+ All Categories
Home > Documents > FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2...

FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2...

Date post: 22-Jul-2020
Category:
Upload: others
View: 7 times
Download: 0 times
Share this document with a friend
14
©Anderson Mori & Tomotsune 2020 年 4 月 金融サービス仲介業の創設に係る改正法案について 弁護士 戸塚 貴晴 / 弁護士 宮本 甲一 / 弁護士 波多野 恵亮 / 弁護士 村井 惠悟 1. 本改正に至る経緯 2019 年 12 月 20 日に公表された金融庁・金融審議会の「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワー キング・グループ」報告(以下「決済・仲介 WG 報告」という。) 1 において、①キャッシュレス時代の利用者ニーズ 応えた利便性が高く安心・安全な決済サービスを実現するための、柔軟かつ過不足のない規制の整備、及び ②多様な金融サービスの提供をワンストップで受けられる利便性の高い金融仲介サービスを実現する観点から、 このようなサービスを提供しようとする仲介業者に適した業種を創設することが提案された。本件改正法案 2 は、 この決済・仲介 WG 報告の提言を踏まえたものである。 以下では、本件改正法案のうち、金融商品販売法の改正に係る内容(以下、改正法案のうち金融商品販売法 の改正に係る内容について、「金融商品販売法改正案」という。)を中心に概説する。 1 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20191220.html 2 https://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html 金融庁は、情報通信技術の発展を背景に、イノベーションの促進を通じ、利用者利便の向 上と利用者保護のバランスに留意した制度を整備するために、2020 年 3 月 6 日、①銀行・ 証券・保険の分野横断的な金融サービスの仲介を 1 つのライセンスにより行うことができる金 融サービス仲介業の創設、及び送金上限額に応じた資金移動業の 3 類型化をその中核 とする、金融商品販売法、資金決済法等の改正法案(金融サービスの利用者の利便の向 上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案)(以 下「本件改正法案」という。)を国会に提出した。 本ニュースレターでは、本件改正法案のうち、金融商品販売法の改正に係る内容を中心に 概説する。 FINANCIAL SERVICES & TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER
Transcript
Page 1: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

2020 年 4 月

金融サービス仲介業の創設に係る改正法案について

弁護士 戸塚 貴晴 / 弁護士 宮本 甲一 / 弁護士 波多野 恵亮 / 弁護士 村井 惠悟

1. 本改正に至る経緯

2019 年 12 月 20 日に公表された金融庁・金融審議会の「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワー

キング・グループ」報告(以下「決済・仲介 WG 報告」という。)1において、①キャッシュレス時代の利用者ニーズ

応えた利便性が高く安心・安全な決済サービスを実現するための、柔軟かつ過不足のない規制の整備、及び

②多様な金融サービスの提供をワンストップで受けられる利便性の高い金融仲介サービスを実現する観点から、

このようなサービスを提供しようとする仲介業者に適した業種を創設することが提案された。本件改正法案 2は、

この決済・仲介 WG 報告の提言を踏まえたものである。

以下では、本件改正法案のうち、金融商品販売法の改正に係る内容(以下、改正法案のうち金融商品販売法

の改正に係る内容について、「金融商品販売法改正案」という。)を中心に概説する。

1 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20191220.html 2 https://www.fsa.go.jp/common/diet/index.html

金融庁は、情報通信技術の発展を背景に、イノベーションの促進を通じ、利用者利便の向

上と利用者保護のバランスに留意した制度を整備するために、2020 年 3 月 6 日、①銀行・

証券・保険の分野横断的な金融サービスの仲介を 1 つのライセンスにより行うことができる金

融サービス仲介業の創設、及び②送金上限額に応じた資金移動業の 3 類型化をその中核

とする、金融商品販売法、資金決済法等の改正法案(金融サービスの利用者の利便の向

上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案)(以

下「本件改正法案」という。)を国会に提出した。

本ニュースレターでは、本件改正法案のうち、金融商品販売法の改正に係る内容を中心に

概説する。

FINANCIAL SERVICES &

TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER

Page 2: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

2

2. 金融商品販売法改正案

2-1 法律名の変更 法律名が「金融商品の販売等に関する法律」から「金融サービスの提供に関する法律」に変更されている。

2-2 金融サービス仲介業の創設 2019 年 7 月 26 日に公表された金融審議会・金融制度スタディ・グループ『「決済」法制及び金融サービス仲介

法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫』3(以下「基本的な考え方」という。)20 頁以下では、

