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水・土壌の環境分析
-環境基準、水質汚濁防止法、土壌
汚染対策法の測定方法の動向-
元東京都環境科学研究所
佐々木裕子
本 日 の お 話
水、土壌の環境基準の見直しとその背景
土壌汚染対策法の改正の概要
測定方法の改定
・ガス調査の概要と改定
・土壌検液の作成法の改定
・水、土壌の測定方法
今後の項目や基準値改正の動向
水、土壌の環境基準の
見直しとその背景
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平成15年:水環境基準(水生生物)全亜鉛
平成21年:水環境基準(健康項目)1,4-ジオキサン
同(健康項目:基準値改定) 1,1-ジクロロエチレン
地下水環境基準(健康項目)塩化ビニルモノマー(平成28年3月 クロロエチレンに項目名変更)
地下水環境基準(健康項目)1,2-ジクロロエチレン
平成23年:水環境基準(健康項目:基準値改定)カドミウム
平成24年:水環境基準(水生生物)ノニルフェノール
平成25年:水環境基準(水生生物)LAS
平成26年:水環境基準(健康項目:基準値改定)トリクロロエチレン
平成28年:水環境基準(生活環境項目)底層DO
令和 2年:要監視項目(健康項目)PFOS&PFOA 審議中
近年の水環境基準等の設定概要
人の健康の保護に関連する環境基準項目要監視項目及び要調査項目の関係
要監視項目
要調査項目水環境リスクはあるものの比較的大きくない又は不明であるが水環境での検出状況や複合影響の観点から、水環境リスクに関する知見の集積が必要な物質
公共用水域等における検出状況等からみて、現時点では直ちに環境基準とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断された物質
人の健康の保護のために維持されることが望ましい基準であり、行政上の政策目標(環境基本法第16条)
都道府県 常時監視義務
国、都道府県は水環境の調査に努め、水環境の管理に活用
水環境の調査等の環境省による知見や情報の収集
WHO飲料水のガイドライン、食品の安全性の科学的知見等
水道水の基準改訂
公共用水域 水質環境基準地下水環境基準の改正
水環境実態 使用実態等
水環境基準等の策定の流れ
水質汚濁防止法 排水基準
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WHO飲料水のガイドライン、食品の安全性の科学的知見等
水道水の基準改訂
公共用水域 水質環境基準地下水環境基準の改正
水環境実態 使用実態等
環境基本法-土壌の環境基準
土壌汚染対策法
土壌環境基準等の策定の流れ
飲用リスクに加え、摂取リスク
土壌中の挙動-分解生成等を勘案
水質汚濁に関わる人の健康の保護に関わる環境基準等の見直しについて(諮問)
諮問第56号平成14年8月15日
公共用水域等でのデータの蓄積や飲料水ガイドラインの改定予定等の国際的な動向を踏まえた見直し
環境基準追加 1,4-ジオキサン
地下水環境基準 塩化ビニルモノマー(クロロエチレン)
1,2-ジクロロエチレン(従来:シス-体)
基準値見直し 1,1-ジクロロエチレン
カドミウム及びその化合物トリクロロエチレン
土壌の環境基準及び土壌汚染対策法の特定有害物質の見直し(諮問)
諮問第362号平成25年10月7日
平成21年から23年にかけて行われた水環境基準項目の追加、見直し
土壌の環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し
1,4-ジオキサン塩化ビニルモノマー(クロロエチレン)1,2-ジクロロエチレン(従来 シス-体)1,1-ジクロロエチレンカドミウム及びその化合物トリクロロエチレン
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水環境基準地下水環境基準
カドミウム 0.003mg/L 0.003mg/L
全シアン 不検出 不検出
鉛 0.01mg/L 0.01mg/L
六価クロム 0.05mg/L 0.05mg/L
砒素 0.01mg/L 0.01mg/L
総水銀 0.0005mg/L 0.0005mg/L
アルキル水銀 不検出 不検出
PCB 不検出 不検出
ジクロロメタン 0.02mg/L 0.02mg/L
四塩化炭素 0.002mg/L 0.002mg/L
1,2-ジクロロエタン 0.004mg/L 0.004mg/L
1,1-ジクロロエチレン 0.1mg/L 0.1mg/L
シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L0.04mg/L
トランス-1,2-ジクロロエチレン -
1,1,1-トリクロロエタン 1mg/L 1mg/L
水環境基準地下水環境基準
1,1,2-トリクロロエタン 0.006mg/L 0.006mg/L
