時点

    (39.5%)

    資料:

    (33.4%) - -

    3,548 3,532 3,976

    注)

    (38.3%)

    (対農業全体)

    1,552

    110.3%4,052

    区 分 21年度

    3,914

    野菜

    農業全体

    19年度 20年度17年度 18年度

    1,184

    単位:戸

    1,547

    21年度/17年度

    130.7%-

    イ 認定農業者の状況

    21年度の野菜部門の認定農業者は2,225名で、農業全体の4

    割を占めます。また、17年度と比べ90%増加しており、全体の増

    加率64%を大きく上回っています。

    -11-

  • 認定農業者の状況

    農業振興課調べ

    数字は各年度末時点。

    資料:

    注)

    準単一複合経営

    うち法人

    施設野菜

    うち法人

    うち法人

       野 菜 計

    (対農業全体)

    うち法人

    6 6

    257

    露地野菜

    施設野菜

    露地野菜

    298 580

    17 24

    区 分

    単一経営

    18年度 19年度

    うち法人

    209

    うち法人

    2 4 4

    716 343%

    17年度

    単位:経営体

    20年度 21年度 21年度/17年度

    683

    596 752 870 882

    218%

    291 176%

    4

    165 241

    5 250%

    945 159%

    265

    31 32 37

    8 8

    4 400%

    6 100%

    273 138%198 270 269 283

    2,225 190%

    1 3

    1,168 1,561 1,976 2,113

    3 4

    (41.8%)

    (11.9%)

    219

    164%

    (12.6%) (14.2%) (14.4%) (15.1%)

    (36.0%) (38.2%) (40.4%) (41.0%)

    158%

    (対農業全体)

       農 業 全 体

    345294 325 333

    3,247 4,091 4,897 5,149 5,322

    200%26 37 46 48 52

    ウ 農業法人の状況

    21年の野菜部門の農業法人数は113法人で、5年間で20経営

    体増加し、農業全体の増加率を上回り、野菜生産の中核としての役割

    が期待されます。

    また、水田作など他部門の法人が野菜栽培に参入している事例があ

    ります。

    農業法人の状況   単位:経営体

    農業経営課調べ

    数字は各年4月1日現在。

    21年/17年

    121.5%

    107.4%

    21年

    113

    資料:

    注)

    110

    509

    (19.6%) (21.3%) (21.1%) (21.6%)

    93 105

    農業全体 494 511475

    区 分

    野菜

    510

    (22.2%)

    108

    17年 20年18年 19年

    (対農業全体)

    -12-

  • エ 新規農業就業者の状況

    22年度の農業全体における65歳未満の新規就業者は185名で

    す。このうち野菜部門は84名(うち39歳以下は61名)であり、

    全体の45%を占めます。

    引き続き担い手を確保するための就業支援と、これらの新規就業者

    に対する技術・経営能力の向上を的確に行っていく必要があります。

    また、産地は基幹経営体だけではなく、兼業農家などの多様な担い

    手で成り立っており、産地と県など関係機関が協力して幅広く担い手

    を確保・育成していく必要があります。

    新規農業就業者(39歳以下)の状況

    (対農業全体)

    農業経営課調べ

    年度は前年5月から当年4月までの1年間

    農業全体

    資料:

    注)

    (46.5%) (38.7%)

    154

    野菜

    新規参入者

     計

    18年度 19年度 20年度 21年度

    14

    17年度

    (43.5%)

    67

    171

    20

    30

    10

    6061

    (35.7%)

    23

    31

    7

    129

    11

    38

    11

    60

    155 113

    16

    25

    4

    45

    (39.8%)

    単位:人

    区 分

    新規学卒者

    Uターン

    24

    27

    9

    44 33

    22年度

    145

    59

    (40.7%)

    6か年平均

    17

    150

    10

    61

    9

    新規農業就業者(40歳以上65歳未満)の状況

    (対農業全体)

    農業経営課調べ

    年度は前年5月から当年4月までの1年間

    (80.0%)

    2915 7 34 25 30

    (52.0%) (56.7%)

    単位:人

    17 23 15

    4 14

    9

    5

    6か年平均

    13

    区 分

    13

    9

    17年度 18年度

    11 3

    21年度 22年度

    10

    19年度 20年度

    12

    3

    10

    2 7

    注)

    資料:

    Uターン

     計

    新規参入者

    (65.7%)

    35

    野菜

    農業全体

    5 17

    1

    (71.4%) (50.0%)

    オ 担い手の確保・育成の取組

    県立農業大学校や農業高校で、農業の担い手の育成を行っています。

    このうち県立農業大学校では、Uターン就農者(農家出身)・新規参入

    者(非農家出身)を対象とする研修(ニューファーマーズ研修)や新

    規就農希望者を対象とする研修(新規就農促進研修)を開催していま

    す。

    -13-

  • さらに、農林水産事務所農業改良普及課では、普及指導員による新

    規農業就業者への指導を行っています。

    また、県内では、市町村や農業協同組合等cが運営主体となり、農

    業を始める人を対象とした初心者向け研修を開催し、農業就業者や援

    農者の育成を図っています。

    (財)愛知県農業振興基金

    農業ふれあい講座

    生き活き農業塾/藤岡校

    生き活き農業塾/三好校あいち豊田農業協同組合

    豊田市及びあいち豊田農業協同組合農ライフ創生センター

    農作物栽培技術研修

    農業塾あぐりカレッジ「あすなろ舎」

    刈谷生きがい楽農センター 刈谷生きがい楽農センター

    資料:

    長久手農楽校

    東郷農学校

    わいわい農業塾

    活き活き農業セミナー

    あいち海部農業協同組合

    あいち知多農業協同組合

    とよかわ農業塾

    農業塾愛知北農業協同組合

    農業体験農園

    畑の学校

    農業体験塾

    東郷町

    あま市

    岩倉市

    長久手町

    緑信用農業協同組合

    田原市

    江南市

    愛知西農業協同組合

    春日井市

    犬山市

    NPO犬山幸山学研究所

    豊川市

    幸田町

    農業を始める人を対象にした初心者向け研修の開催状況

    名 称運 営 主 体

    小牧市

    JAみどり農業塾

    はつらつ農業塾

    学習農園 かすがい農業塾

    農業実践講座

    里山学センター

    体験実践講座

    -14-

  • カ 野菜経営の状況

    17年の燃油価格高騰に始まる、重油や肥料など生産資材価格の高

    止まりにより生産コストは高まり、一方では不況や消費の低迷による

    販売価格の伸び悩みにより、野菜農家の所得は圧迫されています。

    特に、野菜施設では、加温施設の97%である990ha が重油を使

    用して加温しています。

    このため、多収化や高品質化など生産性を向上するための技術や、

    省エネルギー設備など低コスト設備及び省力化設備の導入が進んでい

    ますが、さらに設備の導入を図るとともに、経営能力の一層の向上を

    推進し、野菜経営の安定を図ることが必要です。

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    150

    60 2 7 12 17 22

    平成17年=100

    (資料 農業物価指数)