現行制度において、複数業種(銀行・証券・保険)にまたがって多数の金融機関が提供する金融サービスを仲介

しようとする場合、事業者にとって以下の負担が存在することが指摘されていた。

(1) 利用者と金融機関との間に介在する仲介業者に関する現行規制は、銀行法における銀行代理業者や電

子決済等代行業者、金融商品取引法における金融商品仲介業者、保険業法における保険募集人や保険

仲立人、というように「機能」ごとに分かれている。このため、事業者が「機能」をまたいで商品・サービスを取

り扱う場合には、複数の登録等が必要となっている。

(2) 現行規制上、所属制の下で事業を行う仲介業者が、多数の金融機関が提供する商品・サービスを取り扱お

うとする場合、所属金融機関それぞれから行われる指導に対応するための負担が大きい。

そこで、基本的な考え方において、以下の考え方が示された。

(1) 業種ごとの複数の登録等を受けずとも、新たな仲介業への参入により、複数業種をまたいだ商品・サービス

の仲介を行うことを可能とすること。

(2) 新たな仲介業者には所属制を採用せず、取扱可能な商品・サービスの限定、利用者資金の受入れの制限、

財務面の規制の適用等により利用者保護を図ること。

以上を踏まえて、決済・仲介 WG で議論が重ねられ、金融商品販売法改正案においては、以下のとおり、所属

制を採用しない金融サービス仲介業が創設されている。

2-2-1 業務範囲

「金融サービス仲介業」は、以下の「預金等媒介業務」「保険媒介業務」「有価証券等仲介業務」「貸金業貸付

媒介業務」4のいずれかを業として行うことをいうと定義されている(金融商品販売法改正案第 11 条)5。

3 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190726/houkoku.pdf 4 決済・仲介 WG 報告 22 頁では、「新たな仲介業者の仲介行為として「代理」は認めないこととすることが適当である」と提言されて

いた。金融商品販売法改正案第 11 条においても、金融サービス仲介業に代理は含まれていない。 5 金融サービス仲介業者が行う金融サービス仲介業は、当該分野の既存の仲介業には該当しないものとみなされることにより(金

融商品販売法改正案第 17 条第 2 項ないし第 5 項)、既存の業法(現行銀行法・保険業法・金融商品取引法)の規制が重畳的に

適用されることがないように整理が図られている。なお、貸金業貸付媒介業務についてはこのような規定はないが、これは、金融サ

ービス仲介業者が行う貸金業貸付媒介業務は、現行貸金業法第 2 条第 1 項第 2 号の「貸付けを業として行うにつき他の法律に

特別の規定のある者が行うもの」に該当し、貸金業に該当しないものとみなすという規定は不要であるためであると考えられる。

Page 3: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

3

なお、以下のとおり金融商品販売法改正案第 11 条が、金融サービス仲介業の業務範囲を既存の当該分野の

仲介業の許可・登録を受けている者以外の者が行う行為として定義しているのは、これら既存の仲介業者の行

為に金融サービス仲介業の規制が及ばないようにするためであると思われる。

また、決済・仲介 WG 報告 24 頁では、既存の仲介業と当該分野における新たな仲介業との兼業を認めないこと

が提言されていたが、かかる兼業禁止は、金融商品販売法改正案第 16 条第 4 項及び第 6 項、金融商品取引

法改正案第 50 条の 2 第 11 項及び第 12 項、銀行法改正案第 52 条の 52 第 6 号、貸金業法改正案第 10

条第 1 項第 6 号並びに保険業法改正案第 280 条第 3 項及び第 290 条第 3 項に反映されている。

(業務範囲) ※説明の便宜のため、一部、文言の省略等をしていることに留意されたい。

預金等媒介業務 銀行代理業者その他政令で定める者以外の者が次に掲げる行為のいずれかを行う

業務

一 銀行等のために行う預金等の受入れを内容とする契約(当該契約について顧

客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除

く。)の締結の媒介 二 銀行等と顧客との間において行う資金の貸付け又は手形の割引を内容とする

契約(当該契約について顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとし

て政令で定めるものを除く。)の締結の媒介(貸金業者が顧客のために行うもの

を除く。)6 三 銀行等のために 7行う為替取引を内容とする契約(当該契約について顧客に対

し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除く。)の締

結の媒介 保険媒介業務 ① 保険業法第 276 条の登録を受けている特定保険募集人及び同法第 286 条

の登録を受けている保険仲立人

② 損害保険会社、同法第 276 条の登録を受けている損害保険代理店及び同法

第 286 条の登録を受けている保険仲立人の役員(代表権を有する役員並びに

監査役、監査等委員会の委員及び監査委員会の委員を除く。)及び使用人

③ 特定少額短期保険募集人

上記①~③以外の者が次に掲げる者と顧客との間における保険契約(当該保険契

約について顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるも

のを除く。)の締結の媒介を行う業務

一 保険会社

二 外国保険会社等

三 少額短期保険業者

6 銀行を貸主とする貸付けの媒介について、現行制度では、「銀行のために」行う媒介は銀行代理業とされている(現行銀行法第 2

条第 14 項第 2 号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

介業者としての登録を受けることで、銀行及び顧客の双方のために媒介を行うことができる一方、もともと貸金業登録を受けている

者については、「顧客のために」行う媒介について、重ねて金融サービス仲介業の規制に服する必要がないことから、預金等媒介業

務の定義から除外されているものと思われる。 7 「顧客のために」行う為替取引の媒介の一部は、現行銀行法上電子決済等代行業として整理されているところ(現行銀行法第 2