トリクロロエチレン 0.01mg/L 0.01mg/L
テトラクロロエチレン 0.01mg/L 0.01mg/L
1,3-ジクロロプロペン 0.002mg/L 0.002mg/L
チウラム 0.006mg/L 0.006mg/L
シマジン 0.003mg/L 0.003mg/L
チオベンカルブ 0.02mg/L 0.02mg/L
ベンゼン 0.01mg/L 0.01mg/L
セレン 0.01mg/L 0.01mg/L
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
10mg/L 10mg/L
ふつ素 0.8mg/L 0.8mg/L
ほう素 1mg/L 1mg/L
1,4-ジオキサン 0.05mg/L 0.05mg/L
クロロエチレン - 0.002mg/L
人の健康の保護に関する水質環境基準
1,4-ジオキサン
水質モニタリング結果 H16-19公共用水域 環境基準値超過 2地点/2075延べ調査地点数
地下水 地下水基準値 超過 14地点/ 905延べ調査地点数
Yamazakiら(1994) ラットの飲水投与試験 肝腫瘍発生率→ 水道水 基準値 0.05mg/L
発がん評価 IARC 2B ヒトに発がん性を示す可能性
用途 洗浄剤、合成反応用溶剤、医薬品合成原料過去 1,1,1-トリクロロエタンの安定剤
界面活性剤製造時の副生成重合過程での副生成(エトキシ化反応)
1,4-ジオキサン 環境基準の設定
土壌ガス調査を適用しても、その特性から検出が困難
合理的な調査手法が構築できるまで、特定有害物質に指定せず
C4H8O2
水溶解度 任意の割合で溶解、 油にも溶解
難分解性 土壌分配係数 小さい
*地下水汚染対策については、水質汚濁防止法の水質浄化措置命令で対応可能
平成29年 土壌環境基準 0.05mg/L
水質環境基準 0.05mg/L地下水環境基準 0.05mg/L
平成21年
土壌汚染対策法
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H21.9 公共用水域及び地下水環境基準 0.02mg/L →0.1mg/L
1,1-ジクロロエチレン 基準値の見直し
水質基準および地下環境基準が見直されたことすでに測定方法があることを踏まえ
土壌環境基準等を見直し
平成26年3月
0.02mg/L → 0.1mg/L土壌環境基準
土壌汚染対策法 0.02mg/L → 0.1mg/L平成26年8月
食品安全委員会の評価結果(H19 .3)
1983 年Quast ら-ラット2年間飲水試験の評価の見直し肝小葉中心性の脂肪変性 最大無作用量に近い10%の影響に対するベンチマーク用量の95%信頼下限値を用いることが、最も適当
発がん評価 国際がん研究機関(IARC )グループ1 ヒトに発がん性C2H3Cl
主な用途ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体の合成原料
PRTR制度による全国の届出量(平成24年度)公共用水域 3,793kg/年 大気 160,633kg/年
クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)
水道水(原水、上水)不検出
水質基準に設定せず、要検討項目 0.002mg/l
全国のモニタリング結果 H16-20公共用水域 延調査地点 2943 基準値超過 延4地点地下水 延調査地点 1621 基準値超過 延230地点
テトラクロロエチレンCCl2=CCl2
トリクロロエチレンCHCl=CCl2
1,1,2-トリクロロエタンCH2Cl-CCl2
1,1,1-トリクロロエタンCH3-CCl3
シス/トランス-1,2-ジクロロエチレン CHCl=CHCl
1,1-ジクロロエチレンCH2=CCl2
1,2-ジクロロエタンCH2Cl-CH2Cl
クロロエチレンCH2=CHCl
揮発性有機化合物の分解経路
クロロエチレンは、工場等からの直接の排出ではなく、地下での分解生成
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クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)
ガス調査
公共用水域、地下水の検出状況
公共用水域 要監視項目地下水環境基準 0.002mg/l
土壌の環境基準 0.002mg/l土壌汚染対策法 0.002mg/l
平成29年4月
平成16-20年度の検出状況(全国自治体調査結果)基準値 0.04mg/L
測定地点数基準値超過地点数
基準値の10%値超過地点数
公共用水域シス-1,2-ジクロロエチレン 3558-3673/年 0 7トランス-1,2-ジクロロエチレン 857~982/年 0 0
地下水シス-1,2-ジクロロエチレン 857~982/年
152-173 418-447
(延べ 823) (延べ2204)
トランス-1,2-ジクロロエチレン 891~1075/年0-6 7-25
