+ All Categories
Home > Documents > cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a...

cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a...

Date post: 18-Aug-2020
Category:
Upload: others
View: 1 times
Download: 0 times
Share this document with a friend
5
CREATOR'S FILE クリエーターズファイル 6 www.toppan.co.jp/gainfo FOLLOW YOUR HEART || R25 Hot Pepper 2 「ブランド価値を創造するデザインマネジメント」 採用広告からリクルートのブランディングにわるようになった柏本氏現在商品じてリクルー トのしいコーポレートイメージをてるためにディレクターとして奔走する一方デザイナーとしても 活動さまざまな立場からモノづくりにわりけているっていてもその根底にはする真摯なまなざしがあることがみとれる2 vol.28 Nov.30, 2005 ©2005 TOPPAN/GAC GA info. / CREATOR'S FILE vol.28 Nov.30, 2005 柏本郷司 KASHIMOTO SATOJI 13 No. 企業と人をつなぐ デザインの力
Transcript
Page 1: cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a p p o t . w w w る す ト ン メ ジ ネ マ を ジ ー メ イ 第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

CREATOR'S FILE

クリエーターズファイル

6

www.toppan.co.jp/gainfo

イメージをマネジメントする

第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

お話ししましたが、今、もっともウエイトを置い

て取り組んでいるのは「マーケティング局クリエ

イティブセンター」という部署での仕事です。

コーポレートロゴをリニューアルしてから、そ

のロゴをいかに露出していくかという、コミュ

ニケーションにおけるルールの整備に取り組みま

した。たとえば情報誌の表紙の中に必ず一定の大

きさでロゴを入れるとか、TV‐CFのエンディ

ングに必ずアニメーションロゴを入れるとか、車

内吊り広告ではもっとも視認性の高い下の部分に

ホワイトスペースを確保して「FO

LLOW YOUR

HEART

」というブランドステートメントとロゴ

をおさえるといったようなことです。

こういうことを地道に続けていくことで、はじ

めて商品とリクルートが連動するようになり、リ

クルートが新しい商品を出すごとに、新しいリク

ルートのイメージがストックされていくことにな

ります。相対的に事件のことは薄まってきて、新

しいコーポレートイメージが形成されていく|

という仕組みを考えたわけです。

ただ、それを実施していこうとしたときに、企

業のレベルからどんなコミュニケーションをして

も、消費者との接点は最終的には商品ですから、

結局、商品が変わらないとコーポレートブランド

も変わっていかないという、ごく当たり前のこと

に、あらためて気づいたのです。

でも、それまで、そういうことをきちんと統轄

する組織がリクルートの中になかった。

ないならば作ろうということで、2002年に

クリエイティブセンターを立ち上げました。

これはコーポレートブランドのデザイン、個々

の商品の立ち上げ・リニューアルデザイン、その

プロモーションまでを一気通貫で行っていく組織

で、今ある商品、これから創っていく新商品をよ

り良くしながら、それがすべてリクルートのコー

ポレートに返ってくるように、イメージのマネジ

メントをしていくことを目指している組織です。

これまでやってきた手応えとしては、それま

では「とらばーゆ」「ゼクシィ」「じゃらん」の

いいイメージをリクルートがもらっていたとい

う状況が、2年くらい前から、「R25

」や「H

ot

Pepper

」など新しい商品が出てきたときに〝リ

クルートって新しいことをやっているな〞という

イメージがストックされ、各商品にそのイメージ

の〝お返し〞ができるようになってきました。よ

うやく結果が出てきたという段階ですね。

フリーペーパーのラックのあり方を考える

クリエイティブセンターでの仕事というのは本

当に領域が広くて、なんでもありみたいな状況で

いろいろやっています。

たとえば、今、取り組んでいることのひとつに

フリーペーパーのラックに関するブランディング

という仕事があります。

リクルートのフリーペーパー、社内的には〝無

代誌〞といっているのですが、5年前に「タウン

第 2 話 「ブランド価値を創造するデザインマネジメント」採用広告からリクルートのブランディングに関わるようになった柏本氏。現在は、商品を通じてリクルートの新しいコーポレートイメージを育てるためにディレクターとして奔走する一方、デザイナーとしても活動を続け、さまざまな立場からモノづくりに関わり続けている。何を作っていても、その根底には人に対する真摯なまなざしがあることが読みとれる第2話。

vol.28 Nov.30, 2005

© 2 0 0 5 T O P PA N / G A CG A i n f o . / C R E AT O R ' S F I L E v o l . 2 8 N o v . 3 0 , 2 0 0 5

柏本郷司 K A S H I M O T O S A T O J I13 No.