    農業生産資材価格指数

    ~~  昭和

    肥料

    農業生産資材総合

    平成

    光熱動力

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    150

    60 2 7 12 17 22

    平成17年=100

    (資料 農業物価指数)

    農産物価格指数

    ~~ 

    農産物総合

    野菜

    平成昭和

    -15-

  • キ 野菜価格安定制度への加入状況

    野菜価格安定制度は、消費量が相対的に多く又は多くなることが見

    込まれる「指定野菜(14種類30種別)」と指定野菜に準ずる「特定

    野菜(29種類)」が対象です。

    価格安定制度への加入率は、災害などがあった翌年は増加する傾向

    がありますが、概ね60%台で推移しています。

    消費者への安定供給だけでなく、経営の安定化にも有効な制度です

    ので、さらに加入推進を図る必要があります。

    価格安定制度加入率の推移

    園芸農産課調べ

    20年度以降は、市町村ごとの統計数値が未公表のため指定産地に対する加入率を算出。

    17年度 18年度 19年度 20年度

    注2)

    価格安定制度への加入率は、(交付予約数量/野菜産地の共同出荷量)で算出。

    19年度までは県内の野菜産地全体に対する加入率を算出。

    資料:

    注1)

    63 63 66 62

    単位:%

    21年度 21年度/17年度

    65 103%

    【野菜価格安定制度】 1 野菜価格安定制度とは 野菜生産出荷安定法(昭和41年法律第103号)に基づき、国民生活に重要な野菜

    の価格低落時に生産者に一定の価格差補給金を交付して収入を確保し、安定供給に資する制度です。

    2 対象となる品目(22年) ① 指定野菜:消費量が多く、国民生活に重要な品目として国が定めているもので、キャベツ、トマト、だいこんなど14品目です。

    ② 特定野菜:指定野菜に準じ、地域振興上重要な野菜として国が定めているもので、ブロッコリー、ふき、セルリー、ちんげんさい等29品目です。

    3 価格安定制度を推進する事業の種類 ① 野菜生産出荷安定事業〔国事業名:指定野菜価格安定対策事業〕

    野菜指定産地(国が指定する面積、共販率が一定基準以上の産地)内で生産され市場出荷される指定野菜を対象とする事業です。

    ② 特定野菜等価格差補給事業〔国事業名:特定野菜等供給産地育成価格差補給事業〕 野菜指定産地に準ずる産地内で生産され市場出荷等される指定野菜と特定野菜を

    対象とする事業です。

    -16-

  • 野菜部門は、新規農業就業者は他部門に比べ多いものの、産地の

    世代交代に必要な人数がすべて確保できているとは言えません。

    このため、県、市町村、農業団体等が一体となり、新規就業者の、

    育成・確保を図っていく必要があります。

    また、生産コストが上昇し、経営が圧迫されてきているため、高

    生産技術や低コスト技術等の導入の支援とともに、価格安定制度へ

    の加入促進や研修制度の充実等、経営安定のための組織的な支援が

    必要です。

    課題と対応方向

    -17-

  • (3) 消費の動向

    ア 野菜の需給状況

    国内生産量は横ばいで推移しています。

    国民1人当たりの国内野菜の供給数量は 95kg 程度であり、やや減少

    傾向にあります。

    野菜全体の輸入量は、残留農薬のポジティブリスト制度の開始や、

    冷凍食品の安全・安心問題の影響もあり、17年度以降は減少傾向に

    あります。しかし、景気の低迷などにより海外の低価格な野菜を求め

    る消費者や実需者もあり、生鮮野菜に限り21年は増加に転じました。

    また、22年の野菜の価格高騰時には不足品目が海外から輸入されま

    した。

    野菜の需給状況

    食料需給表

    平成21年度は概算値。注)

    資料:

    輸出量

    区 分

    1人1年あたり供給数量

    輸入量

    国内消費仕向量

    95

    15,505

    95

    単位:千t、kg

    19年度 20年度

    12,654

    94.7%

    139

    15,593

    1410

    15,849

    96

    17年度

    3,367

    18年度

    国内生産量 12,492 12,356

    21年度/17年度

    95.5%

    12,527

    2,992

    100.0%

    75.2%

    90.0%

    2,811

    21年度

    12,491

    3,244 2,532

    9

    9294

    15,352 15,014

    生鮮野菜の輸入状況

    独立行政法人農畜産業振興機構「ベジ探」、原資料:財務省「貿易統計」

    単位:千t

    たまねぎ

    かぼちゃ

    58.1%

    86.1%

    184

    100

    主要輸入国

    358

    122

    41.6%

    中国

    韓国

    中国43

    208

    105

    42101

    291

    103

    104

    228

    105

    46

    19年 20年 21年 21年/17年17年品 目 18年

    中国

    中国

    中国

    アメリカ

    374549

    61

    956 719

    74.4%

    55.2%

    29

    615

    72

    35

    50

    71 49

    11

    42

    26

    18.8%

    49.2%32

    39

    63

    34

    13

    30

    資料:

    アメリカ

    597

    33

    31

    46.5%34

    7

    中国

    63.8%

    1,114

    にんじん及びかぶ

    ねぎ

    キャベツ等あぶらな属

    58ごぼう

    メロン

    生鮮野菜計

    69

    ブロッコリー

    -18-

  • イ 消費者の意向

    本県内の消費者を対象に行ったア

    ンケート調査結果によると、野菜を

    購入するときに最も重視するのは、

    50%以上の人が「新鮮さ」と回答

    しています。

    また、価格や産地を重視する回答

    もそれぞれ20%、14%あり、消

    費者のニーズが多様化していること

    が伺えます。

    同様に、本県内の消費者は本県産

    を含む国内産野菜を優先的に購入す

    る意向が強く、その意向は年代が上

    がるほど強くなっています。

    しかし、本県産を優先的に購入す

    る割合は、各年代を通して、国産野

    菜を優先的に購入する割合より低く、

    地元である本県野菜の良さをさらに

    PRしていく必要があります。

    消費者は新鮮な野菜を求めています。

    愛知県産を優先して購入してもらう意識を高めるため、県産野菜を積

    極的にPRするとともに、ブランド力を高める必要があります。

    課題と対応方向

    もっとも重視すること 単位:%

    資料:消費モニターアンケート

    (平成22年、383名)