(延べ8) (延べ68)
平成16-20年度の地下水における同一井戸のシス体、トランス体の検出状況
シス&トランスの測定地点数
シス体の基準値超過地点数
トランス体の基準値超過地点数
合算した場合に超過地点数
4,581 201 8 10
シス、トランス-1,2-ジクロロエチレン
テトラクロロエチレン
CCl2 =CCl2
シス/トランス-1,2-ジクロロエチレン
CHCl=CHCl
トリクロロエチレン
CHCl=CCl2
健康影響評価シス体の実験報告は少ない。トランス体は実験からTDI 0.017mg/kg・日食品安全委員会シス/トランス体の合計値で再評価 TDI0.017mg/kg・日
(シス-)1,2-ジクロロエチレンの見直し
平成31年4月
1,2-ジクロロエチレン土壌の環境基準 0.04mg/l土壌汚染対策法 0.04mg/l
平成21年9月答申
水質環境基準シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/l地下水環境基準
1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/l
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WHO飲料水水質ガイドライン第3版1次追補(2006年)暫定ガイドライン値 0.007mg/L→0.02mg/L耐容一日摂取量(TDI)
23.8μg/kg・体重/日→1.46μg/kg・体重/日追加コメント 入浴頻度や室内換気率が低い場合は、
経皮及び吸入の追加曝露を考慮すべき
水道水質基準 0.03mg/L → 0.01mg/LH26 水、地下水の環境基準 0.01mg/L
トリクロロエチレン
土壌環境基準、土壌汚染対策法特定有害物質0.03mg/L → 0.01mg/L 審議
カドミウム及びその化合物
見直しの背景食品安全委員会(H20.7)において、多くの疫学、動物実験の知見から、特に長期低濃度ばく露を重視国内2つの疫学調査 → 腎近位尿細管機能への影響耐容週間摂取量7μg/体重kg/週→水からの摂取10% 体重50kg 飲用水量2L/日水道基準値 0.01mg/L → 0.003mg/L
Cd
H23水質環境基準、地下水環境基準 0.01mg/L → 0.003mg/L
土壌環境基準、土壌汚染対策法特定有害物質0.01mg/L → 0.003mg/L 審議
水と土壌のVOCの環境基準等
水環境基準地下水環境基準 土壌環境基準 土壌指定基準
1,4-ジオキサン 0.05mg/L 0.05mg/L0.05mg/L(H29.4) -
クロロエチレン - 0.002mg/L0.002mg/L(H29.4)
0.002mg/L(H29.4)
1,1-ジクロロエチレン 0.1mg/L 0.1mg/L 0.1mg/L 0.1mg/L
シス-1,2-ジクロロエチレン
0.04mg/L0.04mg/L 0.04mg/L
(H31)0.04mg/L(H31)トランス-1,2-ジクロロ
エチレン-
カドミウム 0.003mg/L 0.003mg/L 0.01mg/L 0.01mg/L
トリクロロエチレン 0.01mg/L 0.01mg/L 0.03mg/L(審議中)
0.03mg/L(審議中)
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土壌汚染対策法の改正の概要
地下水経由の飲用リスク
生涯(70年間)1日に2Lを飲み続けて有害影響を及ぼさない濃度は・・
土壌の直接摂取リスク
生涯(70年間)居住し、1日に100mg(子ども200mg)の土壌を摂取して有害影響を及ぼさない濃度は・・
土ぼこりや手についた土
地下水
汚染土壌
汚染地下水
特定有害物質:健康被害が生ずるおそれ
第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)12項目・クロロエチレン・四塩化炭素・1,2-ジクロロエタン・1,1-ジクロロエチレン・1,2-ジクロロエチレン*・1,3-ジクロロプロペン・ジクロロメタン・テトラクロロエチレン・トリクロロエチレン・1,1,1-トリクロロエタン・1,1,2-トリクロロエタン・ベンゼン
第三種特定有害物質(農薬・PCB等)
5項目・シマジン・チオベンカルブ・チウラム・PCB・有機りん化合物
地下水等摂取リスクを考慮した26項目(土壌溶出量基準 mg/L)直接摂取リスクを考慮した9項目(土壌含有量基準 mg/kg)
第二種特定有害物質(重金属等)
9項目・カドミウム及びその化合物・六価クロム化合物・シアン化合物・水銀及びその化合物・セレン及びその化合物・鉛及びその化合物・砒素及びその化合物・ふっ素及びその化合物・ほう素及びその化合物
土壌汚染対策法に基づく特定有害物質
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認定調査の仕組みの改定
要措置地域等