企業と人をつなぐデザインの力

Page 2: cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a p p o t . w w w る す ト ン メ ジ ネ マ を ジ ー メ イ 第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

リクルートが発行しているすべてのフリーペーパー(2005年11月現在)

上左より創刊順に『TOWN WORK(1998年創刊)』『Hot Pepper(2000年創刊)』『住宅情報タウンズ(2002年創刊)』『R25(2004年創刊)』『住宅情報マンションズ(2005年創刊)』『Car Smile(2005年創刊)』

7

ワーク」を創刊しました。その後「H

ot Pepper

」、

「住宅情報タウンズ」、「R25

」と続き、2005

年8月に「住宅情報マンションズ」「CarSm

ile

を発行しています。

全体で見たらものすごい発行部数になります。

「タウンワーク」だけでも週刊で何百万部も出て

いるし、ほとんど少年漫画誌のような状況です。

そして、それらを置いているラックも全国で数万

台の規模で、2005年内には郵便ポストに近づ

くスケールになってきています。しかもそれらが、

単独ラックや集合ラック、サイズの大小と、バラ

バラに展開されていて、きちんとマネジメントさ

れていなかったのです。

ブランディングの見地から、それだけの部数を

発行している責任、ラックを街に置いている責任

というのが、いずれは問われるようになるだろう

し、街の景観を考慮したときに、今のままでは良

くない。また、フリーペーパーはブームですから、

多くの競合がいろいろなラックを置いている。そ

の中でリクルートブランドの優位性をどう出せば

いいのかということを考えていました。

その時に、個々の商品の個性も大事だけれど、

これらを「リクルートの無代誌ブランド」という

くくりで見た方がカスタマーにとっても使いやす

いし、競合とも差別化できる。

従来はラックも商品視点から出発する発想をし

ていました。でも数万箇所というスケール感や発

行部数を考えると、違うレベル、もう一段階上の

視点からの発想が必要です。

世の中にとってそのラックの存在はどうなのか、

それがリクルートのラックだと見られた時にどう

第 2 話

© 2 0 0 5 T O P PA N / G A C

no.13 柏本郷司

G A i n f o . / C R E AT O R ' S F I L E v o l . 2 8 N o v . 3 0 , 2 0 0 5

Page 3: cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a p p o t . w w w る す ト ン メ ジ ネ マ を ジ ー メ イ 第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

『TOWN WORK』では、ブタのキャラクター“joboob(ジョブーブ)”を登場させ、仕事情報誌に対してより親しみやすい状況をつくり出している。また、絵本やさまざまなグッズも展開していく予定で、いろいろな世代の仕事に対する垣根を低くしている。

