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シビアアクシデント解析の現状とChallenge 2.解析コードを⽤...

Date post: 05-Oct-2020
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© 2015 Toshiba Corporation ⽇本原⼦⼒学会2015年秋の⼤会 計算科学技術部会セッション シビアアクシデント解析の現状とChallenge 2. 解析コードを⽤いた現象評価⽅法 2015/9/9 (株)東芝 ⼩島 良洋 N1O2015000313 Rev.0PSNN20150817
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⽇本原⼦⼒学会2015年秋の⼤会計算科学技術部会セッション

シビアアクシデント解析の現状とChallenge2. 解析コードを⽤いた現象評価⽅法

2015/9/9

(株)東芝 ⼩島 良洋

N1O‐2015‐000313 Rev.0/PSNN‐2015‐0817

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内 容

1.はじめに2.シビアアクシデント時の諸現象について3.シビアアクシデント現象モデルの⾼度化例4.シビアアクシデント解析コードによる現象評価について

5.まとめ

(注)3章並びに4章には,IRIDが経済産業省補助事業として実施した成果の⼀部を含む。

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1. はじめにシビアアクシデント(SA)時には様々な現象が炉内・炉外にて複合して発⽣する。各現象の解明が不⼗分であることなどに起因して,⼀般的に⼤きな不確かさが存在し,不確かさの定量化は現状困難である。 SA時プラント挙動評価を⾏う場合,各現象の不確かさが⼤きいことを理由に過度に保

守的な評価を⾏うと,⾮現実的な結果を招くことが多い。 現象の不確かさ故のモデル化が困難であることが理由であり,空間メッシュやタイムステッ

プの詳細化で解決できる問題ではない。不確かさの低減を図ることが重要であり,PIRT等を参考に現象の不確かさに対して⽀配的となる素過程を同定し,機構論的解析⼿法構築や個別要素試験を実施していくことが重要である。 福島第⼀事故以降の現象解明に向けた要素試験等の知⾒蓄積と解析コードでのモデ

ル化が期待される。国内外のSA解析コードは,コードの評価⽬的やその特徴に応じて,SA時の各物理現象がモデル化されており,種々のベンチマーク等によって妥当性確認が⾏われているものの,⼯学的判断に頼ったモデル化を⾏うケースもある。

MAAPコードによる福島第⼀事故進展解析を例にとり,これまでの分析によって原⼦炉圧⼒容器(RPV)内及び原⼦炉格納容器(PCV)内で発⽣したと推定される現象とその評価結果について報告する。

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2. シビアアクシデント時の諸現象について⼀般に,SA解析コードは下図のような主要な現象モデルを有する。

炉内発⽣現象 炉外発⽣現象

福島第⼀事故進展の解明や炉内状況推定を⽬的とした新たな物理現象モデルの追加・改良等が⾏われている。

炉⼼溶融進展(溶融炉⼼のリロケーション挙動含む)下部プレナム内デブリ挙動,RPV破損モード

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3. シビアアクシデント現象モデルの⾼度化例MAAPコードの例では,従来の解析結果分析に基づき,BWR特有現象のモデル化に注⼒

BWR炉⼼下部構造を考慮した炉⼼溶融物の移⾏経路モデルの追加BWR炉⼼下部構造を考慮した炉⼼溶融物の移⾏経路モデルの追加

溶融物

スタブチューブクラスト

圧⼒容器下鏡壁

溶融物

溶融物

スタブチューブクラスト

圧⼒容器下鏡壁

溶融物

制御棒駆動機構ハウジング

保守性を排除したRPV破損モード保守性を排除したRPV破損モード

リロケーション挙動に応じたデブリ堆積状態の考慮,デブリ-構造物相互作⽤

リロケーション挙動に応じたデブリ堆積状態の考慮,デブリ-構造物相互作⽤

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4. シビアアクシデント解析コードによる現象評価についてMAAPコードによる福島第⼀2号機(1F-2)の事故進展解析を例にとり,現状のSAコードによる解析結果について紹介 1F-2は3プラント中,事象進展・境界条件の不確かさが最も⼤きいと考えられている。