土壌汚染状況調査
基準不適合物質について区域指定
認定調査
試料採取・測定
健
全
土
壌
基準適合/汚染のおそれ無し地歴調査-汚染のおそれの
ある物質
基準不適合
基準適合
基準不適合 汚染土壌処理施設
汚染除去
区域指定物質措置-基準適合
汚染のおそれのある項目のみ全特定有害物質測定
費用負担の軽減
答申 土壌の測定分析上の課題
実環境に近い条件で試験するという諸外国の測
定方法の背景にある考え方を踏まえつつ、土壌
の汚染状態をより適切に分析できるよう手順の
明確化を進めるべき
溶出試験は飲用する可能性のある地下水への溶
出に係るものであることを踏まえ、分析結果の
ばらつきを抑制する方向で検討を行うべき
また、分析コスト・時間の増大に
つながらないよう配慮するべき
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測定方法の改定
ガス調査の概要と改定
-第1種特定有害物質(VOC)-
第1種特定有害物質VOCの調査の進め方
地歴調査
対象物質の特定・試料採取地点の選定
10m間隔調査
土壌ガス調査
使用履歴等
深度1m以浅に地下水存在→地下水調査
30m間隔調査
汚染のおそれ 汚染のおそれが少ない
土壌溶出量調査ボーリング原則10mまで
区域指定
1種以上検出
調査完了
不検出
基準適合基準不適合
措置の実施、土地の形質変更の規制、搬出の規制等
環境省告示第17号
ガス調査に係る改正事項標準ガス、標準液導入方法の追加
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特定有害物質 GC-PID GC-FID
GC-ECD
GC-ELCD
GC-MS10.2eV 11.eV
四塩化炭素 × ○ ○ ○ ○ ○
1,2-ジクロロエタン × ○ ○ ○ ○ ○
1,1-ジクロロエチレン ○ ○ ○ ○ ○ ○
1,2-ジクロロエチレン ○ ○ ○ ○ ○ ○
1,3-ジクロロプロペン ○ ○ ○ ○ ○ ○
ジクロロメタン × ○ ○ ○ ○ ○
テトラクロロエチレン ○ ○ ○ ○ ○ ○
1,1,1-トリクロロエタン × ○ ○ ○ ○ ○
1,1,2-トリクロロエタン × ○ ○ ○ ○ ○
トリクロロエチレン ○ ○ ○ ○ ○ ○
クロルエチレン ○ ○ ○ × ○ ○
ベンゼン ○ ○ ○ × × ○
PID: 芳香族、不飽和炭化水素類に選択的に応答ELCD:塩素、臭素数に比例して応答
土壌ガス-各分析法で測定可能なVOC
1,2-ジクロロエチレン等のガス調査の標準物質
国又は公的検査機関が濃度を保証するガス二次標準を使用して濃度を確認した混合標準ガスは、計量法の規定に基づく証明書等が添付されているものを使用することが明示
新規のVOCを加えた混合標準ガスの開発等には時間を要するため、当該混合標準ガスが市販されるまでの期間、製造事業者が濃度を保証するガスを使用できると改正
富士フイルム和光純薬(株)提供
[装置]Shimadzu QP-2010Plus[GC]BP624 ⾧さ 60m 内径 0.32mm 液相膜厚 1.8μmカラム温度:50℃(2分保持)→10℃/min→100℃→5℃/min→130℃→10℃/min→190℃(5分保持)キャリアガス:He 1.7mL/min注入方法:スプリット比 1/100注入量: 1μL
クロロエチレンを含むVOC混合標準液の整備
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テトラクロロエチレンCCl2=CCl2
トリクロロエチレンCHCl=CCl2
1,1,2-トリクロロエタンCH2Cl-CCl2
1,1,1-トリクロロエタンCH3-CCl3
シス-1,2-ジクロロエチレンCHCl=CHCl
1,1-ジクロロエチレンCH2=CCl2
1,2-ジクロロエタンCH2Cl-CH2Cl
クロロエチレンCH2=CHCl
ガス調査結果 対象物質の改正
使用等の履歴のある特定有害物質又その分解生成物のいずれかが検出
不検出の特定有害物質に該当する親物質や分解生成物を含めてボーリング調査の対象
四塩化炭素CCl4
クロロフォルム*
CHCl3
ジクロロメタンCH2Cl2
*:土対法の特定有害物質ではない
新たに考慮する特定有害物質の分解経路
四塩化炭素ないしジクロロメタンの一方が検出
↓両物質がボーリング調査対象
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測定方法の改定
土壌検液の作成法の改定
VOC溶出操作の改正点
塩酸を加え、pH5.8~6.3VOCの汚染のない純水
実汚染土壌によるろ過操作の溶出量濃度への影響例(都環研)
トリクロロエチレン テトラクロロエチレン
mg/L mg/LN=5
測定へ
重量体積比10%の割合 4時間マグネティックスタラー
粒径5mm≧の中小礫木片等を除く 混合液 500ml以上
(50g+500ml≧)容器空隙を最小限溶媒はVOC汚染のない水