条第 17 項)、金融サービス仲介業と電子決済等代行業との関係については本条の定義規定ではなく、別途の条文で整理されて

いる(金融商品販売法改正案第 18 条)。

Page 4: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

4

有価証券等仲介業務 金融商品取引業者であって第一種金融商品取引業を行うもの及び金融商品仲介

業者以外の者が次に掲げる行為(他の法律の規定に基づき業として行うもの及び投

資運用業を行う者が行う第四号に掲げる行為を除く。)のいずれかを行う業務

一 次に掲げる者と顧客との間において行う有価証券の売買(当該売買について顧

客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除

く。)の媒介(PTS に該当するものを除く。)

イ 第一種金融商品取引業(第一種少額電子募集取扱業務を除く。)又は投

資運用業(適格投資家向け投資運用業を除く。)を行う金融商品取引業

ロ 登録金融機関

二 前号イ又はロに掲げる者と顧客との間において行う取引所金融商品市場又は

外国金融商品市場における有価証券の売買又は市場デリバティブ取引若しく

は外国市場デリバティブ取引(これらの取引について顧客に対し高度に専門的

な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除く。)の委託の媒介

三 第一号イ又はロに掲げる者のために行う有価証券の募集若しくは有価証券の売

出しの取扱い又は有価証券の私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の

取扱い(これらの取扱いについて顧客に対し高度に専門的な説明を必要とする

ものとして政令で定めるものを除く。)

四 第一号イ又はロに掲げる者と顧客との間において行う投資顧問契約(当該投資

顧問契約について顧客に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政

令で定めるものを除く。)又は投資一任契約(当該投資一任契約について顧客

に対し高度に専門的な説明を必要とするものとして政令で定めるものを除く。)

の締結の媒介

貸金業貸付媒介業務 貸金業者以外の者が貸金業者と顧客との間における資金の貸付け又は手形の割

引を内容とする契約(当該契約について顧客に対し高度に専門的な説明を必要と

するものとして政令で定めるものを除く。)の締結の媒介(他の法律の規定に基づき

業として行うもの及び貸金業法第2条第1項各号(第2号を除く。)に掲げるものを除

く。)を行う業務

また、上記のとおり、それぞれの業務について、顧客に対し高度に専門的な説明を必要として政令で定める金融

サービスの取扱いを含めないこととされている。したがって、今後公表される政令案の内容には留意が必要であ

るが、決済・仲介 WG における金融庁説明資料 8によれば、金融サービス仲介業者が取り扱うことができる商品

の範囲は以下のようになることが想定される 9。

取扱可能 取扱禁止

預金等媒介業務 預金等の受入れ 普通預金

定期・積立預金

仕組預金

外貨預金

通貨オプション組入型預金

8 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kessaichukai_wg/siryou/20191126/sankou.pdf 9 ただし、決済・仲介 WG 報告 22 頁以下では、保険契約については、商品性による限定に加え、商品の特性に応じて、保険金額

や保険期間による限定を設けることが提言されていることには、注意を要する。

Page 5: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

5

貸付け 住宅ローン

カードローン

為替取引 振込 ―

有価証券等仲介業務 国債・地方債

上場株式・上場企業社債券

投資信託・ETF

非上場株式・非上場企業社債券

デリバティブ取引

信用取引

保険媒介業務 生命保険 終身・定期保険

個人年金保険

医療保障保険

介護保険

変額保険・年金

解約返戻金変動型保険・年金

外貨建て保険・年金

損害保険 傷害保険

旅行保険

ゴルフ保険

ペット保険

2-2-2 登録制の導入

(1) 登録制

金融商品販売法改正案においては、金融サービス仲介業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ

行ってはならないとされており (金融商品販売法改正案第 12 条)、また、金融サービス仲介業の種別を変

更しようとするときは、変更登録を受けなければならないとされている(金融商品販売法改正案第 16 条第 1

項・第 13 条第 1 項第 4 号)10。

登録申請書の記載事項及び添付書類には、その行う金融サービス仲介業の種別にかかわらず共通して要

求されるものと、その行う金融サービス仲介業の種別に応じて個別に要求されるものとがある(金融商品販

売法改正案第 13 条第 1 項及び第 2 項)。

(登録申請書の記載事項) ※説明の便宜のため、一部、文言の省略等をしていることに留意されたい。

共通事項 商号、名称又は氏名及び住所

法人であるときは、その役員(外国法人にあっては、外国の法令上これと同様に取

り扱われている者及び日本における代表者を含む。以下同じ。)の氏名又は名称

金融サービス仲介業を行う営業所又は事務所の名称及び所在地

業務の種別(預金等媒介業務、保険媒介業務、有価証券等仲介業務及び貸金

業貸付媒介業務の種別)