    季節感

    外観

    4.1

    1.4

    産地

    栽培方法

    13.9

    7.1

    新鮮さ

    価格

    53.1

    19.9

    消費者が野菜を購入するときに

    項目 割合

    優先する産地 単位:%

    全体 愛知県産

    国内産

    20歳代 愛知県産

    国内産

    30歳代 愛知県産

    国内産

    愛知県産

    国内産

    愛知県産

    国内産

    愛知県産

    国内産

    資料:消費モニターアンケート

    (平成22年、383名)

    60歳以上 38.0

    54.3

    計 92.3

    50歳代 27.9

    60.7

    計 88.6

    40歳代 23.1

    71.4

    計 94.5

    15.5

    74.6

    計 90.1

    6.3

    81.3

    計 87.6

    26.9

    64.7

    計 91.6

    消費者が野菜を購入するときに

    項目 割合

    -19-

  • (4) 安全・安心への取組状況

    ア GAP手法の導入産地数

    GAP手法(農業生産工程管理。法令等に即した点検項目により生

    産工程の点検、記録、評価等を行う持続的改善活動)を導入している

    野菜産地は年々増加し、21年度には37産地で取り組んでいます。

    消費者へのアンケート調査結果では、ほぼ半数の消費者がGAP手

    法の導入を積極的に推進すべきと考えています。また、年代が上がる

    ほど、その割合は高まっています。

    また、GAP手法の導入産地で生産される農産物の希望価格を聞い

    たところ、約半数の消費者が「同じ価格」と答えています。

    GAP手法の導入産地数の推移

    農業経営課調べ

    21年度/18年度

    740.0%

    (70.0%)

    21年度19年度

    (49.3%)

    5 28 3710

    単位:産地

    資料:

    18年度 20年度

    (71.4%) (76.9%)

    区 分

    野菜

      (対農業全体)

    農業全体 7 13 40 75

    GAP手法の導入を積極的に推進すべきとした消費者の年代別割合 単位:%

    県政モニターアンケート調査(平成21年、498名)

    30歳代 45.6

    年 代 割合

    全体 46.5

    60歳代以上 51.3

    資料:

    40歳代 46.9

    50歳代 52.0

    20歳代 30.9

    GAP手法導入産地で生産される農産物の消費者希望価格割合

    県政モニターアンケート調査(平成21年、498名)

    40歳代

    50歳代

    60歳代以上

    年 代

    全体 0.88.2

    20歳代

    30歳代

    -

    5割高 2倍3割高

    47.4

    61.8

    4.948.5

    7.4

    同じ 1割高

    50.5 31.7

    40.8

    資料:

    35.0

    11.3

    22.0

    34.0

    39.5

    22.7

    7.3

    8.060.0 1.3

    1.3

    0.6

    -

    -

    -

    -

    2.0

    1.5

    -

    特にない わからない

    単位:%

    1.5 1.5 4.4

    2.1 1.1 5.0

    その他

    3.7 1.2 7.4

    1.9 1.0 8.7

    2.7 - 1.3

    - 2.7 5.3

    -20-

  • イ トレーサビリティ対応選果施設の整備

    トレーサビリティは消費者ニーズの一つであり、近年、それに対応

    できる体制をとるための選果施設の整備が進んでいます。

    トレーサビリティ対応選果施設の整備状況

    あいち中央農業協同組合

    園芸農産課調べ資料:

    付加内容

    選果日時

    17

    あいち海部農業協同組合

    出荷箱番号

    選果日時

    選果日時

    選果日時等

    選果日時

    きゅうり

    トマト 出荷箱番号

    18

    豊橋農業協同組合

    あいち中央農業協同組合

    あいち中央農業協同組合

    19

    21

    ひまわり農業協同組合

    事業実施主体 対象作目年度

    西三河農業協同組合 きゅうり

    トマト

    なす

    にんじん

    トマト

    ウ 生産履歴記帳の実施状況

    トレーサビリティの前提である生産履歴記帳は、JAグループの積

    極的な推進により、JAグループの系統出荷については、90%を越

    える高率で実施されています。

    また、流通組織(卸売市場・量販店等)も、生産履歴に関する情報

    の作成を生産者に義務づけている事例もあり、生産履歴記帳は、ほぼ

    定着していると考えられます。

    生産履歴記帳の実施状況 

    JA愛知経済連 業務資料

    記帳率=延べ記帳者数/延べ出荷者数。年度により出荷者数の増減がある。

    88% 92%

    20年度 21年度18年度 19年度 21年度/17年度

    注)

    95% 94% 106.8%

    資料:

    記帳率 88%

    項目 17年度

    エ 農薬の適正使用

    県では、農家向けに農薬の適正使用に関する講習会を毎年実施して

    います。また、18年に施行された食品衛生法上の残留農薬に対する

    ポジティブリスト制度を契機に、野菜農家では、収穫が近い野菜畑を

    周辺農家に知らせたり、飛散しにくいノズルを使用するなど、これま

    で以上に作物への農薬の飛散防止対策に取り組んでいます。

    さらに、JA生産組織や産直組織では、自主的に残留農薬分析を行

    っており、安全・安心な野菜の供給に向けて努力しています。

    -21-

  • 農産物の安全を確保するため、各産地で生産履歴の記帳やGAP

    の導入、トレーサビリティ対応設備の整備、農薬の適正使用等を進

    めています。

    消費者が安全・安心を求めるニーズは強く、経営体や産地は引き

    続き、安全・安心への取組を進める必要があります。

    課題と対応方向

    -22-

  • (5) 新品種・技術の研究開発と普及状況

    ア 愛知県育成品種の普及状況

    本県では農業総合試験場で生産者や消費者の要望に応じた品種の育

    成を行っています。育成品種のうち、じねんじょ「稲武2号」、しそ「愛

    経1号」、ふき「愛経2号」は県内の主力品種となっています。また、

    なす「試交05-3」は西三河地域で、いちご「ゆめのか」は海部地

    域を中心に作付面積が増加し、産地のブランド力強化に寄与していま

    す。

    愛知県育成品種の普及状況

    農業総合試験場推定値

    作付面積は平成21年注)

    単位:ha

    資料:

    作付面積

    12.0

    17.0

    品 目 品種名 区分

    9.2

    県内

    16.7

    1.5

    県内

    県内

    県外

    国内

    県内

    8.4

    20.6

    なす

    いちご

    稲武2号

    あいさか2号

    試交05-3

    ゆめのか

    主な普及地域

    設楽町

    じねんじょ

    トマト

    県内

    県内

    県外

    3.8

    29.2

    西尾市、幸田町

    豊田市、豊川市、新城市、岡崎市

    豊橋市、豊川市

    知多地域

    愛西市、豊川市

    メロン

    しそ

    ふき

    アールス輝

    愛経1号

    愛経2号

    イ 新技術の普及状況

    本県では、生産性向上につながる新技術が積極的に導入され、経営

    の安定に寄与しています。

    新技術の普及状況

    いちご

    トマト

    農林水産事務所農業改良普及課調べ

    普及面積は平成22年

    田原市、設楽町、新城市

    少量培地耕 50.6

    主な普及地域

    愛西市、豊橋市、豊川市、稲沢市

    豊橋市、豊川市、碧南市

    豊橋市、豊川市、田原市

    14.6

    炭酸ガス施用

    高軒高ハウス

    単位:ha

    22.4 田原市、豊橋市、豊川市

    田原市、豊橋市、豊川市

    県内全域

    吉良町、豊橋市、豊川市、蒲郡市

    田原市、豊橋市、豊川市、蒲郡市

    愛西市、幸田町、岡崎市、西尾市

    県内全域

    資料:

    注)

    技術名 普及面積

    70.5

    14.8

    6.5

    17.7

    100.8

    6.7

    品 目

    隔離床栽培(ドレンベッド等)

    水耕栽培

    養液土耕栽培

    有機培地

    ロックウール高設栽培

    ロックウール栽培

    養液土耕栽培

    連続うね利用栽培

    31.1

    35.5

    うち袋培地 7.1 豊橋市、豊川市、田原市

    炭酸ガス施用 33.0 豊橋市、豊川市、田原市

    -23-

  • 本県産野菜のブランド力を支え、また経営安定に資する新品種や

    新技術の開発や導入は、着実に進んでいます。

    今後も、生産コストの上昇や消費者ニーズの多様化が見込まれる

    ため、品質向上、生産コスト低減、収量増加につながる品種の育成

    や技術の研究開発と導入が引き続き必要です。

    課題と対応方向

    -24-

  • (6) 園芸優良種苗の供給状況

    本県では、いちご、ふき、じねんじょの4品目について、以下の体制

    で優良種苗の生産供給を行っています。

    ① 農業総合試験場において、無病化した基核苗を生産し、(社)愛知

    県園芸振興基金協会に配付

    ② 配付された基核苗をもとに、園芸振興基金協会の園芸種苗センタ

    ーで原原種苗を生産し、各農協及び生産部会の地域増殖ほに配付

    ③ 配付された原原種苗をもとに、各農協及び生産部会の地域増殖ほ

    において原種苗が生産され、生産者に配付

    こうして各産地に優良種苗を統一的に供給することにより、いちごで

    は県内栽培面積の50%をカバーするなど、各産地の高い生産水準を維

    持することに寄与しています。

    園芸優良種苗の配付数の推移

    社団法人愛知県園芸振興基金協会生産計画資料:

    100.0%

    73.2%

    133.3%

    7,500

    3,0003,000

    120,000

    7,500

    3,000

    120,000

    20年度

    4,100

    90,000

    7,500

    4,100

    90,000 90,000

    ふき

    じねんじょ

    21年度 22年度

    7,500

    4,100

    90,000

    7,500

    単位:株、粒

    いちご 7,500

    22年度/17年度品 目 17年度 18年度 19年度

    園芸優良種苗を供給することによって高品質な野菜を安定的に供

    給することは、県民の生活にとって必要であるばかりでなく、県産

    野菜の優位性を確保するためにも継続していく必要があります。

    課題と対応方向

    -25-

  • 2 野菜の県内外への供給

    本県は全国有数の野菜産地であり、卸売市場を中心にした県内外への流

    通による安定供給が盛んに行われています。

    一方で、加工・業務用需要の増加に対応した出荷・流通や、地産地消の

    ニーズの高まりに応じた直売などの取組も増加し、海外への輸出に取り組

    む産地もあるなど、流通経路は多様化しています。

    (1) 県内外への安定供給

    ア 東京都中央卸売市場における本県産主要野菜のシェア

    本県産主要野菜のうち、キャベツは20%台、トマト類は10%台、

    おおばは50%台、ふきは70%の数量シェアを獲得しています。

    しかし、いちご、たまねぎは数量シェアが低下傾向にあります。

    東京都中央卸売市場における本県産主要野菜の数量シェア 単位:%

    東京都

    0.0 0.0

    55.0 56.6 57.8 58.7

    0.0 0.0

    1.3 1.3 1.1 1.1

    24.1 22.8

    10.5 10.1 10.2 10.2

    2.1

    0.0

    58.6

    71.9

    10.0

    4.9

    16.5

    0.0

    4.4 4.5 3.9 3.3

    20.5 20.4 18.9 18.2

    17年 18年 19年 20年

    20.6

    資料:

    68.3 69.0 66.3 70.1ふき

    おおば

    0.0 0.0なす

    たまねぎ

    きゅうり 0.0 0.0

    ブロッコリー

    いちご

    トマト類

    キャベツ 24.9 22.7

    品 目 21年

    平成21年の月別でみると、キャベツは1~3月と12月で50%

    以上、ミニトマトは7~10 月を除き20%以上、おおばは年間を通じ

    て50%以上、ふきは1~3月と10~12月で95%以上のシェア

    となっています。

    東京都中央卸売市場における本県産野菜月別数量シェア(平成21年)

    0.0

    10.0

    20.0

    30.0

    40.0

    50.0

    60.0

    70.0

    80.0

    90.0

    100.0

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    %キャベツ

    ミニトマト

    おおば

    ふき

    -26-

  • イ 大阪市中央卸売市場における本県産主要野菜のシェア

    本県産主要野菜のうち、キャベツは30%、おおばは40%、ふき

    は50%の数量シェアを獲得しています。

    大阪市中央卸売市場における本県産主要野菜の数量シェア 単位:%

    大阪市

    17年 18年

    資料:

    56.3 48.1 46.3 51.3ふき

    25.3 23.8

    9.6 9.1

    0.1 0.0

    0.4

    おおば

    0.0なす

    38.1

    9.7

    0.0

    0.1 0.1

    0.4 0.4

    たまねぎ

    0.2きゅうり

    29.0

    7.8

    0.0

    1.0

    0.2

    ブロッコリー

    いちご

    0.4 1.1

    トマト類

    キャベツ

    1.2

    品 目 19年 20年 21年

    1.7

    0.0 0.1 0.0

    39.3 43.4 44.6 42.7

    平成21年の月別でみると、キャベツは1月と11・12月で50%

    以上、2~4月は40%以上のシェア、トマトは4月と7~10月を

    除き10%以上のシェア、おおばは9月と12月を除き40%以上の

    シェア、ふきは4~9月と12月を除き50%以上のシェアとなって

    います

    大阪市中央卸売市場における本県産野菜月別数量シェア(平成21年)

    0.0

    10.0

    20.0

    30.0

    40.0

    50.0

    60.0

    70.0

    80.0

    90.0

    100.0

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    キャベツ

    トマト

    おおば

    ふき

    -27-

  • ウ 名古屋市中央卸売市場における本県産主要野菜のシェア

    本県産主要野菜のうち、キャベツは50%台、トマト類は30%、

    いちごは60%、おおばは90%、ふきは90%台の数量シェアを獲

    得しています。

    名古屋市中央卸売市場における本県産主要野菜の数量シェア 単位:%

    名古屋市資料:

    ふき 93.7 92.8 92.4

    おおば

    41.9

    86.2

    なす 43.9 44.2 43.1

    たまねぎ

    24.4

    15.0

    きゅうり 26.4 26.6 23.2

    ブロッコリー

    63.9

    30.9

    いちご 52.7 53.6 60.8

    トマト類

    52.5

    28.3

    キャベツ 46.4 50.3 50.8

    品 目 21年17年 18年 19年

    94.3

    20年

    50.0

    30.0 28.9 30.2 25.7

    60.1

    26.0 33.8 30.4 31.4

    25.5

    13.1 14.1 14.4 14.7

    43.1

    87.1 86.3 88.9 89.9

    92.4

    平成21年でみると、キャベツは1~3月と12月で90%以上、

    2~4月は40%以上のシェア、トマトは8~10月を除き30%前

    後のシェア、おおばは10月除き90%前後のシェア、ふきは8月を

    除き90%前後のシェアとなっています。

    名古屋市中央卸売市場における本県産野菜月別数量シェア(平成21年)

    0.0

    10.0

    20.0

    30.0

    40.0

    50.0

    60.0

    70.0

    80.0

    90.0

    100.0

    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    キャベツ

    トマト

    おおば

    ふき

    -28-

  • 今後も全国有数の野菜供給県としての地位を確保するため、計画

    生産・計画出荷による、卸売市場等への安定供給を進めることが必

    要です。

    課題と対応方向

    -29-

  • (2) 量販店や加工業者への流通

    近年の生活スタイルの変化から、食の外部化が進展し、国内の野菜需

    要は家計消費用から加工・業務用に変化しており、農林水産政策研究所

    の試算によれば、全体需要の55%(17年)を加工・業務用が占めて

    います。

    本県においても、通い容器などを利用した専用の出荷形態での出荷も

    行われています。

    量販店や加工業者への契約供給は、本県産野菜の流通においても、重

    要な位置を占めており、22年度に各産地が作成した産地強化計画にお

    いても多くの産地が契約取引の推進を目標としています。

    産地強化計画の戦略タイプ別計画数

    複数の戦略タイプを目標としている計画があるため、計画数と一致しない。注)

    計 67 9 32

    2 0 1 1

    区 分 計画数戦略タイプ

    低コスト化 契約取引推進 高付加価値化

    3 10

    21 20

    14

    35

    特定産地 26

    その他

    指定産地 39 6

    契約取引は、経営体の経営安定の一つの手段として有効であり、

    順次、拡大していくことが必要です。

    なお、量販店や加工業者等と連携した新たな品目づくりも必要で

    す。

    課題と対応方向

    -30-

  • (3) 直売所の状況

    県下の直売所数はやや減少したものの、出荷者数は横ばいで、来場者

    数は増加傾向にあります。

    直売所の状況 単位:か所、人、千人

    農林政策課調べ

    19年度

    296

    21年度

    282

    調査対象は、市中汚損、農林漁業団体または農林漁業者の組織する団体が運営する常設店舗及び定期的に開催する朝市や青空市。

    注2) 出荷者数及び来場者数は推計値

    直売所数

    資料:

    区 分

    出荷者数

    注1)

    21年度/19年度

    95.3%

    110.7%来場者数

    101.8%34,961 35,600

    33,338 36,900

    アンケート調査によると、直売所で7割の人が「よく」あるいは「と

    きどき」野菜を購入すると回答しています。

    直売所は、野菜の流通形態の一つとして定着したと考えられます。

    消費者が直売所で野菜を購入する頻度

    小数点第2位で四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。

    11.5 0.0

    6.2 0.051.2 13.2

    19.7

    0.0

    2.8 0.0

    12.1 1.124.216.5

    18.8

    ときどき購入

    50.0

    47.5 21.3

    購入しない 無回答

    8.4 0.3

    資料:

    注)

    全体

    愛知県産農産物に関するアンケート調査(平成22年、383名)

    0.0

    16.9

    37.5

    29.5

    あまり購入しない

    46.2

    43.8

    23.9

    50歳代

    56.3

    単位:%

    22.3

    よく購入

    19.0

    60歳以上

    年 代

    20歳代

    30歳代

    40歳代

    直売所は、消費者ニーズに対応した野菜流通の一つの形態として

    定着しています。

    直売所を通じた野菜の供給においても、特産品の開発や品揃えの

    充実など、消費者ニーズをとらえ、特色ある直売所にする必要があ

    ります。

    課題と対応方向

    -31-

  • (4) 野菜消費量とその拡大への取組

    ア 野菜の消費量

    厚生労働省が推進している健康づくり運動「健康日本21」では、

    健康増進の観点から1日350g以上の野菜を食べることを目標とし

    ています。

    消費者に対するアンケート調査によると、1日当たりの野菜摂取量

    は、すべての年代で不足しており、特に30歳未満の摂取量が少なく

    なっています。

    1日あたりの野菜摂取量

    需要者ニーズ対応状況調査

    203

    20年19年

    280

    287

    238

    294

    18年

    168

    147

    21年

    217

    196

    161

    210

    168

    131

    266

    196224

    252

    217

    182

    224

    168231

    196

    50歳代 301

    全体

    単位:g

    161

    22年

    144

    168

    72.5%

    62.8%

    203

    年 代

    資料:

    130

    196

    203

    189

    189

    60歳代

    70歳以上 60.4%

    22年/18年

    66.7%

    54.6%

    68.3%

    30歳未満

    308

    336

    30歳代

    40歳代

    70.5%

    品目別でみると、平成18年度と22年度に実施したアンケート結

    果では、トマト、たまねぎ、ブロッコリーなどは消費量が増え、ふき、

    ちんげんさい、おおば、ほうれんそうなどは消費量が減ったという回

    答結果でした。

    消費量が増えた野菜は、サラダなど調理に手間がかからない料理に

    使われるのに対し、消費量が減った野菜は、煮物など調理に手間がか

    かるような料理に使われたり、調理方法がわからないような野菜と考

    えられます。

    -32-

  • 消費量が増えた野菜、減った野菜

    22年度は愛知県産農産物に関するアンケート調査(383名)

    アンケートでそれぞれの回答が多かった上位5位までの野菜

    はくさい

    18年度 22年度

    きゅうり ちんげんさいちんげんさい

    おおば おおばたまねぎ

    注)

    なす

    キャベツ ブロッコリー

    18年度は需要者ニーズ対応状況調査(311名)

    キャベツ

    ほうれんそう ほうれんそうだいこん

    資料:

    たまねぎ

    ブロッコリー

    ふきトマトトマト

    消費量が減った野菜消費量が増えた野菜

    22年度18年度

    ふき

    イ 消費拡大の取組

    各地域では、生産者や産地などが各種イベントを活用した消費拡大

    の取組を行っています。

    また、県域でも各種団体が消費拡大の取組を行っています。

    野菜消費拡大の取組(県域)

    実 施 主 体 内     容

    愛知県冬春なす協議会 食品メーカーと協力し、量販店で販売

    愛知県いちご品評会 品評会の出品物を、量販店で販売

    愛知県経済農業協同組合連合会 量販店で「あいちフェア」開催

    ウ 輸出の取組

    近年、農産物の輸出に取り組む産地があります。

    農産物の輸出は、縮小傾向にある国内市場の一部を補う新たな販路

    開拓や、海外における「あいち」の農産物等の知名度を向上させる取

    組と考えられます。

    輸出に当たっては、国内外の産地間競争の激化、商慣習の違い、検

    疫上における相手国ごとの規制などが障壁となっています。

    本県産野菜の輸出状況

    園芸農産課調べ

    アンケート及び聞き取りによる調査のため、概数である。

    単位:t

    おおば

    メロン

    17年 18年

    2.0

    - 0.9 3.9 4.0

    資料:

    注)

    2.0

    品目

    -

    輸出先

    台湾

    香港

    1.2 1.2 1.6

    19年 20年 21年

    -33-

  • 調理に手間が掛かる、調理方法がわからないなどの理由で消費量

    が減少している野菜の消費拡大策が必要です。

    生産者や産地が流通業者や食品メーカーと手を組み、食べ方を提

    案するなどの情報発信を行うことで野菜生産への理解促進と消費拡

    大につなげる必要があります。

    また、新たな販路の一つとして、輸出にも取り組む必要がありま

    す。

    課題と対応方向

    -34-

  • 3 安全で環境に配慮した野菜生産

    環境負荷軽減と地球温暖化対策の必要性が高まる中、野菜生産において

    も、省エネルギー技術の導入への取組が拡大し、また、エコファーマーの

    認定者数が増加し、環境への負荷を軽減する技術の導入が進んでいます。

    (1) 施設園芸におけるCO2削減の取組状況

    本県は施設園芸が盛んであり、野菜の栽培施設1,727ha のうち

    990ha が主に重油を使った加温栽培を行っています。19年からの燃

    油価格の高騰に対応するため、省エネに効果の高い被覆の多層化や、高

    効率暖房機及びヒートポンプなどの導入が始まりました。

    また、24年度以降、電照栽培で利用する白熱電球が国内で製造され

    なくなることから、いちごやおおば産地では、蛍光灯やLED照明への

    切り替えに向けた検討・導入が始まっています。

    これらの設備の導入により、燃油や電気の使用量削減を通じて、施設

    園芸におけるCO2排出量削減を促進することができます。

    野菜の施設設置面積と加温設備の状況 単位:ha 施設設置面積

    省エネ関連施設に関する調査(平成21年)

    ( )は、施設設置面積に対する割合

    うち加温施設あり

    1,001

    (58.0%)

    うち重油利用

    990

    うちヒートポンプ利用

    7

    区 分

    21年 1,727

    (57.3%)

    資料:

    注)

    (0.4%)

    野菜における光源別の電照面積

    省エネ関連施設に関する調査(平成21年)

    単位:ha

    区 分 しそ いちご その他

    白熱球 2 146 29

    177

    その他 0 0 0

    蛍光灯 76 3 15

    0 0LED 0

    資料:

    94

    1

    0

    272計 78 149 44

    施設園芸における省エネの取組は、経営改善に資するだけでなく、

    CO2の排出削減を通じて地球温暖化防止につながるため、積極的に

    推進する必要があります。

    課題と対応方向

    -35-

  • (2) 環境に配慮した生産の状況

    野菜生産において、肥料成分の流亡が少ない肥効調節型肥料の利用技

    術や、化学合成農薬の使用を低減できる微生物農薬や天敵の利用技術が

    普及しています。

    また、土づくりを基本として、化学肥料及び化学合成農薬の低減に取

    り組むエコファーマーは、23年1月現在、4,252人認定されてい

    ます。このうちの約70%が野菜部門での認定を受けています。中でも、

    果菜類と葉茎菜類の認定者数が多くなっています。

    野菜部門のエコファーマー認定者数 単位:人

    野菜

    農業経営課調べ

    平成23年1月時点

    品目ごとの計画認定であるため、野菜計と類別合計は一致しない。

    対全部門計割合

    66.0%

    1,008

    2,084

    351

    140

    実数

    2,808

    35

    86

    豆類

    いも類

    果菜類

    葉茎菜類

    全部門計

    根菜類

    その他

    4,252

    品 目

    資料:

    注)