MAAPコードについて

開発経緯

MAAP(Modular Accident Analysis Program)コードは,⽶国産業界が実施したIDCOR(Industry Degraded Core Rulemaking)プログラムにおいて,1980 年代初頭に⽶国FAI 社(Fauske & Associates, LLC.)により開発された。プログラムの完了に伴い,所有権が⽶国EPRIに移管され,EPRI を中⼼としたMUG(MAAP Userʼs Group)の元で保守及び改良が進められている。

特徴

軽⽔炉のシビアアクシデント時の原⼦炉圧⼒容器,原⼦炉格納容器及び原⼦炉建屋内の熱⽔⼒/核分裂⽣成物(FP)の放出・移⾏挙動を同時に⼀貫して解析できることに特徴があり,PRA やシビアアクシデントマネジメントの策定等において,⽶国を始め,世界的に利⽤されている。シビアアクシデントの事象進展の各段階を網羅し,炉⼼,原⼦炉圧⼒容器,原⼦炉格納容器内で起こると考えられる重要な事故時の物理現象をモデル化するとともに,⼯学的安全施設各種の機器についてのモデルを備える。核分裂⽣成物(FP)に関する物理現象をモデル化しており,事故時に炉⼼溶融に伴って原⼦炉圧⼒容器や原⼦炉格納容器内に放出されるFPの挙動についても取り扱うことが可能である。エンジニアリング向けを意図して,シンプルな物理現象モデルを採⽤しているため,⾼速計算が可能。この特徴を活⽤して,不確かさの⼤きな現象については,各種の感度解析が可能。

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4. シビアアクシデント解析コードによる現象評価について(続き)

1F-2事故進展概要 2011/3/11 14:46 地震発⽣ ⇒ スクラム 2011/3/11 14:50 RCIC⼿動起動 2011/3/11 15:41 津波襲来による全交流電源喪失 2011/3/14 13:25 RCIC機能喪失判断 2011/3/14 18:00頃 SR弁開放による減圧確認 2011/3/14 19:54 消防ポンプ起動 2011/3/15 7:20 格納容器圧⼒の低下確認

解析条件は以下の考え⽅に基づく。 タイムラインは事故後の分析(東京電⼒)に基づき,境界条件として設定 プラント挙動解析を実施する上で重要で,かつ事故当時計測されていない,または,

計測されていても信頼性が低い下記情報については,実測値の再現性の観点からチューニング RCIC注⽔流量/タービン蒸気流量 消防⾞注⽔量 トーラス室への津波浸⽔

約3⽇間の運転

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4. シビアアクシデント解析コードによる現象評価について(続き)

MAAP

プラント設計情報• 燃料集合体幾何形状

(燃料・被覆管重量含む)• 炉⼼出⼒分布• FP重量• RPV幾何形状等• PCV幾何形状等• 安全設備特性(注⽔量,除熱量等)• 崩壊熱

モデルパラメータに係る情報• 物理現象モデル(フィッティング係数等)

事故シナリオに係る情報• 起因事象• 運転員操作• 安全設備作動条件等

• RPV内熱⽔⼒応答(圧⼒,⽔位,温度)

• PCV内熱⽔⼒応答(圧⼒,⽔位,温度,⽔素濃度)

• 炉⼼損傷進展(RPV破損挙動等)

• RPV/PCV内FP挙動• FP環境放出量• コンクリート侵⾷深さ等

初期条件に係る情報• 原⼦炉出⼒・圧⼒・⽔位• 格納容器内圧⼒・温度・⽔位・湿度

主要な⼊⼒

主要な出⼒

1F事故進展期間中の実測データに乏しいため,事故進展解析を⾏う上で最も不確かさの⼤きな境界条件となる。(例:RCIC/HPCI注⽔量,消防⾞注⽔量など)

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5. まとめ

SA解析コードによる現象評価⽅法の⼀例として,MAAPコードによる1F事故進展解析を紹介。物理現象,境界条件の不確かさは依然として⼤きく,特に炉

⼼損傷後のプラント挙動の予測は困難を伴う。SA解析コードの限界を把握した上で,廃⽌措置等に活⽤して

いくことが重要である。重要な物理現象については,福島第⼀事故以降の現象解明に向けた要素試験等の知⾒蓄積と解析コードでのモデル化が期待される。

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