電子金融サービス仲介業務(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報

通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものにより行う金融サービ

ス仲介業務)を行う場合にあっては、その旨

他に事業を行うときは、その事業の種類

10 後述のとおり、金融サービス仲介業の種別に応じた個別の登録拒否要件が定められていることから、金融サービス仲介業の種

別の変更に変更登録を必要とする建付けはやむを得ないものと思われるが、金融サービス仲介業の登録を一本化した趣旨に沿っ

た運用が望まれる。

Page 6: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

6

その他内閣府令で定める事項 11

個別事項 貸金業貸付媒介業務を行う場合にあっては、貸金業貸付媒介業務に関して広告

又は勧誘をする際に表示又は説明をする営業所又は事務所の電話番号その他

の連絡先等であって内閣府令で定めるもの 12

(添付書類) ※説明の便宜のため、一部、文言の省略等をしていることに留意されたい。

共通書類 金融サービス仲介業の共通の登録拒否要件の一部の規定(金融商品販売法改

正案第 15 条第 1 号イからカまで、第 2 号イからヘまで又は第 3 号イ若しくはロ)

のいずれにも該当しないことを誓約する書面

登録申請者が法人であるときは、定款及び登記事項証明書(これらに準ずるもの

を含む。)

金融サービス仲介業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した

書類

その他内閣府令で定める書類 13

個別書類 登録申請者が預金等媒介業務を行う場合にあっては、預金等媒介業務を行う場

合の登録拒否要件(金融商品販売法改正案第 15 条第 4 号)に該当しないことを

誓約する書面

登録申請者が保険媒介業務を行う場合にあっては、保険媒介業務を行う場合の

登録拒否要件の一部の規定(金融商品販売法改正案第 15 条第 5 号イ、ロ、ハ

(⑵を除く。)、ニ(同号ハ⑵に係る部分を除く。)又はホ(同号ハ⑵に係る部分を除

く。))のいずれにも該当しないことを誓約する書面

登録申請者が有価証券等仲介業務を行う場合にあっては、有価証券等仲介業

務を行う場合の登録拒否要件(金融商品販売法改正案第 15 条第 6 号)に該当

しないことを誓約する書面

登録申請者が貸金業貸付媒介業務を行う場合にあっては、貸金業貸付媒介業

務を行う場合の登録拒否要件(金融商品販売法改正案第 15 条第 7 号)に該当

しないことを誓約する書面

(2) 登録拒否要件

金融商品販売法改正案においては、登録拒否要件についても、その行う金融サービス仲介業の種別に

かかわらない共通のものと、その行う金融サービス仲介業の種別に応じた個別のものとが定められている

(金融商品販売法改正案第 15 条)。

なお、認定金融サービス仲介業協会等に加入していないことは、登録拒否要件とはされていない(金融

商品販売法改正案第 15 条第 1 号ソ参照)。

11 本文では、共通事項として記載したが、今後公表される内閣府令案で個別事項が定められる可能性がある点は、留意されたい。 12 現行貸金業法第 4 条第 1 項第 7 号・同法施行規則第 3 条の 2 に基づく貸金業の登録申請書の記載事項に合わせたものと思