測定へ
10~30分程度 上澄みを分取
第1種特定有害物質(VOC)溶出量検液の作成法
飲用リスクの観点で、如何に溶出液を地下水に近づけるか
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分析結果のばらつき抑制
第2、3種特定有害物質(重金属等、農薬、PCB)溶出操作の改定に向けた検討
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第2種特定有害物質溶出量検液の作成法
30℃以下
遠心条件3000g
ろ過-基本的には交換無し30分毎交換ろ紙直径 90mm規定孔径 0.45μm
過度にすり潰さない2mm 篩別
容器は溶媒量の概ね2倍
測定へ
混合液 500ml以上(50g+500ml以上)溶媒はJISK0557 A3又A4の水
4時間 水平方向
第2種特定有害物質 含有量検液の作成法
30℃以下 過度にすり潰さない2mm 篩別
溶媒量の概ね1.5倍の容器
試料6g以上、溶媒 重量体積比3%1mol塩酸、 Cr6+のみアルカリ緩衝液
2時間、水平振とう
土壌試料5~10g直接蒸留
Cd、Pb、As、Hg、Se、F、B、Cr6+
CN
測定
測定
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測定方法の改定
水、土壌の測定方法
・VOCの測定方法
・重金属その他の分析方法
測定方法の検討の進め方
基準値の1/10(目標定量下限値)を精度よく
・JIS・要調査項目のマニュアル・化学物質開発調査報告・国内外の文献等
・前処理・分析機器・標準物質、内部標準物質、試薬・従来法との比較
試料量・廃液量の少量化、有害物質の使用抑制精度、感度、効率化、簡易化、汎用性
(普及状況を踏まえた新規技術/機器の導入)
定量下限値-基準値の 1/10(例:目標定量下限値付近の濃度
を繰り返し分析標準偏差の10倍を目安)
添加回収率-70~120 %
河川水、海水又は汽水、排水、土壌溶出液等への標準物質を添加
室内変動-変動係数(CV) 10%以内
室間変動-CV 20%以内(3機関のCV)
その他-検量線の直線性
従来の測定方法との比較等
測定方法の精度確認試験
検証時の判断基準例
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水、土壌の測定方法
VOCの測定方法
VOCの測定方法の検討
感度、精度、効率化従来法JIS K0125(当時)の新規/基準値変更項目の適用可能性標準物質の整備等
クロロエチレン* 四塩化炭素 1,2-ジクロロエタン
1,1-ジクロロエチレン 1,2-ジクロロエチレン
1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン
テトラクロロエチレン トリクロロエチレン
1,1,1-トリクロロエタン、1,2-トリクロロエタン
ベンゼン 1,4-ジオキサン**
**土壌汚染対策法は未設定*公共用水域の環境基準は未設定
分子式 分子量 比重(20℃) 蒸気圧(kPa) 水溶解度(g/L) logPow
四塩化炭素 CCL4 153.82 1.589 15.0(25℃) 0.8 2.83
1,2-ジクロロエタン C2H4Cl2 98.96 1.2569 8.1(20℃) 8.6 1.48
1,1-ジクロロエチレン C2H2Cl2 96.94 1.2129 66.5(20℃) 2.42 2.13
1.2-ジクロロエチレン C2H2Cl2 96.94シス体 1.284 シス体 24 シス体 .3.5-.5.1 シス体 1.86
トランス体 1.257 トランス体 35.3 トランス体 6.3トランス体
2.09
1,3-ジクロロプロペン C3H4Cl2 110.97 1.225 5.2 2.0 1.36
ジクロロメタン CH2Cl2 84.93 1.3255 46.4 13 1.25
テトラクロロエチレン C2Cl4 165.83 1.6230 1.9 0.206 3.40
1,1,1-トリクロロエタン C2H3Cl3 133.40 1.3376 13.3 4.4 2.49
1,1,2-トリクロロエタン C2H3Cl3 133.40 1.4416 2.5 4.5 1.89
トリクロロエチレン C2HCl3 131.39 1.4559 7.8(20℃) 1.28(25℃) 2.42
ベンゼン C6H6 78.11 0.8787(15℃) 10.1 1.88 2.13
クロロエチレン(塩化ビニルモニマー)
C2H3Cl 62.5 0.9106 336(20℃) 8.81 (20℃) 1.38
1,4-ジオキサン C4H8O2 88.11 1.0337 4.0(20℃)水に任意の割合で溶解
-0.27
出典:財団法人化学物質評価機構 有害性評価書
VOCの物性等
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R.T.