リクルートらしい遊び心でラックにキャラクターをもたせた自販機タイプの集合ラック。各誌の右側の赤いレバーを引くとベロのようにフリーペーパーが出てくる。

8

思われるのか、ということをまず考え、商品にとっ

てどうなのかというふうに、優先順位を変えなが

ら満たすべきラックのスペックを考えていったの

です。

今、一つの試作が自販機タイプの集合ラックで

す。まだテスト段階で数駅にしか設置していない

ものです。赤いレバーを引くとベロのように無代

誌が出てくる。

フリーペーパーって持って行きやすいという

ことも重要だけれど、環境や紙資源のことを考

えると、必要としない人に持っていかれても仕方

がないわけです。そこでレバーを引くという1ア

クションを介在させることで、ちょっとだけ敷居

を高くしています。こうすることで、ただ発行部

数を誇るのではなく、情報誌で行動を起こしてく

れた人の実効数をカウントするという次の段階に

入っていけます。

レバーを引くというアクションは敷居が高過ぎ

やしないかと懸念していたけど、今までのラック

と同じくらいの冊数が出ています。自分に必要か

どうかを、面白がってくれる若い子たちも多いし、

おそらく、こういうものは世界初でしょうね。

フリーペーパービジネスはリクルートが拡げ

てきた分野ですが、いよいよネクストステージに

入ってきたなという感じがします。

その時に、街に、人に愛されるという状況をもっ

と意識的に作っていくことは大事だと思います。

それも堅苦しいやり方ではなく、リクルートの自

由なイメージは壊さずに、遊びに近い感覚で世の

中にすっと入っていきたい。そこでデザインが果

たすべき役割はすごく大きいと考えています。

影響力のあるクリエイティブのために

ブランディングに関わる仕事をしていて最近

思うのは、ワイデン&ケネディのようなクリエイ

ティブ・コンサルでも、あるいは佐藤可士和くん

らがやろうとしていることも、考えているところ

はわりと近いんじゃないかということです。

デザインってこうしなきゃいけない、クリエイ

ティブってこういうふうにしていかないと影響力

を持てないんだということを、優れたデザイナー

ほど真剣に考えている。

短いスパンでのプロモーションを考えることも

大事だけど、本当は商品そのものをどうデザイン

すべきなのか、場合によっては、飲料だったら味

のデザインをどう考えるべきなのか、細かいとこ

ろでいえば、洋服のタグのデザインをどうするか

など、そこまで徹底的に関与していかないとダメ

なんだっていうふうにみんなが考えているんじゃ

ないかな。そこまでやってはじめて影響力が発揮

できて、しかもおもしろいんだということですね。

もともとブランディングというのはそういう

ものだったと思うんです。過去の広告代理店がコ

マーシャルだけをやるような動き方というのは、

日本に固有のモノだったはずです。

欧米では昔からある種、クライアントとクリ

エーターが一蓮托生みたいな動き方をしていた。

それが本来のスタイルだろうと思っていて、日本

でもそういうスタイルじゃないと、クリエイティ

ブでのソリューションは成立しないというふうに

なってきていると思います。

第 2 話

© 2 0 0 5 T O P PA N / G A C

no.13 柏本郷司

G A i n f o . / C R E AT O R ' S F I L E v o l . 2 8 N o v . 3 0 , 2 0 0 5

Page 4: cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a p p o t . w w w る す ト ン メ ジ ネ マ を ジ ー メ イ 第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

『国際青年平面設計師叢書/柏本郷司』 2005年

デザインへの関心が急速に高まっている中国で出版された柏本氏の叢書。手がけた作品に加えて、仕事で関わってきた人々や家族も紹介されている

上左より「MIND SCALE ̶̶僕が、僕らしくあることを、なまけてはいけない」ポスター リクルート 1999年「とらばーゆ ̶̶考えすぎると不幸になる。考えないとバカになる」ポスター リクルート 1999年「B-ing ̶̶働き方は、生き方だ。10月6日より新しくなります」ポスター リクルート 1998年「世界子供Days」ポスター ドイツ・エッセン市 2001年

「世界子供Days」ポスターは、2003年ラハチポスタービエンナーレで銀賞を受賞した

右「就職ジャーナル ̶̶早く終われば勝ちですか。たくさんもらえば勝ちですか」ポスター リクルート 1998年

「就職ジャーナル」ポスターは、世界のポスターコンペの中でも最高峰といわれる「ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ」で、世界50数カ国から集まった2000点以上のポスターの中から金賞に選ばれた