われる。 13 本文では、共通事項として記載したが、今後公表される内閣府令案で個別事項が定められる可能性がある点は、留意されたい。

Page 7: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

7

(共通の主な登録拒否要件) ※説明の便宜のため、一部、文言の省略等をしていることに留意されたい。

金融サービス仲介業者であった者が金融サービス仲介業の登録を取り消された場合等におい

て、その取消しの日から 5 年を経過しないもの

銀行主要株主であった者が銀行主要株主に係る認可等を取り消された場合、銀行持株会社で

あった者が銀行持株会社に係る認可等を取り消された場合又は銀行代理業者であった者が銀

行代理業の許可を取り消された場合等において、その取消しの日から 5 年を経過しないもの

特定保険募集人であった者が特定保険募集人の登録を取り消された場合又は保険仲立人であ

った者が保険仲立人の登録を取り消された場合等において、その取消しの日から 5 年を経過しな

いもの

金融商品取引業者であった者が金融商品取引業の登録を取り消された場合、取引所取引許可

業者であった者が取引所取引業務の許可を取り消された場合、電子店頭デリバティブ取引等許

可業者であった者が電子店頭デリバティブ取引等業務の許可を取り消された場合、特例業務届

出者であった者が適格機関投資家等特例業務の廃止を命ぜられた場合、金融商品仲介業者で

あった者が金融商品仲介業の登録を取り消された場合、信用格付業者であった者が信用格付

業の登録を取り消された場合又は高速取引行為者であった者が高速取引行為の登録を取り消さ

れた場合等において、その取消し又は命令の日から 5 年を経過しないもの

貸金業者であった者が貸金業の登録の更新を拒否された場合又は貸金業の登録を取り消され

た場合等において、その取消しの日(更新の拒否の場合にあっては、当該更新の拒否の処分が

なされた日。)から 5 年を経過しないもの

金融関連の各法律上の罪を犯し、罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり又はその刑の執行

を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

金融サービス仲介業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当

の理由がある者として内閣府令で定める者

他に行っている事業が公益に反すると認められる者

金融サービス仲介業を適確に遂行するに足りる能力を有しない者

電子金融サービス仲介業務を行う場合にあっては、当該電子金融サービス仲介業務を適正かつ

確実に遂行する体制の整備が行われていない者

認定金融サービス仲介業協会等に加入しない者であって、認定金融サービス仲介業協会等の

定款その他の規則(金融サービス仲介業務の適正を確保すること又は顧客の保護に関するもの

に限る。)に準ずる内容の社内規則を作成していないもの又は当該社内規則を遵守するための体

制を整備していないもの

法人である場合にあっては、役員のうちに次のいずれかに該当する者のある者

心身の故障により金融サービス仲介業を適正に行うことができない者として内閣府令で定め

る者

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われ

ている者

禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくな

った日から 5 年を経過しない者

金融サービス仲介業者、銀行等、特定保険募集人、金融商品取引業者又は貸金業者の

役員を務めており、当該法人が業法上の免許、認可、登録等の取消し等を受けた際等に役

員であった者でその後5年を経過しない者

Page 8: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

8

個人である場合にあっては、次のいずれかに該当する者

金融サービス仲介業者、銀行等、特定保険募集人、金融商品取引業者又は貸金業者の

役員を務めており、当該法人が業法上の免許、認可、登録等の取消し等を受けた際等に役

員であった者でその後5年を経過しない者

金融サービス仲介業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理

人が上記の者に該当する者

(個別の登録拒否要件) ※説明の便宜のため、一部、文言の省略等をしていることに留意されたい。

預金等媒介業務 他に事業を行うことにより預金等媒介業務を適正かつ確実に行うことについ

て支障を及ぼすおそれがあるものとして内閣府令で定める場合に該当する

者 14

保険媒介業務 次のいずれかに該当する者 15

イ 保険会社、外国保険会社等若しくは少額短期保険業者又はこれらの役

員若しくは使用人

ロ 保険募集人(保険会社、外国保険会社等若しくは少額短期保険業者の

委託を受け、又は当該委託を受けた者の再委託を受けて、その保険会

社、外国保険会社等又は少額短期保険業者のために保険契約の締結

の代理又は媒介を行う者を除く。)又は保険仲立人の役員若しくは使用

ハ 保険契約の締結の媒介を行う使用人のうちに次のいずれかに該当する

者のある者

(1) 金融商品販売法改正案第 15 条第 2 号イからヘまで又は上記イ若

しくはロのいずれかに該当する者

(2) 登録の申請の日前 3 年以内に保険媒介業務又は保険募集に関し

著しく不適当な行為をした者

(3) 保険募集人(保険会社、外国保険会社等若しくは少額短期保険業

者の委託を受け、又は当該委託を受けた者の再委託を受けて、その

保険会社、外国保険会社等又は少額短期保険業者のために保険

契約の締結の代理又は媒介を行う者に限る。)又は保険仲立人

ニ 法人である場合にあっては、役員のうちに上記イ、ロ又はハ⑵若しくは⑶

のいずれかに該当する者のある者

ホ 個人である場合にあっては、金融サービス仲介業に関し成年者と同一

の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記イ、ロ又はハ

⑵若しくは⑶のいずれかに該当する者

14 現行銀行法第 52 条の 38 第 1 項第 3 号に合わせたものと思われる。なお、現行銀行法においては、一定の範囲で銀行代理

業と貸金業の兼業が禁止されていることから(現行銀行法施行規則第 34 条の 37 第 6 号及び第 7 号)、今後公表される内閣府

令案において同様の兼業禁止が定められるか否かに注意を要する。 15 現行保険業法における特定保険募集人の登録拒否要件(現行保険業法第 279 条第 1 項第 6 号ないし第 11 号)及び保険仲

立人の登録拒否要件(現行保険業法第 289 条第 1 項第 6 号ないし第 9 号)を参考にしたものと思われる。

Page 9: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

9

有価証券等仲介業務 銀行その他政令で定める者 16

貸金業貸付媒介業務 政令で定める使用人のうちに金融商品販売法改正案第 15 条第 2 号イから

ヘまでのいずれかに該当する者のある者 17

(3) 金融サービス仲介業者による電子決済等代行業の併営

決済・仲介 WG 報告 21 頁以下では、「新たな仲介業に参入しようとする事業者には、仲介業務と電子決済

等代行業に該当する業務とを併せ営むニーズがあると想定される。このような事業を行おうとする事業者の

手続上の便宜のため、新たな仲介業者のうち、電子決済等代行業者と同様に十分な情報処理システム等

の業務遂行体制などを備えている者については、電子決済等代行業者としての登録を受けることなく、銀行

法の行為規制に基づいて電子決済等代行業を行うことができることとする」と提言されていた。

これを受けて、金融商品販売法改正案においては、情報通信技術を利用して金融サービス仲介業務を行

う金融サービス仲介業者は、一定の要件 18を満たす場合、銀行法第 52 条の 61 の 3 第 1 項各号に掲げ

る事項(電子決済等代行業の登録申請書の記載事項)を記載した届出書を内閣総理大臣に提出すること

により、銀行法上の登録を受けることなく、電子決済等代行業を行うことができる旨の特例を設けられている

(金融商品販売法改正案第 18 条第 1 項、第 3 項)。

この場合、銀行法その他の法律の規定については、当該金融サービス仲介業者を電子決済等代行業者と

みなして適用されることとなる(金融商品販売法改正案第 18 条第 2 項)。このうち、当該金融サービス仲介

業者を電子決済等代行業者とみなして適用されることとなる銀行法の規定は、以下のとおりである。

(電子決済等代行業者とみなして適用されることとなる銀行法の規定)