1,4-ジオキサンはP&TやHS法では感度は低い
1,4-dioxane-d8
1,4-dioxane
VOCの一斉分析の検討
クロロエチレン
クロロエチレン、1,4-ジオキサンは物性がかなり異なり、従来のVOC項目に両物質を加えた場合のP&T-GC/MS法やHS-GCMS法の最適化はかなり難しい
VOCの一斉分析の検討
トラップ型の例
クロロエチレン又は1,4-ジオキサンは、基準値変更のVOCを含め他のVOCとP&T-GC/MS法やHS-GCMS法による同時測定可能。クロロエチレン、1,4-ジオキサンの両項目と他VOCの同時測定は不可
内標準物質 フルオロベンゼン、ブロモフルオロベンゼン塩ビモノマーd3体 ないし1,4-ジオキサンd8体測定対象物質により選択
内部標準物質添加
フルオロベンゼンブロモフルオロベンゼン
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1,4-ジオキサンの測定方法
固相(活性炭)抽出-GC/MS法
公共用水域、地下水環境基準、土壌環境基準
固相(活性炭)抽出-GC/MS法
HS-GC/MS法*、P&T-GC/MS法*
(*クロロエチレンを除く他のVOCと同時分析可)
シス体とトランス体の定量下限値は土壌溶出量基準の1/10を目安
シス体とトランス体が両方とも定量下限値以上の場合-シス体とトランス体の測定値の和を1,2-ジクロロエチレンの測定値とし、報告値は有効数字を2 桁として、3 桁目以降を切り捨てて表示
シス体、トランス体のいずれか一方が定量下限値未満で、他方が定量下限値以上の場合-定量下限値以上の方の測定値を1,2-ジクロロエチレンの測定値とし、報告値は有効数字を2 桁として、3 桁目以降を切り捨てて表示
シス体とトランス体が両方とも定量下限値未満の場合は、「定量下限値未満」と表示既に特定有害物質に定められ、1,3-ジクロロプロペンについても同様とすることが適当
「土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(第3次答申)」
(平成30年6月18日)
1,2-ジクロロエチレンの測定結果の数値の取り扱い
水、土壌の測定方法
重金属その他の分析方法
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カドミウム及びその化合物
試料水
酸処理・pH調整
固相カラム
検 水
測定電気加熱原子吸光法、ICP発光法、ICP質量分析法
前処理例
フレーム原子吸光法は50倍濃縮しても、定量範囲の下側に収まらないため、削除
キレート樹脂による分離濃縮
H23 カドミウムの水環境基準値強化時に採用
公共用水域水質環境基準、地下水環境基準、土壌環境基準及び排水基準等に係る告示の一部を改正する告示の公布
全シアン分析、環告59号付表1流れ分析法 アルキル水銀(環告59号付表3)
ベンゼンからトルエンに変更 ふっ素 流れ分析法
ハロゲンを多量に含む試料:蒸留試薬の変更
フェノール類 流れ分析法JIS K 0102 28.1.3 適用されていない「くえん酸蒸留4-アミノアンチピリン発色CFA法」 を適用
アンモニウムイオン-サリチル酸-インドフェノール青吸光光度法を追加
平成31年3月20日
JIS K0102の38に定める方法(JIS K0102の38.1.1及び38の備考11に定める方法を除く)又は水質環境基準告示付表1
シアン化合物の溶出量測定法の変更点
連続流れ分析(CFA)の追加
付表13.試料の保存残留塩素などの酸化性物質が共存する場合にあっては、L(+)-アスコルビン酸を加えて完全に還元した後、pH 約12とする
4試験操作(3) チオシアン酸イオンなどの共存物の影響がないように試料導入時間及び水による洗浄時間を設定する
備考1油分又は還元性物質が共存する試料には本方法は使用できない
試料量の少量化、自動化、試薬・廃液の削減