9

人の心の動き、それをデザインする

企業の中でモノ作りに携わるということとは別

に、家内制手工業のようにモノを作っていく世界

というのも僕の中にはあります。どちらのおもし

ろさも味わえるのは、今のポジションにいるから

こそでしょうね。その分大変なことも多いけれど。

1994年頃から、パンフレットやポスターを

主に海外のコンペティションに応募するというこ

とをしてきて、幸い、いろいろと賞をいただいた

りして評価されてきました。

僕の作風をひとことでいうと採用広告で育って

きたということが大きく影響していると思います。

第1話でもお話しましたが、人の心の動きという

ことが常に気になる。

それにリクルートはデザインよりもコピーが

強い会社で、その中でビジュアルでどのようにコ

ミュニケーションするのかということをずっと考

え、実践し続けてきました。

結果的に僕の作るものはビジュアルで人のこと

を訴えるものになっていて、意味的には国を問わ

ずに理解してもらえるものになっているんじゃな

いか。それが海外での受賞が多いということにつ

ながっているのだとも思います。

商品広告を最初からやっていたら、おそらくこ

うなっていなかったでしょうね。何をどう考えて

も、行きつく先はいつも人の心の動きや人の機微

だったりするんです。

いろいろなポスターが評価されてからも、や

はり人をテーマにしたものに関して、制作のオー

第 2 話

© 2 0 0 5 T O P PA N / G A C

no.13 柏本郷司

G A i n f o . / C R E AT O R ' S F I L E v o l . 2 8 N o v . 3 0 , 2 0 0 5

Page 5: cf 13 1109CREATOR'S FILE ル イ ァ フ ズ ー タ ー エ リ ク 6 o f n i a g / p j . o c . n a p p o t . w w w る す ト ン メ ジ ネ マ を ジ ー メ イ 第1話ではブランドマネジメント室での仕事を

C R E AT O R ' S F I L E vol.282005年11月30日発行

発行凸版印刷株式会社東京都千代田区神田和泉町1番地〒101-0024http://www.toppan.co.jp

発行責任者三浦 篤

企画・編集・制作凸版印刷株式会社 GACTEL.03-5840-4058http://www.toppan.co.jp/gainfo

取材:福田大 足立典子 野崎優彦 西村広(撮影)文:野崎優彦編集:福田大 足立典子 野崎優彦デザイン:福田大

interview:2005.9

10

デザインとは|

考えるプロセスそのもの

僕にとってデザインというのはとても広い言葉

です。クリエイティブという言葉よりも、ある種、

広い意味を持っていると思います。

表現することやカタチに落とすということはデ

ザインの中のあくまで出口でしかない。デザイン

というのは対象のことを一生懸命に考えることな

んじゃないでしょうか。

考えてアイディアを出すというところがまず大

事。次に完成度ということではフィニッシュも大

切だけれど、自分にとっては、やらなければなら

ないことをどうすればクリアできるのか、そのプ

ロセスを考えること自体がデザインなんです。

インダストリアルデザインや建築の世界も同

じだと思いますが、考える作業そのものがデザイ

ンであって、その考えを最終的にカタチに落とす

ところまで、責任をもってやっていく人がデザイ

ナーなんだと思っています。

その意味では、自分はアイディアを考える段

階が一番好きですね。僕の宝物は汚い手描きのス

ケッチと箇条書きのメモです。

どうしてこういう展開をしたほうがいいのかと

いうことを考えながら書き留めていく箇条書きと、

そのシンボルとしてどんなカタチがふさわしいの

かというラフスケッチ、それを描いている時間が

一番楽しいですね。

いろいろな領域で仕事をしているけれど、どれ

もどこかでつながっているのは、やはり自分がデ

ザイナーだからだと思っています。

ダーをいただくことが多いですね。

お亡くなりになった方ですが、パレスチナとの

融合を目指していたイスラエルの首相が、パレス

チナとの国境近くに美術館を作られました。その

オープニングを飾るポスターの制作に世界中から

選ばれた50名の中のひとりとして参加しました。

ドイツのエッセン市からは「世界子供Days」

という企画展の依頼を受けたりしました。

ポスターのアイディアの出し方というのは、僕

は、まず自分でキャッチフレーズを作ってみると

ころからスタートします。最初に何をいうべきな

のかキーワードを考える。そこにどんな絵がつく

かという発想の仕方をしています。 

そういうやり方になったのは、やはりコピー

が強い風土で育ったということもあるけれど、早

くからディレクターという立場で、スタッフな

りお客さんなりに説明しなければならないことが

多かったからだと思います。誰に対してもわかり

やすい説明をしなければならないし、そのために

は考え方がきちんと整理されていることも絶対に

必要なんですね。僕自身は本来はそんな人じゃな

かったはずなんですが、ずっとそういうやり方を

続けてきて、それが当たり前になってしまってい

るんです。

僕たちの仕事というのはカタチにしないと成り

立たないものです。そこに向かうために、一度、

言葉として定着させないと自分自身もブレてしま

うし、仕事が大きければ大きいほど拠り所を決め

ておかないとスタッフたちもブレてしまうもので

す。このやり方は自分がクリエイティブディレク

ターとして動くときもまったく同じですね。

第 2 話

© 2 0 0 5 T O P PA N / G A C

no.13 柏本郷司

G A i n f o . / C R E AT O R ' S F I L E v o l . 2 8 N o v . 3 0 , 2 0 0 5


Recommended