変更の届出に関する規定(第 52 条の 61 の 6 第 1 項及び第 3 項)

廃業等の届出に関する規定(第 52 条の 61 の 7 第 1 項)

業務及び監督に関する規定(第 52 条の 61 の 8 から第 52 条の 61 の 16 まで)

登録の取り消し等に関する規定(第 52 条の 61 の 17 第 1 項(第 1 号及び第 2 号を除く。) )

認定電子決済等代行事業者協会に関する規定及び雑則(第 52 条の 61 の 19 から第 52 条の 61 の

30 まで)

届出事項及び内閣総理大臣の告示に関する規定(第 53 条第 5 項並びに第 56 条(第 14 号及び第

16 号から第 18 号までに係る部分に限る。) )

罰則に関する規定(上記の規定に係る第 9 章)

16 現行金融商品取引法において銀行等の金融機関が金融商品仲介業に相当する業務を行うためには、登録金融機関の登録が

必要である(現行金融商品取引法第 33 条の 2 第 2 号・第 33 条第 2 項第 4 号ロ)こととの均衡から、銀行その他政令で定める者

が登録拒否要件とされているものと思われる。 17 現行貸金業法第 6 条第 1 項第 9 号に合わせたものと思われる。 18 決済・仲介 WG 報告 21 頁では、「新たな仲介業者のうち、電子決済等代行業者と同様に十分な情報処理システム等の業務遂

行体制などを備えている者」との要件が掲げられていた。もっとも、金融商品販売法改正案第 18 条には、電子決済等代行業の登

録拒否要件である「電子決済等代行業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない者」(現行銀行法第 52 条の 61

の 5 第 1 項第 1 号ロ)に対応する要件は定められていない。これは、金融サービス仲介業共通の登録拒否要件である「電子金融

サービス仲介業務を行う場合にあっては、当該電子金融サービス仲介業務を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われてい

ない者」(金融商品販売法改正案第 15 条第 1 号レ)で審査されることになることによるものと思われる。

Page 10: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

10

(4) 保証金の供託等

決済・仲介 WG 報告 23 頁以下では、「新たな仲介業には所属制を採用しないことから、新たな仲介業者自

らが賠償責任を負う前提で制度を検討する必要があ」り、「顧客の保護を図る観点から、新たな仲介業者の

賠償資力の確保に資するよう、保証金の供託等を求めることが適当である」と提言されていた。

これを受けて、金融商品販売法改正案においては、金融サービス仲介業者は政令で定める額の保証金を

供託等しなければならず、営業保証金の供託等の届出を提出した後でなければ、金融サービス仲介業を

行ってはならないとされている(金融商品販売法改正案第 22 条第 1 項~第 3 項、第 5 項)19。具体的な

保証金額については上記のとおり政令で定められることとなるが、決済・仲介WG報告23頁では、「例えば、

一定の額をベースに、前事業年度に得た手数料その他の対価の合計額の一定割合を加えた額の供託等

を求めることが考えられる。」と提言されているところであり、金融サービス仲介業者の参入を躊躇させない

程度のものとなることが期待される。

2-2-3 業務に関する規定の整備

決済・仲介 WG 報告 25 頁では、「仲介する金融サービスによらず必要と考えられる規制については、新たな仲

介業者が銀行・証券・保険のいずれの分野において仲介を行うかにかかわらず共通して求め、金融サービスごと

の特性に応じた規制については新たな仲介業者が取り扱う金融サービスに応じて課す」ことが提言されていた。

これを受けて、金融商品販売法改正案においては、以下のとおり、その行う金融サービス仲介業の種別にかかわ

らない共通の行為規制と、その行う金融サービス仲介業の種別に応じた個別の行為規制が定められている。

共通の行為規制 標識の掲示等(金融商品販売法改正案第 20 条)

名義貸しの禁止(同第 21 条)

保証金の供託等(同第 22、23 条)

誠実義務(同第 24 条)

情報提供義務(同第 25 条)20

業務運営に関する措置(同第 26 条)21

金銭等の預託の禁止(同第 27 条)22

19 ただし、金融サービス仲介業者は、政令で定めるところにより、金融サービス仲介業者賠償責任保険契約を締結し、内閣総理大

臣の承認を受けたときは、当該契約の効力の存する間、当該契約の保険金の額に応じて保証金の一部の供託をしないことができ

ることとされている(金融商品販売法改正案第 23 条)。 20 同条第 2 項において、金融サービス仲介業者は、顧客から求められたときは、金融サービス仲介業務に関して当該金融サービ