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ハロゲンを多量に含む試料を測定する際の蒸留試薬の変更
ふっ素及びその化合物の測定法の変更点
JISK0102.34.1(除JISK0102.34備考1)若しくは34.4(妨
害物質としてハロゲン化合物又はハロゲン化水素が多
量に含む試料は、蒸留試薬溶液として、水約200ml に硫
酸10ml、りん酸60ml及びNaCl 10g を溶かした溶液とグ
リセリン250ml を混合し、水を加えて1,000ml としたも
のを用い、JISK0170-6.6図2注記アルミニウム溶液のラ
イン追加)に定める方法又はJISK0102 .34.1.1c)(注(2)
第3文及びJISK0102 .34 備考1を除く)に定める方法(懸
濁物質及びイオンクロマトグラフ法で妨害となる物質
が共存しないことを確認した
場合は省略可)及び
水質環境基準告示付表7JIS採用の小型蒸留装置―検討未了のため今後の検討事項
連続流れ分析(CFA)の測定法の変更
水銀及びその化合物の測定法の変更点
アルキル水銀の抽出溶媒(水環境基準付表3)ベンゼンからトルエンに変更
有害物質、危険物質、各種の基準の
測定対象物質を可能な限り不使用
今後の項目や基準値改正の動向
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要監視項目
要調査項目
公共用水域等からの検出状況から直ちに
環境基準とはしない項目
環境リスクに関する知見の集積が必要 現行(2014.3~)
PFOS&PFOA
PFOS&PFOA(合計値)指針値(暫定)
50ng/L
PFOS及びPFOA-水環境に係る目標値等の検討
見直し案
PFOS
PFOA
撥水性、
撥油性
化学的安定性
親水基疎水基
PFOS及びPFOA の構造と各種の取り組み
PFOS-POPs条約 2009年付属書B 追加決定 PFOS-化審法 第1種特定有害物質 PFOA-POPs条約 2019年付属書A 追加決定 各国、各機関 飲料水の目標値設定の動き 厚労省 水質管理目標設定項目 令和2年4月
PFOS&PFOA 暫定目標値 50ng/L
TDI(ng/kg/日)×体重(kg)×水の飲用寄与率(10%)
1日当たりの摂取量(L/日)
20ng/kg/日 × 50kg × 10%
2L/日=50ng/L
多様な暴露経路
各国、各機関のうち安全側の観点より最も低い値を採用 目標値
PFOS&PFOA
PFOS及びPFOA の暫定目標値
米国:PFOSとPFOAは類似の発達影響に基づき算出飲料水中に同時に見られる
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PFOS及びPFOA-分析法の課題と検討
ブランクの低減使用機器や部材、固相カラム、試薬類等の選択とブランク低減
標準物質、内部標準物質の選択 環境水等 保存法、懸濁物質の取扱い 直鎖体と分岐体 合計値で評価(存在比)
代替品への移行-骨格短鎖炭素数の異なる有機フッ素化合物等の一斉分析
代替有機フッ素化合物の例
六価クロムの2 年間飲水投与試験においてみられた雄マウス十二指腸びまん性上皮過形成結果 不確実係数100 を適用六価クロムの TDI(耐容1日摂取量) 1.1 μg/kg 体重/日
平成 30 年9月 18 日の内閣府食品安全委員会
水道水の水質基準項目
1日2L 摂取、体重 50kg、寄与率 60%として算出される新評価値2020.4 0.005mg/L→ 0.02mg/Lに強化
基準改正の背景 六価クロム
今後の基準改正の動向 六価クロム
分析法の課題環境水や特に土壌中の三価クロムとの分離
最新JIS K0102LC-ICP/MS直ちに測定が求められる現場での適用は・・・・
今後の検討課題水・土壌の環境基準等
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ご清聴ありがとうございました