    環境に配慮した適切な施肥や化学合成農薬使用の低減など、野菜

    生産にともなう環境への負荷を減らすことは、時代のニーズとなっ

    ています。

    また、環境に配慮した野菜生産に取り組むことは、環境への配慮

    のみならず、自らの農業経営の改善につながります。

    こうした環境に配慮した取組を消費者へ情報発信し、消費者の理

    解を得ることも必要です。

    課題と対応方向

    -36-

  • (3) 多様なバイオマスの利活用状況

    エコファーマーの増加など環境保全型農業の進展により、家畜ふんた

    い肥等を利用した土づくりは定着してきました。

    本県における年間の家畜排せつ物発生量は、21年度現在で約232

    万トン、うち農業等への利用量は約183万トンと推定されます。家畜

    排せつ物の処理高度化施設については、必要とされる施設数がおおむね

    充足しています。

    尾張地域や海部地域で、量販店からの食品残さと家畜排せつ物の混合

    たい肥を利用した土づくりを行い、野菜を生産する取組が始まり、他地

    域に広がりつつあります。

    環境保全型農業、土づくりに取り組んでいる農家数の推移 単位:戸

    販売農家

    (対販売農家)

    (対販売農家)

    農林業センサス

    17年/12年

    79.4%

    190.4%23,981

    (46.4%)

    うち環境保全型農業に取り組んでいる農家

    資料:

    うち土づくりに取り組んでいる農家

    8,045

    (12.4%)

    12,594

    (19.4%)

    13,880

    区 分 17年

    51,638

    12年

    65,065

    (26.9%)

    172.5%

    地域に存在するバイオマスを原料としたたい肥等の施用は、土づ

    くりに有効であるため、より一層の利用を推進する必要があります。

    しかし、過剰な施用は、肥料成分が流亡し、環境に負荷を与える

    おそれがあるため、適切な施用量を守る必要があります。

    課題と対応方向

    -37-

  • (4) 農業用使用済プラスチックの適正処理状況

    本県は施設園芸が盛んで、毎年多くの農業用使用済プラスチックが排

    出されます。このため、本県では農業用使用済プラスチック適正処理推

    進の基本方針及び愛知県農業用使用済プラスチック適正処理推進計画を

    策定し、組織的回収やリサイクルを中心とした適正処理を推進するとと

    もに、長期展張性資材などの利用による排出量の削減を推進しています。

    21年度のリサイクル率は80%となっており、ここ数年で大幅に向

    上してきました。しかしながら、地域によっては、埋立等の処理がされ

    ています。

    また、JAを中心とした組織的回収を推進していますが、その回収率

    がピーク時の95%から低下し、21年度は92%となっています。

    さらに、農業用使用済プラスチックの適正処理を推進する上で、重要

    な役割を担う市町村等協議会の活動が停滞している事例も見られます。

    農業用使用済プラスチックの処理方法別処理量の推移 単位:t

    19

    17

    資料: 農林水産省 園芸用施設及び農業用廃プラスチックに関する調査

    17年

    2,261

    1,296

    178

    807

    19年

    2,457

    876

    10.7%

    その他(農家保管等) 2.1%

    315

    55

    焼却処理

    100.1%

    埋立処理 41.5%

    2,263

    538

    再生処理

    区 分 21年/17年21年

    環境先進県を目指す本県としては、農業用使用済プラスチックの

    排出量の削減、組織的回収による再生利用を中心とした適正処理を

    より一層推進する必要があります。

    また、推進にあたっては、市町村等協議会などの活動を活発化す

    ることが必要です。

    課題と対応方向

    -38-

  • Ⅲ 

    20

    15

    年の

    姿

    目標

    と、

    これ

    を支

    える

    3つ

    の柱

    多様

    な担

    い手

    の育

    成・

    支援

    安全

    ・安

    心へ

    の取

    優良

    品種

    の育

    成・

    普及

    新技

    術の

    研究

    開発

    ・普

    生産

    基盤

    の整

    市場

    を通

    じた

    県内

    外へ

    の安

    定供

    直売

    所等

    によ

    る地

    産地

    消の

    推進

    生産

    者と

    消費

    者の

    思い

    を伝

    えあ

    う取

    組(

    消費

    拡大

    等)

    地球

    温暖

    化対

    策(C

    O2排

    出量

    削減

    )

    多様

    なバ

    イオ

    マス

    の利

    活用

    推進

    (堆肥

    、食

    品残

    さ等

    )

    環境

    への

    負荷

    を軽

    減す

    る栽

    培の

    取組

    20

    15

    年の

    姿

    取組

    内容

     

    【目

    標=

    生産

    者と

    消費

    者の

    相互

    の思

    いを

    伝え

    る野

    菜生

    産の

    実現

    】 

    【数値

    目標

    =野

    菜産

    出額:

    1,

    220

    億円】

    意欲

    ある

    生産者

    による

    安全・安心

    で良

    質な野

    菜の安

    定生

    産消費

    者に満

    足を

    与える

    野菜の

    安定

    供給と

    情報

    発信

    環境に

    配慮し

    た野菜

    生産

    消費

    者ニ

    ーズ

    を喚

    起す

    る取

    組(

    6次

    産業

    化等

    産地

    ・担

    い手

    流通

    ・消

    費環

     境

    量販

    店や

    加工

    業者

    のニ

    ーズ

    に即

    した

    流通

    の推

    農業

    用使

    用済

    プラ

    スチ

    ック

    の適

    正処

    理推

    販路

    拡大

    のた

    め輸

    出の

    推進

    ○ 

    消費

    者は

    、良

    質な

    野菜

    を安

    心し

    て購

    入で

    きる

    。○

     生

    産者

    は、

    安全

    で良

    質な

    野菜

    を安

    定供

    給し

    て所

    得を

    確保

    し、

    意欲

    を持

    って

    野菜生

    産に

    取り

    組め

    る。

    ○ 

    産地

    は、

    生産

    者と

    消費

    者の

    相互

    の思

    いを

    伝え

    あう

    こと

    で、

    ブラ

    ンド

    (他

    との

    違い

    )力

    を持

    てる

    。り

    ょく

    -39-

  • Ⅳ 2015 年を目指した取組

    1 意欲ある生産者による安全・安心で良質な野菜の安定生産

    (1) 多様な担い手の育成・確保

    ○ 野菜経営の規模に応じた生産技術・経営指導の実施、補助事業や制

    度資金の活用などを推進することにより、意欲と能力のある基幹経営

    体を育成します。

    ○ 安定的な経営体を育成するため、認定農業者制度の活用を促進する

    とともに、野菜経営にたずさわる各世帯員が意欲とやり甲斐を持って

    経営に参画できるよう家族経営協定の締結を推進します。

    ○ 野菜価格安定制度等の支援策への加入を促進するとともに、加工・

    業務用野菜などの契約出荷を推進し、野菜経営の安定化を図ります。

    ○ 農業大学校における学生教育と研修事業を充実し、農業団体が設置

    している「新規就農相談センター」等との連携による就農相談活動の

    実施や就農支援資金の活用により、野菜部門への新規就業者を育成・

    確保します。

    ○ 地域において、行政や農協等による中高年齢者を対象とした農業講

    座の開設等や、定年退職者等の新規就農を支援する産地の仕組みづく

    りを支援します。

    ○ 県の「企業の農業参入相談デスク」の機能を活かし、企業やNPO

    などを対象とした相談活動を実施します。

    ○ 産地を維持するため、重量野菜の収穫・出荷などの作業で不足する

    労働力を補完する、農協等を中心とした仕組みづくりを進めます。

    野菜産地の担い手の中心として基幹経営体を位置づけ育成するとと

    もに、若者だけでなく、定年帰農者等も含めた地域の農業を支える多様

    な担い手の育成・確保に努めます。また、他部門からの参入に加え、企

    業やNPOなどの新たな担い手の農業参入を支援します。

    なお、農業の担い手の育成・確保の必要性は野菜部門だけではないた

    め、行政や関係団体が連携し、幅広く支援していく必要があります。

    -40-

  • 【野菜の多様な担い手の育成・確保方法】

    産地や生産者だけでなく、行政、農業団体等が役割を担いつつ連携して推

    進します。

    多様な担い手が支える活力ある野菜産地

    農林水産事務所

    農業総合試験場 農業大学校

    市町村・JA

    産地を支える多様な担い手

    基幹経営体、小規模農家、農業法人、新規参入者

    愛知県農業会議・・・・愛知県農業振興基金JA愛知中央会・・・・・・JAあいち経済連など・

    県域農業団体

    企業の農業参入相談デスク

    6次産業化・特産品づくり共同利用施設の増強・再整備

    集出荷場、選果施設、加工施設、直売所など(物流・情報拠点)・・・

    担い手の育成

    生産技術・経営指導研修会・講習会の開催価格安定制度等の活用促進

    新規参入希望者(企業・NPO等)

    農業後継者・定年帰農者等

    連携

    労働力補完の仕組みづくり

    連携

    連携

    連携

    多様な担い手の確保

    就農相談活動、就農支援金の活用、農業講座の開設等

    多様な担い手が支える活力ある野菜産地

    農林水産事務所

    農業総合試験場 農業大学校

    市町村・JA

    産地を支える多様な担い手

    基幹経営体、小規模農家、農業法人、新規参入者

    愛知県農業会議・・・・愛知県農業振興基金JA愛知中央会・・・・・・JAあいち経済連など・

    県域農業団体

    愛知県農業会議・・・・愛知県農業振興基金JA愛知中央会・・・・・・JAあいち経済連など・

    県域農業団体

    企業の農業参入相談デスク

    6次産業化・特産品づくり共同利用施設の増強・再整備

    集出荷場、選果施設、加工施設、直売所など(物流・情報拠点)・・・

    担い手の育成

    生産技術・経営指導研修会・講習会の開催価格安定制度等の活用促進

    担い手の育成

    生産技術・経営指導研修会・講習会の開催価格安定制度等の活用促進

    新規参入希望者(企業・NPO等)

    農業後継者・定年帰農者等

    連携

    労働力補完の仕組みづくり

    連携

    連携

    連携

    多様な担い手の確保

    就農相談活動、就農支援金の活用、農業講座の開設等

    多様な担い手の確保

    就農相談活動、就農支援金の活用、農業講座の開設等

    定年帰農者への研修

    -41-

  • (2) 安全・安心への取組

    ○ 講習会等を通じて、農薬の適切使用を引き続き徹底するとともに、

    農薬散布時における周辺作物への配慮など飛散防止対策を推進します。

    また、生産組織などが野菜の残留農薬分析を行い、出荷物の安全性を

    確保します。

    ○ 生産・出荷組織や法人等の大規模農家を主な対象に、生産工程ごと

    の管理を適切に行うGAP手法の導入を促進し、出荷物の安全性を確

    保します。

    ○ 野菜生産に係る生産履歴の記帳を徹底する

    とともに、トレーサビリティに対応した施

    設・設備の導入を支援し、生産段階の情報を

    消費者に適切に提供できる体制整備を推進し

    ます。

    (3) 生産基盤の整備

    ○ 新鮮で、安全・安心な野菜の安定供給とコスト低減を図るため、集

    出荷施設や選果設備など、産地を支える共同利用施設の増強・再整備

    を推進します。

    ○ 農業委員会や農地利用集積円滑化団体などが行う担い手への農地の

    利用集積活動を支援し、農地の合理的な利用を促進します。

    ○ 農用地区域内の耕作放棄地を中心に、担い手への貸付や作業委託を

    促進し、野菜生産への利用を進めます。担い手のいない耕作放棄地に

    ついては、市民農園としての活用やNPO等による体験農園の開設な

    どを支援し、県民が野菜栽培に触れる場としての活用を図ります。

    良質な野菜の安定生産・供給に必要な共同利用施設の整備を進めると

    ともに、耕作放棄地の発生を抑制し、優良な野菜生産ほ場の確保に努め

    ます。

    安全・安心な野菜の生産・供給を確保するため、生産から出荷までの

    各段階における取組を推進します。

    トレーサビリティ

    対応出荷箱

    -42-

  • (4) 優良品種の育成・普及

    ○ 早生性を重視したいちごなど消費者ニーズに対応した品種や、スラ

    イス用トマト、漬物に適したなすなど加工業務用需要に対応した品種

    を育成します。

    ○ 育成された新品種は、現地での栽培実証等を行い、栽培技術の確立

    と産地への普及を図ります。

    ○ 栄養繁殖が必要ないちごなどの種苗は、県農業総合試験場が生産し

    た基核苗を社団法人愛知県園芸振興基金協会が増殖し、地域の増殖施

    設に供給するという現在の優良種苗供給体制の維持を図ります。

    (5) 新技術の研究開発・普及

    ○ 施設トマトの高収益型生産支援システムなど、施

    設内の光や温度、養分等を制御し、高品質・高収量

    を可能にする生産技術を開発します。

    ○ 露地野菜では、簡易被覆資材等の利用による生産

    期間の拡大と品質の向上を両立する栽培技術など安

    定生産技術を開発します。

    ○ 開発された技術は、現地において実証展示を行う

    など産地への普及を図ります。

    消費者ニーズに対応した高品質な野菜生産や、高収量で低コストを可

    能にする生産技術を開発します。

    消費者ニーズへの対応や業�


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