ス仲介業者が受ける手数料、報酬その他の対価の額その他内閣府令で定める事項を明らかにしなければならないとされている。ま

た、決済・仲介 WG 報告 27 頁以下では、「仲介先の金融機関との間の委託関係・資本関係の有無など仲介業者の立場を顧客へ

明示すること」「仲介を行うにあたって、書面交付や説明・情報提供に関して仲介業者が担う役割を顧客に明示すること」が提言さ

れており、これらの事項が今後内閣府令において「あらかじめ」又は「顧客から求められたとき」に提示すべき事項として規定されるも

のと思われる。 21 金融商品販売法改正案第 26 条で求められる業務運営に関する措置のうちの 1 つに、「金融サービス仲介業務に関して取得し

た顧客に関する情報の適正な取扱い」が規定されている。決済・仲介 WG 報告 26 頁では、①仲介行為を行う分野間、②兼業業

務との間、及び③グループ会社等との間のそれぞれにおいて、既存の仲介業者に対する規制を参考に、仲介業務を通じて取得し

た顧客に関する非公開情報の適正な取扱いの確保を求めることが提言されている。今後公表される内閣府令案の内容に注意を

要する。 22 「顧客の保護に欠けるおそれが少ない場合として内閣府令で定める場合」には、金銭等の預託の受入れは禁止されていない(金

Page 11: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

11

指定紛争解決機関との契約締結義務等(同第 28 条)

預金等媒介業務特有の行為規制 情報提供義務に関する規定(銀行法第 52 条の 44 第 2 項)の準

銀行代理業に係る禁止行為に関する規定(銀行法第 52 条の 45)

の準用

保険媒介業務特有の行為規制 商法の準用規定(保険業法第 293 条)の準用

情報提供義務に関する規定(保険業法第 294 条第 1 項及び第 2

項)の準用

意向把握確認義務に関する規定(保険業法第 294条の2)の準用

自己契約の禁止に関する規定(保険業法第 295 条)の準用

結約書の記載事項に関する規定(保険業法第 298 条)の準用

保険契約の締結等に係る禁止行為に関する規定(保険業法第

300 条第 1 項)の準用

保険契約の申込みの撤回等に関する一部規定(保険業法第 309

条第 7 項、第 8 項及び第 10 項)の準用

有価証券等仲介業務特有の行為

規制

投資助言・代理業及び投資運用業に関する偽計・暴行・脅迫によ

る契約の締結・解約の禁止及び損失補てんの約束の禁止に関する

規定(金融商品取引法第 38 条の 2)の準用

金融商品仲介業者の禁止行為に関する規定(金融商品取引法第

66 条の 14(第 1 号イ及びロ並びに第 3 号を除く。23))の準用

特定投資家向けの有価証券の売買の媒介等の制限に関する規定

(金融商品取引法第 66 条の 14 の 2)の準用

貸金業貸付媒介業務特有の行為

規制 24

証明書の携帯等に関する規定(貸金業法第 12 条の 4)の準用

暴力団員等の使用の禁止に関する規定(貸金業法第 12 条の 5)

の準用

禁止行為に関する規定(貸金業法第 12 条の 6)の準用

生命保険契約等の締結に係る制限に関する規定(貸金業法第 12

条の 7)の準用

利息、保証料等に係る制限等に関する規定(貸金業法第 12 条の

8)の準用

相談及び助言に関する規定(貸金業法第 12 条の 9)の準用

貸付条件等の掲示に関する一部規定(貸金業法第 14 条(第 4 号

を除く。))の準用

融商品販売法改正案第 27 条但書)。決済・仲介 WG 報告 26 頁では、「新たな仲介業者が資金移動業等を兼業し、資金移動業

者等として仲介業務に係る決済サービスを提供する場合など、他の規制により顧客資産の保全が適切に図られている業者として仲

介業務に係る決済を併せ行うことは、妨げられるものではない」とされており、このような場合が内閣府令において規定されることが

想定される。 23 有価証券等仲介業務に係る契約は、特定金融サービス契約に含まれているところ、ここでは、特定金融サービス契約に準用さ

れる金融商品取引法の規定と重複する規定が除外されているものと思われる。 24 貸金業務取扱主任者の設置に関する規定(貸金業法第 12 条の 3)、返済能力の調査に関する規定(第 13 条)~基準額超過

極度方式基本契約に係る必要な措置に関する規定(第 13 条の 4)、貸金業務取扱主任者の氏名の掲示に関する規定(第 14 条

第 4 号)は準用されていない。

Page 12: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

12

貸付条件の広告等に関する規定(貸金業法第 15 条)の準用

誇大広告の禁止等に関する規定(貸金業法第 16 条)の準用

契約締結前の書面の交付に関する規定(貸金業法第 16 条の 2)

の準用

生命保険契約等に係る同意前の書面の交付に関する規定(貸金

業法第 16 条の 3)の準用

契約締結時の書面の交付に関する規定(貸金業法第 17 条)の準

受取証書の交付に関する規定(貸金業法第 18 条)の準用

帳簿の閲覧に関する規定(貸金業法第 19 条の 2)の準用

特定公正証書に関する制限(貸金業法第 20 条)の準用

公的給付に係る預金通帳等の保管等の制限に関する規定(貸金

業法第 20 条の 2)の準用

取立て行為の規制に関する規定(貸金業法第 21 条(第 2 項第 5

号を除く。))の準用

債権証書の返還に関する規定(貸金業法第 22 条)の準用

特定金融サービス契約に係る金

融サービス仲介業務 25特有の行

為規制

特定投資家制度に関する規定(金融商品取引法第 3 章第 1 節第

5 款(第 34 条の 2 第 6 項から第 8 項まで並びに第 34 条の 3 第

5 項及び第 6 項を除く。)、第 45 条(第 3 号及び第 4 号を除く。))

の準用

販売・勧誘に関する規定(金融商品取引法第 3 章第 2 節第 1 款

(第 35 条から第 36 条の 4 まで、第 37 条の 2、第 37 条の 3 第 3

項、第 37 条の 5、第 37 条の 6 第 1 項、第 2 項、第 4 項ただし書

及び第 5 項、第 37 条の 7、第 38 条第 7 号及び第 8 号、第 38

条の 2 並びに第 40 条の 2 から第 40 条の 7 までを除く。))の準用

2-2-4 経理に関する規定の整備

金融商品販売法改正案においては、金融サービス仲介業者は帳簿書類及び事業報告書の作成等をしなけれ

ばならないとされている(金融商品販売法改正案第 33 条及び第 34 条)。

2-2-5 監督規定等の整備 金融サービス仲介業者等に対し、報告又は資料の提出命令、立入検査、業務改善命令、登録の取消し、登録

の抹消等の監督規定の整備が行われている(金融商品販売法改正案第 35 条~第 39 条)。

25 金融商品販売法改正案第 29 条において読み替えて準用する銀行法第 52 条の 44 第 2 項に規定する特定預金等契約、保

険業法第 300 条の 2 に規定する特定保険契約、第 11 条第 4 項第 1 号に掲げる行為により締結する有価証券の売買契約、同

項第 2 号に掲げる行為により締結する有価証券の売買契約若しくは市場デリバティブ取引若しくは外国市場デリバティブ取引に係

る契約、同項第 3 号に掲げる行為により有価証券を取得することを内容とする契約又は同項第 4 号に掲げる行為により締結する

投資顧問契約若しくは投資一任契約をいう(金融商品販売法改正案第 31 条第 2 項)。

Page 13: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

©Anderson Mori & Tomotsune

13

2-2-6 認定金融サービス仲介業協会に関する規定の整備 金融サービス仲介業者が設立した一般社団法人であって、金融サービス仲介業務の適正の確保等を目的とす

ること等の要件に該当すると認められるものを、法令遵守のための会員に対する指導等を行う者として認定する

ことができることとされるなど、認定金融サービス仲介業協会に関する規定が設けられている(金融商品販売法

改正案第 40 条~第 50 条)。

なお、金融サービス仲介業者は、認定金融サービス仲介業協会等への加入は義務付けられていない(金融商

品販売法改正案第 15 条第 1 号ソ参照)。

2-2-7 指定紛争解決機関に関する規定の整備 内閣総理大臣による紛争解決機関の指定制度が設けられるとともに、指定要件、及び指定に当たっての法務大

臣の協議その他の所要の規定の整備が行われている(金融商品販売法改正案第 51 条~第 73 条)。

3. 施行

本件改正法案は、公布の日から起算して 1 年 6 月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること

とされている(本件改正法案附則第 1 条)。

4. 経過措置

本件改正法案の施行の際、現に金融サービス仲介業者という商号若しくは名称又はこれに紛らわしい商号若しく

は名称を用いている者については、商号等の使用制限に関する規定(金融商品販売法改正案第 19 条)は、本

件改正法案の施行後 6 月間は適用しないこととされている(本件改正法案附則第 2 条第 1 項)。

以上

Page 14: FINANCIAL S TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER2 条第14項第2号)一方、「顧客のために」行う媒介は貸金業法上の貸金業に該当する。預金等媒介業務を行う金融サービス仲

14

本ニュースレターの内容は、一般的な情報提供であり、具体的な法的アドバイスではありません。お問い合

わせ等ございましたら、下記弁護士までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

本ニュースレターの執筆者は、以下のとおりです。

弁護士 戸塚 貴晴( )

弁護士 宮本 甲一( )

弁護士 波多野 恵亮( )

弁護士 村井 惠悟( )

ニュースレターの配信停止をご希望の場合には、お手数ですが、お問い合わせにてお手続き下さいますよう

お願いいたします。

ニュースレターのバックナンバーは、こちらにてご覧いただけます。


Recommended